JP4174158B2 - オゾン暴露試験方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はオゾン暴露試験方法に関し、特に、インクジェット法、印刷法、昇華転写法、熱転写法、電子写真法、銀塩写真法、自己発色記録法などの各種記録方法に適用される記録媒体や、これらの方法によって得られた画像(プリントや記録物)などで、吸水性または吸湿性を有する材料を被試験材料とする場合に好適なオゾン暴露試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、印刷法、インクジェット法、銀塩写真法などの各種の方法によって得られた記録物における画像に対して種々の特性が要求されるようになっており、なかでも、保存安定性等を考慮した場合における画像堅牢性は重要な特性となってきている。この画像堅牢性を評価する方法としては、例えば、特開昭63−252780号公報に記載されるオゾン暴露試験によって室内退色の発生を調べる方法は有効な手段として注目されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
各種記録物の画像堅牢性を再現性良く正確に評価することは、各種の記録方式やそれに用いる記録媒体を開発する上で重要な課題となっている。本発明者らの検討によれば、吸水性あるいは吸湿性の紙を主体とする記録媒体や、吸水性あるいは吸湿性の層を有する記録媒体、あるいはこのような記録媒体を用いて得られた記録物に対してオゾン暴露試験を行ったところ、測定条件によっては、得られる結果における再現性や信頼性が低い場合があることが判明した。
【0004】
本発明は、このような吸水性または吸湿性を有する被試験材料におけるオゾン暴露試験における問題を解決するためになされたものであり、吸水性または吸湿性を有する材料であっても良好な再現性及び信頼性が得られるオゾン暴露試験方法を提供することをその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述した吸水性または吸湿性を有する被試験材料に対するオゾン暴露試験における問題を解決することを目的として種々の検討を行った結果、吸水性または吸湿性を有する被試験材料の水分量のオゾン暴露時における変化と、測定値との間に相関関係があり、この相関関係を利用することによって試験結果の再現性と信頼性を向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
具体的には、オゾン暴露試験機でのオゾン暴露試験において、暴露試験を開始すると同時にオゾン濃度を所定の値に制御し、かつ温度と湿度の制御も同時に開始する試験条件を採用し、同一条件で作成した複数の被試験材料に対して、同一のオゾン暴露機で連続的に試験を行うと、1回目と2回目、もしくは3回目と回数を重ねると、各回における測定結果が一致しない場合があることが判明した。このような問題についての原因を検討する中で、2回目以降の暴露試験は加湿装置が暖まっているために試験槽内の湿度や温度が所定値まで上昇する時間が短いこと、すなわち、試験槽内の温度及び湿度が試験条件として設定された所定の値に到達するまでの時間が連続運転の場合における各回において異なる点、また、かかる到達時間が吸水性または吸湿性を有する被試験材料の水分量に影響している点、更には、かかる水分量の変化が試験結果に大きな影響を与えている点が判明した。そして、予め被試験材料の水分量を調整しておくことで、オゾン暴露時における被試験材料の水分量の変化を抑えることができ、その試験結果への影響を効果的に排除して、再現性及び信頼性の向上したオゾン暴露試験が可能となることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明にかかるオゾン暴露試験方法は、吸水性または吸湿性を有する被試験材料のオゾン暴露試験方法であって、
互いに連通可能に設けられた一対の領域を有する試験槽の一方の領域に設置された被試験材料を、所定時間保持して、被試験材料の水分量を調整する水分調整工程と、
前記水分調整工程で水分量が調整された被試験材料を、水分量の平衡状態を維持しながら前記試験槽内の他方の領域に移動させる工程と、
前記移動された被試験材料に対して、オゾン暴露を行うオゾン暴露工程とを有し、
前記水分調整工程における被試験材料の所定時間の保持を、前記オゾン暴露工程と同一の温度及び湿度で行うことを特徴とする。
【0009】
なお、従来からオゾン暴露装置に関する提案がなされてきているが、これらは、試験槽の温度や湿度を制御する機構のないものや、温度や湿度を制御する機構があっても運転開始時からこれらの制御を行うものであって、本発明のように、温度や湿度の制御を通して吸水性または吸湿性の被試験材料の水分量を予め調整し、水分量の変化の試験結果に対する影響を低減させた被試験材料に対してオゾン暴露を行うものは見当たらない。
【0010】
本発明においては、オゾン暴露時における被試験材料における水分量の変化による試験結果への影響を効果的に低減しているので、暴露時における水分量の変化が大きな吸水性または吸湿性の被試験材料に対しても再現性及び信頼性の向上したオゾン暴露試験が可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のオゾン暴露試験方法について詳細に説明する。
【0012】
本発明の試験方法における被試験材料である吸水性または吸湿性の材料としては、例えば、紙を主要構成材料とする吸水性または吸湿性を有する材料、樹脂や顔料などの材料を表面または内部に含み、吸水性または吸湿性の部分を有する材料などを挙げることができる。具体的には、インクジェット法、各種印刷法、昇華転写法、熱転写法、電子写真法、銀塩写真法、自己発色記録法などの各種記録方法に用いられる記録媒体、さらには、これら記録媒体にこれらの各種記録方法で記録を行って得られた記録物などを挙げることができる。なお、本発明の方法は、吸水量が0.001g/g〜10g/gの範囲にある吸水性または吸湿性材料により好適に適用可能である。
【0013】
本発明のオゾン暴露試験では、オゾンを含む気体からなる雰囲気に曝す前に、被試験材料の水分量が、オゾン暴露時の温度及び湿度において所定の設定値となるように予め調整される。この水分量の設定値は、オゾン暴露時における被試験材料の水分変化の試験結果への影響を効果的に低減あるいは排除できる値であり、好ましくは、オゾン暴露時における被試験材料の水分量の変化が1%以内となるように設定される。より好ましい被試験材料の水分量の設定値は、オゾン暴露時における温度及び湿度における飽和水分量である。
【0014】
この水分の調整は、例えば、被試験材料をオゾン暴露時の条件として採用される所定の温度及び湿度に維持した雰囲気内に被試験材料を必要時間保持することにより得ることができる。
【0015】
このように、被試験材料の水分量を所定の設定値に調整し、その後、オゾン暴露を行うことで、例えば、大気における通常の室温や湿度よりも高い温度と湿度を用いる条件でのオゾン暴露試験中における被試験材料の水分量の変化を効果的に低減することが容易になり、試験結果の再現性や信頼性を向上させることができる。好ましくは、被試験材料の水分量が、オゾン暴露試験時の温度及び湿度における飽和水分量であれば、オゾン暴露工程中にオゾン暴露中の反応により水分が発生した場合でも、被試験材料によってこれが吸収されて被試験材料の水分量が変化することがなく、より正確な試験を行うことが可能となる。
【0016】
以下に、本発明におけるオゾン暴露時の温度及び湿度の設定と被試験材料の水分量の変化について図を参照して説明する。図1は、オゾン暴露試験機の有する試験槽内の温度と湿度の変化を示すグラフである。▲1▼点は運転開始時を示す。運転開始(▲1▼点)から温度及び湿度を設定値までに上昇させる立ち上げ期間が経過すると、▲2▼点において温度及び湿度ともに設定値に到達する。図2は、このような温度及び湿度の運転開始からの変化を有する試験槽内に配置した被試験材料の水分量の変化を示すグラフである。図2に示すように、運転開始後、試験槽の温度と湿度の上昇に伴なって被試験材料の水分量も増加していく。図1の▲2▼点で試験槽内の温度と湿度はともに設定値に到達しているが、ここで用いた被試験材料の場合には、その水分量は設定値に到達していない(図2の▲2▼点参照)。そこで、本発明では、被試験材料の水分量が設定値に到達するまで、オゾン暴露時の温度及び湿度を有する雰囲気内に所定の時間(図2における▲2▼点から▲3▼点までの時間)被試験材料を保持する。そして、▲3▼点でオゾンを含む気体を試験槽に導入してオゾン暴露を開始し、試験条件に応じて設定された時間経過後(▲4▼点)においてオゾン暴露を終了する。図2に示した被試験材料における水分量の設定値は飽和水分量であり、オゾン暴露中における被試験材料の水分量は設定値で一定になっている。
【0017】
なお、先に述べた通り、オゾン暴露中における被試験材料の水分量の変化が1%以内であれば、飽和水分量に達していない時点でオゾン暴露を開始してもよい。
【0018】
本発明に用い得る試験機としては、被試験材料の水分量を調整する水分調整手段と、調整された水分量を有する被試験材料にオゾン暴露を行うオゾン暴露手段と、を少なくとも有するものが好適に用いられる。水分調整手段とオゾン暴露手段とは、別々に設けることができ、その場合はこれらの手段間を被試験材料の水分量を維持しつつ移動させる手段を用いる。あるいは、一つの装置でこれらの2つの手段を兼用させることもでき、例えば、通常用いられているオゾン暴露試験機の試験槽にこれらの手段を兼用させることができる。
【0019】
そのような試験機の構成の好ましい一例を図3に示す。図3に示した装置は、試験槽1がオゾンを含む気体の循環系中に設けられている構成を有する。循環系は、オゾンを含む気体の通路となる導管で互いに接続されたフィルターユニット5、冷却器2、ヒーター及び加湿機3及びオゾン発生器4を有する。ここで、冷却器2とヒーター及び加湿機3が、オゾンを含む気体の温度及び湿度の調整手段を、オゾン発生器4がオゾン濃度調整手段を構成している。なお、オゾンを含む気体は通常は空気が用いられる。
【0020】
この装置では、冷却器2を通って除湿された気体はヒーター及び加湿器3で温度と湿度が調整される。その後、オゾン発生器4でオゾン濃度が調整されて試験槽1に導入される。試験槽1から排出された気体はフィルターユニット5を通過し、反応生成物が除去されてから冷却器2へ供給される。
【0021】
なお、冷却器2とフィルターユニット5の間を開放して、冷却器2に大気から必要に応じてフィルターなどを通して空気を導入してこれをヒーター及び加湿器3に供給し、フィルターユニット5からの排気を試験装置外に排出する構成とすることもできる。更に、フィルターユニット5は必要に応じて設けることができ、試験槽1内でのより正確なオゾン濃度の制御を行ったり、上述のように排気を装置外に排出する構成とする場合には、活性炭フィルター、メンブランフィルターなどからなるフィルターユニット5を設けて、残存するオゾンやオゾン暴露により反応生成物を気体から除去することが好ましい。また、冷却器2も必要に応じて設置することができ、更に、ヒーター及び加湿器3とオゾン発生器4の配列もこれに限定されない。
【0022】
しかしながら、図3に示す循環系によれば、オゾン濃度を調整した後でヒーター及び加湿器での温度及び湿度の調整を行った場合における温度及び湿度の調整時でのオゾンの分解の可能性を排除して、オゾン濃度のより精密な制御を行うことができ、試験結果の再現性や信頼性を更に向上させることができる。また、冷却器によって一度気体の除湿を行ってからヒーター及び加湿器での温度及び湿度の調整を行うので、温度と湿度の調整精度を更に上げることができる。一方、先に述べたように、フィルターユニット5を設けることも試験槽内のオゾン濃度の制御を更に良好に行うのに都合がよい。なお、図3における循環系において、フィルターユニット5と冷却器2との間の導管にバルブを設けて、必要に応じて外気との接続を可能とし、新鮮な空気を循環系内に導入したり、フィルターユニット5からの排気を循環系外に排出するようにしてもよい。
【0023】
このような図3に示す構成の循環系を用いることで、被試験材料の水分量調整時およびオゾン暴露時の温度調整は設定温度±1℃の範囲、湿度は相対湿度で設定値±3%の範囲とすることが可能となる。この範囲であれば、オゾン暴露試験中の被試験材料の水分量の変動を1%以内に抑えることが、更に容易となる。更に好ましい範囲は、温度で設定値±0.5℃、湿度で設定値±1%であり、この範囲であれば、例えば飽和水分量を有する被試験材料の環境に依存する水分量の変動を0.5%以下まで抑えることができる。
【0024】
一方、水分調整手段とオゾン暴露手段とを別々に設け、これらを一体的に接続した構成の一例を図4に示す。図4に示す装置における試験槽は、その内部が第1の領域7と第2の領域8の2の領域に区分された構成を有し、これらの領域は互いに連通可能であり、かつ互いに独立して操作できるようになっている。第2の領域8は所定の温度及び湿度でのオゾン暴露が行われる領域であり、一方、第1の領域7は第2の領域8においてオゾン暴露時に採用されるのと同じ温度及び湿度に被試験材料を保持して、その水分量の調整が行われる。第1の領域7と第2の領域8とは開閉可能な扉6で仕切られており、第1の領域で所定の値に水分量が調整された被試験材料は、扉6を開けて第2の領域8に移される。この時、第1の領域と第2の領域の温度及び湿度条件を同一に設定しておくことで被試験材料において調整された水分量を維持することができる。扉6を閉じて第2の領域内にオゾン濃度を所定の値にして、被試験材料のオゾン暴露を行うことができる。この装置を用いた方法では、オゾン暴露と水分量の調整をそれぞれ独立した別々の領域で行うため、オゾン暴露試験のスループットを上げることができる。また、吸湿量が大きく水分量が所定値に達するまで時間のかかる材料でも、水分量を簡単に調整することができる。更に、連続して多数の被試験材料を処理する場合には、第2の領域8でオゾン暴露を行っている間に、第1の領域7で次にオゾン暴露処理する被試験材料の水分調整を十分に行うことができ、処理効率を大幅に向上させることができる。更に、被試験材料の入れ替えを第1の領域7から行うため、オゾン暴露を行う第2の領域8を外気に直接曝すことがなくなるため、第2の領域8と循環系を冷却して、壁面などに結露の発生を防止することができる。試験槽または循環系に結露を生じるとオゾン濃度の変動を生じる場合があり、結露を発生を確実に防止することで、オゾン濃度を、より正確かつ簡便に制御することが可能となる。
【0025】
図4に示す装置における第1の領域に接続されている循環系は、オゾン発生器を有しない以外は、図3において説明したのと同様の構成及び動作を有し、第2の領域に接続されている循環系は、図3において説明したのと同様の構成及び動作を有する。
【0026】
なお、第1及び第2の領域に接続されている循環系の各々はそれぞれ独立して図3で説明したように、バルブ等を用いて必要に応じて外気と接続できるようにしても良い。更に、本発明に用いる試験機は、図4に示す一対の領域を複数有するものであっても良い。
【0027】
また、図3及び4に示す装置では、必要個所に各種センサーを配置して、温度、湿度及びオゾン濃度を測定するとともにモニターして、測定値に応じて運転条件を変更することができる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
【0029】
参考例1
原料パルプとしてフリーネス(C.S.F.)370mlの広葉樹さらしクラフトパルプ(LBKP)80部及び針葉樹クラフトパルプ(NBKP)20部を使用し、これに歩留まり向上剤としてカチオン化澱粉(王子ナショナル社製、商品名:CATOF)を同じくパルプ固形分に対して0.3重量%内添させ、さらに抄紙直前にポリアクリルアマイド系歩留まり向上剤(星光化学工業社製、商品名:パールフロックFR−X)を0.05重量%添加し、TAPPI標準シートフォーマーを用いて坪量70g/m2に常法により抄紙した。次に、濃度2重量%の酸化澱粉(日本食品社製、商品名:MS3800)溶液をサイズプレス装置にて付着させて基紙を得た。
【0030】
シリカ(水澤化学社製、商品名:P78A)とポリビニルアルコール(日本合成化学社製、商品名:NH−18)の各々の10重量%の水分散液を作成した。次に、シリカの水分散液とポリビニルアルコールの水分散液を、乾燥固形分換算で3:1の比率で混合して、塗工液を得た。
【0031】
この塗工液を上記の操作で得た基紙に、乾燥固形分量20g/m2の厚みに塗布した後、乾燥させて記録紙を得た。
【0032】
この記録紙に、下記組成のインクを用いてインクジェットプリンター(キヤノン株式会社製、商品名:BJC430)でデューティ100%のべたパターンを20×20mmの領域内に印字して同一の被試験材料を多数得た。
インク組成:
染料(C.I.フードブラック2) 5重量部
ジエチレングリコール 15重量部
ポリエチレングリコール 20重量部
水 70重量部
上記の印字を行った被試験材料の一枚について、後述する方法で残存率を求めるのための光学濃度を測定しておいてから、オゾン試験装置(スガ試験機社製、商品名:オゾンウエザオメーター)の試験槽内の所定の位置に設置した。なお、設置時における被試験材料の水分含有率は3重量%であった。
【0033】
次に、試験槽内を外気から密閉し、試験槽内の温度が45℃、湿度が55%RHの条件となるようにセットして運転を開始した。運転開始後20分で試験槽内の温度と湿度は設定値まで上昇した。この時の被試験材料の水分含有率は4.5重量%であった。運転開始後30分で被試験材料の水分含有率は5重量%になり、試験槽内部の温度、湿度条件での飽和水分量を有するものとなった。この状態で、オゾン濃度3ppmで120分のオゾン暴露を行った。オゾン暴露後の被試験材料の水分含有率は5重量%で変化がなかった。
【0034】
被試験材料を試験槽から取り出し、オゾン暴露前後のべた黒印字部の光学濃度を濃度計(X−lite社製、商品名:310TR)で測定して残存率を下記の式で計算した。
【0035】
【式1】
更に、残りの被試験材料の多数についてそれぞれを個々に用いて、上記と同様の条件でオゾン暴露試験を同一装置で連続して行った。なお、被試験材料の試験槽への設置及び取り出し時において、ヒーター、加湿器及びオゾン発生器などは運転を停止せずに、アイドリング状態とした。5回目までの試験結果を表1に示す。また、試験槽内のオゾン濃度を計測し、設定値に対する変化率も算出した。表1の結果から、再現性が向上していることがわかる。
【0036】
なお、被試験材料の水分量の測定は、ゴーンズ・アンド・カンパニー社製のモイストレックスMX5000を用いて行った。運転開始の30分経過時の被試験材料の水分量と試料の飽和水分量はオゾン暴露試験とは別に測定した。すなわち、運転開始の30分経過時の水分量は、オゾン暴露試験時における水分調整時と同じ装置及び条件で、運転開始後30分経過時に被試験材料を取り出して水分量を測定した。また、飽和水分量は温度と湿度の設定値の条件で24時間放置した被試験材料の水分量を求めた。オゾン暴露試験終了後の被試験材料の水分量はオゾン暴露後に取り出した被試験材料の測定を行うことで求められる。
【0037】
なお、試験槽内の温度、湿度の設定は装置の操作パネルで行うことができる。また、温度計と湿度計は装置内に設置されているので、値を読み取ることができる。
【0038】
参考例2
参考例1と同じオゾン暴露試験機の試験槽を用い、試験槽の外側に活性炭フィルタを用いたフィルタユニット、冷却器、ヒーター及び加湿器、オゾン発生器を有する循環系を図3に示すように取り付けた。この装置では、冷却器で除湿された空気はヒーター及び加湿器で温度と湿度が調整され、更に、オゾン発生器でオゾン濃度が調整されて試験槽に導入された。試験槽から排出された空気は活性炭フィルターを通って再び冷却器に導入された。
【0039】
参考例1と同様にして被試験材料を多数調製し、その1枚について残存率を求めるのための光学濃度を測定しておいてから、試験槽の所定位置に設置した。試験槽内を外気に対して密閉して、参考例1と同様の条件で運転を開始し、まず、試験槽内の被試験材料の水分量を飽和水分量に達するように調整した。すなわち、45℃、55%RHの条件で30分間放置後の水分含有率は5重量%で、この条件での飽和水分量に達していた。次に、試験槽内の温度及び湿度の条件をそのまま維持して参考例1と同様に3ppmで120分のオゾン暴露を行った。オゾン暴露後の被試験材料の水分含有率は5重量%で変化がなかった。被試験材料を試験槽から取り出し、オゾン暴露前後における残存率を参考例1と同様にして求めた。残りの被試験材料の多数についても参考例1と同様にして連続的にオゾン暴露試験を行った。5回目までの試験結果を表1に示す。また、試験槽内のオゾン濃度を計測し、設定値に対する変化率も算出した。表1の結果から、再現性が向上していることがわかる。
【0040】
実施例3
参考例2で用いたのと同じオゾン暴露試験槽を2台用意し、2つ試験槽を間に扉を設け、互いに連通可能で、かつ互いに独立して運転可能に連結し、第1の領域と第2の領域とを設けた。それぞれの試験機の外側に、活性炭フィルターを有するフィルターユニット、冷却器、ヒーター及び加湿器、及びオゾン発生器を図4と同じように取り付けた。2つの試験槽にはそれぞれ冷却器と、ヒーター及び加湿器とで温度及び湿度が調整された空気が導入されるようにした。第2の領域から排出された空気は活性炭フィルターを有するフィルターユニットを通って、冷却器に導入され、第2の領域に再循環される。また、第2の領域に導入される空気はオゾン発生器でそのオゾン濃度が調整される。
【0041】
参考例1と同様にして調製した被試験材料について残存率を求めるのための光学濃度を測定しておいてから、扉を閉めた状態の第1の領域に設置し、第1の領域及び第2の領域ともに外気から密閉して、45℃、55%RHの条件となるようにセットして運転を開始した。運転開始から30分後の被試験材料の水分含有率は5重量%で、この条件での飽和水分量に達していた。ここで、第1の領域と第2の領域の扉を開けて被試験材料を第1の領域から第2の領域に移した。この移動において、第1の領域と第2の領域はそれぞれ45℃、55%RHの環境に調整されていたので、被試験材料が第2の領域に移った後の水分含有率は5重量%と変化はなかった。ここで、扉を閉めてから、第2の領域に、所定オゾン濃度に調整された空気を導入して45℃、55%RHでのオゾン暴露を行った。オゾン暴露の条件は、参考例1と同様に3ppmで12分であった。オゾン暴露後の被試験材料の水分含有率は5重量%で変化がなかった。参考例1と同様に多数の被試験材料について連続的に処理した。5回目までの試験結果を表1に示す。また、試験槽内のオゾン濃度を計測し、設定値に対する変化率も算出した。表1に結果から、再現性が向上していることがわかる。更に、本実施例で用いた装置によれば、水分量調整とオゾン暴露を互いに独立した領域で行うのために操作性が向上した。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば以下の効果を得ることができる。
1)被試験材料に水分量を予め制御してオゾン暴露を行うことによって、連続して多数回のオゾン暴露試験を行ったときの再現性が向上する。
2)温度と湿度を調整した空気のオゾン濃度を調整して試験槽に送る構成とした場合には、試験槽内でのオゾン濃度の安定性を更に向上させて、より良好な再現性を得ることができる。
3)試験槽に2つの互いに独立した領域を設ける構成を採用した場合に、一方で被試験材料の水分量の調整を行ってから、他方に移動させてオゾン暴露を行うことで試験の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】オゾン暴露試験における試験槽内の運転開始からの温度及び湿度の変化を示す図である。
【図2】オゾン暴露試験における試験槽内の運転開始からの温度及び湿度の変化に対応した被試験材料の水分量の変化を示す図である。
【図3】オゾン暴露試験機の一例の構成を示めす図である。
【図4】オゾン暴露試験機の一例の構成を示めす図である。
【符号の説明】
1 試験槽
2、2’ 冷却器・除湿器
3、3’ ヒーター及び加湿器
4 オゾン発生器
5 フィルターユニット
6 扉
7 第1の領域
8 第2の領域
9 循環方向
Claims (2)
- 吸水性または吸湿性を有する被試験材料のオゾン暴露試験方法であって、
互いに連通可能に設けられた一対の領域を有する試験槽の一方の領域に設置された被試験材料を、所定時間保持して、被試験材料の水分量を調整する水分調整工程と、
前記水分調整工程で水分量が調整された被試験材料を、水分量の平衡状態を維持しながら前記試験槽内の他方の領域に移動させる工程と、
前記移動された被試験材料に対して、オゾン暴露を行うオゾン暴露工程とを有し、
前記水分調整工程における被試験材料の所定時間の保持を、前記オゾン暴露工程と同一の温度及び湿度で行うことを特徴とするオゾン暴露試験方法。 - 前記水分調整工程において、被試験材料の調整された水分量が、前記オゾン暴露工程の温度及び湿度での飽和水分量である請求項1に記載のオゾン暴露試験方法。
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