JP4173954B2 - アンテナ構造を製作する方法と前記方法に従って製作されたアンテナ構造 - Google Patents

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、電磁マイクロ波信号の送信および処理用のアンテナ構造を製作する方法に関する。
【0002】
また本発明は、電磁マイクロ波信号の送信および処理用の分配網を備えるアンテナ構造に関する。このアンテナ構造はカットアウトを含む板で製作する。少なくとも1枚の中間導電板を備え、各中間板の各側に周囲導電板を取り付ける。かかる周囲板の各側は各中間板の片側または他の側に接触する。
【0003】
(従来の技術)
最もよく用いられているマイクロ波信号用のアンテナ構造は、通常は放物線状の三次元の湾曲した反射板を持つ反射板アンテナで、フィーダはその焦点にある。しかしこの形のアンテナは、特に高さに対する深さが大きいので、大きな設置場所が必要である。
無線情報送信(例えば、無線リンク通信)では、周囲に適合させやすい薄板構造の需要がますます増えている。
【0004】
マイクロストリップ技術を用いた平型導体アンテナがすでに製作されている。これは平型であるが損失が大きく、特に高周波では解決が厄介である。
【0005】
US−A−3,925,883は、金属板を曲げて他の板に固着させた導波管装置を開示している。導波管装置の構成要素は孔をあけた多数の板を重ねた板構造で製作されて、マイクロ波フランジを形成する。しかし板の中の孔の外形がほぼ同じなので中間板内の孔は周囲板によって余り限定されず、板の主平面内に導波管構造を形成することはできない。この波導体装置はアンテナ構造ではない。
【0006】
板構造で製作された導波管装置がSE−C2−505 504に示されている。この装置の台板は、波導体と波導体構成要素がカットアウトされている。この装置では、唯一の周囲板により1つのそして同じ孔の限界面を形成する。この導波管装置もアンテナ構造ではない。
【0007】
(発明の概要)
本発明の目的は、複雑な構造であっても、簡単な製作方法によりアンテナ構造を製作することである。
【0008】
この目的は、本発明に係る方法とアンテナ構造により達成される。この方法は、機械的または化学的工程により少なくとも3枚の導電板内に孔をあけて、導電端面を持つ貫通孔の形のカットアウトを作ることを含む。これらは各板の主平面上に所定の位置と長さを有し、また各板の片側から他の側まで或る長さを有する。またこの方法は、所定の相対位置に孔をあけた板を積み重ねて、少なくとも形成された端面の回りに板の側面を互いに導電的に固着させることを含む。これにより多数の孔は前記端面と孔に面する周囲板の側面の部分とで導電限界面を形成する。アンテナ構造内のカットアウトは導電端面を持つ貫通孔で形成し、これらの端面は各孔の中で第1の限界面を形成する。これらは各板の主平面内を板毎に所定の位置と長さで延び、また各板の片側から他の側に延びる。少なくとも2枚の周囲板が、中間板内の孔に面する側面の部分と共に、少なくとも1枚の中間板内の前記孔の第2の限界面を形成する。
【0009】
また本発明に係る方法とアンテナ構造により、複雑な構造を非常に合理的に低コストで製作することができる。これにより各板は貫通孔を持ち、またいくつかの周囲板面は中間板の限界面を形成する。
【0010】
(好ましい実施の形態)
図1の実施の形態に示すように、本発明に係るアンテナ構造は板構造である。簡単のために、これを組立分解透視図で示す。板構造は多数の板1−7から成り、各板は図2に示すように相互に積み重ねる。各板は、貫通孔すなわち空隙の形の1つ以上のカットアウト8−14を有する。1枚以上の板は9、11、13のような導波管の形の孔を備え、1枚以上の他の板1、3、5、7は第1の板1の中の孔8などの放射アパーチャ、または板3、5、7の中の空隙10、12、14などの接続アパーチャ、の形の孔を有する。放射アパーチャはアンテナ要素として作用し、接続アパーチャは他の層すなわち板との間で電力を接続する。
【0011】
導波管9、11、13を含む板2、4、6などのいくつかの板の厚さすなわち高さは、導波管を通して送信する電磁マイクロ波信号に良い条件を与えるような寸法にする。このように、板2、4、6の高さは導波管の高さを決定する。板の高さは、この例に示すように導波管の高さと同じでもよいし、または等しい空隙(すなわち、同じ形で同じ位置にある空隙)を持つ2枚以上の板を合わせて導波管空隙を形成してもよい。例えばスリットの形の接続アパーチャを持つ板3や5の厚さはかなり薄くてよい。
【0012】
板は、金属、導電性非金属材料、導電性外層を持つ非導電性コアの形、などで製作してよい。空隙8−14は低コストの機械的または化学的工程、例えば打抜き、レーザ切抜き、油圧切抜き、フライス削りなどの切抜き工程や、エッチング(化学的)などで製作する。これらの工程により、空隙毎に第1の型の限界面を各板内に形成する。限界面は空隙8−14の回りに延びる端面16の形で各板の主平面15に対して横方向に延びる。空隙8−14は板1−7の片側17、19から反対側18に、図に示す例ではこれらの側に対して直角に、延びる。図に示す例では、板は長方形の(より正確には直角の)の平行六面体であって、幅および長さに対して厚さすなわち高さが小さい。しかし、板は別の寸法または別の形(例えば、丸形)でもよい。
【0013】
各板の側面17、18、19は互いに平行で、主として平らである。ほとんどの板の端面16(したがって空隙8−14)は、特定の位置と長さ(すなわち外形)を有する。アンテナ構造は、並列フィードおよび直列フィードの放射要素の組合せとの間でフィードするフィード網すなわち分配網を備え、これにより全ての空隙は互いに直接または間接に連結する。アンテナ構造は相反的である。すなわち、マイクロ波の送信と受信の両方に用いることができる。
【0014】
板1−7をアルミニウムやポリマーなどの材料で製作するとき、にかわ、はんだなどの固着剤を接着させるために、少なくとも互いに固着させる側面18、19を例えば銀で表面処理するとよい。
【0015】
本発明では板1−7を互いに固着させて、隣接する板の間の接合部23の導電性を良くする。この接合部を形成するには、板を重ねる前に、予定した空隙のまわりに例えばはんだを付け、板の側面を互いに接触させて互いに積み重ねた後、組み立てた板構造をはんだ付け炉に入れて板の中の金属にはんだを接着させる。互いに固着させるには、他の方法で導電接合部を形成してもよい。例えば金属含有量の高い接着膜や、板の間に溶け込む融剤を用いない薄い金属層などで形成してもよい。
【0016】
板を組み立てると、特定の位置と長さ(すなわち、空隙8−14の外形)により空隙の最終限界が決まる。図2に詳しく示すように、中間板を囲む板(例えば、板2を囲む板1と3)の隣接する側面18と19は、中間板2内の孔9のもう1つの型の限界面を形成する。このように、端面16と周囲板の側面部により孔9を限定する。板の相互の位置は、例えば孔21内のガイドピンなどのガイドにより、製作工程中に確定する。
上の例に示す主として同じ大きさの板の他に、完成された装置内の他の構成要素(マイクロ波送信機または受信機など)と連結するための接続片22がある。
【0017】
図3は、多数の放射アパーチャ108という改善された並列フィードを持つアンテナ構造の第2の例を示す。第1の分配導波管113を持つ接続片122の他に、3枚の板101、102、103がある。第1の板103はフィード・アパーチャ110を含み、第2の板102はフィード・アパーチャ110の数に対応する多数の分岐分配波導体109を含む。この分岐分配波導体109は全ての放射アパーチャ101にフィードする。
【0018】
導波管装置を製作する方法を要約すると次のようになる。多数の板を例えば穿孔工程により機械的または化学的に処理して、板毎に選択された位置と外形を有する貫通孔の形のカットアウトを作る。孔をあけた板を所定の相対位置で結合して積み重ね、少なくとも板の全てまたは一部の面の上の孔の回りを導電性の固着剤で固着させ、最終空隙を形成する限界面により孔を最終的に形成する。これにより、空隙内の全ての面(端面16も)は導電面になり、各空隙内に連続的なまたは閉じた導電面を形成する。
【0019】
図4は、アパーチャ板301、303、305、307と導波管板302、304、306、307’を結合した形の、多くのレベルの並列分配網を持つ非常に複雑なアンテナ構造の例を示す。このアンテナ構造は、非常にコンパクトな構造を用いて、外側アパーチャ板301内でアンテナ要素を形成する多数の放射アパーチャ308に対してマイクロ波信号を高度に分配することができる。
【0020】
図5−9は、異なる導波管511、611、711、811、911と放射アパーチャ908を製作する種々の例を示す。図5に係る実施の形態では、導波管511は少なくとも断面が同じカットアウトを持つ2枚の導波管板504a、504bと2枚の周囲板503、505で製作する。同様に導波管611は2枚の導波管板604a、604bで製作するが、カットアウトは同じでなく、底の導波管の幅の方が大きい。図7に係る導波管711は、突出部725を持ついわゆる「リッジ」導波管として製作する。突出部725は、紙面に対して横方向に導波管の長さ全体にまたは部分的に延びる。突出部は、例えば導波管板704bの一部を用いて形成してよい。図8の導波管811は同様の「リッジ」型導波管であるが、突出部825は1つの周囲板805を部分的に変形して形成する。同様にして、いくつかの板を部分的に変形することにより、反射調整や波導体の送信特性に対する別の変更を行うことができる。図9では放射アパーチャ908は円錐形であって、一列に配列されたカットアウトの大きさが段階的に大きくなっている多数の導波管板902a、902b、902c、902dによって、アパーチャの開口をアンテナ構造から外に向かって拡げるように形成する。
【0021】
図10は、構造内の外板であるアパーチャ板1001の中の放射アパーチャ1008にバッフル1026、1027を取り付けたアンテナ構造の例を示す。これは多数の導波管板と中間アパーチャ板から成り、これらは上に述べた任意のアンテナと同じ構造でよい。しかし簡単のために、図10には外板の中の、放射アパーチャ1008以外の孔は示していない。図に示す例では、バッフルは導電材料の、または少なくともアンテナの放射特性に影響を与える導電面の、角度をつけた金属板で製作する。波形などの特殊な形状の部分1028を用いたりエッジ部1029を外向きに曲げたりすることにより、望ましくないエッジ現象を打ち消し、またビームの形を変えることができる。
【0022】
上に述べた製作方法により、帯域幅を改善したり内蔵するフィード網内のオプションを増やしたりするのに用いられる複雑なアンテナ構造を製作することができる。例えば、スリット導波管アンテナの中のスリットに並列フィードして帯域幅をかなり改善することができる。改善された直列フィードの代わりに並列フィードを行うことにより異なる励振を選択して、異なるスリットの振幅および/または位相を変えることができる。これを用いることにより、アンテナの放射特性を従来より大幅に変えることができる。これを用いて副ビーム・レベルを減らし、ビームを拡げ、また必要な形をビームに与えることさえできる。更に、この製作方法により直交偏波を小さくすることができる。
【0023】
本発明に係る製作方法を用いると、垂直偏波アンテナを製作するときに更に利点がある。すなわち、いわゆるエッジ・スリットの代わりに共用並列スリット(例えば、縦スリット)を用いて、優れた直交偏波特性を得ることができる。
【0024】
本発明に係るアンテナ構造は導波管構造を形成する。すなわち、連続的または閉じた輪郭を持つ断面を有し、連続的または閉じた導電面を形成し、実質的に非導電空間を形成し、空隙を形成し、導電体は一切含まない。前記空隙は空気またはその他のガスを含んでよいが、実質的に非導電材料で完全にまたは部分的に満たしてもよい。
【0025】
本発明は上に説明しまた図に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で変えることができる。例えば、板の数や結合は3枚、4枚、5枚またはそれ以上でもよい。例えば、板は別の寸法でもよい。また外形と孔の位置は大幅に異なってよい。
【0026】
アンテナ構造は、無線リンク・アンテナ、自動目標追跡アンテナ、レーダ・アンテナ、衛星通信用アンテナなど、多くの応用に適している。離散的な形なので、アンテナを周囲に適合させなければならないという要求がある環境では特に適している。アパーチャと導波管の形の空隙は種々の異なる形と大きさにすることができる。例えば、電気絶縁板はエッジ部の高さが非常に低いアパーチャを持つ導電層にすることができる。
【図面の簡単な説明】
本発明について、好ましい実施の形態の例を用いて、また添付の図面を参照して詳細に説明する。
【図1】 本発明に係る、第1の実施の形態のアンテナ構造の組立分解図を示す。
【図2】 組み立てられたアンテナ構造の断面を示す。
【図3】 本発明に係る、第2の実施の形態のアンテナ構造の組立分解図を示す。
【図4】 本発明に係る、第3の実施の形態のアンテナ構造の組立分解図を示す。
【図5】 本発明に係るアンテナ構造の、異なる組立て法のいくつかの断面を示す。
【図6】 本発明に係るアンテナ構造の、異なる組立て法のいくつかの断面を示す。
【図7】 本発明に係るアンテナ構造の、異なる組立て法のいくつかの断面を示す。
【図8】 本発明に係るアンテナ構造の、異なる組立て法のいくつかの断面を示す。
【図9】 本発明に係るアンテナ構造の、異なる組立て法のいくつかの断面を示す。
【図10】 バッフルを備えるアンテナ構造の一例の断面を示す。

Claims (16)

  1. 電磁マイクロ波信号の送信および処理用のアンテナ構造製造方法であって、
    a)少なくとも3つの導電性の板(1−7/101−103)それぞれに、機械的処理または化学的処理により孔をあける工程を備え、これにより、各板の主平面(15)上に各板毎に定められた位置に各板毎に定められた長さで、各板の一方の側面から他方の側面までの長さを有する導電性の端面からなる貫通孔(8−14/108−110)が複数形成された切り欠き部を生成し、
    b)前記複数の貫通孔が定められた相対位置に配され、かつ少なくとも前記端面周りにおいて互いに前記板の側面が導電的に固定されるように、前記板を積み重ねる工程を備え、これにより、前記貫通孔は、導電性の端面を有する空隙を形成し、前記端面と該空隙に面する他の板(503、505)の側面の一部とにより形成される該空隙は、アパーチャと空隙導波管を形成することを特徴とする製造方法。
  2. 前記板について、少なくとも前記積み重ねられるべき側面(18、19)を表面処理する工程と、特定の板(1−7/101−103)の少なくとも一方の側面に固着剤を固着させることにより、互いに固定する工程とを備えることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記互いに固定する工程は、はんだ付けにより実行されることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記互いに固定する工程は接着剤により実行されることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
  5. 電磁マイクロ波信号の送信および処理用の分配網を含むアンテナ構造であって、
    板構造として構成され、該板構造には、切り欠き部が設けられ、少なくとも1枚の中間導電板を含み、該中間導電板の外側側面には、周囲導電板(1−7/101−103)が配され該周囲導電板の内側側面は、中間導電板一方の外側側面または他方の外側側面と接触しており、前記切り欠き部は、空隙を形成する複数の貫通孔から構成され、該空隙は、各貫通孔の第1の境界面を形成する導電性の端面(16)を有し、前記貫通孔は、各板の主平面(15)内において、各板毎に定められた位置に各板毎に定められた長さで延び、かつ各板の一方の側面(18)から他方の側面(19)まで延びており、中間導電板内の空隙に、その側面の一部が面する少なくとも2枚の前記周囲導電板が、少なくとも1枚の前記中間導電板内の前記空隙に対して、第2の境界面を形成し、該中間導電板及び該周囲導電板は、アパーチャ(8/108)と空隙導波管(9/109)を形成することを特徴とするアンテナ構造
  6. 前記空隙(108−110)導波管は、空隙を形成する連続的な導電面を有することを特徴とする請求項5に記載のアンテナ構造体
  7. 前記板(1−7)の数は、5枚以上であることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ構造
  8. 1枚以上の板(1、3、5、7/101、103)にアパーチャ型のみの空隙(8、10、12、14/108、110)を設け他の板(2、4、6/102)に導波管型のみの空隙(9、11、13/109)を設けることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ構造
  9. 少なくとも外板(1、7)は共にアパーチャ型のみの空隙(8、14)を有することを特徴とする請求項8に記載のアンテナ構造
  10. 1枚の外板(1)は放射要素の形のアパーチャ(8)を有することを特徴とする請求項9に記載のアンテナ構造
  11. 前記アンテナ構造放射アパーチャ(8)に電磁マイクロ波信号を並列フィードするための分配網を含むことを特徴とする請求項10に記載のアンテナ構造
  12. 前記アンテナ構造放射アパーチャ(8)から電磁マイクロ波信号を単一偏波放射することを特徴とする請求項11に記載のアンテナ構造
  13. 1つ以上の導波管(511/611/711)を2枚以上の積重ね板(504a、504b/604a、604b/704b)の中の空隙で形成することを特徴とする請求項5に記載のアンテナ構造
  14. 少なくとも1つの空隙(711/825)は前記孔に「リッジ」導波管の性質を与える突出部(725/825)を有することを特徴とする請求項5に記載のアンテナ構造
  15. 少なくとも前記空隙(711/811)の1つには、送信特性を変えるための突出部が、局所的に設けられていることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ構造
  16. 前記放射アパーチャ(908)を1つ以上の空隙で形成することを特徴とする請求項10に記載のアンテナ構造
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