JP4172914B2 - ガス・蒸気複合タービン設備 - Google Patents
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Description
本発明は、ガスタービンに廃熱ボイラが後置接続され、この廃熱ボイラの加熱器が蒸気タービンの水・蒸気回路に接続されているガス・蒸気複合タービン設備に関する。
【0002】
ガス・蒸気複合タービン設備の場合、ガスタービンからの膨張した作動媒体あるいは煙道ガスに含まれる熱は、蒸気タービン用の蒸気を発生するために利用される。その際の熱伝達はガスタービンに後置接続された廃熱ボイラで行われる。この廃熱ボイラには管あるいは管束の形をした複数の加熱器が配置され、これらの加熱器は蒸気タービンの水・蒸気回路に挿入接続されている。この水・蒸気回路は通常複数(例えば2つ)の圧力段を有し、その各圧力段は通常、給水加熱器および蒸発器を有している。
【0003】
このようなガスタービン設備のガスタービンにおいて通常タービン翼を冷却する必要がある。これは特に、ガスタービンへの作動媒体の入口温度のためにタービン翼が特に大きな熱負荷を受ける場合である。
【0004】
タービン翼を冷却するために、ガスタービン設備の圧縮機の下流から空気が取り出される。空気圧縮機での空気の圧縮によって、その空気はかなり加熱される。このためにガスタービンのタービン翼の十分な冷却を保証するためには、取り出された圧縮空気を冷却する必要がある。この冷却のために、圧縮空気が加熱媒体として供給される熱交換器が設けられる。この熱交換器は二次側が蒸発器として形成され、圧縮空気内に含まれる熱を回収するために蒸気タービンの水・蒸気回路に接続されている。
【0005】
その蒸発器から水・蒸気混合物を廃熱ボイラに搬送する間に、二相混合物の分離が生じないように注意しなければならない。二相混合物の分離が生ずると、復水の逆流が生じてしまう。この復水の逆流は配管内における復水衝撃を引き起し、このために構成要素を損傷してしまうことがある。
【0006】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式のガス・蒸気複合タービン設備を、蒸発器から水・蒸気混合物を廃熱ボイラに搬送する間における二相混合物の分離が、特に安価な技術的経費で、特に確実に防止されるように改良することにある。
【0007】
この課題は冒頭に述べた形式のガス・蒸気複合タービン設備において本発明に基づいて、ガスタービンに、そのタービン翼を冷却するために導入すべき冷却空気が加熱媒体として蒸発器を介して導入され、この蒸発器の二次側が水・蒸気回路に接続され、蒸気出口側が蒸気集合室に開口し、この蒸気集合室が蒸気側を並列接続された多数の供給管を介して気水分離ドラムに接続され、蒸気集合室が多数の仕切り板の配置によって形成された多数の互いに連通している部分空間を有し、各部分空間にそれぞれ供給管が付設されていることによって解決される。この本発明に基づく形態において、蒸気集合室内に存在する水・蒸気混合物は個々の供給管に特に一様に導入される。
【0008】
本発明は、水・蒸気混合物が圧力に関係して所定の流速を下回ったときに、二相混合物の分離が生ずるという考えから出発している。二相混合物の限界速度以下において二相混合物の分離が生ずる。この限界速度は二相混合物が通流する管の内径に左右される。その内径が比較的小さいとき、二相混合物の分離が生ずることなしに比較的大きな流速が得られるが、他方ではその流量がこの供給管によって制限される。この両条件を満足するために、比較的小さな内径の多数の供給管が並列接続されている。その各供給管に一様に供給することを保証しなければならない。各供給管への蒸気の一様な供給は、各供給管にほぼ同じ蒸気量が送られ且つ蒸気集合室の供給管への入口範囲にほぼ同じ圧力がかかっているときに、保証される。このために、蒸気集合室は多数の互いに連通する部分空間を有し、各部分空間に供給管が付設されている。
【0009】
膨大な実験で明らかになっているように、水・蒸気・混合物の流速の特に有効な下限値は35m/sであり、これを下回ってはならない。即ちこの限界値以上において、圧力損失、浸食および腐食の危険、二相混合物分離の確実な防止は、特に釣合った状態にある。そのために供給管の数および内径が、ガス・蒸気複合タービン設備の全運転状態においてその供給管内を流れる水・蒸気・混合物が35m/sの流速を下回らないように設計されていると有利である。
【0010】
気水分離ドラムの入口側および出口側が水・蒸気循環路を形成するために廃熱ボイラ内に配置された蒸発器に接続されていると有利である。
【0011】
本発明によって得られる利点は特に、蒸気集合室の各部分空間にそれぞれ供給管が付設され、これらの供給管が並列接続されていることによって、水・蒸気混合物が蒸発器から廃熱ボイラに搬送される間の二相混合物の分離が特に確実に防止されることにある。これによって、対応した構成要素の損傷が確実に防止されるので、ガス・蒸気複合タービン設備は特に長い寿命を有する。更にタービン翼を冷却するために用いられた空気に含まれる熱エネルギを、ガス・蒸気複合タービン設備の蒸気発生プロセスに特に有利に戻すことができる。
【0012】
以下において図を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。各図において同一部分には同一符号が付されている。
【0013】
図1に概略的に示されているガス・蒸気複合タービン設備2はガスタービン設備2aおよび蒸気タービン設備2bを有している。ガスタービン設備2aは空気圧縮機6が連結されたガスタービン4を有している。その空気圧縮機6は入口側が空気Lの吸込み管8に接続されている。ガスタービン4に作動媒体AMの供給管10を介して燃焼室12が前置接続され、この燃焼室12は空気圧縮機6の主空気管14に接続されている。ガスタービン4の燃焼室12に燃料Bの供給管16が開口している。ガスタービン4、空気圧縮機6および発電機18は共通の軸20に固定されている。
【0014】
蒸気タービン設備2bは発電機24が連結された蒸気タービン22を有し、更にその水・蒸気回路26において蒸気タービン22に後置接続された復水器28および廃熱ボイラ30を有している。蒸気タービン22は第1圧力段あるいは高圧部22a、第2圧力段あるいは中圧部22bおよび第3圧力段あるいは低圧部22cから成り、これらの圧力段は共通の軸32を介して発電機24を駆動する。
【0015】
ガスタービン4で膨張した作動媒体AM′あるいは煙道ガスを廃熱ボイラ30に導入するために、排気管34が廃熱ボイラ30の入口30aに接続されている。ガスタービン4からの膨張した作動媒体AM′は廃熱ボイラ30からその出口30bを通って煙突(図示せず)に向かって流れ出る。
【0016】
廃熱ボイラ30は水・蒸気回路26の第1圧力段あるいは高圧段における高圧給水加熱器あるいはエコノマイザ36を有し、これは気水分離ドラム38に接続されている。気水分離ドラム38は廃熱ボイラ30内に配置された蒸発器40に水・蒸気循環路42を形成するために接続されている。気水分離ドラム38は主蒸気Fを排出するために廃熱ボイラ30内に配置された高圧過熱器44に接続されている。この高圧過熱器44は出口側が蒸気タービン22の高圧部22aの蒸気入口46に接続されている。
【0017】
蒸気タービン22の高圧部22aの蒸気出口48は蒸気管50を介して再熱器52に接続されている。この再熱器52の出口54は蒸気管56を介して蒸気タービン22の中圧部22bの蒸気入口58に接続されている。中圧部22bの蒸気出口60はオーバフロー管62を介して蒸気タービン22の低圧部22cの蒸気入口64に接続されている。蒸気タービン22の低圧部22cの蒸気出口66は蒸気管68を介して復水器28に接続されている。この復水器28は、給水タンク72および給水ポンプ74が挿入接続されている給水管70を介してエコノマイザ36に接続され、これによって水・蒸気回路26が形成されている。
【0018】
従って図1の実施例には水・蒸気回路26の第1圧力段しか詳細に示されていない。しかし廃熱ボイラ30には、それぞれ水・蒸気回路26の中圧段あるいは低圧段に付設された別の複数の加熱器(図示せず)も配置されている。それらの加熱器は適当な方式で蒸気タービン22の中圧部22bの蒸気入口58あるいは蒸気タービン22の低圧部22cの蒸気入口60に接続されている。
【0019】
ガスタービン設備2aのガスタービン4はタービン翼冷却装置を備えている。ガスタービン4の被冷却タービン翼に冷却空気L″が供給される。そのために空気圧縮機6の主空気管14から圧縮空気L′の空気管76が分岐し、この圧縮空気管76は蒸発器78に開口している。蒸発器78は出口側が冷却空気管80を介してガスタービン4に接続されている。
【0020】
蒸発器78は二次側が蒸気タービン設備2bの水・蒸気回路26に接続されている。そのために蒸発器78は入口側が給水管82を介して給水タンク72に接続されている。蒸発器78の蒸気出口側に蒸気集合室84が接続されている。この蒸気集合室84は多数の供給管86を介して気水分離ドラム38に接続されている。
【0021】
図2に詳細に示されている蒸気集合室84は仕切り板88によって多数の互いに連通されている部分空間90に分割されている。蒸気集合室84は入口側が蒸発器78の多数の蒸発管92に接続されている。蒸気集合室84は出口側が多数の供給管86に接続されている。蒸気集合室84の部分空間90にそれぞれ供給管86が付設されている。
【0022】
ガスタービン4のタービン翼冷却に必要な空気Lは空気吸込み管8を介して空気圧縮機6に導かれ、空気圧縮機6の出口側における主空気管14から取り出される。しかし圧縮空気L′はタービン翼の冷却に対しては高温過ぎる。そのために圧縮空気L′を冷却する必要がある。この冷却は蒸発器78において行われる。冷却済み空気L″は空気管80を介してガスタービン4にそのタービン翼を冷却するために導入される。
【0023】
その冷却で生じた熱は蒸気タービン設備2bの水・蒸気回路26に導入される。このために給水が給水タンク72から給水管82を介して蒸発器78に導入される。この給水は蒸発器78において圧縮空気L′の冷却によって部分的に蒸発される。その際に蒸発器78で生じた水・蒸気混合物は多数の供給管86を介して気水分離ドラム38に導入される。水・蒸気混合物を蒸発器78から気水分離ドラム38に搬送する間に二相混合物の分離が生じないようにするために、供給管86は二相混合物の流速が35m/sを下回らないことを保証する管内径diを有している。更に供給管86と蒸発器78との間に蒸気集合室84が接続されている。この蒸気集合室84は仕切り板88によって多数の互いに連通している部分空間90に分割されている。これらの各部分空間90はほぼ同じ圧力を有している。各部分空間90にそれぞれ供給管86が付設されている。これによって各供給管86に水・蒸気混合物が特に一様に供給されることが保証される。
【0024】
供給管86と蒸発器78との間に蒸気集合室86を挿入接続することによって、水・蒸気混合物を蒸発器78から気水分離ドラム38に搬送する間に二相混合物の分離が生じないことが、特に安価な技術的経費で保証される。これによって個々の構成要素の損傷が特に確実に防止されるので、ガス・蒸気複合タービン設備2は特に長い寿命を有する。またガス・蒸気複合タービン設備内で生ずる熱の特に有効利用が保証される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に基づくガス・蒸気複合タービン設備の概略系統図。
【図2】 図1における蒸気集合室の概略構成図。
【符号の説明】
2 ガス・蒸気複合タービン設備
4 ガスタービン
22 蒸気タービン
26 水・蒸気回路
30 廃熱ボイラ
78 蒸発器
84 蒸気集合室
86 供給管
88 仕切り板
90 部分空間
Claims (3)
- ガスタービン(4)に廃熱ボイラ(30)が後置接続され、この廃熱ボイラ(30)の加熱器が蒸気タービン(22)の水・蒸気回路(26)に接続されているガス・蒸気複合タービン設備(2)において、ガスタービン(4)に、そのタービン翼を冷却するために導入すべき冷却空気(L″)が蒸発器(78)を介して導入され、この蒸発器(78)の二次側が水・蒸気回路(26)に接続され蒸気出口側が蒸気集合室(84)に開口し、この蒸気集合室(84)が蒸気側を並列接続された多数の供給管(86)を介して気水分離ドラム(38)に接続され、蒸気集合室(84)が多数の仕切り板(88)の配置によって形成された多数の互いに連通している部分空間(90)を有し、各部分空間(90)にそれぞれ供給管(86)が付設されているガス・蒸気複合タービン設備。
- 供給管(86)の数および内径(di)が、ガス・蒸気複合タービン設備(2)の全運転状態においてその供給管内を流れる水・蒸気混合物が35m/sの流速を下回らないように設計されている請求項1記載のガス・蒸気複合タービン設備。
- 気水分離ドラム(38)が水・蒸気循環路(42)を形成するために廃熱ボイラ(30)内に配置された蒸発器(40)に接続されている請求項1又は2記載のガス・蒸気複合タービン設備。
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