JP4172748B2 - 水力機械のガイドベーン操作装置およびガイドベーン操作方法 - Google Patents

水力機械のガイドベーン操作装置およびガイドベーン操作方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水力機械のガイドベーンの開閉操作を行う水力機械のガイドベーン操作装置およびガイドベーン操作方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
一般的な水力機械においては、上池からの水がランナへ流入する入口部付近に複数のガイドベーンが設けられており、これらの開度を任意に調節することで水力機械の回転数を制御している。これらの複数のガイドベーンはそれぞれリンク機構によって接続されており、このリンク機構とつながるサーボモータを作動させることで、全てのガイドベーンが一斉に同じ開度に調節されるよう構成されている。サーボモータには大きく分けると油圧式および電動式の2種類があり、最近では、メンテナンス性等の利点が大きい電動式のサーボモータを小型の水力機械に対して適用する例も見られるが、大型の水力機械などにおいては通常油圧式サーボモータが用いられることが多い。
図8に従来の油圧式のサーボモータによるガイドベーンの操作装置の概略模式図を示す。
サーボモータ1は油圧式ピストン2とこれに接続されたピストンロッド3、および、これらを収納するシリンダ4からなり、シリンダ4内は油圧式ピストン2によって開側シリンダ室4a,閉側シリンダ室4bに仕切られている。そして、開側シリンダ室4aおよび閉側シリンダ室4b内の油圧を調整し、圧油の出し入れを行うことによって油圧式ピストン2およびピストンロッド3が直線運動を行う。そして油圧式ピストン2およびピストンロッド3は、水車5に設けられたガイドベーン6とリンク機構により接続されている。すなわち、サーボモータ1の油圧式ピストン2を動作させる(以下単に、「サーボモータ1を動作させる」とも言う)ことにより、ガイドベーン6の開度が調整され、水車5のランナ7およびこれと直結した発電機8の回転速度が調整される。ここで、図8においては、油圧式ピストン2とガイドベーン6の動作は、開側シリンダ室4aに圧油が流入しシリンダ室閉側4bから圧油が排出される場合に油圧式ピストン2が図の右方向に動いてガイドベーン6が開動作し、閉側シリンダ室4bに圧油が流入し開側シリンダ室4aから圧油が排出される場合は油圧式ピストン2が図の左方向に動いてガイドベーン6が閉動作するようになっている。
【0003】
また、水車5には、ランナ7およびこれに直結した発電機8の回転数を速度信号として検出する速度検出手段として、回転軸に歯車10が取り付けられ、電磁ピックアップ11が歯車の回転数を電気信号として検出し、これを速度信号として出力している。
次に、サーボモータ1を動作させるために設けられた種々の油圧制御弁の動作について述べる。
圧油タンク20には、高圧の油(以下、「圧油」と記す。)が貯められるとともに、この圧油の流路となる油管が接続されている。そして圧油は油管を通じて各油圧制御弁に導かれており、これらの油圧制御弁の切換によって最終的にサーボモータ1に圧油が供給されるよう構成されている。
サーボモータ1の開側シリンダ室4a、閉側シリンダ室4bには、圧油の出し入れを行うための油管である開側操作管30a、閉側操作管30bの一端がそれぞれ接続されている。そして、開側操作管30aおよび閉側操作管30bの他端は主配圧弁21に接続されている。主配圧弁21には、圧油タンク20より圧油が供給されるとともに、排油ポートが設けられており、圧油タンク20からの圧油を開側操作管30aもしくは閉側操作管30bへ供給するか、またはこれら全ての油管を閉塞させて開側シリンダ室4a、閉側シリンダ室4b、および圧油タンク20内の油圧を保持することができる。ここで、主配圧弁21はスプール弁などの開度調整の可能な切換弁であるのが普通である。
【0004】
主配圧弁21の弁体にはコントロールピストン22の一端が連結されており、主配圧弁21の開度調整はコントロールピストン22へ圧油を送ることによって行われる。そして、コントロールピストン22へ送られる圧油の制御は、パイロットバルブ23によって行う。すなわち、コントロールピストン22のシリンダの両端にはコントロールピストン開側操作管22aおよびコントロールピストン閉側操作管22bが取り付けられており、この2本の油管はパイロットバルブ23へ接続される構成となっている。
ここで、パイロットバルブ23も主配圧弁21同様、スプール弁などの開度調整の可能な切換弁であり、パイロットバルブ23の弁体と、各油管が接続されるポートとの隙間には、シートバルブ23aが挟まれている。このシートバルブ23aは変位することによって、各ポートの位置を上下させることに相当する作用を持つものであり、下部よりバネによって支持されている。さらに、コントロールピストン22の他端にはコントロールピストン22の変位に応じて動作するレターンアーム24が取り付けられており、レターンアーム24の一端は、パイロットパルブの上方に延伸され、前述したパイロットバルブ23のシートバルブ23aを上方から押さえつけるように構成されている。
【0005】
これらの、主配圧弁21、コントロールピストン22、パイロットバルブ23、シートバルブ23aおよびレターンアーム24の作用について以下に述べる。ガイドベーン6を開動作させる場合、開側シリンダ室4aに圧油を送ればよいので、パイロットバルブ23の弁体を上方に変位させて、コントロールピストン開側操作管22aからコントロールピストン22へ圧油を送り、コントロールピストン22とこれに連結された主配圧弁21の弁体を上方に変位させればよい。このとき、コントロールピストン22の変位に伴ってレターンアーム24も上方に変位し、これによってシートバルブ23aも上方に変位する。シートバルブ23aの変位は、パイロットバルブ23のポート位置を変位させることと同じ作用を有するため、シートバルブ23aが上方に変位するとパイロットバルブ23は中正位置に戻される。これによってパイロットバルブ23からコントロールピストン開側操作管22aへの圧油の流れが遮断され、コントロールピストン22および主配圧弁21は、そのときの開度で停止する。そして、このような作用によってガイドベーン6は必要量だけ変位し、その開度を保つことができるようになっている。つまり、レターンアーム24の動作は、パイロットバルブ23の弁体とシートバルブ23aの関係を中正位置に戻す復原運動を行わせるものであり、この復原量によってコントロールピストン22の動作量が決定される。
【0006】
上述したように、ランナ7および発電機8の回転数を調整するためのガイドベーン6の開度は、油圧によって制御されるが、最終的な制御対象である回転数は電気信号として検出されるので、この電気信号を油圧の信号に変換する必要が生じる。そして、前述の電磁ピックアップ11によって検出された速度信号を機械的な変位に変換する装置がコンバータ13である。次にコンバータ13の作用について述べる。
電磁ピックアップ11によって検出された速度信号は、レギュレータ12に入力される。レギュレータ12は、入力された速度信号とランナ7および発電機8の定格回転数との偏差を比較演算し、この偏差量に相応するアナログ信号をコンバータ13に出力する。
コンバータ13内には、図示しないが永久磁石とこの永久磁石による磁場の中に制御コイルが設けられており、制御コイルはコネクティングロッド13aに接続されている。そしてレギュレータ12からのアナログ信号は電流として制御コイルに流されることでコンバータスプリング13bからの反力とのバランスが崩れて、コネクティングロッド13aが変位する。そして、コネクティングロッド13aはパイロットバルブ23の弁体と接続されており、パイロットバルブ23は、コンバータ13が発生する機械的な変位によって操作される。
【0007】
また、これらのガイドベーン操作装置にはこれら以外に種々の安全装置などが設けられており、水力機械に異常が生じた際にも安全に停止ができるように構成されている。
急停止弁25は水車5のランナ7を緊急に停止させる際にガイドベーン6を強制的に閉鎖するための弁である。急停止弁25には弁体の変位に応じて変位するアーム25aが設けられており、このアーム25aはコネクティングロッド13aを上側から押さえつけられるように取り付けられている。すなわち、アーム25aは急停止弁25が上方に位置している場合はコネクティングロッド13aの変位を拘束しないが、急停止弁25が下側に最大変位した場合にコネクティングロッド13aおよびパイロットバルブ23を強制的に下方に押さえつけるようになっている。
そして、急停止弁25への油管には電磁弁26が設けられ、電磁弁26が励磁されると急停止弁25の下側に油圧が作用するように構成されている。この電磁弁26は通常運転時には励磁されており、急停止弁25は上側へ持ち上げられているが、水車5の異常によって図示しない保護継電器などが動作すると、電磁弁26の励磁が解かれ、バネの作用によって流路が切り換えられ、急停止弁25が下方に最大変位する。そして、アーム25aがコネクティングロッド3aおよびパイロットバルブ23を下方に強制的に最大変位させるので、ガイドベーン6は閉鎖方向へ最大変位する。
【0008】
また、例えば送電線への落雷等により瞬時に発電機8の負荷が遮断された場合、水車5のランナ7および発電機8の回転数は急速に上昇する。そして、この場合にも上述のようにガイドベーン6は閉鎖方向に最大変位することとなる。このようにガイドベーン6が最大変位で完全に閉鎖する場合、水車5に流れていた水流を急激に遮断することによって、水車5へ水を導く水圧鉄管などに水撃現象を生じることになる。このため、ガイドベーン操作装置にはガイドベーン6が最大変位で完全に閉鎖する直前に閉鎖速度を緩やかにする、つまりガイドベーン6を緩閉鎖させる機構が設けられている。
次にこのガイドベーン6の緩閉鎖について述べる。
主配圧弁21とサーボモータ1の開側シリンダ室4aとを接続する圧油流路の途中には緩閉鎖弁27と逆止弁28が並列に設けられており、この逆止弁28は主配圧弁21から開側シリンダ室4aへの流れが自由になる向きで配置されている。すなわち、ガイドベーン6の開操作の際には、緩閉鎖弁27をバイパスして主配圧弁21から開側シリンダ室4aへ圧油が自由に流入できるようになっている。
緩閉鎖弁27は圧油タンク20からの油圧によって動作する絞り弁である。そして、緩閉鎖弁27を動作させる圧油を圧油タンク20から供給する油管の途中には、緩閉鎖弁用配圧弁29が設けられている。この緩閉鎖弁用配圧弁29は、下部に設けられたカム40が回転することによって弁体がバネ力に抗して押し上げられ、これにより圧油流路を開くように切り替わって緩閉鎖弁27を動作させるものである。
【0009】
そして、カム40の回転中心はレターンシャフト41となっており、レターンシャフト41の他端には、2枚の扇形アーム42a,42bが略対向して設けられている。そして一方の扇形アーム42aにはワイヤ43aを介して重錘44が取り付けられており、他方の扇形アーム42bにも、ワイヤ43bが取り付けられている。そして、このワイヤ43bは複数のプーリ45を介してサーボモータ1のピストンロッド3に取り付けられている。すなわち、重錘44の作用により扇形アーム42bのワイヤ43bには常に張力が発生しており、サーボモータ1が動作してピストンロッド3が変位すると、その変位が扇形アーム42b,42aへとワイヤ43bを介して伝えられレターンシャフト41が回転してカム40も回転する。
ここで、サーボモータ1のピストンロッド3はガイドベーン6とリンクしているので、ピストンロッド3の変位はガイドベーン6の実開度を示している。すなわち、ワイヤ43a,43bおよび扇形アーム42a,42bによってガイドベーン6の実開度はレターンシャフト41およびカム40の回転角度の情報となり、これによって緩閉鎖弁27の動作が制御されている。つまり、図8に示したガイドベーン操作装置において、ガイドベーン6が閉鎖すると、油圧シリンダのピストンロッド3が図の左方向へ変位するが、ガイドベーン6の開度が予め定められたある開度になると、上述のワイヤ43b、扇形アーム42b、およびレターンシャフト41等の作用によってカム40が回転して緩閉鎖弁用配圧弁29を切り換え、緩閉鎖弁27が動作するようになっている。このとき、ガイドベーン6は閉動作中であるので、サーボモータ1の開側シリンダ室4a内の圧油が開側操作管30aを通って排出されているが、逆止弁28の作用によりこの圧油は全てが緩閉鎖弁27へ導かれてその流量を絞られる。従って油圧式ピストン2の動作は緩やかになり、ガイドベーン6が緩閉鎖する。よってこれらの作用により、サーボモータ1が最大変位でガイドベーン6を急閉鎖させた場合でも、ガイドベーンが全閉する手前で緩閉鎖させ、水車5へ水を導く水圧鉄管などに水撃現象が生じることを防いでいる。
【0010】
以上述べたように、水車5の回転速度の制御は、電磁ピックアップ11に検出された速度信号を機械的な変位に変換し、これを基に主配圧弁21、コントロールピストン22、パイロットバルブ23等の各油圧切換弁を制御してサーボモータ1を動作させ、これによってガイドベーン6の開度を調整することで行われており、さらに緊急停止時にガイドベーン6を強制的に閉鎖させる急停止弁25や、ガイドベーン6が最大変位で完全に閉鎖することを防ぐ緩閉鎖弁27などを適切に制御することによって安全に水車5を運転できるように構成されている。
しかし、主配圧弁21の制御を行う構成は非常に複雑な機構を用いているため価格が高価になる上、据付時の調整やオーバーホール時の再調整が煩雑であり長い時間を要することなどから、最近では、主配圧弁21の制御機構を簡素化するために、電気的な制御を行うものが提案されつつある。
このようなガイドベーン操作装置について図9を用いて説明する。なお、図9において図8と同じ構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図9に示したガイドベーン操作装置は、図8におけるパイロットバルブ23とコンバータ13を省略し、電気−油圧サーボ弁である主配圧サーボ弁15によってコントロールピストン22を動作させ、図8で示したレターンアーム24による復原動作に代わって、コントロールピストン22の変位を差動トランス50により検出し、この検出信号をレギュレータ12に入力して電磁ピックアップ11からの速度信号との比較演算を行い、主配圧サーボ弁15を制御する信号を出力するように構成したものである。
【0011】
主配圧サーボ弁15は、圧油タンク20からの圧油管と排油管が接続されており、レギュレータ12からの信号に対応する圧油をコントロールピストン22のコントロールピストン開側操作管22aへ送る。そして一方のコントロールピストン閉側操作管22bも圧油タンク20と接続されており、コントロールピストン22はコントロールピストン開側操作管22a内の圧油の発生する力とコントロールピストン閉側操作管22b内の圧油が発生する力とのバランスによってその変位が制御されている。
そして、コントロールピストン開側操作管22aの途中には、電磁弁である急停止弁16が設けられている。この急停止弁16は、緊急停止の際に励磁されることによってコントロールピストン開側操作管22aを排油管に接続して圧力を開放することで、コントロールピストン22を下方へ最大変位させ、これによってガイドベーン6を急閉鎖するものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、緩閉鎖弁27の制御機構は依然としてワイヤ43a,43bやレターンシャフト41、カム40を使用した上述の構成が用いられており、このため緩閉鎖弁27の制御機構については調整に長い時間を要するといった問題があった。
さらに、ワイヤ43a,43bには常に張力が発生しているが、水車5の運転中にはワイヤ43a,43bが振動を受けるため、最悪の場合ワイヤ43a,43bが切断されるなどの事態も起こる事が知られている。例えば特開平1−305166号公報には、ワイヤ43bが切断された場合でも緩閉鎖弁27を確実に作動させる技術が開示されているが、この技術によっても緩閉鎖弁27の動作のためには依然カム機構やアーム機構は必要であり、日常の点検保守を十分に行う必要がある。
また、従来の緩閉鎖弁27は緩閉鎖弁用配圧弁29の切換えによって絞り作用が生じるだけで、その絞り量の制御などは不可能であったため、ガイドベーン6がさまざまな閉鎖モードで閉鎖する場合でもガイドベーン6が設定されたガイドベーン開度以下になると常に同じように緩閉鎖弁27が動作するものであった。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、制御のための機構が簡素化でき、安価で調整に要する手間や時間が少なく、種々の運転モードに対しても柔軟な制御が可能なガイドベーン操作装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明においては、水力機械のガイドベーンを駆動する油圧式ピストンを有するサーボモータと、前記油圧式ピストンのシリンダへ圧油を送る配圧弁および、前記配圧弁と前記シリンダ間の前記圧油の流路途中に設けられ前記流路を通流する前記圧油の流量を絞る緩閉鎖弁を備える水力機械のガイドベーン操作装置において、前記緩閉鎖弁は電気−油圧サーボ弁によって油圧制御される可変絞り弁であり、前記電気−油圧サーボ弁と前記緩閉鎖弁の間に前記緩閉鎖弁の開度を強制的に予め定められた開度に設定することができる緩閉鎖弁閉鎖弁と、前記ガイドベーンの実開度を電気的なガイドベーン実開度情報として検出するガイドベーン開度検出手段と、前記緩閉鎖弁の実開度を電気的な緩閉鎖弁実開度情報として検出する緩閉鎖弁開度検出手段と、前記ガイドベーン実開度情報および前記緩閉鎖弁実開度情報に基づいて電気−油圧サーボ弁を駆動するサーボ弁制御信号を送出するサーボ弁制御手段と、を備え、前記サーボ弁制御手段は、ガイドベーン開度と緩閉鎖弁閉鎖目標値の関数である緩閉鎖弁閉鎖目標値特性を格納した緩閉鎖弁閉鎖目標値特性記憶部と、入力されたガイドベーン実開度情報および前記緩閉鎖弁閉鎖目標値特性に基いて緩閉鎖弁閉鎖目標値を出力する緩閉鎖弁閉鎖目標値設定部と、前記緩閉鎖弁閉鎖目標値と緩閉鎖弁実開度情報との偏差に基いてサーボ弁制御信号を発生させるサーボ弁制御信号出力部を備えることを特徴とする水力機械のガイドベーン操作装置を提供する。
また、本発明においては、水力機械のガイドベーンを駆動する油圧式ピストンを有するサーボモータと、前記油圧式ピストンのシリンダへ圧油を送る配圧弁および、前記配圧弁と前記シリンダ間の前記圧油の流路途中に設けられ前記流路を通流する前記圧油の流量を絞る緩閉鎖弁を備える水力機械のガイドベーン操作装置において、前記緩閉鎖弁は電気−油圧サーボ弁によって油圧制御される可変絞り弁であり、前記電気−油圧サーボ弁と前記緩閉鎖弁の間に前記緩閉鎖弁の開度を強制的に予め定められた開度に設定することができる緩閉鎖弁閉鎖弁と、前記ガイドベーンの実開度を電気的なガイドベーン実開度情報として検出するガイドベーン開度検出手段と、前記緩閉鎖弁の実開度を電気的な緩閉鎖弁実開度情報として検出する緩閉鎖弁開度検出手段と、前記ガイドベーン実開度情報および前記緩閉鎖弁実開度情報に基づいて電気−油圧サーボ弁を駆動するサーボ弁制御信号を送出するサーボ弁制御手段と、を備え、前記サーボ弁制御手段は、ガイドベーン閉鎖開始からの経過時間とガイドベーン開度予想値との関数であるガイドベーン閉鎖特性を基に、前記経過時間が入力されてこれに対応するガイドベーン開度予想値をガイドベーン閉鎖特性開度として出力するガイドベーン閉鎖特性記憶部と、ガイドベーン開度偏差閾値を格納するガイドベーン開度偏差閾値設定部と、前記ガイドベーン閉鎖特性開度と前記サーボ弁制御手段に入力されたガイドベーン実開度情報との偏差が前記ガイドベーン開度偏差閾値よりも大きいことを検出して停止時緩閉鎖制御異常を判定するガイドベーン開度偏差比較部を有することを特徴とする水力機械のガイドベーン操作装置を提供する。
また、本発明においては、油圧式ピストンを有するサーボモータと、前記油圧式ピストンのシリンダへ圧油を送る配圧弁と、前記配圧弁と前記シリンダ間の前記圧油の流路途中に設けられ前記流路を通流する前記圧油の流量を絞る緩閉鎖弁を備える水力機械のガイドベーン操作装置を用いたガイドベーン操作方法において、前記ガイドベーンの実開度を電気的なガイドベーン実開度情報として検出し、前記緩閉鎖弁を前記ガイドベーン実開度情報に基づいて油圧制御して任意開度とし、前記ガイドベーンの実開度を電気的なガイドベーン実開度情報として検出するとともに、緩閉鎖弁の開度を電気的な緩閉鎖弁実開度情報として検出し、前記ガイドベーン実開度情報と前記緩閉鎖弁実開度情報に基づいて電気−油圧サーボ弁を駆動するサーボ弁制御信号を前記電気−油圧サーボ弁に送出し、前記サーボ弁制御信号は、予め定められた緩閉鎖弁閉鎖目標値特性およびガイドベーン実開度情報より求められた緩閉鎖弁閉鎖目標値と緩閉鎖弁実開度情報との偏差に基づいて発せられることを特徴とする水力機械のガイドベーン操作方法を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る水力機械のガイドベーン操作装置の概略模式図を示す。なお、図1において、図8および図9に示した従来のガイドベーン操作装置と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本実施の形態においては、従来アーム機構やカム機構を用いてガイドベーンの開度を検出して制御していた緩閉鎖弁を、電気−油圧サーボ弁によって制御するような構成とした。
すなわち、図1において、緩閉鎖弁27は、緩閉鎖制御弁17の変位によってその開度が調整される可変絞り弁となっており、この緩閉鎖制御弁17は、緩閉鎖弁27と連結するピストンおよびこのピストンを収納するシリンダによって構成されている。
緩閉鎖制御弁17のシリンダ内はピストンによって上側シリンダ室と下側シリンダ室に隔てられており、下側シリンダ室には緩閉鎖制御弁開側操作管17aが接続され、上側シリンダ室には緩閉鎖制御弁閉側操作管17bが接続されている。そして、この緩閉鎖制御弁開側操作管17aは緩閉鎖弁閉鎖弁19を介して電気−油圧サーボ弁である緩閉鎖サーボ弁18に接続されており、緩閉鎖制御弁閉側操作管17bは圧油タンク20と連通するように接続されている。さらに、緩閉鎖サーボ弁18には、圧油タンク20からの油管が接続されるポートと排油管が接続される排油ポートが設けられている。さらに、信号線によってレギュレータ12と接続されており、レギュレータ12から制御信号を受けるようになっている。
【0018】
また、ピストンロッド3には油圧式ピストン2の変位を検出する差動トランス51が設けられ、同様に緩閉鎖制御弁17にはピストンの変位を検出する差動トランス52設けられている。そしてこれらの差動トランス51,52からの変位信号はレギュレータ12に入力される。すなわち、差動トランス51によって検出された変位信号に基きガイドベーン6の実開度情報が求められ、差動トランス52によって検出された変位信号に基いて緩閉鎖弁7の実開度情報が求められる。
つまり、本実施の形態においては、レギュレータ12が緩閉鎖サーボ弁18の制御手段としても作用するように構成されている。そしてレギュレータ12は、ガイドベーン6の実開度情報および緩閉鎖弁27の実開度情報を演算し、この結果に基いて緩閉鎖サーボ弁18に制御信号を出力する緩閉鎖弁制御部を有する。次に、この緩閉鎖弁制御部について、図2を参照して述べる。なお、図2においても、図1、図8および図9と同一の構成について同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図2は図1として示した本実施の形態のレギュレータ12内に設けられた緩閉鎖弁制御部のブロック図である。緩閉鎖弁制御部60には緩閉鎖弁閉鎖目標値特性記憶部71、緩閉鎖弁閉鎖目標値設定部72、加減算器73、および緩閉鎖サーボ弁制御信号出力部74が設けられており、ガイドベーン開度検出手段61にて検出されたガイドベーン実開度情報63および緩閉鎖弁開度検出手段62により検出された緩閉鎖弁実開度情報64が入力され、緩閉鎖サーボ弁制御信号65が出力される。ここで、本実施の形態におけるガイドベーン開度検出手段61は図1の差動トランス51およびこの差動トランス51によって検出される変位信号を時間積分するなどの処理を行ってガイドベーン実開度情報63を求めるレギュレータ12内の部分であり、緩閉鎖弁開度検出手段62は図1の差動トランス52およびこの差動トランス52によって検出される変位信号を時間積分するなどの処理を行って緩閉鎖弁実開度情報64を求めるレギュレータ12内の部分である。
【0019】
緩閉鎖弁閉鎖目標値特性記憶部71にはガイドベーン開度と緩閉鎖弁開度を対応付ける関数である緩閉鎖弁閉鎖目標値特性77が格納されており、緩閉鎖弁閉鎖目標値設定部72と接続されている。ガイドベーン実開度情報63は、緩閉鎖弁閉鎖目標設定部72へ入力され、緩閉鎖弁閉鎖目標値設定部72は、入力されたガイドベーン実開度情報63に基いて、緩閉鎖弁閉鎖目標値特性記憶部71内の緩閉鎖弁閉鎖目標値特性77を参照して緩閉鎖弁27の開度目標値を緩閉鎖弁閉鎖目標値75として出力する。出力された緩閉鎖弁閉鎖目標値75は加減算器73に入力される。加減算器73では緩閉鎖弁閉鎖目標値75と緩閉鎖弁実開度情報64との偏差を求め、これに緩閉鎖弁27や緩閉鎖制御弁17に機構的に働く閉方向への力を相殺させるための補正値バイアスを加算して緩閉鎖弁制御量76を求める。そしてこの緩閉鎖弁制御量76は緩閉鎖サーボ弁制御信号出力部74へ入力される。緩閉鎖サーボ弁制御信号出力部74は、入力された緩閉鎖弁制御量76に基いて緩閉鎖サーボ弁制御信号65を出力する。
そしてこの緩閉鎖サーボ弁制御信号65が図1におけるレギュレータ12の緩閉鎖制御部からの制御信号として緩閉鎖サーボ弁18へ出力され、緩閉鎖サーボ弁18が動作し、緩閉鎖弁27の開度が緩閉鎖弁閉鎖目標値75に近づくように変位する。ここで、緩閉鎖弁27の開度は、緩閉鎖弁開度検出手段62によって緩閉鎖弁実開度情報64として緩閉鎖弁制御部60内にフィードバックされるので、これらの構成によって緩閉鎖弁27は緩閉鎖弁実開度情報64と緩閉鎖弁閉鎖目標値75の偏差がなくなるように制御される。
【0020】
次に再び図1を参照して、これらの制御による緩閉鎖サーボ弁18および緩閉鎖弁27の動作について述べる。
図1においてレギュレータ12の緩閉鎖制御部からの制御信号が緩閉鎖サーボ弁18に出力されると、緩閉鎖サーボ弁18が変位する。これによって緩閉鎖サーボ弁18に接続された圧油タンク20からの油管と緩閉鎖制御弁開側操作管17aとの間の圧油流路が切り換わり、緩閉鎖制御弁17の下側シリンダ室内の油圧による力と緩閉鎖制御弁17の上側シリンダ室内の油圧による力とのバランスによって緩閉鎖制御弁17のピストンが変位し、このピストンに連結された緩閉鎖弁27の開度が調節される。
また、緩閉鎖制御弁開側操作管17aの途中に設けられた緩閉鎖弁閉鎖弁19は、緩閉鎖弁27の制御異常が生じた時などに緩閉鎖弁27を強制的に作動させるための電磁弁であり、通常運転時は図1のように緩閉鎖制御弁開側操作管17aを連通させている。そして、緩閉鎖弁27の制御異常や、ガイドベーン6が所定の開度に達しても緩閉鎖弁27が動作しないことなどが検出されると緩閉鎖弁閉鎖弁19が励磁され、緩閉鎖制御弁開側操作管17aを排油管に接続するように切り換える。緩閉鎖制御弁17の上側シリンダ室には圧油タンク20から圧油が供給されているので、この切り換えによって緩閉鎖制御弁17の下側シリンダ室内の圧油は排油され、緩閉鎖制御弁17は下側に最大変位する。従って緩閉鎖弁27が作動し、ガイドベーン6が緩閉鎖する。
【0021】
従って、本実施の形態を用いることで、従来カム機構やアーム機構を用いていた緩閉鎖弁27の制御機構を大幅に簡略化することができ、小型化、低コスト化が図れるとともに、保守性が大幅に向上し、現地据付調整やオーバーホール時の再調整などに要する期間の短縮が図れる。また、緩閉鎖弁27は可変絞り弁であり、その開度はレギュレータ12からの制御信号によって制御されることとなり、ガイドベーン6が最大変位で閉鎖する場合だけでなく、様々な運転モードに対応して任意の絞り量で動作させることができ、複雑な緩閉鎖特性が必要な場合でも緩閉鎖弁27を常にガイドベーン開度に応じた所定の開度となるように制御して適切な緩閉鎖特性を実現することができる。
さらに、本実施の形態は、図9に示した、主配圧弁21の切り換え制御を主配圧サーボ弁15によって行うものについても適用することができる。この場合を第1の実施の形態の変形例としてその概略模式図を図3に示す。なお、図3において、図1、図8、および図9と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図3に示したように、この変形例においては、主配圧サーボ弁15によってコントロールピストン22が制御され、これによって主配圧弁21の切り換えおよび開度調整が行われるとともに、緩閉鎖サーボ弁18によって緩閉鎖制御弁17が制御され、これによって緩閉鎖弁27の開度調整が行われるようになっている。
【0022】
また、コントロールピストン22、ピストンロッド3および緩閉鎖制御弁17にはそれぞれこれらのピストンの変位を検出する差動トランス50,51,52が取り付けられており、これらの差動トランス50,51,52にて検出された信号がレギュレータ12へと入力される構成となっている。
すなわち本変形例では、レギュレータ12は、電磁ピックアップ11が検出する速度信号やコントロールピストン22に設けられた差動トランス50の検出する変位信号等に基づいて主配圧サーボ弁15へ制御信号を出力する主配圧弁制御部と、差動トランス51の検出するピストンロッド3の変位によるガイドベーン6の実開度情報と差動トランス52が検出する緩閉鎖制御弁17の変位による緩閉鎖弁27の実開度情報に基づいて緩閉鎖弁27の開度を調整するための制御信号を緩閉鎖サーボ弁18へと出力する緩閉鎖弁制御部とから構成されるものである。この場合、主配圧弁制御部からの主配圧サーボ弁への制御信号を、差動トランス51の検出するピストンロッド3の変位によるガイドベーン実開度情報も参照して出力することも可能であり、この場合、差動トランス51の検出するピストンロッド3の変位は主配圧弁制御部および緩閉鎖弁制御部の両方へ入力されることとなる。
【0023】
このような構成とすることで、ガイドベーン操作装置から複雑な機構部をなくすことが可能であるので、調整や保守性の更なる向上を図ることができる。また例えば、主配圧弁21と緩閉鎖弁27を同一の胴殻内に設けることもできる。この場合、主配圧弁21および緩閉鎖弁27を近接して配置でき、これらの間を配管で接続する必要がないなど装置を更に小型化でき、低コストのガイドベーン操作装置を提供することが可能となる。
またこの変形例においては、主配圧弁21および緩閉鎖弁27はレギュレータ12からの制御信号によって制御されることとなるので、主配圧弁制御部と緩閉鎖弁制御部とを協調動作させて主配圧サーボ弁15および緩閉鎖サーボ弁18へ制御信号を出力させることができる。
図4は、水車5の急停止時などにガイドベーン6を急閉鎖する場合の時間経過とガイドベーン開度の関係を示すグラフの一例である。この例におけるガイドベーン6の閉鎖パターンは、ガイドベーン6をまずある開度まで急閉鎖させ、一旦その開度を保った後に更に閉鎖して全閉させるものである。このような複雑な閉鎖パターンを採用する場合でも、本変形例では主配圧弁21や緩閉鎖弁27を機構部によって制御しないため、レギュレータ12内の主配圧弁制御部と緩閉鎖弁制御部との簡単な電気的調整によってガイドベーン6の閉鎖パターンを設定することが可能となる。
【0024】
また、緩閉鎖弁27を全閉も可能な可変絞り弁とし、ガイドベーン6の閉鎖途中で緩閉鎖弁27を全閉にすれば開側シリンダ室4aから圧油が配圧弁21に流れなくなり、ガイドベーン6の開度をその位置で保つことができる。従って、このようにすると緩閉鎖弁27の制御のみによって図4の複雑な閉鎖パターンでガイドベーン6を閉鎖させることも可能である。
すなわち、本実施の形態およびその変形例を用いることで、緩閉鎖弁27を常にガイドベーン開度に応じた所定の開度となるように制御して適切な緩閉鎖特性を実現することができる。
次に本発明の第2の実施の形態を図5を用いて説明する。なお、図5において、図2と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図5は、本実施の形態における緩閉鎖弁制御部のブロック図である。ここで、緩閉鎖弁制御部60以外の構成は、図1および図3に示した第1の実施の形態と同様であるので、図面およびその詳細な説明を省略する。
図5に示すように本実施の形態は、緩閉鎖弁制御部60内の緩閉鎖弁閉鎖目標特性値記憶部71に、複数の緩閉鎖弁閉鎖目標値特性77a,77b,…が格納されており、運転状態や運用モードに応じた緩閉鎖弁閉鎖目標値特性77a,77b,…のうちの一つを任意に選択できるように構成したものである。
【0025】
すなわち、緩閉鎖弁閉鎖目標値特性記憶部71には切換器78が設けられており、この切換器78は運転状態や運用モードなどの条件の入力を受けて緩閉鎖弁閉鎖目標値特性77a,77b,…のうちの一つを選択し、これを緩閉鎖弁閉鎖目標値特性77として用いてガイドベーン実開度情報63に対応する緩閉鎖弁閉鎖目標値75を出力する。
ここで、切換器78は、例えば可逆式の水力機械における「揚水運転」もしくは「発電運転」といった運転モードによって緩閉鎖弁閉鎖目標値特性77a,77b,…を切り換えるようにすることができ、また、負荷遮断による急停止か、図1および図3に示した急停止弁26,16の動作による急停止かによって緩閉鎖弁閉鎖目標値特性77a,77b,…を切り換える構成としてもよい。
また、緊急停止信号などによって作動する図示しないタイマーを設け、このタイマーによって切換器78を動作させる構成としてもよい。このような構成とすると、ガイドベーン6をある開度まで急閉鎖し、その後一旦開いてから再び閉じるようなより複雑なガイドベーン閉鎖パターンを採用する場合でも、緩閉鎖弁27を必要な時だけ動作させることができる。
【0026】
さらに、ガイドベーンが開操作中であるか閉操作中であるかを切換器78に入力して緩閉鎖弁閉鎖目標値特性77a,77b,…の切り換えを行うようにすると、ガイドベーン開操作中には緩閉鎖弁27を作動させずに、閉操作中だけ作動するようにすることができる。そしてこの構成を採用すると、ガイドベーン開操作中に圧油が緩閉鎖弁27を通過するようにしてもその流量を絞られることはないので、図1および図3に示した、サーボモータ1の開側操作管30aの途中に緩閉鎖弁27と並列に設けられた逆止弁28を省略することができる。
したがって本実施の形態を用いると、第1の実施の形態で述べた効果の他に、水力機械の様々な運転モードや運用形態に応じて適切に緩閉鎖弁27を作動させることが可能になる。
次に、本発明の第3の実施の形態を図6を用いて説明する。なお、図6において、図2および図5と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図6は、本実施の形態における緩閉鎖弁制御部のブロック図である。ここで、緩閉鎖弁制御部60以外の構成は、図1および図3に示した第1の実施の形態と同様であるので、図面およびその詳細な説明を省略する。
【0027】
図6に示すように本実施の形態は、緩閉鎖弁制御部60内に、緩閉鎖弁閉鎖目標値75と緩閉鎖弁実開度情報63との偏差である緩閉鎖弁開度偏差80を緩閉鎖弁開度偏差閾値設定部81に予め設定された緩閉鎖弁開度偏差閾値82と比較する緩閉鎖弁開度偏差比較部79を設ける構成としたものである。
すなわち、本実施の形態においては、緩閉鎖弁閉鎖目標値設定部72において設定された緩閉鎖弁閉鎖目標値75は、加減算器73aに入力され、ここで緩閉鎖弁実開度情報64との偏差である緩閉鎖弁開度偏差80が求められる。ここで、この緩閉鎖弁開度偏差80は加減算器73bへ入力され、補正値バイアスが加算され緩閉鎖サーボ弁制御信号出力部74へ送られるとともに、緩閉鎖弁開度偏差比較部79へも入力されるようになっている。緩閉鎖弁開度偏差比較部79は、緩閉鎖弁開度偏差閾値設定部81に予め設定された緩閉鎖弁開度偏差閾値82を参照し、緩閉鎖弁開度偏差80が緩閉鎖弁開度偏差閾値82よりも大きい場合、タイマー83aを作動させる。そして、この状態が一定時間経過すると緩閉鎖弁制御異常と判定して緩閉鎖弁制御異常信号を発するとともに、図1および図3に示した緩閉鎖弁閉鎖弁19を励磁して緩閉鎖弁27を強制的に作動させる。
【0028】
このように、本実施の形態を用いると、緩閉鎖弁27の制御異常を確実に検出し外部に警報出力するとともに、緩閉鎖弁27を強制的に作動させることができる。また、この警報を運転員への対応要請信号として表示することで、早期の不適合対応が可能となる。
次に、本発明の第4の実施の形態を図7を用いて説明する。なお、図7において、図2、図5および図6と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図7は、本実施の形態における緩閉鎖弁制御部のブロック図である。ここで、緩閉鎖弁制御部60以外の構成は、図1および図3に示した第1の実施の形態と同様であるので、図面およびその詳細な説明を省略する。
図7に示すように本実施の形態は、緩閉鎖弁制御部60内に、ガイドベーン閉鎖時のガイドベーン閉鎖開始からの経過時間が入力されると対応するガイドベーン開度予想値をガイドベーン閉鎖特性開度84として出力するガイドベーン閉鎖特性記憶部85と、このガイドベーン閉鎖特性開度84とガイドベーン実開度情報63との偏差であるガイドベーン開度偏差86と予め定められたガイドベーン開度偏差閾値87とを比較するガイドベーン開度偏差比較部89を設けたものである。
【0029】
すなわち、本実施の形態において、ガイドベーン閉鎖特性記憶部85には、ガイドベーン閉鎖時のガイドベーン閉鎖開始からの経過時間とガイドベーン開度予想値との関数であるガイドベーン閉鎖特性が格納されている。そして、水車5が停止操作に入ると、その信号がガイドベーン閉鎖特性記憶部85へ入力され、これによって図示しない内蔵タイマーを作動させ、水車5の停止操作開始からの経過時間を求める。そしてガイドベーン閉鎖特性記憶部85は、この経過時間に対応するガイドベーン開度予想値をガイドベーン閉鎖特性を参照して求め、ガイドベーン閉鎖特性開度84として出力し、加減算器90へ入力する。
加減算器90には、ガイドベーン実開度情報63も入力されるようになっており、加減算器90へガイドベーン閉鎖特性開度84が入力されると、ガイドベーン実開度情報63との偏差であるガイドベーン開度偏差86が出力され、ガイドベーン開度偏差比較部89へ入力される。ガイドベーン開度偏差比較部89は、ガイドベーン開度偏差閾値設定部87に予め設定されたガイドベーン開度偏差閾値88を参照し、ガイドベーン開度偏差86がガイドベーン開度偏差閾値88より大きい場合にタイマー83bを作動させる。そして、この状態が一定時間経過すると停止時緩閉鎖弁制御異常と判定する。
【0030】
ここで、本実施の形態において、ガイドベーン閉鎖特性記憶部85は、複数の運転モードに対応するガイドベーン閉鎖特性を格納するように構成することも可能である。また、ガイドベーン閉鎖特性として、全回の水車停止時のガイドベーン閉鎖特性を格納しておき、これとの比較によって停止時緩閉鎖弁制御異常を判定するようにもできる。
停止時緩閉鎖弁制御異常は予定されているガイドベーン6の緩閉鎖特性に対して実際のガイドベーン6の閉鎖特性が追従しないことを示しており、ガイドベーン6の緩閉鎖特性への追従性を確認できる。従って本実施の形態を用いると、例えば水車5の経年変化などによりガイドベーン6が初期の緩閉鎖特性を持たなくなった場合であっても異常を検出することができる。よって、水車5を通常停止操作時によって停止する場合でも、ガイドベーン6の緩閉鎖特性が緊急時に安全に水車5を停止できるものとなっているかを確認できるため、機器の信頼性を大幅に向上させることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、安価で調整に要する手間や時間が少なく、種々の運転モードに対しても柔軟な制御が可能であり、安全性の高いガイドベーン操作装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るガイドベーン操作装置の概略模式図
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るガイドベーン操作装置の緩閉鎖弁制御部のブロック図
【図3】本発明の第1の実施の形態の変形例に係るガイドベーン操作装置の概略模式図
【図4】ガイドベーン急閉鎖時の経過時間とガイドベーン開度との関係を表すグラフ
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るガイドベーン操作装置の緩閉鎖弁制御部のブロック図
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るガイドベーン操作装置の緩閉鎖弁制御部のブロック図
【図7】本発明の第4の実施の形態に係るガイドベーン操作装置の緩閉鎖弁制御部のブロック図
【図8】従来のガイドベーン操作装置の概略模式図
【図9】従来のガイドベーン操作装置の概略模式図
【符号の説明】
1 サーボモータ
2 油圧式ピストン
3 ピストンロッド
4 シリンダ
4a 開側シリンダ室
4b 閉側シリンダ室
5 水車
6 ガイドベーン
7 ランナ
8 発電機
11 電磁ピックアップ
12 レギュレータ
13 コンバータ
15 主配圧サーボ弁
16,25 急停止弁
17 緩閉鎖制御弁
18 緩閉鎖サーボ弁
19 緩閉鎖弁閉鎖弁
20 圧油タンク
21 主配圧弁
22 コントロールピストン
23 パイロットバルブ
24 レターンアーム
27 緩閉鎖弁
28 逆止弁
29 緩閉鎖弁用配圧弁
40 カム
41 レターンシャフト
42a,42b 扇型アーム
43a,43b ワイヤ
44 重錘
45 プーリ
50,51、52 差動トランス
60 緩閉鎖弁制御部
61 ガイドベーン開度検出手段
62 緩閉鎖弁開度検出手段
63 ガイドベーン実開度情報
64 緩閉鎖弁実開度情報
65 緩閉鎖サーボ弁制御信号
71 緩閉鎖弁閉鎖目標値特性記憶部
72 緩閉鎖弁閉鎖目標値設定部
73,90 加減算器
74 緩閉鎖サーボ弁制御信号出力部
75 緩閉鎖弁閉鎖目標値
76 緩閉鎖弁制御量
77 緩閉鎖弁閉鎖目標値特性
78 切換器
79 緩閉鎖弁開度偏差比較部
80 緩閉鎖弁開度偏差
81 緩閉鎖弁開度偏差閾値設定部
82 緩閉鎖弁開度偏差閾値
84 ガイドベーン閉鎖特性開度
85 ガイドベーン閉鎖特性記憶部
86 ガイドベーン開度偏差
87 ガイドベーン開度偏差閾値設定部
88 ガイドベーン開度偏差閾値
89 ガイドベーン開度偏差比較部

Claims (8)

  1. 水力機械のガイドベーンを駆動する油圧式ピストンを有するサーボモータと、
    前記油圧式ピストンのシリンダへ圧油を送る配圧弁および、
    前記配圧弁と前記シリンダ間の前記圧油の流路途中に設けられ前記流路を通流する前記圧油の流量を絞る緩閉鎖弁を備える水力機械のガイドベーン操作装置において、
    前記緩閉鎖弁は電気−油圧サーボ弁によって油圧制御される可変絞り弁であり、
    前記電気−油圧サーボ弁と前記緩閉鎖弁の間に前記緩閉鎖弁の開度を強制的に予め定められた開度に設定することができる緩閉鎖弁閉鎖弁と、
    前記ガイドベーンの実開度を電気的なガイドベーン実開度情報として検出するガイドベーン開度検出手段と、
    前記緩閉鎖弁の実開度を電気的な緩閉鎖弁実開度情報として検出する緩閉鎖弁開度検出手段と、
    前記ガイドベーン実開度情報および前記緩閉鎖弁実開度情報に基づいて電気−油圧サーボ弁を駆動するサーボ弁制御信号を送出するサーボ弁制御手段と、
    を備え、
    前記サーボ弁制御手段は、
    ガイドベーン開度と緩閉鎖弁閉鎖目標値の関数である緩閉鎖弁閉鎖目標値特性を格納した緩閉鎖弁閉鎖目標値特性記憶部と、
    入力されたガイドベーン実開度情報および前記緩閉鎖弁閉鎖目標値特性に基いて緩閉鎖弁閉鎖目標値を出力する緩閉鎖弁閉鎖目標値設定部と、
    前記緩閉鎖弁閉鎖目標値と緩閉鎖弁実開度情報との偏差に基いてサーボ弁制御信号を発生させるサーボ弁制御信号出力部を備えることを特徴とする水力機械のガイドベーン操作装置。
  2. 請求項1に記載のガイドベーン操作装置において、
    前記緩閉鎖弁閉鎖目標値記憶部には複数の緩閉鎖弁閉鎖目標値特性が格納されており、
    水力機械の運転状態により前記複数の緩閉鎖弁閉鎖目標値特性のうちの一つを選択する切換手段を有することを特徴とする水力機械のガイドベーン操作装置。
  3. 請求項1または請求項2のいずれかに記載のガイドベーン操作装置において、
    前記サーボ弁制御手段は、
    緩閉鎖弁開度偏差閾値を格納する緩閉鎖弁開度偏差閾値設定部と、
    緩閉鎖弁閉鎖目標値特性記憶部に格納された緩閉鎖弁閉鎖目標値と緩閉鎖弁実開度情報との偏差が緩閉鎖弁開度偏差閾値よりも大きいことを検出して緩閉鎖弁制御異常を判定する緩閉鎖弁開度偏差比較部を備えることを特徴とする水力機械のガイドベーン操作装置。
  4. 水力機械のガイドベーンを駆動する油圧式ピストンを有するサーボモータと、
    前記油圧式ピストンのシリンダへ圧油を送る配圧弁および、
    前記配圧弁と前記シリンダ間の前記圧油の流路途中に設けられ前記流路を通流する前記圧油の流量を絞る緩閉鎖弁を備える水力機械のガイドベーン操作装置において、
    前記緩閉鎖弁は電気−油圧サーボ弁によって油圧制御される可変絞り弁であり、
    前記電気−油圧サーボ弁と前記緩閉鎖弁の間に前記緩閉鎖弁の開度を強制的に予め定められた開度に設定することができる緩閉鎖弁閉鎖弁と、
    前記ガイドベーンの実開度を電気的なガイドベーン実開度情報として検出するガイドベーン開度検出手段と、
    前記緩閉鎖弁の実開度を電気的な緩閉鎖弁実開度情報として検出する緩閉鎖弁開度検出手段と、
    前記ガイドベーン実開度情報および前記緩閉鎖弁実開度情報に基づいて電気−油圧サーボ弁を駆動するサーボ弁制御信号を送出するサーボ弁制御手段と、
    を備え、
    前記サーボ弁制御手段は、
    ガイドベーン閉鎖開始からの経過時間とガイドベーン開度予想値との関数であるガイドベーン閉鎖特性を基に、前記経過時間が入力されてこれに対応するガイドベーン開度予想値をガイドベーン閉鎖特性開度として出力するガイドベーン閉鎖特性記憶部と、
    ガイドベーン開度偏差閾値を格納するガイドベーン開度偏差閾値設定部と、
    前記ガイドベーン閉鎖特性開度と前記サーボ弁制御手段に入力されたガイドベーン実開度情報との偏差が前記ガイドベーン開度偏差閾値よりも大きいことを検出して停止時緩閉鎖制御異常を判定するガイドベーン開度偏差比較部を有することを特徴とする水力機械のガイドベーン操作装置。
  5. 油圧式ピストンを有するサーボモータと、
    前記油圧式ピストンのシリンダへ圧油を送る配圧弁と、
    前記配圧弁と前記シリンダ間の前記圧油の流路途中に設けられ前記流路を通流する前記圧油の流量を絞る緩閉鎖弁を備える水力機械のガイドベーン操作装置を用いたガイドベーン操作方法において、
    前記ガイドベーンの実開度を電気的なガイドベーン実開度情報として検出し、前記緩閉鎖弁を前記ガイドベーン実開度情報に基づいて油圧制御して任意開度とし、
    前記ガイドベーンの実開度を電気的なガイドベーン実開度情報として検出するとともに、
    緩閉鎖弁の開度を電気的な緩閉鎖弁実開度情報として検出し、
    前記ガイドベーン実開度情報と前記緩閉鎖弁実開度情報に基づいて電気−油圧サーボ弁を駆動するサーボ弁制御信号を前記電気−油圧サーボ弁に送出し、
    前記サーボ弁制御信号は、
    予め定められた緩閉鎖弁閉鎖目標値特性およびガイドベーン実開度情報より求められた緩閉鎖弁閉鎖目標値と緩閉鎖弁実開度情報との偏差に基づいて発せられることを特徴とする水力機械のガイドベーン操作方法。
  6. 請求項5に記載のガイドベーン操作装置の操作方法において、
    複数の緩閉鎖弁閉鎖目標値特性予め定め、
    水力機械の運転状態により複数の前記緩閉鎖弁閉鎖目標値特性のうちの一つを選択することを特徴とする水力機械のガイドベーン操作方法。
  7. 請求項5または請求項6のいずれかに記載のガイドベーン操作方法において、
    緩閉鎖弁閉鎖目標値と緩閉鎖弁実開度情報との偏差が予め定められた緩閉鎖弁開度偏差閾値よりも大きい場合に緩閉鎖弁制御異常と判定することを特徴とする水力機械のガイドベーン操作装置の操作方法。
  8. 請求項5から請求項7のいずれかに記載のガイドベーン操作方法において、
    ガイドベーン閉鎖開始からの経過時間に基づいて予め定められたガイドベーン閉鎖特性開度とガイドベーン実開度情報との偏差が予め定められたガイドベーン開度偏差閾値よりも大きい場合に停止時緩閉鎖制御異常と判定することを特徴とする水力機械のガイドベーン操作方法。
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