JP4172129B2 - 使用済燃料収納装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は原子力発電所等で使用した後の使用済燃料を収納して輸送や貯蔵のために用いる使用済燃料収納装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所において発生した使用済燃料は、自然崩壊を繰り返して放射性レベルが基準値以下に低下するまで、密封容器内に封じ込めて所要の貯蔵エリアにて長期間に亘り厳重に貯蔵する必要がある。
【0003】
使用済燃料を貯蔵する場合、従来では、図2にその一例を示す如く、原子力発電所の建屋1内において、キャスクピット2内に、上端の蓋を取り外した状態で円筒状の金属キャスク3を立向き配置して、該金属キャスク3のキャビティ内に、上端部の蓋や遮蔽プラグを取り外しておいた円筒状のキャニスタ4を、同様に立向きに挿入するようにし、このキャニスタ4内に、使用済燃料ピット5内に回収されている使用済燃料(集合体)6を、燃料取替装置7により移し入れて、キャニスタ4の上端部に遮蔽プラグを取り付けるようにし、次に、かかる状態の金属キャスク3を、補助建屋クレーン8を用いて洗浄ピット9へ搬送し、ここで、キャニスタ4の上端部に蓋を溶接することにより、使用済燃料6をキャニスタ4内に封じ込めるようにし、更に、キャニスタ4の蓋溶接部の液体浸透探傷試験を行ってから、金属キャスク3の上端部に蓋を取り付けて内部を密封するようにして、キャニスタ4と金属キャスク3とからなる使用済燃料収納装置10とするようにしてあり、しかる後、該使用済燃料収納装置10を、建屋1の搬出口11に待機させておいた輸送車12に横向きに搭載し、輸送船13による海上輸送、あるいは、上記輸送車12による直接の陸上輸送により貯蔵施設の受入エリア14に搬入させるようにしてある。
【0004】
上記受入エリア14では、キャニスタ搬送装置15を用いて、金属キャスク3内のキャニスタ4を、反転装置16上にセットされているコンクリートキャスク17内に詰め替えて蓋18をした後、コンクリートキャスク17を、貯蔵エリア19まで搬送してエアパレット20上に立向きに移載させるようにし、更に、エアパレット20によりコンクリートキャスク17を所定の貯蔵位置まで移動させて貯蔵させるようにするか、あるいは、キャニスタ4を、金属キャスク3からコンクリートキャスク17へ詰め替えることなく、金属キャスク3内に収納された状態のまま貯蔵させるようにしてある。
【0005】
上記使用済燃料収納装置10を構成する金属キャスク3は、図3に詳細を示す如く、下端を底板21で塞いだ円筒状のキャスク胴22と、該キャスク胴22の上端開口部にそれぞれボルト23により取り付けるようにした一次蓋24及び二次蓋25とを有し、且つ上記キャスク胴22、底板21、二次蓋25の外側にそれぞれ中性子遮蔽材26,27,28を配置すると共に、これら中性子遮蔽材26,27,28の外側を、外筒29、カバー30、カバー31で覆うようにした構成として、キャスク胴22内にキャニスタ4を挿入配置するようにしてあり、この際、キャニスタ4の熱膨張を吸収できるように、キャニスタ4の外周壁面とキャスク胴22の内周壁面との間に所要のクリアランスCoが形成されるようにしてある。なお、32は補助建屋クレーン8で金属キャスク3を吊るとき等に用いるトラニオンを示す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記使用済燃料収納装置10の場合、キャニスタ4の外周壁面と金属キャスク3のキャスク胴22の内周壁面との間に、キャニスタ4の熱膨張を吸収するためのクリアランスCoが形成されているため、輸送時に振動が発生したり、貯蔵時に地震が発生したりすると、金属キャスク3内でキャニスタ4にがた付きが発生する可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、耐振動性及び耐震性を向上させることができるようにしようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、使用済燃料を封じ込めた円筒状のキャニスタを金属キャスクの円筒状のキャスク胴内に収納させて、金属キャスク内に使用済燃料を収納させて輸送又は貯蔵させるようにしてある使用済燃料収納装置において、上記キャニスタの外周壁面と金属キャスクのキャスク胴の内周壁面との間に所要の空間を形成して、該キャニスタの外周壁面に、該キャニスタの全長に亘るような長さとしてある雄型ラグ又は雌型ラグを上記空間に突出するよう周方向に等間隔で長手方向に平行に取り付けると共に、該ラグ取付位置と対応する上記金属キャスクのキャスク胴の内周壁面に、上記雄型ラグ又は雌型ラグに係合するように該雄型ラグ又は雌型ラグと対応する長さとしてある雌型ラグ又は雄型ラグを上記空間部に突出するよう周方向に等間隔で長手方向に平行に取り付け、且つ係合するキャニスタ側の雄型ラグ又は雌型ラグとキャスク胴側の雌型ラグ又は雄型ラグとの間に、キャニスタの半径方向の熱膨張変位を吸収するためのクリアランスを形成してなる構成とする。
【0009】
輸送時や貯蔵時に振動が発生しても、キャニスタと金属キャスクのキャスク胴との間での雄型ラグと雌型ラグの係合によりキャニスタのがた付きが抑えられているので、キャニスタ及び金属キャスクの耐振動性、耐震性が向上する。又、キャニスタの半径方向の熱膨張変位は、雄型ラグと雌型ラグとの間のクリアランスで吸収されることになる。
【0010】
又、係合する雄型ラグと雌型ラグを、ともにキャニスタの全長に亘るような長さとして長手方向に平行に設けた構成としてあることにより、振動荷重が雄型ラグと雌型ラグの長手方向全長で安定して受けられるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1(イ)(ロ)は本発明の実施の一形態を示すもので、図3に示した使用済燃料収納装置10と同様に、使用済燃料を封じ込めた円筒状のキャニスタ4を円筒状の金属キャスク3のキャスク胴22内に挿入配置して、金属キャスク3内に使用済燃料を密封状態に収納させて輸送又は貯蔵できるようにしてある構成において、上記キャニスタ4の外周壁面と金属キャスク3におけるキャスク胴22の側壁部の内周壁面との間に、キャニスタ4の熱膨張量よりも充分に大きい空間Sを形成し、且つ上記キャニスタ4の外周壁面に、周方向に等間隔位置となるように、たとえば、4つの雄型ラグ33を、長手方向へ平行に配して空間S部に突出するよう一連に取り付けると共に、上記キャスク胴22の内周壁面に、上記各雄型ラグ33を両側から挟むようにして摺動自在に係合させるようにした凹溝状の雌型ラグ34を、周方向に等間隔で空間S部に突出するよう取り付けて、雄型ラグ33の外端面と雌型ラグ34の凹溝部との間に、キャニスタ4の熱膨張に伴う雄型ラグ33の半径方向への変位を吸収するための所要のクリアランスCを形成してなる構成の使用済燃料収納装置10´とし、金属キャスク3とその内側のキャニスタ4との周方向のガタを雄雌のラグ33,34の係合でなくすようにする。
【0013】
上記構成とした本発明の使用済燃料収納装置10´は、横向き姿勢にして輸送する場合において、たとえば、上下方向に振動が発生した場合には、図1(ロ)における左右に位置する雄型ラグ33と雌型ラグ34との係合によりその振動を受けることができ、又、左右方向に振動が発生した場合には、上下に位置する雄型ラグ33と雌型ラグ34との係合によりその振動を受けることができる。したがって、キャニスタ4には、振動に起因するがた付きが発生することはなく、耐振動性を向上させることができる。
【0014】
又、上記各雄型ラグ33と雌型ラグ34との間には、半径方向に所要のクリアランスCが形成されているため、キャニスタ4が熱膨張しても、それを吸収することができる。したがって、キャニスタ4と金属キャスク3との間には熱応力が発生することはない。
【0015】
一方、使用済燃料収納装置10´を、図2におけるコンクリートキャスク17の場合と同様に立向きとして使用済燃料を貯蔵させるようにした状態において、地震により水平方向の揺れが作用した場合には、上述した横向き姿勢での輸送時の場合と同様に、各部の雄型ラグ33と雌型ラグ34との係合により、キャニスタ4のがた付きを抑えることができる。したがって、耐震性を向上させることができる。
【0016】
上記において、キャニスタ4の熱膨張は長手方向にも作用するが、上記の各雄型ラグ33と雌型ラグ34との係合は長手方向の変位を拘束していないので、これまでの場合と同様にして長手方向変位を許容することができる。又、雄型ラグ33及び雌型ラグ34の取付位置は、前後左右で対称的な4個所としてあるので、金属キャスク3内にキャニスタ4を挿入するときの位置合わせを容易に行うことができる。
【0017】
なお、上記実施の形態では、雄型ラグ33及び雌型ラグ34を長手方向に一連に設けて、振動等による荷重を長手方向全般で安定して受けられるようにした場合を示したが、長手方向の両端部及び中間部の如く要所のみに設けるようにしてもよいこと、又、実施の形態では、雄型ラグ33及び雌型ラグ34を、周方向等間隔に4個所設けた場合を示したが、同様に6個所や8個所としてもよいこと、更に、雄型ラグ33と雌型ラグ34の配置は半径方向の内外で逆向き、すなわち、キャニスタ4の外周壁面に雌型ラグ34を、又、キャスク胴22の内周壁面に雄型ラグ33を設置するようにしてもよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0018】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の使用済燃料収納装置によれば、使用済燃料を封じ込めた円筒状のキャニスタを金属キャスクの円筒状のキャスク胴内に収納させて、金属キャスク内に使用済燃料を収納させて輸送又は貯蔵させるようにしてある使用済燃料収納装置において、上記キャニスタの外周壁面と金属キャスクのキャスク胴の内周壁面との間に所要の空間を形成して、該キャニスタの外周壁面に、該キャニスタの全長に亘るような長さとしてある雄型ラグ又は雌型ラグを上記空間に突出するよう周方向に等間隔で長手方向に平行に取り付けると共に、該ラグ取付位置と対応する上記金属キャスクのキャスク胴の内周壁面に、上記雄型ラグ又は雌型ラグに係合するように該雄型ラグ又は雌型ラグと対応する長さとしてある雌型ラグ又は雄型ラグを上記空間部に突出するよう周方向に等間隔で長手方向に平行に取り付け、且つ係合するキャニスタ側の雄型ラグ又は雌型ラグとキャスク胴側の雌型ラグ又は雄型ラグとの間に、キャニスタの半径方向の熱膨張変位を吸収するためのクリアランスを形成してなる構成としてあるので、輸送時の振動や貯蔵時の地震による振動を、係合する各部の雄型ラグと雌型ラグの係合によって受けることができ、これにより、キャニスタのがたの発生を抑えることができて、耐振動性及び耐震性を向上させることができ、しかも、雄型ラグと雌型ラグとの係合部はキャニスタの径方向の熱膨張を吸収できることから、キャニスタと金属キャスクに熱応力が発生することはなく、又、係合する雄型ラグと雌型ラグを、ともにキャニスタの全長に亘るような長さとして長手方向に平行に設けた構成としてあることにより、振動荷重を長手方向で全体的に受けることができてより安定化を図ることができる、等の優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の使用済燃料収納装置の実施の一形態を示すもので、(イ)は切断側面図、(ロ)は(イ)のA−A方向矢視図である。
【図2】使用済燃料を貯蔵する際のハンドリングフローの一例を示す概略図である。
【図3】金属キャスクの一例を示す切断側面図である。
【符号の説明】
3 金属キャスク
4 キャニスタ
使用済燃料
33 雄型ラグ
34 雌型ラグ
S 空間
C クリアランス

Claims (1)

  1. 使用済燃料を封じ込めた円筒状のキャニスタを金属キャスクの円筒状のキャスク胴内に収納させて、金属キャスク内に使用済燃料を収納させて輸送又は貯蔵させるようにしてある使用済燃料収納装置において、上記キャニスタの外周壁面と金属キャスクのキャスク胴の内周壁面との間に所要の空間を形成して、該キャニスタの外周壁面に、該キャニスタの全長に亘るような長さとしてある雄型ラグ又は雌型ラグを上記空間に突出するよう周方向に等間隔で長手方向に平行に取り付けると共に、該ラグ取付位置と対応する上記金属キャスクのキャスク胴の内周壁面に、上記雄型ラグ又は雌型ラグに係合するように該雄型ラグ又は雌型ラグと対応する長さとしてある雌型ラグ又は雄型ラグを上記空間部に突出するよう周方向に等間隔で長手方向に平行に取り付け、且つ係合するキャニスタ側の雄型ラグ又は雌型ラグとキャスク胴側の雌型ラグ又は雄型ラグとの間に、キャニスタの半径方向の熱膨張変位を吸収するためのクリアランスを形成してなることを特徴とする使用済燃料収納装置。
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