JP4171805B2 - 糖転移酵素 - Google Patents

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Description

本発明は、糖鎖合成の脂質中間体ポリプレニルリン酸(Polyprenyl phosphate)にマンノース(Mannose)を転移する活性を有する耐熱性酵素に関する。
糖鎖合成の脂質中間体に単糖を転移する活性を有する酵素としては、GDPマンノース(GDP-mannose)から単糖マンノース(Mannose)を脂質中間体であるポリプレニルリン酸(Polyprenyl-phosphate)の一種であるドリコールリン酸(Dolicyl-phosphate)に転移し、ドリコールリン酸マンノース(Dolicyl-phosphate-mannose;DPM) の合成を触媒する酵素(DPM合成酵素)が知られている。DPMはN-結合型糖鎖前駆体やグリコシルホスファチジルイノシトール(Glycosyl-phosphatidyl-inosytol;GPI)アンカー等へのマンノース(Mannose)残基供与体として働く。DPM合成酵素は細胞の生命活動維持に必須な酵素であり、2クラスのDPM合成酵素が報告されている(非特許文献1参照)。1つ目のクラスは出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)由来のDPM合成酵素やアフリカ睡眠病原虫(Trypanosoma brucei)のDPM合成酵素を含み、1つのサブユニットで機能し、その一次配列のC末端の疎水性配列により生体膜にアンカーされる。2つ目のクラスはヒト等のほ乳類由来のDPM 合成酵素であり(非特許文献2参照)、DPM1, DPM2, DPM3の3つのサブユニットから構成され、DPM1は触媒サブユニットであり、DPM2は酵素複合体を安定化させ、十分な比活性を発揮するために必要であって、DPM3はDPM1とDPM2を結び付けている。
このようにDPM合成酵素が2クラスに分かれ、マラリヤ原虫(Plasmodium)やアフリカ睡眠病原虫(T. brucei)のDPM合成酵素がヒト酵素とクラスが異なることを利用するならば、DPM合成酵素をターゲットとし、ヒトには作用しないが病原性真核微生物の生育のみを特異的に阻害する薬剤の開発が可能である(非特許文献1参照)。また、DPM合成酵素阻害剤として抗生物質アンフォマイシン(Amphomycin)が報告されているが、Ca2+イオン存在下で基質ドリコールリン酸(Dolicyl-phosphate)と複合体を形成し、2クラスのDPM合成酵素を共に強く阻害することから、アンフォマイシン(Amphomycin)は病原性真核微生物のみの特異的阻害剤になり得ない。さらに、DPM合成酵素は膜タンパク質として生体膜中に存在するために、その単離精製には界面活性剤での可溶化処理が必要であるが、可溶化処理で容易に失活し、単離精製が極めて困難である。また、精製できたとしても常温生物由来の酵素のため、高温等の極限環境では極めて不安定であり、速やかに失活する。
Colussi, P. A., Taron, C. H., Mack, J. C., and Orlean, P. "Human and Saccharomyces cerevisiae dolichol phosphate mannose synthases represent two classes of the enzyme, but both function in Schizosaccharomyces pombe" (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94, 7873-7878. Maeda, Y., Tanaka, S., Hino, J., Kangawa, K., and Kinoshita, T. "Human dolichol-phosphate-mannose synthase consists of three subunits, DPM1, DPM2 and DPM3" (2000) EMBO J., 19, 2475-2482.
したがって、本発明の課題は、耐熱性が高く、高純度なポリプレニルリン酸マンノース合成酵素、及び該酵素を大量生産するために有用な遺伝子を新たに提供し、N-結合型糖鎖前駆体やGPIアンカー等へのMannose残基供与体等の大量調整を可能とし、また、新規な病原性真核微生物に対する特異的阻害剤等の開発を可能にする。
本発明者は、以上の課題を解決すべく、鋭意研究の結果、90-100℃で生育する超好熱性古細菌に着目し、その遺伝子配列からドリコールリン酸マンノース(Dolicyl-phosphate-mannose;DPM)合成酵素活性を示すと推測される遺伝子を見い出した。さらに、パン酵母を使ってその遺伝子から酵素を生産し、この酵素が高温(70℃以上)で比較的安定に存在し、かつDPM合成酵素より広い基質特異性を有し、ポリプレニルリン酸マンノース(Polyprenyl-phosphate-mannose;PPM) 合成活性を示すことを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に示されるとおりのものである。
(1) 以下の(A)又は(B)のポリペプチドからなる、ウンデカプレニルリン酸マンノース合成用酵素剤。
(A)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリぺプチド。
(B)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、ポリプレニルリン酸にマンノースを転移する酵素活性を有するポリペプチド。
(2) 上記(1)に記載の酵素剤を使用して、ウンデカプレニルリン酸に対するマンノース転移反応を行うことを特徴とする、ウンデカプレニルリン酸マンノースの合成方法。
本発明によれば、耐熱性、耐溶媒性が高く、しかも高純度のポリプレニルリン酸マンノース(PPM)合成酵素が提供できる。この酵素の使用により、例えばドリコールリン酸マンノース(DPM)やそのアナログを有利に合成することが可能となる。その結果、N-結合型糖鎖前駆体やGPIアンカー等へのMannose残基供与体等の大量調整が可能になり、また、該アナログをスクリーニングすることにより、病原性真核微生物に対する新規な特異的阻害剤等の開発が可能になる。
以下に、本発明を具体的に説明する。
ポリプレニルリン酸(Polyprenyl-phosphate)はイソプレン単位を一以上有するアルコールのリン酸エステルをいい、ポリプレニル(Polyprenyl)基に多くの構造バリエーションを有する糖鎖合成の脂質中間体の総称である。また、上記したように、ポリプレニルリン酸(Polyprenyl-phosphate)の一種であるドリコールリン酸(Dolicyl-phosphate)にマンノースを転移する作用を有する酵素は生命維持に不可欠な酵素であり、また、病原性真核生物の生育、増殖を特異的に阻害する薬剤を探索するうえでも、該合成酵素は極めて有用である。
しかし、現在まで、ポリプレニルリン酸(Polyprenyl-phosphate)にマンノース(Mannose)を転移するPPM合成酵素であって、耐熱安定性を有する酵素は知られてはおらず、本発明により初めて得られたものである。
本発明のポリプレニルリン酸マンノース合成酵素は、硫黄代謝好熱性古細菌 パイロコッカス、ホリコシ(登録番号JCM9974)由来のものである。 すなわち、本発明のポリプレニルリン酸マンノース合成酵素は、上記超好熱菌の遺伝子配列からDPM合成活性を示すと推定した遺伝子を、PCR反応で増幅し、抽出し、蛋白質発現プラスミドYEp352GAPに挿入、そのプラスミドをパン酵母(Saccharomyces cerevisiae)に組み込み、本酵素の生産をおこなって得られたものであり、生産された酵素は組み替え体S. cerevisiae生体膜に極在していた。この生体膜を界面活性剤Brijで可溶化し、加熱処理およびカラムクロマトグラムで当該膜タンパク質を単離精製した。精製された酵素は、分子量約40,187 Daのタンパク質で、PPM合成活性を有する酵素であることがわかった。
本発明のポリプレニルリン酸マンノース合成酵素のアミノ酸配列及びその遺伝子の塩基配列は配列表の配列番号1、2にそれぞれ示されるが、これらのみに限定されるわけではなく、遺伝子としては、a)配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするDNAの他 、b)該アミノ酸配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列をコードするDNA、c)これらDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNAであっても、ポリプレニルリン酸にマンノースを転移する酵素活性を有するポリペプチドをコードするものであれば、本発明に含まれる。また、本発明のポリプレニルリン酸マンノース合成酵素としては、上記配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するものの他、上記b)あるいはc)のDNA にコードされるポリペプチドであって、ポリプレニルリン酸マンノース合成酵素活性、すなわちポリプレニル酸にマンノースを転移させる酵素活性を有する限り、本発明に含まれる。
上記c)のDNAについての定義中、ストリンジェントな条件とは、以下の条件である。
ハイブリダイゼーションは変性精子DNA、6 x SSC液(SSC(0.15M NaCl, 0.015M Na-Citrate, pH7.0)の6倍濃度液)、5 x Denhart液(Denhart液(0.02%ウシ血清アルブミン、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02%フィコール)の5倍濃度)を含む溶液中で、42℃で行なう。
洗浄は0.1%SDSと1 x SSCを含む水溶液中で、68℃で行なう。

本発明のポリプレニルリン酸マンノース合成酵素を得るには、上記a)〜c)のDNAを発現ベクターに導入し、該ベクターにより適当な宿主を形質転換した後、この形質転換体を培養することにより、培養物からポリプレニルリン酸マンノース合成酵素を採取する。
使用する発現ベクターとしては、例えば酵母発現ベクター、YEp352、pYES2、pYEUra3等や大腸菌発現ベクター、pET11a、pET15b、pGEM等が挙げられ、宿主としてはパン酵母S. cerevisiae W303-1A株(Mat a, leu2-3.112, his3-11.15, ade2-1, ura3-1, trp1-1, can1-100)、やYNN281株(Mat a, lys2-801, his3Δ200, ade2-1, ura3-52, trp1)等が、大腸菌ではE. coli BL21-CodonPlus (DE3)-RIL株やXL-2株等が挙げられる。
本発明のポリプレニル酸マンノース合成酵素の至適温度は、10mM MgCl2を含む50mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)中で、60℃であり、耐熱性が高いほか、各種ドリコールリン酸、ウンデカプレニルリン酸等を基質とすることができ、基質特異性が広いことが特徴である。
本発明のポリプレニル酸マンノース合成酵素は、その耐熱性と安定性の故に界面活性剤による可溶化とカラムクロマトグラフィーによる単離精製が可能であり、この精製ポリプレニルリン酸マンノースPPM合成酵素を用いることにより、高純度なポリプレニルリン酸マンノース(Polyprenyl-phosphate-mannose;PPM)を合成することができる。さらに耐熱性酵素は高い耐有機溶媒性を有することから、従来の常温性酵素では不可能な反応条件と基質の組み合わせでPPM合成反応を行なうことにより、例えばマラリヤ原虫等の病原性真核微生物の特異的阻害剤等になりうるドリコールリン酸マンノース(Dolicyl-phosphate-mannose;DPM)のアナログを多数供給することもできる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は実施例により限定されるものではない。以後当該酵素をPPMS Phoと略記する。
(実施例1)(菌の培養)
JCM9974は次の方法で培養した。
13.5gの食塩、4gのNa2SO4, 0.7 gのKCl, 0.2g のNaHCO3 、0.1gのKBr、30 mg のH3BO3、10gのMgCl2・6H2O、1.5g のCaCl2 、25mgのSrCl2、1.0mlのレザスリン溶液(0.2g/L)、1.0gの酵母エキス、5gのバクトペプトンを1Lに溶かし、この溶液のpHを6.8に調整し加圧殺菌した。ついで、乾熱滅菌した元素硫黄を0.2%となるように加え、この培地をアルゴンで飽和して嫌気性とした後、JCM9974を植菌した。培地が嫌気性となったか否かはNa2S溶液を加えて、培養液中でNa2Sによるレザスリン溶液のピンク色が着色しないことにより確認した。この培養液を95℃で2-4日培養し、その後遠心分離し集菌した。
(実施例2)染色体DNAの調整
JCM9974の染色体DNAは以下の方法により調製した。培養終了後5000rpm、10分間の遠心分離により菌体を集菌する。菌体を10mM Tris(pH 7.5) 1mM EDTA 溶液で2回洗浄後InCert Agarose(FMC社製)ブロック中に封入する。このブロックを1%N-lauroylsarcosine, 1mg/mlプロテアーゼK溶液中で処理することにより、染色体DNAはAgaroseブロック中に分離調製される。
(実施例3)染色体DNAを含むライブラリークローンの作製
実施例2で得られた染色体DNAを制限酵素HindIIIにより部分分解後アガロースゲル電気泳動により約40kb長の断片を調製した。このDNA断片と制限酵素HindIIIによって完全分解したBacベクターpBAC108L及びpFOS1とをT4リガーゼを用いて結合させた。前者のベクターを用いた場合には結合終了後のDNAをただちに大腸菌内へ電気孔窄法により導入した。後者のベクターpFOS1を用いた場合には結合終了後のDNAをGIGA Pack Gold (ストラタジーン社製)により試験管内でλファージ粒子内に詰め込み、この粒子を大腸菌に感染させることによりDNAを大腸菌内に導入した。これらの方法により得られた抗生物質クロラムフェニコール耐性の大腸菌集団をBAC及びFosmidライブラリーとした。ライブラリーからJCM9974の染色体をカバーするのに適したクローンを選択して、クローンの整列化を行った。
(実施例4)各BAC或いはFosmidクローンの塩基配列決定
整列化されたBAC或いはFosmidクローンについて順次以下の方法で塩基配列を決定していった。大腸菌より回収した各BAC或いはFosmidクローンのDNAを超音波処理することにより断片化し、アガロースゲル電気泳動により1kb及び2kb長のDNA断片を回収した。この断片をプラスミドベクターpUC118のHincII制限酵素部位に挿入したショットガンクローンを各BAC或いはFosmidクローン当たり500クローン作製した。各ショットガンクローンの塩基配列をパーキンエルマー、ABI社製自動塩基配列読み取り装置373または377を用いて決定していった。各ショットガンクローンから得られた塩基配列を塩基配列自動連結ソフトSequencherを用いて連結編集し、各BAC或いはFosmidクローンの全塩基配列を決定していった。
(実施例5)PPMS Pho遺伝子の同定
上記で決定された各BAC或いはFosmidクローンの塩基配列の大型計算機による解析を行い、DPM合成酵素モチーフを含む機能未知タンパク質をコードする遺伝子(PH0051)を同定した。
(実施例6)発現プラスミドの構築
構造遺伝子領域の前後に制限酵素(EcoRIとSalI)サイトを構築する目的でDNAプライマーを合成し、PCRでその遺伝子の前後に制限酵素サイトを導入した。

Forward prime
5'-ATATTGGTGGTGAATTCATGAAAGTCTCAATAATAG(配列表の配列番号3)
(上記配列中下線部はEcoRIサイトを示す)
Reverse primer
5'-CTTCTGGAGGAGGGTCGACTCATTGAGCCCATG(同配列番号4)
(上記配列中下線部はSalIサイトを示す)
PCR反応後、制限酵素(EcoRIとSalI)で完全分解(37℃で2時間)した後、その構造遺伝子を精製した。
酵母発現ベクターYEp352GAP (Ura3選択マーカーを保持する)を制限酵素EcoRIとSalIで切断・精製した後、上記の構造遺伝子(PPMSPho)とT4リガーゼで16℃、2時間反応させ連結した。連結したDNAの一部をE. coli-XL1-BlueMRF' のコンピテントセルに導入し形質転換体のコロニーを得た。得られたコロニーからプラスミドをアルカリ法で精製し発現プラスミド、YEp-0051を得た。
(実施例7)組換え遺伝子の発現
パン酵母S. cerevisiae W303-1A株(Mat a, leu2-3.112, his3-11.15, ade2-1, ura3-1, trp1-1, can1-100)の細胞を滅菌水で洗浄後、100mMの酢酸リチュームで30℃、1時間処理し、コンピテントセルを作成した。これをマイクロチューブに0.1mlづつ移し、その中に上記の発現プラスミド溶液5μl、50μgキャリアーDNA、0.7mlのPEG/TE/LiOAc溶液(40%PEG#4000, 1xTE, 100mM酢酸リチュームを含む)を加え、30℃に1時間放置した後、42℃でヒートショックを5分間行い、遠心分離法で細胞を集めた。この細胞を1xTEで洗浄し、Uracilを含まない選択培地SD(+His+Trp+Leu+Ade)(0.67%Yeast nitrogen base, 2%グルコース, 20mg/lのHistidine, 20mg/lのTryptophane, 20mg/lのLeucine, 20mg/lのAdenineを含む)の寒天プレートに適量まき、30℃で3日培養し、形質転換体S. cerevisiae W303-1A / YEp-0051(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成15年12月8日付けで受託番号 FERM P−19609として寄託。)を得た。
当該形質転換体をSD(+His+Trp+Leu+Ade)培地(2リットル)で30℃、24時間培養し、培養後遠心分離(6,000rpm,20min)で集菌した。
(実施例8)PPMS Phoの精製
8リットル培養液から集菌した菌体を1gあたり2mlの50mMトリス塩酸緩衝液(pH6.0)に懸濁し、これに1錠のプロテアーゼ阻害剤(Complete EDTA-free, Roche社製)、100mgのZymolyase 100T(生化学工業社製)、0.5mgのDnase(シグマ社製)を加えた。30℃で30分保温して溶菌させ、界面活性剤(Brij、シグマ社製)を終濃度2%で加え、4℃で1時間穏やかに混合した。遠心分離(11,000 rpm、20分)により上清液を回収し、この上清液を70℃で10分加熱処理した。遠心分離(11,000 rpm、20分)により上清液を得て、この上清液を50mMトリス塩酸緩衝液(pH6.0)、10mM MgCl2、0.1% Brijで平衡化したHiTrap SP sepharose(ファルマシア社製)カラムに吸着させ、1M NaClを含む同緩衝液で溶出した。これを50mMトリス塩酸緩衝液(pH6.0)、10mM MgCl2、0.1% Brijで透析し、再度上記条件で平衡化したHiTrap SP sepharose(ファルマシア社製)カラムに吸着させ、NaCl濃度を0Mから1Mに増加させることにより目的タンパク質の溶出を行い、精製サンプルとした。
(実施例9)酵素反応条件
(1)PPM合成反応
197μlの酵素反応液中には50mMのTris緩衝液(pH7.5)、5mM MgCl2、9μgドリコールリン酸、所定量の酵素が含まれる。この酵素反応液を60℃、10分間予備加温した後、[14C] GDP-mannose(330mCi/mmol)を3μl加えて5分間加温した。反応後、1mlのクロロホルム-メタノール(1:1, v/v)と0.3mlの蒸留水を加えて反応を停止し、遠心分離(2500×g、10分)により上層と下層に分離した。下層のクロロホルム層を回収し、上層に0.5mlのクロロホルムを加えて再度遠心分離して下層を回収した。回収した下層を混合し、1mlのクロロホルム:メタノール:水(3:48:47、v/v)を加え、遠心分離で上層と下層に分離し、下層の放射活性を液体シンチレーションカウンター(LSC-6100、アロカ社製)で測定した。

(2) 至適温度の決定
酵素反応液を40℃-80℃の温度で10分予備加温した後、各反応温度の酵素活性を上記PPM合成反応にしたがって測定した。
(実施例12)酵素の諸性質
(1)タンパク質化学的性質
当該酵素は上記の精製プロセスで完全に精製され、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)で分子量約40KDaの単一バンドを示した(図1)。当該酵素は353アミノ酸残基より構成され(配列番号1)、そのアミノ酸配列から予測される分子量は40,187 Daである。また、遺伝子配列解析ソフトウエアーDNAsis(日立ソフトウエアーエンジニアリング(株))によるハイドローパシープロットにより、C末端側に2ケ所の膜貫通領域が局在すると予測された(図2)。
(2) 酵素反応産物の分子種の解析
上記条件により生成された酵素反応産物を薄層クロマトグラフィー(TLC)で分析した(図3)。展開はクロロホルム/メタノール/水(10:10:3)で行なった。レーン1と2は各々、組み替え体でない宿主からの膜標品と組み替え体からの膜標品を酵素源とする反応産物を示す。レーン3は精製酵素からの反応産物、レーン4は未反応の基質、GDP-mannoseを示す。この結果はPPMS Pho精製酵素が高いPPM合成活性を有する事を示した。
(3) 至適温度
図4に示すように、PPMS Phoは60℃で最も高い活性を示した。
(4) 熱安定性
図5に示すように、PPMS Pho遺伝子を含む組み替え酵母細胞から調整した生体膜画分は70℃、10分間の加熱処理でも高い活性を示したが、PPMS Pho遺伝子を含まない宿主酵母の生体膜由来の合成活性は50℃、10分間の加熱処理で完全に失活した。このように、PPMS Phoは膜タンパク質としては極めて高い熱安定性を有していた。
(5) 基質特異性
当該酵素は60℃、10分間反応で、PPM合成活性を示した。この反応条件における各基質に対するkinetic parameterを表1に示した。この結果より、本酵素はさまざまな鎖長のドリコールリン酸のみではなく、末端プレニル基が飽和化されていない基質であるウンデカプレニルリン酸にも高い触媒活性を示し、従来報告されている耐熱性DPMS酵素(Zhu, B. C. R., and Laine, R. A. (1996) Glycobiology, 6, 811-816.)より広い基質特異性を有することが明らかになった。また、ドリコールリン酸とウンデカプレニルリン酸の構造を下に示した。


精製酵素のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動写真である(SDS-PAGE)。レーン1と2は分子量マーカーと精製酵素を示す。矢印はPPMSPho酵素のタンパク質バンドを示す。 PPMS Phoの疎水性プロフィールを示す図である。四角形は予測される膜貫通領域を示す。 酵素反応産物の薄層クロマトグラフィーによる同定結果を示す写真である。 矢印は酵素反応産物PPMを示す。 PPMS Pho酵素の至適温度を測定した結果を示すグラフである。 PPMS Pho酵素の熱安定性を測定した結果を示すグラフである。 該測定は、本発明の遺伝子により形質転換された酵母の生体膜画分を40,50,60,70℃の各温度で10分間加熱し、加熱後サンプルの残存活性を60℃、10分間測定した。白色カラムはPPMS Pho遺伝子を含まない宿主酵母の生体膜由来の合成活性を、灰色カラムはPPMS Pho遺伝子を含む組み替え酵母細胞から調整した生体膜画分の酵素活性を示す。

Claims (2)

  1. 以下の(A)又は(B)のポリペプチドからなる、ウンデカプレニルリン酸マンノース合成用酵素剤。
    (A)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリぺプチド。
    (B)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、ポリプレニルリン酸にマンノースを転移する酵素活性を有するポリペプチド。
  2. 請求項1に記載の酵素剤を使用して、ウンデカプレニルリン酸に対するマンノース転移反応を行うことを特徴とする、ウンデカプレニルリン酸マンノースの合成方法。
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