JP4171549B2 - 含フッ素アミノ酸誘導体 - Google Patents

含フッ素アミノ酸誘導体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬として有用な含フッ素アミノ酸誘導体に関し、例えば、精神分裂病、不安及びその関連疾患、うつ病、二極性障害、てんかん等の精神医学的障害、さらに、薬物依存症、認知障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、筋硬直に伴う運動障害、脳虚血、脳不全、脊髄障害、頭部障害等の神経学的疾患の治療及び予防に有用である新規な含フッ素アミノ酸誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、グルタミン酸受容体遺伝子のクロ−ニングが相次ぎ、グルタミン酸受容体には驚異的な数のサブタイプが存在することが明らかとなった。現在、グルタミン酸受容体は、受容体がイオンチャネル型構造を持つ「イオノトロピック型」及び、受容体がG−タンパク質と共役している「メタボトロピック型」の2つに大きく分類されている(Science, 258, 597-603, 1992)。更に、イオノトロピック受容体は薬理学的にN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルイソキサゾ−ル−4−プロピオネ−ト(AMPA)及びカイネ−トの3種類に分類され(Science, 258, 597-603, 1992)、メタボトロピック受容体はタイプ1〜タイプ8の8種類に分類される(J.Neurosci., 13, 1372-1378, 1993; Neuropharmacol., 34, 1-26, 1995)。
【0003】
メタボトロピックグルタミン酸受容体は薬理学的には3つのグループに分類される。この中で、グループ2(mGluR2/mGluR3)は、アデニルサイクラーゼと結合し、サイクリックアデノシン1リン酸(cAMP)のホルスコリン刺激性の蓄積を抑制する(Trends Pharmacol. Sci., 14, 13(1993))ことから、グループ2メタボトロピックグルタミン酸受容体に作用する化合物は急性及び慢性の精神医学的疾患及び神経学的疾患の治療又は予防に有効なはずである。そして、グループ2メタボトロピックグルタミン酸受容体に作用する物質としては、特開平8−188561号公報に(+)-(1S,2S,5R,6S)−2−アミノビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカルボン酸が開示されている。
【0004】
ところで、フッ素原子は強い電子吸引性と高い脂溶性を付与する傾向を有しており、フッ素原子の導入された化合物は物性を大きく変える。このため、フッ素原子の導入は化合物の吸収性、代謝的安定性及び薬理作用に大きく影響を及ぼす可能性がある。しかし、フッ素原子の導入は決して容易なことではない。実際に、特開平8−188561号公報において、(+)-(1S,2S,5R,6S)−2−アミノビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカルボン酸へのフッ素原子の導入は全く検討されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記した従来技術の現状に鑑み、例えば、精神分裂病、不安及びその関連疾患、うつ病、二極性障害、てんかん等の精神医学的障害、並びに、薬物依存症、認知障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、筋硬直に伴う運動障害、脳虚血、脳不全、脊髄障害、頭部障害等の神経学的疾患に治療効果及び予防効果を有する薬物であって、特に経口投与でグループ2メタボトロピックグルタミン酸受容体に作用することのできる薬物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、(+)-(1S,2S,5R,6S)−2−アミノビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカルボン酸にフッ素原子を導入した含フッ素アミノ酸誘導体について鋭意検討した結果、グループ2メタボトロピックグルタミン酸受容体に経口投与で影響を及ぼすことのできる新規含フッ素アミノ酸誘導体を見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、式[I]
【化3】
Figure 0004171549
[式中、X1は水素原子又はフッ素原子を示し、R1及びR2は同一又は異なって水素原子又は炭素数1−10のアルキル基を示す。]で表される2−アミノ−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカルボン酸誘導体、その医薬上許容される塩又はその水和物である。
【0008】
本発明において、炭素数1−10のアルキル基とは、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基であり、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、1−エチルプロピル基、へキシル基、イソへキシル基、1−エチルブチル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などを挙げることができ
【0009】
また、本発明における医薬上許容される塩としては、例えば、硫酸、塩酸、燐酸などの鉱酸との塩、酢酸、シュウ酸、乳酸、酒石酸、フマール酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸との塩、トリメチルアミン、メチルアミンなどのアミンとの塩、又はナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンなどの金属イオンとの塩などを挙げることができる。なお、本発明化合物は、各種の溶媒和物として存在し得るが、医薬としての適用性の面からは水和物が好ましい。
【0010】
式[I]で示される化合物の中でX1が水素原子の場合は、1、2、3、5及び6位に5つの不斉炭素原子が存在する。従って、X1が水素原子である本発明化合物は、光学活性体、ラセミ体等の2種のエナンチオマー混合物及びジアステレオマーの混合物として存在できる。更に、X1がフッ素原子の場合、1、2、5及び6位に4つの不斉炭素原子が存在する。従って、X1がフッ素原子である本発明化合物は、光学活性体、ラセミ体等の2種のエナンチオマー混合物及びジアステレオマーの混合物として存在できる。
【0011】
式[I]に示す化合物において好ましいX1は水素原子である。さらに、X1が水素原子である場合には、式[I]に示す化合物は下記の立体化学配置を有することがより好ましい。
【化4】
Figure 0004171549
【0012】
また、X1、R1及びR2が水素原子の場合、本化合物の光学異性体の中で最も好ましい光学活性体は正の旋光性を有しており、この絶対立体化学配置は、本化合物の合成前駆体である2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボン酸 (R)−(+)−1−フェニルエチルアミン塩のX線単結晶構造解析により、1S,2S,3S,5R,6Sと決定された。
【0013】
一方、式[I]においてR1とR2の片方又は両方が水素以外を示す場合、すなわちエステル体はグループ2メタボトロピックグルタミン酸受容体に影響を及ぼさない。しかし、このエステル体は生体内でカルボン酸に加水分解され、グループ2メタボトロピックグルタミン酸受容体に影響を及ぼすカルボン酸に変化する。このように、本発明化合物のエステル体はプロドラッグとして機能するため、極めて有用である。
【0014】
【発明の実施の形態】
式[I]の化合物は、以下に示す各反応式に従って製造することができる。下記の反応式中、R1、R2、X1は前記と同様であり、R3とR4は同一又は異なって炭素数1−10の低級アルキル基を示し、Yは一般的なアミノ基の保護基(PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS,THEODORA W. GREENE and PETER G. M. WUTS著 参照)を示す。
【0015】
まず、下記式[化5]に示されるように、出発物質であるケトン体(1)の所定の位置に1又は2のフッ素原子が導入される。
【化5】
Figure 0004171549
【0016】
光学活性体、ラセミ体等の2種のエナンチオマー混合物又はジアステレオマーの混合物であるモノフッ化化合物(2)は、対応する光学活性体、ラセミ体等の2種のエナンチオマー混合物又はジアステレオマーの混合物であるケトン体(1)を一旦エノールシリルエーテル体又はエノールエステル体とした後、フッ素化試薬と反応させるか、或いはケトン体(1)に直接、フッ素化試薬を反応させることによって得ることができる。また、光学活性体、ラセミ体等の2種のエナンチオマー混合物又はジアステレオマーの混合物であるジフッ化化合物(3)は、モノフッ化化合物(2)を一旦エノールシリルエーテル体とした後フッ化試薬と反応させるか、モノフッ化化合物(2)に直接フッ化試薬と反応させるか、或いはケトン体(1)に2当量以上のフッ素化試薬を反応させることによって得ることができる。
【0017】
ここで、エノールシリルエーテル体の製造は、ケトン体(1)に、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、トルエン、ベンゼンなどの炭化水素類、メタノール、t−ブタノールなどのアルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド等の不活性溶媒中、例えばn−ブチルリチウム、s−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム類、例えばリチウムビストリメチルシリルアミド、カリウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムアミドなどの金属アミド類、例えば水素化ナトリウムなどの水素化金属類、又は、例えばトリエチルアミン等のアミン類等の塩基の存在下、例えばクロロトリメチルシラン、クロロt−ブチルジメチルシラン等のシリル化剤を反応させることによって行うことができる。ここでの反応温度は100℃以下が好ましく、更に−78℃から室温がより好ましい。
【0018】
また、エノールエステル体の製造は、上記シリル化剤を、例えば無水酢酸等の酸無水物、例えばプロピオニルクロライド等の酸ハライド、又は、例えば酢酸等のカルボン酸とエトキシカルボニルクロライド等のアルコキシカルボニルハライドから調製される混合酸無水物等に代えることにより、エノールシリルエーテル体の製造と同様に行うことができる。
【0019】
フッ素化試薬としては、例えば、N−フルオロピリジニウムトリフラート、N−フルオロ−N−t−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−フルオロサッカリンスルタム、N−フルオロビス(ベンゼンスルホン)イミド、N−フルオロ−o−ベンゼンスルホンイミドなどのN−フルオロ型フッ素化剤、フッ素、フッ化水素、酸性フッ化カリウム(HKF2)等の無機フッ化化合物、ClO3F、又はCF3COOF等を使用することができる。
【0020】
ここで、直接フッ素化試薬を反応させる態様としては、ケトン体(1)に、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、トルエン、ベンゼンなどの炭化水素類、メタノール、t−ブタノールなどのアルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド等の不活性溶媒中、例えばn−ブチルリチウム、s−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム類、例えばリチウムビストリメチルシリルアミド、ナトリウムアミドなどの金属アミド類、例えば水素化ナトリウムなどの水素化金属類、又は、例えばトリエチルアミン等のアミン類等の塩基の存在下、反応温度を好ましくは100℃以下で、より好ましくは−78℃から室温で、上記したようなフッ素化試薬を反応させる態様が好ましい。
【0021】
このようにして得られた、光学活性体、ラセミ体等の2種のエナンチオマー混合物又はジアステレオマーの混合物であるモノ又はジフッ素化化合物(4)は、下記式[化6]に示すように、例えば、ストレッカーアミノ酸合成(Strecker Amino Acid Synthesis)(Ann.,75,27(1850);91,349(1850))、ブッヘラー−ベルグス反応(Bucherer-Bergs Reaction)(J.Prakt.Chem.,140,69(1934))又はこれらの変法によって得られたアミノシアニド誘導体又はヒダントイン誘導体等を加水分解することによって、本発明化合物である対応する光学活性体、ラセミ体等の2種のエナンチオマー混合物又はジアステレオマーの混合物である含フッ素アミノ酸誘導体(5)とすることができる。
【化6】
Figure 0004171549
【0022】
具体的には、モノ又はジフッ化合物(4)は、例えば、シアン化ナトリウム又はシアン化カリウム及び炭酸アンモニウムと、例えばエタノールなどのアルコール類又はアルコール類と水の混合溶媒中、好ましくは30℃〜50℃で1日〜2日反応することにより、合成中間体であるヒダントイン誘導体とすることができる。前記ヒダントイン誘導体は、続いて、例えば水酸化ナトリウムなどの塩基、或いは塩酸、硫酸等の酸によって、例えばエタノールなどのアルコール類、ジオキサンなどのエーテル類、アセトンなどのケトン類、又は水などの不活性溶媒中加水分解することによって、本発明化合物である含フッ素アミノ酸誘導体(5)とすることが可能である。
【0023】
下記式[化7]に示すように、(1SR,5RS,6SR)−(1)で示されるケトン体に1つのフッ素原子が導入されたモノフッ化化合物(前出の(2)参照)のブッヘラー−ベルグス反応によって得られる、(1SR,5RS,6SR)−(6)で示されるヒダントイン誘導体は、例えばシリカゲル等を用いたカラムクロマトグラフィーや再結晶などの一般的な手法によって、(1SR,2SR,3SR,5RS,6SR)、(1SR,2SR,3RS,5RS,6SR)、(1SR,2RS,3SR,5RS,6SR)、(1SR,2RS,3RS,5RS,6SR)の4つのジアステレオマーに分離することが出来る。
【0024】
更に、この4つのジアステレオマーは、それぞれ、そのエステル部位を加水分解して(7)で示されるカルボン酸誘導体とした後、例えば塩基性キラル分割剤を用いた分割等の一般的な分割を行うことによって、(1S,2S,3S,5R,6S)、(1R,2R,3R,5S,6R)、(1S,2S,3R,5R,6S)、(1R,2R,3S,5S,6R)、(1S,2R,3S,5R,6S)、(1R,2S,3R,5S,6R)、(1S,2R,3R,5R,6S)、(1R,2S,3S,5S,6R)の8つのエナンチオマー(8)に分割できる。そして、これらのエナンチオマー(8)は、そのヒダントイン部位を加水分解によって、本発明化合物である8つの光学活性な含フッ素アミノ酸誘導体(9)とすることができる。
【化7】
Figure 0004171549
【0025】
ここで、塩基性キラル分割剤としては、例えば(+)又は(−)−1−フェニルエチルアミン、(+)又は(−)−2−アミノ−1−ブタノール、(+)又は(−)−アラニノール、ブルシン、シンコニジン、シンコニン、キニン、キニジン、デヒドロアビエチルアミン等の光学活性なアミン類を使用することができる。
【0026】
一方、本発明化合物の1つである、2つのフッ素原子を含有する4つの光学活性な(1S,2S,5R,6S)、(1R,2R,5S,6R)、(1S,2R,5R,6S)、(1R,2S,5S,6R)−含フッ素アミノ酸誘導体(12)は、下記式[化8]に示すように、(1SR,5RS,6SR)−(1)を出発原料にして上記の場合と同様にフッ素化、ヒダントイン化、ジアステレオマー(10)の分離、エステル部位の加水分解による誘導体(11)の生成、分割及びヒダントイン部位の加水分解を行うことによって合成することができる。
【化8】
Figure 0004171549
【0027】
なお、1つのフッ素原子を有する、(1SR,5RS,6SR)−(2)で示されるモノフッ化化合物は、下記式[化9]に示すように、[化7]と同様の一般的な手法によるジアステレオマーの分離、エステル部位の加水分解及び分割を行うことにより、(1S,3S,5R,6S)、(1R,3R,5S,6R)、(1S,3R,5R,6S)、(1R,3S,5S,6R)の4つの光学活性なケトカルボン酸(13)とすることができる。
【化9】
Figure 0004171549
【0028】
したがって、4つの光学活性なケトカルボン酸(13)について直接、或いはそのエステル化後に、式(5)により示した化合物の合成の場合と同様の操作を行い、また、更にジアステレオマーの分離を行うことによっても、光学活性な本発明化合物である含フッ素アミノ酸誘導体を製造することができる。
【0029】
また、下記式[化10]に示されるように、2つのフッ素原子を有する(1S,5R,6S)、(1R,5S,6R)の2つの光学活性なケトカルボン酸(14)は、2つのフッ素原子を有する(1SR,5RS,6SR)−(3)で示されるケトン体から、[化9]において式(13)により示した化合物の合成の場合と同様の操作、すなわち、エステルの加水分解及び分割によって得ることができる。
【化10】
Figure 0004171549
【0030】
したがって、2つの光学活性なケトカルボン酸(14)について直接、或いはエステル化後に、[化6]において式(5)により示した化合物の合成の場合と同様の操作を行い、更にジアステレオマーの分離を行うことによっても光学活性な本発明化合物である含フッ素アミノ酸誘導体を製造することができる。
【0031】
ところで、下記式[化11]に示されるように、式(6)で示される光学活性体、ラセミ体等の2種のエナンチオマー混合物又はジアステレオマーの混合物として存在する本発明化合物である含フッ素アミノ酸は、アミノ基をYで示される保護基で保護した後、R3−X2又はR4−X2で示されるアルキルハライド、もしくはR3−OH又はR4−OHで示されるアルコールを用いて一般的な方法にてエステル化し、アミノ基の保護基を除去することによって、式(15)で示される本発明化合物である含フッ素アミノ酸エステルに誘導することができる。
【化11】
Figure 0004171549
【0032】
ここで、アミノ基の保護、エステル化及びアミノ基の脱保護は、PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS,THEODORA W. GREENE and PETER G. M.WUTS著に示されるような一般的な方法で実施可能である。
【0033】
更に、式(15)で示される含フッ素アミノ酸エステル、又は、式(17)で示されるN−保護含フッ素アミノ酸エステルの各ジアステレオマーは、例えばシリカゲル等を用いたカラムクロマトグラフィーや再結晶などの一般的な手法によって分離することが出来る。また、式(15)の各ジアステレオマーは、例えば酸性キラル分割剤を用いた分割等の一般的な分割方法によって各エナンチオマーに分割できる。
【0034】
ここで、酸性キラル分割剤としては、(+)又は(−)−ジ−p−トルオルイル酒石酸、(+)又は(−)−ジベンゾイル酒石酸、(+)又は(−)−酒石酸、(+)又は(−)−マンデル酸、(+)又は(−)−しょうのう酸、又は(+)又は(−)−しょうのうスルホン酸等の光学活性な有機酸類を使用することが可能である。
【0035】
本発明化合物は1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と組み合わされて医薬的製剤とされることができる。前記担体、賦形剤及び希釈剤の例には、水、乳糖、デキストロース、フラクトース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、でんぷん、ガム、ゼラチン、アルギネート、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、セルロース、水シロップ、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルキルパラヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、グリセリン、ゴマ油、オリーブ油、大豆油などの各種油が含まれる。
【0036】
本発明化合物は、これらの担体、賦形剤又は希釈剤、そして、必要に応じて一般に使用される増量剤、結合剤、崩壊剤、pH調整剤、溶解剤などの添加剤が混合された上で、常用の製剤技術によって錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、粉剤、液剤、乳剤、懸濁剤、軟膏剤、注射剤、皮膚貼付剤などの経口又は非経口用医薬、特にグループ2メタボトロピックグルタミン酸受容体作用薬として調製されることができる。本発明の化合物は成人患者に対して0.01〜500mgを1日1回又は数回に分けて経口又は非経口で投与することが可能であるが、使用の容易性及び薬効の点からみて経口投与することが好ましい。なお、この投与量は治療対象となる疾病の種類、患者の年齢、体重、症状などにより適宜増減することが可能である。
【0037】
【実施例】
以下、実施例及び試験例を示し本発明を具体的に説明する。ただし、それによって本発明をこれらの例のみに限定するものでないことは云うまでもない。
【0038】
実施例1
(1SR,3RS,5RS,6SR)エチル 3−フルオロ−2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレート、及び(1SR,3SR,5RS,6SR)エチル 3−フルオロ−2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレートの合成
【0039】
窒素雰囲気下、n−ブチルリチウム30.9ml(1.54Mヘキサン溶液)と1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン7.50gから調製したリチウムビストリメチルシリルアミドのテトラヒドロフラン150ml中に、−75℃でテトラヒドロフラン150mlに溶解した(1SR,5RS,6SR)エチル 2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレート6.60gを滴下した。この温度で1時間撹拌した後、クロロトリメチルシラン7.5mlを加え、室温で1時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮後、残渣に無水ヘキサンを加え、生じた無機塩を濾別し、濃縮した。
【0040】
残渣を塩化メチレン66mlに溶解し、N−フルオロベンゼンスルホンイミド15.00gを加え、室温で16.5時間撹拌した。反応溶液を水で2回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾別後、減圧下、濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル:ワコウゲル(和光純薬製)、展開溶媒:ヘキサン−塩化メチレン−酢酸エチル=60:4:1)で精製し、(1SR,3RS,5RS,6SR)エチル 3−フルオロ−2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレートと(1SR,3SR,5RS,6SR)エチル 3−フルオロ−2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレートの混合物を4.30g得た。
【0041】
得られた化合物のプロトンNMRとマススペクトルデータを示す。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm);1.28(3Hx3/4,t,J=7.2Hz),1.29(3Hx1/4,t,J=7.2Hz),2.11-2.79(5H,m),4.18(2H,q,J=7.2Hz),4.51(1Hx1/4,dd,J=51Hz,8.1Hz),4.58(1Hx3/4,dt,J=51Hz,8.1Hz)
MS(FAB)(Pos)m/e;187(M++1)
【0042】
実施例2
(1SR,3RS,5RS,6SR)エチル 3−フルオロ−2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレート、及び(1SR,3SR,5RS,6SR)エチル 3−フルオロ−2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレートの合成
【0043】
窒素雰囲気下、n−ブチルリチウム1.5ml(1.54Mヘキサン溶液)と1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン0.38gから調製したリチウムビストリメチルシリルアミドのテトラヒドロフラン6ml中に、−75℃でテトラヒドロフラン6mlに溶解した(1SR,5RS,6SR)エチル 2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレート0.20gを滴下した。この温度で45分間撹拌した後、N−フルオロベンゼンスルホンイミド0.75gを加え、室温で2時間撹拌した。反応溶液を水で2回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾別後、減圧下、濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル:ワコウゲル(和光純薬製)、展開溶媒:ヘキサン−塩化メチレン−酢酸エチル=60:4:1)で精製し、(1SR,3RS,5RS,6SR)エチル 3−フルオロ−2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレートと(1SR,3SR,5RS,6SR)エチル 3−フルオロ−2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレートの混合物を0.08g得た。
【0044】
得られた化合物のプロトンNMRとマススペクトルデータを示す。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm);1.28(3Hx3/4,t,J=7.2Hz),1.29(3Hx1/4,t,J=7.2Hz),2.11-2.79(5H,m),4.18(2H,q,J=7.2Hz),4.51(1Hx1/4,dd,J=51Hz,8.1Hz),4.58(1Hx3/4,dt,J=51Hz,8.1Hz)
MS(FAB)(Pos)m/e;187(M++1)
【0045】
実施例3
(1SR,5RS,6SR)エチル 3,3−ジフルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレートの合成
【0046】
窒素雰囲気下、n−ブチルリチウム30.9ml(1.54Mヘキサン溶液)と1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン7.50gから調製したリチウムビストリメチルシリルアミドのテトラヒドロフラン150ml中に、−75°Cでテトラヒドロフラン150mlに溶解した(1SR,5RS,6SR)エチル 2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレート6.60gを滴下した。この温度で1時間撹拌した後、クロロトリメチルシラン7.5mlを加え、室温で1時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮後、残渣に無水ヘキサンを加え、生じた無機塩を濾別し、濃縮した。残渣を塩化メチレン66mlに溶解し、N−フルオロベンゼンスルホンイミド15.00gを加え、室温で16.5時間撹拌した。反応溶液を水で2回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾別後、減圧下、濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル:ワコウゲル(和光純薬製)、展開溶媒:ヘキサン−塩化メチレン−酢酸エチル=60:4:1)で精製し、(1SR,5RS,6SR)エチル 3,3−ジフルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレートを0.02g得た。
【0047】
得られた化合物のプロトンNMRとマススペクトルデータを示す。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm);1.30(3H,t,J=7.1Hz),2.42-2.80(5H,m),4.20(2H,q,J=7.1Hz)
MS(Ion Spray)(Nega)m/e;203(M+−1)
【0048】
実施例4
(1SR,5RS,6SR)エチル 3,3−ジフルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレートの合成
【0049】
窒素雰囲気下、n−ブチルリチウム5.0ml(1.54Mヘキサン溶液)と1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン1.40gから調製したリチウムビストリメチルシリルアミドのテトラヒドロフラン26ml中に、−75℃でテトラヒドロフラン6.5mlに溶解した実施例1で合成した化合物1.3gを滴下した。この温度で1時間撹拌した後、クロロトリメチルシラン1.3mlを加え、室温で1時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮後、残渣に無水ヘキサンを加え、生じた無機塩を濾別し、濃縮した。
【0050】
残渣を塩化メチレン13mlに溶解し、N−フルオロベンゼンスルホンイミド3.30gを加え、室温で5時間撹拌した。反応溶液を水で2回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤を濾別後、減圧下、濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル:ワコウゲル(和光純薬製)、展開溶媒:ヘキサン−塩化メチレン−酢酸エチル=60:4:1)で精製し、(1SR,5RS,6SR)エチル 3,3−ジフルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレートを0.34g得た。
【0051】
得られた化合物のプロトンNMRとマススペクトルデータを示す。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm);1.30(3H,t,J=7.1Hz),2.42-2.80(5H,m),4.20(2H,q,J=7.1Hz)
MS(Ion Spray)(Nega)m/e;203(M+−1)
【0052】
実施例5
(1SR,2SR,3SR,5RS,6SR)エチル 2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレート、(1SR,2SR,3RS,5RS,6SR)エチル 2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレート、及び(1SR,2RS,3RS,5RS,6SR)エチル 2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレートの合成
【0053】
(1SR,3RS,5RS,6SR)エチル 3−フルオロ−2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレートと(1SR,3SR,5RS,6SR)エチル 3−フルオロ−2−オキソシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレートの混合物4.84gを、水26mlとエタノール38mlの混合溶液に溶解し、炭酸アンモニウム6.25gとシアン化カリウム1.86gを加え35°Cで37時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却後水31mlを加え、更に氷冷下2.5時間撹拌し生じた結晶を濾取し、2.10gの第1結晶を得た。濾液に氷冷下濃塩酸を加えpHを1.0に調整し、生成した結晶を濾取し、2.00gの第2結晶を得た。
【0054】
第1結晶をクロマトグラフィー(シリカゲル:ワコウゲル(和光純薬製)、展開溶媒:クロロホルム−メタノール=100:1)に付し、低極性ジアステレオマーを0.61gと極性ジアステレオマーA(極性ジアステレオマーBを約25%を含む、極性ジアステレオマーAと極性ジアステレオマーBのRf値は同じ)0.55gに分離した。
【0055】
低極性ジアステレオマー0.61gを水−エタノール=1:1の混合溶液より再結晶し、(1SR,2SR,3SR,5RS,6SR)エチル 2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレートを0.52gを得た

【0056】
得られた化合物のプロトンNMRとマススペクトルデータを示す。
1H−NMR(DMSO-d6)δ(ppm);1.19(3H,t,J=7.0Hz),1.95-2.46(5H,m),4.06(2H,q,J=7.0Hz),4.81(1H,dd,J=52Hz,5.1Hz),8.44(1H,s),10.91(1H,s)
MS(EI)m/e;256(M+)
【0057】
また、極性ジアステレオマーA 0.55gを水−エタノール=1:1の混合溶液より再結晶し、(1SR,2SR,3RS,5RS,6SR)エチル 2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレート0.37gを得た。
【0058】
得られた化合物のプロトンNMRとマススペクトルデータを示す。
1H−NMR(DMSO-d6)δ(ppm);1.18(3H,t,J=7.1Hz),1.85-2.43(5H,m),4.05(2H,q,J=7.1Hz),4.70(1H,dt,J=52Hz,8.0Hz),8.21(1H,s),10.83(1H,s)
MS(EI)m/e;256(M+)
【0059】
一方、第2結晶を酢酸エチルで洗浄し不溶物を濾別後濾液を減圧下濃縮し、残渣を水−エタノール=1:1で2回再結晶した。この2回の再結晶濾液を減圧下濃縮し、残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル:ワコウゲル(和光純薬製)、展開溶媒:クロロホルム−メタノール=100:1)に付し前記低極性ジアステレオマーを完全に除去した。得られた極性ジアステレオマーB(極性ジアステレオマーAを約10%を含む)の結晶0.25gを水−エタノール=1:1で再結晶を行い、、(1SR,2RS,3RS,5RS,6SR)エチル 2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレートを0.18g得た。
【0060】
得られた化合物のプロトンNMRとマススペクトルデータを示す。
1H−NMR(DMSO-d6)δ(ppm);1.18(3H,t,J=7.1Hz),1.81-2.17(4H,m),2.36(1H,dd,J=13Hz,7.2Hz),3.95-4.11(2H,m),4.90(1H,ddd,J=51Hz,8.9Hz,7.2Hz),8.54(1H,s),10.87(1H,s)
MS(EI)m/e;256(M+)
【0061】
なお、上記と同様にして下記の化合物を合成した。
(1SR,2SR,5RS,6SR)エチル 2−スピロ−5´−ヒダントイン−3,3−ジフルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレート
【0062】
この化合物のプロトンNMRとマススペクトルデータを示す。
1H−NMR(DMSO-d6)δ(ppm);1.19(3H,t,J=7.0Hz),1.85-1.89(1H,m),2.00-2.08(1H,m),2.15-2.27(1H,m),2.33-2.50(1H,m),2.55-2.86(1H,m),4.07(2H,q,J=7.0Hz),8.49(1H,m)
MS(EI)m/e;274(M+)
【0063】
実施例6
(1SR,2SR,3RS,5RS,6SR)−2−アミノ−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカルボン酸の合成
【0064】
(1SR,2SR,3RS,5RS,6SR)エチル 2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレート300mgを3M水酸化ナトリウム水溶液2.5mlに溶解し、16時間加熱還流した。反応溶液を室温まで冷却後、ガラスフィルターで濾過し、濾液を濃塩酸でpH3にした後、イオン交換クロマトグラフィー(AG1−X8 陰イオン交換樹脂(Bio−Rad)、展開溶媒:0.1M酢酸〜3M酢酸)で精製し、(1SR,2SR,3RS,5RS,6SR)−2−アミノ−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカルボン酸を51mg得た。
【0065】
得られた化合物のプロトンNMRとマススペクトルデータを示す。
1H−NMR(TFA-d)δ(ppm);2.23-2.24(1H,m),2.56-2.96(4H,m),5.15(1H,dt,J=52Hz,7.5Hz)
MS(CI)m/e;204(M++1)
【0066】
なお、上記と同様にして下記の化合物を合成した。
(1SR,2SR,5RS,6SR)−2−アミノ−3,3−ジフルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカルボン酸
【0067】
この化合物のプロトンNMRとマススペクトルデータを示す。
1H−NMR(TFA-d)δ(ppm);2.46(1H,brs),2.63-2.90(3H,m),3.01-3.12(1H,m)
MS(CI)m/e;222(M++1)
【0068】
実施例7
(1SR,2SR,3SR,5RS,6SR)−2−アミノ−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカルボン酸の合成
【0069】
(1SR,2SR,3SR,5RS,6SR)エチル 2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレート100mgを60%硫酸水溶液1.5mlに溶解し、140℃で12時間加熱した。反応溶液を室温まで冷却後、5M水酸化ナトリウム水溶液でpH8にした後、イオン交換クロマトグラフィー(AG1−X8 陰イオン交換樹脂(Bio−Rad)、展開溶媒:0.1M酢酸〜2M酢酸)で精製し、(1SR,2SR,3SR,5RS,6SR)−2−アミノ−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカルボン酸を20mg得た。
【0070】
得られた化合物のプロトンNMRとマススペクトルデータを示す。
1H−NMR(TFA-d)δ(ppm);2.49(1H,brs),2.59-3.06(4H,m),5.40(1H,dd,J=52Hz,5.3Hz)
MS(CI)m/e;204(M++1)
【0071】
なお、上記と同様にして下記の化合物を合成した。
(1SR,2RS,3RS,5RS,6SR)−2−アミノ−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカルボン酸
【0072】
この化合物のプロトンNMRとマススペクトルデータを示す。
1H−NMR(TFA-d)δ(ppm);2.33(1H,brs),2.54-2.89(4H,m),5.42-5,59(1H,m)
MS(CI)m/e;204(M++1)
【0073】
実施例8
(1S,2S,3S,5R,6S)−2−アミノ−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカルボン酸の合成
【0074】
(1) (1SR,2SR,3SR,5RS,6SR)エチル 2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボキシレート2.20gと2M水酸化ナトリウム17mlの混合物を室温で撹拌した。2時間後、濃塩酸を加えpHを1.0に調整した。生成した結晶を濾過により単離し、乾燥して(1SR,2SR,3SR,5RS,6SR)2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボン酸を1.81g得た。
【0075】
この化合物のプロトンNMRとマススペクトルデータを示す。
1H−NMR(DMSO-d6)δ(ppm);1.85-2.44(5H,m),4.80(1H,dd,J=52Hz,5.3Hz),8.44(1H,s),10.88(1H,s),12.30(1H,brs)
MS(FAB)(Nega)m/e;227(M+−1)
【0076】
(2) (1SR,2SR,3SR,5RS,6SR)2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボン酸1.80gをアセトン:水=8:5の混合溶液26ml中55℃で撹拌し、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン0.96gを加えた後、室温で15時間 撹拌した。生成した結晶を濾過し、(R)−(+)1−フェニルエチルアミン塩1.30gを得た。なお、濾液は実施例9において使用した。
【0077】
次に、この塩1.20gを水15mlに懸濁し、1M塩酸を用いてpHを1.0に調整し、室温で14時間撹拌した。生成した結晶を濾過により単離し(1S,2S,3S,5R,6S)2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボン酸0.65gを得た。更に濾液はイオン交換クロマトグラフィー(AG50W−X8 陽イオン交換樹脂(Bio−Rad)、展開溶媒:1M酢酸)で精製し、(1S,2S,3S,5R,6S)2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボン酸を0.06g得た。この化合物の比旋光度は以下のとおりであった。
22[α]D=+36.84(c=0.20,MeOH)
【0078】
(3) (1S,2S,3S,5R,6S)2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボン酸0.60gを60%硫酸水溶液10mlに溶解し、140℃で2日間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却後、5M水酸化ナトリウム水溶液でpH8にした後、イオン交換クロマトグラフィー(AG1−X8 陰イオン交換樹脂(Bio−Rad)、展開溶媒:0.1M酢酸〜2M酢酸)で精製し、(1S,2S,3S,5R,6S)−2−アミノ−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカルボン酸を0.34g得た。この化合物の比旋光度は以下のとおりであった。
22[α]D=+58.61(c=0.20,1N HCl)
【0079】
実施例9
(1R,2R,3R,5S,6R)−2−アミノ−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカルボン酸の合成
【0080】
(1) 実施例8(2)の濾液を減圧下、濃縮した。得られた結晶1.3gと水17mlの混合物を1M塩酸を用いてpHを1.0に調整し、室温で撹拌した。4時間後、生成した結晶を濾取し0.81gの結晶を得た。濾液はイオン交換クロマトグラフィー(AG50W−X8 陽イオン交換樹脂(Bio−Rad)、展開溶媒:1M酢酸)で精製し、0.08gの結晶を得た。
【0081】
(2) 前記2つの結晶を合わせ(0.89g)、アセトン:水=8:5の混合溶液13mlを加え、55℃で撹拌した。この溶液に(S)−(−)−1−フェニルエチルアミン0.47gを加えた後、室温で15時間撹拌した。生成した結晶を濾過し、(R)−(−)−1−フェニルエチルアミン塩を1.10g得た。
【0082】
この塩を実施例8の(2)と同様に1M塩酸を用いてフリー体とし、(1R,2R,3R,5S,6R)2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボン酸0.58gを得た。濾液をイオン交換クロマトグラフィー(AG50W−X8 陽イオン交換樹脂(Bio−Rad)、展開溶媒:1M酢酸)で精製し、(1R,2R,3R,5S,6R)2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボン酸を0.07g得た。この化合物の比旋光度は以下のとおりであった。
22[α]D=−37.52(c=0.20,MeOH)
【0083】
(3)(1R,2R,3R,5S,6R)2−スピロ−5´−ヒダントイン−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−6−カルボン酸0.58gを実施例8の(3)と同様に反応し、(1R,2R,3R,5S,6R)−2−アミノ−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカルボン酸0.37gを得た。この化合物の比旋光度は以下のとおりであった。
22[α]D=−59.36(c=0.20,1N HCl)
【0084】
試験例1(被検薬のcAMP蓄積に及ぼす効果)
代謝型グルタメ−ト受容体 mGluR2安定発現CHO細胞を、10%透析馬胎児血清含有ダルベッコ改変イ−グル培地[1%Proline 50units/ml,Penicillin 50μg/ml,Streptomycin 2mM,L-glutamine(用時添加)]を用いて1.26×104cells/well/0.32cm2/150μlの割合で96穴プレ−トに播種し、37℃、5%CO2下で2日間培養を行った。その後、L-Glutamine free培地に交換し、4時間後に上清を吸引除去し、150μlのPBS(+)−IBMX(10mM PBS(-),1mM MgCl2,1mM CaCl2,1mM IBMX)を添加して、20分間、37℃、5%CO2存在下でインキュベ−ションを行った。再び上清を吸引除去し、60μlの10−5M Forskolin、10−10〜10−4Mの表1に示す被検体を含有したPBS(+)−IBMXを添加して15分間、37℃で5%CO2存在下インキュベ−ションを行い、Forskolin刺激cAMP蓄積量に対するアゴニストの抑制効果の検討を行った[コントロ−ルは、Forskolinと化合物無添加の条件とした。(Tanabe et al,Neuron,8,169-179(1992))]。100μlの氷冷エタノールを添加して反応停止し、上清を別のプレ−トに全量回収した後、エバポレーターで常温乾固し、−20℃で保存した。乾固したサンプルは、cAMP EIA kit(アマシャム社)を用いてcAMP量を定量した。各cAMP量からコントロ−ルの値を差し引いた。10−5MのForskolinで刺激を行ったときのcAMP蓄積を50%抑制する被検薬の濃度ED50値を求めた。結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004171549
【0085】
試験例2(マウスのメタンフェタミン運動過多に及ぼす効果)
雄性ICR系マウス(体重23−32g、日本チャールスリバー)を1群11〜12匹用いた。マウスは塩化ビニール製円筒透明測定ケージ(直径30cm、高さ30cm)に入れ90分間環境順化させた。
【0086】
次に、マウスに表2に示す各化合物を経口投与し、その30分後にメタンフェタミンを1mg/kg腹腔内投与した。その15分後に自動活動量測定装置(SCANET/SV−10、東洋産業株式会社)を用いてマウスの30分間の運動量をカウント数により測定した。前記各化合物は0.3%tween80−生理食塩水を溶媒として、これに懸濁して使用した。
【0087】
そして、溶媒のみを投与したマウス群のカウント数と、表2に示す各化合物を所定の用量づつ投与したマウス群のカウント数より抑制率を求め、ED50値を算出した。結果を表2に示す。なお、統計処理は分散分析(ANOVA)後、ダンネット検定によって行った。
【0088】
表2に示されるように、比較例としてのLY354740は0.01mg/kg経口投与群を除き、用量依存的にメタンフェタミン運動過多を抑制[F(4,54)=3.242,P<0.05]するが、ED50値は0.87mg/kgであった。一方、本発明化合物であるComp.1についても同様な作用が認められ[F(3,43)=3.306,P<0.05]たが、本発明化合物のED50値は0.05mg/kgであり、LY354740の17.4倍のメタンフェタミン運動過多抑制効果を有していた。
【表2】
Figure 0004171549
【0089】
【発明の効果】
本発明の含フッ素アミノ酸誘導体は医薬として有用であり、特にメタボトロピックなグルタミン酸受容体の作動薬として有用である。したがって、本発明は、例えば精神分裂病、不安及びその関連疾患、うつ病、二極性障害、てんかん等の精神医学的障害、例えば薬物依存症、認知障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、筋硬直に伴う運動障害、脳虚血、脳不全、脊髄障害、頭部障害等の神経学的疾患の治療及び予防に使用することができる。

Claims (6)


  1. Figure 0004171549
    [式中、X1は水素原子又はフッ素原子を示し、R1及びR2は同一又は異なって水素原子又は炭素原子数1−10のアルキル基を示す。]で表される含フッ素アミノ酸誘導体、その医薬上許容される塩又はその水和物。

  2. Figure 0004171549
    [式中、R1及びR2は同一又は異なって水素原子又は炭素原子数1−10のアルキル基を示す。]で表される相対的立体化学配置を有する含フッ素アミノ酸誘導体、その医薬上許容される塩又はその水和物。
  3. (1S,2S,3S,5R,6S)−2−アミノ−3−フルオロビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,6−ジカルボン酸、その医薬上許容される塩又はその水和物。
  4. 1つ又はそれ以上の医薬的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と組み合わされた請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を含有してなる医薬的製剤。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を有効成分とする医薬。
  6. グループ2メタボトロピックグルタミン酸受容体作用薬である請求項5に記載の医薬。
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