JP4171120B2 - 換気装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、主に、室外から室内に供給される空気を浄化することが出来る換気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の換気装置としては、図6に示す特公平4−239838号公報に記載されているようなものが知られている。
【0003】
このようなものでは、階段1下に設けられた換気室2の床板部3に、換気孔4が穿設されていて、この換気孔4には、防虫網4aが張設されている。
【0004】
この階段1のけあげ板5…には、換気孔6…が各々形成されて、図示省略の遮蔽板によって開閉量を調整することにより、換気される空気量を調整するように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の換気装置では、外気が汚れている場合は、導入する床下空気も汚れているため、換気により、室内空気を浄化する効果を得ることが出来ないといった問題があった。
【0006】
また、空気の流れも、床下と室内との温度差を利用した自然換気により行われている。このため、換気量を前記換気孔6…の開口面積により調整しようとしても、建築物内の空気の流れ量が温度差により決定されてしまい、室内空気の浄化が確実に行われるとは限らないといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記の問題点を解消し、室内空気の浄化を季節又は気候に左右されずに行うことが出来る換気装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本願発明の請求項1に記載されたものでは、建物の屋内に配設されて透明材料で構成される浄化ダクトを、床下まで延設すると共に、該浄化ダクト内に、空気浄化作用を有する植物を植え込む植物植え込み部を設け、しかも、該浄化ダクトの上部に、ダクト内を通過する空気を室内側に送風する送風手段としての一乃至複数の上部排気ファンが設けられており、前記浄化ダクトの屋内側の下部には、室内側の空気を該浄化ダクト内に導入する下部吸気ファンが設けられており、前記浄化ダクトの床下の床部延長部には、床下空間を該浄化ダクト内と連通する床下空気導入手段としての連通開口部が設けられ、前記連通開口部には、該連通開口部を開閉するダンパ開閉扉機構が設けられており、前記植物植え込み部には、脱臭効果を有する培土に、空気中の有毒ガスを吸収分解する微生物を共生させてなる培土層が設けられており、前記浄化ダクトまで採光を導光する導光手段が設けられている換気装置を特徴としている。
【0009】
このように構成された請求項1記載のものでは、前記植物植え込み部に植え込まれた植物が、前記浄化ダクト周囲からの光を受けて、光合成作用を行うと共に、前記浄化作用を行い該浄化ダクト内を通過する空気を浄化する。
【0010】
浄化された空気は、前記送風手段によって室内に一定量送風されるので、室内空気の浄化が、季節又は気候に左右されずに行える。
また、前記導光手段が、前記浄化ダクトまで採光を導光する。このため、例えば、天井部に設けられた天窓から入射した光が、前記植物植え込み部に植え込まれた植物まで届き、更に活発に浄化作用及び光合成作用を該植物に行わせることが出来る。
また、前記床下空気導入手段が、前記床下空間を該浄化ダクト内と連通させるので、例えば夏季等、床下空間の比較的温度の低い空気を浄化後に室内へ導入できる。
さらに、前記送風手段によって、空気は前記培土層内を通過するように負圧で引かれる。この際、培土層の培土が、空気中の悪臭を除去すると共に、微生物が、空気中の有毒ガスを吸収分解する。
このため、更に、室内空気の浄化が効率良く行われる。
【0018】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の具体的な実施の形態1について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1乃至図4は、この発明の実施の形態1の換気装置を示すものである。なお、前記従来例と同一乃至均等な部分については同一符号を付して説明する。
【0020】
まず、この実施の形態1の換気装置の構成を説明すると、ユニット建物10の屋内には、透明材料であるガラス板材12a…で四面を覆われた縦長の浄化ダクト12が、上下階を連結する階段部11近傍に沿って設けられている。
【0021】
この浄化ダクト12は、床部13を貫通して床下空間14内まで延設される筒状の床下延長部15を有している。
【0022】
この浄化ダクト12の床下延長部15内には、空気浄化作用を有する植物17を植え込む植物植え込み部16が設けられている。この実施の形態1では、植物として、ポトス、菊、アロエ、ガーベラ、セイヨウキズタ等を用いる。
【0023】
有毒性を有するガスとして、屋内環境では、例えば、たばこの煙,燃料,紙類から発生するホルムアルデヒドや、インク,ペンキ,接着剤,ドライクリーニング衣類等から発生するトリクロルエチレン或いは、インク,ペンキ,プラスチック,ゴム等から発生するベンゼン等が知られている。
【0024】
これらの有害物質は、図3に示すように、植物17によって除去されることが知られている。ここで、試験条件は、24時間,温度30±1℃,125±5フィート燭光の下、密封箱内で行われている。また、ベンゼンに関しては、図4に示すように初期濃度が低い場合であっても、特定の植物17によって除去可能であることが知られている(バイオサイエンスとインダストリーVol.49 No.10(’91)第1081頁乃至第1083頁記載の「植物による室内空気浄化能」中西友子著参照)。
【0025】
この実施の形態1の前記植物植え込み部16には、脱臭効果を有する培土19の植物17根域に、空気中の有毒ガスを吸収分解する有用微生物を共生させてなる培土層18が設けられている。
【0026】
また、この浄化ダクト12には、浄化ダクト12内を通過する空気を室内側に送風する送風手段としての上部排気ファン20,20と、下部から室内側の空気を前記浄化ダクト12内に導入する下部吸気ファン21とが設けられている。
【0027】
そして、この実施の形態1の換気装置では、天井部22に設けられた天窓23から、前記浄化ダクト12の上部まで採光を導光する導光手段としての間仕切り24,25が設けられている。
【0028】
この間仕切り24,25は、ガラス,プラスチック等の光を略全透過或いは半透過する素材で構成されて、相互略直交して上階部分の壁部を形成している。
【0029】
また、この実施の形態1では、前記浄化ダクト12の床下延長部14各壁面に、前記床下空間15をこの浄化ダクト12内空間と連通する床下空気導入手段としての連通開口部26,26が形成されている。この床下延長部14各壁面には、前記連通開口部26,26を開閉するダンパ開閉扉機構27,27が、設けられている。
【0030】
次に、この実施の形態1の作用について説明する。
【0031】
この実施の形態1では、前記植物植え込み部16に植え込まれた植物17が、前記浄化ダクト周囲からの光を受けて、光合成作用が行われると共に、前記浄化作用が行われて、二酸化窒素やオゾンが吸収されてこの浄化ダクト12内を通過する空気が浄化される。
【0032】
浄化された空気は、前記上部排気ファン20によって室内に一定量送風されるので、室内空気の浄化が、季節又は気候に左右されずに行われる。
【0033】
また、前記間仕切り24,25によって、前記天井部22に設けられた天窓23から入射した光が、前記浄化ダクト12上部まで導光される。このため、前記植物植え込み部16に植え込まれた植物17まで採光が届き、更に活発に浄化作用及び光合成作用をこの植物17に行わせることが出来る。
【0034】
更に、天窓23から採光した光が、上階の壁部を兼ねる間仕切り24,25内を伝って、浄化ダクト上部まで導光されるので、別途反射鏡等を設ける必要が無く、部品点数を削減して、製造コストの増大を抑制できる。
【0035】
そして、前記連通開口部26,26に設けられているダンパ開閉扉機構27によって、この連通開口部26,26が開放されることにより、床下空間部14が、この浄化ダクト12内と連通される。
【0036】
このため、例えば夏季等、床下空間部14の比較的温度の低い空気を浄化後に室内へ導入できる。更に、室内空気の浄化を主に行ういわゆる室内空気浄化モードでは、前記ダンパ開閉扉機構27によって、この連通開口部26,26を閉塞して、前記下部吸気ファン21から取り入れた室内の空気を、植物17及び培土層18によって浄化して再循環させる。
【0037】
また、前記上部排気ファン20によって、空気は前記培土層18内を通過するように負圧で引かれる。この際、培土層18の培土19によって、空気中の悪臭が除去されると共に、培土層18内に共生する微生物が、空気中の有毒ガスを吸収分解する。このため、更に、室内空気の浄化が効率良く行われる。
【0038】
【実施例】
図5は、この発明の一実施例の換気装置を用いた建物100を示すものである。なお、前記実施の形態1と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0039】
この実施例の建物100では、2階部分の半透明材料で形成される間仕切り壁30,30間及び1階部分の間仕切り壁31,31間によって、導光手段としての採光通路32が構成されている。そして、天窓23から小屋根裏101に入射する太陽光が、この採光通路32を通じて、各階の居室に分配されるものである。
【0040】
このうち、1階部分の一側面の間仕切り壁31には、透明ガラス材料で構成された窓部33を望ませて、前記植物17等を有する浄化ダクト12が設けられている。
【0041】
他の構成及び作用については、前記実施の形態1と略同一であるので、説明を省略する。
【0042】
以上、この発明の実施の形態1を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態1に限らず、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
【0043】
例えば、前記実施の形態1では、天窓23から採光するようにしているが特にこれに限らず、例えば、出窓或いはドライエリア等の各種開口部から採光してもよい。
【0044】
また、前記実施の形態1では、単数種類の植物15を用いているが特にこれに限らず、例えば異なる有害物質除去能力を有する複数の植物15…を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明の請求項1記載のものによれば、前記植物植え込み部に植え込まれた植物が、前記浄化ダクト周囲からの光を受けて、光合成作用を行うと共に、前記浄化作用を行い該浄化ダクト内を通過する空気を浄化する。
【0046】
浄化された空気は、前記送風手段によって室内に一定量送風されるので、室内空気の浄化が、季節又は気候に左右されずに行える。
【0047】
また、前記導光手段が、前記浄化ダクトまで採光を導光する。このため、例えば、天井部に設けられた天窓から入射した光が、前記植物植え込み部に植え込まれた植物まで届き、更に活発に浄化作用及び光合成作用を該植物に行わせることが出来る。
【0048】
そして、前記床下空気導入手段が、前記床下空間を該浄化ダクト内と連通させるので、例えば夏季等、床下空間の比較的温度の低い空気を浄化後に室内へ導入できる。
【0049】
また、前記送風手段によって、空気は前記培土層内を通過するように負圧で引かれる。この際、培土層の培土が、空気中の悪臭を除去すると共に、微生物が、空気中の有毒ガスを吸収分解する。
【0050】
このため、更に、室内空気の浄化が効率良く行われる、という実用上有益な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の換気装置で、構成を説明する斜視図である。
【図2】実施の形態1の換気装置で、構成を説明する模式図である。
【図3】植物の有害物質除去率を示す実験結果の表図である。
【図4】植物のベンゼン除去率を示し、初期濃度が低い場合の実験結果の表図である。
【図5】実施例の建物を説明する模式図である。
【図6】従来例の換気装置を説明する一部断面斜視図である。
【符号の説明】
12 浄化ダクト
14 床部延長部
15 床下空間部
16 植物植え込み部
17 植物
18 培土層
19 培土
20 上部排気ファン(送風手段)
24,25 間仕切り(導光手段)
床下空気導入手段
26 連通開口部
27 ダンパ開閉扉機構
32 採光通路(導光手段)
Claims (1)
- 建物の屋内に配設されて透明材料で構成される浄化ダクトを、床下まで延設すると共に、該浄化ダクト内に、空気浄化作用を有する植物を植え込む植物植え込み部を設け、しかも、該浄化ダクトの上部に、ダクト内を通過する空気を室内側に送風する送風手段としての一乃至複数の上部排気ファンが設けられており、
前記浄化ダクトの屋内側の下部には、室内側の空気を該浄化ダクト内に導入する下部吸気ファンが設けられており、
前記浄化ダクトの床下の床部延長部には、床下空間を該浄化ダクト内と連通する床下空気導入手段としての連通開口部が設けられ、前記連通開口部には、該連通開口部を開閉するダンパ開閉扉機構が設けられており、
前記植物植え込み部には、脱臭効果を有する培土に、空気中の有毒ガスを吸収分解する微生物を共生させてなる培土層が設けられており、
前記浄化ダクトまで採光を導光する導光手段が設けられていることを特徴とする換気装置。
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