JP4171057B2 - ニッケル溶出防止機能付給水装置 - Google Patents
ニッケル溶出防止機能付給水装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4171057B2 JP4171057B2 JP2007293499A JP2007293499A JP4171057B2 JP 4171057 B2 JP4171057 B2 JP 4171057B2 JP 2007293499 A JP2007293499 A JP 2007293499A JP 2007293499 A JP2007293499 A JP 2007293499A JP 4171057 B2 JP4171057 B2 JP 4171057B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water
- zinc
- nickel
- base metal
- water supply
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Domestic Plumbing Installations (AREA)
- Protection Of Pipes Against Damage, Friction, And Corrosion (AREA)
- Prevention Of Electric Corrosion (AREA)
Description
以下、本発明の実施の形態1に係るニッケル溶出防止機能付給水装置としてのニッケルフリー給水装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係るニッケルフリー給水装置としての自在単水栓を示す一部断面図である。
図1に示すように、実施の形態1に係るニッケルフリー給水装置は、単水栓10に自在吐水パイプ20を接続した壁付けタイプの自在単水栓(蛇口)10,20に具体化される。単水栓10は、管部11内部に弁孔12aを有する弁座12を一体形成している。管部11の内部には、前記弁座12を境にして第1の通水路11aと第2の通水路11bとが形成され、弁座12の弁孔12aを介して第1及び第2の通水路11a,11bが互いに連通されている。管部11の基端側には、壁側で給水管の先端に螺合して連続される給水口13が設けられ、給水口13の開口を介して、第1の通水路11aが給水管の通水路に接続して連通するようになっている。また、管部11の先端側には吐水口14が設けられている。更に、管部11は、快削黄銅等の鉛含有銅合金(銅系金属材)製の素地からなると共に、その素地表面(外部表面)には、ニッケルめっき層またはニッケルクロムめっき層からなるめっき層が形成されている。更に、ニッケルまたはニッケルクロムを主体とするニッケル付着層が、管部11の素地の外部表面のみならず、管部11の開口部(上部取付孔11c、給水口13、吐水口14)から内部表面にも、外部表面のめっきに付随して形成されている。詳細には、管部11の外部表面のめっき層形成に伴い、管部11の上部取付孔11cから内部にわたる所定範囲、給水口13から内部にわたる所定範囲及び吐水口14から内部にわたる所定範囲のそれぞれの内部表面に、ニッケル付着層が形成されている。また、管部11の素地の内部表面において前記上部取付孔11cと対向する部位である弁座12の周辺にもニッケル付着層が形成されている。即ち、管部11の第1及び第2の通水路11a,11bに沿った内部表面の一部及び弁座12の表面付近には、ニッケルめっきまたはニッケルクロムめっきに伴い、ニッケルまたはニッケルクロムを主体とするニッケル付着層が形成されている。この内部表面のニッケル付着層は、後述するように、意図して形成されるものではなく、めっき時に開口部を閉塞する処理(マスク処理)等の特殊な処理を行わない限り、外部表面へのめっきに伴って必然的に形成されるものである。
以下、本発明の実施の形態2に係るニッケル溶出防止機能付給水装置としてのニッケルフリー給水装置について説明する。図3は本発明の実施の形態2に係るニッケルフリー給水装置としての自在単水栓を示す側面図であり、その主要部を断面にて示すと共に、一部を拡大断面図にて示す。図4は本発明の実施の形態2に係る自在単水栓の通水路に設けられるリング状部材としての亜鉛リングを示す正面図であり、その右側半部を断面にて示す。図5は本発明の実施の形態2に係る自在単水栓の自在吐水パイプの吐水口に設けられる泡沫金具及び亜鉛リングを示し、(a)は泡沫金具を示す平面図、(b)は泡沫金具の右側半部を断面で示す正面図、(c)は亜鉛リングを示す平面図、(d)は亜鉛リングの右側半部を断面で示す正面図である。
図2の場合と同様に、図6に示すように、管部11の吐水口14の外部表面(強電部)にはニッケルめっき層POが形成される一方、吐水口14から内部表面に向かう所定範囲(弱電部)にも、ニッケル付着層PIが形成されている。なお、ニッケル付着層PIは、素地乃至管部11の吐水口14から内部に向かうにつれて徐々に薄くなる。また、自在吐水パイプ22の給水口23の外部表面(強電部)にはニッケルめっき層POが形成される一方、給水口23から内部表面に向かう所定範囲(弱電部)にも、ニッケル付着層PIが形成されている。なお、ニッケル付着層PIは、素地乃至自在吐水パイプ22の給水口23から内部に向かうにつれて徐々に薄くなる。なお、図6では、説明の便宜上、外部表面のニッケルめっき層POの膜厚や内部表面のニッケル付着層PIの膜厚を実際より大きく描画している。ここで、金属の腐食現象は、電位の異なる二極の存在のもとで発生するイオン溶出及び電子の移動を伴う電気化学反応(電池作用)である。そして、金属腐食のうち、キャビテーション腐食(キャビテーション・エロージョンとも呼ばれる)は、比較的流れの速い配管内など流速が急激に変化する箇所で発生する。このキャビテーション腐食は、急激な圧力低下により流体中に溶存するガスが気胞(キャビティ)となって発生し、これが崩壊するときに生じる高圧が金属表面の保護皮膜を破壊することに起因すると考えられている。また、キャビテーション腐食は、水栓や水栓部品等において部分的に水圧が低下するところに発生するが、これは通水路乃至流水路の形状(凹凸、隙間、隅角等)に起因するところが大きい。即ち、水栓等の通水路中において、狭い部分から水が噴出する部位、流水路が急激に方向を変える部位、流水方向が急に方向を変える部位、流水路中に障害物が存在する部位、流水が旋回流となる部位等では、渦や気泡等が発生してキャビテーション腐食が発生しやすい。また、温度が高く、腐食電位も大きい場所では、キャビテーション腐食がより一層発生しやすくなる。特に、これらの部位では、少量の水の存在下であっても、素地としての銅乃至銅合金とニッケルめっき層やニッケル付着層のニッケルとの間で腐食電池が形成されて大きな腐食電流が流れるため、それに伴って、同部位でキャビテーション腐食がより一層発生しやすくなる。例えば、水栓においては、水滴が付着する吐水口(水切り)や継手部等には、キャビテーション腐食が発生しやすく、また、ニッケル付着層のニッケルが大きく溶出する。同様に、ニッケル以外でも、銅とステンレス(クロム含有合金鋼、または、ニッケルクロム含有合金鋼)等の銅に対する卑金属が存在する部位では、キャビテーション作用に加えて腐食電池の作用により、キャビテーション腐食が発生しやすい。
以下、本発明の実施の形態3に係るニッケル溶出防止機能付給水装置としてのニッケルフリー給水装置について説明する。図7は本発明の実施の形態3に係るニッケルフリー給水装置としての単水栓を示す断面図である。
図7に示すように、実施の形態3に係る単水栓10は、自在吐水パイプ22を備えず、管部11の吐水口14から直接吐水する構成とした点を除き、実施の形態1に係る単水栓10と同様の全体構成とされ、こま18のケレップ18aに卑金属部としての亜鉛めっき層を形成している。更に、実施の形態3に係る単水栓10は、卑金属部としての整流器25Bを吐水口14の内部に収容して着脱自在に装着している。詳細には、整流器25Bは、真鍮等の所定材料の素地で所定の形状に形成され、当該素地の表面に亜鉛または亜鉛合金からなる卑金属めっき層としての亜鉛めっき層または亜鉛合金鍍金層を所定膜厚で形成している。整流器25Bの卑金属めっき層の亜鉛または亜鉛合金は、上記実施の形態のものと同様とすることができる。また、整流器25Bの卑金属めっき層の膜厚も、上記実施の形態のものと同様とすることができる。なお、実施の形態3に係る単水栓10は、実施の形態1と同様、管部11の止水部(弁座12部分)より上流側の管壁に、卑金属部としてのブッシュ19Aを着脱自在に取付けるよう構成してもよい。
以下、本発明の実施の形態4に係るニッケル溶出防止機能付給水装置としてのニッケルフリー給水装置について説明する。図8は本発明の実施の形態4に係るニッケルフリー給水装置としてのクランク付混合栓を示す一部断面図である。
実施の形態4に係るニッケルフリー給水装置は、クランク付混合水栓、即ち、クランク40を介して壁付けされる2ハンドル式の混合栓30に具体化される。混合栓30は、基部31の内部に弁座を設けている。基部31の内部には、通水路31aが形成されている。また、基部31の一側(壁側)には給水口32が設けられ、基部31の下側には吐水口が設けられている。更に、基部31は、快削黄銅等の鉛含有合金(銅系金属材)製の素地からなると共に、その素地表面には、ニッケルめっき層またはニッケルクロムめっき層からなるめっき層が形成されている。また、基部31の素地の外部表面のめっきに伴い、基部31の開口部(上部取付孔、給水口32、吐水口)から所定範囲にわたる内部表面(弁座周辺も含む)に、ニッケル付着層が形成されている。即ち、基部31の通水路31aに沿った内部表面等には、粗雑なニッケルめっきまたはニッケルクロムめっきからなるニッケル付着層が形成されている。一方、基部31の上部取付孔にはスピンドルが前後に2つ挿着され、各スピンドルの上端にはハンドル33が螺着されると共に、スピンドルの下端にはこまが固着されている(手前側のハンドル33のみ図示)。なお、スピンドルは、実施の形態1のスピンドル15と同様の材質により形成されている。一方、実施の形態4のこまは、従来のこまと同様の構成であり、ケレップと、ケレップの下端に固着したこまパッキンとからなる。なお、ケレップは、快削黄銅等の素地金属から形成される。加えて、基部31の前側には、吐水切替ハンドル34が取付けられている。また、基部31の吐水口(接続口)には袋ナット35を介してパイプ36が接続されている。
以下、本発明の実施の形態5に係るニッケル溶出防止機能付給水装置としてのニッケルフリー給水装置について説明する。図9は本発明の実施の形態5に係るニッケルフリー給水装置としてのクランク付混合栓を壁に固定した状態を示す一部断面図である。
図9に示すように、実施の形態5に係るクランク付混合栓30,40は、実施の形態4に係るクランク付混合栓30,40と同様の全体構成とされる一方、クランク40を壁Wに固定する持出金具(持出ソケット)45の内部に、卑金属部としての亜鉛リング46を着脱自在に収容して装着している。詳細には、クランク40の基端側(上流側)の給水口41(図9では図示略)は、持出金具45を介して壁Wに固定されている。持出金具45は、エルボ47を介して給水管48に接続されている。持出金具45は、フランジ付の略円筒状をなしている。そして、クランク40内の通水路40aが、給水口41、持出金具45及びエルボ47を介して、給水管48の通水路に連通するようになっている。持出金具45は、その軸方向に延びる通水路の内部の上流側端部に設けた収容凹部内に亜鉛リング46を着脱自在に嵌合(密嵌等)して装着している。一方、亜鉛リング46は、持出金具45の基端部(エルボ47側端部)に設けた収容凹部に対応して嵌合(密嵌等)自在な円形外周面を有する平リング状をなす。そして、亜鉛リング46は、クランク40を持出金具45に取付ける前に、持出金具45の収容凹部内に着脱自在に装着されている。また、持出金具45とクランク40も互いに着脱自在となっている。更に、上記実施の形態2のように、泡沫金具26を接合したアダプタ27がパイプ36の吐水口に対して着脱自在となっている。なお、持出金具45は、壁W内で、エルボ47を介して配管48に接続される。亜鉛リング46の卑金属めっき層の亜鉛または亜鉛合金は、上記実施の形態のものと同様とすることができる。また、亜鉛リング46の卑金属めっき層の膜厚も、上記実施の形態のものと同様とすることができる。なお、実施の形態5に係るクランク付混合栓30,40は、実施の形態4に係るクランク付混合栓30,40のように通水路40aの素地40xの内部表面に卑金属めっき層40yを形成することなく、単なる素地表面とすることも可能である。また、逆止こま44のケレップを、上記各実施の形態と同様の卑金属めっき層を設けたものとして、クランク40に着脱自在に内装してもよい。更に、パイプ36の吐水口の内部に、上記実施の形態3と同様の卑金属めっき層を有する整流器25Bを着脱自在に内装してもよい。更にまた、実施の形態5に係るクランク付混合栓30,40は、実施の形態1と同様、止水部より上流側にあるクランク40の管壁に、卑金属部としてのブッシュ19Aを着脱自在に取付けるよう構成してもよい。上記のように構成した実施の形態5に係るニッケルフリー給水装置としてのクランク付混合栓30,40は、実施の形態4のクランク付混合栓30,40と同様の作用及び効果を発揮する。
図10に示すように、本別例に係る持出金具45Aは、実施の形態5の持出金具45と形状が若干異なるが、ほぼ同様のフランジ付の略円筒状をなしている。また、持出金具45Aは、下流側(図10上側)の大径の円筒部の断面円形の内周面46aと、当該台形の円筒部と同軸状に一体形成した小径の円筒部の断面円形の内周面46bとを連通し、通水路を形成している。持出金具45Aの内周面46aには、前記クランク40の給水口41の外周面の雄ねじと螺合する雌ねじが螺刻されている。また、持出金具45Aの内周面46bには、前記エルボ47の上流側端部の小径部の外周面の雄ねじと螺合する雌ねじが螺刻されている。なお、持出金具45Aの内周面46aと内周面46bとの間の段差部に亜鉛リング46Aが着脱自在に嵌合(密嵌等)して収容配置されている。即ち、亜鉛リング46は、持出金具45Aの段差部により構成される収容凹部に対応して嵌合(密嵌等)自在な円形外周面を有する平リング状をなす。そして、亜鉛リング46Aは、持出金具45Aの軸方向に延びる通水路の中央付近に設けた収容凹部(前記段差部)内に着脱自在に嵌合(密嵌等)して装着されている。なお、亜鉛リング46Aは、クランク40を持出金具45Aに取付ける前に、持出金具45Aの収容凹部内に着脱自在に装着されている。当然、持出金具45Aは、クランク40及びエルボ47に対してそれぞれ着脱自在となっている。本別例の持出金具45A及び亜鉛リング46Aを使用しても、上記実施の形態5のクランク付混合栓30,40と同様の作用及び効果を発揮する。
以下、本発明の実施の形態6に係るニッケル溶出防止機能付給水装置としてのニッケルフリー給水装置について説明する。図11は本発明の実施の形態6に係るニッケルフリー給水装置としてのクランク付混合栓のクランク部分を示す拡大断面図である。
図11に示すように、実施の形態6に係るクランク付混合栓30,40は、実施の形態4に係るクランク付混合栓30,40と同様の全体構成とされる一方、クランク40の下流端の接続口42と混合栓30の給水口32との間を、卑金属部としての六角ナット止43Aにより着脱自在に連結している。詳細には、六角ナット止43Aは、前記クランクナット(六角ナット)43の内部に係止されるフランジを下流端に有すると共に、上流端にクランク40の接続口42に螺入自在なねじ部を形成した略円筒状をなす。また、六角ナット止43Aは、その通水路を構成する内部表面の全体に、上記実施の形態のような亜鉛めっき層または亜鉛合金鍍金層からなる卑金属めっき層を形成している。これにより、実施の形態6に係るクランク付混合栓30,40は、混合栓30とクランク40との連結部分においても、六角ナット止43Aによりニッケル溶出防止効果を発揮することができる。更に、実施の形態6に係るクランク付混合栓30,40は、キャビテーション腐食が発生しやすい混合栓30とクランク40との連結部分においても、六角ナット止43Aによりキャビテーション腐食防止効果を発揮することができる。
以下、実施の形態7に係るニッケルフリー給水装置について説明する。図12は本発明の実施の形態7に係るニッケルフリー給水装置としてのクランク付混合栓を示す一部断面図である。
実施の形態7に係るニッケルフリー給水装置は、クランク付混合栓、即ち、クランク60を介して壁付けされる2ハンドル式の混合栓50に具体化される。混合栓50は、切替ハンドル34を備えない点を除き、実施の形態5の混合栓30とほぼ同様の構成である。即ち、混合栓50の基部51の内部には通水路51aが形成されている。また、基部51の一側(壁側)には給水口52が設けられている。更に、基部51には、快削黄銅等の鉛含有銅合金(銅系金属材)製の素地からなると共に、その素地表面には、ニッケルめっき層またはニッケルクロムめっき層からなるめっき層が形成されている。また、実施の形態4と同様、基部51の素地の外部表面のめっきに伴い、基部51の開口部(上部取付孔、給水口52、吐水口)から所定範囲にわたる内部表面(弁座周辺も含む)に、ニッケル付着層が形成されている。即ち、基部51の通水路51aに沿った内部表面等には、粗雑なニッケルめっきまたはニッケルクロムめっきからなるニッケル付着層が形成されている。
以下、本発明の実施の形態8に係るニッケルフリー給水装置について説明する。図13は本発明の実施の形態8に係るニッケルフリー給水装置としてのクランク付混合栓を示し、その正面を一部断面にて示す図(左側の図)とその側面を一部断面にして示す図(右側の図)とを並べて図示している。
図13に示すように、実施の形態8に係るクランク付混合栓50,60は、実施の形態7に係るクランク付混合栓50,60と同様の全体構成とされる一方、卑金属部の構成を異なるものとしている。詳細には、混合栓50は、湯側の水栓部と水側の水栓部とを左右に並設して配置したものであり、混合栓50の各水栓部は、基部51の内部の弁座54の弁孔54aに対向して、こま55を着脱自在に配設している。こま55は、ケレップ55aとパッキン55bとを有している。実施の形態1のケレップ18a等と同様、卑金属部としてのケレップ55aの表面には、同様の亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっきからなる卑金属めっき層が形成されている。なお、実施の形態7と同様、基部51の上流側の通水路51aは、弁座54の弁孔54aを介して、下流側の通水路51bと連通している。また、混合栓50の左右の水栓部の基部51を連結する連結管の管壁の中央下面には、接続口53が突出形成されている。当該接続口53には、実施の形態4と同様にして、袋ナット35を介してパイプ36が接続されている。パイプ36の上端の開口(給水口)乃至前記接続口53の開口内部には、段付円筒リング状乃至フランジ付円筒リング状をなす亜鉛リング56が装着されている。リング状部材としての亜鉛リング56は、実施の形態2の亜鉛リング25とほぼ同様の構成でありパイプ36の上端開口(給水口)の内径と略同一の外径を有する円筒状の基部と、基部の上端外周に張り出して一体形成した段部(フランジ部)とを有する段付リング状をなす。そして、亜鉛リング56は、パイプ36の上端開口(給水口)に上方から嵌合(密嵌等)して、その段部を当該パイプ36の上端開口(給水口)に係止することにより、当該上端開口に着脱自在に挿着されている。亜鉛リング56の卑金属めっき層は、亜鉛リング25の卑金属めっき層と同様の構成とすることができる。また、実施の形態8に係る混合栓50は、実施の形態2に係る単水栓10と同様、パイプ36の先端の吐水口に、整流板乃至整流器25Aを内装した泡沫金具26をアダプタ27を介して着脱自在に取付けている。アダプタ27の内部には前記亜鉛リング28が着脱自在に配設されている。一方、クランク60Aは、実施の形態7のクランク60と同様の構成であるが、実施の形態7のクランク60とは異なり、その通水路60Aaに沿った内部表面には卑金属めっき層は形成していない。また、クランク60Aの給水口の開口には、実施の形態7のような亜鉛リング71は装着されていないが、無論、同様の亜鉛リング71を着脱自在に装着してもよい。なお、実施の形態1と同様、止水部より上流側にあるクランク60Aの管壁に、卑金属部としてのブッシュ19Aを着脱自在に取付けるよう構成してもよい。上記のように構成した実施の形態8に係るニッケルフリー給水装置としてのクランク付混合栓50,60は、実施の形態7のクランク付混合栓50,60と同様の作用及び効果を発揮する。
以下、本発明の実施の形態9に係るニッケルフリー給水装置について説明する。図14は本発明の実施の形態9に係るニッケルフリー給水装置としての浄水器具部品の吐水パイプ接続部分を示す一部断面図である。
図14に示すように、実施の形態9に係るニッケルフリー給水装置は、浄水器の給水経路や吐水経路を構成する浄水器具部品80に具体化される。浄水器具部品80は、基部81の先端に、ナット部82を介して吐水パイプ91を水密に接続している。基部81は内部に通水路81aを有し、通水路81aは吐水パイプ91の通水路91aと連通している。また、基部81は、快削黄銅等の鉛含有銅合金(銅系金属材)製の素地からなると共に、その素地表面には、ニッケルめっきまたはニッケルクロムめっきからなるめっき層が形成されている。めっき層は、実施の形態1等と同様、基部81の素地の外部表面のみならず、基部81の素地の内部表面にも形成されている。即ち、基部81の通水路81aに沿った内部表面等には、ニッケルめっきまたはニッケルクロムめっきからなるめっき層(意図しない粗雑なめっき層としての付着層)が形成されている。一方、吐水パイプ91は、快削黄銅等の鉛含有銅合金(銅系金属材)製の素地91xからなると共に、図14中の一点鎖線の拡大視にて示すように、その素地91x表面には、亜鉛めっき層からなる卑金属めっき層91yが形成されている。卑金属めっき層91yは、吐水パイプ91の素地91xの外部表面のみならず、素地91xの内部表面にも形成されている。即ち、吐水パイプ91の通水路91aに沿った内部表面は、卑金属めっき層91yにより、ニッケルよりイオン化傾向の大きな卑金属である亜鉛めっきからなる卑金属表面となっている。なお、吐水パイプ91の卑金属めっき層91yは、通常、内部表面の全体に形成されるが、内部表面の一部に形成してもよい。更に、実施の形態9の吐水パイプ91の内部表面を構成する卑金属表面は、黄銅等の素地表面に亜鉛めっきを施しためっき表面とすることが好ましいが、素地自体を亜鉛または亜鉛合金により形成し、素地表面をニッケルよりイオン化傾向の大きな卑金属表面とすることも可能である。
以下、実施の形態10に係るニッケルフリー給水装置について説明する。図15は本発明の実施の形態10に係るニッケルフリー給水装置としての浄水器専用水栓を示す一部断面図である。
実施の形態10に係るニッケルフリー給水装置は、キッチンシンク下等に内装されるタイプの浄水器(図示略)に使用される浄水器専用水栓80Aに具体化される。浄水器専用水栓80Aは、実施の形態9の浄水器具部品80と同様の構成であり、基部81の側面に原水・浄水切替用のハンドル83を装着している。また、吐水パイプ91Aは、実施の形態9の吐水パイプ91と同様の構成であるが、吐水パイプ91のように外部表面及び内部表面に卑金属めっき層91yを形成したものではない。吐水パイプ91Aの先端の吐水口には、樹脂材料等からなる吐水口キャップ92が着脱自在に装着されている。吐水口キャップ92の内部には、卑金属部を構成するリング状部材としての亜鉛リング93が着脱自在に装着されている。即ち、亜鉛リング93は、吐水口キャップ92の通水路内に設けた収容凹部(肩部)内に着脱自在に嵌合(密嵌等)して装着されている。亜鉛リング93は、上記各実施の形態の亜鉛リング28等と同様の平リング状の構成とされ、同様の構成の卑金属めっき層を表面に形成している。一方、浄水器からの浄水を浄水器専用水栓80Aに給水する給水パイプ94の下端(上流端)には、外周面に雄ねじを形成した円筒状の雄ねじ部材95が外嵌され、雄ねじ部材95の下端部には連結部材96の上端部が螺合して取付けられている。連結部材96は、浄水器からの給水管を給水パイプ94に連結して通水するためのものであり、連結部材96の内部には、卑金属部としてのリング状部材である亜鉛リング97が着脱自在に装着されている。即ち、亜鉛リング97は、連結部材96の通水路内に設けた収容凹部(肩部)内に着脱自在に嵌合(密嵌等)して装着されている。亜鉛リング97は、上記各実施の形態の亜鉛リング28等と同様の平リング状の構成とされ、同様の構成の卑金属めっき層を表面に形成している。このように構成した実施の形態10に係るニッケルフリー給水装置は、浄水器専用水栓80A全体の通水路の始端となる連結部材96の通水路内に亜鉛リング97を着脱自在に収容する一方、浄水器専用水栓80A全体の通水路の終端となる吐水パイプ91Aの吐水口キャップ92内に亜鉛リング93を着脱自在に収容している。よって、浄水器専用水栓80Aの通水路に沿った内部表面のニッケル付着層からのニッケルの溶出を抑制及び防止することができると共に、特に、キャビテーション腐食の発生しやすい部位(給水パイプ94の始端部付近や吐水パイプ91Aの吐水口付近)に位置する亜鉛リング97,93が、当該部位でのキャビテーション腐食を大幅に抑制及び防止する。
以下、本発明の実施の形態11に係るニッケルフリー給水装置について説明する。図16は本発明の実施の形態11に係るニッケルフリー給水装置としてのアングル止水栓を示す一部断面図である。
図16に示すように、実施の形態6に係るニッケルフリー給水装置は、アングル止水栓100に具体化される。アングル止水栓100は、配管経路途中に設けられ、略90度交差する配管を接続する止水栓である。アングル止水栓100は、基部101の内部にアングル状の第1及び第2の通水路101a,101bを有している。また、基部101の下端側(上流端側)には給水口102が設けられ、基部101の側端側(下流端側)には接続口103が設けられている。基部101の内部に配設したこま104は、ケレップ104a及びパッキン104bを有している。また、こま104は、スピンドル15を介して接続されたハンドル17を正逆回転することにより、基部101の内部の弁座105に対し着座及び離脱して弁孔105aを閉塞及び開放するようになっている。なお、弁座105を境にして第1の通水路101aと第2の通水路101bとが区画され、弁座105の弁孔105aを介して第1及び第2の通水路101a,101bが互いに連通されている。また、基部101は、快削黄銅等の鉛含有合金(銅系金属材)製の素地からなると共に、その素地表面には、ニッケルめっき層またはニッケルクロムめっき層からなるめっき層が形成されている。更に、基部101の外部表面のめっき処理に伴い、実施の形態1等と同様、基部101の開口部から内部にわたる所定範囲の部位(上部取付孔に対向する弁座105の周辺部位、給水口102の内部周辺部位、接続口103の内部周辺部位)に前記ニッケル付着層が形成されている。また、前記接続口103には袋ナット106を介して側部配管107が接続され、給水口102には下部配管108がねじ込みにより接続されている。ここで、実施の形態1等と同様、こま104のケレップ104aは、卑金属部を構成し、真鍮等の素地の表面に亜鉛めっきまたは亜鉛合金鍍金からなる卑金属めっき層を形成している。このように構成した実施の形態11に係るニッケルフリー給水装置は、ケレップ104aの卑金属めっき層が弁座105に対向して近接配置されると共に、給水口102及び接続口103にもそれぞれ比較的近接して配置される。したがって、ケレップ104aの卑金属めっき層が、上記実施の形態の場合と同様にして、内部表面のニッケル付着層からのニッケルの溶出を効果的に抑制及び防止すると同時に、キャビテーション腐食が発生しやすい部位(弁座105の周辺部位、給水口102の内部周辺部位及び接続口103の内部周辺部位)におけるキャビテーション腐食を効果的に抑制及び防止する。
以下、実施の形態12に係るニッケルフリー給水装置について説明する。図17は本発明の実施の形態12に係るニッケルフリー給水装置としての分岐栓を示す一部断面図である。
図17に示すように、実施の形態12に係るニッケルフリー給水装置は、分岐栓110に具体化される。分岐栓110は、基部111の内部に第1及び第2の通水路111a,111bを有している。また、基部111の一端側(下流端側)には接続口112が設けられ、基部111の他端側(上流端側)には給水口113が設けられている。基部111の内部に配設したこま114は、ケレップ114a及びパッキン114bを有している。また、こま114は、スピンドル15を介して接続されたハンドル17を正逆回転することにより、基部111の内部の弁座115に対し着座及び離脱して弁孔115aを閉塞及び開放するようになっている。なお、弁座115を境にして第1の通水路111aと第2の通水路111bとが区画され、弁座115の弁孔115aを介して第1及び第2の通水路111a,111bが互いに連通されている。また、基部111は、快削黄銅等の鉛含有合金(銅系金属材)製の素地からなると共に、その素地表面には、ニッケルめっき層またはニッケルクロムめっき層からなるめっき層が形成されている。更に、基部111の外部表面のめっき処理に伴い、実施の形態1等と同様、基部111の開口部から内部にわたる所定範囲の部位(上部取付孔に対向する弁座115の周辺部位、給水口113の内部周辺部位、接続口12の内部周辺部位)に前記ニッケル付着層が形成されている。また、前記接続口112には袋ナット116を介して分岐配管117が接続されている。ここで、実施の形態1等と同様、こま114のケレップ114aは、卑金属部を構成し、真鍮等の素地の表面に亜鉛めっきまたは亜鉛合金鍍金からなる卑金属めっき層を形成している。このように構成した実施の形態12に係るニッケルフリー給水装置は、ケレップ114aの卑金属めっき層が弁座115に対向して近接配置されると共に、給水口113及び接続口112にもそれぞれ比較的近接して配置される。したがって、ケレップ114aの卑金属めっき層が、上記実施の形態の場合と同様にして、内部表面のニッケル付着層からのニッケルの溶出を効果的に抑制及び防止すると同時に、キャビテーション腐食が発生しやすい部位(弁座115の周辺部位、給水口113の内部周辺部位及び接続口112の内部周辺部位)におけるキャビテーション腐食を効果的に抑制及び防止する。
以下、実施の形態13に係るニッケルフリー給水装置について説明する。図18は本発明の実施の形態13に係るニッケルフリー給水装置としてのシングルレバー混合栓を示す断面図である。
図18に示すように、実施の形態13に係るニッケルフリー給水装置は、シングルレバー混合栓120に具体化される。シングルレバー混合栓120は、基部121のハンドル122を操作することにより湯または水を吐水パイプ123の先端の吐水部124から選択的に吐出するものである。吐水部124には、実施の形態2の泡沫金具26と同様、整流板126を内装した泡沫金具125が着脱自在に取付けられている。また、泡沫金具125の内部の通水路において吐水部124との境界部乃至接合部(吐水パイプ123の先端開口付近)には、実施の形態2の亜鉛リング28と同様の卑金属部を構成するリング状部材としての亜鉛リング127が着脱自在に装着されている。即ち、亜鉛リング127は、吐水パイプ123に近接して位置する泡沫金具125の通水路内に設けた収容凹部(肩部)内に着脱自在に嵌合(密嵌等)して装着されている。亜鉛リング127は、上記各実施の形態の亜鉛リング28等と同様の構成の平リング状とされ、同様の構成の卑金属めっき層を表面に形成している。このように構成した実施の形態13に係るニッケルフリー給水装置は、泡沫金具125内の亜鉛リング127の卑金属めっき層が、上記実施の形態の場合と同様にして、内部表面のニッケル付着層からのニッケルの溶出を効果的に抑制及び防止すると同時に、キャビテーション腐食が発生しやすい部位(給水口パイプ123の内部周辺部位)におけるキャビテーション腐食を効果的に抑制及び防止する。
以下、実施の形態14に係るニッケルフリー給水装置について説明する。図19は本発明の実施の形態14に係るニッケルフリー給水装置としてのクランク付シングルレバー混合栓を示す断面図である。
図19に示すように、実施の形態14に係るニッケルフリー給水装置は、クランク付シングルレバー混合栓130,150に具体化される。このうち、シングルレバー混合栓130は、基部131の上端にハンドル132を操作自在に取付けている。基部131の下端には接続口133が設けられている。また、接続口133には、袋ナット135を介して吐水パイプ137が接続されている。ここで、接続口133の内部の通水路の収容凹部には、卑金属部を構成するリング状部材としての亜鉛リング133Aが着脱自在に装着されている。亜鉛リング133Aは、実施の形態2の亜鉛リング25等と同様の構成の段付リング状とされ、同様の構成の卑金属めっき層を表面に形成している。即ち、亜鉛リング133Aは、吐水パイプ137の上端開口(給水口)の内径と略同一の外径を有する円筒状の基部と、基部の上端外周に張り出して一体形成した段部(フランジ部)とを有する段付リング状をなす。そして、亜鉛リング133Aは、吐水パイプ137の上端開口(給水口)に上方から嵌合(密嵌等)して、その段部を当該吐水パイプ137の上端開口(給水口)に係止することにより、当該上端開口に着脱自在に挿着されている。吐水口137の先端の吐水部138には、実施の形態2の泡沫金具26と同様、整流板140を内装した泡沫金具139が着脱自在に取付けられている。また、泡沫金具139の内部の通水路において吐水部138との境界部乃至接合部(吐水パイプ137の先端開口付近)には、実施の形態2の亜鉛リング28と同様の卑金属部を構成するリング状部材としての亜鉛リング141が着脱自在に装着されている。即ち、亜鉛リング141は、吐水パイプ137に近接して位置する泡沫金具139の通水路内に設けた収容凹部(肩部)内に着脱自在に嵌合(密嵌等)して装着されている。亜鉛リング141は、上記各実施の形態の亜鉛リング28等と同様の構成の平リング状とされ、同様の構成の卑金属めっき層を表面に形成している。
以下、実施の形態15に係るニッケルフリー給水装置について説明する。図20は本発明の実施の形態15に係るニッケルフリー給水装置としてのシングルレバー混合栓を示す断面図である。
図20に示すように、実施の形態15に係るニッケルフリー給水装置は、シングルレバー混合栓160に具体化される。シングルレバー混合栓160は、基部161のハンドル162を操作することにより湯または水を吐水パイプ163の先端の吐水部164から選択的に吐出するものである。吐水部164には、実施の形態2の泡沫金具26と同様、整流板166を内装した泡沫金具165がアダプタ167を介して着脱自在に取付けられている。また、泡沫金具165の内部の通水路において吐水部164との境界部乃至接合部(吐水パイプ163の先端開口付近)には、実施の形態2の亜鉛リング28と同様の卑金属部を構成するリング状部材としての亜鉛リング168が着脱自在に装着されている。即ち、亜鉛リング168は、吐水パイプ163に近接して位置する泡沫金具165の通水路内に設けた収容凹部(肩部)内に着脱自在に嵌合(密嵌等)して装着されている。亜鉛リング168は、上記各実施の形態の亜鉛リング28等と同様の構成の平リング状とされ、同様の構成の卑金属めっき層を表面に形成している。一方、基部161の下端から突出する水側の給水管171の下端には、実施の形態10の雄ねじ部材95及び連結部材96と同様の構成の雄ねじ部材173及び連結部材174が取付けられ、原水(冷水)用配管の先端を接続するようになっている。同様に、基部161の下端から突出する湯側の給水管172の下端にも、同様の構成の雄ねじ部材175及び連結部材176が取付けられ、温水用配管の先端を接続するようになっている。更に、連結部材176の内部には、卑金属部としてのリング状部材である亜鉛リング178が着脱自在に装着されている。即ち、亜鉛リング178は、連結部材176の通水路内に設けた収容凹部(肩部)内に着脱自在に嵌合(密嵌等)して装着されている。亜鉛リング178は、上記各実施の形態の亜鉛リング28等と同様の平リング状の構成とされ、同様の構成の卑金属めっき層を表面に形成している。なお、連結部材174の内部にも、同様に、卑金属部としてのリング状部材である亜鉛リング178が着脱自在に装着されている。
以下、実施の形態16に係るニッケルフリー給水装置について説明する。図21は本発明の実施の形態16に係るニッケルフリー給水装置としてのボールバルブを示す断面図である。
図21に示すように、実施の形態16に係るニッケルフリー給水装置は、ボールバルブ180に具体化される。ボールバルブ180は、ハンドル181を一端開口部182及び他端開口部183間の上面中央に着脱自在に取付けている。一端開口部182の内周面及び他端開口部183の内周面により通水路182a,183aが構成される。また、ハンドル181には、ねじ部材184を介して弁棒185が同軸状に取付けられている。弁棒185は、ねじ部材184によりハンドル181から着脱自在となっている。また、弁棒185は、通水路182a,183aを連通及び連通遮断する弁体186を開閉操作自在となっている。ここで、弁棒185は、本実施の形態の卑金属部を構成し、真鍮等の素地表面に亜鉛めっきや亜鉛合金めっきからなる卑金属めっき層を形成したものである。なお、卑金属めっき層の構成は上記実施の形態と同様とすることができる。更に、他端開口部183の通水路183aの基端には、卑金属部を構成するリング状部材としての亜鉛リング187が着脱自在に嵌合(密嵌等)して装着されている。亜鉛リング187は、上記実施の形態の亜鉛リング28等と同様の構成の平リング状をなし、表面に上記実施の形態と同様の亜鉛めっきや亜鉛合金めっきからなる卑金属めっき層を形成したものである。このように構成した実施の形態16に係るニッケルフリー給水装置としてのボールバルブ180は、配管経路上に取付けられると、通水路182a,183a全体の略中央付近で、かつ、弁体186の直近に位置する弁棒185及び通水路183aの基端で、かつ、弁体186の直近に位置する亜鉛リング187の各卑金属めっき層が、上記実施の形態の場合と同様にして、内部表面のニッケル付着層からのニッケルの溶出を効果的に抑制及び防止すると同時に、キャビテーション腐食が発生しやすい部位(弁体186の周辺部位)におけるキャビテーション腐食を効果的に抑制及び防止する。
以下、実施の形態17に係るニッケルフリー給水装置について説明する。図22は本発明の実施の形態17に係るニッケルフリー給水装置としての六角ニップルを示す断面図である。
図22に示すように、実施の形態17に係るニッケルフリー給水装置は、配管部品としての六角ニップル190に具体化される。六角ニップル190は、略円筒状の基部191の長さ方向中央の外面に突起部192を一体形成している。基部191の内周面により構成される通水路191aの長さ方向中央に設けた円形溝状の収容凹部には、卑金属部を構成するリング状部材としての亜鉛リング193が着脱自在に嵌合(密嵌等)して装着されている。亜鉛リング193は、上記実施の形態の亜鉛リング28等と同様の構成の平リング状または円形断面のリング状をなし、表面に上記実施の形態と同様の亜鉛めっきや亜鉛合金めっきからなる卑金属めっき層を形成したものである。このように構成した実施の形態17に係るニッケルフリー給水装置としての六角ニップル190は、配管経路上に取付けられると、通水路191a全体の略中央付近に位置する亜鉛リング193の卑金属めっき層が、上記実施の形態の場合と同様にして、内部表面のニッケル付着層からのニッケルの溶出を効果的に抑制及び防止する。
以下、実施の形態18に係るニッケルフリー給水装置について説明する。図23は本発明の実施の形態18に係るニッケルフリー給水装置としてのエルボを示す断面図である。
図23に示すように、実施の形態18に係るニッケルフリー給水装置は、配管部品としてのエルボ200に具体化される。エルボ200は、略L字筒状をなし、基部201の内周面により通水路201aを構成し、基部201の一端開口部202の内周面により構成される通水路202aと、基部201の他端開口部203の内周面により構成される通水路203aとを連通している。基部201の通水路201aと一端開口部202の通水路202aとの間の段差部に設けた溝状の収容凹部には、卑金属部を構成するリング状部材としての亜鉛リング204が着脱自在に嵌合(密嵌等)して装着されている。亜鉛リング204は、上記実施の形態の亜鉛リング28等と同様の構成の平リング状または円形断面のリング状をなし、表面に上記実施の形態と同様の亜鉛めっきや亜鉛合金めっきからなる卑金属めっき層を形成したものである。このように構成した実施の形態18に係るニッケルフリー給水装置としてのエルボ200は、配管経路上に取付けられると、通水路201aと通水路202aとの間に位置する亜鉛リング204の卑金属めっき層が、上記実施の形態の場合と同様にして、内部表面のニッケル付着層からのニッケルの溶出を効果的に抑制及び防止する。
以下、実施の形態19に係るニッケルフリー給水装置について説明する。図24は本発明の実施の形態19に係るニッケルフリー給水装置としてのチーズを示す断面図である。 図24に示すように、実施の形態19に係るニッケルフリー給水装置は、配管部品としてのチーズ210に具体化される。チーズ210は、上側開口部211と、右側開口部212と、左側開口部213とを三又状に連結してなるものであり、上側開口部211の内周面により通水路211aを構成し、右側開口部212の内周面により通水路212aを構成し、左側開口部213の内周面により通水路213aを構成して、それらで中央で連結する中央部分の通水路210aと通水路211a,212a,213aを連通している。上側開口部211の通水路211aの基端に設けた溝状の収容凹部には、卑金属部を構成するリング状部材としての亜鉛リング214が着脱自在に嵌合(密嵌等)して装着されている。亜鉛リング214は、上記実施の形態の亜鉛リング28等と同様の構成の平リング状または円形断面のリング状をなし、表面に上記実施の形態と同様の亜鉛めっきや亜鉛合金めっきからなる卑金属めっき層を形成したものである。このように構成した実施の形態19に係るニッケルフリー給水装置としてのチーズ210は、配管経路上に取付けられると、通水路211aの基端に位置する亜鉛リング214の卑金属めっき層が、上記実施の形態の場合と同様にして、内部表面のニッケル付着層からのニッケルの溶出を効果的に抑制及び防止する。
以下、実施の形態20に係るニッケルフリー給水装置について説明する。図25は本発明の実施の形態20に係るニッケルフリー給水装置としてのユニオンを示す断面図である。
図25に示すように、実施の形態20に係るニッケルフリー給水装置は、配管部品としてのユニオン220に具体化される。ユニオン220は、一端開口部221と他端開口部222とをナット状の連結部材223により連結したもので、一端開口部221の内周面により構成される通水路221aと、他端開口部222の内周面により構成される通水路222aとを連通している。一端開口部221の通水路211aに設けた溝状の収容凹部には、卑金属部を構成するリング状部材としての亜鉛リング224が着脱自在に嵌合(密嵌等)して装着されている。亜鉛リング224は、上記実施の形態の亜鉛リング28等と同様の構成の平リング状または円形断面のリング状をなし、表面に上記実施の形態と同様の亜鉛めっきや亜鉛合金めっきからなる卑金属めっき層を形成したものである。このように構成した実施の形態20に係るニッケルフリー給水装置としてのユニオン220は、配管経路上に取付けられると、通水路221aに配置した亜鉛リング224の卑金属めっき層が、上記実施の形態の場合と同様にして、内部表面のニッケル付着層からのニッケルの溶出を効果的に抑制及び防止する。
図26は本発明の実施の形態21に係るニッケルフリー給水装置としての持出金具(持出ソケット)を示す正面図であり、その右半部のみを断面視にて示す。
図26に示すように、実施の形態21に係るニッケルフリー給水装置は、配管部品としての持出金具(持出ソケット)230に具体化される。持出金具230は、円筒状の基部231と、基部231より小径をなし当該基部231の軸方向一端(図26中の下端)に同軸状に一体形成された円筒状の雄螺子部232と、基部231の軸方向他端に一体形成されたリング板状のフランジ部233とからなる。基部231及び雄螺子部232の内面には、それぞれ、互いに連通する通水路231a及び通水路232aが形成されている。基部231の内面と雄螺子部232の内面の境界部に形成された段差部には、卑金属部を構成するリング状部材としての亜鉛リング234が着脱自在に載置嵌合して装着されている。亜鉛リング234は、基部231の内面に対応して当該基部231の内面と略同一の外径の円形平リング状に形成されている。亜鉛リング234の表面の全体には、上記実施の形態と同様、例えば、真鍮等の金属素地に所定膜厚(例えば、約500μ)の卑金属めっき(亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっき等)が施されている。このように構成した実施の形態21に係るニッケルフリー給水装置としての持出金具230は、配管経路上に取付けられると、通水路231aの基端に位置する亜鉛リング234の卑金属めっき層が、上記実施の形態の場合と同様にして、内部表面のニッケル付着層からのニッケルの溶出を効果的に抑制及び防止する。
図27は本発明の実施の形態22に係るニッケルフリー給水装置で使用可能なリング状部材としての亜鉛リングを示し、図27(a)はその平面図、図27(b)は図27(a)のA−A線断面図である。
図27に示すように、実施の形態22に係るニッケルフリー給水装置で使用可能なリング状部材としての亜鉛リング240は、例えば、上記実施の形態16のボールバルブ180の亜鉛リング187、実施の形態17の六角ニップル190の亜鉛リング193、実施の形態18のエルボ200の亜鉛リング204、実施の形態19のチーズ210の亜鉛リング214、実施の形態20のユニオン220の亜鉛リング224、実施の形態21の持出金具230の亜鉛リング234の代わりに使用可能なものである。亜鉛リング240は、円形リングの円周方向一部を切り欠いて開口部241とした略C字状の平面形状を有する。また、亜鉛リング240の両端部(開口部241の両側)には、それぞれ、円形の小孔242が厚さ方向に貫通形成されている。亜鉛リング240は、上記実施の形態と同様、例えば、真鍮等の金属素地に所定膜厚(例えば、約500μ)の卑金属めっき(亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっき等)を施したものである。したがって、亜鉛リング240は、上記各実施の形態のニッケルフリー給水装置に使用されて、上記各実施の形態の亜鉛リングと同様の作用及び効果を発揮する。また、亜鉛リング240は略C字状をなすため、開口部241の両側から内方に圧力を加えて開口部241を狭めることにより、ニッケルフリー給水装置の取付部位に設けた嵌合溝乃至円形凹部等に容易に装着することができ、かつ、自身の弾性による形状復帰により当該嵌合溝乃至円形凹部等からの離脱を防止することができる。また、亜鉛リング240は一対の貫通孔としての小孔242を有するため、亜鉛リング240の表面上に存在する水が、一対の小孔242を介して亜鉛リング240の厚さ方向一側面から他側面へと流通する。したがって、亜鉛リング240の厚さ方向一側面がニッケルフリー給水装置の通水路に面する一方で他側面が通水路に面しない(取付部位の内面に対向する)場合でも、亜鉛リング240の厚さ方向一側面から他側面へと通水路の水が進行し、当該他側面の小孔242部分から当該他側面の全体に拡散する(他側面と取付部位の内面との隙間が微小であっても、毛細管効果により当該他側面の全面に行き渡る)。その結果、亜鉛リング240の他側面においても卑金属表面による上記効果(ニッケル溶出防止効果やキャビティ腐食防止効果等)を十分に発揮することができる。なお、前記開口部241も、亜鉛リング240の表面のうちの隠れた面(取付部位の内面に対向する面)へと通水路の水を流通すべく機能して、やはり、亜鉛リング240全体による上記作用効果を促進する。
図28は本発明の実施の形態23に係るニッケルフリー給水装置としてのジョイントニップルを示す正面図であり、その右半部のみを断面視にて示す。図29は本発明の実施の形態23に係るニッケルフリー給水装置としてのジョイントニップルで使用可能な亜鉛リングを示し、図29(a)はその平面図、図29(b)はその正面図、図29(c)は図29(a)のB−B線断面図である。
図28に示すように、実施の形態23に係るニッケルフリー給水装置は、配管部品としてのジョイントニップル250に具体化される。ジョイントニップル250は、六角ボルト状のボルト部251と、ボルト部251より小径をなし当該ボルト部251の下端に同軸状に一体形成された円筒状のジョイント部252とからなる。ボルト部251及びジョイント部252の内面には、それぞれ、互いに連通する通水路251a及び通水路252aが形成されている。ボルト部251の内面とジョイント部252の内面の境界部に形成された段差部には、卑金属部を構成するリング状部材としての亜鉛リング253が着脱自在に載置嵌合して装着されている。ボルト部251内において亜鉛リング253上には、亜鉛リング253と略同一径(略同一の内径及び外径)のパッキン254が載置嵌合して装着されている。亜鉛リング253は、ボルト部251の内面に対応して当該ボルト部251の内面と略同一の外径の円形平リング状に形成されている。図29に示すように、亜鉛リング253の円周方向4箇所には、一定角度間隔(90度間隔)で離間する4個の小孔253aが放射方向(亜鉛リング253の内周面から外周面へと向かう方向)に貫通形成されている。また、亜鉛リング253の外周面の全体には、ローレット加工により粗表面部としてのローレット部253bが形成されている。なお、ローレット部253bは亜鉛リング253の厚さ方向両側面や内周面にも形成することができる。更に、亜鉛リング253の表面の全体には、上記実施の形態と同様、例えば、真鍮等の金属素地に所定膜厚(例えば、約500μ)の卑金属めっき(亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっき等)が施されている。即ち、亜鉛リング253のローレット部253bを含む全面に卑金属めっき層が均一に形成されている。したがって、亜鉛リング253は、上記各実施の形態の亜鉛リングと同様の作用及び効果を発揮する。即ち、このように構成した実施の形態23に係るニッケルフリー給水装置としてのジョイントニップル250は、配管経路上に取付けられると、通水路251aの基端に位置する亜鉛リング253の卑金属めっき層が、上記実施の形態の場合と同様にして、内部表面のニッケル付着層からのニッケルの溶出を効果的に抑制及び防止する。また、このとき、亜鉛リング253は合計4個の貫通孔としての小孔253aを有するため、亜鉛リング253の表面上に存在する水が、等間隔で並ぶ各小孔253aを介して亜鉛リング253の放射方向、即ち、その内周面から外周面へと流通する。したがって、亜鉛リング253の内周面がジョイントニップル250の通水路251aに面する一方で外周面が通水路251aに面しない(取付部位である段差部の内面に対向する)場合でも、亜鉛リング253の内周面から外周面へと通水路の水が進行し、当該外周面の小孔251a部分(4箇所)から当該外周面の全体に満遍なく拡散する(外周面と段差部の内面との隙間が微小であっても、毛細管効果により当該外周面の全面に行き渡る)。その結果、亜鉛リング253の外周面においても卑金属表面による上記効果(ニッケル溶出防止効果やキャビティ腐食防止効果等)を十分に発揮することができる。更に、亜鉛リング253のローレット部253bにより表面積が増大しているため、上記効果(ニッケル溶出防止効果やキャビティ腐食防止効果等)を一層効率よく発揮することができる。
図30は本発明の実施の形態24に係るニッケルフリー給水装置で使用可能な亜鉛リングを示し、図30(a)はその平面図、図30(b)はその正面図であり右半部のみを断面視にて示す。
図30に示すように、実施の形態24に係るニッケルフリー給水装置で使用可能な卑金属部を構成するリング状部材としての亜鉛リング263は、例えば、上記実施の形態23のジョイントニップル250の亜鉛リング253の代わりに使用可能なものである。亜鉛リング263は、円形リングの円周方向一部を切り欠いて開口部263aとした略C字状の平面形状を有する。亜鉛リング263は、上記実施の形態と同様、例えば、真鍮等の金属素地に所定膜厚(例えば、約500μ)の卑金属めっき(亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっき等)を施したものである。したがって、亜鉛リング263は、上記各実施の形態のニッケルフリー給水装置に使用されて、上記各実施の形態の亜鉛リングと同様の作用及び効果を発揮する。また、実施の形態22と同様、亜鉛リング263は略C字状をなすため、開口部263aの両側から内方に圧力を加えて開口部263aを狭めることにより、ニッケルフリー給水装置の取付部位に設けた嵌合溝乃至円形凹部等に容易に装着することができ、かつ、自身の弾性による形状復帰により当該嵌合溝乃至円形凹部等からの離脱を防止することができる。また、前記開口部263aは、亜鉛リング263の表面のうちの隠れた面(取付部位の内面に対向する面)へと通水路の水を流通すべく機能して、亜鉛リング263全体による上記作用効果を促進する。更に、亜鉛リング263のローレット部263bにより表面積が増大しているため、上記効果(ニッケル溶出防止効果やキャビティ腐食防止効果等)を一層効率よく発揮することができる。
図31は本発明の実施の形態25に係るニッケルフリー給水装置の適用対象としての従来の単水栓のこま部分の取付構造を示す斜視図である。図32は本発明の実施の形態25に係るニッケルフリー給水装置としての単水栓のこま部分の取付構造を卑金属部としてのこまと共に示す分解斜視図である。
図31に示すように、一般的な単水栓のこまは、上記実施の形態1または実施の形態3の単水栓10のように、カバーナット271、ハンドル272及びスピンドル(栓棒)273を備える。スピンドル273の基端にはハンドル272が固着され、先端側はカバーナット271を貫通して挿入されている。また、スピンドル273の先端部には、例えば、実施の形態1の管部11の上部取付孔11cの雌螺子に螺合する雄螺子部274が一体形成されている。更に、スピンドル273には、図32に示すように、こま275,276の軸部275を挿着して取付けるための挿着孔274aが形成され、雄螺子部274にこま275,276を着脱自在に取付けるようになっている。よって、スピンドル273にこま275,276を取付けた状態では、スピンドル273の先端面274bはこまのケレップ276の対向面(上面)と当接することになる。
図33は本発明の実施の形態26に係るニッケルフリー給水装置としての単水栓を示す側面図である。
図33に示すように、実施の形態26に係るニッケルフリー給水装置は、実施の形態3と同様の単水栓10に具体化される。実施の形態26に係る単水栓10は、実施の形態3に係る単水栓10と同様の全体構成とされ、卑金属部としての整流器(水切り)281を吐水口14の内部に収容して着脱自在に装着している。詳細には、整流器281は、真鍮等の所定材料の素地で図に示す略星形乃至ジグザグ形状の環状に形成され、当該素地の表面に亜鉛または亜鉛合金からなる卑金属表面としての卑金属めっき層(上記と同様の亜鉛めっき層または亜鉛合金めっき層)を上記の所定膜厚で形成している。整流器281は、略星形乃至ジグザグ形状の環状に形成されているため、表面積を大きく確保することができ、ニッケル溶出防止効果やキャビテーション腐食防止効果を一層効果的に発揮することができる。
図34は本発明の実施の形態27に係るニッケルフリー給水装置としての単水栓を示す側面図である。
図34に示すように、実施の形態27に係るニッケルフリー給水装置は、実施の形態1と同様の自在吐水パイプ20付の単水栓10に具体化される。実施の形態27に係る単水栓10は、ブッシュ19A及び本体19Bの構成を除き、実施の形態1に係る単水栓10と同様の全体構成とされ、卑金属部としての整流器(水切り)291を自在吐水パイプ20の吐水口24の内部に収容して着脱自在に装着している。整流器291は、実施の形態26の整流器281と同様の構成であるが、自在吐水パイプ20の吐水口24に挿着されるため、同吐水口24の内面形状(取付部位の形状)に応じた形状及び寸法となっている。整流器291も、略星形乃至ジグザグ形状の環状に形成されているため、表面積を大きく確保することができ、ニッケル溶出防止効果やキャビテーション腐食防止効果を一層効果的に発揮することができる。
図35は本発明の実施の形態28に係るニッケルフリー給水装置としての単水栓を示す側面図である。
図35に示すように、実施の形態28に係るニッケルフリー給水装置は、実施の形態27と同様の自在吐水パイプ20付の単水栓10に具体化される。実施の形態28に係る単水栓10は、実施の形態27に係る単水栓10と同様の全体構成とされる一方、管部11の下面側に卑金属部提供部310を一体的に設けている。卑金属部提供部310は、突出部311、蓋部312及び卑金属部としての亜鉛ダイキャストからなる亜鉛塊313(例えば、直径φ=10mmで長さ15〜20mm程度)からなる。突出部311は、管部11の下面側において弁座12の弁孔12aと対向する位置に一体形成されて下方に突出する円筒状をなす。突出部311の上端は円形開口となり、弁座12の弁孔12aに対向して、突出部311内部空間と管部11内の通水路11aとを互いに連通している。また、突出部311の下端部外周面には雄螺子が螺刻されている。蓋部312は突出部311の雄螺子に螺合される円形の蓋状をなし、パッキン等を介して突出部311の下端部に水密に装着されている。亜鉛塊313は、上記実施の形態の亜鉛等と同様の亜鉛または亜鉛合金からなる円柱状をなす。亜鉛塊313の外径は、突出部311の内径と略同一或いは若干小さい径とされている。また、亜鉛塊313は、突出部311の長さと略同一或いは若干短い長さを有し、その円形の上端面が突出部311内に配置されて弁座12の弁孔12aと対向する。したがって、実施の形態28に係るニッケルフリー給水装置は、実施の形態1に係るニッケルフリー給水装置の卑金属部提供部19と同様、卑金属部提供部310の亜鉛塊313が上流側の通水路11aで常に通水及び通水停止時の水と接触する。その結果、亜鉛塊313は、通水路11a及び通水路11bを含む単水栓10及び自在吐水パイプ20からのニッケル溶出を抑制すると共に、近接する位置で対向する弁座12の弁孔12a周辺(特に弁座12の下面側)の部分におけるキャビテーション腐食を効果的に防止する。特に、亜鉛塊313は、通水停止時には、弁座12より上流側のニッケル付着層からのニッケル溶出を大幅に抑制する。また、亜鉛塊313は、こま18のケレップ18aにゴムパッキン18bを固定するためのナットにニッケルめっきが施される場合も、当該ナットからのニッケル溶出を効果的に抑制する。なお、亜鉛塊313は、管部11の通水路11a内の通水等を妨げない限りにおいて、突出部311より大きい長さとして通水路11a内に一部(上端部)が突出するようにし、より近接した位置で弁座12の弁孔12aと対向するようにしてもよい。こうすると、亜鉛塊313の先端が弁座12により近接した位置で対向することになり、一層効果的に弁座12周辺でのキャビテーション腐食を防止することができる。なお、卑金属部提供部310は、突出部311及び蓋部312の組み合わせで、(寒冷地等で夜間凍結防止用に水抜きを行うための)水抜き部としても機能するものであり、かかる水抜き部に亜鉛塊313を収容することにより、水抜き部及び卑金属部提供部として兼用することができる。
図36は本発明の実施の形態29に係るニッケルフリー給水装置としてのシングルレバー混合栓の吐水パイプ部を示す分解斜視図である。
図36に示すように、実施の形態29に係るニッケルフリー給水装置は、実施の形態13と同様のシングルレバー混合栓用の吐水パイプ部320に具体化される。実施の形態28に係る吐水パイプ部320は、回動部321、吐水パイプ322及び吐水部323を有している。回動部321は、例えば、実施の形態1のシングルレバー混合栓120の基部121の下端部に組み付けられて左右に回動自在となる円筒状をなしている。吐水パイプ322及び吐水部323は実施の形態13の吐水パイプ123及び吐水部124と同様の構成である。一方、吐水パイプ322の基端部の下面側には、卑金属部提供部330が一体的に設けられている。卑金属部提供部330は、突出部331、パッキン332、蓋部333、並びに、卑金属部としての鉄筒334及び卑金属部としての亜鉛筒335からなる。突出部331は、吐水パイプ322の基端部の下面側に一体形成されて下方に突出する円筒状をなす。突出部331の上端は円形開口となり、突出部331の内部空間と吐水パイプ322内の通水路とを互いに連通している。また、突出部331の下端部外周面には雄螺子が螺刻されている。蓋部333は突出部331の雄螺子に螺合される円形の蓋状をなし、パッキン332を介して突出部331の下端部に水密に装着され、突出部331の下端開口を水密に閉塞する。
図37は本発明の実施の形態30に係るニッケルフリー給水装置としてのシングルレバー混合栓を示す断面図である。
図37に示すように、実施の形態30に係るニッケルフリー給水装置は、実施の形態13と同様のシングルレバー混合栓350に具体化される。シングルレバー混合栓350は、実施の形態29の吐水パイプ部320と同様の構成を採用している。詳細には、本実施の形態の吐水パイプ部320は、吐水パイプ322の基端側に上記卑金属部提供部330を一体的に設けている。卑金属部提供部330は、上記のように、突出部331内に卑金属部としての鉄筒334及び亜鉛筒335を収容配置したものであるが、鉄筒334及び亜鉛筒335の組み合わせに代えて、実施の形態28の亜鉛塊313と同様の円柱状の亜鉛塊(例えば、直径φ=10mmで長さ15〜20mm程度)を卑金属部として突出部331内に収容配置してもよい。一方、吐水パイプ322の吐水口324に着脱自在に取付けられる本実施の形態卑金属部提供部としての泡沫金具360は、上記泡沫金具340とは異なる構成を有している。即ち、泡沫金具360は、通常の泡沫金具のケース部と同様のケース部361内に、卑金属部としての整流器362を収容している。整流器362は、実施の形態26または27の整流器281,291と同様、所定の素地(黄銅等)の表面に亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっきを施したものである。本実施の形態に係るシングルレバー混合栓350も、吐水パイプ322の基端側及び先端側で、卑金属部としての鉄筒334及び亜鉛筒335(または亜鉛塊)並びに卑金属部としての整流器362が、上記ニッケル溶出防止効果及びキャビテーション腐食防止効果を発揮し、更に、必須ミネラル補給効果をも発揮する。
図38は本発明の実施の形態31に係るニッケルフリー給水装置としてのシングルレバー混合栓を示す断面図である。
図38に示すように、実施の形態31に係るニッケルフリー給水装置は、実施の形態13と同様のシングルレバー混合栓370に具体化される。シングルレバー混合栓370は、実施の形態29の吐水パイプ部320と若干異なる構成を採用している。詳細には、本実施の形態の吐水パイプ部320は、吐水パイプ123の基端側に上記卑金属部提供部330を設けるのではなく、これに代えて、基部121の下端部に組み付けられた回動部371に卑金属部提供部380を一体的に設けている。卑金属部提供部380は、突出部381、図示しないパッキン、蓋部382、並びに、卑金属部としての亜鉛塊383(例えば、直径φ=10mmで長さ15〜20mm程度)からなる。突出部381は、回動部371の中央部の後面側(吐水パイプ123と反対側)に一体形成されて後方(吐水パイプ123と反対方向)に突出する円筒状をなす。突出部381の基端は円形開口となり、突出部381の内部空間と回動部371内の通水路とを互いに連通している。また、突出部381の先端部外周面には雄螺子が螺刻されている。蓋部382は突出部381の雄螺子に螺合される円形の蓋状をなし、パッキンを介して突出部381の下端部に水密に装着され、突出部381の先端開口を水密に閉塞する。更に、突出部381には、実施の形態28の亜鉛塊313と同様の卑金属部としての円柱状の亜鉛塊383が収容配置されている。なお、亜鉛塊383の代わりに、実施の形態30のような鉄筒334及び亜鉛筒335の組み合わせを卑金属部として突出部381内に収容配置してもよい。一方、吐水パイプ322の吐水口324には、実施の形態30の泡沫金具360が卑金属部提供部として着脱自在に装着されている。本実施の形態に係るシングルレバー混合栓370も、吐水パイプ322の基端側(回動部371内)及び先端側で、卑金属部としての亜鉛塊383(または鉄筒334及び亜鉛筒335の組み合わせ)並びに卑金属部としての整流器362が、上記ニッケル溶出防止効果及びキャビテーション腐食防止効果を発揮し、更に、必須ミネラル補給効果をも発揮する。特に、卑金属部提供部380の亜鉛塊383が、通水時及び通水停止時に、給水管171及び/または給水管172内の水と接触して、実施の形態15の卑金属部と同様の効果を通水路の水源側で発揮することができる。また、卑金属部提供部380の亜鉛塊383が、回動部371の周辺の通水路または水流通箇所でキャビテーション腐食が発生しやすい部位のキャビテーション腐食を効果的に防止する。なお、卑金属部提供部380は、突出部381及び蓋部382の組み合わせで、(寒冷地等で夜間凍結防止用に水抜きを行うための)水抜き部としても機能するものであり、かかる水抜き部に鉄筒及び亜鉛筒の組み合わせ(或いは亜鉛塊383単体)を収容することにより、水抜き部及び卑金属部提供部として兼用することができる。
図39は本発明の実施の形態32に係るニッケルフリー給水装置としての浄水器を示す側面図であり、主要部(卑金属部収容部)を拡大して示す。図40は本発明の実施の形態32に係るニッケルフリー給水装置としての浄水器の卑金属部をし、(a)はNiパイプの断面図、(b)はFeパイプの断面図、(c)はZn塊の断面図、(d)はNiパイプの平面図、(d)はFeパイプの平面図、(e)はZn塊の平面図、(f)はNiパイプ内にFeパイプを、Feパイプ内にZn塊をそれぞれ同軸状に収容した状態の卑金属部を示す平面図である。
図39に示すように、実施の形態32に係るニッケルフリー給水装置は、家庭用の水道水栓に接続される載置型(据置型)の浄水器400に具体化される。浄水器400は、図示はしないが、一般的な据置型の浄水器と同様、浄水器本体410を備えている。浄水器本体410は、浄水カートリッジ等(図示略)を内装する収容部411を備えている。浄水器本体410は、収容部411の下端部外周面から突出する円筒状の接続部412に、雄螺子部413を介して給水管414を着脱自在に接続するようになっている。浄水器本体410は、接続部412を介して給水管414と収容部411内の通水路(浄水カートリッジより上流側にある原水通路)とを連通し、水道水(原水)を収容部411内の原水通路(図示略)から浄水カートリッジ等に供給して、浄水カートリッジ等からの浄水を浄水カートリッジより下流側にある浄水通路(図示略)へと供給するものである。また、浄水器400は、浄水器本体410の収容部411の頂部に連結部420を配設し、連結部420を介して収容部411の浄水通路からの浄水を自在パイプ430に供給して、自在パイプ430先端の吐水口から浄水を吐出するようになっている。連結部420は、本体側取付部421及びパイプ側取付部423を有している。本体側取付部421は、浄水器本体410の収容部411の頂部中央に螺着して着脱自在に固定され、収容部411の浄水通路の先端(下流端)に同軸状に接続される略円筒ケース状をなしている。詳細には、図39のA部詳細断面図(拡大断面図)に示すように、本体側取付部421は、下端部の内周面に雌螺子421bを形成し、その雌螺子421bを浄水器本体410の収容部411の頂部中央の雄螺子(図示略)に螺合することにより、収容部411に取付けられる。また、本体側取付部421の上端部には若干小径の雄螺子部422が形成され、パイプ側接続部423の下側の雌螺子部423aを雄螺子部422に螺合することにより、パイプ側接続部423を本体側接続部421に取付けるようになっている。
次に、上記各実施の形態に係るニッケルフリー給水装置において通水路の内部表面に付着したニッケル付着層と卑金属部による卑金属表面(代表的には、亜鉛めっき表面または亜鉛合金表面)との間の好適面積比範囲について説明する。
まず、給水装置の通水路内部表面に付着したニッケル付着層総面積(被覆面積)に対する犠牲アノード面積比(卑金属表面層の面積比)を増大するほど、ニッケル付着層のからのニッケル溶出を抑制度合いを大きくすることができるが、同面積比をあまり大きくすると、ニッケル溶出の抑制度合いを大きくできる半面、犠牲アノードとなる金属の溶出が大きくなる。例えば、犠牲アノードとして亜鉛めっきを使用し、卑金属表面を亜鉛めっき表面とする場合、ニッケル被覆面積と亜鉛めっき面積との比(Ni:Zn)が大きくなりすぎると、ニッケル浸出量は水質基準管理目標設定値(0.001mg/L)を大幅に下回ることになるが、亜鉛自体の浸出量が水質基準管理設定値(0.97mg/L)を超えることとなる。そこで、本発明者等は、ニッケル被膜面積に対する犠牲アノードの面積比の重要性に着目し、ニッケル・亜鉛面積比(Ni;Zn)について鋭意実験と研究を重ねた結果、試行錯誤の末、最適な面積比の範囲を見出した。即ち、図39に示すように、まず、犠牲アノードとして使用する金属によって最適な面積比は異なり、また、その金属を合金化した場合やその合金比率によっても最適な面積比は異なる。更に、給水装置の種類や内容積によっても最適な面積比は異なる。即ち、シングルレバー水栓等の内容積が大きい製品(大容量製品)は、大容量のために開口の数及び口径も相対的に小さくなり、結果として容積に対するニッケル被覆面積比が相対的に小さくなるため、ニッケル浸出量は相対的に小さくなる。一方、パイプ付自在水栓やアングル給水栓や化粧バルブ等の内容積が小さい製品(小容量製品)は、小容量であるために開口の数及び口径が相対的に大きくなり、結果として容積に対するニッケル被覆面積比が相対的に大きくなるため、ニッケル浸出量は相対的に大きくなる。
次に、上記各実施の形態の卑金属部としての卑金属めっき層を厚付けする場合に好適に使用することができる本発明の熱融合処理について説明する。図42は本発明のニッケルフリー給水装置の卑金属部としての卑金属めっき層を形成するための熱融合処理を概略的に示す工程図である。
本発明で使用する熱融合処理法は、素地金属上に形成しためっき層(合金めっき層を含む)に対して所定時間・所定温度の熱処理を施すことにより、そのめっき層を完全に合金化すると共に、めっき層中の元素を素地金属内に拡散して素地金属とめっき層との間に中間層となるめっき拡散層を形成し、当該めっき拡散層により素地金属に対するめっき層の接合性を大幅に向上するものである。詳細には、図42に示すように、まず、STEP1で、元素A(亜鉛)と元素B(すず)からなるめっき液(亜鉛めっき液)を電解槽内に作成する(建浴工程)。なお、ニッケル溶出抑制効率等の観点から、亜鉛に対するすずの割合は5%以下(Zn割合が95%以上)とすることが好ましい。次に、STEP2で、その亜鉛めっき液を素材金属(銅亜鉛合金)上に電解めっきしてめっき被膜を形成する(めっき工程)。このめっき被膜は、CnZn素材上に亜鉛(Zn)及びすず(Sn)の粒子(図42)が非常に粗い状態で存在するめっき被膜となっている。次に、STEP3で、めっき形成したCnZn素材を所定温度(例えば、約110℃〜約300℃の範囲の温度)で加熱する。すると、めっき被膜の亜鉛(Zn)及びすず(Sn)の粒子が加熱により液状化して融合化し始める(加熱液状化工程)。そして、このまま加熱を所定時間(例えば、約1時間〜約4時間)継続すると、時間の経過と共に、めっき被膜の亜鉛(Zn)及びすず(Sn)は、その融合化が進行して完全に合金化する。同時に、めっき被膜の亜鉛(Zn)及びすず(Sn)の各成分がCnZn素材に拡散し(特に、めっき被膜の亜鉛成分が素材中の亜鉛(Zn)中に拡散融合)して拡散層となり、その拡散層によりめっき被膜が素材と一体化されて、素材に対するめき被膜の密着性が非常に高くなる。なお、加熱保持温度を増加すると、拡散層の厚みが次第に大きくなる。
上記熱融合法により卑金属めっき層を素材上に熱融合する具体例を図43に基づいて説明する。図43に示すように、例えば、卑金属部として給水栓こま(実施の形態1のこま18等)を使用する場合、こまの素地金属を銅(Cu)約64%、亜鉛(Zn)約35%の黄銅(真鍮)とし、その素地上に亜鉛すず(Zn:Sn=90:10)合金めっきを通常の厚付けめっき法(溶融めっき法乃至どぶ付け法等)により所定膜厚(例えば、100μm〜500μmの範囲)で形成する。このとき、犠牲アノード(卑金属部)として使用する給水栓こま上のめっき層の膜厚、例えば、ケレップの亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっきの膜厚は、特に限定するものではないが、100μm〜1000μmの範囲とすることが好ましい。めっき膜厚が100μm未満の場合、亜鉛または亜鉛合金のめっき被膜が早期に消耗してしまい、消耗後はニッケルの溶出を抑制できなくなる。一方、めっき膜厚が1000μmを超えると、亜鉛または亜鉛合金のめっきが割れやすくなったり、給水栓への装着が困難になったりする。亜鉛または亜鉛合金めっきの場合、適用する給水装置の使用量にもよるが、通常の使用頻度であれば、卑金属部(例えば、給水栓こま)からの亜鉛または亜鉛合金の溶出による卑金属部の膜厚低下は、毎月約10μm程度であると予想されるため、卑金属部を長期間(少なくとも3〜4年間)使用できるよう、亜鉛または亜鉛合金めっきの膜厚は、片側250μm〜500μm(両側で500μm〜1000μm)の範囲とすることが更に好ましい。例えば、こまのケレップの場合、上下両側面にそれぞれ250μm〜500μmの膜厚を形成し、250μm*2=500μmから500μm*2=1000μmまでの範囲とし、円柱状または円筒状の素地の場合、直径方向両側の膜厚をそれぞれ250μm〜500μmとし、250μm*2=500μmから500μm*2=1000μmまでの範囲とすることが好ましい。なお、円筒状の素地の場合、内面にも卑金属めっき層が形成されるが、内面はめっきが付きにくいため、外面側のめっきの膜厚より小さな膜厚(約1/3の膜厚であり、外面の膜厚(片面)が約250μmの場合、内面の膜厚(片面)は約50〜100μmの範囲)となる。また、このとき、素地上の亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっきは、膜厚が20μmを超えると組織が粗くなって物性が悪くなる。比較的厚付けが可能な溶融めっき法(どぶ付け法)の場合でも、膜厚は50〜300μmが限界であり、特に、膜厚が厚付けの500μm〜1000μmになると、使用に伴って、表面が黒く変色したり、めっき層が割れやすくなったり、水中で粒状・粉状に溶解したりするおそれがある。この場合、卑金属部を長期間犠牲アノードとして維持することができなくなるため、めっき層の割れや粒状・粉状溶解を防止して、犠牲アノードとして長期間使用に耐えうる物性を確保するためには、上記熱融合処理が必須の処理となる。
図44は本発明のニッケルフリー給水装置の卑金属部(給水栓こま)を熱融合処理した場合と無処理の場合とを比較するための断面写真であり、(a)は熱融合処理を施していない亜鉛リッチ品を示し、(b)は200℃で1時間熱融合処理した亜鉛リッチ品を示し、(c)は250℃で1時間熱融合処理した亜鉛リッチ品を示し、(d)は300℃で1時間熱融合処理した亜鉛リッチ品を示す。
図44(a)〜(d)に示す亜鉛リッチ品(試料1〜試料4)は、全て、素地(素材)としての黄銅上に亜鉛リッチめっき(亜鉛すず合金めっき)を形成したものであり、例えば、上記給水栓こま(黄銅素地上に亜鉛すず合金めっきを所定膜厚で形成したもの)を試料1〜4として使用することができる。図44(a)の試料1は、本実施例の比較例として、上記のような熱融合処理を全く施さないものの断面を示す。図44(a)に示すように、熱融合処理を施さない試料1では、亜鉛合金めっき層がそのまま(めっき時のまま)の状態で素地上に存在する。一方、図44(b)に示すように、200℃で1時間の熱融合処理を施した試料2では、亜鉛合金めっき層と素地との間に所定厚のめっき拡散層が形成されている。このめっき拡散層は、図43の中間層、即ち、素地と及び亜鉛合金めっき層の二層間に形成された、亜鉛合金めっき被膜中の亜鉛(Zn)と給水栓こまの黄銅素地中の亜鉛(Zn)とが融合化した中間層に対応する。このめっき拡散層の膜厚は、約20μmとなっている。次に、図44(c)に示すように、250℃で1時間の熱融合処理を施した試料3では、亜鉛合金めっき層と素地との間のめっき拡散層の膜厚が更に増大している。このめっき拡散層の膜厚は、約40μmとなっている。次に、図44(d)に示すように、300℃で1時間の熱融合処理を施した試料4では、亜鉛合金めっき層と素地との間のめっき拡散層の膜厚が一層更に増大している。このめっき拡散層の膜厚は、約70μmとなっている。このように、素地とめっきの密着性に関与するめっき拡散層の生成が、比較例としての試料1(無熱処理品)の場合は当然ながら全く存在しないが、それ以外の本実施例に係る試料2〜4(熱融合処理品)では、図44(b)〜(d)に示すように確認された。したがって、熱融合処理前の試料は、表面の亜鉛合金めっき層(亜鉛とすずとの固溶体)が素地(基板)表面に形成されており、素地とめっき層との間にめっき拡散層は形成されていないことが確認できる。しかし、この試料を加熱すると、表面の亜鉛合金めっき層(亜鉛とすずとの固溶体)と素地の銅・亜鉛合金との間に拡散層が形成されていくことが確認された。これは、加熱により表面の亜鉛合金めっき層のすず成分及び亜鉛成分が素地材料内部に向かって拡散するためであると考えられる。また、この拡散層の膜厚は、図44に示すように、加熱保持温度の増加と共に次第に大きくなることが確認された。この拡散層の存在により、素地表面の亜鉛合金めっき層と素地の銅合金との密着性が高くなっている。
図45は図44の試料1〜4の成分(亜鉛及びすず)の含有率を比較するグラフであり、(1)は図44(d)の試料4の成分を、(2)は図44(c)の試料3の成分を、(3)は図44(b)の試料2の成分を、(4)は図44(a)の試料1の成分を示す。
図45に示すように、同一加熱時間(1時間)の場合、熱処理温度が高くなると、亜鉛とすずの比率がほぼ2:1となり、300℃の場合、すずが約1/2程度の量に達することが確認できる。また、熱処理温度を高くしていくと、すずと亜鉛との合金化が進み、すずの相対比が高くなることが判明した。この理由は、素地表面の亜鉛が試料内部(素地内部)へ拡散し、及び/または、試料内部のすずが表面に拡散するためと考えられる。このように、亜鉛合金めっき層の成分が、亜鉛リッチからすずリッチへと移行すると、めっき層の全体としての平衡電位が、ニッケルよりも卑の範囲で亜鉛の−0.9Vから貴に変化し、ニッケルの平衡電位以上で亜鉛よりも低い電位となる。したがって、亜鉛合金めっき層によるニッケル溶出効果を維持したまま、亜鉛合金めっき層からの亜鉛の溶出量を抑制することができる。
図46〜図48に示すSEM(走査式電子顕微鏡)像及びEDA(エネルギー密度解析)分析結果、並びに、図49〜図51に示すSEM(走査式電子顕微鏡)像及びEDA(エネルギー密度解析)分析結果は、いずれも、素地(素材)としての黄銅上に亜鉛リッチめっき(亜鉛すず合金めっき)を形成したものであり、例えば、上記給水栓こま(黄銅素地上に亜鉛すず合金めっきを所定膜厚で形成したもの)を試料として使用することができる。このうち、図46〜図48は、いずれも、熱融合処理を施していない試料(熱融合未処理品)についてのSEM(走査式電子顕微鏡)像及びEDA(エネルギー密度解析)分析結果を示し、図46は本発明に係るニッケルフリー給水装置の卑金属部としての給水栓こま(熱融合未処理品)の断面写真(SEM像)を当該断面写真の十字位置(表面位置)の定量分析結果(EDA)と共に示し、図47は本発明に係るニッケルフリー給水装置の卑金属部としての給水栓こま(熱融合未処理品)の断面写真(SEM像)を当該断面写真の十字位置(内部位置)の定量分析結果(EDA)と共に示し、図48は本発明に係るニッケルフリー給水装置の卑金属部としての給水栓こま(熱融合未処理品)の断面写真(SEM像)を当該断面写真の十字位置(表面位置と内部位置との間の中央位置)の定量分析結果(EDA)と共に示す。一方、図49〜図51は、いずれも、熱融合処理(300℃、1時間)を施した試料(熱融合処理品)についてのSEM(走査式電子顕微鏡)像及びEDA(エネルギー密度解析)分析結果を示し、図49は本発明に係るニッケルフリー給水装置の卑金属部としての給水栓こま(熱融合処理品)の断面写真を当該断面写真の十字位置(表面位置)の定量分析結果と共に示し、図50は本発明に係るニッケルフリー給水装置の卑金属部としての給水栓こま(熱融合処理品)の断面写真を当該断面写真の十字位置(内部位置)の定量分析結果と共に示し、図51は本発明に係るニッケルフリー給水装置の卑金属部としての給水栓こま(熱融合処理品)の断面写真を当該断面写真の十字位置(表面位置と内部一度の間の中央位置)の定量分析結果と共に示す。いずれの場合も、図中の亜鉛と銅との濃淡によって表面層の状態の推定が可能となる。即ち、図49〜図51の熱融合処理品の場合、いずれも、熱融合処理により、素材(CnZn)の銅とめっき被膜の亜鉛とが融合して、表面層が拡大している様子が把握できる。特に、亜鉛合金めっき層中のすずは、熱融合未処理品の場合は表面に固まっているが、熱融合処理品の場合、素地(材料)内部へと拡散していることが確認できる。また、熱融合処理品の場合、すずが最も拡散して、表面付近に比較的多く存在することが確認できる。
10:単水栓(ニッケルフリー給水装置)、11a:通水路、18:こま(内部部品)
20:自在吐水パイプ(ニッケルフリー給水装置)、31:基部、31a:通水路
30:混合栓(ニッケルフリー給水装置)
40:クランク(ニッケルフリー給水装置、連結部材)、40a:通水路
40x:素地、40y:卑金属めっき層(卑金属部)
50:混合栓(ニッケルフリー給水装置)
60:クランク(ニッケルフリー給水装置、連結部材)
60x:素地,60y:卑金属めっき層(卑金属部)
71:亜鉛リング(卑金属部、環状部材)、72:亜鉛リング(卑金属部、環状部材)
80:浄水器具部品(ニッケルフリー給水装置)、81a:通水路
80A:浄水器専用水栓(ニッケルフリー給水装置)
91:吐水パイプ(ニッケルフリー給水装置)、91a:通水路、91x:素地
91y:卑金属めっき層(卑金属部)
100:アングル止水栓(ニッケルフリー給水装置)
110:分岐栓(ニッケルフリー給水装置)
120:シングルレバー混合栓(ニッケルフリー給水装置)
130,150:クランク付シングルレバー混合栓(ニッケルフリー給水装置)
160:シングルレバー混合栓(ニッケルフリー給水装置)
180:ボールバルブ(ニッケルフリー給水装置)
190:六角ニップル(ニッケルフリー給水装置)
200:エルボ(ニッケルフリー給水装置)
210:チーズ(ニッケルフリー給水装置)
220:ユニオン(ニッケルフリー給水装置)
Claims (19)
- 開口部を有する銅系金属材製の素地の外部表面にニッケルめっきを施してなり、同ニッケルめっきに伴って前記素地のめっき対象でない開口部から通水路に沿った内部表面に不純物を含む粗雑なめっき層としてのニッケル付着層が形成された給水具からなる水道用品としての給水装置であって、
給水具の通水路における内部表面において、前記ニッケル付着層が存在する部位であって、かつ、給水を停止したときでも水が付着または滞留する部位の範囲内に亜鉛または亜鉛合金からなる水道用品の交換部品としての卑金属部を設けると共に、前記卑金属部の全面に前記通水路内の水が流通して、前記卑金属部の全面が常に通水または通水停止時の前記通水路内の水と接触するようにして、前記通水路の内部表面で水を媒体として前記卑金属部の全面と前記ニッケル付着層との間で電池を形成し、前記卑金属部の全面により、前記給水具の通水停止時に前記通水路内の残留水が付着する前記ニッケル付着層からのニッケル溶出を基準値以下に抑制するようにし、かつ、前記卑金属部から必須ミネラルとしての亜鉛をその基準値の範囲内で溶出させるようにしたことを特徴とするニッケル溶出防止機能付給水装置。 - 前記ニッケル付着層の総表面積に対する前記卑金属部の卑金属層の総表面積の比を1:3〜1:4の範囲としたことを特徴とする請求項1記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。
- 前記ニッケル付着層の総表面積に対する前記卑金属部の卑金属層の総表面積の比を1:4としたことを特徴とする請求項1記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。
- 更に、前記給水具の管部の下面側において止水用の弁座の弁孔と対向する位置に一体形成されて下方に突出する円筒状をなし、上端を前記弁座の弁孔に対向して前記通水路に連通する円形開口とする突出部と、前記突出部の下端に水密に装着される蓋部とを備え、
前記卑金属部は、前記突出部の内径より若干小さい径の円柱状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛塊からなり、前記亜鉛塊は、前記突出部内に同軸状に配置されてその円形の上端面が前記弁座の弁孔と対向し、前記弁座より上流側の通水路で常に通水及び通水停止時の水と接触するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。 - 更に、前記給水具の吐水パイプの基端部の下面側に一体形成されて下方に突出する円筒状をなし、上端を前記吐水パイプ内の通水路に連通する円形開口とする突出部と、前記突出部の下端に水密に装着される蓋部とからなる卑金属部提供部を備え、
前記卑金属部は、少なくとも、前記突出部の内径より小径の円筒状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛筒または前記突出部の内径より小径の円柱状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛塊からなり、前記亜鉛筒または亜鉛塊は前記突出部内に同軸状に配置され、前記吐水パイプの基端側で通水路の水が前記突出部内の前記亜鉛筒または亜鉛塊へと流通するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。 - 更に、上端の円形開口にネット部を装着すると共に下端に整流板を一体的に設けた円筒状の収容通水部と、前記収容通水部を収容するケース部とを有し、前記給水具の吐水パイプの円筒状の吐水口に着脱自在に取付けられる泡沫金具からなる卑金属部提供部を備え、 前記卑金属部は、少なくとも、前記収容通水部の内径より若干小さい径の円筒状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛筒からなり、前記亜鉛筒は前記収容通水部内に同軸状に配置され、前記吐水パイプの先端側の吐水部で内部の水が前記収容通水部内の前記亜鉛筒へと流通するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。
- 更に、前記給水具の吐水パイプの基端部の下面側に一体形成されて下方に突出する円筒状をなし、上端を前記吐水パイプ内の通水路に連通する円形開口とする突出部と、前記突出部の下端に水密に装着される蓋部とからなる第1の卑金属部提供部と、上端の円形開口にネット部を装着すると共に下端に整流板を一体的に設けた円筒状の収容通水部と、前記収容通水部を収容するケース部とを有し、前記給水具の吐水パイプの円筒状の吐水口に着脱自在に取付けられる泡沫金具からなる第2の卑金属部提供部とを備え、
前記第1の卑金属部提供部の卑金属部は、少なくとも、前記突出部の内径より小径の円筒状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛筒または前記突出部の内径より小径の円柱状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛塊からなり、前記亜鉛筒または亜鉛塊は前記突出部内に同軸状に配置され、前記吐水パイプの基端側で通水路の水が前記突出部内の前記亜鉛筒または亜鉛塊へと流通するようにし、
前記第2の卑金属部提供部の卑金属部は、少なくとも、前記収容通水部の内径より若干小さい径の円筒状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛筒からなり、前記亜鉛筒は前記収容通水部内に同軸状に配置され、前記吐水パイプの先端側の吐水部で内部の水が前記収容通水部内の前記亜鉛筒へと流通するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。 - 更に、前記給水具の回動部の後面側において吐水パイプと反対側に一体形成されて後方に突出する円筒状をなし、基端を前記回動部内の通水路に連通する円形開口とする突出部と、前記突出部の先端に水密に装着される蓋部とを備え、
前記卑金属部は、少なくとも、前記突出部の内径より小径の円筒状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛筒または前記突出部の内径より小径の円柱状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛塊からなり、前記亜鉛筒または亜鉛塊は前記突出部内に同軸状に配置され、前記吐水パイプの基端側で前記回動部内の水が前記突出部内の前記亜鉛筒または亜鉛塊と接触するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。 - 更に、前記給水具の回動部の後面側において吐水パイプと反対側に一体形成されて後方に突出する円筒状をなし、基端を前記回動部内の通水路に連通する円形開口とする突出部と、前記突出部の先端に水密に装着される蓋部とからなる第1の卑金属部提供部と、上端の円形開口にネット部を装着すると共に下端に整流板を一体的に設けた円筒状の収容通水部と、前記収容通水部を収容するケース部とを有し、前記給水具の吐水パイプの円筒状の吐水口に着脱自在に取付けられる泡沫金具からなる第2の卑金属部提供部とを備え、
前記第1の卑金属部提供部の卑金属部は、少なくとも、前記突出部の内径より小径の円筒状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛筒または前記突出部の内径より小径の円柱状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛塊からなり、前記亜鉛筒または亜鉛塊は前記突出部内に同軸状に配置され、前記吐水パイプの基端側で前記回動部内の水が前記突出部内の前記亜鉛筒または亜鉛塊と接触するようにし、
前記第2の卑金属部提供部の卑金属部は、少なくとも、前記収容通水部の内径より若干小さい径の円筒状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛筒からなり、前記亜鉛筒は前記収容通水部内に同軸状に配置され、前記吐水パイプの先端側の吐水部で内部の水が前記収容通水部内の前記亜鉛筒へと流通するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。 - 前記卑金属部は、更に、前記亜鉛塊または亜鉛筒の外周側に間隔を置いて同軸状に配置された状態で前記卑金属部提供部に収容される円筒状の鉄筒を有し、前記卑金属部提供部内の水が前記鉄筒の外周面側、前記鉄筒の内周面と前記亜鉛塊または亜鉛筒の外周面との間を流通するようにしたことを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。
- 前記給水具は、浄水カートリッジ及び浄水カートリッジを内装した収容部を有する浄水器本体を備える浄水器であり、
更に、前記浄水器の収容部に着脱自在に固定されて前記収容部の浄水通路に同軸状に接続される略円筒ケース状をなす卑金属部収容部を備え、
前記卑金属部は、少なくとも、前記卑金属部収容部の内径より小径の円筒状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛筒または前記卑金属部収容部の内径より小径の円柱状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛塊からなり、前記亜鉛筒または亜鉛塊は前記卑金属部収容部内に同軸状に配置され、前記浄水器本体内の水が前記卑金属部収容部内の前記亜鉛筒または亜鉛塊と常に接触するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。 - 前記給水具は、浄水カートリッジ及び浄水カートリッジを内装した収容部を有する浄水器本体を備える浄水器であり、
更に、前記浄水器の収容部の浄水側に着脱自在に固定され、前記収容部の浄水通路の先端に同軸状に接続されて前記収容部の浄水通路からの浄水をパイプに供給する略円筒ケース状をなす第1の卑金属部収容部(本体側取付部)と、前記浄水器の収容部の原水側に設けられ、原水を前記収容部内の原水通路から前記浄水カートリッジに供給する円筒状の第2の卑金属部収容部(接続部)とを備え、
前記第1の卑金属部収容部の卑金属部は、少なくとも、前記第1の卑金属部収容部の内径より小径の円筒状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛筒または前記卑金属部収容部の内径より小径の円柱状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛塊からなり、前記亜鉛筒または亜鉛塊は前記第1の卑金属部収容部内に同軸状に配置され、前記浄水器本体内の浄水側の水が前記卑金属部収容部内の前記亜鉛筒または亜鉛塊と常に接触するようにし、
前記第2の卑金属部収容部の卑金属部は、少なくとも、前記第2の卑金属部収容部の内径より小径の円筒状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛筒または前記卑金属部収容部の内径より小径の円柱状をなす亜鉛又は亜鉛合金製の亜鉛塊からなり、前記亜鉛筒または亜鉛塊は前記第2の卑金属部収容部内に同軸状に配置され、前記浄水器本体内の原水側の水が前記卑金属部収容部内の前記亜鉛筒または亜鉛塊と常に接触するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。 - 前記卑金属部は、更に、前記亜鉛塊または亜鉛筒の外周側に間隔を置いて同軸状に配置された状態で前記卑金属部収容部に収容される円筒状の鉄筒を有し、前記卑金属部収容部内の水が前記鉄筒の外周面側、前記鉄筒の内周面と前記亜鉛塊または亜鉛筒の外周面との間を流通するようにしたことを特徴とする請求項11または12項記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。
- 前記卑金属部は、更に、前記鉄筒の外周側に間隔を置いて同軸状に配置された状態で前記卑金属部収容部に収容される円筒状のニッケル筒を有し、前記卑金属部収容部内の水が前記ニッケル筒の外周面側、前記ニッケル筒の内周面と前記鉄筒の内周面との間、前記鉄筒と前記亜鉛塊または亜鉛筒の外周面との間を流通するようにしたことを特徴とする請求項11または12項記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。
- 前記卑金属部は、前記給水具としての給水栓の給水栓こまからなり、前記給水栓こまは、亜鉛に対するすずの割合を5%以下とした亜鉛すず合金めっきを溶融めっき法により黄銅製の素地上に500μm〜1000μmの膜厚範囲で形成した後、前記亜鉛すず合金めっきを180℃〜350℃の熱処理温度で加熱して熱融合処理し、めっき被膜の亜鉛及びすずの粒子を加熱により液状化して融合化させ、その融合化を進行させて完全に合金化すると共に、めっき被膜の亜鉛及びすずの各成分を黄銅製の素地の素材に拡散して、その拡散層によりめっき被膜を前記黄銅製の素地と一体化したものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。
- 前記卑金属部は、前記給水具としての給水栓の通水路に嵌合される亜鉛リングからなり、前記亜鉛リングは、亜鉛に対するすずの割合を5%以下とした亜鉛すず合金めっきを溶融めっき法により黄銅製の素地上に500μm〜1000μmの膜厚範囲で形成した後、前記亜鉛すず合金めっきを180℃〜350℃の熱処理温度で加熱して熱融合処理し、めっき被膜の亜鉛及びすずの粒子を加熱により液状化して融合化させ、その融合化を進行させて完全に合金化すると共に、めっき被膜の亜鉛及びすずの各成分を黄銅製の素地の素材に拡散して、その拡散層によりめっき被膜を前記黄銅製の素地と一体化したものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。
- 前記亜鉛リングは、厚さ方向に貫通形成された複数の小孔を有し、亜鉛リングの表面上に存在する水が、前記小孔を介して前記亜鉛リングの厚さ方向一側面から他側面へと流通し、前記亜鉛リングにおいて前記給水具の通水路に面する一側面のみならず前記通水路に面しない他側面の全面に拡散して行き渡るようにしたことを特徴とする請求項16記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。
- 前記亜鉛リングは、内周面から外周面へと向かう方向に貫通形成された複数の小孔を有し、亜鉛リングの表面上に存在する水が、前記小孔を介して前記亜鉛リングの内周面から外周面に流通し、前記亜鉛リングにおいて前記給水具の通水路に面する内周面のみならず前記通水路に面しない外周面の全面に拡散して行き渡るようにしたことを特徴とする請求項16記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。
- 前記亜鉛リングの厚さ方向両側面並びに外周面及び内周面に、ローレット加工により祖表面部としてのローレット部を形成したことを特徴とする請求項17または18記載のニッケル溶出防止機能付給水装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007293499A JP4171057B2 (ja) | 2006-11-10 | 2007-11-12 | ニッケル溶出防止機能付給水装置 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006306048 | 2006-11-10 | ||
JP2007293499A JP4171057B2 (ja) | 2006-11-10 | 2007-11-12 | ニッケル溶出防止機能付給水装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008138506A JP2008138506A (ja) | 2008-06-19 |
JP4171057B2 true JP4171057B2 (ja) | 2008-10-22 |
Family
ID=39600261
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007293499A Expired - Fee Related JP4171057B2 (ja) | 2006-11-10 | 2007-11-12 | ニッケル溶出防止機能付給水装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4171057B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102013015988A1 (de) * | 2013-09-26 | 2015-03-26 | Hansa Metallwerke Ag | Armaturenkörper |
JP6374688B2 (ja) * | 2014-03-31 | 2018-08-15 | 株式会社キッツ | 水栓金具又はバルブにおける銅合金製給水器材の製造方法 |
JP6535993B2 (ja) * | 2014-08-12 | 2019-07-03 | セイコーエプソン株式会社 | 時計用バンドおよび時計 |
-
2007
- 2007-11-12 JP JP2007293499A patent/JP4171057B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008138506A (ja) | 2008-06-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4171057B2 (ja) | ニッケル溶出防止機能付給水装置 | |
RU2132012C1 (ru) | Водопроводная арматура для подачи питьевой воды и способ нанесения, по существу, инертного покрытия | |
CA3016238C (en) | System and method for cathodic protection by distributed sacrificial anodes | |
US8221556B2 (en) | Copper alloy plumbing hardware, such as valves and tube couplings, and the treatment method for reducing elution of lead | |
AU674402B2 (en) | Sanitary water tap | |
US20090183793A1 (en) | Tap | |
JP2006316480A (ja) | ニッケルフリー給水装置 | |
TW201741468A (zh) | 鋁合金製構件及lng氣化器 | |
WO2010023712A1 (ja) | 水用殺菌装置 | |
CN202107564U (zh) | 阻垢杀菌电解水处理装置 | |
KR101822787B1 (ko) | 수도꼭지용 동파 방지 장치 | |
EP0506407A1 (en) | Control of scale formation | |
JP4467942B2 (ja) | 水供給装置 | |
US20080053531A1 (en) | Faucet incorporating vandal resistant features | |
EP1659329A1 (en) | Method and device for eliminating corrosion at connection ends of heating installations, particularly aluminum panel radiators | |
JPH0217636B2 (ja) | ||
RU112315U1 (ru) | Пожарный вентиль | |
Lai et al. | Exfoliation and Intergranular Corrosion of Aluminum Plastics Molds | |
Jester | Dezincification update | |
Viraraghavan et al. | Impact of household plumbing fixtures on drinking water quality—a review | |
Szaflik | Causes of hot and cold water system failure | |
JP2000001884A (ja) | 水路分岐部材、止水部材および吐水装置 | |
JPS5852488A (ja) | 防蝕弁及び継手 | |
CN202246945U (zh) | 一种环绕型窄截面长流道表面防腐处理装置 | |
JPH0617953A (ja) | 青銅またはステンレス製バルブ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080430 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080609 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080710 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080807 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110815 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |