JP4169646B2 - 船外機のシフト操作装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、船外機の推進ユニットに設けられる前後進切換装置のシフト位置を切り換えるシフトロッドを備えるシフト操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンにより駆動されるプロペラを有する推進ユニットを備える船舶用推進装置において、推進ユニットには、船舶の前進および後進を切り換える前後進切換装置が設けられる。そして、前後進切換装置の前進位置および後進位置であるシフト位置は、操作ケーブルを使用した遠隔操作により駆動されるシフトロッドで切り換えられる。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された船外機では、エキゾーストガイドに固定されたガイドのガイド溝に沿って摺動するピンを介してリモコンケーブルに連結されるシフトリンクと、シフトリンクにピンを介して連結されると共にシフトロッドに結着されたシフトアームとが設けられる。そして、シフト位置を切り換えるための操作力は、リモコン装置から延出するリモコンケーブルからピンを通じてシフトリングに伝達され、さらにシフトアーム伝達されて、シフトアームがシフトロッドを駆動する。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−123996号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来技術では、リモコンケーブルとピンとの連結部およびピンとシフトリンクとの連結部は、前後方向で、ブラケットに保持されるリモコンケーブルの保持部から同じ位置にあるため、シフトリンクの移動を行うために押し引きされるリモコンケーブルの所要のストローク長を確保すると、シフトリンクの位置が一義的に決定されることから、シフトリンクの配置が制約を受けていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、請求項1〜3記載の発明は、船外機のシフト操作装置において、操作ケーブルの所要のストローク長を確保したうえで、伝達機構の配置の自由度を大きくすると共にシフト操作の軽快さを向上させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、チルト中心線を中心にチルト運動可能な船外機のシフト操作装置であって、船外機本体に設けられた固定部に固定されるアウタ管内を通って前記船外機本体の前方の外部から前記船外機本体を貫通してその内部に延びると共に前記船外機本体の外部に設けられた操作部材に加えられた操作力を伝達する操作ケーブルと、推進ユニットの前後進切換装置のシフト位置を切り換えるシフトロッドと、前記シフトロッドを駆動すべく前記シフトロッドに係合するまたは前記シフトロッドに一体回動可能に連結される駆動部材と、前記操作ケーブルに連結されて前記操作力を前記駆動部材に伝達する伝達機構とを備えるシフト操作装置において、前記操作ケーブルは、前記伝達機構の入力部材に連結部材を介して連結され、前記連結部材には、前記操作ケーブルが直接連結される第1連結部と、前記入力部材に摺接する第2連結部とが設けられ、前記第2連結部は、前記第1連結部よりも前記固定部寄りに位置し、前記連結部材は、前記船外機本体に設けられた案内部に、前記操作ケーブルにほぼ平行に摺動して案内されて、前記第1連結部および前記第2連結部と共に前記操作ケーブルにほぼ平行に移動し、前記案内部に案内された前記連結部材の摺動範囲の全体において、平面視で、前記操作ケーブルと前記第2連結部とが重なる位置にあるシフト操作装置である。
【0008】
これによれば、第2連結部は第1連結部よりも固定部寄りに位置することにより、第1連結部と固定部との間の距離を大きくすることができるので、固定部の位置を前方に移動することなく、押し引きされる操作ケーブルの所要のストローク長が確保されるため、チルト角が大きくなるときにも船外機本体の前方で操作ケーブルが大きく屈曲することがないので、その屈曲に起因する操作ケーブルの操作抵抗の増加が回避される。また、第2連結部は、第1連結部の位置により一義的に決定されず、両連結部の間隔を変更することができることから、狭いスペースをはじめ、多様な形態のスペースに合わせることができる融通性のある伝達機構とすることができる。
【0009】
この結果、請求項1記載の発明によれば、次の効果が奏される。すなわち、チルト角が大きくなるときにも、操作ケーブルの操作抵抗が増加することが回避されるので、シフト操作の軽快さが向上する。しかも、多様な形態のスペースに合わせることができる融通性のある伝達機構とすることができるので、伝達機構の配置の自由度が大きくなる。
また、連結部材は船外機本体に設けられた案内部に、前記操作ケーブルにほぼ平行に摺動して案内されることにより、連結部材が操作ケーブルから伝達される操作力に沿う方向に摺動して移動するので、案内部と連結部材との摺動抵抗が小さくなり、操作ケーブルの操作荷重が小さくなって、シフト操作の軽快さが一層向上する。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のシフト操作装置において、前記入力部材は、前記船外機本体に設けられた枢支部に枢支されて不動の回動中心線を中心に回動する入力アームであり、前記入力アームには、前記回動中心線を中心とする径方向に長い長孔が形成され、前記第2連結部は、前記連結部材が前記案内部に案内されて移動するときに、前記長孔の周壁面に摺接しつつ前記長孔に沿って移動するものである。
【0011】
これによれば、第1連結部の位置に関わらず、不動の回動中心線を有する入力アームについて、第2連結部の位置を回動中心線の位置に合わせて設定することができる。
【0012】
この結果、請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、次の効果が奏される。すなわち、第2連結部の位置を、入力アームの回動中心線の位置に合わせて設定することができるので、入力アームの長さおよび操作ケーブルの押し引きの際の操作荷重等の観点から最適な位置に第2連結部を配置することができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のシフト操作装置において、前記伝達機構は、互いに一体回動可能に連結された前記入力アームおよび出力アームのみから構成され、前記出力アームは前記駆動部材に直接連結されるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1ないし図7を参照して説明する。
本発明に係るシフト操作装置が適用された船外機の概略右側面図である図1を参照すると、船外機1は、内燃機関Eおよび内燃機関Eにより駆動されて推力を発生するプロペラ19を有する推進ユニットPを備える船外機本体2と、船外機本体2を船体Sに支持する支持装置3とを備える。
【0017】
水冷式で頭上カム軸(OHC)型の直列4気筒4ストローク内燃機関である内燃機関Eは、シリンダブロック4aと、シリンダブロック4aの前端部に結合されるクランクケース4bとを有する機関本体4を備え、回転中心線L1が上下方向を指向するクランク軸5が、シリンダブロック4aとクランクケース4bとの間で回転可能に支持される。
【0018】
なお、この実施例において、上下、前後および左右は、船外機1が搭載された船体Sを基準にしたものであり、船外機1については図1に示される船外機本体2が左右方向に回動するときの回動中心線である転舵中心線L3が上下方向に平行であるときを基準とする。
【0019】
機関本体4はマウントケース6の上端部に結合され、マウントケース6の下端部にオイルパン部7aおよび周壁7bを有するオイルケース7が結合され、機関本体4の下部、マウントケース6およびオイルケース7は、それらを囲む筒状のアンダカバー8により覆われ、アンダカバー8はオイルケース7またはエクステンションケース11に結合される。アンダカバー8の上端部には、機関本体4の上部を覆うエンジンカバー9が結合され、エンジンカバー9は、マウントケース6の周囲に設けられたフランジ部に係合するアンダカバー8と共同して、マウントケース6よりも上方の内部空間を機関本体4が収納されるエンジンルーム10として形成する。オイルケース7の下端部にエクステンションケース11が結合され、エクステンションケース11の下端部にギヤケース12が結合される。そして、マウントケース6の下壁、オイルケース7の周壁7bおよびエクステンションケース11により区画されて形成された排気室が、ギヤケース12内に形成された排気通路に連通する。
【0020】
クランク軸5の下端部5aにはフライホイール13および駆動軸14が、クランク軸5と一体回転可能に連結される。上端部14aにてクランク軸5に連結された駆動軸14は、クランク軸5と同軸に上下方向に延びており、下端部5aから下方に延びてマウントケース6を貫通した後、エクステンションケース11内を下方に延びてギヤケース12内に達し、ギヤケース12内でギヤ機構16およびクラッチ機構17から構成される前後進切換装置15を介してプロペラ軸18に結合される。
【0021】
そして、内燃機関Eの動力は、クランク軸5から駆動軸14、前後進切換装置15およびプロペラ軸18を経由してプロペラ19に伝達され、プロペラ19が回転駆動される。
【0022】
ここで、駆動軸14、前後進切換装置15、プロペラ軸18、プロペラ19、アンダカバー8、エクステンションケース11およびギヤケース12は、推進ユニットPを構成し、内燃機関E、推進ユニットPおよびエンジンカバー9は船外機本体2を構成する。また、アンダカバー8およびエンジンカバー9は、エンジンルーム10の室壁を構成すると共に、船外機本体2の、後述するチルト軸21よりも上方の船外機本体2の上部カバーを構成する。
【0023】
支持装置3は、船体Sに着脱可能に固定される左右1対のスターンブラケット20と、左右のスターンブラケット20に取り付けられるチルト軸21に枢支されて上下方向に回動可能に両スターンブラケット20に支持されるスイベルケース22と、船外機本体2を支持すると共にスイベルケース22の軸受部22aに左右方向に回動可能に支持されるマウントフレーム23とを有する。
【0024】
マウントフレーム23は、軸受部22aの内周に回動可能に嵌合するスイベル軸23aと、スイベル軸23aの上端部に設けられる左右1対の上部マウント部23bと、スイベル軸23aの下端部に着脱可能に設けられる下部マウント部23cと、スイベル軸23aの上端部に設けられて前方に延びる操舵アーム部23dとを有する。
【0025】
船外機本体2は、その上部で、マウントケース6がアッパマウントラバー24を介して上部マウント部23bにボルトで結合され、その下部で、エクステンションケース11が左右1対のロアマウントラバー25を介して下部マウント部23cにボルトで結合されることにより、マウントフレーム23に支持される。
【0026】
そして、船外機本体2は、油圧シリンダ機構(図示されず)の作動により、スイベルケース22の回動中心線をチルト中心線L2(図2も参照)として上下方向に回動するチルト運動を行う。また、船外機本体2は、操舵アーム部23dに結合される操舵ハンドル(図示されず)が操作されることにより、または操舵アーム部23dが遠隔操作されることにより、スイベル軸23aの中心軸線を転舵中心線L3として左右方向に回動して、転舵が行われる。
【0027】
ギヤ機構16は、駆動軸14の下端部14bに駆動軸14と一体に回転するように結合される駆動ギヤ16aと、いずれもプロペラ軸18の前部に回転可能に支持されて駆動ギヤ16aと常時噛合している前進ギヤ16bおよび後進ギヤ16cとから構成されるベベルギヤ機構である。
【0028】
クラッチ機構17は、後述するシフトロッド30の操作に応動してプロペラ軸18の軸方向に移動するシフタ17aと、シフタ17aに一体に結合されたクラッチ素子17bとを備える。シフタ17aには、シフトロッド30が係合する係合部17a1が形成され、シフトロッド30の回動によりシフタ17aがプロペラ軸18の軸方向に移動する。クラッチ素子17bは、プロペラ軸18の外周面に形成されたスプラインに嵌合することによりプロペラ軸18と一体に回転可能であり、しかも前進ギヤ16bおよび後進ギヤ16cに択一的に係合するように軸方向に摺動可能である。
【0029】
前後進切換装置15のこの構造により、シフトロッド30の操作に応じて、クラッチ機構17がニュートラル位置を占めるとき、クラッチ素子17bは、前進ギヤ16bおよび後進ギヤ16cのいずれとも係合せず、前進ギヤ16bおよび後進ギヤ16cは駆動ギヤ16aにより回転するものの、駆動軸14の回転がプロペラ軸18には伝達されない。また、クラッチ機構17が前進位置を占めるとき、クラッチ素子17bが前進ギヤ16bに係合するため、駆動軸14の回転が前進ギヤ16bおよびクラッチ素子17bを介してプロペラ軸18に伝達されて、プロペラ軸18およびプロペラ19が正回転することにより船舶が前進する。さらに、クラッチ機構17が後進位置を占めるとき、クラッチ素子17bが後進ギヤ16cに係合するため、駆動軸14の回転が後進ギヤ16cおよびクラッチ素子17bを介してプロペラ軸18に伝達されて、プロペラ軸18およびプロペラ19が逆回転することにより船舶が後進する。それゆえ、シフトロッド30は、クラッチ機構17を作動させて、前後進切換装置15のシフト位置、すなわちニュートラル位置、前進位置および後進位置を切り換える。
【0030】
図1,図2を参照すると、後述する操作ケーブルCが使用された遠隔操作により操作されてクラッチ機構17を作動させるシフト操作装置は、シフト位置を切り換えるために操縦者により操作力が加えられるリモコン装置31の操作ハンドル32と、操作ハンドル32に加えられた操作力を伝達するボーデンケーブル33と、船外機本体2の内部、ここでは前記上部カバーの内部であるエンジンルーム10に配置されて操作ケーブルCを経て伝達される操作力を後述する駆動部材としての駆動アーム72に伝達する伝達機構60と、駆動軸14よりも前方に配置されて駆動軸14とほぼ平行に上下方向に延びているシフトロッド30と、シフトロッド30に一体回転可能に結合されると共に伝達機構60を経て伝達される操作力により駆動されてシフトロッド30を駆動するセクタギヤでもある駆動アーム72と、前後進切換装置15のニュートラル位置を検出するニュートラルスイッチ80と、ニュートラルスイッチ80を作動させる作動機構とを備える。
【0031】
シフトロッド30は、円筒状のスイベル軸23aの内部をほぼ同軸の状態で貫通した後、さらに下方に延び、エクステンションケース11内を貫通してギヤケース12内まで延びて、ギヤケース12内でシフタ17aの係合部17a1に係合する。
【0032】
リモコン装置31は船外機1の外部である操縦室に配置され、操作部材としての操作ハンドル32は、シフト位置の切換操作だけでなく、内燃機関Eの吸気量を制御するスロットル弁の開度操作もできる構造になっている。
【0033】
ボーデンケーブル33は、操作ハンドル32に加えられた操作力を伝達する可撓性のインナケーブル34と、インナケーブル34が中空部に挿通されている可撓性のアウタケーブルであるアウタ管35とで構成される。
【0034】
船外機本体2の外部に配置されるアウタ管35において、その一端部はリモコン装置31に固定され、その他端部が、スロットル弁を操作するためのボーデンケーブル26のアウタ管26aと共に、アンダカバー8の右側に装着されるグロメット27に挿入される。他端部には、エンジンルーム10内でアンダカバー8にボルトB1で固定されるブラケット28にアウタ管35を固定するための管状の係止具36が結合され、係止具36がブラケット28に係合することにより、アンダカバー8にアウタ管35が固定される。そして、このブラケット28が、船外機本体2におけるアウタ管35の固定部を構成する。
【0035】
ブラケット28は、転舵中心線L3を含みかつチルト中心線L2に直交する平面である基準平面Hに対して、基準平面Hに直交する方向である左右方向での一方側、ここでは右側に配置され、操作ケーブルCは、アンダカバー8の右側を貫通して、船外機本体2の前方での外部からエンジンルーム10内に延びている。また、ブラケット28は、チルト軸21の上方であって、チルト軸21よりもやや前方に配置されている。
【0036】
エンジンルーム10内で、ブラケット28から後方に延びるインナケーブル34は、インナケーブル34の屈曲を防止する金属製の案内管37に挿入される。そして、インナケーブル34の、案内管37内に位置する端部34aには、案内管37に移動可能に挿入されると共に案内管37の先端部37aを超えて後方に延びる連結ロッド38が結合される。また、案内管37の先端部37aおよび基端部37bには、それぞれ、連結ロッド38および係止具36に跨ってゴムなどの弾性材料からなる筒状で可撓性のシール部材39a,39bが装着される。そして、案内管37は、シール部材39bの内部で、自在継手構造を構成して係止具36に連結される。
【0037】
図2〜図5を参照すると、スライダ40は、スライダ40を案内する案内部としてのブラケット41に形成されたガイド溝42に摺動可能に嵌合する。ブラケット41は、その1対の取付ボス41a(図3,図5参照)に挿通されるボルトB2によりクランクケース4bに固定された部材である。スライダ40には、スライダ40と操作ケーブルCとの第1連結部を構成する第1ピン43が設けられ、さらにスライダ40と伝達機構60の後述する入力アーム61との第2連結部を構成する第2ピン44が設けられる。そして、両ピン43,44がスライダ40の貫通孔にガタがないように挿入され、スライダ40のフランジ40aがブラケット41の下面に接触し、その嵌合部40bがガイド溝42に嵌合した状態で、抜止めプレート45が各ピン43,44に嵌められ、さらに各ピン43,44に止め輪46が装着されて、スライダ40がブラケット41に摺動可能に保持される。
【0038】
ガイド溝42の上方で、第1ピン43の端部には、連結ロッド38がねじ込まれると共にインナケーブル34が押されるときに第1ピン43と係合する部材47aと、インナケーブル34が引かれるときに第1ピン43と係合する部材47bとからなる係止具47がロックナット48で固定されて取り付けられる。
【0039】
そして、操作ハンドル32に加えられる操作力に応じて押し引きされるインナケーブル34により、スライダ40が、ガイド溝42内での摺動範囲の全体において、操作ケーブルCにほぼ平行に摺動する。このとき、スライダ 40 は、第1ピン 43 および第2ピン 44 と共に操作ケーブルCにほぼ平行に移動する。また、案内部 41 に案内されたスライダ 40 の前記摺動範囲の全体において、平面視で、操作ケーブルCと第2ピン 44 とが重なる位置にある(図2,図4参照)。
そして、この摺動範囲は、シフト位置の切換えに必要な入力アーム61の回動範囲に対応して設定される操作ケーブルCのストローク長に等しい。また、案内管37の長さは、インナケーブル34の端部が案内管37から外に出ないように前記ストローク長に基づいて設定されるため、第1ピン43とブラケット28の間の最小距離は、概略、案内管37の長さおよび前記ストローク長により決定される。
【0040】
それゆえ、インナケーブル34は、アンダカバー8を貫通して、エンジンルーム10内で連結ロッド38および連結部材としてのスライダ40を介して入力アーム61に連結される。なお、インナケーブル34はスライダ40に直接連結されてもよい。そのため、この明細書では、操作ケーブルCとは、インナケーブル34単独で構成されるもの、およびこの実施例のようにインナケーブル34に連結ロッド38などの付属部品が結合されるものの、操作力を伝達する機能のうえからは、インナケーブル34単独で構成されるものと同等であるものを意味する。
【0041】
第1ピン43よりも前方に位置する第2ピン44は、前後方向で第1ピン43よりもブラケット28寄りに位置しており、ガイド溝42の下方で、ブラケット41の僅か下方に配置される入力アーム61の長孔64に摺動可能に嵌合する。
【0042】
図3を参照すると、ブラケット41には、スロットル弁を操作するための操作ケーブルCと同様の構造を有する操作ケーブル50が連結されるスロットルアーム49を枢支するボス41bが設けられる。そして、スロットルアーム49に設けられたピン51の端部には、操作ケーブル50の端部にロックナット48で固定される係止具47が係止される。スロットルアーム49は、リンク52を介してブラケット41に枢支されるベルクランク53の一端部に連結され、さらにベルクランク53の他端部にスロットル弁の弁軸に連結されたアームに連結されるロッド54が連結される。
【0043】
エンジンルーム10内に配置される伝達機構60(図1も参照)は、操作ケーブルCに連結される入力部材としての入力アーム61と、駆動アーム72に連結される出力部材としての出力アーム62とが、互いに一体回動可能に連結されて構成されるアーム機構である。
【0044】
クランクケース4bにボルトB3により固定された部材であるホルダ55上に配置される入力アーム61は、操作ケーブルCがスライダ40を介して連結されるアーム部61aと、アーム部61aと一体回動可能である被枢支部としての後述するピボット軸63とを有する。アーム部61aには、入力アーム61の回動範囲の全体に渡って、押し引きされる操作ケーブルCが、エンジンルーム10内のブラケット28と第1ピン43との間でほぼ一直線上で移動することを可能とする長孔64を有する連結構造が形成される。この連結構造は、後述する回動中心線L4を中心とする径方向(またはピボット軸63の径方向)に長い長孔64が形成されたアーム部61aの先端部61a1と、長孔64に嵌合すると共に入力アーム61の回動範囲の全体において、長孔64の周壁面に摺接しつつ長孔64に沿って移動するスライダ40の第2ピン44とにより構成される。それゆえ、第2ピン 44 は、スライダ 40 が案内部 41 に案内されて移動するときに、長孔 64 の周壁面に摺接しつつ長孔64に沿って移動する。
【0045】
ホルダ55のボス55aの上面に載置されるアーム部61aの基端部61a2には、切欠きからなる回止め部63a(図3参照)が形成されたピボット軸63の上部に整合する形状の貫通孔66が形成される。そして、貫通孔66にピボット軸63が挿入された後、その突出した部分にワッシャ67が嵌められ、さらに抜止めピン68が差し込まれて、ピボット軸63からのアーム部61aの抜止めがなされる。さらに、基端部61a2には、後述するカム81が一体成形されている。
【0046】
セクタギヤでもある出力アーム62は、先端部62a1に駆動アーム72の歯部72cと噛合する歯部62cが形成されたアーム部62aと、アーム部62aと一体回動可能であるようにアーム部62aに溶接された被枢支部としてのピボット軸63とを有する。それゆえ、出力アーム 62 は、駆動アーム 72 と歯部 62 72 同士で直接連結される。
そして、ピボット軸63は、ホルダ55に設けられてピボット軸63の中間部が挿入される貫通孔55a1が形成されたボス55aからなる不動の枢支部69と、マウントケース6に設けられてピボット軸63の下端部が回動可能に挿入される凹部を形成する部分からなる不動の枢支部70とに枢支される。
【0047】
アーム部62aは、ホルダ55の下方で、マウントケース6とオイルポンプのポンプボディ56とにより形成された空間内に駆動アーム72と共に収容される。アーム部62aの基端部62a2に固定されたピボット軸63は、下端部で枢支部70に枢支され、上方に向かって、ポンプボディ56とクランクケース4bおよびシリンダブロック4aとの間に形成されてフライホイール13が収容されるフライホイール室57の外部を延びて、ボス55aをオイルシール71により油密に保たれた状態で貫通して、入力アーム61と連結される。
【0048】
このように、入力アーム61および出力アーム62は、両枢支部69,70により回動可能に支持されるピボット軸63の中心軸線でもある不動の回動中心線L4を中心にして回動可能である。それゆえ、共通の被枢支部としてピボット軸63を有する入力アーム61および出力アーム62のみから構成される前記アーム機構は、両枢支部69,70に枢支されて回動中心線L4のまわりに一体になって回動する。そして、入力アーム61のアーム部61aはピボット軸63の上部に連結され、出力アーム62のアーム部62aはピボット軸63の下部に連結される。
【0049】
図2を参照すると、回動中心線L4は、フライホイール13の径方向外方であって、シフトロッドの中心軸線L5(ここでは、転舵中心線L3と一致している。)よりも前方で、基準平面Hよりも第1ピン43寄りに位置する。さらに、回動中心線L4の位置は、平面視で、回動中心線L4からシフトロッド30の中心軸線L5に向かって延びる第1半直線L6と、回動中心線L4から第2ピン44に対する入力アーム61の回動の中心線L8(図5参照)に向かって延びる第2半直線L7とのなす角度αが、90°よりも大きい劣角または180°であるよう設定される。
【0050】
この角度αは、ピボット軸63の位置に応じて、前後進切換装置15のニュートラル位置に対応する状態にある入力アーム61が、平面視で第2半直線L7と操作ケーブルCとが直交またはほぼ直交する位置関係となるような位置を占めるように設定される。これにより、操作ケーブルCが押されて進出するときの操作荷重の大きさと、操作ケーブルCが引かれて後退するときの操作荷重の大きさがほぼ等しくなる。
【0051】
図2,図3,図5を参照すると、駆動アーム72は、先端部72a1に歯部72cが形成されたアーム部72aと、マウントケース6に設けられた支持部6aに軸受73を介して回動可能に支持される軸部72bとを有する。軸部72bの下部には、シフトロッド30の上端部がスプライン嵌合することにより、シフトロッド30と駆動アーム72とが一体回動可能に連結される。
【0052】
図2〜図4を参照すると、ホルダ55には、入力アーム61が枢支されるほかに、前後進切換装置15のニュートラル位置を検出するニュートラルスイッチ80と、ニュートラルスイッチ80を作動させる作動機構が取り付けられる。
【0053】
ニュートラルスイッチ80は、突出する作動片80aが後述する作動アーム82により直線的に進退移動させることにより、オン・オフが行われるリミットスイッチである。そして、ニュートラルスイッチ80は、ホルダ55に形成されたピン55cが挿通することにより位置決めされてボルトB4によりホルダ55に固定されるステー74に取り付けられている。
【0054】
前記作動機構は、入力アーム61に形成されたカム81と、ホルダ55に枢支されてカム81により駆動される作動部材としての作動アーム82と、作動アーム82がカム81に接触するように作動アーム82を付勢するバネ83とを備える。図6を併せて参照すると、カム81は、入力アーム61と一体に回動することから、シフトロッド30の回動に同期して回動中心線L9を中心に回動して、回動中心線L9を中心として回動する作動アーム82を回動させる。カム81には、前進位置または後進位置からニュートラル位置になったことを操縦者が認識できるようにするためのクリック感を創出するために、カム81の回動方向で前進位置でニュートラルスイッチ80を開くためのカム山81aと後進位置でニュートラルスイッチ80を開くカム山81bとの間に作動アーム82のローラ82aが係合する凹部81cが形成されている。
【0055】
作動アーム82は、その一端部に、カム81と協働してクリック感を創出するための凸部およびカム81との接触部を兼ねるローラ82aが設けられ、その他端部にニュートラルスイッチ80の作動片80aを押圧する押圧部82bが設けられ、中間部にホルダ55のボス55bにブッシュ84を介して嵌合されて枢支される軸状の被枢支部である筒部82cが設けられる。そして、作動アーム82は、ボス55bにねじ込まれるボルトB5により固定されるワッシャ85により抜止めされる。
【0056】
図7を併せて参照すると、バネ83は、筒部82cを囲んで、回動中心線L9とほぼ同軸になるように筒部82cに外嵌されて、その一端部83aがホルダ55の孔に係止され、他端部83bが作動アーム82に係止されて、その捩りバネ力により、ローラ82aがカム81に当接するように作動アーム82を付勢する。
【0057】
図7を参照すると、作動アーム82の回動中心線L9は、作動片80aの進退方向A1での移動範囲内で、回動中心線L9が延びる方向から見たとき(ここでは平面視になる。)、押圧部82bの進退方向A1での変位量が進退方向A1に直交する直交方向A2での変位量よりも大きくなる位置にある。そのため、作動アーム82がニュートラル位置に対応する位置を占める状態で、平面視で、作動片80aと押圧部82bとの接触点86から押圧部82bが位置する側で進退方向A1に平行に延びる半直線L10と、接触点86から回動中心線L9を通って伸びる半直線L11とのなす角度βが、例えば45°から135°になるように、ニュートラルスイッチ80および回動中心線L9の位置が設定される。
【0058】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
シフト操作装置が前後進切換装置15のニュートラル位置に対応する位置にある状態を示す図2を参照すると、図示された状態から、シフト位置を前進位置に切り換えるべく、操縦者が操作ハンドル32(図1参照)を操作すると、操作ハンドル32に加えられた操作力が、船外機本体2の外部でアウタ管35内を通る操作ケーブルC(インナケーブル34)を引くように作用して、スライダ40がガイド溝42に案内されて前方に移動する。同時に、操作ケーブルCにスライダ40の第2ピン44で連結された入力アーム61が反時計方向に回動し、入力アーム61と一体に回動する出力アーム62が、同様に反時計方向に回動する。出力アーム62のこの回動により、出力アーム62と噛合する駆動アーム72が時計方向に回動し、シフトロッド30が駆動アーム72と一体に時計方向に回動して、シフタ17a(図1参照)が前方に移動して、クラッチ素子17bが前進ギヤ16bに係合して、前後進切換装置15が前進位置を占める。
【0059】
ニュートラル位置から前進位置へのシフト位置の変更の過程で、カム81が入力アーム61と一体に反時計方向に回動して、作動アーム82のローラ82aが凹部81cを脱してカム山81aに当接する。このとき、作動アーム82は、バネ83のバネ力に抗して回動中心線L9を中心に反時計方向に回動して、押圧部82bがニュートラルスイッチ80から離れる方向に回動し、それに対応して、図7に二点鎖線で示されるように、作動片80aが進出するように移動して、ニュートラルスイッチ80がオフになる。
【0060】
この前進位置からニュートラル位置に切り換えるべく、操縦者が操作ハンドル32に加えた操作力が操作ケーブルCを押すように作用して、スライダ40が後方に移動し、入力アーム61および出力アーム62が時計方向に回動する。出力アーム62のこの回動により、駆動アーム72およびシフトロッド30が反時計方向に回動して、シフタ17aが後方に移動して、前後進切換装置15がニュートラル位置を占める。
【0061】
この前進位置からニュートラル位置への変更時には、カム81が時計方向へ回動し、ローラ82aはカム山81aを凹部81cに向かって移動する。そして、ニュートラル位置に対応する位置で、カム山81aから移動してきたローラ82aが凹部81cに係合する。このとき、作動アーム82はバネ83のバネ力に付勢されて回動中心線L9を中心に時計方向に回動するため、ローラ82aと凹部81cとの係合時に操縦者にクリック感が与えられ、同時に、押圧部82bが作動片80aを押して後退させて、ニュートラルスイッチ80がオンになる。
【0062】
また、図2に図示された状態から、シフト位置が後進位置に切り換えられるときは、操縦者により操作ハンドル32に加えられた操作力が、操作ケーブルCを押すように作用して、スライダ40がガイド溝42に案内されて後方に移動する。同時に、入力アーム61および出力アーム62が、時計方向に一体に回動する。出力アーム62のこの回動により、駆動アーム72およびシフトロッド30が反時計方向に一体に回動して、シフタ17a(図1参照)が後方に移動して、クラッチ素子17bが前進ギヤ16bに係合し、前後進切換装置15が後進位置を占める。
【0063】
このニュートラル位置から後進位置へのシフト位置の変更の過程では、カム81が時計方向に回動して、ローラ82aが凹部81cを脱してカム山81bに当接する。このとき、作動アーム82は、バネ83のバネ力に抗して回動中心線L9を中心に反時計方向に回動して、押圧部82bがニュートラルスイッチ80から離れる方向に回動し、図7に二点鎖線で示されるように、作動片80aが進出するように移動して、ニュートラルスイッチ80がオフになる。
【0064】
さらに、後進位置からニュートラル位置への変更時には、前進位置からニュートラル位置への変更時と同様に、ローラ82aが凹部81cに係合したとき、操縦者にクリック感が与えられ、同時にニュートラルスイッチ80がオンになる。
【0065】
このように、伝達機構60は、両枢支部69 70に枢支されて回動中心線L4を中心に一体に回動する前記アーム機構であることにより、操作ケーブルCから伝達される操作力をシフトロッド30を駆動する駆動アーム72に伝達する伝達機構60における操作力の伝達経路中のガタをなくすことができるので、伝達機構60においては回動する部材間の動きのズレの発生が防止されて、シフト操作感が向上する。また、前記アーム機構は不動の回動中心線L4を中心に回動することにより、並進運動をすることがなく、伝達機構60の移動範囲が小さくなるので、伝達機構60がコンパクト化されて、伝達機構60を狭いスペースに配置することが可能になる。
【0066】
前記アーム機構は、ピボット軸63を介して互いに一体回動可能に連結された入力アーム61および出力アーム62のみから構成され、入力アーム61は操作ケーブルCに連結され、出力アーム62は駆動アーム72に連結されることにより、入力アーム61のアーム部61aおよび出力アーム62のアーム部62aを、上下方向で異なる位置に配置したり、また回動中心線L4を中心とした周方向での両アーム61a,62aのアーム部の相対的な配置を容易に変更することができるので、多様な形態のスペースに合わせることができる融通性のある伝達機構60とすることができ、伝達機構60の配置の自由度が大きくなる。
【0067】
入力アーム61と操作ケーブルCとは、エンジンルーム10内において、操作ケーブルCが入力アーム61の回動範囲の全体に渡ってほぼ一直線上で移動することを可能とする長孔64を有する連結構造により連結されることにより、エンジンルーム10内で延びる操作ケーブルCについては、操作ケーブルCが、第1ピン43を中心に回動することなく、入力アーム61の回動範囲の全体に渡ってほぼ一直線上で移動するため、操作力に応じて操作ケーブルCが押し引きされる際に、操作ケーブルCが屈曲することが防止されて、そのような屈曲による操作ケーブルCの操作抵抗の増加が回避されるので、シフト操作の軽快さが向上する。
【0068】
伝達機構60は入力アーム61と出力アーム62とを有し、出力アーム62は不動の回動中心線L4を中心に回動可能であり、回動中心線L4は、基準平面Hよりも第1ピン43寄りに位置することにより、回動中心線L4と第1ピン43との間の距離が、基準平面Hと第1ピン43との間の距離に比べて小さくなって、伝達機構60がコンパクトになるので、伝達機構60を狭いスペースに配置することが可能になり、ひいては船外機本体2の大型化が防止される。
【0069】
平面視で、第1半直線L6と第2半直線L7とのなす角度αが、90°よりも大きい劣角または180°であり、操作ケーブルCは、船外機本体2において第1ピン43よりも前方かつチルト中心線L2の上方に設けられたブラケット28に固定されたアウタ管35内を通ってアンダカバー8の前方の外部からアンダカバー8を貫通してその内部であるエンジンルーム10に延びていることにより、回動中心線L4とシフトロッド30との間の前後方向での距離が小さくなって、回動中心線L4が前後方向でシフトロッド30寄りに位置するため、ブラケットおよび案内管37を前方に移動させることなく、第1ピン43とブラケットとの間の、押し引きされる操作ケーブルCの所要の前記ストローク長を確保するための距離を確保することができる。そのため、チルト角が大きくなるときにも船外機本体2の前方でアウタ管35およびインナケーブル34が大きく屈曲することがなく、その屈曲に起因するインナケーブル34の摺動抵抗の増加による操作ケーブルCの操作抵抗の増加が回避されるので、シフト操作の軽快さが向上する。
【0070】
操作ケーブルCは、伝達機構60の入力アーム61にスライダ40を介して連結され、第2ピン44は、第1ピン43よりもブラケット寄りに位置することにより、第1ピン43とブラケット28との間の距離を大きくすることができて、ブラケット28の位置を前方に移動することなく、押し引きされる所要の前記ストローク長が確保されるため、チルト角が大きくなるときにも船外機本体2の前方でインナケーブル34が大きく屈曲することがなく、操作ケーブルCの操作抵抗が増加することが回避されるので、シフト操作の軽快さが向上する。また、第2ピン44は、第1ピン43の位置により一義的に決定されず、両ピンの間隔を変更することができることから、狭いスペースをはじめ、多様な形態のスペースに合わせることができる融通性のある伝達機構60とすることができるので、伝達機構60の配置の自由度が大きくなる。
【0071】
スライダ40はクランクケース4bに固定されたブラケット41のガイド溝42に、操作ケーブルCにほぼ平行に摺動して案内されることにより、スライダ40が操作ケーブルCから伝達される操作力に沿う方向に移動するため、ブラケット41とスライダ40との摺動抵抗が小さくなり、操作ケーブルCの操作荷重が小さくなるので、シフト操作の軽快さが一層向上する。
【0072】
入力アーム61は、不動の回動中心線L4を有するピボット軸63を有することにより、第1ピン43の位置にわらず、不動の回動中心線L4を有する入力アーム61について、第2ピン44の位置を回動中心線L4の位置に合わせて設定することができるので、入力アーム61のアーム部の長さおよび操作ケーブルCの押し引きの際の操作荷重等の観点から最適な位置に第2ピン44を配置することができる。
【0073】
前後進切換装置15のニュートラル位置に対応する状態にある入力アーム61が、平面視で第2半直線L7と操作ケーブルCとが直交またはほぼ直交する位置関係となるような位置を占めるように設定されることにより、操作ケーブルCが押されて進出するときの操作荷重の大きさと、操作ケーブルCが引かれて後退するときの操作荷重の大きさがほぼ等しくなるので、この点でもシフト操作感が向上する。
【0074】
作動アーム82の回動中心線L9は、作動片80aの進退方向A1での移動範囲内において、平面視で、押圧部82bの進退方向A1での変位量が直交方向A2での変位量よりも大きくなる位置にあることにより、ニュートラルスイッチ80を作動させるための作動アーム82の回動量が小さくなるうえ、作動アーム82の回動中心線L9の位置が作動片80aの進退方向A1に拘束されず、ニュートラルスイッチ80の配置の自由度が大きくなるので、シフト操作装置のコンパクト化が可能になって、エンジンルーム10内の狭いスペースにもニュートラルスイッチ80を配置することができる。
【0075】
前記作動機構が、シフトロッド30に同期して作動アーム82を回動させるカム81と、作動アーム82と、作動アーム82がカム81に接触するように付勢するバネ83とを備え、ニュートラル位置においてカム81に設けられた凹部81cが作動アーム82の凸部であるローラ82aに係合することにより、クリック感を創出するためのバネ83は、単に、作動アーム82がカム81に接触するように付勢する状態で配置されればよいことから、ニュートラルスイッチ80の配置の自由度が大きくなるので、シフト操作装置のコンパクト化が可能になって、エンジンルーム10内の狭いスペースにもニュートラルスイッチ80を配置することができる。また、作動アーム82のローラ82aとカム81の凹部81cとが係合することによりクリック感が創出されることから、単一の部材である作動アーム82により、ニュートラルスイッチ80の作動とクリック感の創出とが行われるので、ニュートラルスイッチ80のニュートラル位置検出時期と、ニュートラル位置でのクリック感との間でのズレの発生が防止される。
【0076】
バネ83が作動アーム82の軸状の被枢支部に外嵌されることにより、バネ83は、作動アーム82の筒部82cを囲んで配置されて、回動中心線L9周りにコンパクトに配置されるので、シフト操作装置がコンパクトになる。
【0077】
作動アーム82は、ニュートラル位置から前進位置および後進位置へ移動するとき、ニュートラル位置から同じ方向に回動することにより、ニュートラル位置から両回動方向に回動するものに比べて、作動アーム82の回動範囲を小さくすることができるので、シフト操作装置のコンパクト化ができる。
【0078】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
伝達機構60が複数のアーム機構から構成され、アーム機構同士が、相互に噛合する歯部を有するアームを介して連結されてもよい。また、一体回動可能な入力アーム61および出力アーム62は、船外機本体2に設けられた軸部に枢支されてもよい。
【0079】
出力アーム62および駆動アーム72は、互いに噛合するセクタギヤから構成されたが、両アーム62,72がピンにより連結されてもよい。また、シフトロッド30は、該シフトロッド30に係合する駆動部材により、その軸方向または上下方向に駆動されて、シフト位置が切り換えられる型式のものであってもよい。
【0080】
クリック感を創出するために、作動アーム82に凸部が形成され、カム81に凹部81cが形成されたが、作動アーム82に凹部が形成され、カム81に該凹部に係合する凸部が形成されてもよい。
【0081】
前記連結構造は、長孔が形成されたスライダと、入力アームに設けられて該長孔に嵌合するピンとから構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示し、シフト操作装置が適用された船外機の概略右側面図である。
【図2】図1の船外機のエンジンルーム内でのシフト操作装置の要部平面図および一部の断面図である。
【図3】図2のシフト操作装置の分解斜視図である。
【図4】図2のIVa−IVa矢視での断面図であり、一部がIVb−IVb矢視での断面図である。
【図5】図2のVa−Va矢視での断面図であり、ブラケットについては、一部がVb−Vb矢視での断面図である。
【図6】図2のシフト操作装置の入力アームのアーム部の下方からの斜視図である。
【図7】図2の要部拡大図である。
【符号の説明】
1…船外機、2…船外機本体、3…支持装置、4…機関本体、5…クランク軸、6…マウントケース、7…オイルケース、8…アンダカバー、9…エンジンカバー、10…エンジンルーム、11…エクステンションケース、12…ギヤケース、13…フライホイール、14…駆動軸、15…前後進切換装置、16…ギヤ機構、17…クラッチ機構、18…プロペラ軸、19…プロペラ、20…スターンブラケット、21…チルト軸、22…スイベルケース、23…マウントフレーム、24,25…マウントラバー、26…ボーデンケーブル、27…グロメット、28…ブラケット、30…シフトロッド、31…リモコン装置、32…操作ハンドル、33…ボーデンケーブル、34…インナケーブル、35…アウタ管、36…係止具、37…案内管、38…連結ロッド、39a,39b…シール部材、40…スライダ、41…ブラケット、42…ガイド溝、43,44…ピン、45…抜止めプレート、46…止め輪、47…係止具、48…ロックナット、49…スロットルアーム、50…操作ケーブル、51…ピン、52…リンク、53…ベルクランク、54…ロッド、55…ホルダ、56…ポンプボディ、57…フライホイール室、60…伝達機構、61…入力アーム、62…出力アーム、63…ピボット軸、64…長孔、66…貫通孔、67…ワッシャ、68…抜止めピン、69,70…枢支部、71…オイルシール、72…駆動アーム、73…軸受、74…ステー、80…ニュートラルスイッチ、81…カム、82…作動アーム、83…バネ、84…ブッシュ、85…ワッシャ、86…接触点、
E…内燃機関、P…推進ユニット、S…船体、L1…回転中心線、L2…チルト中心線、L3…転舵中心線、L4,L9…回動中心線、L5…中心軸線、L6,L7,L10,L11…半直線、L8…中心線、B1〜B5…ボルト、H…基準平面、C…操作ケーブル、α,β…角度、A1…進退方向、A2…直交方向。

Claims (3)

  1. チルト中心線を中心にチルト運動可能な船外機のシフト操作装置であって、船外機本体に設けられた固定部に固定されるアウタ管内を通って前記船外機本体の前方の外部から前記船外機本体を貫通してその内部に延びると共に前記船外機本体の外部に設けられた操作部材に加えられた操作力を伝達する操作ケーブルと、推進ユニットの前後進切換装置のシフト位置を切り換えるシフトロッドと、前記シフトロッドを駆動すべく前記シフトロッドに係合するまたは前記シフトロッドに一体回動可能に連結される駆動部材と、前記操作ケーブルに連結されて前記操作力を前記駆動部材に伝達する伝達機構とを備えるシフト操作装置において、
    前記操作ケーブルは、前記伝達機構の入力部材に連結部材を介して連結され、
    前記連結部材には、前記操作ケーブルが直接連結される第1連結部と、前記入力部材に摺接する第2連結部とが設けられ、
    前記第2連結部は、前記第1連結部よりも前記固定部寄りに位置し、
    前記連結部材は、前記船外機本体に設けられた案内部に、前記操作ケーブルにほぼ平行に摺動して案内されて、前記第1連結部および前記第2連結部と共に前記操作ケーブルにほぼ平行に移動し、
    前記案内部に案内された前記連結部材の摺動範囲の全体において、平面視で、前記操作ケーブルと前記第2連結部とが重なる位置にあることを特徴とするシフト操作装置。
  2. 前記入力部材は、前記船外機本体に設けられた枢支部に枢支されて不動の回動中心線を中心に回動する入力アームであり、
    前記入力アームには、前記回動中心線を中心とする径方向に長い長孔が形成され、
    前記第2連結部は、前記連結部材が前記案内部に案内されて移動するときに、前記長孔の周壁面に摺接しつつ前記長孔に沿って移動することを特徴とする請求項1記載のシフト操作装置。
  3. 前記伝達機構は、互いに一体回動可能に連結された前記入力アームおよび出力アームのみから構成され、
    前記出力アームは前記駆動部材に直接連結されることを特徴とする請求項2記載のシフト操作装置。
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