JP4168709B2 - 使用済みプラスチックの処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用済みプラスチックの処理方法に関し、特に製鉄所における使用済みプラスチックのリサイクル処理に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、産業廃棄物や一般廃棄物としてプラスチック等の合成樹脂類が急増しており、その処理が大きな問題となっている。なかでも高分子系の炭化水素化合物であるプラスチックは燃焼時に発生する熱量が高く、焼却処理した場合に焼却炉を傷めるために大量処理が困難であり、その多くがごみ埋立地等に投棄されているのが現状である。しかし、プラスチック等の投棄は環境対策上好ましくなく、その大量処理方法の開発が切望されている。
【0003】
プラスチック等の合成樹脂類を有効利用する方法として、合成樹脂類を転炉内に投入して、転炉ガスの発熱量を高めるとともに、転炉ガス量を増加させることを特徴とする転炉操業方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、溶湯を汚染することなく、効率的に熱付加を行なう製鋼方法として、プラスチックを転炉に投入する技術も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−192129号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2002−53909号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、転炉での使用済みプラスチック処理は公知であるが、塩素含有プラスチックは集塵、ガス回収などの設備保護の点から、転炉で処理することが困難であるという問題がある。含塩素プラスチックの熱分解によって多量の塩素系ガス(塩化水素、塩素ガス等)が生じ、発生するガス中に塩素系の腐食ガスが多量に含有されると炉体やガス処理設備等の腐食問題を引き起こすためである。このため、塩素含有樹脂を含まないプラスチックが転炉で処理されている。転炉で利用できない塩素含有樹脂類は、他の処理手段に回すか、別途脱塩素処理を行なってから転炉等で処理することができる。また、少量の金属含有プラスチックを転炉で処理することも可能であるが、転炉に投入された使用済みプラスチックの成分は鋼の成分に直接影響するため、投入する使用済みプラスチックの成分管理を厳密に行なう必要がある。また、転炉では熱管理も実施しており、投入できるプラスチックの量もある程度の制約を受け、使用済みプラスチックを多量に処理することは困難である。
【0007】
また、使用済みプラスチックを転炉でリサイクル利用する場合には、使用済みプラスチックを転炉の炉頂から、連続あるいは間欠投入する際に、転炉から発生する上昇ガスに吹き飛ばされないように、一定以上の比重をもった成型体とする必要がある。
【0008】
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、製鉄所において転炉を用いて使用済みプラスチックを処理する際に、使用済みプラスチックの塩素含有量の多少にかかわらず多量の使用済みプラスチックを処理できる使用済みプラスチックの処理方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、使用済みプラスチックを処理するための前処理のコストを削減できる使用済みプラスチックの処理方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)、使用済みプラスチックを、転炉と、使用済みプラスチックを熱分解させ且つ熱分解後の樹脂残渣を溶融するシャフト炉を備え、該シャフト炉の内部に堆積する使用済みプラスチックの堆積層の上部が流動状態の流動層であり、酸素濃度90%以上の純酸素をシャフト炉内に吹きこむことで前記流動層の温度を約800℃から約1000℃に制御することにより使用済みプラスチックのガス化に際するタール及び/又はチャーの発生を抑制するガス化溶融炉とを併用して処理する際に、塩素含有量が高い使用済みプラスチックをガス化溶融炉で処理することを特徴とする使用済みプラスチックの処理方法。
(2)、水および/または水蒸気を純酸素と共に吹きこむことを特徴とする、(1)に記載の使用済みプラスチックの処理方法。
(3)、使用済みプラスチックをガス化溶融炉で処理することで発生した発生ガスを、工業用燃料として利用することを特徴とする、(1)または(2)に記載の使用済みプラスチックの処理方法。
(4)、処理する使用済みプラスチックの種類と受け入れ量に応じて、転炉での処理量と、ガス化溶融炉での処理量を決定することを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の使用済みプラスチックの処理方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態であり、転炉とガス化溶融炉とを用いた使用済みプラスチック処理の全体図を示す。
【0012】
製鉄所において受け入れる使用済みプラスチック1は、収集段階で塩素含有プラスチックと塩素を含有しない使用済みプラスチックとに選別されていたり、形状がほぼ均一である場合もあるが、固形、フィルム等の形状では分別されておらず、複数種類のプラスチックの混合状態のものもある。塩ビ等の塩素含有プラスチックが混入されている可能性もあるので、図1のaのラインの処理を行なう。使用済みプラスチック1から、プラスチック以外の異物2と塩素含有プラスチック3とを分離除去し、成形体4を形成して、転炉5の炉頂から連続的あるいは間欠的に投入する。分離された異物2と塩素含有プラスチック3とは、ガス化溶融炉6で処理する。使用済みプラスチック1の一部が、塩素を含有しないことが明らかなプラスチックである場合(図1のb)は、そのまま成形体4を形成して、転炉5の炉頂から連続的あるいは間欠的に投入する。使用済みプラスチック1の一部が、塩素含有が明らかなプラスチックである場合(図1のc)は、そのままガス化溶融炉6で処理する。
【0013】
異物の除去は、例えば、磁選、風選や、揺動式の選別機を用いることができる。揺動式の選別機を用いると、金属片、木屑等の異物は小径物として分離される。
【0014】
異物を除去した使用済みプラスチックから塩素含有プラスチックを分離するには、比重分離により塩素含有プラスチックを除去することが好ましい。塩素含有プラスチックは比重が大きいため、水を用いて容易に分離が可能である。遠心分離式の比重分離装置を用いると、さらに効率的に塩素含有プラスチックを分離することができる。
【0015】
成形体4は、転炉から発生する上昇ガスに吹き飛ばされないように一定以上の比重をもった成形体にすることが好ましい。例えば、鉄鉱石や、Mn鉱石を焼結させてMnの酸化度を低下させたものと、使用済みプラスチックとを混合混練して、1個の質量が20〜150g程度、見かけの密度が1100〜2500kg/m3程度の円柱体、角柱体等の成形体を製造する。
【0016】
転炉での処理には適さない塩ビ等の塩素含有プラスチック、分離除去された異物は従来では残さとして例えば埋め立て処理が行なわれているが、本発明では製鉄所に併設するガス化溶融炉6で処理を行なう。ガス化溶融炉としては、例えばシャフト炉を用い、炉の頂部から使用済みプラスチックとともに副資材としてコークス、石灰石等を投入し、シャフト炉の羽口から純酸素を吹き込む等して、使用済みプラスチックの熱分解・溶融を行なうガス化溶融炉6で生成される熱分解ガスは、回収して工業用ガスとして利用する。
【0017】
転炉11へ使用済みプラスチックを投入する際には、上記のように成形体10を形成することが好ましい。一定以上の比重をもった成型体であると、使用済みプラスチックを転炉の炉頂から、連続あるいは間欠投入する際に、転炉から発生する上昇ガスに吹き飛ばされないからである。例えば、Mn鉱石や鉄鉱石等を比重調整材として、使用済みプラスチックと混合混練して、押出し成形機等を用いて、棒状等の投入しやすい形状に成形する。Mn鉱石や鉄鉱石等の金属酸化物は、単に密度調整だけでなく還元して金属成分として回収することができる。金属酸化物のための還元剤として、プラスチックから発生する炭素および水素ガスが有効に作用する。
【0018】
転炉11へ投入する使用済みプラスチックの成型体は、転炉で処理する溶湯の成分にほとんど影響しない程度であれば、少量の金属分が付着していても投入可能である。使用済みプラスチックとともに成形体として成形できれば問題なく処理できる。金属分が鉄やマンガン等の鋼材成分にあたる場合には、積極的に使用することも可能である。しかし成分不明な場合など、一般的には金属分が付着した使用済みプラスチックはガス化溶融炉で処理することが好ましい。
【0019】
使用済みプラスチックが有効に転炉11の溶湯面に供給されると、熱源として有効に利用することができ、かつ比重調整材にMn鉱石や鉄鉱石を用いれば、プラスチックによって鉱石の還元に必要な熱を与えることができる。また、還元歩留も向上する。
【0020】
ガス化溶融炉においては、使用済みプラスチックをガス化溶融炉に投入するだけで、特別な前処理を行なうことなく熱分解・溶融処理を行なうことができるので、塩素含有プラスチック以外の使用済みプラスチックもガス化溶融炉で処理することで、転炉での使用済みプラスチック処理における破砕・成形等の前処理のコストを削減することができる。
【0021】
ガス化溶融炉で回収されるガスは、高カロリーであり(CO、H2リッチ)、高付加価値のガスが得られるので、低コストで有効にエネルギー回収を行なうことができる。転炉とガス化溶融炉を併用することで、製鉄所での使用済みプラスチックの処理量が増大し、低コストで塩素含有プラスチックを処理できると同時にガス化溶融炉での発生ガスを回収して工業用燃料とすることで、使用済みプラスチックのエネルギー利用率が大幅に向上する。
【0022】
また、ガス化溶融炉では塩素含有プラスチックと同様に他のハロゲン元素を含有する使用済みプラスチックも処理可能である。特に臭素は難燃性プラスチック等に含まれている場合が多く、ガス化溶融炉を併用することで転炉での処理に不適なハロゲン元素を含有するプラスチックの処理も可能となる。
【0023】
次に、本発明で用いるガス化溶融炉について詳しく説明する。
【0024】
ガス化溶融炉とは、キルン(回転窯)や流動床炉を使って廃棄物から熱分解ガスを発生させ、その熱分解ガスによる熱で焼却灰等の熱分解残渣を溶融するプラントである。ガス化溶融炉の運転工程としては、まず、キルンや流動床炉等の熱分解炉を用いて、廃棄物を無酸素又は低酸素の状態で熱分解する。このとき廃棄物からは、熱分解ガス、灰分、カーボン、タール、チャー等が生成され、これらの生成物は次段階の溶融炉に送られる。溶融炉の内部は熱分解ガスと高温空気で例えば1200〜1300℃になり、残渣中の灰分等を溶融する。
【0025】
このようなガス化溶融炉では、廃棄物から生成される熱分解ガスを次の溶融工程で有効利用している。また、ガス化溶融炉を使用して廃棄物から生成される熱分解ガスは、回収して工業用燃料として製鉄所等で利用することができる。ガス化溶融炉で使用済みプラスチックを処理する場合、処理される使用済みプラスチックが塩素を含有している場合でも、発生する塩化水素ガスによってダイオキシン類が生成してもタール等とともに、高温還元雰囲気によって分解され、無害化する。
【0026】
コークスベッド式溶融炉とも呼ばれるシャフト炉は、上述の2段で構成される熱分解炉と溶融炉とを一体にした構造であり、本発明ではガス化溶融炉としてこのシャフト炉を用いることが効率的であり特に好ましい。シャフト炉の原理は、高炉の原理と同じであり、灼熱するコークス層から上昇する熱で使用済みプラスチックを熱分解し、炉床部で熱分解残渣を溶融する。使用済みプラスチックは副資材(コークス、石灰石)とともに、シャフト炉の上部から投入される。シャフト炉は使用済みプラスチックの不燃分を溶融させ、溶融物をメタル又はスラグとして有効利用できる。このため、処理対象となる使用済みプラスチックが金属、ガラス繊維等の異物を含有する場合でも処理可能であり、あらゆる種類の使用済みプラスチックを処理可能である。使用済みプラスチックから生成される熱分解ガスは、シャフト炉の上部から取り出され、後段の湿式ガス洗浄装置によって発生した塩化水素ガスを洗浄除去した後、工業用燃料として回収して、利用することができる。
【0027】
上記のようなシャフト炉において、シャフト炉の炉頂部内の温度を800℃〜1100℃の高温雰囲気に保持して、シャフト炉内で発生する発生ガス中のタールやチャー等の熱分解ガス中の不純物を充分にガス化させることが好ましい。投入された使用済みプラスチックを直ちに高温乾留して、タール等をガス化することで、従来よりも高カロリーの可燃性ガスを回収できる。
【0028】
上記のようにシャフト炉の炉頂部内全体の温度を800℃〜1100℃の高温雰囲気に保持することが困難である場合は、改質炉を備えたガス化溶融炉を用いることが望ましい。改質炉を備えたガス化溶融炉を用いた使用済みプラスチック処理について以下に説明する。
【0029】
図2はガス化溶融炉にシャフト炉を用いる場合の、ガス化溶融炉の一実施形態の説明図である。このガス化溶融炉は、使用済みプラスチックを熱分解・溶融するシャフト炉21と、熱分解によって使用済みプラスチックから生成されるタール及び/又はチャーをガス化するための改質炉22と、改質炉22で改質されたガスを、水を用いて冷却するガス冷却設備23と、ガスの冷却水を処理する水処理設備24と、冷却したガスを脱硫する脱硫設備25とを備える。脱硫されたガスは、ガスホルダー26に貯蔵され、リサイクル利用される。
【0030】
一般にシャフト炉21では、廃棄物から生成される熱分解ガスは炉の下から上に上昇する一方、廃棄物から生成される灰分、カーボンは重力によってコークスとともに下に行く。熱分解ガスが上昇する速度が速いと、灰分が熱分解ガスによって上昇させられ、工業用ガスとして取り出される側に搬送されてしまう。これを防止するため、シャフト炉では、溶融炉の炉頂部の径を大きく設定し、熱分解ガスが上昇する速度を遅くしている。すなわち溶融炉の径を、朝顔部(テーパ部)にて炉床部から炉頂部に向かってテーパ状に広げ、炉頂部の径を炉床部の径よりも大きくしている。このため、シャフト炉では、大型であるほど、炉頂部内の雰囲気温度が場所によって均一になりにくく、さらに、炉頂部から使用済みプラスチック、コークス、石灰石が投入されるので、炉頂部内の雰囲気温度よりも低い温度である使用済みプラスチックやコークス等によって炉頂部内の雰囲気温度が部分的に下げられてしまい、炉頂部内では、熱分解ガス中の不純物を充分にガス化させることができない場合がある。
【0031】
そこで本発明では、ガス化溶融炉として、シャフト炉を用いて使用済みプラスチックから生成される熱分解ガスを工業用ガスとして回収する際に、シャフト炉とは別に、雰囲気温度を均一に調整し易いガス改質炉を設け、該ガス改質炉で熱分解によって生成されるタール及び/又はチャーをガス化させることで、熱分解ガス中の不純物を効率良くガス化させる。
【0032】
シャフト炉とは別の、炉内の雰囲気温度を均一に調整し易い改質炉にて、タール及び/又はチャーをガス化すると、使用済みプラスチックから生成される熱分解ガス中の不純物を効率良くガス化させることができる。したがって、工業用ガスとして回収するガス単味のカロリーを向上させ、また後段の不純物除去処理をより一層簡易にすることができる。
【0033】
以上のようなシャフト炉と改質炉からなるガス化溶融炉を用いれば、シャフト炉にて使用済みプラスチックを効率良く熱分解することができ、改質炉にて熱分解ガス中のタール及び/又はチャーを効率良くガス化させることができる。
【0034】
シャフト炉の羽口及び前記改質炉の吹き込み口から純酸素を吹き込むと、シャフト炉、改質炉、ガスを冷却するガス冷却設備等をコンパクトにすることができるので好ましい。純酸素には窒素分が少ないので、工業用ガスとして処理すべきガスのボリュームを下げることができるためである。また、窒素分が少ないので、回収される工業用ガスを高カロリーガスとして利用することができる。
【0035】
前記シャフト炉の羽口及び前記改質炉の吹き込み口から純酸素とともに、水若しくは水蒸気を吹込むと、水(H2O)が分解して水素(H2)になるので熱分解ガスを水素リッチなガスに改質することができるので好ましい。また純酸素を吹込むだけだと、吹込み口近傍の雰囲気温度が極めて高温になるおそれがあるが、水若しくは水蒸気を吹込むことで、耐火物に悪影響を及ぼさないように、吹込み口近傍の雰囲気温度を調整することができる。純酸素は、高炉のように熱風ではなく、常温で吹込まれる。常温の酸素に水蒸気を吹込むと、常温の酸素によって水蒸気がドレン化され、水蒸気がきれいに分散しなくなるおそれがある。このため、水蒸気よりも水をミスト状に吹いて雰囲気温度を調整するのが望ましい。
【0036】
シャフト炉の炉頂部内の雰囲気温度が600〜850℃に設定され、改質炉内の雰囲気温度が1000〜1200℃に設定されることが望ましい。
【0037】
改質炉22は、例えば、全体が略円筒状をなし、その内周には耐火物が貼られたものを用いることができる。改質炉22の径はシャフト炉21の炉頂部21aの径よりも小さく、例えば炉頂部21aの径が約9m程度なのに対して改質炉22の径は例えば2〜3mに設定される。改質炉22の下部の径を絞ったところには、改質炉22に純酸素及び水を吹込むための吹き込み口を円周方向に複数設けることが望ましい。吹き込み口から純酸素及び水を吹込むことによって、改質炉の内部の雰囲気温度を1000〜1200℃に設定できる。
【0038】
改質炉22の役割について詳しく説明する。改質炉22は主に、下記の▲1▼〜▲3▼の役割を有する。▲1▼タール(CmHn)及び重炭化水素の完全分解により、液体状不純物を除去する。なおガス中にタール分が残る場合、後段の水処理でタールを除去する処理が必要になる。▲2▼チャー(C)の完全分解促進により、固体状不純物を除去する。一般にチャーは非常に反応性が悪く、ガス中には含まれないのが理想である。改質炉22でチャーの分解を図っても、ガス中に僅かに残ることもありえるので、後述する後段の水処理設備24で再度チャーを取り除いてシャフト炉21に戻すのが望ましい。▲3▼ガス改質を行なう。具体的には水素リッチなガスに改質することであり、改質炉22に水をミスト状に吹き込むと、一酸化炭素(CO)が減って水素(H2)が増える。ガスの持つエネルギとしては増えないが、水素(H2)をリッチにするという意味でガス改質である。
【0039】
本発明で用いるガス化溶融炉はさらに、改質炉で改質されたガスを、水を用いて冷却するガス冷却設備と、ガスの冷却水を処理する水処理設備と、冷却したガスを脱硫する脱硫設備とを備えてもよい。改質炉で改質されたガスを、水を用いて急冷すると、冷却工程でダイオキシンが再合成するのを防止することができる。またガスを脱硫処理することで、工業用ガスとして利用しやすくなる。
【0040】
ガス冷却設備、水処理設備、脱硫設備を備える場合、ガス改質炉22で改質されたガスは、ガス冷却設備23に送られる。ガス冷却設備23は改質炉22で改質されたガスを、水を用いて一気に冷却する。これはダイオキシンが再合成しやすい300℃前後の温度を素早く通過させ、ダイオキシンが再合成しないようにするのが目的である。ガスの冷却と同時に酸やアルカリでガスを洗浄し、重金属や有害な酸性ガスを除去してもよい。特にアルカリでの洗浄は塩素含有プラスチックが熱分解して発生した塩化水素を中和するため非常に好ましい。酸やアルカリはタンク27に貯えられる。シャフト炉及び改質炉では純酸素を吹き込むので、空気吹込みに比べると、冷却すべきガスの量も少なくてすむ。
【0041】
ガスの冷却水は水処理設備24で処理される。水処理設備24では、水処理の一般的な方法が採られ、例えば使用済みプラスチックに含まれる塩素分を苛性ソーダによって混合塩として回収し、また使用済みプラスチックに含まれる重金属をキレート処理して凝沈させ、CODなどを生物処理することによって低減して排出する。
【0042】
冷却されたガスは脱硫設備25に送られる。脱硫設備25では、ガス中の硫化水素(H2S)を除去する。硫化水素(H2S)が除かれると、ガスの組成としては、一酸化炭素(CO)+水素(H2)+二酸化炭素(CO2)となる。窒素(N2)は含まれたとしても数%以内になる。硫化水素(H2S)が除去された工業用ガスは、ガスホルダー26内に貯められ、例えば製鉄所の燃料として利用されたり、発電設備の燃料として利用されたり、加熱炉の燃料として利用されたりする。
【0043】
得られる工業用ガスは一酸化炭素(CO)と水素(H2)がリッチなガスなので、製鉄所内外での利用の他に、DMEすなわち、ガソリンの代用になるジメチルエーテル(CH3OCH3)の原料として利用されてもよい。また膜分離の技術を利用して、工業用ガスから水素(H2)を分離し、水素燃料の原料等としてもよい。残った二酸化炭素(CO2)はドライアイスに利用してもよい。
【0044】
以上のように、シャフト炉に改質炉を組み合わせたガス化溶融炉を用いることで、生成される熱分解ガス中の不純物を充分にガス化させることができるが、改質炉を用いずに、使用済みプラスチックのガス化に際するタール及び/又はチャーの発生を抑制する以下の方法を用いることも可能である。
【0045】
シャフト炉では、投入された使用済みプラスチックの堆積層は、上部が使用済みプラスチックがガス化する、使用済みプラスチックの乾燥および熱分解領域である流動状態の流動層であり、下部が使用済みプラスチックの高温燃焼および溶融領域である移動層という構成になっている。移動層の下部(使用済みプラスチック堆積層の下部)はコークス充填層である。本発明では、流動層の温度を所定の範囲に制御し、且つ流動層に十分な酸素を供給することで、使用済みプラスチックのガス化に際して、タールおよび/またはチャーの発生を発生段階で抑制する。
【0046】
使用済みプラスチックは300℃前後でガス化し易く、タールやチャーが極めて発生し易い。従来の流動層の温度は600〜800℃程度であり、この温度域で使用済みプラスチックをガス化させると、カーボン成分の数10%がすすになり、ガス化されない。これに対して本発明では、ガス化溶融炉が使用済みプラスチックを熱分解させ且つ熱分解後の樹脂残渣を溶融するシャフト炉を備え、該シャフト炉の内部に堆積する使用済みプラスチックの堆積層の上部が流動状態の流動層であり、酸素濃度90%以上の純酸素をシャフト炉内に吹きこむことで前記流動層の温度を約800℃から約1000℃に制御することにより使用済みプラスチックのガス化に際するタール及び/又はチャーの発生を抑制することを特徴とする。すすの生成率はガス化温度が高いほど低減できるが、800℃以上とすることで効率的に低減できる。また1000℃以上にすると、使用済みプラスチックの一部が溶融し、炉壁にクリンカーが成長して棚つりの原因になってしまう場合があるので、ガス化温度は1000℃以下が望ましく、流動層の温度を約800℃から約1000℃に制御することが効果的である。
【0047】
タール及び/又はチャーの発生を抑制するためには、流動層の温度を約800℃から約1000℃に制御する以外に、純酸素の供給も必要である。酸素を供給して使用済みプラスチックと反応させ、分解させる。単なる乾留では流動層の温度が約800℃〜約1000℃であっても燃焼性が悪く、すすが生成され易い。
【0048】
また、純酸素のみを用いて上記の流動層の温度を調整すると、流動層が高温になりすぎる場合があるので、水および/または水蒸気を純酸素と共にシャフト炉内に吹きこむことで温度調整を行なうと、温度調節が容易になるので好ましい。
【0049】
純酸素等をシャフト炉内に吹きこむことで流動層の温度を制御するためには、シャフト炉が、流動層の近傍に気体吹きこみのための羽口を有することが好ましい。また、流動層の温度は、例えば、熱電対の先端の測定部を炉壁から炉内にわずかに出して直接測定することができる。
【0050】
次に、転炉とガス化溶融炉を用いた製鉄所における使用済みプラスチック処理方法について説明する。
【0051】
本発明では、製鉄所における使用済みプラスチック処理を、転炉とガス化溶融炉とを併用して処理することを特徴とする。また、使用済みプラスチックをガス化溶融炉で処理することで発生した発生ガスを、工業用燃料として利用することを特徴とする。
【0052】
従来の技術で説明したように、転炉における使用済みプラスチックの投入処理は、使用済みプラスチックのリサイクル利用として有効な手段であるが、塩素含有プラスチックの処理が困難である。この問題を、使用済みプラスチックの一部を転炉で処理し、ガス化溶融炉を併用して、使用済みプラスチックの残部の全てあるいは一部をガス化溶融炉で処理することで解決できる。ガス化溶融炉は処理される使用済みプラスチックが塩素を含有している場合でも、発生する塩化水素ガスは排ガス洗浄装置で中和除去され無害化するので、使用済みプラスチックの処理に好適である。また、転炉で使用済みプラスチック処理を行なうためには、使用済みプラスチックを投入に適した形状とするために成形を行なう必要があるが、ガス化溶融炉で使用済みプラスチックを処理する際には特別な前処理は不要であり、前処理のコストが低く、全体として前処理のコストを削減できる。したがって、転炉とガス化溶融炉での処理を並列して行なうことで、塩素含有プラスチックを含む多量の使用済みプラスチックを低コストで効果的に処理することができる。
【0053】
さらに、発生ガスの回収の点からも転炉とガス化溶融炉での並列処理は効果的である。従来型の転炉設備ではガスの発生量が少ない場合、ガス回収が困難であるが、使用済みプラスチックの転炉投入により、COガスの発生量が増加して、ガス回収も容易となるので、大幅な設備改造を行なうことなく、従来回収できなかった発生ガスを熱的に有効なガスとしてガス回収することが可能となる。ガス化溶融炉を使用して使用済みプラスチックから生成される熱分解ガスも、回収して工業用燃料として製鉄所等の設備で燃焼させて利用することができるので、多量の発生ガスを回収して、エネルギーを効率的に熱回収して利用する事ができる。ガス化溶融炉で発生するガスは、高カロリーの工業用燃料として使用可能である。また、転炉の操業は間欠的であり、ガス回収も間欠的となるが、ガス化溶融炉は連続操業可能であるので、転炉とガス化溶融炉での並列処理により、回収ガスの発生量や組成の変動を緩和させて、安定的なガス供給を行なうことができる。
【0054】
転炉で処理した使用済みプラスチックの残部の全てをガス化溶融炉で処理しても良いが、前記残部の一部を高炉、コークス炉等、その他の製鉄所内設備で処理することも可能である。高炉での処理を併用することで、使用済みプラスチックの処理量を大幅に増やすことができるが、転炉やガス化溶融炉に比べて破砕・造粒等の前処理がコスト高である。
【0055】
ガス化溶融炉は塩素を含有している使用済みプラスチックを処理できるので、塩素含有量が高い使用済みプラスチックはガス化溶融炉で処理するものとする。塩素含有量が高い使用済みプラスチックとは、塩化ビニルや塩化ビニリデン等の含塩素高分子樹脂材を主体とするものであり、転炉で処理可能な濃度を超えて塩素を含有する使用済みプラスチックである。例えば、塩素含有量が1mass%以上であるものとする等、適宜設定する。
【0056】
したがって、塩素含有量の少ない使用済みプラスチックの内、成形体の製造に適する使用済みプラスチックのみを転炉で処理し、残部をガス化溶融炉で処理することで、転炉投入用の成形体の製造コストを低コスト化することができる。成形体の製造に適する使用済みプラスチックとしては、熱可塑性を有し、軟化溶融し易い、フィルム状の使用済みプラスチック破砕物等があり、固形プラスチックの破砕物よりもフィルム形状の使用済みプラスチックを用いる方が、成形時の摩耗等による設備的な負荷が少ない。成形体として、使用済みプラスチックをブリケット化する場合は、溶融し易い粒状の使用済みプラスチックが適している。
【0057】
また、使用済みプラスチックを塩素含有量が多いものと塩素含有量が少ないものに分別し、塩素含有量が少ないものを転炉で処理し、塩素含有量が多いものをガス化溶融炉で処理することもできる。転炉での使用済みプラスチックの処理量を増大させるために、塩素含有量が多い使用済みプラスチックにロータリーキルンを用いて酸素を遮断した雰囲気で加熱する等の脱塩素処理を行なって、塩素含有量を少なくしてから転炉で処理することも可能である。
【0058】
また、使用済みプラスチックのうち、塩素含有量が少ないものと塩素含有量が多いものとに分別を行なっていないものについて、塩素含有量が不明なままでガス化溶融炉で処理することもできる。
【0059】
上記で用いる使用済みプラスチックを塩素含有量が多いものと塩素含有量が少ないものとに分別する方法として、使用済みプラスチックを比重分離によって塩素含有量が多いものと塩素含有量が少ないものに分別することが好ましい。塩素含有プラスチックである塩化ビニルや塩化ビニリデン等の含塩素高分子樹脂材は他の合成樹脂に較べて比重が大きいため(ポリエチレンの比重:0.91〜0.96、ポリプロピレンの比重:0.89〜0.91程度であるのに対し、塩化ビニルの比重:1.16〜1.55程度)、比重差を利用して容易に分別可能である。通常、比重分離のための分離装置は水等の液体を利用した比重分離方式或いは遠心分離方式等を用いる。比重分離を行なうためには、使用済みプラスチックを8mm〜20mm程度に破砕処理した後に行なうことが好ましい。
【0060】
また、産業廃棄物等であって、塩素含有量が高いことが明らかな使用済みプラスチックについては、ガス化溶融炉で処理する。ガス化溶融炉で処理する使用済みプラスチックの割合を高めると、転炉投入用成形体製造のコストを低減することができる。
【0061】
以上のように、転炉とガス化溶融炉とを併用して、使用済みプラスチックの内、塩素含有量が高い使用済みプラスチックをガス化溶融炉で処理するためには、各種の方法で行なうことができる。処理する使用済みプラスチックには、多種類のプラスチックと異物の混合状態であるものや、ある程度プラスチックの種類が判明しているものとがあり、これらを処理するために受け入れた場合、使用済みプラスチックの種類や受け入れ量に応じて、上記のような処理形態を適宜選択、組み合わせて、転炉での処理量と、ガス化溶融炉での処理量を決定して実施すると、多量の使用済みプラスチックを製鉄所で効果的に利用しながら処理することができる。
【0062】
以上のように、転炉とガス化溶融炉とを併用した使用済みプラスチックの処理は非常に効果的であるが、ガス化溶融炉としてシャフト炉を用い、使用済みプラスチックを熱分解及び溶融するシャフト炉と熱分解によって使用済みプラスチックから生成されるタール及び/又はチャーをガス化するための改質炉とを備え、前記改質炉で改質されたガスを工業用ガスとして利用するガス化溶融炉を用いて使用済みプラスチックの処理を行なうと、使用済みプラスチックの熱分解ガス中の不純物を効率良くガス化させることができるので、非常に効果的である。
【0063】
前記シャフト炉では、炉の頂部から廃棄物とともに副資材として少なくともコークスを投入すると効果的である。
【0064】
また、前記シャフト炉の羽口及び前記改質炉の吹き込み口から、純酸素が吹き込まれると、シャフト炉、改質炉、ガスを冷却するガス冷却設備等をコンパクトにすることができ、回収される工業用ガスを高カロリーガスとして利用することができるので好ましい。
【0065】
また、上記の際に、水および/または水蒸気を純酸素と共にシャフト炉および/または改質炉内に吹きこむことが好ましい。
【0066】
また、ガス化溶融炉による使用済みプラスチック処理の一実施形態として、ガス化溶融炉が使用済みプラスチックを熱分解させ且つ熱分解後の樹脂残渣を溶融するシャフト炉を備え、該シャフト炉の内部に堆積する使用済みプラスチックの堆積層の上部が流動状態の流動層であり、酸素濃度90%以上の純酸素をシャフト炉内に吹きこむことで前記流動層の温度を約800℃から約1000℃に制御することにより使用済みプラスチックのガス化に際するタール及び/又はチャーの発生を抑制することが効果的である。
【0067】
また、上記の際に、水および/または水蒸気を純酸素と共にシャフト炉内に吹きこむことが好ましい。
【0068】
さらに、改質炉を用いる場合と同様に、シャフト炉では、炉の頂部から廃棄物とともに副資材として少なくともコークスを投入すると効果的であり、また、前記シャフト炉の流動層近傍以外の羽口からも、純酸素を吹き込むことが好ましい。
【0069】
【実施例】
(実施例1)製鉄所において使用済みプラスチックを受け入れて、転炉とガス化溶融炉(廃棄物を熱分解及び溶融するシャフト炉)を用いて使用済みプラスチック処理を行なった。
【0070】
図1と同様の処理フローにより、上記の使用済みプラスチック処理を行なった。使用済みプラスチック1から異物を除去するために、揺動式選別機を用いて使用済みプラスチックを重量物(固形プラスチック)と小径物(金属片、木屑等)と軽量物(フィルム系プラスチック)に分離した。軽量物としてポリオレフィン系プラスチックが主であるフィルム系プラスチックおよびトレー系プラスチックを分別し、重量物として、ペットポトル等の固形プラスチックを、小径物として金属等の異物2を分別した。異物2は約2%であり、異物2を除去した使用済みプラスチックのうち、重量物が約10%、軽量物が約90%であった。重量物である固形プラスチックは主として非塩素含有プラスチックであるPET等の溶融温度が高いプラスチックを用いて製造されていたが、他のプラスチックと混合して成形体4の原料とした。分別した軽量物であるフィルム系の使用済みプラスチックは30mm以下に破砕後に遠心分離式の比重分離装置を用いて比重1以上の重量分と、比重1以下の軽量分に分離した。重量分が約25%、軽量分が約75%であった。重量分は大部分が塩素含有プラスチック3であり、異物2とともに、ガス化溶融炉6で処理した。30mm以下に破砕した固形プラスチックと、比重分離装置を用いて分離した軽量分とを用いて、比重調整材とともに転炉投入のための成形体4を成形した。比重調整材として、Mn鉱石を焼結させてMnの酸化度を低下させたもの(以下、Mn鉱石焼結粉という)と、全体の70mass%となるように配合した使用済みプラスチックとを混合混練して、1個の質量が30〜40g、見掛けの密度が約1200kg/m3の円柱体状の押出し成形体を製造した。次いで、この成形体を転炉吹錬中の溶湯上にフィーダーから供給した。プラスチックが有効に溶湯面に供給されて熱源として有効に利用することができ、かつプラスチックによってMn鉱石の還元に必要な熱を与えることができた。Mn鉱石の替わりに鉄鉱石を用いて同様に直径40mm、長さ100mmの円筒形状の成形体を製造して、同様に転炉に供給したところ、鉄鉱石の還元に必要な熱をプラスチックで有効に与えることができ、また還元剤を鉄鉱石近傍に配置したことおよびプラスチック中の水素が有効に還元に利用されたことにより従来に比べて高い鉄鉱石の還元歩留を得ることができた。
【0071】
ガス化溶融炉6であるシャフト炉では、炉の頂部から使用済みプラスチックとともに副資材としてコークス、石灰石を投入し、シャフト炉の羽口から純酸素を吹き込んだ。
【0072】
産業廃棄物系プラスチックのうち、塩素含有プラスチックはガス化溶融炉6で処理した。産業廃棄物系プラスチックで塩素を含有しない使用済みプラスチックは、上記と同様に成形体4を製造して、転炉5に供給した。
【0073】
転炉5に供給した使用済みプラスチックの塩素含有割合は0.5mass%以下であった。プラスチックを投入することにより生じる熱は、鉱石等の転炉内還元にも有効に作用し、歩留まりで0.3%〜1.7%の改善が認められた。さらに、この熱を利用することにより、スクラップ比を2〜10%向上することができた。また、排ガス量が大幅に増大するため、排ガス処理設備のボイラーでの蒸気回収も従来に比較して30〜130%増大させることができた。ガス化溶融炉での工業用燃料回収によるエネルギー利用が大幅に向上した。
【0074】
(実施例2)実施例1において、シャフト炉とは別に、雰囲気温度を均一に調整し易いガス改質炉を設け、該ガス改質炉で熱分解によって生成されるタール及び/又はチャーをガス化させ、改質炉で改質されたガスを工業用ガスとして利用するガス化溶融炉を用いて、同様に使用済みプラスチックの処理を行なった。シャフト炉の羽口及び改質炉の吹き込み口から純酸素と水を吹き込んだ。改質炉で改質されたガスは、水を用いて冷却するガス冷却設備と、ガスの冷却水を処理する水処理設備と、冷却したガスを脱硫する脱硫設備とにより処理して、工業用ガスとして利用した。工業用ガスは、一酸化炭素(CO)と水素(H2)がリッチなガスで、約2500kcal/(標準状態)Nm3カロリーのガスを回収できた。回収ガスは、製鉄所で高炉、転炉、コークス炉等から発生するガスを混合して用いる混合ガスに相当する高カロリーガスであり、混合ガスを使用する製鉄所内設備で同等に有効利用でき、発電設備の燃料として利用したり、加熱炉の燃料に利用した。
【0075】
(実施例3)実施例1において、高さ方向に3段(上段、中段、下段)の羽口を有するシャフト炉を用いて、シャフト炉に使用済みプラスチックを投入した。投入された使用済みプラスチックの堆積層は、上部が流動状態の流動層であり、使用済みプラスチックをガス化させた。流動層には中段の羽口より酸素濃度90%以上の純酸素を吹きこみ、流動層の温度が950℃になるように、酸素、空気、蒸気の吹きこみ量を調整した。流動層において、使用済みプラスチックの水分は蒸発し、揮発分はガス化し、固定炭素および灰分は炉底へ移動した。タールやチャーはほとんど発生しなかった。
【0076】
移動層では、下段の羽口から燃焼用酸素を吹きこみ、炉底部に投入されたコークスおよび固定炭素を高温燃焼させ、灰分を溶融させた。溶融した灰分はコークスの間を流下し、スラグとして排出した。消費されたコークスは上部から補充した。
【0077】
シャフト炉の上部は発生ガスの改質領域であり、上段の羽口より部分燃焼用酸素を送り、シャフト炉のガス出口付近を所定の温度に制御し、ダイオキシン類、タールを分解し、これらの発生を抑制した。
【0078】
回収されたガスは、ダイオキシン対策のために水で急冷したが、空気ではなく、純酸素を羽口から吹き込んだので、処理するガスの体積が比較的小さく、冷却水を節約できた。また、純酸素吹き込みは、発生ガスの窒素分を減らす効果もあり、発生したガスはタールやチャーをほとんど含有しない、高カロリーの工業用ガスとして回収することができた。
【0079】
得られた工業用ガスは、一酸化炭素(CO)と水素(H2)がリッチなガスで、約2500kcal/Nm3カロリーのガスを回収できた。回収ガスは、製鉄所で高炉、転炉、コークス炉等から発生するガスを混合して用いる混合ガスに相当する高カロリーガスであり、混合ガスを使用する製鉄所内設備で同等に有効利用できた。
【0080】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、転炉を用いて製鉄所内で使用済みプラスチックを処理する際に、使用済みプラスチックの塩素含有量の多少にかかわらず多量の使用済みプラスチックを低コストで処理することが可能であり、発生ガスを製鉄所内外の熱源として有効利用する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】転炉とガス化溶融炉を用いた使用済みプラスチック処理の全体図を示す。
【図2】本発明の一実施形態におけるガス化溶融炉の説明図。
【符号の説明】
1:使用済みプラスチック、
2:異物、
3:塩素含有プラスチック、
4:成形体、
5:転炉、
6:ガス化溶融炉、
21:シャフト炉、
21a:炉頂部、
22:改質炉、
23:ガス冷却設備、
24:水処理設備、
25:脱硫設備、
26:ガスホルダー、
27:タンク
Claims (4)
- 使用済みプラスチックを、転炉と、使用済みプラスチックを熱分解させ且つ熱分解後の樹脂残渣を溶融するシャフト炉を備え、該シャフト炉の内部に堆積する使用済みプラスチックの堆積層の上部が流動状態の流動層であり、酸素濃度90%以上の純酸素をシャフト炉内に吹きこむことで前記流動層の温度を約800℃から約1000℃に制御することにより使用済みプラスチックのガス化に際するタール及び/又はチャーの発生を抑制するガス化溶融炉とを併用して処理する際に、塩素含有量が高い使用済みプラスチックをガス化溶融炉で処理することを特徴とする使用済みプラスチックの処理方法。
- 水および/または水蒸気を純酸素と共に吹きこむことを特徴とする、請求項1に記載の使用済みプラスチックの処理方法。
- 使用済みプラスチックをガス化溶融炉で処理することで発生した発生ガスを、工業用燃料として利用することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の使用済みプラスチックの処理方法。
- 処理する使用済みプラスチックの種類と受け入れ量に応じて、転炉での処理量と、ガス化溶融炉での処理量を決定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の使用済みプラスチックの処理方法。
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