JP4168124B2 - 高流動点温度を有するポリエチレングリコール、その製造方法及びその製造装置 - Google Patents

高流動点温度を有するポリエチレングリコール、その製造方法及びその製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、高流動点温度を有するポリエチレングリコール、その製造方法及びその製造装置に関し、更に詳細には、通常では低い流動点温度を有するポリエチレングリコールを、特定の処理を行うことにより、流動点温度を高めたポリエチレングリコール、その製造方法及びその製造装置に関する。
軟膏、ローション、錠剤バインダー、座薬ベース等の医薬品工業、クリーム、ローション、整髪、調髪剤等の香粧品工業、各種潤滑剤、繊維用サイズ剤など、多くの分野でポリエチレングリコールが使用されている。これらの用途のうち、医薬品工業や香粧品工業の分野では、ポリエチレングリコールは人体に直接使用されるので、その流動点が問題となることが多い。また、潤滑剤の分野に於いては、保存時の温度では固体状態を維持し、使用時に保存温度より高い温度に曝された後は液状となり、以後温度を下げても液状を維持するという性状が必要とされている。しかし、このような性状を十分に発揮する基剤は未だに見出されていないのが実情である(例えば、特許文献1、特許文献2)。
特開昭49−12025号公報 特開2002−187825号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するために為されたものであり、本発明の目的は、通常では低い流動点温度を有するポリエチレングリコールを使用して、その流動点温度を高める処理を施したポリエチレングリコール、その製造方法及びその製造装置を提供することである。
本発明のポリエチレングリコールは、温度を変化させた場合に、固体、固液共存状態及び液体の3つの状態を呈し、通常では流動点温度が固液共存状態域にあるポリエチレングリコール組成物であって、流動点温度を、前記液体と前記固液共存状態との境界温度より高くしたことを特徴とする。
ここで、本願に於ける固液共存状態とは、液状のポリエチレングリコールにミクロな固体状のポリエチレングリコールが存在し外観的には白濁している状態、又は透明感があるが流動性が殆どない状態をいう。このような固液共存状態は、固体状態及び液体状態とは明確に目視で区別することができる。
また、本発明に於ける流動点温度とは、JIS K2269に準じて測定した温度であって、試料を固化温度以下に冷却し、続いてその試料をかき混ぜないで徐々に加熱し、2.5℃ごとに傾けて試料の表面が流動するかどうかを目視で確認し、試料が最初に流動したときの温度をいう。
ポリエチレングリコールの流動点温度を液体と固液共存状態との境界温度より高くすることにより、保存時の温度では固体状態を維持し、保存時の温度より高い温度で液状となって、以後温度を保存時の温度より下げても液状を維持するという性状が発現される。
このような性状は、前記ポリエチレングリコール組成物を、前記液体状態の温度から前記固体状態の温度まで2℃/分以上、好ましくは2.5℃/分以上、更に好ましくは4℃/分以上の冷却速度で急冷することにより得ることができる。また、このような性状のポリエチレングリコール組成物は、分子量分布に於いて異なる重量平均分子量を有する2種類のポリエチレングリコールを混合することにより得られる。
なお、上記冷却速度は大きいほど好ましいが、実際の製造の場面を考慮すれば、10℃/分より大きい冷却速度での冷却は不可能と思われる。
また、本発明のポリエチレングリコールは、温度を変化させた場合に、固体、固液共存状態及び液体の3つの状態を呈するポリエチレングリコール組成物であって、通常の示差走査熱量分析に於ける吸熱ピークを増大させ及び/又は高温側に移動させたことを特徴とする。
このように、示差走査熱量分析に於ける吸熱ピークを増大させ及び/又は高温側に移動させることにより、保存時の温度では固体状態を維持し、保存時の温度より高い温度で液状となって、以後温度を保存時の温度より下げても液状を維持するという性状が発現される。
このような性状は、前記ポリエチレングリコール組成物を、前記液体状態の温度から前記固体状態の温度まで2℃/分以上、好ましくは2.5℃/分以上、更に好ましくは4℃/分以上の冷却速度で急冷することにより得ることができる。また、このような性状のポリエチレングリコール組成物は、分子量分布に於いて異なる重量平均分子量を有する2種類のポリエチレングリコールを混合することにより得られる。
更に、温度を変化させた場合に、固体、固液共存状態及び液体の3つの状態を呈するポリエチレングリコール組成物であって、赤外吸収スペクトルに於ける1344cm-1近傍、1281cm-1近傍及び/又は843cm-1近傍の吸収ピークを増大及び/又はシフトさせたことを特徴とする。
このような性状は、前記ポリエチレングリコール組成物を、前記液体状態の温度から前記固体状態の温度まで2℃/分以上、好ましくは2.5℃/分以上、更に好ましくは4℃/分以上の冷却速度で急冷することにより得ることができる。また、このような性状のポリエチレングリコール組成物は、分子量分布に於いて異なる重量平均分子量を有する2種類のポリエチレングリコールを混合することにより得られる。
このように、ポリエチレングリコールの赤外吸収スペクトルに於ける1344cm-1近傍、1281cm-1近傍及び/又は843cm-1近傍の吸収ピークを増大及び/又はシフトさせることにより、保存時の温度では固体状態を維持し、保存時の温度より高い温度で液状となって、以後温度を保存時の温度より下げても液状を維持するという性状が発現される。
上記の流動点温度を高めたポリエチレングリコール組成物は、液体状態の温度のポリエチレングリコール組成物を所定の冷却速度で急冷するためのプレート式熱交換機を備えた製造装置により製造することができる。プレート式熱交換機を用いてポリエチレングリコール組成物を冷却することにより、上記所定の温度で確実に冷却することが可能となる。
また、上記のポリエチレングリコール組成物の製造装置は、プレート式熱交換機から排出されるポリエチレングリコール組成物を移送するためのモーノポンプを備えていることが好ましい。モーノポンプ使用すれば、プレート式熱交換機から排出されるポリエチレングリコール組成物の流動点温度が高められた状態を維持したまま、ポリエチレングリコール組成物を移送することができる。
本発明のポリエチレングリコールは、液体と固液共存状態との境界温度より高い流動点温度を有し、示差走査熱量分析に於ける吸熱ピークを増大させ若しくは高温側に移動させ、又は赤外吸収スペクトルに於ける1344cm-1近傍、1281cm-1近傍及び/又は843cm-1近傍の吸収ピークを増大及び/又はシフトさせたので、保存時の温度では固体状態を維持し、保存時の温度より高い温度で液状となって、以後温度を保存時の温度より下げても液状を維持するという性状が発現される。従って、本発明のポリエチレングリコールは、潤滑剤等の用途に有用である。
図1は、重量平均分子量4000のポリエチレングリコール(以下では、このような重量平均分子量を有するポリエチレングリコールを「PEG4000」のように略称する。)と重量平均分子量400のPEG400との混合組成物について、様々な混合比率に於ける相図を模式的に表したものである。ここで、図1の相図は、上述のように、液状のポリエチレングリコールにミクロな固体状のポリエチレングリコールが存在し外観的には白濁している状態、又は透明感があるが流動性が殆どない状態を固液共存状態として画いたものである。
図1に示すように、本実施形態に於けるポリエチレングリコール組成物は、単にPEG4000とPEG400とを混合しただけの組成物であって、温度変化させた場合に、固体、固液共存状態及び液体の3つの状態を呈し、通常では流動点温度が固液共存状態域にあるものを前提としている。即ち、図1に示すように、液体状態(I)の下限の境界温度曲線1と、固体状態(II)の上限の境界温度曲線2との間の斜線を施した固液共存状態(III)に流動点温度があるポリエチレングリコール組成物を前提としている。例えば、PEG4000/PEG400=10/90の混合組成物では、この混合系を表すライン6上に於いて、温度を徐々に変化させた場合に、斜線を引いた固液共存状態(III)に流動点温度4が存在している。
このような流動点温度4を有するポリエチレングリコール組成物を、一旦液体状態(I)まで加熱し、その液体状態(I)の温度から固体状態(II)の温度まで、例えば2℃/分以上の冷却速度で急冷する処理を行い、この冷却処理後に再度流動点温度を測定すると、図1に示すように、液体状態(I)の領域内の符号5で示す温度まで流動点温度が上昇する。
図2は、PEG4000/PEG400=10/90の混合組成物の系に於ける示差走査熱量分析(DSC)の結果の一例を示している。図2の例に於いて、「徐冷」とは、PEG4000とPEG400とを加熱混合した後、単に室温下で放置することにより例えば2℃/分よりも緩やかな冷却速度で長い時間をかけて徐々に冷却する処理をいう。これに対して、図2の「急冷」とは、前記図1に於ける液体状態(I)の温度から固体状態(III)の温度まで例えば2℃/分以上の冷却速度で急冷する処理をいう。このように徐冷及び急冷を行ったポリエチレングリコール組成物について示差走査熱量分析を行うと、図2に示すように、吸熱ピークは何れも約5℃と約47℃に現れている。しかし、徐冷及び急冷の場合を比較すると、急冷の方が約47℃の吸熱ピークが増大し、しかも高温側に移動していることが分かる。
図8は、重量平均分子量が異なる場合の例として、低い場合がPEG400、高い場合がPEG4000の赤外吸収スペクトルを表し、図9は、重量平均分子量が低いポリエチレングリコールと高いポリエチレングリコールとを混合した場合の一例として、PEG200/PEG4000=80/20の組成比のものの赤外吸収スペクトルを表している。図9の例に於いて、前述と同様に、「徐冷」とは、PEG4000とPEG200とを加熱混合した後、単に室温下で放置することにより例えば2℃/分より緩やかな冷却速度で長い時間をかけて徐々に冷却する処理をいう。また「急冷」とは、前記図1に於ける液体状態(I)の温度から固体状態(III)の温度まで例えば2℃/分以上の冷却速度で急冷する処理をいう。図9に示すように、赤外吸収スペクトルに於ける1344cm-1近傍、1281cm-1近傍及び843cm-1近傍の吸収ピークは、急冷した場合の方が徐冷した場合より増大又はシフトしている。
このような赤外吸収スペクトルに於ける挙動がなぜ起こるかは不明であるが、以下のような考察が可能である。上記の1344cm-1近傍、1281cm-1近傍及び843cm-1近傍の吸収ピークのうち、1281cm-1近傍及び843cm-1近傍の吸収ピークは、オキシエチレン鎖中のOC−CO結合がゴーシュ形のコンホメーションに帰属される。本来オキシエチレン鎖は結晶中においてはOC−CO結合がゴーシュ形、OC−CC結合がトランス形をとるヘリックス構造をとることが知られている。赤外スペクトルではヘリックス構造に帰属される1344cm-1近傍、1281cm-1近傍及び843cm-1近傍バンド強度が増大しており、急冷を行った場合の方が、本来のオキシエチレン鎖の結晶形であるヘリックス構造の割合が多いことがわかる。
ここで疑問が残るのは、本来の物質の性質としては、ゆっくりと結晶化を行うと結晶性が上がり、融点も低下するのが一般的である。しかし、本発明のポリエチレングリコール組成物では一般的な結晶化とは異なる現象が見られる。本発明のように通常とは異なる挙動がみられるのは、分子量分布に於いて異なる重量平均分子量を有する2種類のポリエチレングリコールの分子構造が近いなどの理由で、固体状態において二つの成分が任意に混ざり合うことを示している。この場合、完全な平衡状態の相挙動を得るためには十分に長い時間をかけながら温度を変える必要がある。本発明のように急冷を行った場合には、完全ではないがPEG200とPEG4000とが固体状態として混ざり合い、混合固体を形成することができたものと考えられる。
本発明のポリエチレングリコール組成物は、例えば図16に模式的に示すプレート式熱交換機を備えた製造装置により、製造することができる。即ち、プレート式熱交換機によれば、例えば2℃/分以上の冷却速度でポリエチレングリコール組成物を急冷することができる。図16(a)はプレート式熱交換機の断面模式図であり、同図(b)は、同図(a)のP−P線矢視断面図である。本実施形態のプレート式熱交換機は、図16(a)の模式図に示すように、多数のプレート11を例えばガスケット(図示せず)を介して重ねて固定することにより形成される、冷却対象物を冷却するための冷却部14を有している。なお、図16(a)及び(b)では図示していないが、各プレート11は水などの冷媒で冷却される構造となっている。一実施形態では、冷媒の導入時の温度は5℃に設定される。本実施形態のプレート式熱交換機では、流動点以上に加熱されたポリエチレングリコール組成物が入口管12から冷却部14に導入される。入口管12から導入されたポリエチレングリコール組成物は、同図(b)に示すように、横方向に幅の広くなった冷却部14内を移動することになる。これにより、ポリエチレングリコール組成物は、機械的な撹拌力を極力低減した状態で、しかも広い冷却面積を介して冷却されることになる。
冷却部14から次の冷却部14へのポリエチレングリコール組成物の移動は、各プレート11に設けられた連通孔15を介して行われる。そして、ポリエチレングリコール組成物は図16(a)及び(b)の上から下へ順次移送され、最後に出口管13から排出されることになる。
図17は、図16(a)及び(b)のプレート式熱交換機から排出されたポリエチレングリコール組成物を移送するためのモーノポンプを表す一部破断断面図である。モーノポンプを使用することにより、ポリエチレングリコール組成物をその流動点温度が高められた状態を維持したまま、移送することが可能となる。図17に示すように、ケーシング20と、このケーシング20に取り付けられた弾性材からなるステータ21と、ステータ21内に位置するロータ22とを備えている。ロータ22は、ケーシング20内に収納された2つのユニバーサルジョイント23及び25と、これらのユニバーサルジョイント23及び25を接続するカップリングロッド24とを備えている。ステータ21は、ユニバーサルジョイント23及び25並びにカップリングロッド24を介して、図示しない駆動源に接続されている。モーノポンプは、ステータ21内のロータ22を回転させることにより、機械的な撹拌力を極力加えることなく、ポリエチレングリコール組成物を移送することができる。
(流動点の測定)
表1は、種々のポリエチレングリコール組成比を有する組成物について、冷却速度を4.0℃/分〜0.5℃/分の間で変化させた場合について測定した流動点温度を示している。流動点の温度は、前述のJIS K2269に準拠した方法により測定した。
Figure 0004168124
表1の流動点の具体的な測定方法は、以下のとおりである。まず、表1の「組成」の欄に示す2種類のPEGを、同表に示す配合比率で60℃まで加熱して溶融した。次に、図18に示すように、4本のスクリュー管30にこの溶融液を50gづつ採り、各冷却速度用のサンプルとした。用いたスクリュー管30は、JIS規格の試験管とほぼ同じ径のものである。このスクリュー管30内のサンプル溶融液31に温度計32を設置した。温度計32は、その先端部がサンプル溶融液31の上下方向中央部でスクリュー管30の壁面に接触するように設置した。
次に、4つのサンプルのうちの3つは、5℃、17℃及び28℃の3つの異なる温度に設定した恒温槽に浸漬し、残りの1つは室温(約25℃)で放置することにより冷却を行った。恒温槽の温度が5℃の場合、サンプルの温度は50℃から10℃まで約10分で降下して全体が固まった。恒温槽の温度が17℃の場合、サンプルの温度は50℃から20℃まで約12分で降下して全体が固まった。恒温槽の温度が28℃の場合、サンプルの温度は50℃から30℃まで約25分で降下して全体が固まった。室温で放置した場合、サンプルの温度は50℃から30℃まで約40分で降下して全体が固まった。以上から、それぞれ4.0℃/分、2.5℃/分、1.0℃/分及び0.5℃/分の冷却速度で処理したことになる。
これらの4つのサンプルについて、上述のJIS K2269に準拠した方法により測定した各温度ごとの流動性の有無及びその結果から得られる流動点温度を表1に示す。同表に示すように、何れの組成比に於いても、冷却速度が大きい試料の流動点の温度は、冷却速度が小さい試料の流動点の温度より2〜8℃高くなっていることが分かる。なお、上記の徐冷サンプルは、完全な平衡状態を保ちながら固化させたサンプルではないが、平衡状態に近い流動点温度を示すと考えられる。
(示差走査熱量分析)
種々の組成を有するポリエチレングリコール組成物について示差走査熱量分析を行い、その結果を図2〜図7に示した。示差走査熱量分析は、(DSC220C、セイコー電子工業(株)製)を使用して行った。
図2はPEG400/PEG4000=90/10、図3はPEG200/PEG4000=90/10、図4はPEG200/PEG4000=80/20、図5はPEG400/PEG4000=80/20、図6はPEG400/PEG4000=70/30、図7はPEG600/PEG4000=80/20のポリエチレングリコール組成物について、それぞれ異なる冷却速度で急冷処理した後に測定した示差走査熱量分析の結果を表している。何れの場合にも、冷却速度の大きい試料の吸熱ピークが増大又は高温側に移動しており、急冷後に於けるポリエチレングリコールの混合状態に変化が生じていることが分かる。
(赤外吸収スペクトル)
以下に示すポリエチレングリコール組成物について赤外吸収スペクトルの測定を行い、その結果を図9〜図15に示した。赤外吸収スペクトルの測定は、(FTS−135、日本バイオラッド・ラボラトリーズ(株)製)を使用して行った
図9はPEG200/PEG4000=80/20、図10はPEG200/PEG4000=50/50、図11はPEG200/PEG4000=25/75、図12はPEG400/PEG4000=90/10、図13はPEG400/PEG4000=80/20、図14はPEG400/PEG4000=70/30、図15はPEG400/PEG4000=50/50のポリエチレングリコール組成物について、それぞれ異なる冷却速度で急冷処理した後に測定した赤外吸収スペクトルを表している。何れの場合にも、冷却速度の大きい試料の吸収ピークが増大及び/又はシフトしており、急冷後に於けるポリエチレングリコールの混合状態に変化が生じていることが分かる。
本発明のポリエチレングリコール組成物を用いれば、ハンドリング性の良いものが得られるので、軟膏、ローション、錠剤バインダー、座薬ベース等の医薬品工業、クリーム、ローション、整髪、調髪剤等の香粧品工業、各種潤滑剤、繊維用サイズ剤など、多くの分野で利用可能である。
PEG4000とPEG400との混合組成物について、様々な混合比率に於ける相図を模式的に表した説明図である。 PEG4000/PEG400=10/90の混合組成物の系に於ける示差走査熱量分析の結果を示す図である。 PEG200/PEG4000=90/10の混合組成物の系に於ける示差走査熱量分析の結果を示す図である。 PEG200/PEG4000=80/20の混合組成物の系に於ける示差走査熱量分析の結果を示す図である。 PEG400/PEG4000=80/20の混合組成物の系に於ける示差走査熱量分析の結果を示す図である。 PEG400/PEG4000=70/30の混合組成物の系に於ける示差走査熱量分析の結果を示す図である。 PEG600/PEG4000=80/20の混合組成物の系に於ける示差走査熱量分析の結果を示す図である。 PEG400とPEG4000の赤外吸収スペクトルを表す図である。 PEG200/PEG4000=80/20の組成比の系の赤外吸収スペクトルを表す図である。 PEG200/PEG4000=50/50の組成比の系の赤外吸収スペクトルを表す図である。 PEG200/PEG4000=25/75の組成比の系の赤外吸収スペクトルを表す図である。 PEG400/PEG4000=90/10の組成比の系の赤外吸収スペクトルを表す図である。 PEG400/PEG4000=80/20の組成比の系の赤外吸収スペクトルを表す図である。 PEG400/PEG4000=70/30の組成比の系の赤外吸収スペクトルを表す図である。 PEG400/PEG4000=50/50の組成比の系の赤外吸収スペクトルを表す図である。 本発明のポリエチレングリコール組成物の製造装置に於けるプレート式熱交換機の概略構成を模式的に示す断面図である。 本発明のポリエチレングリコール組成物の製造装置に於けるモーノポンプの概略構成を模式的に示す一部破断断面図である。 流動点の測定方法を示す説明図である。
符号の説明
1,2 境界温度曲線
4,5 流動点
11 プレート
12 入口管
13 出口管
14 冷却部
15 連通孔
20 ケーシング
21 ステータ
22 ロータ
23 ユニバーサルジョイント
24 カップリングロッド
25 ユニバーサルジョイント
30 スクリュー管
31 サンプル溶融液
32 温度計

Claims (9)

  1. 分子量分布に於いて異なる重量平均分子量を有する2種類のポリエチレングリコールを混合することによって得られ、温度を変化させた場合に、固体、固液共存状態及び液体の3つの状態を呈し、前記液体状態の温度から前記固体状態の温度まで2℃/分より小さい冷却速度で徐冷した場合には流動点温度が固液共存状態域にあるポリエチレングリコールであって、ポリエチレングリコールを、急冷することにより流動点温度を、前記液体と前記固液共存状態との境界温度より高くしたことを特徴とする固体状態のポリエチレングリコール
  2. 前記ポリエチレングリコールを、前記液体状態の温度から前記固体状態の温度まで2℃/分以上の冷却速度で急冷することにより、前記流動点温度を、前記液体と前記固液共存状態との境界温度より高くしたことを特徴とする請求項1記載の固体状態のポリエチレングリコール。
  3. 分子量分布に於いて異なる重量平均分子量を有する2種類のポリエチレングリコールを混合することによって得られ、温度を変化させた場合に、固体、固液共存状態及び液体の3つの状態を呈するポリエチレングリコールであって、ポリエチレングリコールを、急冷することにより、前記液体状態の温度から前記固体状態の温度まで2℃/分より小さい冷却速度で徐冷した場合の示差走査熱量分析に於ける吸熱ピークを増大させ及び/又は高温側に移動させたことを特徴とする固体状態のポリエチレングリコール。
  4. 前記ポリエチレングリコールを、前記液体状態の温度から前記固体状態の温度まで2℃/分以上の冷却速度で急冷することにより、前記示差走査熱量分析に於ける吸熱ピークを増大させ及び/又は高温側に移動させたことを特徴とする請求項3記載の固体状態のポリエチレングリコール。
  5. 分子量分布に於いて異なる重量平均分子量を有する2種類のポリエチレングリコールを混合することによって得られ、温度を変化させた場合に、固体、固液共存状態及び液体の3つの状態を呈するポリエチレングリコールであって、ポリエチレングリコールを、急冷することにより、赤外吸収スペクトルに於ける1344cm-1近傍、1281cm-1近傍及び/又は843cm-1近傍の吸収ピークを増大及び/又はシフトさせたことを特徴とする固体状態のポリエチレングリコール。
  6. 前記ポリエチレングリコールを、前記液体状態の温度から前記固体状態の温度まで2℃/分以上の冷却速度で急冷することにより、赤外吸収スペクトルに於ける1344cm-1近傍、1281cm-1近傍及び/又は約843cm-1近傍の吸収ピークを増大及び/又はシフトさせたことを特徴とする請求項5記載の固体状態のポリエチレングリコール。
  7. 分子量分布に於いて異なる重量平均分子量を有する2種類のポリエチレングリコールを混合することによって得られ、温度を変化させた場合に、固体、固液共存状態及び液体の3つの状態を呈し、前記液体状態の温度から前記固体状態の温度まで2℃/分より小さい冷却速度で徐冷した場合には流動点温度が固液共存状態域にあるポリエチレングリコールを、前記液体状態の温度から前記固体状態の温度まで2℃/分以上の冷却速度で急冷することにより、前記流動点温度を前記液体と前記固液共存状態との境界温度より高くすることを特徴とするポリエチレングリコールの処理方法。
  8. 請求項1乃至6の何れかに記載の固体状態のポリエチレングリコールの製造装置であって、前記液体状態の温度のポリエチレングリコールを所定の冷却速度で急冷するためのプレート式熱交換機を備えたことを特徴とするポリエチレングリコールの製造装置。
  9. 前記プレート式熱交換機から排出される固体状態のポリエチレングリコールを移送するためのモーノポンプを更に備えたことを特徴とする請求項8記載のポリエチレングリコールの製造装置。
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