JP4166029B2 - 噴霧装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてMQL(最少油量潤滑)セミドライ加工に最適な微量オイルの潤滑が行える噴霧装置に関し、更に詳しくは、従来必要としていた一次圧・マニホルド圧(二次圧)間の差圧が著しく小さくても10μm以下のフォグ(以下、単にマイクロフォグという)を生成できる有用な噴霧装置に存する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、工作機械における加工は、切削液を垂れ流す方法で、加工時の発生熱、切粉の除去を行って来た。近年、切削廃液の処理、切粉のリサイクルのための脱脂等の環境問題が浮上し、工作機械においてもMQL(最少油量潤滑)化が急速に進んでいる。
【0003】
従来、斯かる工作機械に使用される噴霧装置としては、例えば、油を霧化させるために圧縮空気の流れを利用した所謂ベンチュリ機構を使用したものが従来例として周知である。この従来の噴霧装置は、上から滴下する油に対して、径方向に形成された空気入口からの圧縮空気を狭いベンチュリ管路を通過させることにより、更に流速を強めて生じる負圧を利用し、油と圧縮空気の混合を促進させてフォグを生成させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の噴霧装置にあっては、圧縮空気の流れが速いほど油を霧化させる能力が大きくなるものの、ベンチュリ管路で良好な噴霧を達成するために必要最低限な圧縮空気量を保持することが必要であり、省圧縮空気量を目的として被給油対象に設置するノズルの小径化ができないといった問題が出てきている。
【0005】
特に、セミドライ加工に使用される装置では、OUT側に小形の工作機械、例えば、小径のドリルや刃具を使用することがあるが、非常に小径であるため、従来の噴霧装置では、例えば5μm(少なくとも10μm)以下のマイクロフォグを供給することは極めて困難になっている。
【0006】
また、刃具が小さい場合、MQLセミドライ加工のための空気(油霧)通路の穴加工が小さく、刃具で消費される小さな空気量では、差圧の発生があまり期待できず、流量を増やすため、ダミーエア流を作りエアを大気に放出して差圧を確保しなければならないなどの問題を有する。
【0007】
換言すれば、工作機械の加工点に噴射するためのフォグの生成は、連続的なフォグ発生のための差圧を必要とし、加工点へ噴霧するためのノズル径の合計は、差圧を維持するための大きさが必要とされている。
【0008】
而して、加工のためのノズル数は基本的に多くはなく、ドリル加工などでは、穴付きドリルの貫通穴が頗る小径であるため、通過空気量が極めて少なく、フォグ発生に必要な差圧を維持することは極めて困難な状況にあり、また、必要以上の通過空気量を消費させてフォグ発生のために必要な差圧を作らざるを得ない状況にあることが、省エネルギーの観点から問題があり、強いては対環境負荷を大きくしている。
【0009】
また、MQLセミドライ加工では、空冷効果・切粉飛ばしに、より高圧な空気を要求しているが、フォグ生成のための差圧が必要で、供給圧に対し二次圧(マニホルド圧)を下げざるを得ず、空冷効果・切粉飛ばし効果が低滅してしまうといった問題をも有する。
【0010】
更に、現状のベンチュリ機構を小形にすることで、圧縮空気を少なくする方法が考えられるが、圧縮空気量を絞ると、▲1▼フォグの霧化量を減少させ、正規のフォグ量が確保できないこと、▲2▼圧縮空気の通路を絞ることになり、圧縮空気内に含まれる不純物によって空気通路が詰まる可能性が大きくなる等の問題を生じてしまう。
【0011】
これらの問題点は、圧縮空気の流速を強めるほど油の霧化能力を高めるベンチュリ機構を採用していることに起因するものであり、必然的に圧縮空気の流量変化に影響してしまうものである。
【0012】
本発明者は、これらの問題点に着目して鋭意研究を行った結果、ニードルノズルの軸心を中心とする旋回流で、空気の当たる面積、強さ、方向等をコントロールすることで、換言すれば、圧縮空気の流量変化に影響されることなく、前記旋回流との衝突エネルギーで剪断力のオーダーを一定化(コントロール)することで、流速や粘性が変わっても液体粒径が変わらず、小さな差圧でも5μm(少なくとも10μm)以下のマイクロフォグを生成できる噴霧装置を案出することができたのである。
【0013】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、従来必要としていた一次圧・マニホルド圧(二次圧)間の差圧が著しく小さくても5μm(少なくとも10μm)以下のマイクロフォグを生成でき、MQL(最少油量潤滑)セミドライ加工に最適な微量オイルの潤滑が行えるなど、省圧縮空気量に伴うノズルの小径化等にも対応できる有用な噴霧装置の提供を目的としたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述の如き従来の問題点を解決し、所期の目的を達成するため本発明の要旨とする構成は、軸心方向に液体流入孔を有するニードルノズルと、該ニードルノズルの下流側に配設されるノズルボディと、ニードルノズルの軸心を中心に旋回流を発生せしめる空気導入孔と、同ニードルノズルの先端と空気室内に形成された混合孔とを備えてなる噴霧装置であって、前記空気導入孔は、ニードルノズルのニードル部と空気室内の底面との間に連通すべく同ニードルノズルの軸心に対して所定角度に傾斜し、同ニードル部の先端と前記混合孔との位置関係で液体の粒径を一定化せしめる微粒化機構を備えた噴霧装置において、
前記微粒化機構は、前記ニードルノズルの先端側を許容すべく凹設された第一次空気室に前記混合孔を介して連通された空気溜め用の第二次空気室と、該第二次空気室の下流側に設けられた背圧の影響を防ぐための縮径部と、前記ニードルノズルの先端縁Aを中心点として、その延長上のC点から外側に45度のB点までの範囲内に開口縁 ( 以下、単に混合孔縁Bという ) を位置せしめた前記混合孔と、前記旋回流に対して空気噴射口を直交に臨ませるべく第一次空気室3a内を曲面状に成形してなる底部R面とを備えてなる噴霧装置に存する。
【0015】
また、前記混合孔縁Bは、ニードルノズルの開口中心Oから内角36度の斜線S 1 と前記ニードルノズルの先端縁Aの延長上との交点をMとし、同先端縁Aを中心にM点の長さと等しくすべく同先端縁Aから内角30度に延びた斜線S 2 との交点をNとし、これらA点、M点、N点で構成される扇形エリアの範囲内に位置せしめても良い。
【0023】
また、前記ニードルノズルは、少なくとも出口側が内径1.2mmに開放された液体流入孔と、先端径が1.6(±0.03)mmで53.94〜54.71度に傾斜したニードル部とを備え、かつ、同ニードル部の先端とノズルボディの混合孔とを0.313〜0.443(±0.005)mm離間させるのが良い。
【0024】
更に、前記ノズルボディは、内径8.6mm、底部R3.19〜3.5の曲面状に凹設された第一次空気室と、該第一次空気室の接線四方向に延びて噴射軸線がノズルボディの外周面に対して58.11若しくは58.36度の角度で下方に傾斜する内径2mmの空気導入孔と、最大直径11.63mm、R4.5の扁平球形を呈する第二次空気室と、両空気室を連通せしめる直径2.226(±0.0001)mm、深さ0.3mmの混合孔と、直径6mmの縮径孔と該縮径孔から45度に拡径する直径11.63〜11.89mmのテーパ孔とからなる縮径部とを備えるのが良い。
【0025】
このように構成される本発明の噴霧装置は、軸心方向に液体流入孔を有するニードルノズルと、該ニードルノズルの下流側に配設されるノズルボディと、ニードルノズルの軸心を中心に旋回流を発生せしめる空気導入孔と、同ニードルノズルの先端と空気室内に形成された混合孔とを備えてなる噴霧装置であって、前記空気導入孔は、ニードルノズルのニードル部と空気室内の底面との間に連通すべく同ニードルノズルの軸心に対して所定角度に傾斜し、同ニードル部の先端と前記混合孔との位置関係で液体の粒径を一定化せしめる微粒化機構を備えた噴霧装置において、前記微粒化機構は、前記ニードルノズルの先端側を許容すべく凹設された第一次空気室に前記混合孔を介して連通された空気溜め用の第二次空気室と、該第二次空気室の下流側に設けられた背圧の影響を防ぐための縮径部と、前記ニードルノズルの先端縁Aを中心点として、その延長上のC点から外側に45度のB点までの範囲内に開口縁 ( 以下、単に混合孔縁Bという ) を位置せしめた前記混合孔と、前記旋回流に対して空気噴射口を直交に臨ませるべく第一次空気室3a内を曲面状に成形してなる底部R面とを備えてなることによって、前記液体流入孔から滴下される液体には、剪断力の影響が加わりにくく、換言すれば、剪断した液体が旋回方向に(遠心力で)分散されない、所謂、液体を旋回流の中に閉じ込めた(集束)状態で衝突エネルギーを全て微量化に注げる他(省エネルギー効果の増大)、測定結果に示すように、剪断力のオーダーを一定化 ( コントロール ) し得ると共に、液体の表面張力をブレイクダウンすることが可能となり、流速、粘性が変わっても液体粒径が変わらないように、粒径を一定にコントロールし得ることとなる(粒径の一定化)。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る噴霧装置の第1実施例を図1を参照しながら説明する。図中1は、本発明に係る噴霧装置であり、この噴霧装置1は、ニードルノズル2と、該ニードルノズル2の下流側に配設されるノズルボディ3及び微粒化機構4とを備えている。
【0031】
ニードルノズル2は、軸心方向に貫通された液体流入孔2aと、先端側に行くに連れて次第に細くなるニードル部2bとを備えている。
【0032】
液体流入孔2aは、例えば、図2に示すように、上端側が120度に拡径(直径7mm)した大径部2a1 と、内径2mmの中径部2a2 と、出口側に連通する内径1.2mmの小径部2a3 とを備えている。
【0033】
また、ニードル部2bは、前記液体流入孔2aの小径部2a3 (内径1.2mm)を望ませるため、先端2cの径を1.6(±0.03)mmに形成してあり、先端角度θ1 を53.94度に表面処理している。
【0034】
一方、ノズルボディ3は、図3に示すように、曲面状に凹設された第一次空気室3aと、該第一次空気室3aに混合孔3bを介して連通する空気溜め用の第二次空気室3cとを備えている。
【0035】
第一次空気室3aは、ニードルノズル2の先端2c側を許容すべく凹設されており、底部中心に混合孔3bが開口されている。
【0036】
混合孔3bは、両空気室を連通せしめるものであり、例えば、直径2.226±0.0001mm、深さ0.3mmに開口されており、前述したニードルノズル2の先端縁2cと協動して後述する微粒化機構を構成するものである。
【0037】
第二次空気室3c内には、背圧の影響を防ぐための縮径部3fが形成されている。この縮径部3fは、第二次空気室3cの直径の略1/2に相当する大きさの縮径孔3f1 と、該縮径孔3f1 から下方に向けて45度に拡径するテーパ孔3f2 とで形成されている。
【0038】
因に、このノズルボディのサイズとしては、例えば第一次空気室3a:内径8.6mm、底部R3.19若しくは3.5、混合孔3b:直径2.226(±0.0001)mm、深さ0.3mm、第二次空気室3c:最大直径11.63mm、R4.5(扁平球形)、空気導入孔3d:内径2mm、縮径孔3f1 :直径6mm、テーパ孔3f1 :直径11.63若しくは11.89mmが好ましい。
【0039】
また、ニードル部2bの先端2cとノズルボディ3の混合孔3bとの隙間L1
は、0〜0.313若しくは0.443(±0.005)mmが良い。
【0040】
他方、第一次空気室3aの接線方向には、4本の空気導入孔3d、3d…が形成されている。この空気導入孔3d、3d…は、図3(a)に示すように、第一次空気室3a内に連通すべく同室の接線方向に延びており、かつ、ニードルノズル2の軸心X1 −X1 に対して30〜70度(好ましくは45度)の角度で下方に傾斜している。
【0041】
換言すれば、この空気導入孔3d、3d…は、噴射軸線X2 −X2 がノズルボディの外周面3eに対して角度θ2 だけ傾斜せしめることにより、液体圧損のロスを少なくしている。この角度θ2 としては、例えば、57〜59度、好ましくは58.11度若しくは58.36度が良い。
【0042】
また、空気導入孔3d、3d…は、外端の空気導入口3d1 側が第一次空気室3a内の底部R面3a1 に整合すべく開放され、内端の空気噴出口3d2 側がニードルノズル2dの軸心X1 −X1 を中心とする旋回流に対して直交に臨むべく開放させている。
【0043】
更に、微粒化機構4は、ニードルノズル2bの先端2cの周縁と第二次空気室3cとの境に形成された混合孔3bの周縁との位置関係で、ニードルノズル2bの軸心X1 −X1 を中心とする旋回流に対して(側面より)空気噴出口3d2 を直交状態すべく臨ませることにより、液体粒径を一定になすものである。
【0044】
すなわち、この微粒化機構4は、例えば、図4に示すように、ニードルノズル2bの先端縁Aを中心点として、その延長上のC点(図5参照)から外側に45度のB点までの範囲内に混合孔3bの周縁を位置せしめると共に、前記旋回流に対して空気噴出口3d2 を直交に臨ませるべく第一次空気室3a内の底部を曲面(底部R面3a1 )に成形している。
【0045】
また、混合孔3bの周縁位置としては、斯かるB及びC点に限定されるものではなく、図8に示すように、ニードルノズル2bの中心Oから内角36度の斜線S1 と先端縁Aの延長上との交点をMとし(以下、単にM点という)、ニードルノズル2bの先端縁Aを中心にM点の長さで円弧を描き同先端縁Aから内角30度の斜線S2 との交点をNとし(以下、単にN点という)、このA点、M点、N点で構成される扇形エリアの範囲内にすれば、B及びC点と同様、液体粒径の一定化が期待でき、後述する測定結果の如く小さな差圧でも5ミクロン(少なくとも10ミクロン以下)のマイクロフォグを生成することができる。
【0046】
因に、このN点は、ノズル中心から12.5度の斜線S3 上に位置するものであり、ノズル先端径面積の1.9倍、C点面積の1.73倍、B点面積の1.445倍になるものである。
【0047】
このように構成される本実施例の噴霧装置は、液体流入孔2aから滴下される液体には剪断力の影響が加わりにくく、換言すれば、剪断した液体が旋回方向に(遠心力で)分散されない、所謂、液体を旋回流の中に閉じ込めた(集束)状態で衝突エネルギーを全て微量化に注ぐべく絞り出されるため(省エネルギー効果が大)、液体粒径を一定になすことができ、その結果、小さな差圧でも油霧の生成(微粒化)が可能になり、流速を変えても粒径が変わらず、粘性を変えても粒径が変わらないなど、表面張力をブレイクダウンすることができる微粒化機構を提供できるものであり、最少の油霧を無駄なく被給油対象に噴霧できるなど、省エネ化が図られ、MQL(最少油量潤滑)セミドライ加工に最適な微量オイルの潤滑が行えるなど、省圧縮空気量に伴うノズルの小径化に対応できるのである。
【0048】
次に、本発明に係る噴霧装置の第2実施例を図6〜図7を参照しながら説明する。尚、理解を容易にするため、前述した第1実施例と同一部分は同一符号で示し、構成の異なる処のみを新たな番号を付して以下に説明する。
【0049】
ニードルノズル2は、第1実施例と同じく先端側に行くに連れて次第に細くなるニードル部2bを備えており(角度θ3 :54.71度)、その先端2cに放射状に液体を噴出する4孔の噴射孔2d、2d…が形成されている(以下、単に4孔ノズル弁と云う)。
【0050】
噴射孔2d、2d…は、例えば、内径0.3mmで、噴射軸線X3 −X3 がニードルノズル2bの軸心X1 −X1 に対して角度θ4 だけ傾斜させている。この角度θ4 としては、例えば、30度が好ましい。
【0051】
尚、本発明の噴霧装置は、本実施例に限定されることなく、本発明の目的の範囲内で自由に設計変更し得るものであり、本発明はそれらの全てを包摂するものである。例えば、本実施例では、工作機械におけるMQL(最少油量潤滑)セミドライ加工に最適な微量オイルの噴霧装置について言及しているが、これに限定されることなく、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、液体燃焼装置、塗布装置、その他、差圧を利用して流体を噴霧させる全ての装置、機関に応用できるものであり、本発明はこれらの全てを包摂するものである。
【0052】
また、本発明の噴霧装置における▲1▼差圧と霧化率との関係及び▲2▼粒度分布の測定結果を図9乃至図10に示す。尚、本測定においてBタイプとは混合孔3bの周縁がB点となるノズル弁(本発明品1:第1実施例)、Cタイプとは混合孔3bの周縁がC点となるノズル弁(本発明品2:第2実施例)、Jタイプとは従来のノズル弁(従来品)を示すものであり、測定条件及び測定結果は下述のとおりである。
【0053】
[測定条件]
マニホールド圧力:0.1MPa
オリフィス径:φ3.8
消費空気流量(計算値):258L/min
滴下頻度:10shot/min
使用油:ダフニースーパーマルチVG32潤滑油(DN.ミストマルチMU32)
(屈折率:1.4766、比重:0.8641[g/cm3 ])
【0054】
[測定結果]
従来品(Jタイプ)では、表1及び図9〜図10に示すように、差圧0.1(MPa)では10%の霧化率であったのが、同差圧で40%以上の霧化率、すなわち4倍の効果を上げることができ、また、空気量も1/10で従来品と同じ性能を示すなど優れた結果を上げることができた。また、本発明品の粒度分布測定の結果を図10に示す。いずれも粒径分布が変わらず、粒径を一定にコントロールしている。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成され、液体流入孔から滴下される液体には剪断力の影響が加わりにくく、換言すれば、剪断した液体が旋回方向に遠心力で分散されない、所謂、液体を旋回流の中に閉じ込めた(集束)状態で衝突エネルギーを全て微量化に注ぐべく絞り出される結果(省エネルギー効果が大)、液体粒径を一定になすことができ、小さな差圧でも5ミクロン(少なくとも10ミクロン以下)のマイクロフォグを生成することができるといった効果を奏する。
【0058】
特に、従来品では、差圧0.1(MPa)では10%の霧化率であったのが、同差圧で40%以上の霧化率すなわち4倍の効果を上げることができ、また、偏心の歩留率(バラツキ)60%(従来)だったものが、本発明では3.2%に減少し、空気量も1/10で従来品と同じ性能を示すなどの優れた効果を奏するものである。
【0059】
また、本発明では、非常に小さな差圧でも油の霧化が可能になるため、従来、用いていたダミーエア流が不要になる等、省エネルギー効果が大きく期待でき、更には、ダミーエア流が不要になることで、環境にも配慮した潤滑機器の提供が可能になるといった効果をも奏するものである。
【0060】
しかも、噴霧潤滑として、軸受の潤滑ではスピンドルの高速化に対応し、マニホールド圧力の高圧化が進んでおり、従来では差圧が必要なために、より高い一次圧が必要とされていたが、本発明ではマニホルド圧に近い一次圧で良く、ここでも省エネ・環境を配慮した油霧発生器を提供でき、延いては、差圧が小さくても霧化できることから、一次圧自体を低圧供給しての油霧発生も可能になる。
【0061】
このように本発明は、流速や粘性を変えても粒径が変わらないなど、表面張力をブレイクダウンすることができる微粒化機構を提供でき、最少の油霧を無駄なく被給油対象に噴霧できるなど、省エネ化が図られ、MQL(最少油量潤滑)セミドライ加工に最適な微量オイルの潤滑が行えるなど、省圧縮空気量に伴うノズルの小径化に対応できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る噴霧装置の第1実施例を示す縦断面図である。
【図2】図2(a)は本実施例で使用するニードルノズルの平面図、図2(b)は同縦断面図である。
【図3】図3(a)は本実施例で使用するノズルボディの平面図、図3(b)は同縦断面図である。
【図4】本発明に係る噴霧装置の微粒化機構を示す説明図である。
【図5】本発明に係る噴霧装置の微粒化機構をを示す説明図である。
【図6】本発明に係る噴霧装置の第2実施例を示す縦断面図である。
【図7】図7(a)は本実施例で使用するニードルノズルの平面図、図7(b)は同縦断面図、図7(c)はニードル部の拡大図である。
【図8】本発明に係る微粒化機構の許容領域を示す説明図である。
【図9】本発明に係る噴霧装置と従来品の差圧と霧化率との関係を示す折れ線グラフで
ある。
【図10】本発明に係る噴霧装置の粒度分布測定の結果を示す表及び折れ線グラフである
。
1 噴霧装置
2 ニードルノズル
2a 液体流入孔
2a1 大径部
2a2 中径部
2a3 小径部
2b ニードル部
2c 先端
2d 噴射孔
3 ノズルボディ
3a 第一次空気室
3a1 底部R面
3b 混合孔
3c 第二次空気室
3d 空気導入孔
3d1 空気導入口
3d2 空気噴射口
3e 外周面
3f 縮径部
3f1 縮径孔
3f2 テーパ孔
4 微粒化機構
Claims (2)
- 軸心方向に液体流入孔を有するニードルノズルと、該ニードルノズルの下流側に配設されるノズルボディと、ニードルノズルの軸心を中心に旋回流を発生せしめる空気導入孔と、同ニードルノズルの先端と空気室内に形成された混合孔とを備えてなる噴霧装置であって、前記空気導入孔は、ニードルノズルのニードル部と空気室内の底面との間に連通すべく同ニードルノズルの軸心に対して所定角度に傾斜し、同ニードル部の先端と前記混合孔との位置関係で液体の粒径を一定化せしめる微粒化機構を備えた噴霧装置において、
前記微粒化機構は、前記ニードルノズルの先端側を許容すべく凹設された第一次空気室に前記混合孔を介して連通された空気溜め用の第二次空気室と、該第二次空気室の下流側に設けられた背圧の影響を防ぐための縮径部と、前記ニードルノズルの先端縁Aを中心点として、その延長上のC点から外側に45度のB点までの範囲内に開口縁 ( 以下、単に混合孔縁Bという ) を位置せしめた前記混合孔と、前記旋回流に対して空気噴射口を直交に臨ませるべく第一次空気室3a内を曲面状に成形してなる底部R面とを備えてなることを特徴とする噴霧装置。 - 前記混合孔縁Bは、ニードルノズルの開口中心Oから内角36度の斜線S 1 と前記ニードルノズルの先端縁Aの延長上との交点をMとし、同先端縁Aを中心にM点の長さと等しくすべく同先端縁Aから内角30度に延びた斜線S 2 との交点をNとし、これらA点、M点、N点で構成される扇形エリアの範囲内に位置することを特徴とする請求項1に記載の噴霧装置。
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