以下、本発明の乗員保護システムの実施の形態について説明する。
<第一実施形態>
まず、本実施形態の乗員保護システムの配置について説明する。図1に、本実施形態の乗員保護システムの配置図を示す。なお、説明の便宜上シートは透過して示す。本実施形態の乗員保護システム1は、荷重センサ20a〜20dとエアバッグECU9とを備えている。シートレール8は、アッパレール80とロワレール81とからなる。シートレール8は、車幅方向に並んで、二列配列されている。ロワレール81は、車両フロア(図略)に止着されている。アッパレール80は、ロワレール81に対し、前後方向にスライド可能である。シート(助手席)82は、アッパレール80と一体に、前後方向にスライド可能である。シート82のシートフレーム(図略)とアッパレール80との間には、荷重センサ20a〜20dが、介装されている。荷重センサ20a〜20dは、それぞれ本発明のシートセンサに含まれる。荷重センサ20aは、シート82座面の右前部分(以下、車両進行方向に対して左右を定義する)と、上下方向に対向する位置に配置されている。荷重センサ20bは、シート82座面の左前部分と、上下方向に対向する位置に配置されている。荷重センサ20cは、シート82座面の左後部分と、上下方向に対向する位置に配置されている。荷重センサ20dは、シート82座面の右後部分と、上下方向に対向する位置に配置されている。エアバッグECU9は、インストルメントパネル(図略)下方に埋設されている。エアバッグECU9は、本発明の乗員保護ECUに含まれる。エアバッグECU9と荷重センサ20a〜20dとは、デイジーチェーン方式のバスにより一筆書き状に接続されている。
次に、本実施形態の乗員保護システムの構成について説明する。図2に、本実施形態の乗員保護システムのブロック図を示す。図に示すように、荷重センサ20aは、検出部200aとA/Dコンバータ201aとBUS通信制御部202aとを備えている。検出部200aは、図示しないゲージ部とアンプと制御部とを備えている。このうち、ゲージ部には、四枚の歪みゲージが配置されている。四枚の歪みゲージは、ブリッジ回路を構成している。アンプは、ゲージ部から出力される電圧データを増幅する。制御部は、アンプのゲインを調整する。ゲイン調整により、アンプはリニアな出力特性を得ることができる。A/Dコンバータ201aは、アンプにより増幅された検出データをデジタル変換する。BUS通信制御部202aは、デジタル変換された検出データを伝送する。なお、その他の荷重センサ20b、20c、20dの構成は、荷重センサ20aの構成と同様である。したがって、これらのセンサの構成については、説明を割愛する。
エアバッグECU9は、BUS通信制御部90とCPU91とEEPROM92と通信I/F93と駆動回路94と駆動IC95とセーフィングセンサ96とGセンサ97とスイッチング素子98a〜98cとを備えている。CPU91は、本発明のデータ補正部と、乗員状態判別部と、駆動判定部とを兼ねる。EEPROM92は、本発明の補正値保存部に含まれる。
BUS通信制御部90と、荷重センサ20aのBUS通信制御部202aと、荷重センサ20bのBUS通信制御部202bと、荷重センサ20cのBUS通信制御部202cと、荷重センサ20dのBUS通信制御部202dとは、バスS1によりデイジーチェーン接続されている。BUS通信制御部90には、バスS1を介して、荷重センサ20a〜20dの検出データが伝送される。
CPU91は、RAM910とROM911とを備えている。RAM910には、荷重センサ20a〜20dの検出データが一時保管される。ROM911には、データ補正プログラム、乗員状態判別プログラム、エアバッグ展開判定プログラムが格納されている。また、ROM911には、シート82が空席か否かを判別する0点荷重しきい値の設計値W0thと、シート82上の乗員が大人か子供かを判別する乗員判別しきい値の設計値Wthとが格納されている。また、ROM911には、セーフィングセンサ96用の加速度しきい値G0thとGセンサ97用の加速度しきい値G1thとが格納されている。
EEPROM92には、例えば荷重センサ20a〜20dに故障が発生した場合、故障内容が記憶される。またEEPROM92には、後述する調整作業により、0点荷重しきい値の補正値ΔW0th、乗員判別しきい値の補正値ΔWthが記憶されている。EEPROM92は、電気的方法で記憶を消去し、書き換えることができる。
通信I/F93には、後述する調整作業の際、較正検査ツールTが接続される。通信I/F93により、CPU91と較正検査ツールTとの間において、双方向シリアル通信が可能となる。
セーフィングセンサ96およびGセンサ97は、車両前後方向の加速度(減速度)を検出可能な電気式センサである。駆動回路94は、セーフィングセンサ96から入力される加速度データに応じて、スイッチング素子98aに駆動信号を伝送する。
駆動IC95は、駆動回路950、951を備えている。このうち、駆動回路950は、セーフィングセンサ96およびGセンサ97から入力される加速度データに応じて、スイッチング素子98bに駆動信号を伝送する。また、駆動回路951は、セーフィングセンサ96およびGセンサ97から入力される加速度データに応じて、スイッチング素子98cに駆動信号を伝送する。なお、スイッチング素子98a〜98cは、スクイブ990と共に、電源線L1に直列に配置されている。
較正検査ツールTは、乗員保護システム1とは別体に配置される。較正検査ツールTは、0点荷重しきい値および乗員判別しきい値の調整のために、エアバッグECU9に接続される。較正検査ツールTは、図示しないCPU、ROM、RAM、キーボードなどから構成される操作部と、表示部とを備えている。ROMに記憶された調整用プログラムをCPUが読み出して実行することにより、上記EEPROM92に記憶された補正値ΔW0th、ΔWthを書き換えることができる。
次に、本実施形態の乗員保護システムの動きについて説明する。シート82上の荷重は、荷重センサ20a〜20dにより、検出される。一例として、荷重センサ20aについて説明する。荷重センサ20aにシート82右前部分から荷重が加わると、検出部200aのブリッジ回路を構成する四枚の歪みゲージの抵抗が変化する。このため微小な電圧が発生する。この微小な電圧データは、アンプにより増幅される。増幅されたアナログ電圧データは、信号線S2を介して、A/Dコンバータ201aに伝達される。A/Dコンバータ201aは、アナログ電圧データをデジタルデータに変換する。変換されたデジタルデータは、信号線S3、BUS通信制御部202a、バスS1を介して、エアバッグECU9のBUS通信制御部90に伝送される。伝送されたデジタルデータは、信号線S4を介して、CPU91のRAM910に伝送される。そして、RAM910において一時保管される。なお、他の三つの荷重センサ20b〜20dからのデジタルデータも、荷重センサ20aのデータ同様に、バスS1、BUS通信制御部90、信号線S4を介して、RAM910に一時保管される。RAM910から取り出された合計四つのデジタルデータは、CPU91において加算処理される。加算処理後のデジタルデータの総和値と、0点荷重しきい値(ROM911の設計値W0thとEEPROM92の補正値ΔW0thとの和)、乗員判別しきい値(ROM911の設計値WthとEEPROM92の補正値ΔWthとの和)とを、比較することにより、CPU91は乗員状態を判別する。具体的には、総和値が0点荷重しきい値以下の場合、シート82は空席であると判別する。また、総和値が0点荷重しきい値を超えかつ乗員判別しきい値以下の場合、乗員は子供であると判別する。さらにまた、総和値が乗員判別しきい値を超えている場合、乗員は大人であると判別する。
エアバッグECU9は、「大人判別」の場合に限り、シート82に対応する袋体991を展開可能とする。なお、袋体991は、本発明の乗員保護具に含まれる。一方、車両の加速度は、セーフィングセンサ96、Gセンサ97により、検出される。セーフィングセンサ96の加速度データは、信号線S5を介して、CPU91のRAM910に伝送される。そして、RAM910において一時保管される。加速度データの区間積分の移動平均値と、ROM911に格納されているセーフィングセンサ96用の加速度しきい値G0thとの比較の結果、移動平均値>G0thの場合、CPU91は駆動回路94の駆動を決定する。駆動信号は、信号線S6を介して、駆動回路94に伝送される。駆動回路94は、スイッチング素子98aをオンにする。
Gセンサ97の加速度データは、信号線S7を介して、CPU91のRAM910に伝送される。そして、RAM910において一時保管される。加速度データの区間積分の移動平均値と、ROM911に格納されているGセンサ97用の加速度しきい値G1thとの比較の結果、移動平均値>G1thの場合であって、かつ前記セーフィングセンサ96の加速度データの区間積分の移動平均値>G0thの場合、CPU91は駆動回路950、951の駆動を決定する。駆動信号は、信号線S8を介して、駆動回路950に伝送される。駆動回路950は、スイッチング素子98bをオンにする。並びに、駆動信号は、信号線S9を介して、駆動回路951に伝送される。駆動回路951は、スイッチング素子98cをオンにする。三つのスイッチング素子98a〜98cが全てオンになると、電源線L1が通電する。この通電により、スクイブ990が加熱され、インフレータ(図略)に着火する。インフレータの膨張圧により、「大人判別」されたシート82に対応する袋体991が展開される。
次に、本実施形態の乗員検知装置の調整作業について説明する。調整作業は、荷重センサ20a〜20dを組み付けたシート82を、車両に組み付けた後で行われる。調整作業においては、まず較正検査ツールTをエアバッグECU9の通信I/F93に接続する。次いで、信号線S10、通信I/F93、信号線S11を介して、較正検査ツールTからCPU91に、調整開始コマンドを伝送する。調整開始コマンドを受け、エアバッグECU9は調整可能な状態となる。
次に、シート82を空席状態とする。そして、信号線S11、通信I/F93、信号線S10を介して、荷重センサ20a〜20dの出力を較正検査ツールTにて受信する。
次に、較正検査ツールTにて、空席時の荷重総和つまり荷重センサ20a〜20dの出力総和(空席時の総検出荷重)W’0thを演算する。そして、この総検出荷重W’0thと前記ROM911に記憶されている設計値W0thとの差分(補正値ΔW0th)を演算する。その後、較正検査ツールTからの書き込みコマンドにより、信号線S12を介して、補正値ΔW0thをEEPROM92に書き込む。
次に、シート82に子供と大人との中間の重さの重りを載せる。そして、信号線S11、通信I/F93、信号線S10を介して、荷重センサ20a〜20dの出力を較正検査ツールTにて受信する。
次に、較正検査ツールTにて、荷重総和つまり荷重センサ20a〜20dの出力総和(総検出荷重)W’thを演算する。そして、この総検出荷重W’thと前記ROM911に記憶されている設計値Wthとの差分(補正値ΔWth)を演算する。その後、較正検査ツールTからの書き込みコマンドにより、信号線S12を介して、補正値ΔWthをEEPROM92に書き込む。
次に、エアバッグECU9に対する乗員状態判別検査を行う。乗員状態判別検査は、シート82に種々の荷重条件を設定することにより行われる。エアバッグECU9による判別結果は、較正検査ツールTに伝送される。作業者は、較正検査ツールTの表示部により、エアバッグECU9の判別結果の正否を確認する。なお、乗員状態判別検査においては、ROM911に記憶された0点荷重しきい値用の設計値W0thと、EEPROM92に書き込まれた補正値ΔW0thとの和が、0点荷重しきい値として用いられる。並びに、ROM911に記憶された乗員判別しきい値用の設計値Wthと、EEPROM92に書き込まれた補正値ΔWthとの和が、乗員判別しきい値として用いられる。このようにして、本実施形態の乗員検知装置の調整作業が行われる。
次に、本実施形態の乗員保護システムの効果について説明する。本実施形態の乗員保護システム1の場合、エアバッグECU9により、乗員検知ECUの三大機能、つまり1)乗員状態判別機能、2)データ補正機能、3)補正値保存機能が確保されている。したがって、乗員検知ECUが不要である。このため、部品点数が少なくて済む。また、荷重センサ20a〜20dとエアバッグECU9とは、乗員検知ECUを介さずに、接続される。このため、配線が単純である。
また、荷重センサ20a〜20dおよびエアバッグECU9は、デイジーチェーン方式のバスS1により、一筆書き状に接続されている。この点においても、配線が単純である。
<第二実施形態>
本実施形態と第一実施形態との相違点は、荷重センサの代わりに変位センサがデイジーチェーン接続されている点、各変位センサ毎にデータ補正および補正値の保存を行う点である。
まず、本実施形態の乗員保護システムの変位センサについて説明する。図3に、本実施形態の乗員保護システムの変位センサが配置されたシートの模式図(正面図)を示す。なお、図中の方位は前出図1と対応している。図に示すように、変位センサ21aの検出部210aは、回転可能なリール215aと、ワイヤ216aとを備えている。リール215aには、ワイヤ216aの一端が止着されている。リール215aは、ワイヤ216aを巻き取る方向に付勢されている。また、リール215aには、リング状の磁石(図略)が止着されている。したがって、磁石もリール215aとともに回転可能である。また、磁石の外周側には、磁石とともに磁気回路を形成するヨーク(図略)が配置されている。ヨークは、ハウジング(図略)内周面に止着されている。また、ヨークのギャップには、ホールIC(図略)が配置されている。一方、ワイヤ216aの他端は、シート82のクッションフレーム820に止着されている。図3(b)に示すように、シート82に乗員が座るとクッションフレーム820が下方に沈み込む。このため、ワイヤ216aは、リール215aにより巻き取られる。リール215aが回転すると、共に磁石も回転する。磁石が回転すると、ヨークのギャップの磁束密度が変化する。ホールICは、ギャップの磁束密度を電圧に変換して検出する。したがって、ホールICの出力電圧から、クッションフレーム820の変位を測定することができる。なお、シート前部には、変位センサ21aと車幅方向に対向して変位センサ21bが配置されている。また、シート後部にも、シート前部の一対の変位センサ21a、21bに対向して、一対の変位センサが配置されている。
次に、本実施形態の乗員保護システムの構成について説明する。図4に、本実施形態の乗員保護システムのブロック図を示す。なお、図1と対応する部位については同じ符号で示す。図に示すように、変位センサ21aは、検出部210aとA/Dコンバータ211aとBUS通信制御部212aとCPU213aとEEPROM214aとを備えている。CPU213aは、本発明のデータ補正部に含まれる。EEPROM214aは、本発明の補正値保存部に含まれる。検出部210aは、前述のホールICにより、クッションフレーム820の変位を、電圧として検出する。A/Dコンバータ211は、電圧データをデジタル変換する。CPU213aは、図示しないRAMとROMとを備えている。RAMには、変位センサ21aの検出データが一時保管される。ROMには、データ補正プログラムが格納されている。また、ROMには、シート82が空席か否かを判別する0点変位しきい値の設計値La0thと、シート82上の乗員が大人か子供かを判別する乗員判別しきい値の設計値Lathとが格納されている。EEPROM214aには、後述する調整作業により、0点変位しきい値の補正値ΔLa0th、乗員判別しきい値の補正値ΔLathが記憶されている。EEPROM214aは、電気的方法で記憶を消去し、書き換えることができる。BUS通信制御部212aは、デジタル変換された検出データ、および0点変位しきい値の補正値ΔLa0th、乗員判別しきい値の補正値ΔLath、および0点変位しきい値の設計値La0th、乗員判別しきい値の設計値Lathを伝送する。なお、その他の変位センサ21b、21c、21dの構成は、変位センサ21aの構成と同様である。したがって、これらのセンサの構成については、説明を割愛する。また、変位センサ21a〜21dは、本発明のシートセンサに含まれる。
エアバッグECU9の構成は、CPU91のROM911にデータ補正プログラムが格納されていない点、較正検査ツールT用の通信I/Fが配置されていない点以外は、前出図2同様である。したがって、エアバッグECU9の構成についての説明は割愛する。なお、CPU91は、本発明の乗員状態判別部と、駆動判定部とを兼ねる。
較正検査ツールTは、乗員保護システム1とは別体に配置される。較正検査ツールTは、0点変位しきい値および乗員判別しきい値の調整のために、バスS1に接続される。較正検査ツールTは、図示しないCPU、ROM、RAM、キーボードなどから構成される操作部と、表示部とを備えている。ROMに記憶された調整用プログラムをCPUが読み出して実行することにより、変位センサ21a〜21d各々のEEPROMに記憶された補正値を書き換えることができる。
次に、本実施形態の乗員保護システムの動きについて説明する。クッションフレーム820つまりシート82の変位は、変位センサ21a〜21dにより、検出される。一例として、変位センサ21aについて説明する。変位センサ21aの検出部210a内の磁石が回転すると、ホールICに、ホール効果による微小な電圧が発生する。この微小な電圧データは、ホールIC内のアンプ(図略)により増幅される。増幅されたアナログ電圧データは、信号線S20を介して、A/Dコンバータ211aに伝達される。A/Dコンバータ211aは、アナログ電圧データをデジタルデータに変換する。変換されたデジタルデータは、信号線S21、BUS通信制御部212a、バスS1を介して、エアバッグECU9のBUS通信制御部90に伝送される。伝送されたデジタルデータは、信号線S4を介して、CPU91のRAM910に伝送される。そして、RAM910において一時保管される。また、変位センサ21aのEEPROM214aの補正値ΔLa0th、ΔLathは、信号線S25、BUS通信制御部212a、バスS1、BUS通信制御部90、信号線S4を介して、CPU91に伝送される。そして、RAM910において一時保管される。同様に、変位センサ21aのROMの設計値La0th、Lathは、信号線S23、BUS通信制御部212a、バスS1、BUS通信制御部90、信号線S4を介して、CPU91に伝送される。そして、RAM910において一時保管される。
なお、他の三つの変位センサ21b〜21dのデジタルデータおよび補正値ΔLb0th、ΔLc0th、ΔLd0th、ΔLbth、ΔLcth、ΔLcthおよび設計値Lb0th、Lc0th、Ld0th、Lbth、Lcth、Lcthも、変位センサ21aの各データ同様に、バスS1、BUS通信制御部90、信号線S4を介して、RAM910に一時保管される。
RAM910から取り出された合計四つのデジタルデータは、CPU91において加算処理される。加算処理後のデジタルデータの総和値と、0点変位しきい値(設計値La0th〜Ld0th総和と補正値ΔLa0th〜ΔLd0th総和との和)、乗員判別しきい値(設計値Lath〜Ldth総和と補正値ΔLath〜ΔLdth総和との和)とを、比較することにより、CPU91は乗員状態を判別する。具体的には、総和値が0点変位しきい値以下の場合、シート82は空席であると判別する。また、総和値が0点変位しきい値を超えかつ乗員判別しきい値以下の場合、乗員は子供であると判別する。さらにまた、総和値が乗員判別しきい値を超えている場合、乗員は大人であると判別する。
エアバッグECU9は、「大人判別」の場合に限り、シート82に対応する袋体991を展開可能とする。なお、これ以降、袋体991展開までの処理は、第一実施形態と同様である。したがって、ここでは説明を割愛する。
次に、本実施形態の乗員検知装置の調整作業について説明する。一例として、変位センサ21aについて説明する。調整作業は、変位センサ21a〜21dを組み付けたシート82を、車両に組み付けた後で行われる。調整作業においては、まず較正検査ツールTをバスS1に接続する。次いで、信号線S10、バスS1、BUS通信制御部212a、信号線S23を介して、較正検査ツールTからCPU213aに、調整開始コマンドを伝送する。調整開始コマンドを受け、変位センサ21aは調整可能な状態となる。
次に、シート82を空席状態とする。そして、検出部210aから、信号線S20、A/Dコンバータ211a、信号線S21、BUS通信制御部212a、バスS1、信号線S10を介して、変位センサ21aの出力を較正検査ツールTにて受信する。
次に、較正検査ツールTにて、空席時の変位つまり変位センサ21aの出力L’a0thを演算する。そして、この出力L’a0thとCPU213aのROMに記憶されている設計値La0thとの差分(補正値ΔLa0th)を演算する。その後、較正検査ツールTからの書き込みコマンドにより、信号線S24を介して、補正値ΔLa0thをEEPROM214aに書き込む。
次に、シート82に子供と大人との中間の重さの重りを載せる。そして、検出部210aから、信号線S20、A/Dコンバータ211a、信号線S21、BUS通信制御部212a、バスS1、信号線S10を介して、変位センサ21aの出力を較正検査ツールTにて受信する。
次に、較正検査ツールTにて、変位つまり変位センサ21aの出力L’athを演算する。そして、この出力L’athとCPU213aのROMに記憶されている設計値Lathとの差分(補正値ΔLath)を演算する。その後、較正検査ツールTからの書き込みコマンドにより、信号線S24を介して、補正値ΔLathをEEPROM214aに書き込む。
次に、エアバッグECU9に対する乗員状態判別検査を行う。乗員状態判別検査は、シート82に種々の変位条件を設定することにより行われる。エアバッグECU9による判別結果は、較正検査ツールTに伝送される。作業者は、較正検査ツールTの表示部により、エアバッグECU9の判別結果の正否を確認する。なお、乗員状態判別検査においては、各変位センサ21a〜21dのROMに記憶された0点変位しきい値用の設計値La0th〜Ld0th総和と、各変位センサ21a〜21dのEEPROMに書き込まれた補正値ΔLa0th〜ΔLd0th総和との和が、0点変位しきい値として用いられる。並びに、各変位センサ21a〜21dのROMに記憶された乗員判別しきい値用の設計値Lath〜Ldth総和と、各変位センサ21a〜21dのEEPROMに書き込まれた補正値ΔLath〜ΔLdth総和との和が、乗員判別しきい値として用いられる。このようにして、本実施形態の乗員検知装置の調整作業が行われる。
次に、本実施形態の乗員保護システムの効果について説明する。本実施形態の乗員保護システム1の場合、変位センサ21a〜21d各々により、乗員検知ECUの三大機能における2)データ補正機能、3)補正値保存機能が確保されている。また、エアバッグECU9により、乗員検知ECUの三大機能における1)乗員状態判別機能が確保されている。したがって、乗員検知ECUが不要である。このため、部品点数が少なくて済む。また、変位センサ21a〜21dとエアバッグECU9とは、乗員検知ECUを介さずに、接続される。このため、配線が単純である。
また、変位センサ21a〜21dおよびエアバッグECU9は、デイジーチェーン方式のバスS1により、一筆書き状に接続されている。この点においても、配線が単純である。さらに、較正検査ツールTもバスS1に接続される。このため、較正検査ツールT用の通信I/Fが不要である。
<第三実施形態>
本実施形態と第二実施形態との相違点は、四つの変位センサが、一つのマスタ変位センサと、三つのスレイブ変位センサとから構成されている点である。
まず、本実施形態の乗員保護システムの構成について説明する。図5に、本実施形態の乗員保護システムのブロック図を示す。なお、図4と対応する部位については同じ符号で示す。図に示すように、エアバッグECU9とマスタ変位センサ22aとスレイブ変位センサ22b〜22dとは、バスS1によりデイジーチェーン接続されている。
マスタ変位センサ22aは、検出部220aとA/Dコンバータ221aとBUS通信制御部222aとCPU223aとEEPROM224aとBUS通信部225aとを備えている。CPU223aは、本発明のデータ補正部に含まれる。EEPROM224aは、本発明の補正値保存部に含まれる。マスタ変位センサ22aは、本発明のマスタセンサに含まれる。CPU223aは、図示しないRAMとROMとを備えている。RAMには、マスタ変位センサ22a、スレイブ変位センサ22b〜22d各々の検出データが一時保管される。ROMには、データ補正プログラムが格納されている。また、ROMには、各々のセンサ毎に、0点変位しきい値の設計値La0th、Lb0th、Lc0th、Ld0thと、乗員判別しきい値の設計値Lath、Lbth、Lcth、Ldthとが格納されている。EEPROM224aには、後述する調整作業により、各々のセンサ毎に、0点変位しきい値の補正値ΔLa0th、ΔLb0th、ΔLc0th、ΔLd0th、乗員判別しきい値の補正値ΔLath、ΔLbth、ΔLcth、ΔLdthが記憶されている。EEPROM224aは、電気的方法で記憶を消去し、書き換えることができる。BUS通信制御部222aは、デジタル変換された検出データ、および各センサ毎の0点変位しきい値の補正値ΔLa0th、ΔLb0th、ΔLc0th、ΔLd0th、乗員判別しきい値の補正値ΔLath、ΔLbth、ΔLcth、ΔLdthおよび各センサ毎の0点変位しきい値の設計値La0th、Lb0th、Lc0th、Ld0th、乗員判別しきい値の設計値Lath、Lbth、Lcth、Ldthを伝送する。
スレイブ変位センサ22bは、検出部220bとA/Dコンバータ221bとBUS通信制御部222bとを備えている。スレイブ変位センサ22bは、本発明のスレイブセンサに含まれる。BUS通信制御部222bは、デジタル変換された検出データを伝送する。なお、スレイブ変位センサ22c、22dの構成は、スレイブ変位センサ22bの構成と同様である。したがって、これらのセンサの構成については、説明を割愛する。
エアバッグECU9、較正検査ツールTの構成は、前出図4同様である。したがって、エアバッグECU9、較正検査ツールTの構成についての説明は割愛する。なお、エアバッグECU9のCPU91は、本発明の乗員状態判別部と、駆動判定部とを兼ねる。
次に、本実施形態の乗員保護システムの動きについて説明する。シートの変位は、マスタ変位センサ22aと、スレイブ変位センサ22b〜22dとにより、検出される。マスタ変位センサ22aの場合、検出部220aの出力する電圧データは、信号線S30を介して、A/Dコンバータ221aに伝送される。A/Dコンバータ221aは、アナログ電圧データをデジタルデータに変換する。変換されたデジタルデータは、信号線S31、BUS通信制御部222a、バスS1を介して、エアバッグECU9のBUS通信制御部90に伝送される。伝送されたデジタルデータは、信号線S4を介してCPU91に伝送され、RAM910に一時保管される。
スレイブ変位センサ22bの場合、検出部220bの出力する電圧データは、信号線S40を介して、A/Dコンバータ221bに伝送される。A/Dコンバータ221bは、アナログ電圧データをデジタルデータに変換する。変換されたデジタルデータは、信号線S41、BUS通信制御部222b、バスS1を介して、マスタ変位センサ22aのBUS通信部225aに伝送される。伝送されたデジタルデータは、マスタ変位センサ22a内において、信号線S36、CPU223a、信号線S33を介して、BUS通信制御部222aに伝送される。BUS通信制御部222aに伝送されたデジタルデータは、バスS1を介して、エアバッグECU9のBUS通信制御部90に伝送される。伝送されたデジタルデータは、信号線S4を介してCPU91に伝送され、RAM910に一時保管される。なお、他の二つのスレイブ変位センサ22c、22dのデジタルデータも、スレイブ変位センサ22bのデータ同様に、バスS1、BUS通信制御部90、信号線S4を介して、RAM910に一時保管される。
また、マスタ変位センサ22aのCPU223aのROMに格納されている各センサ毎の設計値La0th〜Ld0th、Lath〜Ldthは、信号線S33、BUS通信制御部222a、バスS1、BUS通信制御部90、信号線S4を介して、CPU91に伝送される。そして、RAM910において一時保管される。
並びに、マスタ変位センサ22aのEEPROM224aに格納されている各センサ毎の補正値ΔLa0th〜ΔLd0th、ΔLath〜ΔLdthは、信号線S35、BUS通信制御部222a、バスS1、BUS通信制御部90、信号線S4を介して、CPU91に伝送される。そして、RAM910において一時保管される。なお、これ以降、袋体991展開までの処理は、第二実施形態と同様である。したがって、ここでは説明を割愛する。
次に、本実施形態の乗員検知装置の調整作業について説明する。調整作業は、マスタ変位センサ22a、スレイブ変位センサ22b〜22dを組み付けたシートを、車両に組み付けた後で行われる。調整作業においては、まず較正検査ツールTをバスS1に接続する。次いで、信号線S10、バスS1、BUS通信制御部222a、信号線S33を介して、較正検査ツールTからCPU223aに、調整開始コマンドを伝送する。調整開始コマンドを受け、マスタ変位センサ22aは調整可能な状態となる。
次に、シートを空席状態とする。そして、検出部220aから、信号線S30、A/Dコンバータ221a、信号線S31、BUS通信制御部222a、バスS1、信号線S10を介して、マスタ変位センサ22aの出力を較正検査ツールTにて受信する。
次に、較正検査ツールTにて、空席時の変位つまりマスタ変位センサ22aの出力L’a0thを演算する。そして、この出力L’a0thと、CPU223aのROMに記憶されているマスタ変位センサ22a用の設計値La0thと、の差分(補正値ΔLa0th)を演算する。その後、較正検査ツールTからの書き込みコマンドにより、信号線S34を介して、マスタ変位センサ22a用補正値ΔLa0thをEEPROM224aに書き込む。
次に、スレイブ変位センサ22bの検出部220bから、信号線S40、A/Dコンバータ221b、信号線S41、BUS通信制御部222b、バスS1、マスタ変位センサ22aのBUS通信部225a、信号線S36、CPU223a、信号線S33、BUS通信制御部222a、バスS1、信号線S10を介して、スレイブ変位センサ22bの出力を較正検査ツールTにて受信する。
次に、較正検査ツールTにて、空席時の変位つまりスレイブ変位センサ22bの出力L’b0thを演算する。そして、この出力L’b0thと、CPU223aのROMに記憶されているスレイブ変位センサ22b用の設計値Lb0thと、の差分(補正値ΔLb0th)を演算する。その後、較正検査ツールTからの書き込みコマンドにより、信号線S34を介して、スレイブ変位センサ22b用の補正値ΔLb0thをEEPROM224aに書き込む。なお、スレイブ変位センサ22c、22dについても、スレイブ変位センサ22b同様の作業を行う。
次に、シートに子供と大人との中間の重さの重りを載せる。そして、検出部220aから、信号線S30、A/Dコンバータ221a、信号線S31、BUS通信制御部222a、バスS1、信号線S10を介して、マスタ変位センサ22aの出力を較正検査ツールTにて受信する。
次に、較正検査ツールTにて、変位つまりマスタ変位センサ22aの出力L’athを演算する。そして、この出力L’athと、CPU223aのROMに記憶されているマスタ変位センサ22a用の設計値Lathと、の差分(補正値ΔLath)を演算する。その後、較正検査ツールTからの書き込みコマンドにより、信号線S34を介して、補正値ΔLathをEEPROM224aに書き込む。
次に、スレイブ変位センサ22bの検出部220bから、信号線S40、A/Dコンバータ221b、信号線S41、BUS通信制御部222b、バスS1、マスタ変位センサ22aのBUS通信部225a、信号線S36、CPU223a、信号線S33、BUS通信制御部222a、バスS1、信号線S10を介して、スレイブ変位センサ22bの出力を較正検査ツールTにて受信する。
次に、較正検査ツールTにて、変位つまりスレイブ変位センサ22bの出力L’bthを演算する。そして、この出力L’bthと、CPU223aのROMに記憶されているスレイブ変位センサ22b用の設計値Lbthと、の差分(補正値ΔLbth)を演算する。その後、較正検査ツールTからの書き込みコマンドにより、信号線S34を介して、スレイブ変位センサ22b用の補正値ΔLbthをEEPROM224aに書き込む。なお、スレイブ変位センサ22c、22dについても、スレイブ変位センサ22b同様の作業を行う。
次に、エアバッグECU9に対する乗員状態判別検査を行う。乗員状態判別検査は、シートに種々の変位条件を設定することにより行われる。エアバッグECU9による判別結果は、較正検査ツールTに伝送される。作業者は、較正検査ツールTの表示部により、エアバッグECU9の判別結果の正否を確認する。なお、乗員状態判別検査においては、CPU223aのROMに記憶された0点変位しきい値用の設計値La0th〜Ld0th総和と、EEPROM224aに書き込まれた補正値ΔLa0th〜ΔLd0th総和との和が、0点変位しきい値として用いられる。並びに、CPU223aのROMに記憶された乗員判別しきい値用の設計値Lath〜Ldth総和と、EEPROM224aに書き込まれた補正値ΔLath〜ΔLdth総和との和が、乗員判別しきい値として用いられる。このようにして、本実施形態の乗員検知装置の調整作業が行われる。
次に、本実施形態の乗員保護システムの効果について説明する。本実施形態の乗員保護システム1の場合、マスタ変位センサ22aにより、乗員検知ECUの三大機能における2)データ補正機能、3)補正値保存機能が確保されている。また、エアバッグECU9により、乗員検知ECUの三大機能における1)乗員状態判別機能が確保されている。したがって、乗員検知ECUが不要である。このため、部品点数が少なくて済む。また、マスタ変位センサ22a、スレイブ変位センサ22b〜22dとエアバッグECU9とは、乗員検知ECUを介さずに、接続される。このため、配線が単純である。
また、マスタ変位センサ22a、スレイブ変位センサ22b〜22dおよびエアバッグECU9は、デイジーチェーン方式のバスS1により、一筆書き状に接続されている。この点においても、配線が単純である。さらに、較正検査ツールTもバスS1に接続される。このため、較正検査ツールT用の通信I/Fが不要である。さらにまた、各センサ毎にCPU、EEPROMを配置する場合と比較して、センサ(スレイブ変位センサ22b〜22d)の回路構成を単純化できる。
<第四実施形態>
本実施形態と第一実施形態との相違点は、各荷重センサにEEPROMが配置されている点である。
まず、本実施形態の乗員保護システムの構成について説明する。図6に、本実施形態の乗員保護システムのブロック図を示す。なお、図2と対応する部位については同じ符号で示す。荷重センサ20aには、EEPROM203aが配置されている。EEPROM203aは、本発明の補正値保存部に含まれる。EEPROM203aには、後述する調整作業により、0点荷重しきい値の補正値ΔWa0th、乗員判別しきい値の補正値ΔWathが記憶されている。EEPROM203aは、電気的方法で記憶を消去し、書き換えることができる。BUS通信制御部202aは、A/Dコンバータ201aによりデジタル変換された検出データ、および0点荷重しきい値の補正値ΔWa0th、乗員判別しきい値の補正値ΔWathを伝送する。なお、その他の荷重センサ20b、20c、20dの構成は、荷重センサ20aの構成と同様である。したがって、これらのセンサの構成については、説明を割愛する。
エアバッグECU9の構成は、補正値用のEEPROMが配置されていない点、較正検査ツールT用の通信I/Fが配置されていない点、ROM911に各荷重センサ毎の0点荷重しきい値の設計値Wa0th、Wb0th、Wc0th、Wd0th、および乗員判別しきい値の設計値Wath、Wbth、Wcth、Wdthが格納されている点以外は、前出図2同様である。したがって、エアバッグECU9の構成についての説明は割愛する。なお、エアバッグECU9のCPU91は、本発明のデータ補正部と、乗員状態判別部と、駆動判定部とを兼ねる。
較正検査ツールTは、乗員保護システム1とは別体に配置される。較正検査ツールTは、0点荷重しきい値および乗員判別しきい値の調整のために、バスS1に接続される。較正検査ツールTは、図示しないCPU、ROM、RAM、キーボードなどから構成される操作部と、表示部とを備えている。ROMに記憶された調整用プログラムをCPUが読み出して実行することにより、荷重センサ20a〜20d各々のEEPROMに記憶された補正値ΔWa0th、ΔWb0th、ΔWc0th、ΔWd0th、ΔWath、ΔWbth、ΔWcth、ΔWdthを書き換えることができる。
次に、本実施形態の乗員保護システムの動きについて説明する。シート上の荷重は、荷重センサ20a〜20dにより、検出される。一例として、荷重センサ20aについて説明する。検出部200aのアナログ電圧データは、信号線S2を介して、A/Dコンバータ201aに伝達される。A/Dコンバータ201aは、アナログ電圧データをデジタルデータに変換する。変換されたデジタルデータは、信号線S3、BUS通信制御部202a、バスS1を介して、エアバッグECU9のBUS通信制御部90に伝送される。伝送されたデジタルデータは、信号線S4を介して、CPU91のRAM910に伝送される。そして、RAM910において一時保管される。また、EEPROM203aに格納されている補正値ΔWa0th、ΔWathは、信号線S50、BUS通信制御部202a、バスS1を介して、エアバッグECU9のBUS通信制御部90に伝送される。伝送されたデジタルデータは、信号線S4を介して、CPU91のRAM910に伝送される。そして、RAM910において一時保管される。なお、他の三つの荷重センサ20b〜20dからのデジタルデータおよび補正値も、荷重センサ20aのデータおよび補正値同様に、バスS1、BUS通信制御部90、信号線S4を介して、RAM910に一時保管される。RAM910から取り出された合計四つのデジタルデータは、CPU91において加算処理される。また、RAM910から取り出された補正値ΔWa0th〜ΔWd0th、並びに補正値ΔWath〜ΔWdthも、各々加算処理される。加算処理後のデジタルデータの総和値と、0点荷重しきい値(ROM911の設計値Wa0th〜Wd0th総和とRAM910の補正値ΔWa0th〜ΔWd0th総和との和)、乗員判別しきい値(ROM911の設計値Wath〜Wdth総和とRAM910の補正値ΔWath〜ΔWdth総和との和)とを、比較することにより、CPU91は乗員状態を判別する。これ以降、袋体991展開までの処理は、第一実施形態と同様である。したがって、ここでは説明を割愛する。
次に、本実施形態の乗員検知装置の調整作業について説明する。一例として、荷重センサ20aについて説明する。調整作業は、荷重センサ20a〜20dを組み付けたシートを、車両に組み付けた後で行われる。調整作業においては、まず較正検査ツールTをバスS1に接続する。次いで、信号線S10、バスS1、BUS通信制御部90、信号線S4を介して、較正検査ツールTからCPU91に、調整開始コマンドを伝送する。調整開始コマンドを受け、エアバッグECU9は調整可能な状態となる。
次に、シートを空席状態とする。そして、検出部200aから、信号線S2、A/Dコンバータ201a、信号線S3、BUS通信制御部202a、バスS1、信号線S10を介して、荷重センサ20aの出力を較正検査ツールTにて受信する。
次に、較正検査ツールTにて、空席時の荷重つまり荷重センサ20aの出力W’a0thを演算する。そして、この出力W’a0thとCPU91のROM911に記憶されている設計値Wa0thとの差分(補正値ΔWa0th)を演算する。その後、較正検査ツールTからの書き込みコマンドにより、信号線S50を介して、補正値ΔWa0thをEEPROM203aに書き込む。
次に、シートに子供と大人との中間の重さの重りを載せる。そして、検出部200aから、信号線S2、A/Dコンバータ201a、信号線S3、BUS通信制御部202a、バスS1、信号線S10を介して、荷重センサ20aの出力を較正検査ツールTにて受信する。
次に、較正検査ツールTにて、荷重つまり荷重センサ20aの出力W’athを演算する。そして、この出力W’athとCPU91のROM911に記憶されている設計値Wathとの差分(補正値ΔWath)を演算する。その後、較正検査ツールTからの書き込みコマンドにより、信号線S50を介して、補正値ΔWathをEEPROM203aに書き込む。なお、他の荷重センサ20b〜20dについても同様の作業を行う。
次に、エアバッグECU9に対する乗員状態判別検査を行う。乗員状態判別検査は、シートに種々の荷重条件を設定することにより行われる。エアバッグECU9による判別結果は、較正検査ツールTに伝送される。作業者は、較正検査ツールTの表示部により、エアバッグECU9の判別結果の正否を確認する。なお、乗員状態判別検査においては、エアバッグECU9のROM911に記憶された0点荷重しきい値用の設計値Wa0th〜Wd0th総和と、各荷重センサ20a〜20dのEEPROMに書き込まれた補正値ΔWa0th〜ΔWd0th総和との和が、0点荷重しきい値として用いられる。並びに、エアバッグECU9のROM911に記憶された乗員判別しきい値用の設計値Wath〜Wdth総和と、各荷重センサ20a〜20dのEEPROMに書き込まれた補正値ΔWath〜ΔWdth総和との和が、乗員判別しきい値として用いられる。このようにして、本実施形態の乗員検知装置の調整作業が行われる。
次に、本実施形態の乗員保護システムの効果について説明する。本実施形態の乗員保護システム1の場合、荷重センサ20a〜20d各々により、乗員検知ECUの三大機能における3)補正値保存機能が確保されている。また、エアバッグECU9により、乗員検知ECUの三大機能における1)乗員状態判別機能、2)データ補正機能が確保されている。したがって、乗員検知ECUが不要である。このため、部品点数が少なくて済む。また、荷重センサ20a〜20dとエアバッグECU9とは、乗員検知ECUを介さずに、接続される。このため、配線が単純である。
また、荷重センサ20a〜20dおよびエアバッグECU9は、デイジーチェーン方式のバスS1により、一筆書き状に接続されている。この点においても、配線が単純である。さらに、較正検査ツールTもバスS1に接続される。このため、較正検査ツールT用の通信I/Fが不要である。
<その他>
以上、本発明の乗員保護システムの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。例えば、上記実施形態においては、乗員保護ECUとしてエアバッグECUを用いたが、例えばシートベルトプリテンショナーECUを用いてもよい。また、荷重センサ20a〜20d、変位センサ21a〜21dの配置数も特に限定しない。また、上記実施形態においては、データ補正として、0点荷重しきい値、0点変位しきい値、乗員判別しきい値の補正を行ったが、例えば荷重センサ20a〜20d、変位センサ21a〜21dの感度調整を行ってもよい。この場合、具体的には、各センサのアンプのゲインを調整してもよい。また、データ補正部として、CPUではなく、ロジック回路を設けてもよい。
1:乗員保護システム、20a〜20d:荷重センサ(シートセンサ)、200a:検出部、201a:A/Dコンバータ、202a〜202d:BUS通信制御部、203a:EEPROM(補正値保存部)、21a〜21d:変位センサ(シートセンサ)、210a:検出部、211a:A/Dコンバータ、212a:BUS通信制御部、213a:CPU(データ補正部)、214a:EEPROM(補正値保存部)、215a:リール、216a:ワイヤ、22a:マスタ変位センサ(マスタセンサ)、22b〜22d:スレイブ変位センサ(スレイブセンサ)、220a:検出部、220b:検出部、221a:A/Dコンバータ、221b:A/Dコンバータ、222a:BUS通信制御部、222b:BUS通信制御部、223a:CPU(データ補正部)、224a:EEPROM(補正値保存部)、225a:BUS通信部、8:シートレール、80:アッパレール、81:ロワレール、82:シート、820:クッションフレーム、9:エアバッグECU(乗員保護ECU)、90:BUS通信制御部、91:CPU(データ補正部、乗員状態判別部、駆動判定部)、910:RAM、911:ROM、92:EEPROM(補正値保存部)、93:通信I/F、94:駆動回路、95:駆動IC、950:駆動回路、951:駆動回路、96:セーフィングセンサ、97:Gセンサ、98a〜98c:スイッチング素子、990:スクイブ、991:袋体(乗員保護具)、T:較正検査ツール。