JP4165084B2 - 石炭の分配搬送制御方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、 コークス炉装入炭の事前乾燥処理を行うことで水分調整を行う調湿炭設備出側における石炭の分配搬送を制御する石炭の分配搬送制御方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
まず、従来のコークス炉装入炭の搬送フローについて、図面を参照して説明する。
図４は、配合ベッドから調湿炭設備出側に至る石炭搬送フローの一例（上流側２系統、下流側１系統２分配の例）を示すもので、１、２は各種銘柄の石炭を所定の配合率に応じて積層して形成される配合炭を配合率別に配置してなる１系・２系の配合ベッドである。
【０００３】
従来、各系の配合炭は系間で互いに混合可能な通常の粘結炭・微粘結炭から構成されている。
１系、２系の配合炭は、これらの配合ベッドからそれぞれのコンベア３で搬送されて湿炭ホッパ４に一時貯蔵され、適時各湿炭ホッパ４付属の定量切り出し装置５により所定の切り出し比率で切り出され、ホッパ出側（設備入側）の水分計６で各系別に石炭水分を測定され、１系・２系混合後、秤量器７で秤量され、次いで調湿炭設備10に装入される。次に、調湿炭設備10内においては特開平9-328689号公報等記載の方法にて含有水分の量が所定の値になるように調湿（乾燥）後、コンベア3a、3bに分配されて複数の炭層８に向けて搬送され、各炭層８にサイクリックに装入されて一時的に貯留される。 その後、図示しないコークス炉に供給される。
【０００４】
なお、図４の例では、 炭層８は６基設置されており、 コンベア3aと3bにそれぞれ３基づつ接続されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の調湿炭設備の設備構成において、 設備能力を増強するには調湿炭の石炭搬送供給を司り、その搬送待ちの発生しやすい各コンベア設備の増強を図ることが通常の手段である。しかしながら、コンベア設備を増強することは、 設備コストの面等から困難である。
【０００６】
本発明は、 特に調湿炭設備出側の下流側に位置するコンベア3a、3bの設備をそのまま活用し、 その搬送を最適化することで搬送能力の増強を実現して、調湿炭設備の設備能力増強を可能とするものである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明は、 調湿炭設備にて水分調整を行った石炭を、分配設備を用いて２つのコンベアに分配して供給し、一時貯留用の複数の炭槽に向けて搬送するに際しての石炭の分配搬送制御方法であって、前記２つのコンベアの内、一のコンベアの向け先炭槽の空き量と、他のコンベアの向け先炭槽の空き量の比率に応じて前記分配設備での石炭の分配比を算出して、前記分配設備に設けられるダンパの位置を前記分配比に応じて制御することを特徴とする石炭の分配搬送制御方法によって上記課題を解決した。
【０００８】
また、本発明は、 前記一のコンベアの向け先炭槽の在庫量をＴ_A （ton ），満槽設定量をTH_A （ton ），コンベアの輸送量をＺ_A （ton ／hour）とし、前記他のコンベアの向け先炭槽の在庫量をＴ_B （ton ），満槽設定量をTH_B （ton ），コンベアの輸送量をＺ_B （ton ／hour）とし、下記の（１）〜（３）式で前記分配比を算出することを好適とするものである。
（TH_A −Ｔ_A ）／Ｚ_A ＝ （TH_B −Ｔ_B ）／Ｚ_B ・・・ （１）
Ｚ_A ＋ Ｚ_B ＝ （合計輸送量） ・・・ （２）
設定分配比 ＝ Ｚ_A ／Ｚ_B ・・・ （３）
【０００９】
【発明の実施の形態】
まず、図５に基づいて調湿炭設備10出側における石炭の分配搬送フローの詳細について説明する。
調湿炭設備10で調湿（乾燥）された石炭は、調湿炭設備10出側のコンベア10a で搬送され、分配設備11に装入される。 なお、分配設備11は、好適には搬送する石炭をダンパで分配するダンパ設備とすることを好適とする。 ダンパ設備11については、後述する。
【００１０】
ダンパ設備11で２つに分配された石炭は、 コンベア3a、3bで搬送され、 それぞれの炭槽８に装入される。 ここで、コンベア3a、3b上では、ベルトウェア（コンベア秤量器）13a 、13b で搬送中の石炭が秤量される。
次に、 図１に基づき、 石炭を分配するダンパ設備11の詳細を説明する。
調湿炭設備出側のコンベア10a で搬送されてきた石炭９は、ダンパ設備11に投入される。 投入された石炭９は、 分配ダンパ11d で２つのシュータ11a 、11b に分配される。そして、各シュータから排出された石炭をコンベア3a、3bで搬送する。
【００１１】
なお、ダンパ設備11内に設けられた分配ダンパ11d は、ダンパ切替装置11c によって所定位置に切り替えることができる。 また、その切り替えたダンパ位置は、 ダンパ切替装置11c に併設した位置検出器12で検出される。
以上のような構成のため、 コンベア3a、3bによる石炭の搬送は、 コンベア3a側、あるいは、コンベア3b側から搬送される石炭で、 どちらか一方の炭槽が満槽に到達した場合は、 石炭搬送中止となるため、運転中のコンベア系統が次の装入先の炭槽に切り替るように制御される。したがって、以下に述べる分配ダンパ11d の分配比の制御が必要とされ、 前述の如く、 分配ダンパ11d は、分配比を連続的に制御できるように連続的に動作する構成とされている。
【００１２】
ダンパ設備11内の分配ダンパ11d は、連続的に動作するように構成されている。また、分配ダンパ11d は、図２に示すように、分配ダンパ11d の位置を複数のポジションに切り替え制御するようにしても良く、 図２では５つのポジション（切替位置）P1〜P5を切り替えるようにするものを示した。 こうすることで、分配ダンパ11d の切替をより単純化し、ダンパへの負荷を軽減し、かつ、制御をより単純化することも可能となる。
【００１３】
分配ダンパ11d では、送り量比率に応じて、 連続的に分配ダンパ11d の位置制御が行われ、 あるいは、表１に示すように、送り量比率により、 各分配ダンパ位置がP1〜P5の各ポジションに切替えられ、 分配シュータ11a 、11b への石炭の送りが制御される。
【００１４】
【表１】

【００１５】
次に、 本発明の好適な実施例として、上記の設備において適用される石炭の分配搬送制御方法について説明する。
まず、一のコンベア（以下、Ａ側コンベアと呼ぶ。）の搬送先の炭槽（Ａ側炭槽）において、その在庫量、すなわち、Ａ側炭槽在庫量をＴ_A （ton ）とする。また、Ａ側炭槽の満槽設定量をTH_A （ton ）、Ａ側コンベアの輸送量をＺ_A （ton ／hour）とする。
【００１６】
一方、 他のコンベア（以下、Ｂ側コンベアと呼ぶ。）の搬送先の炭槽（Ｂ側炭槽）において、その在庫量、すなわち、Ｂ側炭槽在庫量をＴ_B （ton ）とする。また、Ｂ側炭槽の満槽設定量をTH_B （ton ）、Ｂ側コンベアの輸送量をＺ_B （ton ／hour）とする。
以上から、石炭を２ルートに輸送しているとして、 それぞれ満槽到達時間を等しくするための輸送量の分配比は下式となり、設定分配比が求められる。
【００１７】
（TH_A −Ｔ_A ）／Ｚ_A ＝ （TH_B −Ｔ_B ）／Ｚ_B ・・・ （１）
Ｚ_A ＋ Ｚ_B ＝ （合計輸送量） ・・・ （２）
設定分配比 ＝ Ｚ_A ／Ｚ_B ・・・ （３）
（３）式の設定分配比、および、ベルトウェア13a 、13b から求めた実際の分配量との偏差に基づき、 本発明の分配搬送制御が、図３に示す制御ブロック図を適用したＰＩＤ制御として実施される。 そして、ＰＩＤ制御部20の出力（ＭＶ値）が分配ダンパの位置制御ループにおける設定値とされる。
【００１８】
ＰＩＤ制御部20は、その前段が重量比率制御ループとされ、 後段が位置制御ループとされるカスケードの制御構成とされている。
位置制御調節計16は、即応性向上のためＰ（比例）制御のみとし、さらに、重量制御ループである重量比率制御ループ調整計15の出力の変化率を位置制御調節計16の出力に加えるフィードフォワード制御部17の構成としており、分配設備11の分配ダンパ11d の位置情報を位置制御調節計16にフィードバックする制御構成として即応性と位置偏差解消を両立させている。 なお、位置制御調節計16の出力は、不感帯および上下限リミッタ部18を介して運転・停止および速度制御装置19に出力される。 ここで、運転・停止および速度制御装置19はインバータ等で構成され、 分配ダンパ11d を内包したダンパ設備11（図１参照）の制御を行う。
【００１９】
本発明の制御方法における設定分配比の修正は、前記の重量比率制御ループ調整計15の応答時間よりも長い時間を目安として一定時間毎に実施する。この設定分配比の所定時間毎の修正は、炭槽からの原料炭の排出（コークス炉炭化室への原料炭の装入のための払い出し）が任意に行われ、炭槽の原料炭レベルが、時々刻々と変化するためであり、装入開始時点での満槽到達時間が装入中に変化するのを修正するためである。この設定分配比の修正により、分配搬送している２つの炭槽は、同一時刻で満槽へ到達することになる。満槽到達時間が等しくなるように目標を設定するのは、例えば、２種類の性状の異なる石炭を送り先に応じて交互に切り替える操業の場合、すなわち、輸送量を単に２等分するような運用では、炭槽の在庫の多い側の装入時間でコンベアルート２系統分の搬送切替が煩雑に発生し、炭槽在庫量の少ない側が、常に満槽にならない状態となってしまうからである。
【００２０】
また、この切替発生による輸送量の低下が生じ、 これに伴う調湿炭設備能力抑制となってしまい、調湿炭設備の能力を有効に活用することができなかった。
【００２１】
【発明の効果】
本発明によって、 コンベアの運転方法を最適化することにより、 石炭搬送時の切替頻度を低下させ、 コンベアの設備改造を行うことなく搬送能力を向上させることができ、コンベア搬送能力による制約が緩和され、調湿炭設備の能力増強を達成することができた。
【図面の簡単な説明】
【図１】石炭を分配搬送するダンパ設備の模式図である。
【図２】ダンパ設備内のダンパ切替位置の説明図である。
【図３】石炭の分配搬送制御のフローを示す制御ブロック図である。
【図４】調湿炭設備前後の石炭の搬送フローを示すフロー図である。
【図５】石炭の分配搬送フローの詳細を示すフロー図である。
【符号の説明】
１ １系の配合ベッド
２ ２系の配合ベッド
３、3a、3b コンベア
４ 湿炭ホッパ
５ 定量切り出し装置
６ ホッパ出側（設備入側）の水分計
７ 秤量器
８ 炭槽
９ 石炭
10 調湿炭設備
10a （調湿炭設備出側の）コンベア
11 分配設備（ダンパ設備）
11a 、11b （分配）シュータ
11c ダンパ切替装置
11d 分配ダンパ
12 （ダンパ切替の）位置検出器
13a 、13b ベルトウェア（コンベア秤量器）
14 比例演算調整計
15 重量比率制御ループ調整計
16 位置制御調節計
17 フィードフォワード制御部
18 不感帯および上下限リミッタ部
19 運転・停止および速度制御装置
20 ＰＩＤ制御部
P1〜P5 ダンパ切替位置

Claims (2)

1. 調湿炭設備にて水分調整を行った石炭を、分配設備を用いて２つのコンベアに分配して供給し、一時貯留用の複数の炭槽に向けて搬送するに際しての石炭の分配搬送制御方法であって、
   前記２つのコンベアの内、一のコンベアの向け先炭槽の空き量と、他のコンベアの向け先炭槽の空き量の比率に応じて前記分配設備での石炭の分配比を算出して、前記分配設備に設けられるダンパの位置を前記分配比に応じて制御することを特徴とする石炭の分配搬送制御方法。
2. 前記一のコンベアの向け先炭槽の在庫量をＴ_A （ton ）、満槽設定量をTH_A （ton ）、コンベアの輸送量をＺ_A （ton ／hour）とし、前記他のコンベアの向け先炭槽の在庫量をＴ_B （ton ）、満槽設定量をTH_B （ton ）、コンベアの輸送量をＺ_B （ton ／hour）とし、下記の（１）〜（３）式で前記分配比を算出することを特徴とする請求項１に記載の石炭の分配搬送制御方法。
   （TH_A −Ｔ_A ）／Ｚ_A ＝ （TH_B −Ｔ_B ）／Ｚ_B ・・・ （１）
   Ｚ_A ＋ Ｚ_B ＝ （合計輸送量） ・・・ （２）
   設定分配比 ＝ Ｚ_A ／Ｚ_B ・・・ （３）

Images