JP4164783B2 - 浄水カートリッジ及びこれを用いた浄水器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、浄水カートリッジ及びこれを用いた浄水器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、水道水に含まれる残留塩素や濁り、赤錆などを除去するための各種浄水器が提供されていた。これらの浄水器の濾過部を形成する濾過部材としては、活性炭のみのもの、中空糸膜と活性炭を組み合わせたもの、などが採用されている。そして、さらにこれらの濾過部材に、塩素中和剤、分離剤または抗菌剤を混在することにより、水道水中に含まれる塩素成分の除去を行っていた。
また、銅の抗菌作用という特性を利用した浄水カートリッジがいくつか知られている。例えば、特開平5−293473号公報記載の浄水カートリッジがある。この浄水カートリッジは中空糸膜を利用して浄水するものであり、中空糸膜浄水フィルターの浄水出口側と原水入口側に極細銅繊維体または銅添着活性炭を配置し、中空糸膜の浄水作用と共に、浄水カートリッジよる浄水性能を長期にわたって維持するよう、構成したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような浄水カートリッジでは、濾過部材中に混在する中和剤、分離剤または抗菌剤の効力がなくなるたびに新しいものに交換する必要があるため、経済的でなく、加えて、手入れが煩わしいという課題がある。また、濾過部が中空糸膜や活性炭からなる濾過部材に形成されているため、十分な流量の浄水を得ることができないという課題がある。さらに熱による劣化を起こしやすい中空糸膜では所定以上の温度の水道水(温水)を浄化することができないという課題がある。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、経済的でかつ手入れが簡単でありながら、十分な流量の浄水を得ることができ、しかも高温の水道水(温水)を浄化することができる、多用途に汎用性の優れた浄水カートリッジを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る浄水カートリッジは、水を通流する流路内に、脱着可能に装填される、水道水を濾過する濾過部が設けられた浄水カートリッジにおいて、筒体状に形成され、一方が水道水の流入口で、他方が水道水の流出口となるケース部の内部に、仕切り部により該ケース部の軸線方向に複数に区分されて前記濾過部が設けられ、該各濾過部に濾過部材の銅粒子が収納され、前記ケース部の内部に水が通流されたときに、水流および水の重さの影響を受けて、前記仕切り部および前記濾過部が下方へ押さえ込まれた状態に圧縮されて、より上流側の前記濾過部に収納される銅粒子が該濾過部の内部で拡散運動が可能となる空間層が該ケース部内部に形成され、且つ、より下流側の前記濾過部に収納される銅粒子は充填状態に維持されるように、前記仕切り部が、前記ケース部の軸線方向に移動可能に設けられていることを特徴としている。
【0006】
本発明に係る浄水カートリッジは、濾過部材として銅粒子を使用したことによって、塩素の除去ができ、浄水性能もよく、また、従来以上に浄水の流量を得ることができ、しかも浄化作用が温度条件によって低下することがなく、使用する水の温度条件について、制限がない。このため、例えば、温水湯沸し器や浴槽のシャワー器の浄水部の内部にも装着でき、多用途に汎用的に使用できる。
【0007】
尚、前記濾過部に収納される銅粒子が水流によって可動な条件である場合は、銅粒子は拡散運動し、銅粒子による濾過作用を向上させることができる。また、好ましくは、銅粒子から形成される前記濾過部を複数個、設けてもよい。これにより、さらに水道水の浄化が行われるからである。また、好ましくは、銅粒子から形成される前記濾過部の下流側には、活性炭や中空糸膜、または活性炭と中空糸膜との組み合わせなどの濾過部材からなる濾過部を設けてもよい。これにより、さらに、水道水の浄化が行われるからである。好ましくは、浄水器は、上述のような浄水カートリッジを具備するとよい。これにより、塩素の除去ができ、従来以上に浄水の流量を十分に得ることができ、しかも、浄化作用が温度条件によって低下することがなく、使用する水の温度条件について制限がないため、多用途に汎用的に使用できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る好適な実施の形態を、添付図面に基づいて説明する。
まず、本発明に係る浄水カートリッジを使用した浄水器の好適な実施の形態について説明する。
【0009】
図1は、浄水器の外観説明図である。
浄水器1は、水の流れを切り換える切り換えレバー2と、切り換えレバー2によって切り換えられて供給される水道水の浄化を行う浄水カートリッジ3を収めた浄水部4とからなるものとして構成されている。浄水部4は、受け皿9に中空の立体に形成されたカートリッジキャップ8をシールして取り付け、内部に浄水カートリッジ3を収納してなる。浄水カートリッジ3は、受け皿9に、浄水の吐出部10bを下向きにして立て、カートリッジキャップ8をかぶせ、受け皿9の天面部との間で挟圧されて保持されている。受け皿9の下方には、浄水部4により浄化された浄水が流出する流出口9aが形成されている。また、Sは、浄水カートリッジ3の外面3aとカートリッジキャップ8の内面8bとの間に形成される空間部であり、水道水の浄水カートリッジ3への流入側の流路となる。また、カートリッジキャップ8は、浄水カートリッジ3の上面が、外部から視認できるように天面に透明な窓8aが形成されている。
【0010】
5は蛇口差込口であり、蛇口(図示せず)と直結、あるいは蛇口(図示せず)の先端形状に応じて適宜使用されるアダプタを介して連結される。この蛇口差込口5から下方へは、中空に形成された空間部を介して、切り換え部6に連通されている。蛇口差込口と蛇口(図示せず)あるいは前記アダプタとは、ロータリー式のクランプ5aを締め込むことにより固定される。
【0011】
切り換え部6は、ロータリー型の切り換え弁(図示せず)を内蔵した弁室(図示せず)を内部に備えたもので、下端にはシャワーキャップ7が装着されている。シャワーキャップ7は、中央部に整流用放水のための放水口(図示せず)、周部にシャワー状散水のための多数の小孔(図示せず)を備えたもので、シャワーキャップ7の放水口(図示せず)と前記弁室(図示せず)の下端開口部とが整流用の放射状リブを内周面に備えた仕切り(図示せず)を通じて連通している。前述の弁室(図示せず)は、前記蛇口(図示せず)に連通する上方開口と、放水口につながる下方開口と、前記仕切り(図示せず)の外周空間につながる開口と、浄水部4へとつながる開口とを備えたもので、ここに納められた切り換え弁(図示せず)は、弁室(図示せず)における上方開口と、他の3つの開口とを選択的に連通させる3種の連通孔(図示せず)を備えている。
【0012】
次に、浄水部4に装着される浄水カートリッジの構造について説明する。
図2は、浄水カートリッジ3内部を示す概略断面図である。この浄水カートリッジ3のケース部10は形成されている円筒状をなす立体であり、ケース部10の内部には、不織布からなる仕切り部と、銅粒子を収納する濾過部40、70とが、ケース部10の軸線方向に複数個に区分して設けられている。この浄水カートリッジ3は、上端部に網状に形成された蓋体10aが設けられ、下端部はケース部10と一体に形成された網状の吐出部10bに形成されている。
【0013】
ケース部10内部の、蓋体10aと吐出部10bとの間の空間部には、ケース部10の内周面に沿って、蓋体10aから近い順にそれぞれ、不織布20aからなる仕切り部20、不織布50aからなる仕切り部50、不織布80aからなる仕切り部80が、ケース10の筒状方向に可動に設けられている。不織布20aと不織布50aとの間には、銅粒子40aが収納される濾過部40が、また、不織布50aと不織布80aとの間には、銅粒子70aが収納される濾過部70が、それぞれ設けられている。
【0014】
濾過部40、70の内部に収納される銅粒子40a、70aはそれぞれ、粒子径が平均150μ〜180μのものを使用している。
【0015】
以上のような構成の浄水カートリッジ3による浄水作用は以下の通りである。切り換えレバー2による操作で、切り換え弁(図示せず)の連通孔(図示せず)の一端を蛇口(図示せず)側に連通させたならば、連通孔の他端は切り換え部6を貫通し、受け皿9内に設けられる接続口(図示せず)を通じて入水する。入水した水は、空間部Sを通流し、浄水部4における浄水カートリッジ3の蓋体10aの天面を介して浄水カートリッジ3内部に入り、不織布20aからなる仕切り部20によって、鉄錆など比較的大きな不純物の濾過を受けた後、この濾過水は、不織布20aを介して濾過部40の内部へと誘導される。次に濾過部40に収納される銅粒子40aによって、残留塩素、雑菌または濁りの元となる細かい微粒子の濾過が行われた後、不織布50aからなる仕切り部50へ誘導され、再び濾過が行われ、続いて、仕切り部50の底面部50cを介して濾過部70の内部へと誘導される。この誘導された水は、濾過部70に収納される銅粒子70aにより、再び、残留塩素、雑菌または濁りの元となる細かい微粒子の濾過が行われる。その後、不織布80aからなる仕切り部80に誘導され、濾過が行われ、この濾過された水は、吐出部10bへと誘導される。このようにして、ケース部10の吐出口10bから受け皿9の下方に形成される流出口9aに浄水が流出され、浄水として供給される。
【0016】
ここで、ケース部10内部に設けられる不織布20aと80aは可動であるから、この内部を通流する水流や水の重さの影響を受けて、浄水部4全体は、下方へ押さえ込まれた状態に圧縮されている。その結果、濾過部70に収納される銅粒子70aは充填された状態に維持される一方、その上流側の濾過部40に収納される銅粒子40aが濾過部40内部で拡散運動すべく空間層が、ケース部10内部に形成される。銅粒子40aは、仕切り部20、仕切り部50によって挟まれた空間内で拡散運動可能となり、この収納空間内で、仕切り部20の底面部20bや濾過部40の底面部40b、あるいはケース部10の内側面にぶつかりながら、拡散運動を行って、水道水に含まれる残留塩素、雑菌または濁りの元となる細かい微粒子を濾過する。前記仕切り部20及び仕切り部50は、銅粒子が水流によって、容易に拡散運動可能とするため、一定の容積空間に仕切ったものである。
【0017】
濾過部40の下流側に形成される濾過部70は、仕切り部50、仕切り部80に挟まれた銅粒子が装填された状態になり、銅粒子による一般的な濾過作用が施される構造になっている。例えば、濾過部70では、不織布からなる仕切り部、あるいは中空糸膜、活性炭などの濾過部材からなる濾過部であってもよい。また、浄水カートリッジ3内に滞留している水は、銅粒子の抗菌作用によって、雑菌の増殖作用が抑えられ、常に清浄水が維持される。
【0018】
以上の説明は、本発明に係る実施の形態の好適な一例であって、この浄水カートリッジ3を各種浄水器の浄水部の内部に装着すれば、台所の水道水の浄水だけでなく、他に例えば、温水湯沸し器あるいは浴槽のシャワー器、さらにはプール内への貯水の浄水器用の浄水カートリッジとして使用することができる。しかも本発明に係る浄水カートリッジは温度条件に制限がないため、多用途に汎用性に優れている。本発明に係る浄水カートリッジ及びこれを用いた浄水器によれば、経済的でかつ手入れも簡単でありながら、十分な流量の浄水を得ることができる。尚、図3は、本発明の実施の形態の他の例であり、この浄水カートリッジを浴槽のシャワー器の浄水部内部に装着した場合の略外観図である。このように、本発明に係る浄水カートリッジは、高温の水(温水)を浄化する浄水カートリッジとして浄水器の浄水部の内部に装着することもでき、多用途に汎用性に優れている。また、十分な流量の浄水を得ることができ、効率的に浄水を得ることができる。
【0019】
【発明の効果】
本発明に係る浄水カートリッジによれば、浄水器の浄水部の内部に中空糸膜や活性炭などの濾過部材からなる濾過部を設けることなく、銅粒子を収納する濾過部を設けるだけであるから、従来以上に十分な流量の浄水を得ることが可能であると共に、濾過部材として熱による劣化や機能低下を起こしやすい中空糸膜を使用していないため、使用する水の温度条件についても制限がない。このため、例えば、温水湯沸し器あるいは浴槽のシャワー器など、高温の水(温水)を浄化する浄水カートリッジとして浄水器の浄水部の内部に装着することができるから、多用途に汎用性に優れている。
【0020】
尚、前記濾過部に収納される銅粒子が水流によって可動自在な条件である場合は、銅粒子は拡散運動し、銅粒子による濾過作用を向上させることができる。好ましくは、銅粒子から形成される前記濾過部を複数個、設けてもよい。また、好ましくは、銅粒子から形成される前記濾過部の下流側には、活性炭や中空糸膜、または活性炭と中空糸膜との組み合わせなどの濾過部材からなる濾過部を設けてもよい。これは、ケース部内部に設けられる不織布が可動自在であるから、ケース部内部を通流する水流や水の重さの影響を受けて、浄水部全体が下方へ押し込まれた状態に圧縮されているから、より上流側に形成される濾過部に収納される銅粒子が十分に拡散運動を行うことができるほどの空間層が形成し、この形成された空間層を利用して、銅粒子が拡散運動し、浄化作用が十分に行われるからである。好ましくは、各種浄水器は、上述のような浄水カートリッジを具備するとよい。これにより、残留塩素の除去もでき、従来以上に浄水の流量を十分に得ることができ、しかも、浄化作用が温度条件によって低下することがなく、したがって、使用する水の温度条件について制限がないため、多用途で汎用的に使用できる。
【0021】
また、前記濾過部に収納される銅粒子が水流によって可動な条件下におくためには、浄水カートリッジを形成するケース部の、径の大きさや長さ、銅粒子の量あるいは大きさについて適宜調整することにより、濾過部に収納される銅粒子の拡散運動は変化するから、銅粒子の浄化作用による浄水性能も変化する。
【図面の簡単な説明】
【図1】浄水器の外観説明図である。
【図2】浄水カートリッジ内部を示す概略断面図である。
【図3】浄水カートリッジを浴槽のシャワー器の浄水部内部に装着した際の略外観図である。
【符号の説明】
1 浄水器
3 浄水カートリッジ
4 浄水部
10 ケース部
10a 蓋体
10b 吐出部
40 濾過部
40a 銅粒子
70 濾過部
70a 銅粒子
Claims (2)
- 水を通流する流路内に、脱着可能に装填される、水道水を濾過する濾過部が設けられた浄水カートリッジにおいて、
筒体状に形成された、一方が水道水の流入口で、他方が水道水の流出口となるケース部の内部に、仕切り部により該ケース部の軸線方向に複数に区分されて前記濾過部が設けられ、該各濾過部に濾過部材の銅粒子が収納され、
前記ケース部の内部に水が通流されたときに、水流および水の重さの影響を受けて、前記仕切り部および前記濾過部が下方へ押さえ込まれた状態に圧縮されて、より上流側の前記濾過部に収納される銅粒子が該濾過部の内部で拡散運動が可能となる空間層が該ケース部内部に形成され、且つ、より下流側の前記濾過部に収納される銅粒子は充填状態に維持されるように、前記仕切り部が、前記ケース部の軸線方向に移動可能に設けられていることを特徴とする浄水カートリッジ。 - 請求項1記載の浄水カートリッジを具備することを特徴とする浄水器。
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