JP4164366B2 - 建築要素を製造する方法 - Google Patents

Description

本発明は、プラスター、水及び場合によっては粒状充填材の混合物から建築要素を製造する方法に関する。

特に、ヨーロッパ特許ＥＰ−Ａ−０２９０５７１及びＥＰ−Ａ−０６１９７７３は、プラスター、砂及び水の混合物を、製造される要素の形状の型に入れ、その混合物を型に詰め込んだのち、プラスターが固化するとき型の中の体積増に抵抗を加えることから本質的になるタイプの公知の方法を記載している。このように、プラスターが水和し、結晶化するときに起こるプラスターの体積膨張が抵抗を受けると、製造される要素の中でプラスターの結晶マトリックスの稠密化が生じる。このような成形された要素は、離型されると建築に使用され、建築石材と同等である機械的及び物理的性質を有する。これらの要素は、その寸法精度のおかげで接合なしに組み立てることができ、その外観は化粧石材の外観に似て、そのことが外部コーティングを不要にする。

この公知の方法の一つの欠点は、型の中でプラスターの膨張が抵抗を受けることが型の中で実質的な圧力増を生じさせるということである。要素は、互いに対して固定されている型の側壁の間で型のプレートの一方を外すことによって離型されるため、離型のために型プレートに加えなければならない力は、型の側壁に対する要素の圧力から生じる摩擦力よりも大きくなければならず、非常に高い。したがって、当該公知の方法を実施するためには、非常に強力なプレスを使用しなければならず、そのようなプレスは非常に重く高価である。型を壊さずに型から要素を取り出すことが不可能になるおそれさえある。

さらには、プラスターの少なくとも大部分が型の中で固化するため、各型は、離型の前に比較的長い時間動かすことができず、それが製造速度を相当に下げ、多数の型を使用しなければならないことを意味する。これには費用を要する。

本発明の目的は、公知の技術の欠点を解決することができる方法を提供することである。

本発明はまた、公知の方法を使用して製造される要素に等しい又はそれより優れた物理的及び機械的性質を有する、上記したタイプの要素を製造することができる方法を提供しようとする。

このために、本発明は、プラスターに基づく建築要素を製造するための、少なくともプラスター及び水を、得られる要素の形状の型に入れ、プラスターと水との混合物を型の中で圧縮し、建築要素を離型させることからなる方法であって、さらに、型の中の混合物に、それを超えるとプラスターの水への溶解度が増すことによってプラスター結晶化が阻止されるしきい値に少なくとも等しい圧力を加えたのち、混合物に加えられる圧力を減らすことによってプラスターを急速に結晶化させることからなることを特徴とする方法を提供する。

本発明の好ましい実施態様では、プラスターは、型の中の混合物の圧縮によって得られる要素を離型させ、要素の中のプラスターを型の外で結晶化させることによって結晶化させる。

プラスターと水との混合物が一定の限界値よりも大きい圧力に付されると、プラスターの水への溶解度が増大するということが示された。プラスターと水との混合物が、プラスターの水和及び結晶化反応のための化学量論的値に実質的に対応する割合で調製され、当該結晶化が大気圧で起こることができるならば、発熱結晶化反応によって放出される熱によるプラスターの体積膨張及び加熱が見られる。プラスターと水との当該混合物が数分間、大気圧を超えるが一定のしきい値よりも低い、所与のプラスターに関して周囲温度で約１００〜１５０バールの範囲にある圧力に付されると、プラスター結晶化は阻止されず、その体積膨張が抵抗を受け、プラスターの結晶マトリックスの稠密化ならびに得られる要素の機械的及び物理的特質における実質的改善が得られる。混合物が加圧下で溶液を飽和させることなくプラスターを溶解させるのに十分な量の水を含有するならば、プラスターと水との混合物が当該しきい値よりも高い圧力に付されると、その水への溶解度が増すため、プラスター結晶化は阻止される。その後、プラスターと水との混合物に加えられる圧力が減少すると、プラスターの溶解度が低下して、非常に急速な結晶が起こる。

プラスターと水との、プラスター１００重量％に対して水３５重量％〜４０重量％の割合の混合物を、周囲温度（約２０℃）の型の中で、約１５０バールの圧力で圧縮したのち、成形された要素を急速に離型させることにより、プラスターが要素中で極めて急速に結晶化するということが示された。

この方法では、プラスターが型の中で膨張しないため、要素の離型は易しく速やかである。

変形態様では、プラスターと水との当該混合物を型の中で１５０バール程度の圧力で圧縮することができ、その後、当該圧力の適用を止め、プラスターを型の中で結晶化させる。しかし、この場合、プラスターの結晶化ののち型から要素を取り出すためのより強力な手段が利用可能でなければならない。

好ましくは、型の中の圧縮された混合物は、充填材、たとえば粒状充填材を含む。

充填材は、プラスターに対して化学的に不活性であるいかなるタイプであってもよい。

たとえば軽くて強い要素、特にタイルの製造には、１に近い密度の軽い充填材を使用することができる。充填材は多孔質であってもよい。

また、任意のタイプの砂、粉砕してある建築廃材、粉砕した回収材などを使用することもできる。

また、プラスターに対して化学的に不活性ではない充填材、たとえばカーボネート、ホスフェートなどを使用することも可能である。

また、回収された石膏（ホスホ石膏、スルホ石膏、ボロ石膏など）をプラスターに加えることも可能である。

本発明のさらなる特徴にしたがって、流動化剤、特に解こう生成物、たとえばメラミンを当該混合物に加える。

これは、混合物を、型の中で均質に圧縮するのに十分なほど流動性に維持する一方で、混合物中で必要な水の量を最小値まで減らす。混合物の中の水の量を減らす利点は、製造される要素の最終的な空隙率を下げることである。

本発明のさらなる特徴によると、方法は、まず当該混合物を型の中で圧縮して混合物中の空隙を最小値又は最小値近くまで減らしたのち、混合物に加えられる圧力を少なくとも当該しきい値まで増大させることからなる。

当該圧力を増すために、本発明は、有利には、型の中の成形物のキャビティの対応する断面に比べて減少した断面を有する少なくとも一つの要素を混合物中に打ち込むことを想定する。そして、比較的低い力を要素の端部に加える一方で型の中の圧力を増す。

好ましくは、たとえば、型の一以上の壁の穴の中で並進的に誘導され、封止的に取り付けられ、軸方向の推力を加えられる円柱形のロッドであってもよい複数の当該要素を使用する。

明らかに、当業者に公知である他の適切な手段を使用して型の中の圧力を当該しきい値を超える値まで増大させ、それによってプラスターの水への溶解度を増すことが可能である。当該手段の例は、液圧プレスで使用されるタイプの圧力倍増器、レバー系、連接系などである。

添付図面を参照しながら記載する以下の説明から、本発明がよりよく理解され、本発明の他の特徴、詳細及び利点が明らかになるであろう。

図１及び２に示す実施態様では、参照番号１０は、本発明の建築要素を製造するための型を示す。当該型は、長方形の平行六面体の形状にあり、永久的に互いに固定された４枚の強固な非変形性の側壁１２ならびに側壁１２に対して移動可能に取り付けられた上プレート１４及び下プレート１６を含む。

下プレート１６は液圧プレスの台に載り、上プレート１４は、プレスの可動プレートと対応して、型１０に入れられた混合物に圧縮力を加えることができる。

場合によっては、図示するように、下プレート１６は、製造される要素の中にキャビティを形成するための半楕円形の突出部２０を有してもよい。

型１０に導入される混合物は、プラスターと、大気圧でのプラスターの水和及び結晶化反応に必要な水の量の２倍に実質的に相当する最小量の水とを含む。

公知の方法で、プラスターは、硫酸カルシウム二水和物である石膏を加熱することによって得られる硫酸カルシウム半水和物である。現在市販されているプラスターは、一定の数の添加物、特に硬化遅延剤を含む。しかし、本発明の方法で、純粋なプラスター、すなわち無添加のプラスター又は硬化促進剤を形成する非焼成要素を含有する並みの品質のプラスターを使用することもできる。

型１０に導入される混合物はまた、好ましくは、上記したように、粒状充填材、たとえば砂又はプラスターと不活性又は化学的に適合性のある他のタイプの充填材を含む。混合物中の充填材の量は、充填材の粒度測定がそうであるように、かなり広く異なることができる。例として、型に導入される混合物は、プラスター約３０重量％〜５０重量％及び充填材約７０重量％〜５０重量％を含むことができる。当該混合物中の水の量は、温度及び圧縮しきい値に依存し、大部分の場合、プラスター１００重量部に対して約３５〜４０又は４５重量部である。明らかに、当該値は、一つの考えを提供するために例として挙げただけであり、型の中の混合物の温度及び圧縮の関数としてかなり広く異なることができる。本発明の好ましい実施態様では、混合物は、プラスター１００重量部に対して水３７重量部を含有し、温度が２０℃〜２５℃であるとき１５０バールの圧力まで圧縮される。

本発明にしたがって建築要素を製造するとき、以下の手順をたどる。

型の上プレート１４を取り外し、上記割合のプラスター、充填材及び水の混合物を、プレスに取り付けた型に注加する。好ましくは、プラスターと充填材とをドライブレンドし、プラスター水和水を最後の瞬間に、たとえば混合物を型１０に導入するとき又はその直前に加える。

次の工程は、混合物を型に詰め込んで、型の側壁１２ならびにプレート１４及び１６の間の１ミリの数百分の１〜数十分の１の隙間を介して逃げることができる、混合物に含まれる空気及び過剰な水をできるだけ抜くことからなる。型に詰め込んだ混合物は、たとえば、型の上プレート１４を、製造される建築要素の所望の深さに実質的に対応する所定の深さまで下げることによって圧縮する。

そして、型の中のプラスター、充填材及び水の混合物に加える圧力を、それを超えるとプラスターが水に溶解するしきい値まで増大させる。この限界値は、温度及び使用されるプラスターに依存し、たとえば、１５℃で約１００バール、２０〜２５℃で約１５０バール、４０℃で１７０〜１８０バールである。ずっと高い圧力（たとえばしきい値の２倍）を加えても最終的な結果にわずかな影響しかないため、型の中の混合物を当該しきい値よりもわずかに高い圧力まで圧縮するだけで十分である。

型の中での混合物の当該圧縮及びプラスターの溶解度の増大の結果は、プラスターの固化が阻止され、混合物中でプラスター結晶化が起こらないということである。この現象は次のように説明することができる。プラスター結晶化は、プラスターが水に溶解し、プラスター及び水によって形成される溶液が飽和して硫酸カルシウム二水和物芽晶成長過程を開始させてはじめて起こる。型の中の混合物の、当該しきい値を超える圧縮は、プラスターの水への溶解度を増す効果を及ぼし、したがって、当該芽晶成長過程を開始させるであろう溶液の飽和を許さない。当該圧縮は、混合物中の空気及び過剰な水を型から排出させるのに十分な時間、たとえば約１０〜１５秒間加えられる。当該圧縮を軽減又は終了すると、プラスターの水への溶解度がより低い状態に戻り、それから溶液が飽和し、活発な芽晶成長が開始するとともに、混合物中のプラスターが、大気圧での結晶化の間に得られる結晶よりも実質的に小さい、小さな圧密な結晶の形態で急速に結晶化する。

本発明によると、この圧縮の軽減は、有利には、建築要素を離型させることによって達成される。離型は、プラスターがまだ固化していないとき実施され、型の中の混合物の高い圧縮が固形要素を製造するときに可能になる。離型は、たとえば、上プレートを持ち上げ、型の側壁１２を垂直方向の並進によって取り除くことにより、容易に実施される。離型させた要素の中のプラスターは、一般的には数分の速度であり、そして大気圧での化学量論的割合の混合物中のプラスターの結晶化速度の２〜３倍の速さである速度で急速に結晶化する。

製造される要素は、建築物に使用される化粧石材の機械的及び物理的特性に匹敵しうる又はそれらよりも優れた機械的及び物理的特性を有する。特に、本発明の要素の圧縮強さは３００kg/cm²を超える。

当該要素は、離型ののち数分で建築物に使用することができる。要素の寸法精度は、上記で引用した従来技術で記載したように、それらを互いに積み重ねることにより、接合及び外部コーティングなしで組み合わせることができることを意味する。

当該要素の空隙率を減らし、水及びゲルに対するその挙動を改善するため、型に導入される混合物は、最小量の水及び少量の流動化剤、たとえば解こう剤を含有する。有利には、当該解こう剤は、プラスターに対して０．５重量％未満の量のメラミンである。

当該流動化剤の存在は、混合物を型の中で実質的に均質かつ平衡に圧縮することを許すのに十分な混合物の流動性を維持しながらも、混合物中の水の量を最小限に減らすことができる。

本発明の方法を実施するために使用される手段は、少なくとも１５０バールの圧力で混合物を型の中で圧縮するのに十分な力のある従来の液圧プレスを含むことができる。

また、たとえば８０バール程度の圧力で混合物を型の中で圧縮することができる比較的非力な手段を、比較的低い液圧力を使用して型の中の圧力を約１４０〜１５０バールの値に増大させることができる他の手段、たとえば図１及び２に示す手段と組み合わせることにより、使用することも可能である。

図１及び２に示す手段は、型の下プレート１６の穴に並進状態で封止的に取り付けられた円柱形のロッド２２であって、これらのロッドを型の中で圧縮される混合物の中に少なくとも部分的に導入することを許すための推進手段と対応するロッドを含む。

次に、以下の手順をたどる。

ロッド２２を引っ込め、型の内部に突出させない。所望の量の当該混合物を型に注入し、詰め込み、型の上プレート１４を使用して約８０バールまで圧縮する。次に、ロッド２２の下端に推力を加えて、型の中で圧縮された混合物にロッドを少なくとも部分的に打ち込む。

ロッド２２を混合物に埋め込むと、型の上プレート１４を移動させることによって当該内圧を得る場合よりもずっと低い推力を使用して、当該混合物に対する圧力を約１５０バールの値に増すことができる。

ロッド２２を混合物に打ち込むことはまた、実施中に起こることがある、混合物を計量分配する際の小さな誤差を補正する。一例として、型に導入される混合物の量が理論値よりもわずかに低いならば、ロッド２２を混合物中にさらに深く打ち込んで、約１５０バールの内圧を発生させる。反対に、型に導入される混合物の量が理論値よりもわずかに高いならば、ロッド２２を少ない程度に打ち込むことにより、型の中で１５０バールの内圧に達する。

明らかに、当該ロッドは、型の上プレート１４及び／又は型の短い側壁の穴に取り付けることもできる。

離型を容易にするため、開放型、すなわち、側壁１２が互いに固着されておらず、互いに分離させることができる型を使用することができる。この場合、以下の手順を使用することができる。

型の側壁を、製造する要素の側面と合わせ、所定位置に固定する。そして、混合物を型に導入し、詰め込み、約１５０バールまで圧縮することにより、上記手順を実施する。それを離型させるためには、型の上プレート１４を取り外し、壁１２を互いに横方向に引き離す。壁１２を移動させ、側壁を所定位置に固定するための手段は、機械式であっても液圧式であってもよい。

本発明の方法の主要な工程を図３のオルガニグラムに示した。

このオルガニグラムは、プラスターと充填材とをドライブレンドする工程２６と、プラスター、充填材及び水の混合物を型１０に導入する工程２８と、混合物を型の中で詰め込む工程３０と、混合物を型の中でたとえば１５０バール程度の圧力で圧縮する工程３２と、得られた要素を離型させる工程３４と、プラスターを空気中で結晶化させる最終工程３６とを示す。

工程３０は１０〜１５秒間継続し、工程３２は２０〜３０秒間継続し、たとえば、工程３０と工程３２との間の圧力の漸進的増加が混合物の成分が正しく沈降することを可能にする。圧力を限界値、この場合は１５０バールでたとえば約１０〜１５秒間維持したのち、離型のために解除する。工程３４は約１５秒間継続する。圧縮工程と離型工程との合計時間は約６０秒であり、プレス１機あたり及び型１個あたりの製造速度（１時間あたり要素約６０個）を与える。

製造された要素は、離型ののち数分で建築物に使用することができ、その高い寸法精度のおかげで、１個を他の１個の上に載せることにより、接合なしで架設される。要素は、公知の方法で要素の間に液状プラスターを流し込むことにより、数分のうちに密着した塊になる。

本発明の建築要素は、従来のセメントブロックに相当する形状及び寸法を有することができる。これらはまた、目的に依存して種々の形状及び寸法を有することができる。特に、梁、、横架材、パネルなどを形成することができる。

本発明の建築要素を製造するための装置の断面図である。 図１の装置の軸方向断面図である。 本発明の方法における主要な工程のオルガニグラムである。

Claims (7)

1. 建築要素を、硫酸カルシウム半水和物と、充填材と、水との混合物から製造するための、混合物を型に入れ、混合物を型の中で圧縮し、建築要素を離型させることからなる方法であって、
   硫酸カルシウム半水和物と充填材との合計を１００重量％として、硫酸カルシウム半水和物３０重量％〜５０重量％及び充填材７０重量％〜５０重量％を含み、硫酸カルシウム半水和物１００重量部に対して水３５〜４５重量部を含む混合物を型に導入し、
   温度２０〜２５℃での型の中の混合物に加えられる圧力が、１５０バールまでであり、
   混合物が、型の中で３０〜４５秒間圧縮され、次に建築要素を離型し、混合物中の硫酸カルシウム半水和物を型の外で結晶化させることを特徴とする方法。
2. 型の中での３０〜４５秒間の圧縮が、最初に混合物を型の中に詰め込む圧力を１０〜１５秒間加え、次により高い圧力を１０〜１５秒間加える、請求項１記載の方法。
3. 充填材が硫酸カルシウム半水和物に対して化学的に不活性である、請求項１又は２記載の方法。
4. 充填材が硫酸カルシウム半水和物に対して化学的に不活性ではない、請求項１又は２記載の方法。
5. 型（１０）の中の混合物が流動化剤を含む、請求項１〜４の１項記載の方法。
6. 流動化剤が解こう剤である、請求項５記載の方法。
7. 型キャビティの対応する断面に対して減少した断面を有する少なくとも一つの要素であって、型の一つの壁の穴の中で並進的に誘導され、封止的に取り付けられ、混合物に打ち込まれるために軸方向の推力が加えられる円柱形のロッドを含む要素を型の中の混合物に打ち込むことにより、前記限界値の圧力に少なくとも等しい圧力を型の中の混合物に適用する、請求項１〜６の１項記載の方法。

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