JP4164215B2 - 画像処理方法、装置および記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、色ノイズ低減処理を行う画像処理方法、画像処理装置ならびに記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハードコピー技術、特にフルカラーのハードコピー技術の発展にともない、インクジェット記録方式などの印写技術と高画素のデジタルカメラを用いて高忠実な画像の再現が可能になってきている。
【0003】
ところで、近年は、好ましい色再現という観点から、プリンタドライバ等が、入力画像を解析し、入力画像自体に対して解析結果に応じた輝度補正や彩度強調等の処理を行っている。例えば、特開平10-200777では、画像を解析し、好適な彩度補正を施す処理が記載されている。
【0004】
また、画素数の少ないデジタルカメラ画像を印字する場合、前述の高画素のデジタルカメラを使用して撮像した画像を印字した場合に比して見劣りしてしまうことがある。そこで、バイキュービック法やニアレストネイバー法などのアンチエイリアス手法を用いて、入力画像を適当なサイズに拡大する方法が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
さらに、デジタルカメラ画像には、例えば、CCD素子の暗電流による色ノイズなどのノイズが含まれている。ハードコピー機で使用される減法混色系による色再現において、グレーラインは非常に不安定であることが多く、グレーライン周辺では階調が逆転してしまうことがある。よって、色ノイズによって、本来グレーであるべき色がグレーライン周辺の色に置き換わってしまうことで、上記逆転部が印字画像上で現れやすくなるという問題がある。
【0006】
色ノイズを低減するための処理としては、TV受像機において映像信号を輝度信号と色差信号に分け、色差信号の色ノイズ部にあたる周波数帯域で振幅をクリップする色ノイズ低減処理が知られている。
【0007】
しかしながら、解析結果に応じた輝度補正や彩度強調の画像補正処理、拡大処理とノイズ低減処理を組み合わせると以下のような問題が生じる。
【0008】
彩度強調処理等の画像補正処理によって、画像全体の彩度強調にともなって強調された色ノイズ部については、色ノイズ低減処理の効果が発揮できないことがある。
【0009】
また、入力画像の拡大処理にともなって、拡大された色ノイズ部に対しては、色ノイズ低減処理の効果が発揮できないことがある。
【0010】
本発明は上記問題を解決するものであり、本願請求項1の発明は、色ノイズ低減処理が効果的に行え、かつ色ノイズ低減処理と画像補正処理が効率的に行えるようにすること目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本願発明の請求項1は、入力画像の彩度から彩度特徴量を算出する算出工程と、前記入力画像の色みを示す成分だけに色ノイズ低減処理を行う色ノイズ低減処理工程と、前記算出された彩度特徴量に基づいて、彩度強調の補正強度を設定し、前記設定した補正強度で、前記色ノイズ低減処理が行われた画像に対して、彩度強調処理を行う画像補正工程とを有することを特徴とする。
【0013】
本願発明の請求項8は、入力画像の彩度から彩度特徴量を算出する算出手段と、前記入力画像の色みを示す成分だけに色ノイズ低減処理を行う色ノイズ低減処理手段と、前記算出された彩度特徴量に基づいて、彩度強調の補正強度を設定し、前記設定した補正強度で、前記色ノイズ低減処理が行われた画像に対して、彩度強調処理を行う画像補正手段とを有することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本実施形態を詳細に説明する。
【0015】
本実施形態におけるシステムの概略の一例を図1に示す。
【0016】
ホストコンピュータ100には、例えばインクジェットプリンタなどのプリンタ106とモニタ105が接続されいてる。ホストコンピュータ100は、ワープロ、表計算、インターネットブラウザ等のアプリケーションソフトウエア101と、OS(Operating System)102、該アプリケーションによってOS102に発行される出力画像を示す各種描画命令群(イメージ描画命令、テキスト描画命令、グラフィックス描画命令)を処理して印刷データを作成するプリンタドライバ103、およびアプリケーションが発行する各種描画命令群を処理してモニタ106に表示を行うモニタドライバ104をソフトウエアとして持つ。
【0017】
ホストコンピュータ100は、これらソフトウエアが動作可能な各種ハードウエアとして中央演算処理装置CPU108、ハードディスクドライバHD107、ランダムアクセスメモリ109、リードオンリーメモリROM110等を備える。
【0018】
図1で示される実施形態として、例えば一般的に普及しているIBM社のAT互換機のパーソナルコンピュータにMicrosoft社のWindows95をOSとして使用し、任意の印刷可能なアプリケーションをインストールし、モニタとプリンタを接続した形態が1実施形態として考えられる。
【0019】
ホストコンピュータ100では、モニタに表示された表示画像に基づき、アプリケーション101で、文字などのテキストに分類されるテキストデータ、図形などのグラフィックスに分類されるグラフィックスデータ、自然画などに分類されるイメージ画像データなどを用いて出力画像データを作成する。そして、出力画像データを印刷出力するときには、アプリケーション101からOS102に印刷出力要求を行い、グラフィックスデータ部分はグラフィックス描画命令、イメージ画像データ部分はイメージ描画命令で構成される出力画像を示す描画命令群をOS102に発行する。OS102はアプリケーションの出力要求を受け、出力プリンタに対応するプリンタドライバ103に描画命令群を発行する。プリンタドライバ103はOS102から入力した印刷要求と描画命令群を処理しプリンタ105で印刷可能な印刷データを作成してプリンタ105に転送する。プリンタ105がラスタープリンタである場合は、プリンタドライバ103はOS102からの描画命令に対して、順次画像補正処理を行い、そして順次RGB24ビットページメモリにラスタライズし、すべての描画命令をラスタライズした後にRGB24ビットページメモリの内容をプリンタ105が印刷可能なデータ形式、例えばCMYKデータに変換を行いプリンタに転送する。
【0020】
プリンタドライバ103で行われる処理を図2を用いて説明する。
【0021】
画像補正処理部120は、OS102から入力した描画命令群に含まれる色情報に対して、画像補正処理を行う。この画像補正処理では、RGB色情報をもとに色ノイズ低減処理、輝度補正、彩度補正、画像拡大処理を行う。プリンタ用補正処理部121は、まず画像補正処理された色情報によって描画命令をラスタライズし、RGB24ビットページメモリ上にラスター画像を生成する。そして、各画素に対してプリンタの色再現性に依存したCMYKデータを生成し、プリンタ105に転送する。
【0022】
次に、画像補正処理部で行われる画像特徴量算出、自然画判定、画像補正方法決定、輝度補正、彩度補正、色ノイズ低減処理、画像拡大処理に関する処理手順を説明する。
【0023】
それぞれの画像処理は、イメージ描画命令で示される同一の画像に関するイメージ画像データ部分に対して行う。したがって、例えば出力画像の中にグラフィックス画像およびイメージ画像が含まれている場合は、同一の画像に関するイメージ画像部分を抽出し、図6に示される画像処理を行う。
【0024】
なお、画像のタイプは、描画命令の種類を判別することにより識別することができる。イメージ画像はラスターデータコマンドで示され、グラフィックはベクターコマンドで示され、テキストデータはテキストコマンドで示される。
【0025】
本実施形態では、色ノイズ低減効果が適切に得られるように図6に示される順序で各処理を行う。
【0026】
(画像特徴量算出部)
S61の画像特徴量算出部では、イメージ画像部分の特徴量として、イメージ画像部分の入力画像データに基づき、輝度ヒストグラムを作成しハイライトポイントHL,シャドーポイントSDおよび色数を算出し、また、色差信号から彩度信号を作成し彩度平均値Saveを算出する。
【0027】
なお、本実施形では,次式に基づき色差信号から彩度信号を生成する。
【0028】
S=sqrt(Cr^2+Cb^2)
ここで、処理対象画像の画像サイズが大きい場合には、対象画像から参照点を適宜サンプリングして画像特徴量を求めても良い。本実施形態では、1600×1200[ pixels ]の入力画像データに対して、例えば10000点を選択し、前記選択した参照点について、各種ヒストグラムをとる方法を用いている。ここで、参照点の選択方法は、例えば、画像ヨコ方向のサンプル間隔を1600Mod(100)ピクセル、画像タテ方向のサンプル間隔を1200Mod(100)として、それぞれのサンプル間隔で対象画像を走査し、画像特徴量を求める。
【0029】
なお、S61で求める画像特徴量は、後述する各処理で用いる条件に応じた特徴量であれば、例えば彩度ヒストグラムなどの他の特徴量を算出するようにしても構わない。
【0030】
(自然画判定部)
ラスタデータコマンドで示される画像の中には、CG画像等の人物写真や風景写真という自然画像と特性が異なるものが含まれる。例えば、CG画像はアプリケーションを用いて作成された画像であるので、そもそも色ノイズが存在しない。また、後述の色ノイズ低減処理をCG画像等のグラデーション画像に対して行うと、階調性の劣化が起こる場合がある。
【0031】
同様に後述の明度・彩度補正処理についても、CG画像等のグラデーション画像に対して行うと、ハイライト付近やダーク付近、高彩度部などで階調性の劣化が起こる場合がある。
【0032】
そこで、本実施形態では、S62の自然画判定部において、画像特徴量算出部S61で求めた画像特徴量に基づき、描画命令からイメージ画像であると判定された処理対象画像の画像種が自然画像であるか否かを判定し、自然画像に対して後述の色ノイズ低減処理、明度・彩度補正処理が行われるようにする。なお、自然画像ではないと判定された場合は、S66の処理へ進む。
【0033】
ここで、自然画判定は、例えば、CG画像等の人工グラデーション画像では図9のように使用色が偏りやすいことに着目し、輝度ヒストグラムの分布が離散的でるか否かに基づき非自然画を選択する。本実施形態では、画像特徴量算出部S61で算出された使用色数が、例えばTh_Cols_Photoよりも少ない場合には、非自然画と判定する。
【0034】
なお、本実施形態では、使用色数として、輝度ヒストグラムから求めた擬似的な使用色数を用いたが、例えば、輝度・色差信号の組み合わせが異なるものをカウントした結果を用いても構わない。
【0035】
(画像補正方法決定)
S63の画像補正方法決定部では、自然画判定部S62で自然画と判定された画像について、画像特徴量算出部S61で求めたハイライトポイントHLおよびシャドウポイントSDを指標として、後述の明度・彩度補正処理部での画像補正方法を決定する。
【0036】
<輝度補正方法決定>
輝度補正方法の概略を図10を用いて説明する。
【0037】
処理対象の自然画像の輝度ヒストグラムが図10Bであったとする。輝度ヒストグラム図10Bから、この自然画像は、輝度分布が中間部に偏り、階調の乏しい画像となっていることがわかる。
【0038】
そこで、この自然画像の階調性を改善するために、画像特徴量算出部S61で求めたハイライトポイントHL、シャドーポイントSDが、それぞれ、255,0となるように、図10の輝度補正曲線Aのように、輝度補正曲線を設定する。
【0039】
<彩度補正方法決定>
記憶色が実際の色味よりも高彩度側にシフトする傾向にあることから、自然画の色再現では一般に、彩度を強調する処理を行った方が見栄えのすることが多い。
【0040】
そこで、画像特徴量算出部S61で求めた平均彩度Saveが、Save<Th_High_Saturationである場合には、例えば、彩度を20%あげるように彩度強調処理条件を設定する。
【0041】
なお、本実施形では,次式に基づき色差信号から彩度信号を生成する。
【0042】
S=sqrt(Cr^2+Cb^2)
そして、彩度信号Sに対して上述の彩度強調処理を行い、上式の逆処理を行い色差信号に変換する。
【0043】
なお、彩度強調処理条件は、ユーザによって予め設定できるようにしても構わないし、平均彩度Saveに基づき算出されるようにしても構わない。
【0044】
(色ノイズ低減処理部)
次に、図4に示すフローチャートを参照しながら色ノイズ低減処理部S64で行われる色ノイズ低減処理に関する手順を説明する。
【0045】
処理対象画像に色ノイズが含まれている場合、輝度・彩度補正処理、あるいは、後述の画像拡大処理によって、色ノイズ部が強調されてしまうことがある。
【0046】
また、強調された色ノイズ部に対して、色ノイズ低減処理をおこなっても、その効果が十分に発揮できないことが多い。そこで、本実施形態では、色ノイズ低減処理を行い、色ノイズ低減処理後の画像データについて、輝度・彩度補正を行うようにしている。
【0047】
本実施形態のように色差に対して平滑化処理を行う色ノイズ低減処理は、輝度についてのエッジ部や、輝度変化が少ないにも関わらず急激な色度変化の感じられる色エッジ部の見た目の解像度を劣化させる場合がある。そこで本実施形態では、エッジ判定部、色エッジ判定部、エッジ強調部等を加え、エッジ、色エッジの見た目の解像度の劣化を防いでいる。
【0048】
以下ではエッジ判定等を含む色ノイズ低減処理について詳細に説明する。
【0049】
<エッジ算出部>
S41のエッジ算出部では、輝度信号Yについて、例えばラプラシアンフィルタなどを用いてエッジを算出し、算出された値D_Yを保持する。
【0050】
ここで算出した値D_Yは、後の工程であるエッジ判定部、及びエッジ強調部の両方で利用される。なお、エッジ強調を行わない場合やエッジ強調専用の高速なユニットが利用可能である場合には、ここで求めた値D_Yをエッジ判定終了と同時に破棄してもよい。
【0051】
本実施形態ではラプラシアンフィルタを用いたが、エッジ算出のために、空間周波数領域でのハイパスフィルタの通過成分を用いたり、動画を仮定して、実時間領域での差分値を用いても構わない。
【0052】
<エッジ判定部>
S42のエッジ判定部では、前記エッジ算出部で保持された値D_Yと、エッジ判定のための閾値TH_Edgeを比較して、エッジを判定する。
【0053】
閾値TH_Edgeの設定は、入力画像のヒストグラムを分析するなどして処理対象毎に設定してもよい。例えば、原画像の輝度信号について微分値を保存するフレームメモリを用意し、上記微分値を保存したフレームメモリについて再度ヒストグラムを取り、求められたヒストグラムを例えば判別分析法等の手法を用いて分析し、画素値のクラスタリングを行って、その都度、適切な閾値を求める。
【0054】
エッジ判定部の判定の結果、注目画素f(i,j)がエッジでないと判定された場合は、S41の色度変化判定部に進む。またエッジであると判定された場合には、S45のエッジ強調部に進む。
【0055】
<エッジ強調部>
S45のエッジ強調部では、前記保持された値D_Yに、輝度信号値Y(i,j)を加える等して、エッジ強調を行う。
【0056】
すなわち、
Y’(i,j)=Y(i,j)+D_Y
なる処理を行う。
【0057】
ここではエッジ判定のために求めたデータを用いて、エッジ強調を行うことで処理の高速化、簡略化を図っている。
【0058】
なお、エッジ強調処理は周波数領域での処理などエッジ強調効果を有する他の処理を利用することもできる。
【0059】
<色度変化判定部>
S43の色度変化判定部では、輝度信号Yの変化からは検出できない、色度の急激な変化部分である「色エッジ」の検出を行う。
【0060】
D_col_CrL(i,j)=|{Cr(i−2,j−1)+Cr(i−1,j−1)+Cr(i,j−1)}ー{Cr(i+2,j+1)+Cr(i+1,j+1)+Cr(i,j+1)}|
D_col_CrR(i,j)=|{Cr(i+2,j+1)+Cr(i+1,j+1)+Cr(i,j+1)}ー{Cr(iー2,jー1)+Cr(i−1,j−1)+Cr(i,j−1)}|
として、同様にCb成分についても求め、
D_col(i,j)=D_col_CrL(i,j)+D_col_CrR(i,j)+D_col_CbL(i,j)+D_col_CbR(i,j)
ここで、前記算出された値D_col(i,j)を色度変化判定のための閾値TH_colと比較して、色度変化判定を行う。
【0061】
本実施形態では閾値TH_colは固定としたが、入力画像のヒストグラム等の特徴量を算出し、これをもとに判定を行ってもよい。
【0062】
また、本実施形態の色度変化判定処理は、閾値TH_colの値によっては、色ノイズ部を色エッジとして判定してしまうことがある。色ノイズのサイズを考慮し、色ノイズのみを通すよう構成したバンドパスフィルタを、前記判定に用いる値D_col(i,j)の代わりに利用しても構わない。
【0063】
また、輝度Yの変化に関わらず、色差信号だけから、色度の急激な変化が検出出来るような他の方式を用いても良い。
【0064】
<色ノイズ低減処理部>
本実施形態では、図3に概略を示すように、プリンタドライバの画像補正処理部において輝度信号を保持しつつ、色差信号の急激な変化をなめらかにすることで色ノイズの低減を図る色ノイズ低減処理を行う。本実施形態では、明るさを保持しつつ、色みにおけるノイズを良好に除去するために、入力されたRGB信号を輝度・色差信号に変換し、色差信号に対して平滑化処理を行う。
【0065】
以下ではその詳細について記述する。
【0066】
S44の色ノイズ低減処理部では、輝度信号Y(i,j)を維持したまま、色差信号Cr(i,j)、Cb(i,j)について、図5および次式で示されるローパスフィルタを用いることで、色差信号の急激な変化をなめらかにする。なお、ここで図5のように、注目画素(i,j)を取り囲むようにフィルタを構成することで、入力画像の向きに依らず安定した色ノイズ低減処理を行うことができる。
【0067】
【外1】
Figure 0004164215
ここで、m(・,・)は、フィルタ、f(・,・)は信号を表している。なお、ここでは、Cr(i,j)、Cb(i,j)信号の代わりにf(・)と記述している。
【0068】
また、上述の処理を行った後、次式のように色差信号についてのスムージング後の値を、原画像の信号側にフィードバックする処理を行っても構わない。
【0069】
【外2】
Figure 0004164215
【0070】
このようにすることで、複数回のスムージング処理を行わなくても十分な効果が得られる。更に、フィードバック処理を行う際に、図6のように、処理済みの信号値については、未処理の信号値に較べて高い重みを割り当てたフィルタを用いることにより、色差信号のスムージング効果をさらに高めることが出来る。
【0071】
フィルタは、5x5サイズや、上下左右方向の対象なものに限定されるものではなく、ローパス特性をもつものであれば同様の効果を得ることが出来る。勿論メディアンフィルタを使用することも同様の効果を有する。また、フィルタサイズを画像解像度に応じて適当に変化させることで、画像解像度に依ることなく安定した処理結果を得ることが出来る。
【0072】
実空間、実時間領域、空間周波数領域について、輝度信号Yを除く信号について、高周波成分を低減させるような処理を行っても構わない。
【0073】
(輝度・彩度補正処理部)
S65の輝度・彩度補正処理部について、説明する。
【0074】
色ノイズ低減処理部S64で色ノイズが低減された画像データについて、S65においてS63で求められた輝度補正方法および彩度補正方法に基づき輝度・色差信号に対して補正を行う。
【0075】
輝度信号に対しては、S63で求められた輝度補正曲線に基づき補正する。
【0076】
一方、彩度信号に対しては、S62において平均彩度SaveがTh_High_Saturationより小さいと判定されている場合には、彩度信号に対して設定された彩度強調処理条件に応じた処理を色差信号に対して行う。
【0077】
Cr”=1.2×Cr’
Cb”=1.2×Cb’
【0078】
本実施形態によれば、色ノイズ低減処理部で使用したYCrCbの輝度、色差信号をそのまま用いて輝度・彩度補正処理を行うことが出来る。つまり、効率的に色ノイズ低減処理および輝度・彩度補正処理を行うことができる。
【0079】
本実施形態では明度補正ではルックアップテーブル方式で行い、彩度補正は単純な計算で実施することにより処理の高速化を図っている。
【0080】
なお、画像データ専用のカラーパレットが存在する場合には、カラーパレットに対して色変換(明度・彩度補正処理)を行い、一括して明度・彩度補正処理を行うことで高速に処理を実行することが出来る。
【0081】
(画像拡大処理:アンチエイリアシング処理)
次に、S66の画像スケーリング処理(アンチエイリアシング処理)について説明する。
【0082】
デジタルカメラ画像をインクジェットプリンタでプリント出力する場合、前者がモニタ解像度程度の画像であるのに対し、インクジェットプリンタ出力時には、インク吐出装置の1ノズルを最小とする解像度に変換を行う必要がある。通常1600x1800ピクセルの200万画素クラスのデジタルカメラ画像を600dpi程度のインクジェットプリンタで出力する場合には2〜3倍に拡大処理を行う必要がある。
【0083】
拡大処理方法としては、従来から知られているバイキュービック等の補間方法を用いることが出来る。また、アンチエイリアシングを特に必要としない場合には単に原画像の1ピクセルを出力画像の4ピクセルに割り当てるような単純拡大処理を用いることも可能である。
【0084】
画像拡大処理にともなって、色ノイズ部分も同様に拡大される。一方、本実施形態で用いている色ノイズ低減処理用のフィルタサイズは固定サイズであるから、色ノイズ低減効果が弱まってしまう。そこで、本実施形態では、この画像拡大処理は、色ノイズ低減処理の後に行うようにしている。このようにすることにより画像拡大処理により色ノイズが拡大されることを防いでいる。また、上述したように色ノイズ低減処理で良好に色ノイズを低減することができるようにしている。
【0085】
また、画像拡大処理によって処理対象となる点が増加することから、画像拡大処理を最後に行うことにより、色ノイズ低減処理および明度・彩度補正処理を行う回数を少なくし、処理の効率化を図っている。
【0086】
なお、本実施形態では、輝度・色差信号に対して色ノイズ低減処理および輝度・彩度補正を行ったが、輝度・色差信号に限らず、明るさを示す信号と色みを示す信号で示される画像信号であれば、上述の同様の色ノイズ低減処理および輝度(明度)・彩度補正を行うことができる。例えば、CIE L*a*b*系、または、明るさを示す信号として、RGB信号のG信号を用い、色みを示す信号として、
【0087】
【外3】
Figure 0004164215
を用いても構わない。
【0088】
また、L*c*h*、HLS等の円筒座標系を用いても構わない。円筒座標系を用いた場合には、円筒座標系での座標値を直交座標に変換する処理を行った後、スムージングを行っても良い。また、色の歪みのみを補正すれば良い場合には色相角の変化についてスムージングを行ってもかまわない。
【0089】
また、エッジ強調処理を行うことが前提である場合や、輝度についてのエッジの見た目の解像度の劣化を問題としない場合には、エッジ判定およびエッジ強調処理を省略してもよい。
【0090】
また、色ノイズ低減処理後の画像について、「色エッジ」が強調されるような処理を行う場合等では、この色度変化判定部を省略しても良い。
【0091】
また、色ノイズ低減処理は、ユーザの指示のマニュアル指示に基づき処理を行うか否か、もしくは上記判定処理に応じた実行を行うこを制御しても構わない。
【0092】
[第2の実施形態]
上記実施形態1では、デジタルカメラ画像をプリント出力する場合を想定し、入力画像について、拡大処理を行う場合について、述べた。しかし、場合によっては、画像縮小処理を行う場合がある。このような場合には、画像縮小処理により処理対象画像を小さくすることが出来ることから、本実施形態に記述したように最後尾で処理をする必要はなく、画像縮小処理を行った後に、色ノイズ低減処理を行い、そして明度・彩度補正を行えばいい。
【0093】
このように、予め入力画像のスケーリング率がわかっている場合には、スケーリング率に応じて適応的に画像スケーリング処理と他の画像処理の順序を決定することで、より効率的な画像処理が可能となる。
【0094】
また、出力画像が小さい場合には、入力画像の間引き処理が必要となる。ここで間引き処理を行う際に、注目画素の周囲画素の信号値をもちいて、補間により間引きを行う場合は、画像上の色ノイズによって縮小処理後の画像の色味が異なることがある。このような場合には、色ノイズ低減処理を行った後、画像縮小処理を行い、そして最後に明度・彩度補正を行うこと出力画像の画質の点から望ましい。
【0095】
ただし、出力画像が小さい場合には画像上の色ノイズが目立たない。そこで、出力画像サイズが所定サイズより小さい場合は、色ノイズ低減処理を行わなくても構わない。
【0096】
このように、出力画像の画質を重視する場合は、画像スケーリング処理のスケーリング率、出力画像のサイズおよびスケーリング方法に基づき、画像処理の順序を決定することが望ましい。なお、3つの条件を全て考慮せず、1つの条件に基づき画像処理順序を制御しても効果を得ることができる。
【0097】
[第3の実施形態]
本願の第3の実施形態について、図7を参照して説明する。なお、以下は説明の煩雑を避けるため、上記各実施形態と重複する部分の説明は省略し、各処理の処理手順についての概略を述べるものとする。
【0098】
S71の画像特徴量算出部で求めた特徴量を元に、S72の自然画判定を行い、前記自然画と判定された画像について、S73の色ノイズ低減処理を行っている。
【0099】
ここで更に、S74の画像特徴量算出部で、再度、色ノイズの低減された画像データについて、画像特徴量を算出し、前記再算出された画像特徴量を用いて、S75の画像補正方法決定部で明度・彩度補正方法を決定している。
【0100】
色ノイズは低明度部で生じやすく、したがって、シャドーポイントSDが、本来のシャドーポイントからずれていることが考えられるが、本実施形態の処理手順によって画像を処理することで、より正確なシャドーポイントSDを使用して画像補正処理を行うことになり、好適な処理結果を得ることができる。
【0101】
[第4の実施形態]
本願の第4の実施形態について、図8を参照して説明する。なお、以下は説明の煩雑を避けるため、上記各実施形態と重複する部分の説明は省略し、各処理の処理手順についての概略を述べるものとする。
【0102】
第4の実施形態において、S71の画像特徴量算出部、およびS72の自然画判定部は、非自然画について画像補正処理を行わない場合には省略することが出来る。
【0103】
これは例えば、図2−103のプリンタドライバ側で、自然画データと、CG画像などの非自然画データを予め分別出来る場合などである。
【0104】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態の機能を実現するように各種のデバイスを動作させるように該各種デバイスと接続された装置あるいはシステムに実施形態機能を実現するためのプログラムコード自体、及びそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムコードを格納した記憶媒体は本発明を構成する。
【0105】
かかるプログラムコードを格納する記憶媒体としては例えばフロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0106】
またコンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、前述の実施形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)、あるいは他のアプリケーションソフトなどと共同して前述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0107】
さらに供給されたプログラムコードが、コンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後そのプログラムコードの指示の基づいてその機能拡張ボードや機能格納ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も本発明に含まれることは言うまでもない。
【0108】
また、上記複数の実施形態を組み合わせても構わない。
【0109】
【発明の効果】
本願請求項1の発明によれば、色ノイズ低減処理が効果的に行え、かつ色ノイズ低減処理と画像補正処理が効率的に行うことができる。
【0110】
本願請求項10の発明によれば、色ノイズ低減と、画像スケーリング処理を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】システム構成を示す図である。
【図2】プリンタドライバで行なう処理を説明する図である。
【図3】画像補正処理部で行われる色ノイズ低減処理部のシステム構成を説明するブロック図である。
【図4】エッジ判定等を加えた、色ノイズ低減処理のフローチャートである。図中の「○」は処理対象となる注目画素に対する重みを示している。
【図5】ローパスフィルタの重み構成を示す図である。
【図6】第1の実施形態における各処理の好適な処理手順を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態における各処理の好適な処理手順を示すフローチャートである。
【図8】第3の実施形態における各処理の好適な処理手順を示すフローチャートである。
【図9】CG画像などの非自然画像における輝度ヒストグラムの一例である。
【図10】明度補正曲線の決定方法の一例である。

Claims (14)

  1. 入力画像の彩度から彩度特徴量を算出する算出工程と、
    前記入力画像の色みを示す成分だけに色ノイズ低減処理を行う色ノイズ低減処理工程と、
    前記算出された彩度特徴量に基づいて、彩度強調の補正強度を設定し、前記設定した補正強度で、前記色ノイズ低減処理が行われた画像に対して、彩度強調処理を行う画像補正工程とを有することを特徴とする画像処理方法。
  2. 入力画像の輝度ヒストグラムの偏りを補正する輝度補正工程を有することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
  3. さらに、前記画像補正された入力画像に対して拡大処理を行う拡大処理工程を有することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
  4. 前記入力画像は、描画命令に含まれる自然画像であることを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
  5. 前記自然画像の判定には、輝度ヒストグラムの分布もしくは使用色数が用いられることを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
  6. 前記色ノイズ低減処理では、ローパスフィルタもしくはメディアンフィルタを用いることを特徴とする請求項1項記載の画像処理方法。
  7. 前記色ノイズ低減処理では、前記入力画像の解像度に応じてフィルタサイズが変更されることを特徴とする請求項1項記載の画像処理方法。
  8. 入力画像の彩度から彩度特徴量を算出する算出手段と、
    前記入力画像の色みを示す成分だけに色ノイズ低減処理を行う色ノイズ低減処理手段と、
    前記算出された彩度特徴量に基づいて、彩度強調の補正強度を設定し、前記設定した補正強度で、前記色ノイズ低減処理が行われた画像に対して、彩度強調処理を行う画像補正手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
  9. 入力画像の輝度ヒストグラムの偏りを補正する輝度補正手段を有することを特徴とする請求項8記載の画像処理装置。
  10. さらに、前記画像補正された入力画像に対して拡大処理を行う拡大処理手段を有することを特徴とする請求項8記載の画像処理装置。
  11. 前記入力画像は、描画命令に含まれる自然画像であることを特徴とする請求項8記載の画像処理装置。
  12. 前記自然画像の判定には、輝度ヒストグラムの分布もしくは使用色数が用いられることを特徴とする請求項8記載の画像処理装置。
  13. 前記色ノイズ低減処理では、前記入力画像の解像度に応じてフィルタサイズが変更されることを特徴とする請求項8項記載の画像処理装置。
  14. 請求項1〜7記載の画像処理方法を行うためのコンピュータで読みとり可能なプログラムが記録されている記憶媒体。
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