JP4162982B2 - 延伸ブロー成形方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製の容器の延伸ブロー成形方法に関し、特に、該容器の胴部に凹部を有する容器の延伸ブロー成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂製の容器として、ラムネびんがある。ラムネびんは、その胴部に胴部内側にくびれた凹部によって、容器内にあるビー玉が底部まで落ちないようにしている。この胴部の凹部は、容器の内側に非常に狭い空間を形成している。
【0003】
近年、リサイクルの必要性から、この様な胴部に凹部を有する合成樹脂製の容器をポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という)製の容器に移行する動きがある。従来、このような胴部に凹部6を有するPET製の容器1は、図6に示すように、型締めされた特殊なブローキャビティ型10、10内で、有底筒状のプリフォーム12を、延伸ロッド16による縦軸延伸と、高圧ブローエアによる横延伸の成形途中において、凹部成形型13、13をプリフォーム12側へ押出し、凹部6を成形していた(特許文献1参照)。
【0004】
このような延伸ブロー成形方法では、ブローキャビティ型10、10を型締めさせた状態で縦軸延伸工程及び高圧ブロー工程が行われるため、独立して進退可能な凹部成形型13、13が必要であった。この凹部成形型13、13を独立して進退駆動するためには、凹部成形型13、13用の油圧シリンダ14、14及びピストン15、15が必要であり、それらを作動させるための油圧回路も別途必要となっていた。
【0005】
【特許文献1】
実用新案登録第3074616号公報(第1−2頁、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特殊なブローキャビティ型を用いることなく、胴部に凹部を有する容器を成形する延伸ブロー成形方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の一態様の胴部に凹部を有する合成樹脂製容器の延伸ブロー成形方法においては、プリフォームの開口側から延伸ロッドを挿入し、該プリフォームを縦軸方向に延伸させる縦軸延伸工程と、前記縦軸延伸工程の開始後、前記凹部を形成するための凸部を有するブローキャビティ型を前記プリフォームに対し前進させ、該ブローキャビティ型の型締めを完了させる型締工程と、前記型締工程が完了した後に、前記プリフォーム内に高圧ブローエアーを導入する高圧ブロー工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様によれば、ブローキャビティ型の型締めを完了させる前に縦軸延伸工程が開始されるので、従来のような複雑で高価な金型を用いることなく、胴部に比較的大きな凹部を有する合成樹脂製の容器を成形することができる。また、延伸ロッドによる縦軸延伸工程によって、プリフォームの縦軸方向の肉厚分布を容易に調整することができる。
【0009】
ここで、前記縦軸延伸工程は、前記延伸ロッドの縦軸延伸駆動の開始と同時または直後に、低圧ブローエアーを導入することができる。
【0010】
このような構成とすることで、プリフォームの縦軸延伸工程の途中において、延伸ロッドがプリフォーム内表面に接触することを防止できる。
【0011】
さらに、前記縦軸延伸工程の完了後、前記ブローキャビティ型の前進によって、前記凸部を縦軸延伸された前記プリフォームの表面に接触させることができる。
【0012】
このような構成とすることで、縦軸延伸工程によって容器の縦軸方向の肉厚分布を調整した後に、凸部がプリフォームの表面に接触することで、凸部によって縦軸方向の肉厚分布調整を阻害されることがない。また、縦軸延伸途中にプリフォームが凸部と接触することによるプリフォーム表面の擦り傷が防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1〜図5は、本発明の一実施の形態に係る延伸ブロー成形方法を説明する図である。図1は合成樹脂製の容器1の正面図、図2は延伸ブロー成形前の状態を示す図、図3は縦軸延伸工程を示す図、図4は型締工程と高圧ブロー工程を示す図、図5はシャンペン成形工程を示す図である。
【0015】
この合成樹脂例えばPET製の容器1は、図1に示すように、開口するネック部2と、円筒状の胴部3と、シャンペン底状の底部4を有する一般的なラムネびんである。容器1の胴部3は、ラムネびん特有の栓体であるビー玉5が、ラムネを充填する際に、底部4まで落ちないようにするためのくびれ状の凹部6を有する。この容器1の成形方法を図2〜図5を用いて、以下、詳細に説明する。
【0016】
(搬入工程)
図2は、延伸ブロー成形部100の延伸ブロー成形金型装置の概略図であり、延伸ブロー成形開始前の状態を示す図である。本実施の形態に係る延伸ブロー成形方法においては、開口するネック部2と有底筒状のプリフォーム12をあらかじめ射出成形もしくは圧縮成形によって成形される。プリフォーム12は、プリフォーム成形部とは別体もしくは一体に配置された図示せぬ加熱部に導入される。加熱部においては、複数の赤外線ヒータなどの加熱手段によって、プリフォーム12はネック部を除いて延伸適温に加熱される。
【0017】
延伸適温のプリフォーム12は、図2に示すように、搬送部材11上に倒立状態で支持されたまま、ブロー成形部100に搬入され、停止される。ブロー成形部100には、プリフォーム12の両側に配置された型開状態の割型のブローキャビティ型10,10と、ブローキャビティ型10、10の下部にスライド可能に設けられたネックガイド20、20と、プリフォームの上方に配置された底型18と、を有する。
【0018】
ネックガイド20、20は、プリフォーム12のネック部2を保持する一対の割型で構成されている。ブローキャビティ型10、10と共にプリフォームに対して進退駆動されるが、図示せぬ弾性部材によってブローキャビティ型よりもプリフォーム側に一定距離だけ前進(付勢)した状態で配置されている。従って、ネックガイド20,20は、ブローキャビティ型10,10をプリフォーム12に対し前進させると、その型締め完了前にまずネックガイド20,20がプリフォーム12のネック部2を保持することができる。
【0019】
(縦軸延伸工程)
次に、図3に示すように、割型のブローキャビティ型10,10は、ネックガイド20,20とともに、プリフォーム12側に前進し、まずネック部2をネックガイド20、20が両側から保持した状態で停止する。このとき、ブローキャビティ型10、10は、型締め前の状態であり、少なくとも縦軸延伸途中のプリフォーム12の外表面にブローキャビティ型10、10に形成された凸部21、21が接触しない程度の距離を残して停止する。ブローキャビティ型10、10の開閉は、図示しない型締め装置、例えば油圧装置によって行われる。このようなブローキャビティ型10,10の型閉め動作の途中停止は、ブローキャビティ型10,10間の途中停止位置に設けられたセンサによって、ブローキャビティ型10,10を検知したら、油圧装置の電磁弁をニュートラルとすることで型閉め動作を停止することができる。また、さらに正確な停止動作をさせる場合には、上記センサに加えてエアシリンダなどを所定位置に配置させ、強制的なストッパとすることでブローキャビティ型10、10を途中停止させることもできる。
【0020】
そして、搬送部材11の下方から延伸ロッド16が、縦軸延伸駆動され、プリフォーム12の底部内側を縦軸方向に押しながら底型18側へ上昇し、プリフォーム12は縦軸方向に延伸される。プリフォーム12が縦軸方向に延伸されると、プリフォーム12の胴部が細くなり、延伸ロッド16に接触しないように、低圧の1次ブローエアをプリフォーム12の内部へ導入する。このようにして、縦軸延伸工程におけるプリフォーム12の内面の擦り傷を防止する。このとき、ネック部2をネックガイド20、20が両側から保持した状態であるので、延伸ロッド16が縦軸延伸駆動されてもプリフォーム12は搬送部材11から浮き上がることはない。
【0021】
低圧の1次ブローエアは、延伸ロッド16にプリフォーム12が接触しない程度の圧力例えば1.0MPaでよい。また、低圧の1次ブローエア導入のタイミングは、延伸ロッド16の縦軸延伸駆動開始と同時であってもよいし、それより多少遅れて導入されてもよい。また、低圧の1次ブローエアは、一定時間もしくは一定量導入後、図示しないエアバルブを閉じて、エアの導入を停止してもよいし、所定時間経過後、再度導入するような断続的なブローを行ってもよい。
【0022】
また、延伸ロッド16の縦軸延伸駆動は、ネック部2をネックガイド20、20が保持した時点で開始することができる。したがって、ネック部2をネックガイド20、20が保持していれば、プリフォーム12の縦軸延伸の状態によっては、ブローキャビティ型10,10を停止することなく前進しつづけてもよい。
【0023】
(型締工程と高圧ブロー工程)
さらに、図4に示すように、延伸ロッド16の縦軸延伸駆動完了後、ブローキャビティ型10、10同士が密着するまで前進駆動させて、型閉じを行い、昇圧して型締め工程が完了する。高圧ブロー工程は、ブローキャビティ型10、10の型締め完了後、高圧の2次ブローエア、例えば2.0MPaを導入し、ブローキャビティ型10、10のキャビティ面に押しつけて賦形することで、最終形状である容器1の凹部6を含む胴部3を成形する。
【0024】
延伸ロッド16によるプリフォーム12の縦軸延伸は、最終成形品である容器1の縦軸方向の肉厚分布を調整することができる。したがって、プリフォームの縦軸延伸工程が完了後に、ブローキャビティ型10、10を型締めすることで、容器1の縦軸方向の肉厚分布に影響を与えることなく調整することができる。これは、縦軸延伸されているプリフォーム12の胴部に、ブローキャビティ型10、10に形成された凹部成形用の凸部21、21が接触することで、凸部21、21の接触した部分から下の縦方向の延伸が実質的に止まってしまうからである。
【0025】
なお、プリフォームの縦軸延伸工程の完了前であっても、ブローキャビティ型10、10の型締め駆動を開始することは、可能である。この場合、ブローキャビティ型10、10に形成された凸部21、21が、縦軸延伸途中にあるプリフォーム12の側面に接触しないように、ブローキャビティ型10、10の型締め駆動タイミングを調節する。このような微妙な動作調節を不要とするために、ブローキャビティ型10、10に形成された凸部21、21がプリフォーム12に接触しない範囲で、できるだけプリフォーム12に近づけた位置にブローキャビティ型10、10を待機させておくことが好ましい。
【0026】
(シャンペン成形工程)
最後に、図5に示すように、容器1の底部4よりも縦軸方向に大きく膨んだところで、底型18を所定位置まで下降させ、容器1を成形する。このように底型18を遅れて下降させることで、底部4の接地部分が鋭角な耐圧形状であっても、確実に成形することができる。なお、本実施の形態では、上底状の底部4であるが、耐圧性を有する複数の脚部からなるいわゆるペタロイドと呼ばれる形状を採用してもよい。その場合には、ブロー型締めと同時、もしくはブロー型締めに先行して底型18を所定の型締め位置まで下降させる。
【0027】
底型18を下降させた後、所定時間例えば1秒程度2次ブローエアによって、容器1をブローキャビティ型10、10に押しつけたまま維持する。さらに容器1内の高圧エアを排気して、底型18を上昇させ、ブローキャビティ型10、10を後退させて型開する。こうして胴部3に大きな凹部6を有するラムネびん様の容器1が成形される。
【0028】
このように、縦軸延伸開始時点で凸部21を有するブローキャビティ型を型締め直前の状態とし、プリフォーム12と凸部21との間に充分なプリフォーム縦軸延伸空間を有する状態とすることで、凸部21によってプリフォーム12の縦軸延伸が阻害されることがなく、全体にバランスの良い肉厚分布の容器が得られることとなる。
【0029】
なお、本発明は、本実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の形態に変形可能である。
【0030】
例えば、1次ブローエアと2次ブローエアの中間の圧力に設定した中間ブローエアを用いることもできる。この場合、中間ブローエアは、プリフォームの縦軸延伸の途中で、ブローキャビティ型10、10の凸部21、21がプリフォーム12の表面に接触しそうになったときに吹きこみを開始させることで、該凸部21、21による擦り傷を減少させることもできる。
【0031】
また、本実施の形態では、ラムネびんを例に説明したが、これに限らず、胴部に大きなくびれ部を有する容器であれば、同様に成形可能であるし、片側にのみ凹部を有する様な容器であってもよい。
【0032】
さらに、本実施の形態では、搬送部材11によりプリフォーム12を支持し、搬送するブロー成形装置について説明したが、プリフォーム12の射出成形工程から延伸ブロー成形工程までをネック部2をリップ型によって保持したまま搬送する射出延伸ブロー成形装置に適用することも可能である。この場合、成形工程中ネック部2を常時保持しているため、延伸ロッド16による縦軸延伸駆動時であっても、プリフォーム12を確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成樹脂製の容器の正面図である。
【図2】延伸ブロー成形前の状態を示す図である。
【図3】縦軸延伸工程を示す図である。
【図4】型締工程と高圧ブロー工程を示す図である。
【図5】シャンペン成形工程を示す図である。
【図6】従来の延伸ブロー成形工程を示す図である。
【符号の説明】
1 容器
2 ネック部
3 胴部
6 凹部
10 ブローキャビティ型
11 搬送部材
12 プリフォーム
16 延伸ロッド
18 底型
20 ネックガイド
21 凸部
100 ブロー成形部

Claims (3)

  1. 開口するネック部と有底筒状の胴部とを有し、該胴部に凹部を有する合成樹脂製容器の延伸ブロー成形方法において、
    プリフォームの開口側から延伸ロッドを挿入し、該プリフォームを縦軸方向に延伸させる縦軸延伸工程と、
    前記縦軸延伸工程の開始後、前記凹部を形成するための凸部を有するブローキャビティ型を前記プリフォームに対し前進させ、前記縦軸延伸工程の完了後に、前記凸部を縦軸延伸された前記プリフォームの表面に接触させて該ブローキャビティ型の型締めを完了させる型締工程と、
    前記型締工程が完了した後に、前記プリフォーム内に高圧ブローエアーを導入する高圧ブロー工程と、を含むことを特徴とする延伸ブロー成形方法。
  2. 請求項1において、
    前記縦軸延伸工程は、前記延伸ロッドの縦軸延伸駆動の開始と同時または直後に、低圧ブローエアーを導入することを特徴とする延伸ブロー成形方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記ブローキャビティ型の型締工程は、
    前記縦軸延伸工程の開始前に前記凸部を縦軸延伸前のプリフォームに近づける待機位置まで前記ブローキャビティ型を前進させる第1工程と、
    前記縦軸延伸工程の開始後に前記待機位置から前記ブローキャビティ型をさらに前進させて、前記縦軸延伸工程の完了後に、前記凸部を縦軸延伸された前記プリフォームの表面に接触させる第2工程と、
    を含むことを特徴とする延伸ブロー成形方法。
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