JP4162346B2 - 部分的に模様編地部分を有する経編地 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は部分的に模様編地部分を有する経編地に関する。より詳しくは特定の編成組織を有する基準組織の編組織を設計し、その編組織を所望の位置において変更することによって模様組織を形成せしめ、それによって一枚の経編地上で基準組織と模様組織が連続して形成されている経編地に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維産業、特に布帛及び該布帛を用いて作られる衣料製品に係る産業は伝統的な産業であり、且つ古くは各工程別に製造及び販売が分離されていたために、今日の技術的視点から見れば統合可能と推量される製造工程が従来技術の慣習的延長線に沿って依然として分離されたまゝの場合が多くある。
【0003】
例えば図1において布地片50として例示するシュミーズ用生地片は、プレーンな外観を有する経編地51の一端(図1において右側)に別途製造された帯状のレース地52を重ねて、縫製等によって結合することによって用意されている。これは従来の経編産業ではプレーンな経編地を編成する経編機と、レース地を製造する機械(主としてラッセルレース機)とが異る機械であり、且つ多くの場合製造工場(製造企業)が異ることによるものである。近年経編機の技術的進歩によって、プレーンな経編地とレース状模様を、その意図さえあれば同一の経編機で編成可能になっても、依然として2種類の経編地片を縫製等によって結合して用いることが慣習として行われてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図1に例示したように、異なる編組織の2個以上の編地片を縫製等によって結合して用いるという従来からの慣習的方法では、縫製等の付加的な作業を要するので、二次製品のコストの上昇を生じると共に、結合部分に段差を生じて連続した編地に比し外観上の見劣りを生ずるという欠点を有する。
【0005】
本発明は従来公知の異なる編組織の編地部分が縫製等によって結合されている二次製品用編地の有する問題点を解決して外観上の段差がなく、且つコストを低減することが可能な経編地を提供することを目的とする。
さらに、縦横ともに伸縮性がある経編地が求められている。そして、縦横ともに伸縮性があり、且つ部分的にパワーがある経編地が求められている。
【0006】
本発明の目的は、模様編地部分が一体的に編成され、必要に応じて縦横ともに伸縮性があり、且つ部分的にパワーがある経編地を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の前述の課題は、挿入糸として弾性糸をそれぞれに具備した経糸のくさり編みによる編列が全ウエールに配列されており、それぞれのウエール上のくさり編み列を隣接するウエール上のくさり編み列に連携させるように、所定の編組織で振り糸が挿入されて経編地が編成されており、該経編地は、基準組織で形成された経編地部分と、該経編地部分に連続して該基準組織と異なる組織で形成された模様編地部分とを含み、該模様編地部分は該経編地部分における振り糸と同じ振り糸を有し、該模様編地部分が経編地部分の基準組織中の振り糸の編成組織を少なくとも一部変えることによって形成されており、前記基準組織の振り糸の編成組織が、特定ウエールに供給された振り糸を次コースにおいて左右何れか一方の隣接するウエールに振った後に、さらに次コースにおいて逆方向で2ウエール振り、その後のコースで前記特定ウエールに戻る振り糸単位編成組織を含んで成ることを特徴とする部分的に模様編地部分を有する経編地によって達成される。
【0009】
前記振り糸の編成組織が、経編地の全ウエールに亘って実質的に同一であってもよく、又上述の編成組織で編成される隣接するウエール上の2本の振り糸をウエール方向で2コースだけ位相をずらして編成して一完全組織とし、該一完全組織がウエール方向に反復配置したものとして編成してもよい。
本発明の部分的に模様編地部分を有する経編地がコース方向で少くとも2個隣接して配置され、この隣接する2枚の経編地がくさり編み組織で連結されているとよい。
【0010】
これは本発明の経編地が前述のように二次製品の一部を形成する経編地片として用いられる場合には、コース方向の長さが大きくてもせいぜい30cm程度であり、一方現在の経編機の編成幅は短いものでも150cm程度であるので、本発明の経編地を1枚だけ経編機に仕掛けるのは製造コスト上不利であり、多数枚の同種又は異種、すなわち模様組織部分の編成組織が少なくとも一部で異なる経編地をコース方向に並べて編成すれば生産コストおよび得られた経編地の染色整理上有利となるからである。その際前述のように複数個の本発明の経編地をくさり編み組織で連結しておけば、くさり編み糸を引抜くことによって隣接する経編地の分離を容易にできるので好ましい。
【0011】
本発明の部分的に模様編地部分を有する経編地を編成するためには複数の筬を有し、且つこれら筬を作動するためのジャカード機構を有する経編機、主としてラッセル経編機が用いられる。
本発明の経編地では従来の経編地で用いられる各種の糸、すなわち各種合成繊維、再生繊維のフィラメント糸、天然繊維、人造繊維及び合成繊維を含んで成る紡績糸、スパンデックス糸の如き弾性糸等を目的とする製品に応じて任意に用いることができる、又基準組織と模様編組織及び模様編地部分の配置位置についてもその製品に対する所望に応じて任意に選定することができる。
【0012】
振り糸として弾性糸又は非弾性糸を使用することができる。弾性糸が使用される場合には、一部の振り糸の張力を変えることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明を詳述する。
図2は本発明の部分的に模様編地部分を有する経編地の一例を示す。図2に示す経編地60では、経編地部分70は全ウエールに挿入糸として弾性糸を具備して配列された経糸のくさり編み列と、それぞれのウエール上のくさり編み列を隣接するウエール上のくさり編み列に連携させるように、所定の編組織で挿入された振り糸から構成された基準組織の経編地であり、その経編地部分70の右側には模様編地部分80が連続して形成されている。
【0014】
模様編地部分80は前述の経編地部分70における振り糸の編成組織を少くとも一部変えることによって所望の孔を形成させることによって得られる。
図2において模様編地部分80は経編地60の右端に形成されている。しかし模様編地部分80の配置位置および模様の種類は目的とする経編地60の用途に応じて任意に選定すればよい。
【0015】
図3に示す経編地61では、基準組織の経編地部分71の中央部に模様編地部分81が連続して形成されている。
図4に示す経編地62では、基準組織の経編地部分72の両端部に例えば花柄の模様編地部分82が配置されている。模様編地部分81と模様編地部分82の模様は同一でもよく、異るものであってもよい。また、図3の模様編地部分81と図4の模様編地部分82とを組合せてもよい。
【0016】
何れの場合も前述のように模様編地部分80,81,82は基準組織の経編地部分70,71,72における振り糸の編成組織を変更することによって得られるので図1に示す従来例と異り、模様編地部分は基準組織の経編地部分に連続して形成されており、経編地上に段差は発生せず、且つ従来例の如く縫製等の別工程を必要としないのでコストを低減することができる。
【0017】
前述のように、本発明の経編地では全ウエールに挿入糸として弾性糸を具備して配列されたくさり編み列と複数の振り糸から成る基準組織の経編地部分を作り、模様編地部分は前記経編地部分における振り糸の編成組織を少くとも一部変えることによって所望の孔を形成させることによって得られるものである。
したがって振り糸の編成組織を少くとも一部変えることによって模様編地部分を得られるような基準組織の経編地部分を編成しておくことが必要である。
【0018】
そこで図5〜図9を参照して本発明の好ましい基準組織の経編地部分と、この基準組織の経編地部分の振り糸の編成組織を一部変更して孔が形成される例を以下説明する。
図5に本発明の部分的に模様編地部分を有する経編地における好ましい基準組織の経編地部分の糸使いを示す組織図を10個のウエールと12個のコースで示す。
【0019】
図5に示すようにくさり編みされる経糸1〜10が第1コースで編成針の左側から供給されてそれぞれのウエールでくさり編みを編成する。このそれぞれのくさり編み列には図示の如く弾性からなる挿入糸11〜20が挿入されている(図5において、図面を簡略化するために第1、第2、第9、第10ウエールのくさり編み列のみに挿入糸を図示してある。)このそれぞれが挿入糸として弾性糸を具備した複数本の経糸のくさり編み列を相互に連携させるために、振り糸21〜28が図5に示すように挿入される。振り糸の編成を特定ウエールを第2ウエールとし、その第2ウエールに供給される振り糸21で以下説明する。
【0020】
振り糸21は第1コースにおいて第2ウエール(特定ウエール)の編成針の左側から供給されて第2コースにおいて第1ウエールの編成針の右側に振られ、次いで第3コースにおいて第3ウエールの編成針の左側に振られる。次いで振り糸21は第4コースにおいて第2ウエールの編成針に戻る。本発明では上述の第1コースから第4コースに戻る編成組織を振り糸単位編成組織と称す。次いで振り糸21は第2ウエールの右側に振られ、第5コースにおいて同じウエールすなわち第2ウエールの編成針の左側に振られ、以後のコースにおいて前述と同様な編成が繰返えされる。すなわち振り糸21は第1コースから第4コース迄の4コースで一完全組織を形成し、特定ウエール(この場合は第2ウエール)の左右の隣接するウエールに振られ乍ら、且つ特定ウエールでは必要に応じて同一ウエール上で編成針の左右に振られている。
【0021】
したがって振り糸21では図示の如く前記一完全組織が繰返えされることになり、他のウエールの振り糸22〜28も同一コースでは振り糸21と同じ振られ方をする。この事は図5に示す編成組織を編成する限り、くさり編みされる経糸1〜10用の筬と振り糸21〜28用の筬の2枚の筬で編成可能であることを示す。
【0022】
図6に図5で示した基準組織の経編地部分70,71,72から模様編地部分80,81,82用の孔のあいた組織の編成手順を説明する。図6においても図5と同様にくさり編み列の経糸に対する挿入糸は第1、第2、第9、第10ウエールのくさり編み列のみに対して示す。経糸1〜10、挿入糸11〜20、振り糸21〜28は図5のものに対応する。
振り糸21について図6を図5と対比すれば容易に判るように、図5で第3コースにおいて第3ウエールの編成針の左側に振られる振り糸21が図6では第2ウエールの編成針の左側迄だけに振られ、その結果A 1 で示す孔が形成される。同種の孔A 2 が振り糸27の第3コースにおいて第8ウエールの編成針の左側迄だけに振ることによって形成される。
【0023】
同様な孔B 1 とB 2 が振り糸23と振り糸25の振らせ方を振り糸21と振り糸27と同様に変更することによって形成することができる。したがって図6に示した模様編地部分を編成するには振り糸21と振り糸27用の柄筬、振り糸23用の柄筬及び振り糸25用の柄筬をジャカード機構を用いて作動させればよい。
【0024】
図7は本発明の部分的に模様編地部分80,81,82を有する経編地における他の好ましい基準組織の経編地部分70,71,72の糸使いを図5と同様に示す。
図7に示す基準組織の経編地では編成組織の異る2種類の振り糸が用いられている。すなわちそれぞれが挿入糸として弾性糸を具備した振り糸41,42,43,44,45,46は図5における振り糸21〜28と同様な振られ方をしている。これに対してそれぞれが挿入糸として弾性糸を具備した振り糸31,32,33,34,35,36は振り糸41〜46に対してウエール方向に2コース位相をずらしただけで同一の振られ方をされている。
【0025】
図8に図7で示した基準組織の経編地から模様編地部分用の孔のあいた組織の編成手順を説明する。
図8では孔C 1 ,C 2 と孔D 1 が形成されている。図8を図7と対比すれば判るように、C 1 ,C 2 の孔は図7では第3ウエールの右側に振られる振り糸33を第4ウエールの左側に直接振ることによって設けられた孔である。D 1 の孔は振り糸34をC 1 ,C 2 と同様に第6ウエールの左側に直接振ると共に、第6ウエールの右側に振られる振り糸34を直接第8ウエールの左側に振ることによってC 1 ,C 2 より大きい孔を形成したものである。
【0026】
図6及び図8に基づいて説明した振り糸の振り方を変えることによって得られる孔の形成はその一例を示したにすぎず、基準組織の経編地部分の振り糸をジャカード機構を用いて対応する柄筬を作動させれば、各種の模様編地部分を本発明の経編地の所望位置に配置することができる。
図11に本発明の経編地の模様組織の一例を示す。図11から明らかなように1ウエールから11ウエール迄延びる各種の孔が混在して模様を形成している。
【0027】
経編機の筬幅は目的とする経編地の所要幅に応じて定められる。しかし通常広く用いられている経編機では編立時の経編地の幅が1400mm〜1500mm程度のものが多い。一方本発明の部分的に模様編地部分を有する経編地の幅、すなわちコース方向に沿った長さは200mm〜500mm程度のものが多い。そこでこのような狭い幅の経編地を1枚だけ経編機に仕掛けることは極めて経編機の使用効率を低くする。このような場合には図9に例示したように、複数の経編地63a,63bをコース方向に並べ、且つくさり編み90で連結しながら編成して複合経編地64を編成し、その上で必要な染色整理加工処理した後にくさり編み80をほどいて個別の経編地63a,63bを得ると極めて効率的であり、且つコストの節減に役立つ。
【0028】
図10に隣接する2枚の経編地63a,63bを連結するくさり編み列90と経編地63a,63bの好ましい連携方法の一例を図示する。説明を明瞭にするために図10においてはそれぞれの経編地63a,63b中のくさり編み列に挿入糸として用いられる弾性糸(図5で示す弾性糸11〜20)と、複数のくさり編み列を連携させる振り糸(図5で示す振り糸21〜28)は省略してある。又くさり編み列1a〜5a及び1b〜5bも又上方部、下方部のみ図示し、中央部は省略してある。
【0029】
図10中太い実線で示す連結用くさり編み列90に対して、左右から弾性糸から成る挿入糸91a,91bがくさり編み列90に連携する。その際図示のようにそれぞれの挿入糸91a,91bは隣接する経編地に対して数コース連続して挿入し、間隔をあけて連結用くさり編み列90に1コースづつ挿入形態で連携し、その際連携位置はウエール方向で挿入糸91a,91bで交互に配置される。又図10の左側の挿入糸91b(一点鎖線で示す)は連結用くさり編み列90より3ウエール左側のウエール3bに挿入されているが、図10の右側の挿入糸91a(破線で示す)は連結用くさり編み列90に隣接するウエール1aで挿入されている。又図10で第1コースから第23コース迄は3コース毎に左右から挿入糸91a,91bが連結用くさり編み列90に連携しているが、第24コースから第31コース迄は連携させていない。
【0030】
これらの連結用くさり編み列90への挿入糸91a,91bの連携配置はそれぞれの経編地の連結用くさり編み列90に隣接する模様組織に応じて任意に選定すればよい。
何れにしても別筬を用いて編成される挿入糸91a,91bを適切に配置することによって連続する複数の経編地を連結用くさり編み列90をほどいて分離する際に、経編地の分離端部を挿入糸91a,91bの弾性復帰力によってまとめて平滑(綺麗)にするので好ましい。
【0031】
以下本発明の部分的に模様編地部分を有する経編地の例を説明する。
例1
図5に示した基準組織の経編地をくさり編みされる経糸としてポリアミドマルチフィラメント40dを用い、このくさり編み列に挿入糸としてスパンデックス210dを挿入する。振り糸として非弾性糸であるポリアミドマルチフィラメント加工糸70d/2を用い20ゲージの経編機で編幅40cmで編成した。その際、経編地のコース方向中央にウエール方向30cm毎に図4に例示する花模様(直径約7cm)をジャカード機構で作動される柄筬を用いて、振り糸の振り方を基準組織の振り方を部分的に変更することによって所望の孔が設けられるようにして、編成した。
【0032】
得られた本発明の経編地を精練整理して花模様が基準組織と一体に編成された経編地を得た。この例では、経編地は図2、図3、図4の縦方向Xに優れた伸縮性を有するが、横方向Yの伸縮性はあまりない。一方、振り糸に弾性糸を用いると、縦方向X及び横方向Yともに優れた伸縮性を有する経編地が得られる。
例2
例1で編成される経編地を3枚コース方向に並べ且つそれぞれの経編地を図10に例示するようにくさり編みで連結して編幅約125cmの本発明の複合経編地を得た。得られた複合経編地を染色整理後、花模様を中心としてウエール方向で30cm毎に切断し、その上で連結用くさり編みをほどいて例1で示した経編地を得た。
【0033】
例1の場合に比し、編成時に3倍の生産が得られると共に、染色整理を広幅で行うことができるので、仕上りの綺麗な経編地がより低いコストで得ることができた。
さらに、本発明では、振り糸が弾性糸からなる場合に、一部の振り糸の張力を他の一部の振り糸の張力と変えて編成することができる。例えば、図4において、経編地62は、幅方向に3つの領域A,B,Cを含み、両端側の領域A,Cの振り糸の張力は、中央の領域Bの振り糸の張力とは変えて編成してある。特に、両側の領域A,Cの振り糸の張力は、中央の領域Bの振り糸の張力よりも大きくなるようにしてある。従って、振り糸の張力の大きい領域A,Cでは、経編地62は幅方向にしまり、引張力に対するパワーが大きくなる。図4の実施例においては、振り糸の張力の大きい領域A,Cは、模様編地部分82に対応させてある。この場合、例えば経編地62でショーツを作る場合、模様編地部分82がウエストの位置にくるようにすると、デザイン上及び機能上好ましい。
例3
図5及び図6に示される組織を用いて、20ゲージの経編機を使用し、図4に示される約55cmの幅の経編地62を製造した。この場合、くさり編みされる経糸1〜10としてポリアミドマルチフィラメント36dT(40デニール)を用い、挿入糸11〜20としてスパンデックス189dT(210デニール)を用い、振り糸21〜28として、スパンデックス18dT(20デニール)を芯糸とし、ナイロン45dT(50デニール)でカバーしたカバーリング糸を用いた。
【0034】
実施例では、振り糸21〜28は独立的に送り出し量を制御可能な2つのビームから供給された。一方のビームは、模様編地部分82に対応する領域A,Cの振り糸21〜28を供給し、領域A,Cの各々の振り糸21〜28は69本であった。他方のビームは、模様編地部分82以外の基準編地部分72に対応する領域Bの振り糸21〜28を供給し、領域Bの振り糸21〜28は275本であった。各ビームの送り出し量は、それぞれ微細に調節されるが、平均的にみると、領域A,C用のビームの送り出し量と、領域B用のビームの送り出し量との比は、およそ2対3であった。送り出し量の小さい領域A,C用のビームから送りだされる振り糸21〜28の張力は、送り出し量の大きい領域B用のビームから送りだされる振り糸21〜28の張力よりもかなり大きくなる。
【0035】
図2や図3の例でも同様に振り糸21〜28の張力を変えることができる。また、振り糸21〜28の張力は上記した例に限定されることなく、振り糸21〜28の張力はパワーが必要とされる部分で張力が大きくなるようにすることができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明の部分的に模様編地部分を有する経編地は前述のように構成されているので、製品化する場合、従来の経編地とレース地の如き模様を有する編地を縫製等の手段によって結合させる手段を省くことができると共に、結合部が経編地の一部として連続して形成されているので外観上及び触感上綺麗且つ平滑にすることができる。また、必要に応じて、縦横ともに伸縮性を有する経編地を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術として示す、プレーンな外観を有する経編地にレース地を縫製等によって結合する方法を説明する斜視図である。
【図2】本発明の部分的に模様部分を有する経編地の一実施例を示す平面図である。
【図3】本発明の経編地の他の実施例を示す平面図である。
【図4】本発明の経編地のさらに他の実施例を示す平面図である。
【図5】本発明の経編地における基準組織の経編地部分の好ましい糸使いの一例を示す組織図である。
【図6】図5で示した基準組織の経編地から模様編地部分用の孔のあいた組織の編成手順の一例を示す組織図である。
【図7】本発明の経編地における基準組織の経編地部分の好ましい糸使いの他の一例を示す組織図である。
【図8】図7で示した基準組織の経編地から模様編地部分用の孔のあいた組織の編成手順の一例を示す組織図である。
【図9】本発明の経編地の2枚をくさり編み糸で連結することによって一体に編成した複合経編地の一例を示す平面図である。
【図10】連結用くさり編み列と隣接する2枚の経編地の好ましい連携方法を示す組織図である。
【図11】本発明の経編地の基準組織と模様組織の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
1〜10…くさり編みされる経糸
11〜20…くさり編み糸への挿入糸
21〜28,31〜36,41〜46…振り糸
60,61,62…経編地
64…複合経編地
70,71,72…基準組織の経編地部分
80,81,82…模様編地部分
【発明の属する技術分野】
本発明は部分的に模様編地部分を有する経編地に関する。より詳しくは特定の編成組織を有する基準組織の編組織を設計し、その編組織を所望の位置において変更することによって模様組織を形成せしめ、それによって一枚の経編地上で基準組織と模様組織が連続して形成されている経編地に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維産業、特に布帛及び該布帛を用いて作られる衣料製品に係る産業は伝統的な産業であり、且つ古くは各工程別に製造及び販売が分離されていたために、今日の技術的視点から見れば統合可能と推量される製造工程が従来技術の慣習的延長線に沿って依然として分離されたまゝの場合が多くある。
【0003】
例えば図1において布地片50として例示するシュミーズ用生地片は、プレーンな外観を有する経編地51の一端(図1において右側)に別途製造された帯状のレース地52を重ねて、縫製等によって結合することによって用意されている。これは従来の経編産業ではプレーンな経編地を編成する経編機と、レース地を製造する機械(主としてラッセルレース機)とが異る機械であり、且つ多くの場合製造工場(製造企業)が異ることによるものである。近年経編機の技術的進歩によって、プレーンな経編地とレース状模様を、その意図さえあれば同一の経編機で編成可能になっても、依然として2種類の経編地片を縫製等によって結合して用いることが慣習として行われてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図1に例示したように、異なる編組織の2個以上の編地片を縫製等によって結合して用いるという従来からの慣習的方法では、縫製等の付加的な作業を要するので、二次製品のコストの上昇を生じると共に、結合部分に段差を生じて連続した編地に比し外観上の見劣りを生ずるという欠点を有する。
【0005】
本発明は従来公知の異なる編組織の編地部分が縫製等によって結合されている二次製品用編地の有する問題点を解決して外観上の段差がなく、且つコストを低減することが可能な経編地を提供することを目的とする。
さらに、縦横ともに伸縮性がある経編地が求められている。そして、縦横ともに伸縮性があり、且つ部分的にパワーがある経編地が求められている。
【0006】
本発明の目的は、模様編地部分が一体的に編成され、必要に応じて縦横ともに伸縮性があり、且つ部分的にパワーがある経編地を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の前述の課題は、挿入糸として弾性糸をそれぞれに具備した経糸のくさり編みによる編列が全ウエールに配列されており、それぞれのウエール上のくさり編み列を隣接するウエール上のくさり編み列に連携させるように、所定の編組織で振り糸が挿入されて経編地が編成されており、該経編地は、基準組織で形成された経編地部分と、該経編地部分に連続して該基準組織と異なる組織で形成された模様編地部分とを含み、該模様編地部分は該経編地部分における振り糸と同じ振り糸を有し、該模様編地部分が経編地部分の基準組織中の振り糸の編成組織を少なくとも一部変えることによって形成されており、前記基準組織の振り糸の編成組織が、特定ウエールに供給された振り糸を次コースにおいて左右何れか一方の隣接するウエールに振った後に、さらに次コースにおいて逆方向で2ウエール振り、その後のコースで前記特定ウエールに戻る振り糸単位編成組織を含んで成ることを特徴とする部分的に模様編地部分を有する経編地によって達成される。
【0009】
前記振り糸の編成組織が、経編地の全ウエールに亘って実質的に同一であってもよく、又上述の編成組織で編成される隣接するウエール上の2本の振り糸をウエール方向で2コースだけ位相をずらして編成して一完全組織とし、該一完全組織がウエール方向に反復配置したものとして編成してもよい。
本発明の部分的に模様編地部分を有する経編地がコース方向で少くとも2個隣接して配置され、この隣接する2枚の経編地がくさり編み組織で連結されているとよい。
【0010】
これは本発明の経編地が前述のように二次製品の一部を形成する経編地片として用いられる場合には、コース方向の長さが大きくてもせいぜい30cm程度であり、一方現在の経編機の編成幅は短いものでも150cm程度であるので、本発明の経編地を1枚だけ経編機に仕掛けるのは製造コスト上不利であり、多数枚の同種又は異種、すなわち模様組織部分の編成組織が少なくとも一部で異なる経編地をコース方向に並べて編成すれば生産コストおよび得られた経編地の染色整理上有利となるからである。その際前述のように複数個の本発明の経編地をくさり編み組織で連結しておけば、くさり編み糸を引抜くことによって隣接する経編地の分離を容易にできるので好ましい。
【0011】
本発明の部分的に模様編地部分を有する経編地を編成するためには複数の筬を有し、且つこれら筬を作動するためのジャカード機構を有する経編機、主としてラッセル経編機が用いられる。
本発明の経編地では従来の経編地で用いられる各種の糸、すなわち各種合成繊維、再生繊維のフィラメント糸、天然繊維、人造繊維及び合成繊維を含んで成る紡績糸、スパンデックス糸の如き弾性糸等を目的とする製品に応じて任意に用いることができる、又基準組織と模様編組織及び模様編地部分の配置位置についてもその製品に対する所望に応じて任意に選定することができる。
【0012】
振り糸として弾性糸又は非弾性糸を使用することができる。弾性糸が使用される場合には、一部の振り糸の張力を変えることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明を詳述する。
図2は本発明の部分的に模様編地部分を有する経編地の一例を示す。図2に示す経編地60では、経編地部分70は全ウエールに挿入糸として弾性糸を具備して配列された経糸のくさり編み列と、それぞれのウエール上のくさり編み列を隣接するウエール上のくさり編み列に連携させるように、所定の編組織で挿入された振り糸から構成された基準組織の経編地であり、その経編地部分70の右側には模様編地部分80が連続して形成されている。
【0014】
模様編地部分80は前述の経編地部分70における振り糸の編成組織を少くとも一部変えることによって所望の孔を形成させることによって得られる。
図2において模様編地部分80は経編地60の右端に形成されている。しかし模様編地部分80の配置位置および模様の種類は目的とする経編地60の用途に応じて任意に選定すればよい。
【0015】
図3に示す経編地61では、基準組織の経編地部分71の中央部に模様編地部分81が連続して形成されている。
図4に示す経編地62では、基準組織の経編地部分72の両端部に例えば花柄の模様編地部分82が配置されている。模様編地部分81と模様編地部分82の模様は同一でもよく、異るものであってもよい。また、図3の模様編地部分81と図4の模様編地部分82とを組合せてもよい。
【0016】
何れの場合も前述のように模様編地部分80,81,82は基準組織の経編地部分70,71,72における振り糸の編成組織を変更することによって得られるので図1に示す従来例と異り、模様編地部分は基準組織の経編地部分に連続して形成されており、経編地上に段差は発生せず、且つ従来例の如く縫製等の別工程を必要としないのでコストを低減することができる。
【0017】
前述のように、本発明の経編地では全ウエールに挿入糸として弾性糸を具備して配列されたくさり編み列と複数の振り糸から成る基準組織の経編地部分を作り、模様編地部分は前記経編地部分における振り糸の編成組織を少くとも一部変えることによって所望の孔を形成させることによって得られるものである。
したがって振り糸の編成組織を少くとも一部変えることによって模様編地部分を得られるような基準組織の経編地部分を編成しておくことが必要である。
【0018】
そこで図5〜図9を参照して本発明の好ましい基準組織の経編地部分と、この基準組織の経編地部分の振り糸の編成組織を一部変更して孔が形成される例を以下説明する。
図5に本発明の部分的に模様編地部分を有する経編地における好ましい基準組織の経編地部分の糸使いを示す組織図を10個のウエールと12個のコースで示す。
【0019】
図5に示すようにくさり編みされる経糸1〜10が第1コースで編成針の左側から供給されてそれぞれのウエールでくさり編みを編成する。このそれぞれのくさり編み列には図示の如く弾性からなる挿入糸11〜20が挿入されている(図5において、図面を簡略化するために第1、第2、第9、第10ウエールのくさり編み列のみに挿入糸を図示してある。)このそれぞれが挿入糸として弾性糸を具備した複数本の経糸のくさり編み列を相互に連携させるために、振り糸21〜28が図5に示すように挿入される。振り糸の編成を特定ウエールを第2ウエールとし、その第2ウエールに供給される振り糸21で以下説明する。
【0020】
振り糸21は第1コースにおいて第2ウエール(特定ウエール)の編成針の左側から供給されて第2コースにおいて第1ウエールの編成針の右側に振られ、次いで第3コースにおいて第3ウエールの編成針の左側に振られる。次いで振り糸21は第4コースにおいて第2ウエールの編成針に戻る。本発明では上述の第1コースから第4コースに戻る編成組織を振り糸単位編成組織と称す。次いで振り糸21は第2ウエールの右側に振られ、第5コースにおいて同じウエールすなわち第2ウエールの編成針の左側に振られ、以後のコースにおいて前述と同様な編成が繰返えされる。すなわち振り糸21は第1コースから第4コース迄の4コースで一完全組織を形成し、特定ウエール(この場合は第2ウエール)の左右の隣接するウエールに振られ乍ら、且つ特定ウエールでは必要に応じて同一ウエール上で編成針の左右に振られている。
【0021】
したがって振り糸21では図示の如く前記一完全組織が繰返えされることになり、他のウエールの振り糸22〜28も同一コースでは振り糸21と同じ振られ方をする。この事は図5に示す編成組織を編成する限り、くさり編みされる経糸1〜10用の筬と振り糸21〜28用の筬の2枚の筬で編成可能であることを示す。
【0022】
図6に図5で示した基準組織の経編地部分70,71,72から模様編地部分80,81,82用の孔のあいた組織の編成手順を説明する。図6においても図5と同様にくさり編み列の経糸に対する挿入糸は第1、第2、第9、第10ウエールのくさり編み列のみに対して示す。経糸1〜10、挿入糸11〜20、振り糸21〜28は図5のものに対応する。
振り糸21について図6を図5と対比すれば容易に判るように、図5で第3コースにおいて第3ウエールの編成針の左側に振られる振り糸21が図6では第2ウエールの編成針の左側迄だけに振られ、その結果A 1 で示す孔が形成される。同種の孔A 2 が振り糸27の第3コースにおいて第8ウエールの編成針の左側迄だけに振ることによって形成される。
【0023】
同様な孔B 1 とB 2 が振り糸23と振り糸25の振らせ方を振り糸21と振り糸27と同様に変更することによって形成することができる。したがって図6に示した模様編地部分を編成するには振り糸21と振り糸27用の柄筬、振り糸23用の柄筬及び振り糸25用の柄筬をジャカード機構を用いて作動させればよい。
【0024】
図7は本発明の部分的に模様編地部分80,81,82を有する経編地における他の好ましい基準組織の経編地部分70,71,72の糸使いを図5と同様に示す。
図7に示す基準組織の経編地では編成組織の異る2種類の振り糸が用いられている。すなわちそれぞれが挿入糸として弾性糸を具備した振り糸41,42,43,44,45,46は図5における振り糸21〜28と同様な振られ方をしている。これに対してそれぞれが挿入糸として弾性糸を具備した振り糸31,32,33,34,35,36は振り糸41〜46に対してウエール方向に2コース位相をずらしただけで同一の振られ方をされている。
【0025】
図8に図7で示した基準組織の経編地から模様編地部分用の孔のあいた組織の編成手順を説明する。
図8では孔C 1 ,C 2 と孔D 1 が形成されている。図8を図7と対比すれば判るように、C 1 ,C 2 の孔は図7では第3ウエールの右側に振られる振り糸33を第4ウエールの左側に直接振ることによって設けられた孔である。D 1 の孔は振り糸34をC 1 ,C 2 と同様に第6ウエールの左側に直接振ると共に、第6ウエールの右側に振られる振り糸34を直接第8ウエールの左側に振ることによってC 1 ,C 2 より大きい孔を形成したものである。
【0026】
図6及び図8に基づいて説明した振り糸の振り方を変えることによって得られる孔の形成はその一例を示したにすぎず、基準組織の経編地部分の振り糸をジャカード機構を用いて対応する柄筬を作動させれば、各種の模様編地部分を本発明の経編地の所望位置に配置することができる。
図11に本発明の経編地の模様組織の一例を示す。図11から明らかなように1ウエールから11ウエール迄延びる各種の孔が混在して模様を形成している。
【0027】
経編機の筬幅は目的とする経編地の所要幅に応じて定められる。しかし通常広く用いられている経編機では編立時の経編地の幅が1400mm〜1500mm程度のものが多い。一方本発明の部分的に模様編地部分を有する経編地の幅、すなわちコース方向に沿った長さは200mm〜500mm程度のものが多い。そこでこのような狭い幅の経編地を1枚だけ経編機に仕掛けることは極めて経編機の使用効率を低くする。このような場合には図9に例示したように、複数の経編地63a,63bをコース方向に並べ、且つくさり編み90で連結しながら編成して複合経編地64を編成し、その上で必要な染色整理加工処理した後にくさり編み80をほどいて個別の経編地63a,63bを得ると極めて効率的であり、且つコストの節減に役立つ。
【0028】
図10に隣接する2枚の経編地63a,63bを連結するくさり編み列90と経編地63a,63bの好ましい連携方法の一例を図示する。説明を明瞭にするために図10においてはそれぞれの経編地63a,63b中のくさり編み列に挿入糸として用いられる弾性糸(図5で示す弾性糸11〜20)と、複数のくさり編み列を連携させる振り糸(図5で示す振り糸21〜28)は省略してある。又くさり編み列1a〜5a及び1b〜5bも又上方部、下方部のみ図示し、中央部は省略してある。
【0029】
図10中太い実線で示す連結用くさり編み列90に対して、左右から弾性糸から成る挿入糸91a,91bがくさり編み列90に連携する。その際図示のようにそれぞれの挿入糸91a,91bは隣接する経編地に対して数コース連続して挿入し、間隔をあけて連結用くさり編み列90に1コースづつ挿入形態で連携し、その際連携位置はウエール方向で挿入糸91a,91bで交互に配置される。又図10の左側の挿入糸91b(一点鎖線で示す)は連結用くさり編み列90より3ウエール左側のウエール3bに挿入されているが、図10の右側の挿入糸91a(破線で示す)は連結用くさり編み列90に隣接するウエール1aで挿入されている。又図10で第1コースから第23コース迄は3コース毎に左右から挿入糸91a,91bが連結用くさり編み列90に連携しているが、第24コースから第31コース迄は連携させていない。
【0030】
これらの連結用くさり編み列90への挿入糸91a,91bの連携配置はそれぞれの経編地の連結用くさり編み列90に隣接する模様組織に応じて任意に選定すればよい。
何れにしても別筬を用いて編成される挿入糸91a,91bを適切に配置することによって連続する複数の経編地を連結用くさり編み列90をほどいて分離する際に、経編地の分離端部を挿入糸91a,91bの弾性復帰力によってまとめて平滑(綺麗)にするので好ましい。
【0031】
以下本発明の部分的に模様編地部分を有する経編地の例を説明する。
例1
図5に示した基準組織の経編地をくさり編みされる経糸としてポリアミドマルチフィラメント40dを用い、このくさり編み列に挿入糸としてスパンデックス210dを挿入する。振り糸として非弾性糸であるポリアミドマルチフィラメント加工糸70d/2を用い20ゲージの経編機で編幅40cmで編成した。その際、経編地のコース方向中央にウエール方向30cm毎に図4に例示する花模様(直径約7cm)をジャカード機構で作動される柄筬を用いて、振り糸の振り方を基準組織の振り方を部分的に変更することによって所望の孔が設けられるようにして、編成した。
【0032】
得られた本発明の経編地を精練整理して花模様が基準組織と一体に編成された経編地を得た。この例では、経編地は図2、図3、図4の縦方向Xに優れた伸縮性を有するが、横方向Yの伸縮性はあまりない。一方、振り糸に弾性糸を用いると、縦方向X及び横方向Yともに優れた伸縮性を有する経編地が得られる。
例2
例1で編成される経編地を3枚コース方向に並べ且つそれぞれの経編地を図10に例示するようにくさり編みで連結して編幅約125cmの本発明の複合経編地を得た。得られた複合経編地を染色整理後、花模様を中心としてウエール方向で30cm毎に切断し、その上で連結用くさり編みをほどいて例1で示した経編地を得た。
【0033】
例1の場合に比し、編成時に3倍の生産が得られると共に、染色整理を広幅で行うことができるので、仕上りの綺麗な経編地がより低いコストで得ることができた。
さらに、本発明では、振り糸が弾性糸からなる場合に、一部の振り糸の張力を他の一部の振り糸の張力と変えて編成することができる。例えば、図4において、経編地62は、幅方向に3つの領域A,B,Cを含み、両端側の領域A,Cの振り糸の張力は、中央の領域Bの振り糸の張力とは変えて編成してある。特に、両側の領域A,Cの振り糸の張力は、中央の領域Bの振り糸の張力よりも大きくなるようにしてある。従って、振り糸の張力の大きい領域A,Cでは、経編地62は幅方向にしまり、引張力に対するパワーが大きくなる。図4の実施例においては、振り糸の張力の大きい領域A,Cは、模様編地部分82に対応させてある。この場合、例えば経編地62でショーツを作る場合、模様編地部分82がウエストの位置にくるようにすると、デザイン上及び機能上好ましい。
例3
図5及び図6に示される組織を用いて、20ゲージの経編機を使用し、図4に示される約55cmの幅の経編地62を製造した。この場合、くさり編みされる経糸1〜10としてポリアミドマルチフィラメント36dT(40デニール)を用い、挿入糸11〜20としてスパンデックス189dT(210デニール)を用い、振り糸21〜28として、スパンデックス18dT(20デニール)を芯糸とし、ナイロン45dT(50デニール)でカバーしたカバーリング糸を用いた。
【0034】
実施例では、振り糸21〜28は独立的に送り出し量を制御可能な2つのビームから供給された。一方のビームは、模様編地部分82に対応する領域A,Cの振り糸21〜28を供給し、領域A,Cの各々の振り糸21〜28は69本であった。他方のビームは、模様編地部分82以外の基準編地部分72に対応する領域Bの振り糸21〜28を供給し、領域Bの振り糸21〜28は275本であった。各ビームの送り出し量は、それぞれ微細に調節されるが、平均的にみると、領域A,C用のビームの送り出し量と、領域B用のビームの送り出し量との比は、およそ2対3であった。送り出し量の小さい領域A,C用のビームから送りだされる振り糸21〜28の張力は、送り出し量の大きい領域B用のビームから送りだされる振り糸21〜28の張力よりもかなり大きくなる。
【0035】
図2や図3の例でも同様に振り糸21〜28の張力を変えることができる。また、振り糸21〜28の張力は上記した例に限定されることなく、振り糸21〜28の張力はパワーが必要とされる部分で張力が大きくなるようにすることができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明の部分的に模様編地部分を有する経編地は前述のように構成されているので、製品化する場合、従来の経編地とレース地の如き模様を有する編地を縫製等の手段によって結合させる手段を省くことができると共に、結合部が経編地の一部として連続して形成されているので外観上及び触感上綺麗且つ平滑にすることができる。また、必要に応じて、縦横ともに伸縮性を有する経編地を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術として示す、プレーンな外観を有する経編地にレース地を縫製等によって結合する方法を説明する斜視図である。
【図2】本発明の部分的に模様部分を有する経編地の一実施例を示す平面図である。
【図3】本発明の経編地の他の実施例を示す平面図である。
【図4】本発明の経編地のさらに他の実施例を示す平面図である。
【図5】本発明の経編地における基準組織の経編地部分の好ましい糸使いの一例を示す組織図である。
【図6】図5で示した基準組織の経編地から模様編地部分用の孔のあいた組織の編成手順の一例を示す組織図である。
【図7】本発明の経編地における基準組織の経編地部分の好ましい糸使いの他の一例を示す組織図である。
【図8】図7で示した基準組織の経編地から模様編地部分用の孔のあいた組織の編成手順の一例を示す組織図である。
【図9】本発明の経編地の2枚をくさり編み糸で連結することによって一体に編成した複合経編地の一例を示す平面図である。
【図10】連結用くさり編み列と隣接する2枚の経編地の好ましい連携方法を示す組織図である。
【図11】本発明の経編地の基準組織と模様組織の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
1〜10…くさり編みされる経糸
11〜20…くさり編み糸への挿入糸
21〜28,31〜36,41〜46…振り糸
60,61,62…経編地
64…複合経編地
70,71,72…基準組織の経編地部分
80,81,82…模様編地部分
Claims (9)
- 挿入糸として弾性糸をそれぞれに具備した経糸のくさり編みによる編列が全ウエールに配列されており、それぞれのウエール上のくさり編み列を隣接するウエール上のくさり編み列に連携させるように、所定の編組織で振り糸が挿入されて経編地が編成されており、該経編地は、基準組織で形成された経編地部分と、該経編地部分に連続して該基準組織と異なる組織で形成された模様編地部分とを含み、該模様編地部分は該経編地部分における振り糸と同じ振り糸を有し、該模様編地部分が経編地部分の基準組織中の振り糸の編成組織を少なくとも一部変えることによって形成されており、前記基準組織の振り糸の編成組織が、特定ウエールに供給された振り糸を次コースにおいて左右何れか一方の隣接するウエールに振った後に、さらに次コースにおいて逆方向で2ウエール振り、その後のコースで前記特定ウエールに戻る振り糸単位編成組織を含んで成ることを特徴とする部分的に模様編地部分を有する経編地。
- 前記基準組織の振り糸の編成組織が、経編地の全ウエールに亘って実質的に同一であることを特徴とする請求項1記載の経編地。
- 前記基準組織の振り糸の編成組織が、請求項2記載の編成組織でそれぞれ編成される隣接するウエール上の2本の振り糸をウエール方向で2コースだけ位相をずらして編成して一完全組織とし、該一完全組織がウエール方向に反復配置したものであることを特徴とする請求項1記載の経編地。
- 請求項1記載の経編地がコース方向で少くとも2個隣接して配置され、該隣接する経編地がくさり編み組織で連結されていることを特徴とする複合経編地。
- 隣接する少なくとも2個の経編地中の模様編地部分の編成組織が同一であることを特徴とする請求項4記載の複合経編地。
- 隣接する少なくとも2個の経編地中の模様編地部分の編成組織が少なくとも一部で異ることを特徴とする請求項4記載の複合経編地。
- 該振り糸として非弾性糸及び弾性糸の一方を使用する請求項1記載の経編地。
- 振り糸は弾性糸からなり、一部の振り糸の張力を他の一部の振り糸の張力とは変えてある請求項7に記載の経編地。
- 該振り糸は弾性糸を芯にしたカバーリング糸からなる請求項7又は8に記載の経編地。
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