JP4162301B2 - 特殊温度制御付きツイン・スクリユー押出機中での溶融処理可能なポリウレタンの連続的製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、特殊温度制御付きツイン・スクリュー押出機中での改善された処理特性を有する、溶融処理可能なポリウレタンの多段の連続的製造方法に関する。
【0002】
熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)は決して新しいものではない。これらは高品質の機械的特性と周知の低コストな溶融処理性の利点とを兼備しているために工業的に重要である。異なる化学的構造成分を用いることにより広範囲の機械的特性が得られる。TPUに関しては、その特性及び用途は例えばKunststoffe 68 (1978)またはKautschuk, Gummi, Kunststoffe 35 (1982), 568に与えられる。
【0003】
TPUは直鎖状ポリオール、殆どはポリエステル−またはポリエーテル−ポリオール、有機ジイソシアネート及び短鎖状ジオール(鎖長延長剤)からなる。加えて、生成反応を加速するために触媒を加え得る。構造成分は特性を調整するために比較的広いモル範囲比で変え得る。1:1〜1:12のポリオール封鎖延長剤のモル比が適当であると証明された。これにより70ショアAから75ショアDの範囲の生成物が得られる。
【0004】
TPUは連続的またはバッチ的に製造し得る。押出機中での工業的製造は決して新規なものではない(ドイツ国特許出願公開第1,964,834号)。構造成分は個々にか、または予備混合状態で押出機中に計量導入され、そして反応は押出機中にて押出機のバレルにより与えられる90乃至220℃間の温度で行われる。この方法の欠点はこの方法で製造されるTPUの均一性及び離型挙動が全ての用途の分野において十分でないことにある。
【0005】
ドイツ国特許出願公開第2,059,570号によれば、反応成分は激しく混合され、そして混練されるツイン・スクリュー押出機に同時に供給される。機械は供給ゾーン、混合及び反応ゾーン、並びに放出ゾーンに分割される。供給ゾーン(30〜127℃)から放出ゾーン(177〜249℃)に直線的に上昇するバレル温度プロフィールの結果として、必要とされる均一な粘性がゾーンを通して得られる。反応ゾーンにおける130〜170℃の比較的低い温度により硬いセグメント沈殿が部分的に生じる。放出ゾーンにおける高い最終温度からみて、得られる粘性は混合成分にかかわらず完全な混合には不十分であり、従って塊(こぶ)のない生成物を得ることはできない。更に、離型することが困難な生成物がこれらの高い最終温度で得られる。
【0006】
ドイツ国特許出願公開第2,610,980号に記載の方法によりTPUの均一性のわずかな改善が得られる。この場合、出発生成物は180〜250℃に予備加熱される。押出機のバレル温度は供給ゾーン(180〜250℃)から放出ゾーン(165〜200℃)に降下する温度プロフィールに調整される。このようにして、押出機の反応部分における固体沈殿が避けられる。スクリューの末端で、生成物は低下された温度により過熱から保護され、そしてより高い粘度でより容易に押し出される。しかしながら、この方法の欠点は原料物質の反応性に大きく依存することにある。工業的に入手される単量体の反応性は通常変わるために、TPU生成反応がこれらの高い初期温度で極めて早く開始され、その結果単量体を強く混合しても反応体の均一な混合物が反応開始前に存在することを保証し得ない。次に不適当な混合により不均一な生成物が生じる。
【0007】
またTPUの均一性を改善するために、反応押出機中での特殊な運搬及び混合/混練部品がドイツ国特許出願公開第2,302,564号に提案された。ヨーロッパ特許出願公開第708,124号によれば、これらのものは押出機中の4つの異なるゾーンにわたって分配される。しかしながら、重要な反応の時期が押出機の混練部品が位置する正確な場所で起こるように、温度及び反応の制御並びに触媒の計量導入を原料物質の関数としてのスクリューの形状に正確に調整しなければならない。また異なるタイプの生成物の製造はシングル・スクリューの形状では困難である。
【0008】
ヨーロッパ特許出願公開第571,830号にシングルバッチ法においてポリオールを部分量のジイソシアネートと反応させ、残りのジイソシアネート及び続いて鎖長延長剤中で混合することによりTPUを標準的方法と比較してより迅速な離型性を可能とする顕著に高い結晶化温度で得る方法が記載される。しかしながら、かくて得られる生成物は製造工程によるしみを含むフィルムを生じ、従って押出による処理には不適当である。
【0009】
シングル・スクリュー形状を用いる新規な製造方法により改善された離型特性及び殊に押出部分に対して高度の均一性を有する種々のTPU生成物を製造し得ることが見いだされた。
【0010】
本発明はイソシアネート末端化されたプレポリマーを<200℃の温度で好ましくは最高5秒以内で鎖長延長剤と激しく混合し、そして得られる混合物を混合物をそのスクリューシャフトが好ましくは同じ方向で回転するツイン・スクリュー押出機中にて準断熱反応条件下で溶融処理可能なポリウレタンに転化させる、溶融処理可能なポリウレタンの連続的製造方法に関する。
【0011】
溶融処理可能なポリウレタンへの反応混合物の転化は準断熱反応条件下でツイン・スクリュー押出機中で行い、即ち通常の実施と比較して、温度は押出機のバレルを加熱するか、または冷却することにより外的には予備設定しない。従って、反応混合物の温度は反応熱とは別の押出機のシャフトによる機械的エネルギーの入力及びバレルからの熱放射によってのみ影響される。
【0012】
イソシアネート末端化されたプレポリマーは好ましくは500〜5000の平均分子量Mnを有する直鎖状のヒドロキシル末端化されたポリオールa)を高剪断エネルギーを有する混合機中で連続的に有機ジイソシアネートb)と混合し、この混合物を反応器中にて>120℃の温度で成分a)を基準として>90重量%の転化率までイソシアネート末端化されたプレポリマーに連続的に転化させ、場合によってはプレポリマーを更にジイソシアネートb)と混合し、そしてこの混合物を<200℃の温度に冷却することにより製造する。
【0013】
500〜5000の平均分子量Mnを有する直鎖状のヒドロキシル末端化されたポリオールを成分a)として用いる。従って、「実質的に直鎖状のポリオール」なる用語をしばしば用いる。好ましくは、ポリエステル−、ポリエーテル−、ポリカーボネート−ジオールまたはその混合物を用いる。
【0014】
適当なポリエーテルジオールはアルキレン基中に炭素原子2〜4個を有する1個またはそれ以上のアルキレンオキシドを2個の活性水素原子を結合状態で含む出発分子と反応させることにより製造し得る。アルキレンオキシドの例には次のものが含まれる:エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、エピクロロヒドリン並びに1,2−ブチレンオキシド及び2,3−ブチレンオキシド。好ましくは、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド並びに1,2−プロピレンオキシド及びエチレンオキシドの混合物を用いる。アルキレンオキシドはそれ自体、順番を変えるか、または混合物として使用し得る。適当な出発分子の例には次のものがある:水、アミノアルコール例えばN−アルキルジエタノールアミン例えばN−メチルジエタノールアミン並びにジオール例えばエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール。場合によってはまた、出発分子の混合物を使用し得る。更に、適当なポリエーテルオールにはテトラヒドロフランのヒドロキシル基含有高分子生成物がある。また三官能性ポリエーテルは二官能性ポリエーテルを基準として0〜30重量%の比率であるが、殆どは得られる生成物がまだ溶融処理可能である量で使用し得る。実質的に直鎖状のポリエーテルジオールは好ましくは500〜5000の平均分子量Mnを有する。これらのものはそれ自体及び混合物の状態の両方で使用し得る。
【0015】
適当なポリエステルジオールは例えば炭素原子2〜12個、好ましくは炭素原子4〜6個を有するジカルボン酸及び多価アルコールから製造し得る。適当なジカルボン酸の例には次のものがある:脂肪族ジカルボン酸例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸、または芳香族ジカルボン酸例えばフタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸。ジカルボン酸はそれ自体または混合物例えばコハク酸、グルタル酸及びアジピン酸混合物の状態で使用し得る。場合によっては、ポリエステルジオールの製造に対してジカルボン酸の代わりに対応するジカルボン酸誘導体例えばアルコール基中に炭素原子1〜4個を有するカルボン酸ジエステル、無水カルボン酸またはカルボン酸塩化物を用いることが有利であり得る。多価アルコールの例には炭素原子2〜10個、好ましくは2〜6個を有するグリコール例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールまたはジプロピレングリコールがある。必要とされる特性に依存して、多価アルコールをそれ自体でか、または混合物として使用し得る。また炭酸と上記のジオール、殊に炭素原子4〜6個を有するもの例えば1,4−ブタンジオールまたは1,6−ヘキサンジオールとのエステル、ω−ヒドロキシカルボン酸例えばω−ヒドロキシカプロン酸の縮合生成物またはラクトンの重縮合生成物例えば場合によっては置換されていてもよいω−カプロラクトンが適する。好適に用いるポリエステルはエタンジオールポリアジペート、1,4−ブタンジオールポリアジペート、エタンジオール−1,4−ブタンジオールポリアジペート、1,6−ヘキサンジオール−ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール−1,4−ブタンジオールポリアジペート及びポリカプロラクトンである。ポリエステルジオールは500〜5000の平均分子量Mnを有し、そしてそれ自体か、または混合物の状態で使用し得る。
【0016】
適当な有機ジイソシアネートb)の例には例えばJustus Liebigs Annalen der Chemie, 562, 75〜136頁に記載される種類の脂肪族、環式脂肪族、芳香脂肪族、複素環式及び芳香族ジイソシアネートがある。
【0017】
より詳細には、次のものを例として挙げ得る:脂肪族ジイソシアネート例えばヘキサメチレンジイソシアネート、環式脂肪族ジイソシアネート例えばイソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート及び1−メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート並びに対応する異性体混合物、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び2,2−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート並びに対応する異性体混合物、また芳香族ジイソシアネート例えば2,4−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート及び2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート及び2,2−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート及び4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、ウレタン修飾された液体4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートまたは2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジイソシアナト−ジフェニルエタン−(1,2)及び1,5−ナフチレンジイソシアネート。好適に用いる生成物は1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、96重量%以上の4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート含有量を有するジフェニルメタンジイソシアネート異性体混合物、並びに殊に4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート及び1,5−ナフチレンジイソシアネートである。上記のジイソシアネートは個々にか、または混合物の状態で使用し得る。またこれらのものは15モル%(全ジイソシアネートをベースとして)までのポリイソシアネートと一緒にすることができるが、ポリイソシアネートは多くともまだ溶融処理可能である生成物を生じさせる量で加え得る。ポリイソシアネートの例にはトリフェニルメタン−4,4,4”−トリイソシアネート及びポリフェニル−ポリメチレンポリイソシアネートがある。
【0018】
用いる鎖長延長剤は分子量60〜400を有するジオールまたはジアミン、好ましくは炭素原子2〜14個を有する脂肪族ジオール例えばエタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール及び殊に1,4−ブタンジオールである。しかしながらまた、テレフタル酸と炭素原子2〜4個を有するグリコールとのジエステル例えばテレフタル酸−ビス−エチレングリコールまたはテレフタル酸−ビス−1,4−ブタンジオール、ハイドロキノンのヒドロキシアルキレンエーテル例えば1,4−ジ(β−ヒドロキシエチル)−ビスフェノールA、(シクロ)脂肪族ジアミン例えばイソホロンジアミン、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、N−メチルプロピレン−1,3−ジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン及び芳香族ジアミン例えば2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチル−2,4−トルエンジアミンまたは3,5−ジエチル−2,5−トルエンジアミン或いは第一級モノ−、ジ−、トリ−もしくはテトラアルキル置換された4,4−ジアミノジフェニルメタンが適する。好適に用いる鎖長延長剤はエタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ジ(β−ヒドロキシエチル)−ハイドロキノンまたは1,4−ジ(β−ヒドロキシエチル)−ビスフェノールAである。また上記の鎖長延長剤の混合物も使用し得る。また比較的少量のトリオールも加え得る。
【0019】
更にまた、少量の通常の一官能性化合物も例えば連鎖停止剤または離型助剤として加え得る。例としてアルコール例えばオクタノール及びステアリルアルコールまたはアミン例えばブチルアミン及びステアリルアミンを挙げ得る。
【0020】
TPUの製造のために、場合によっては触媒、補助剤及び/または添加剤の存在下での構造成分は、NCO基対NCO−反応性基(殊に低分子量ジオール/トリオール及びポリオールのOH基の合計)の等価比が0.9:1.0〜1.1:1.0、好ましくは0.95:1.0〜1.10:1.0であるような量で反応させる。
【0021】
本発明により適する触媒は本分野の現状により十分公知である通常の第三級アミン例えばトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルピペリジン、2−(ジメチルアミノ−エトキシ)−エタノール、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンなど及び殊に有機金属化合物例えばチタン酸エステル、鉄化合物またはスズ化合物例えば二酢酸スズ、ジオクトン酸スズ、ジラウリル酸スズまたは脂肪族カルボン酸のスズジアルキル塩例えば二酢酸ジブチルスズまたはジラウリル酸ジブチルスズなどである。好適な触媒は有機金属化合物、殊にチタン酸エステル、鉄及びスズ化合物である。
【0022】
TPU成分及び触媒に加えてまた、補助剤及び/または添加剤を加え得る。例には潤滑剤例えば脂肪酸エステル、その金属セッケン、脂肪酸アミド、脂肪酸エステルアミド及びシルコーン化合物、抗ブロッキング剤、阻害剤、加水分解、光、熱及び変色安定剤、耐燃剤、染料、顔料、無機及び/または有機フィラー及び強化剤が含まれる。強化剤には殊に繊維状強化物質例えば本分野の現状により製造され、そしてまたサイジングし得る無機繊維がある。挙げられる更に詳細な補助剤及び添加剤については専門の文献J.H. Saunders and K.C. Frischによる"High Polymers", Volume XVI, Polyurethane, Part 1及び2、Verlag Interscience Publishers 1962及び1964、R. Gachter及びH.MullerによるTaschenbuch fur Kunststoff-Additives(Hanser Verlag ミュンヘン1990)またはドイツ国特許出願公開第2,901,774号から得られる。
【0023】
更にTPUに配合し得る添加剤は熱プラスチック例えばポリカーボネート及びアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン−ターポリマー、殊にABSである。また他のエラストマー例えばゴム、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体及び他のTPUを使用し得る。更に、市販の可塑剤例えばリン酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸及びアルキルスルホン酸エステルが配合に適する。
【0024】
本発明の好適な具体例において、反応成分はプレポリマー生成に対して高い剪断エネルギーを有する混合機中で連続的に混合する。これは例えば混合ヘッド、好ましくは高スピード・ポーキュパイン(porcupine)混合機、またはノズルであり得る。本発明による量は好ましくはジイソシアネートb)及びポリオールa)の量または部分的量のNCO/OH比が1.5:1〜5.0:1、好ましくは2.05:1〜3.0:1であるように選ぶ。
【0025】
プレポリマー製造は好ましくは反応器例えばチューブ中で行う。静的混合機付きのチューブまたは4:1以上の長/径比を有する撹拌チューブ(チューブ状混合機)を殊に好適に用いる。殊に好適な状態において、ノズル及び静的混合機付きのチューブ、またはチューブ状混合機をプレポリマー製造に用いる。
【0026】
本発明によれば、転化はプレポリマーの製造中にできる限り完全であるべきであり、即ち90モル%より多いポリオールがプレポリマーに転化されるべきである。反応温度は好ましくは120℃以上、殊に好ましくは140乃至220℃間である。
【0027】
鎖長延長剤との反応の前に、更にジイソシアネートb)を場合によっては迅速に、かつ連続的にプレポリマーに加え得る。チューブ中の1つまたはそれ以上の静的混合機をこの目的に好適に使用し得る。また押出機のノズル、混合ヘッド、または混合部品を使用し得る。
【0028】
本発明の好適な具体例において、プレポリマー混合物は<200℃、好ましくは<175℃の温度に冷却する。運搬部品を与えられた場合によっては冷却されたチューブまたは冷却された押出機の部品がこの目的に適する。外的に冷却されたツイン・スクリュー押出機における冷却が殊に好ましい。このことにより不十分な成分混合による反応中に生じる不均一が防止される。
【0029】
本発明によれば、プレポリマーは好ましくは最高5分以内に鎖長延長剤と激しく混合する。また高剪断エネルギーで操作される混合機例えば混合ヘッド、ノズルまたは小さい混合容積を有する高スピードスクリュー押出機がこの目的に好ましい。強い混合は両方のスクリューシャフトが同じ方向で回転するツイン・スクリュー押出機の混合部品により殊に好ましくは行われる。本工程の好適な変法において、対応するバレルは加熱もされず、冷却もされず;更に好適な変法においてはバレルは冷却される。
【0030】
得られる混合物はそのスクリューシャフトが好ましくは同じ方向に回転するツイン・スクリュー押出機中で準断熱反応条件下で溶融処理可能なポリウレタンに転化される。押出機のバレルはいずれかの特殊な媒質を用いて加熱もされず、冷却もされない。周囲への熱放射のみが起こる。このタイプの温度制御は「準断熱的」と呼び得る。この場合、TPUは均一な反応は常に保証されるが、達成される温度は生成物を害する程には高くない程度にそれ自身の反応の熱により加熱される。塊の温度は最初に上昇し、次に最高210〜240℃で少々降下するプロフィールに従う。
【0031】
本発明による工程を行う場合にツイン・スクリュー押出機において得られる温度プロフィールは計測され、そして押出機中に得られる温度が原料物質の反応性と関連するために生成物の特性を調整するための制御変数として使用し得る。高すぎる場合、特定の装置を用いての原料物質の十分な混合を保証することはできない。従って、不均一な反応生成物が得られる。反応性が低すぎる場合、押出機中のTPU製造は必要な転化率で行うことができない。押出機に供給される混合物の反応性を制御することにより一致した良好な生成物の品質が達成され得る。従ってまた、本発明は押出機中に得られる温度プロフィールを測定し、所定の所望の温度プロフィールと比較し、そして差異を押出機に供給される混合物の反応性を変えることにより補正する方法に関する。所望の温度プロフィールは例えば所望の特性を有する生成物が得られた試行実験により決め得る。押出機に供給される混合物の反応性は例えば触媒の計量導入または押出機に供給される混合物の温度、或いはその製造に用いられる成分を変えることにより調整し得る。かくて反応性は加える触媒の量を増加するか、または温度を上昇させることにより増加するか、或いは加える触媒の量を減少させるか、または温度を低下させることにより減少させ得る。
【0032】
本発明の方法により製造されるTPUは射出成型製品、フィルム、コーティング化合物または繊維に処理し得る。射出製品用途において、生成物は低い溶融温度での改善された離型特性に特徴があり、このことにより射出成型処理器が短いサイクル時間で用いることが可能となる。良好な均一性、優れた溶融特性及び極めて良好なフィルムバブルの安定性を有するフィルムを本発明により製造されるTPUから押出しにより製造することができる。全ての用途において、TPUの熱安定性は本発明による方法により顕著に改善される。
【0033】
【実施例】
次の実施例において、DSC測定(示差走査熱量法)の結果は記載される改善された離型特性の尺度として与えられる。結晶化温度Tcは再結晶能力と関連する(C.S. Schollenberger, Abstr. Pap. Am. Chem. 1979, 83; J. Foks et al.,
Eur. Pol. J. 25, 31)。
【0034】
DSC測定はPerkin Elmer製のDSC−7タイプの熱量計を用いて行った。TPU生成物は窒素媒質中にて20℃/分間で−70℃から260℃までで加熱し、次に40℃/分間で−70℃に冷却した。再結晶化は冷却時期における発熱信号から明らかになった。
【0035】
剪断モジュラス測定は射出成型バー上で行った。測定のためにRheometrics製のRDAタイプの装置を用いた。−125℃から約200℃で軟化するまでの温度範囲における1Hzの周波数で行った測定中に、温度は5Kの段階で上昇した。モジュラスが1MPa以下に降下する温度(形状安定性の損失)は熱安定性の尺度として与えられる。
【0036】
実施例において次の全体的な調製物を用いた:
ポリブタンジオール−1,4−アジペート(分子量約2200)1.0モル
1,4−ブタンジオール2.5モル
4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート3.5モル
ビス−エチレンステアリルアミド、TPUをベースとして0.7重量%
(押出機のバレル1に計量導入)
実施例1(本発明によらない方法)
ポリオールの全量をベースとして150ppmのジオクトン酸スズを触媒として溶解させたポリオールを140℃に加熱し、そしてZKS 83タイプの押出機(Werner/Pfleiderer)の第一バレル中に連続的に計量導入した。60℃に加熱した4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートの全量を同じバレル中に計量導入した。1,4−ブタンジオールを連続的にバレル5中に運搬した。150℃から240℃に上昇する温度プロフィールを13バレルに対して予備設定した。スクリュー速度は300rpmであった。計量速度をZKS中での反応成分の滞留時間が約1分間になるように調整した。スクリューの末端で、熱溶融物を押出物として引き出し、水浴中で冷却し、そして造粒した。
【0037】
実施例2(本発明によらない方法)
ポリオールの全量をベースとして140ppmのジオクトン酸スズを触媒として溶解させたポリオールを160℃に加熱し、そして3つの静的混合機(Sulzer)を有するチューブ中に連続的に計量導入した。同時に、60℃に加熱した部分量1(=2.45モル)の4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートをチューブ中にポンプで導入した。静的混合機を有するチューブ中での滞留時間は30秒であった。ポリエステルをベースとして98モル%の生じたプレポリマーを転化した。部分量2(=1.05モル)の4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートを4番目の下流の静的混合機(Sulzer)によりプレポリマー中にて5秒以内で混合した。反応混合物をZKS 83タイプの押出機のバレル1中に計量導入し、そしてそこで実施例1と同様に続いてのバレル中で約220℃に加熱した。バレル6下において短い、激しく混合した混合部品によりプレポリマー中に混合された1,4−ブタンジオールをバレル5中に計量導入した。スクリューの最終部分において、反応成分をTPUに転化した。押出機のバレルの温度を240℃に調整した。スクリュー速度は300rpmであった。スクリューの末端で、熱溶融物を押出物として引き出し、水浴中で冷却し、そして造粒した。
【0038】
実施例3(本発明による)
プレポリマーを実施例2と同様に製造した。次にプレポリマーを押出機の最初の部分(バレル1〜3)中で冷却した。バレル6下において短い、激しく混合した混合部品によりプレポリマー中に混合された1,4−ブタンジオールをバレル5中に計量導入した。1,4−ブタンジオールの添加及びTPUへの反応は準断熱条件下で行った。
【0039】
実施例4(本発明による)
プレポリマーを実施例2と同様に製造した。1,4−ブタンジオールをバレル5中に計量導入した。押出機の最初の部分(バレル1〜5)を冷却し、その後、TPUへの反応を準断熱条件下で行った。
【0040】
実施例において押出機バレルに対して予備設定した温度プロフィールを表1に示す。
【0041】
実施例5(本発明によらない)
調製物:ポリプロピレンエーテルグリコール(分子量=2000)0.4モルポリテトラメチレンエーテルグリコール(分子量=1000)0.6モル
1,4−ブタンジオール1.84モル
1,6−ヘキサンジオール0.08モル
4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート2.92モル
ビス−エチレンステアリルアミド0.7重量%(TPUをベース)
(ZKSバレル1に計量導入)
ポリオールの全量をベースとして140ppmのジオクトン酸スズを触媒として溶解させた重合体混合物を200℃に加熱し、そしてチューブ状混合機(撹拌速度300rpm)中に連続的に計量導入した。同時に、60℃に加熱した部分量1(=2.28モル)の4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートをチューブ状混合機中にポンプ導入した。チューブ状混合機中での滞留時間は60秒であった。
【0042】
ポリオールをベースとして97モル%の生じたプレポリマーを転化した。部分量2(=0.64モル)の4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートを静的混合機(Sulzer)によりプレポリマー中にて5秒以内で混合した。反応混合物をZKS 120タイプの押出機のバレル1中に計量導入し、そしてそこで実施例1と同様に続いてのバレル中で約180℃に加熱した。バレル4下において短い、激しく混合した混合部品によりプレポリマー中に混合されたブタンジオール/ヘキサンジオール混合物をバレル3中に計量導入した。スクリューの最終部分において、反応成分をTPUに転化した。押出機のバレルの温度を240〜250℃に調整した。スクリュー速度は300rpmであった。スクリューの末端で、熱溶融物を押出物として引き出し、水浴中で冷却し、そして造粒した。
【0043】
実施例6(本発明による)
調製物及びプレポリマー製造は実施例5と同様であった。次にプレポリマーを押出機の最初の部分(バレル1〜3)中で冷却した。ブタンジオール/ヘキサンジオール混合物の添加は再び実施例5と同様に行った。TPUへの反応は準断熱条件下で行った。
【0044】
ブロー・フィルムの製造
TPU粒子をBrabender製の30/25D Plasticorder PL 2000-6タイプのシングル・スクリュー押出機(供給3kg/時間;温度185〜205℃) 中で溶融し、そしてフィルム−ブロー用ダイを通してブロー・フィルムに押し出した。
【0045】
射出成型体の製造
TPU粒子をMannesmann製のD60タイプ(32スクリュー)の射出成型押出機(マス温度約225℃)中で溶融し、そしてバー(成型温度40℃;バーサイズ80x10x4mm)に成型した。
【0046】
実施例で得られた生成物のデータを表2に要約する。本発明による実施例は静的混合機中での押出機バレルまたはプレポリマー調製物により予備設定された温度に続いて予備設定された温度プロフィールを有する押出機中で反応させるプレポリマー工程と比較して顕著に改善された熱安定性及び高い再結晶温度を示した。これにより射出成型体のより迅速な硬化が生じる。加えて、最適反応条件からみてフィルムの均一性が改善された。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
本発明の主なる特徴及び態様は以下のとおりである。
【0050】
1.A)イソシアネート末端化されたプレポリマーを200℃より低い温度で鎖長延長剤と激しく混合して反応混合物を生成させ;そして
B)反応混合物をツイン・スクリュー押出機中にて準断熱反応条件下で溶融処理可能なポリウレタンに転化させる工程からなる、溶融処理可能なポリウレタンの連続的製造方法。
【0051】
2.工程A)の混合を5秒以内で行う、上記1に記載の方法。
【0052】
3.ツイン・スクリュー押出機が同じ方向で回転するスクリューシャフトを含む、上記1に記載の方法。
【0053】
4.イソシアネート末端化されたプレポリマーを
a)500〜5000の平均分子量Mnを有する直鎖状のヒドロキシル末端化されたポリオールを有機ジイソシアネートと混合してプレポリマー反応混合物を生成させ;
b)プレポリマー反応混合物を、反応器中にて120℃より高い温度で工程a)でのポリオールを基準として90重量%より高い転化割合でイソシアネート末端化されたプレポリマーに連続的に転化させ;そして
c)イソシアネート末端化されたプレポリマーを200℃より低い温度に冷却する工程からなる方法により製造する、上記1に記載の方法。
【0054】
5.イソシアネート末端化されたプレポリマーの製造方法が更に工程b)及び工程c)の間で更にジイソシアネートを添加することを含む、上記4に記載の方法。
【0055】
6.ツイン・スクリュー押出機が冷却されるか、または加熱されないバレルを含む、上記1に記載の方法。
【0056】
7.工程A)における激しい混合が高剪断エネルギー混合機により行われる、上記1に記載の方法。
【0057】
8.工程B)のツイン・スクリュー押出機を更に工程A)の高剪断エネルギー混合機として操作する、上記7に記載の方法。
【0058】
9.高剪断エネルギー混合機が場合によってはチューブ中で操作される混合ヘッド、ノズル、押出機の混合部品またはその組合せである、上記7に記載の方法。
【0059】
10.イソシアネート末端化されたプレポリマーが混合A)において鎖長延長剤と激しく混合される前に175℃より低い温度を有する、上記1に記載の方法。
【0060】
11.工程B)における反応混合物の温度が≦240℃である、上記1に記載の方法。
【0061】
12.更に連鎖停止剤、離型助剤、触媒、補助剤、添加剤、またはその混合物を反応混合物に添加することを含む、上記1に記載の方法。
【0062】
13.溶融処理可能なポリウレタンがNCO−反応基の合計に対して0.9:1.0〜1.1:1.0のNCO基の等価比を有する、上記1に記載の方法。
【0063】
14.更に
C)ツインスクリュー押出機中での反応混合物の温度プロフィールを測定し、D)工程C)の温度プロフィールを所定の温度プロフィールと比較し、そしてE)工程D)の測定された温度プロフィールと温度プロフィールとの比較に基づいて反応混合物の反応性を調整する工程からなる、上記1に記載の方法。
【0064】
15.反応混合物の反応性を反応混合物の温度を変化させ、そして/または好ましくは溶融処理可能なポリウレタンの製造に用いる触媒の量を変えることにより反応体の反応性を変化させる工程により調整する、上記14に記載の方法。
【0065】
16.上記1に記載の方法により製造される溶融処理可能なポリウレタン。
【0066】
17.上記16に記載の溶融処理可能なポリウレタンから製造される射出成型製品、押出フィルム、繊維、またはコーティング化合物。
Claims (1)
- A)イソシアネート末端化されたプレポリマーを200℃より低い温度で鎖長延長剤と混合して反応混合物を生成させ;そして
B)反応混合物をツイン・スクリュー押出機中にて準断熱反応条件下で溶融処理可能なポリウレタンに転化させる工程からなる、ただし、該準断熱反応条件下とは、押出機のバレルが何等かの媒質によって加熱も冷却もされないこと即ち温度が外的に予備設定されないこと、反応混合物の温度が反応熱とは別の押出機のシヤフトによる機械的エネルギーの入力及びバレルからの熱放射によってのみ影響されること、及び塊の温度が最高210〜240℃であることを意味する、
ことを特徴とする溶融処理可能なポリウレタンの連続的製造方法。
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