JP4162198B2 - 電気かみそり - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、かみそりヘッドの内部に紫外線照射灯(以下単にUV灯と言う)が組み込んである電気かみそりに関する。
【0002】
【従来の技術】
かみそりヘッドの内部にUV灯を組み込むことは公知である(特許文献1参照)。そこでは、外刃保護キャップの着脱に連動してオン・オフする安全スイッチを設けておき、外刃保護キャップをかみそりヘッドから取り外した状態では、安全スイッチがオフ状態に切り換わって、UV灯を点灯できないようにしてある。
【0003】
この発明では、毛屑室の周壁や、内刃、あるいは外刃の表面に光触媒膜を形成し、光触媒膜の有機物分解作用や抗菌作用によって、毛屑室の内部を衛生的な状態に保持するが、この種の技術は公知である(特許文献2、および特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
実公平6−1113号公報(第2ページ、第2図)
【特許文献2】
特開平11−216276号公報(段落番号0038−0042、図1)
【特許文献3】
特開2000−94564号公報(段落番号0044−0046、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かみそりヘッドの内部にUV灯を組み込んだ先の電気かみそりによれば、外刃保護キャップがかみそりヘッドに装着されて、安全スイッチがオン状態に切り換わり、メインスイッチがオフ状態にあって、点灯スイッチがオン操作された場合にのみUV灯を点灯できる。従って、ひげそり途中にうっかりして点灯スイッチをオン操作することがあっても、UV灯が点灯することはない。
【0006】
問題は、外刃保護キャップの装着や、点灯スイッチの切り換えなど、一連の手順を経ない限りはUV灯を点灯できないので、常に電気かみそりの衛生状態に気配りできる几帳面な使用者である場合はともかく、そうでない使用者の場合には、殺菌機能を有効に利用していないことが多い。UV灯を点灯して一定時間が経過した後、点灯スイッチをオフ操作してUV灯を消灯しなければならない点も、使用上の煩わしさを倍化させている。
【0007】
この発明の目的は、UV灯の点灯および消灯はもちろんのこと、点灯の可否確認などUV灯を使用するうえで必要な全ての制御が電気かみそり側で自動的に行え、従って使用者の手間を掛けず、毛屑室の内部の殺菌を確実に行える電気かみそりを提供することにある。この発明の目的は、必要に応じてUV灯の表面をクリーニングして、紫外線を確実に照射できる電気かみそりを提供することにある。
【0008】
この発明の目的は、UV灯で殺菌を行うとき、内刃や毛屑室内の可動部品を駆動しながら殺菌でき、従って内刃や毛屑室内の可動部品の隅々にまで紫外線を照射して、確実に殺菌できる電気かみそりを提供することにある。
【0009】
この発明の目的は、紫外線による殺菌作用に加えて、毛屑室の内部の有機物を光触媒によって分解でき、従って有機物の酸化や発酵に伴う異臭の発生を解消できる電気かみそりを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明の電気かみそりは、本体ケース1にモーター2への通電状態を切り換えるメインスイッチ10が設けられており、かみそりヘッド5の毛屑室14内に紫外光を照射する紫外線照射灯17が配置してある。メインスイッチ10の切り換え動作に連動して紫外線照射灯17が自動的に点灯し、一定時間が経過した後に消灯できるようにする。(請求項1)
【0012】
具体的には、メインスイッチ10のオフ動作に連動して紫外線照射灯17を所定時間点灯できるようにする。(請求項2)
【0013】
メインスイッチ10がオフ状態に切り換わった後、一定の待機時間Wが経過してから紫外線照射灯17を点灯し、所定時間点灯できるようにする。(請求項3)
【0014】
紫外線照射灯17が点灯している状態において、外刃ホルダー13がヘッドフレーム12から取り外されたことを検知して、紫外線照射灯17を消灯できるようにする。(請求項4)
【0015】
かみそりヘッド5に、外刃ホルダー13の着脱に連動してオン・オフいずれかに切り換わる安全スイッチ16を設ける。本体ケース1の内部に、メインスイッチ10および安全スイッチ16の切り換え状態を検知する検知回路20を設ける。検知回路20からの出力信号を受けて、紫外線照射灯17が自動的に点灯し、一定時間が経過した後に消灯できるようにする。(請求項5)
【0016】
本体ケース1の内部に、検知回路20とタイマー回路21とを設ける。タイマー回路21は、検知回路20からの出力信号を受けて紫外線照射灯17を点灯し、一定時間が経過したのち消灯する。(請求項6)
【0017】
本体ケース1の内部に、モーター2を駆動する2次電池3が配置してある電気かみそりにおいて、2次電池3に充電電流が印加されたことを検知して紫外線照射灯17を点灯できるようにする。(請求項7)
【0018】
紫外線照射灯17が点灯している状態において、内刃7を低速度で駆動できるように構成する。(請求項1)
【0019】
かみそりヘッド5には、紫外線照射灯17の表面に付着した毛屑を拭式清掃する清掃手段を設けることができる。(請求項8)
【0020】
清掃手段が回転自在に軸支されたブラシ体32からなり、このブラシ体32が、内刃7を回転駆動する伝動機構8の動力を利用して回転駆動される。(請求項9)
【0021】
毛屑室14の周囲壁には、紫外線照射灯17の点灯状態を確認する視認窓18を設けることができる。(請求項10)
【0022】
外刃6の表面と、内刃7の表面と、毛屑室14の内周面との少なくともひとつに、光触媒膜を形成することができる。(請求項11)
【0023】
紫外線照射灯17から発光される光のピーク波長は近紫外光領域にある。(請求項12)
【0026】
【発明の作用効果】
この発明では、メインスイッチ10の切り換え動作に連動して紫外線照射灯17を自動的に点灯できるようにするので、紫外線照射灯17の制御を電気かみそり側で自動的に行え、従って使用者の手間を一切必要とせずに、毛屑室の内部の殺菌を確実に行える。
【0027】
メインスイッチ10のオフ動作に連動して紫外線照射灯17を所定時間点灯できるようにすると、紫外線照射灯17の点灯制御を電気かみそり側で自動的に行えるうえ、従来避けられなかった、紫外線照射灯17の消し忘れを一掃でき、従って使用者の手間を一切必要とせずに、毛屑室の内部の殺菌を確実に行える。さらに、電気かみそり使用中は紫外線照射灯17が消灯しているので、紫外線による皮膚への悪影響を防止できる。
【0028】
メインスイッチ10がオフ状態に切り換わった後、一定の待機時間Wが経過してから紫外線照射灯17を点灯し、所定時間点灯できるようにした電気かみそりによれば、メインスイッチ10が短い時間間隔で繰り返しオン・オフ操作されるような場合にも、紫外線照射灯17の点灯開始時期を遅らせて一定時間待機させることができるので、紫外線照射灯17の無駄な点灯・消灯を避けることができる。紫外線照射灯17によっては、無駄な点灯・消灯がない分だけ寿命を延ばすことができる。
【0029】
紫外線照射灯17が点灯している状態において、外刃ホルダー13がヘッドフレーム12から取り外されたことを検知して、紫外線照射灯17を消灯できるようにした電気かみそりによれば、外刃ホルダー13が取り外された状態、即ち紫外線照射灯17が剥き出しになった状態で点灯されるのを確実に防止して、使用者が紫外光に晒されるのを確実に阻止できる。
【0030】
本体ケース1の内部に、メインスイッチ10および安全スイッチ16の切り換え状態を検知する検知回路20を設けておき、検知回路20からの出力信号を受けて紫外線照射灯17を自動的に点灯し、一定時間が経過した後に消灯できるようにした電気かみそりによれば、紫外線照射灯17の点灯、および消灯を正確に制御できるうえ、誤って外刃ホルダー13を取り外してしまった場合に、安全スイッチ16からの信号により紫外線照射灯17を強制的に消灯して使用者の安全を確保できる。
【0031】
検知回路20とタイマー回路21とを備えていて、検知回路20からの出力信号を受けたタイマー回路21で紫外線照射灯17を点灯し、一定時間が経過したのち紫外線照射灯17を消灯できるようにした電気かみそりによれば、タイマー回路21によって紫外線照射灯17の点灯時間を正確に制御できる。メインスイッチ10が短い時間間隔で繰り返しオン・オフ操作されるような場合には、紫外線照射灯17の点灯開始時期をタイマー回路21で一定時間待機させることにより、紫外線照射灯17の無駄な点灯・消灯を避けることができる。
【0032】
2次電池3に充電電流が印加されたことを検知して紫外線照射灯17を点灯できるようにすると、時間を充分に掛けて連続的に殺菌できるうえ、充電電流で紫外線照射灯17を点灯できるので、2次電池3の消耗を気にする必要もなく殺菌を行える。
【0033】
内刃7を低速度で駆動しながら紫外線照射灯17で殺菌を行うと、紫外線照射灯17の照射光に対する内刃7の位置および姿勢を連続的に変化させながら殺菌できるので、内刃7の表面を満遍なく殺菌できるうえ、内刃7が動くことによって外刃6に到達する紫外光の量を増やすことができる。内刃7を通常の駆動速度より低速で駆動するので、電池の消耗を押さえることができる。
【0034】
かみそりヘッド5に、紫外線照射灯17用の清掃手段が設けてあると、必要に応じて清掃手段で紫外線照射灯17の表面に付着した毛屑を除去できるので、内刃7や外刃6、あるいは毛屑室14の内周壁に対する紫外光の到達度を高めて殺菌効果を向上できる。
【0035】
内刃7用の伝動機構8の動力を利用して回転駆動されるブラシ体32で、紫外線照射灯17の表面に付着した毛屑を拭式除去すると、ひげそりと同時に紫外線照射灯17の清掃を自動的に行うことができる。しかも、電気かみそりを使い終わった時点では、紫外線照射灯17の表面から毛屑などが除去されているので、常に適正な状態で紫外線照射灯17を使用でき、紫外光の照射効率が高い分だけ殺菌効果が向上する。
【0036】
毛屑室14の周囲壁に視認窓18を設けると、かみそりヘッド5の外部から紫外線照射灯17の点灯状態を確認し、あるいは毛屑室14内の毛屑の量などを確認できるので、これらの確認作業が外刃ホルダー13を着脱する手間を省いて簡便に行える。
【0037】
外刃6の表面、内刃7の表面、毛屑室14の内周面等に光触媒膜が形成してあると、紫外線照射灯17による殺菌作用に加えて、光触媒膜の有機物分解作用によっても毛屑室14内の有機物を分解できるので、毛屑室14内をさらに衛生的な状態に維持できる。有機物の酸化や発酵に伴う異臭の発生も解消できる。紫外線照射灯17から照射される紫外光を利用して光触媒膜を活性化するので、別途紫外線照射灯を用意する必要がなく、その分だけかみそりヘッドの構造を簡素化できる。
【0038】
紫外線照射灯17から発光される光のピーク波長が近紫外光領域にあると、高い殺菌効果が得られるので、紫外線照射灯17の点灯時間を短くでき、その分だけ電池の消耗を抑止できる。
【0039】
充電器に装填した電気かみそりの外刃6と対向する位置に紫外線照射灯47を配置し、充電に並行して紫外線照射灯47を点灯できるようにすると、外刃6や複数の外刃の間に設けたセンタートリマーなどの表面を紫外光に晒して殺菌できる。とくに、毛屑室14内に紫外線照射灯17が設けてある電気かみそりの場合には、外刃6の内外両面に紫外光を照射して効果的に殺菌できる。
【0040】
充電器のベース40にセンサー45を設けておき、電気かみそりが充電器に装填されたことをセンサー45で検知し、その検知信号に基づいて紫外線照射灯47を点灯できるようにすると、紫外線照射灯47を自動的に点灯でき、充電終了と同時に消灯できるので、使用者の手間を一切必要とせずに、外刃6の殺菌を確実に行える。
【0041】
【実施例】
(実施例1) 図1ないし図5はこの発明に係る電気かみそりの実施例を示す。図3および図4において電気かみそりは、モーター2、2次電池3、および回路基板4などを収容する本体ケース1と、本体ケース1の上部に設けたかみそりヘッド5とで構成してある。
【0042】
かみそりヘッド5には、薄板状の外刃6と、横軸周りに回転するロータリー式の内刃7と、モーター動力を内刃7へ伝える伝動機構8(図4参照)などが設けてある。本体ケース1の前面側にはメインスイッチ10が、後面上部にはきわぞり刃ユニット11が設けてある。
【0043】
図5において、かみそりヘッド5の内部には、ヘッドフレーム12と外刃ホルダー13とで毛屑室14が区画形成されており、内外の両刃6・7で切断した毛屑を毛屑室14内に一時的に貯留できる。外刃ホルダー13はヘッドフレーム12に対して着脱可能に装着してあり、この着脱動作に連動してオン・オフする安全スイッチ16がヘッドフレーム12に組み込んである。外刃ホルダー13をヘッドフレーム12から取り外すと、安全スイッチ16の押しボタン16aがフレーム上面へ突出してオフ状態に切り換わる。安全スイッチ16がオン状態のとき、つまり、ヘッドフレーム12に対して外刃ホルダー13がしっかり装着されているときに、メインスイッチ10をオン動作すると2次電池3の電力によりモーター2(内刃7)が回転し、ひげそりを行うことができる。
【0044】
内刃7や毛屑室14の内周壁を紫外線で殺菌するために、ヘッドフレーム12の上面前後にUV灯(紫外線照射灯)17が設けられている。UV灯17は紫外線発光ダイオードからなり、波長が350〜370nmの紫外光を照射できる。UV灯17の点灯状況を確認するために、外刃ホルダー13の前壁上部に視認窓18が設けられている。視認窓18は紫外線を遮断できるコーティングガラスで形成してある。
【0045】
ひげそりを終了した後に、UV灯17を自動的に点灯して毛屑室14内を殺菌するために、本体ケース1内の回路基板4に、図1に示す点灯制御回路が組み込んである。この点灯制御回路は、メインスイッチ10および安全スイッチ16のオン・オフ状態を検知する検知回路20と、検知回路20からの出力信号を受けて作動するタイマー回路21とを備えており、先の両スイッチ10・16の状態に応じてUV灯17を点灯させ、あるいは消灯させる。22は安全スイッチ16の電圧状態を検知する入力端子、23はメインスイッチ10の電圧状態を検知する入力端子である。
【0046】
点灯制御回路は、基本的に外刃ホルダー13がヘッドフレーム12に装着されて、安全スイッチ16がオン状態にあり、それまでオン状態にあったメインスイッチ10がオフ状態に切り換わると、入力端子23における電圧状態の変化を検知回路20で検知してUV灯17を点灯し、毛屑室14内に臨む内刃7、外刃6、および毛屑室14の内周壁に紫外線を照射して、毛屑や皮脂に付着している雑菌等を殺菌する。さらに、点灯開始から一定時間(例えば30分)が経過したことをタイマー回路21で判定して、UV灯17を消灯する(図2参照)。
【0047】
メインスイッチ10はひげそりが終了した時点でオフ操作するが、そり残したひげを剃るために、再度オン操作することがある。こうした状況では、ひげそりが終了して一定の待機時間W(数分)が経過してから、UV灯17を点灯することが好ましい。具体的には、タイマー回路21の入力部に遅延回路(チャタリング防止回路)を設け、待機時間Wが経過するまでUV灯17を点灯させないようにしている(図2参照)。
【0048】
UV灯17を点灯している最中に、外刃ホルダー13がヘッドフレーム12から取り外されることがある。その場合には、安全スイッチ16がオフ状態に切り換わって、入力端子22の電圧状態が変化し、そのことを検知回路20で検知して、強制停止信号をタイマー回路21へ出力するので、UV灯17は強制的に即時に消灯される。再び外刃ホルダー13を取り付けると、タイマー回路21で計時していた残りの時間だけUV灯17が点灯する。
【0049】
因みに、メインスイッチ10がオフ、安全スイッチ16がオンのとき、入力端子22の電圧はGND状態になっている。この状態から外刃ホルダー13をヘッドフレーム12から取り外して、毛屑室14内を清掃することがある。その場合には、外刃ホルダー13をヘッドフレーム12から取り外すのと同時に、安全スイッチ16がオフ状態に切り換わり、入力端子22における電圧状態がプルアップ抵抗24で規定される電圧にまで上昇し、この電圧変化を検知回路20で検知できるので、UV灯17が点灯されることはない。
【0050】
清掃が終わった後、外刃ホルダー13をヘッドフレーム12に再装着すると、安全スイッチ16がオン状態に切り換わり、入力端子22における電圧状態がGND状態に復帰する。この立ち下がりの電圧を検知回路20が検知したとき、メインスイッチ10のオン・オフの切り換え動作がなくとも、それまで消灯していたUV灯17が点灯することになる。このとき、UV灯17はメインスイッチ10のオフ後と同じ図2で示される動作で点灯・消灯する。このように、毛屑室14を清掃した後にUV灯17を点灯して殺菌を行うと、内刃7、外刃6、あるいは毛屑室14の内周壁を、毛屑に邪魔されることなく紫外光に暴露でき、その分だけ効果的に殺菌できる。
【0051】
(実施例2) 2次電池3を充電する場合には、図9に示す充電器を用いて行う。すなわち、充電器のソケット(出力端子)46を図8に示す電気かみそりの入力プラグ(入力端子)9に電気的に接続し、ソケット46から低電圧の充電電流を電気かみそりの入力プラグ9に印可すると、本体ケース1に内蔵された2次電池3が充電される。接続部は有接点方式、無接点方式どちらの方式であってもよい。このとき、OR回路(図8参照)の入力端子に充電信号が入力されタイマー回路21が駆動するので、2次電池3の充電と同時にUV灯17を点灯することができる。UV灯17は、充電電流の印加に伴う充電信号によって点灯を開始し、しかも充電電流の電力によって点灯するので、2次電池3の消耗を気にすることなく時間を充分に掛けて連続的に殺菌できる。
【0052】
具体的には、タイマー回路21に関して、本実施例ではタイマー回路21に短い時間設定(例えば点灯時間は30分)のオン・オフ時点灯用タイマーと長い時間設定(例えば点灯時間は50分)の充電時点灯用タイマーの2つのタイマーを備えており、メインスイッチ10のオフ動作を検知したときは、オン・オフ時点灯用タイマーを駆動し、充電電流或いは充電状態を検知したときは、充電時点灯用タイマーを駆動するようにして、充電中におけるUV灯17の点灯をできるだけ長くしている。なお、本実施例の充電回路は、2次電池3が1時間で満充電となるよう構成されている。
【0053】
また、時間を充分に掛けて連続的に殺菌するために、UV灯17の点灯後は、タイマーではなく2次電池3の充電終了時にUV灯17を消灯するようにしてもよい。充電終了時とは、2次電池3が所定の電圧状態になったことを充電回路によって検知し、この検知信号に基づき充電電流が遮断されたとき、若しくは、電気かみそりが電源アダプター(充電器)から分離されて、両者間の電気的な接続が遮断されたときのいずれであってもよい。
【0054】
髭を剃る場合は、実施例1と同様にメインスイッチ10をオン操作し、モーター2を駆動することで行うが、ひげそり終了後にメインスイッチ10をオフ動作したときは、そのオフ信号が検知回路20の入力端子に入り、この信号と安全スイッチ16のオン信号のアンドをとった信号がOR回路に入力されることで、タイマー21(オン・オフ時点灯用タイマー)が駆動してUV灯17が設定された時間点灯する。
【0055】
UV灯17を点灯して殺菌を行っているとき内刃7を回転駆動すると、その表面の隅々にまで紫外光を照射でき効果的な殺菌を行えることから、UV灯17が点灯しているときは、モーター2、すなわち内刃7を短時間でも回転させる方が好ましい。そこで、本実施例ではメインスイッチ10がオフ状態であってもモーター2を所定時間回転するために、OR回路に接続されたタイマー回路34、パルス発生回路35、スイッチング回路等からなるモーター駆動回路を設けている(図8参照)。これによって、UV灯17の点灯開始と同時にモーター2を回転することができるとともにタイマー回路34の設定時間が経過するとモーター2を停止することができる。タイマー回路34の時間設定は、消費電力を考慮して、どの条件のUV灯17の点灯時間よりも短い5分間としている。それでも通常の運転状態と同じ回転数で内刃7を回転駆動すると、消費電力による負担が大きいし、騒音の問題もある。そこでさらに本実施例では、内刃7をゆっくりと回転駆動することにより効果的に殺菌でき、電力消費や騒音も押さえられるようにした。
【0056】
具体的には、図8に示すようにUV灯17用のタイマー回路21とは別に、モーター2を低速で駆動するためのタイマー回路34を設け、その出力側にパルス発生回路35を設けて、UV灯17の点灯条件が満足された状態において、パルス発生回路35から出力されるパルス電流でモーター2を低速駆動できるようにした。例えば、内刃7の通常の駆動回転数が2000rpmであるとき、内刃7を400rpmで駆動するようにした。
【0057】
(実施例3) 通常の使用状態において、毛屑室14内に設けたUV灯17の表面には毛屑が付着しており、照射した紫外光が毛屑で遮られて効果的な殺菌を行えないことがある。このような毛屑による光遮蔽を解消するために、かみそりヘッド5に清掃手段を付加することができる。
【0058】
例えば図6に示すように、門形のブラシ枠26を外刃ホルダー13の一側壁に左右スライド自在に組み付け、ブラシ枠26を圧縮コイル形のばね27で外向きに押し出し付勢する。前後一対のブラシ腕28の先端には、UV灯17の表面を清掃するためのブラシ29が固定されている。UV灯17が点灯される前に、ブラシ枠26をばね27に逆らって、数回押し込み操作すると、ブラシ29がUV灯17の表面に接触して、そこに付着している毛屑を拭式除去できるので、効果的に紫外光を照射できる。
【0059】
(実施例4) 図7は清掃手段の別の実施例を示す。そこでは、左右一対の側枠31でブラシ体32を回転自在に軸支し、内刃7を駆動する伝動機構8から分岐した動力でブラシ体32を回転駆動する。側枠31は、ヘッドフレーム12の両側に立設されて内刃7を軸支しており、その片方の内部に先の伝動機構8が収容してある。ブラシ体32は軸体33と、軸体33に固定したブラシ29とからなり、内刃7が回転駆動されるとき、同じ方向に回転駆動されてUV灯17の表面に付着した毛屑をブラシ29で払い落とすことができる。
【0060】
(実施例5) 紫外光による殺菌効果に加えて、光触媒膜の有機物分解作用によって、毛屑室の内部を衛生的な状態に保持することができる。具体的には、外刃6および内刃7の表面、および毛屑室14の内周壁のそれぞれに光触媒膜を形成し、皮脂や汗などに含まれる有機物を光触媒膜で分解して、有機物の腐敗等による異臭の発生を防ぐ。
【0061】
光触媒膜は、酸化チタン、硫化カドミウム、硫化亜鉛、ニオブ、酸化第2鉄のいずれかひとつの光触媒材を含有する被膜からなり、スパッタリング、蒸着、CVD法、PVD法、電着法、あるいは塗布によって形成することができる。内刃7や外刃6等に光触媒材を塗布して光触媒膜を形成する場合には、例えば、酸化チタンゾル、無機コーティング材、硬化触媒を混合して得られる光触媒無機コーティング材を塗布し、常温であるいは数百度の熱を加えて硬化させて形成する。酸化チタンとしては、アナターゼ結晶形の二酸化チタンが好ましいが、銅、銀、白金、その他の金属でメタライズしたルチル形の二酸化チタンであってもよい。なお、光触媒材を含む懸濁液の塗付手段としては、ディップ法、スプレー法、静電印刷、インクジェット、タンポ印刷、スピンコーティングなどを適用できる。
【0062】
上記の光触媒膜は、近紫外光を照射することにより活性化されて有機物分解作用を発揮する。先に説明したように、毛屑室14に設けたUV灯17は、波長が350〜370nmの近紫外光を放射できる。この近紫外光は光触媒膜を活性化することにも役立っており、従って近紫外光で毛屑や皮脂に付着している雑菌等を殺菌しながら、同時に光触媒膜によって有機物を分解できる。外刃に二酸化チタンをコートし、2cmの距離を隔てて紫外線発光ダイオードを照射した試験の結果、黄色ブドウ球菌、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌等の細菌の数が、照射開始1時間後に1/30に減少した。
【0063】
毛屑室14の内周壁の殆どは、プラスチック成形された外刃ホルダー13、およびヘッドフレーム12で占められているので、これらに関しては光触媒膜を形成することに代えて、光触媒粒子を成形素材に混入して有機物分解作用を発揮させることができる。
【0064】
図9および図10は、主として、かみそりヘッド5の外刃6を殺菌できるようにした充電器の実施例を示す。図10において充電器は、左右に長いL字状のベース40と、ベース40に対して軸41を介して揺動可能に軸支されるキャップ42とを外郭体にして構成されている。図9においてベース40の内部には、トランス43、整流器44、電気かみそりがベース40に装填されたことを検知するスイッチ(センサー)45、電気かみそりの入力プラグ9が接続されるソケット46などが組み込んである。図10で示す電気かみそりには、図8で示す回路が内蔵されており、基本的に実施例2と同様な動作を行うことができる。
【0065】
キャップ42には、外刃6に紫外光を照射するUV灯47と、紫外光の漏洩を防ぐシリコンゴム製のシールド筒48が設けてある。キャップ42は、軸41に外嵌したばね49で、UV灯47がかみそりヘッド5と正対する姿勢に揺動付勢してあり、ばね49に抗してキャップ42を想像線で示す退避姿勢にすると、電気かみそりをベース40に載置できる。このとき、スイッチ45がオン状態に切り換わるので、この後、充電器の電源プラグを交流電源に接続することにより、UV灯47を点灯できる。充電時には、毛屑室14の内部に設けたUV灯17も同時に点灯して、内刃7や外刃6を内外両面から同時に殺菌できるので、さらに効果的な殺菌を行える。ベース40から電気かみそりを取り外すとスイッチ45がオフされるので、キャップ42に設けたUV灯47は消灯する。
【0066】
上記のように、充電器の充電作用を利用してUV灯17・47を点灯させると、2次電池3の消耗を気にする必要もなく殺菌を行えるので、時間を充分に掛けて連続的に毛屑室14内や内刃7、外刃6の内外両面を殺菌できる。必要があれば、きわぞり刃ユニット11と正対する位置に別のUV灯を設けておいて、きわぞり刃を同時に殺菌することができる。きわぞり刃に先の光触媒膜を形成してもよい。
【0067】
上記の実施例以外に、この発明は往復動式の内刃や回転内刃を備えている電気かみそりにも適用できる。UV灯17は毛屑室14内の任意の位置に任意の向きで配置でき、毛屑室14内に少なくとも1個配置してあればよい。UV灯17は紫外線発光ダイオード以外に、水銀ランプ、ブラックライト、ハロゲン電球等を適用できる。充電器におけるスイッチ45は、リードスイッチや光センサーなどのセンサーであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】紫外線照射灯の点灯制御回路を示す回路図である。
【図2】スイッチと紫外線照射灯の点灯状態を示すタイミングチャートである。
【図3】電気かみそりの正面図である。
【図4】かみそりヘッドの一部破断正面図である。
【図5】かみそりヘッドの縦断側面図である。
【図6】実施例3に係るかみそりヘッドの横断平面図である。
【図7】実施例4に係るかみそりヘッドの縦断側面図である。
【図8】実施例5に係る電気かみそりの点灯制御回路を示す回路図である。
【図9】充電器に設けた紫外線照射灯の点灯制御回路を示す回路図である。
【図10】充電器の正面図である。
【符号の説明】
1 本体ケース
2 モーター
5 かみそりヘッド
6 外刃
7 内刃
10 メインスイッチ
12 ヘッドフレーム
13 外刃ホルダー
14 毛屑室
16 安全スイッチ
17 紫外線照射灯
20 検知回路
21 タイマー回路
40 ベース
45 センサー
47 紫外線照射灯
Claims (12)
- 本体ケース(1)にモーター(2)への通電状態を切り換えるメインスイッチ(10)が設けられており、かみそりヘッド(5)の毛屑室(14)内に紫外光を照射する紫外線照射灯(17)が配置してある電気かみそりであって、
メインスイッチ(10)の切り換え動作に連動して紫外線照射灯(17)が自動的に点灯し、一定時間が経過した後に消灯できるようになっており、
紫外線照射灯(17)が点灯している状態において、内刃(7)を低速度で駆動できるようにしたことを特徴とする電気かみそり。 - メインスイッチ(10)のオフ動作に連動して紫外線照射灯(17)を所定時間点灯できる請求項1記載の電気かみそり。
- メインスイッチ(10)がオフ状態に切り換わった後、一定の待機時間(W)が経過してから紫外線照射灯(17)を点灯し、所定時間点灯できる請求項1または2記載の電気かみそり。
- 紫外線照射灯(17)が点灯している状態において、外刃ホルダー(13)がヘッドフレーム(12)から取り外されたことを検知して、紫外線照射灯(17)を消灯できる請求項1または2または3記載の電気かみそり。
- かみそりヘッド(5)に、外刃ホルダー(13)の着脱に連動してオン・オフいずれかに切り換わる安全スイッチ(16)が設けられており、
本体ケース(1)の内部に、メインスイッチ(10)および安全スイッチ(16)の切り換え状態を検知する検知回路(20)が設けられており、
検知回路(20)からの出力信号を受けて、紫外線照射灯(17)が自動的に点灯し、一定時間が経過した後に消灯できる請求項1記載の電気かみそり。 - 本体ケース(1)の内部に、検知回路(20)とタイマー回路(21)とが設けられており、
タイマー回路(21)は、検知回路(20)からの出力信号を受けて紫外線照射灯(17)を点灯し、一定時間が経過したのち消灯できる請求項5記載の電気かみそり。 - 本体ケース(1)の内部に、モーター(2)を駆動する2次電池(3)が配置されており、
2次電池(3)に充電電流が印加されたことを検知して紫外線照射灯(17)を点灯できる請求項1記載の電気かみそり。 - かみそりヘッド(5)に、紫外線照射灯(17)の表面に付着した毛屑を拭式清掃する清掃手段が設けられている請求項1記載の電気かみそり。
- 前記清掃手段が回転自在に軸支されたブラシ体(32)からなり、ブラシ体(32)が、内刃(7)を回転駆動する伝動機構(8)の動力を利用して回転駆動される請求項8記載の電気かみそり。
- 毛屑室(14)の周囲壁に、紫外線照射灯(17)の点灯状態を確認する視認窓(18)が設けられている請求項1記載の電気かみそり。
- 外刃(6)の表面と、内刃(7)の表面と、毛屑室(14)の内周面の少なくともひとつに、光触媒膜が形成されている請求項1記載の電気かみそり。
- 紫外線照射灯(17)から発光される光のピーク波長が近紫外光領域にある請求項1記載の電気かみそり。
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