JP4161900B2 - インクジェット記録用水性インクセット - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録装置に使用するインクジェット記録用水性インクセットに関するものである。
インクジェット記録方式は、例えば、静電吸引方式;圧電素子を用いてインクに機械的振動又は変位を与える方式;インクを加熱することにより気泡を発生させ、その時に発生する圧力を利用する方式等のインク吐出方式によりインク小滴を形成し、それらの一部又は全部を紙等の被記録材に付着させて記録を行うものである。
このようなインクジェット記録方式の長所は、微小液滴の吐出制御による高印字品質及び高印画品質であり、数ピコリットルの微小液滴を高精度で紙面上に着弾させることにより、フルカラーに近い色再現を持ち、かつ、粒状感のない画像形成が可能となる。しかし、そのような微小液滴の吐出を可能にするためには充分に細い吐出ノズルからの高精度の着弾制御技術が必要である。このような微小径の吐出ノズルから高精度にインクを吐出するためには、インク中のゴミ、不純物の除去が必要となる。従って、インクジェット記録用インクは精密濾過を行い、インクに接する全ての部品は充分に洗浄された材料を使用することが必要である。
ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色インクセットを用いた一般的なフルカラーインクジェットプリンタは、紙への着色性や毒性の観点からその多くが酸性染料を含有する水性インクを使用している。しかしながら、色によっては鮮やかさという点において不充分な場合があり、マーカーペンで描かれたような鮮やかな画像を得たいという要望がある。特にイエローについては、この要望が大きい。このような要望を満足するためには、実際にマーカーペンに使用されているような鮮やかな発色を有する塩基性染料を使用するのが好ましい。しかし、フルカラーインクジェットプリンタに用いる全色の水性インクを、塩基性染料を含有する水性インクにした場合には、それぞれ単色の色鮮やかさはあるが、色バランスの面から好適とは言いがたい。
一方、特開平7−314880号公報には、支持体上にインク受容層を設けたインクジェット記録体において、インク受容層中に塩基性染料を含有させ、且つ、該塩基性染料とは色相の異なる酸性染料を含有するインクジェット記録用インクを用いて記録させる方法や、インク受容層中に酸性染料を含有させ、且つ、該酸性染料とは色相の異なる塩基性染料を含有するインクジェット記録用インクを用いて記録させる方法が記載されている。しかしながら、これらの方法では、染料を含有させたインクジェット記録体を使用する必要があるだけでなく、全色のインクが酸性染料又は塩基性染料に偏る場合があり、色バランスの面からも好適とは言い難い。
従って、鮮やかで、かつ、色バランスの良い画像を得たい場合は、酸性染料を含有する水性インクと塩基性染料を含有する水性インクとを併用する方が好ましい。ところが、このような場合には、インクジェットプリンタのヘッド吐出部において、酸性染料を含有する水性インクと塩基性染料を含有する水性インクとが混合して、析出物が発生する恐れがある。その析出物の程度は染料の種類、染料の濃度、溶剤の種類、溶剤の濃度等によって異なるが、析出物の発生により、ヘッド吐出部での目詰まりが発生したり、高精度の吐出着弾制御が得られなくなる場合があった。
酸性染料及び塩基性染料は、水溶液中においてカチオンとアニオンに解離している。そして、両染料液を混合すると、酸性染料中のアニオンと塩基性染料中のカチオンとが引き合い、染料の母体同士が結合することにより、析出物が発生するものと考えられる。従って、酸性染料中のアニオンと塩基性染料中のカチオンとが水性インク中で引き合わないようにすることにより、析出物の発生を防止することができるが、一般的にアニオンとカチオンとは互いに引き合い易いため、両インクを混合した場合、析出物の発生を防止することは困難である。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、酸性染料を含有する水性インクと塩基性染料を含有する水性インクとを混合した場合においても、析出によるヘッド吐出部での目詰まりが発生することなく安定した噴射が可能で、高信頼性、高精度の記録が可能となるインクジェット記録用水性インクセットを提供することを目的とするものである。
本発明に従えば、インクジェット記録用水性インクセットであって、
酸性染料を含有する水性インクと;
塩基性染料を含有する水性インクと;を有し、
前記酸性染料を含有する水性インク及び前記塩基性染料を含有する水性インクの少なくとも一方は、下記式(1)で表され、重量平均分子量が3000〜20000のポリマーを含有するインクジェット記録用水性インクセットが提供される。
Figure 0004161900
式(1)中、m:n=7〜5:3〜5であり、Xは、H又はCOONaを表し、Yは、COONa、SONa又はCHORを表す(ただし、XがHであり、かつ、YがCOONaである場合を除く)。Rは、1〜5個の炭素とSONaを有する基を表す。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、少なくとも、酸性染料を含有する水性インクと、塩基性染料を含有する水性インクとからなる。上記酸性染料としては、特に限定されず、例えば、C.I.ダイレクトイエロー8、11、12、27、28、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、100、110、132、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、23、25、29、36、38、40、42、44、76、98、99、C.I.リィアクティブイエロー2、3、17、25、37、42、C.I.フードイエロー3;C.I.ダイレクトレッド2、4、9、11、20、23、24、31、39、46、62、75、79、80、83、89、95、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、C.I.アシッドレッド6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、42、51、52、80、83、87、89、92、106、114、115、133、134、145、158、198、249、265、289、C.I.リィアクティブレッド7、12、13、15、17、20、23、24、31、42、45、46、59、C.I.フードレッド87、92、94;C.I.ダイレクトブルー1、15、22、25、41、76、77、80、86、90、98、106、108、120、158、163、168、199、226、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、22、23、25、29、40、43、59、62、74、78、80、90、100、102、104、117、127、138、158、161、C.I.リィアクティブブルー4、5、7、13、14、15、18、19、21、26、27、29、32、38、40、44、100;C.I.ダイレクトブラック17、19、22、31、32、51、62、71、74、112、113、154、168、195、C.I.アシッドブラック2、48、51、52、110、115、156、C.I.フードブラック1、2等を挙げることができる。また、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることも可能である。
上記酸性染料を含有する水性インクの酸性染料の含有量は、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%である。
上記塩基性染料としては、特に限定されず、例えば、C.I.ベーシックイエロー1,2,11,13,14,19,21,25,32,33,36,40,51、C.I.ベーシックオレンジ2,15,21,22、C.I.ベシックレッド1,2,9,12,13,37,38,39,92、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14、C.I.ベーシックブルー1,3,5,7,9,19,24,25,26,28,29,45,54,65、C.I.ベーシックグリーン1,4、C.I.ベーシックブラウン1,12、C.I.ベーシックブラック2,8等を挙げることができる。また、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記塩基性染料を含有する水性インクの塩基性染料の含有量は、0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.2〜3重量%である。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットにおいて、上記酸性染料を含有する水性インク及び/又は上記塩基性染料を含有する水性インクは、上記式(1)で表される化合物(ポリマー)を含有する。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットが、複数の酸性染料を含有する水性インク及び/又は複数の塩基性染料を含有する水性インクからなる場合にあっては、全ての酸性染料を含有する水性インク及び/又は全ての塩基性染料を含有する水性インクが上記式(1)で表される化合物を含有する。即ち、インクジェット記録用水性インクセットに含まれる任意の酸性染料を含有する水性インクと塩基性染料を含有する水性インクとを選択したときに、いずれか一方又は両方に上記式(1)で表される化合物が含まれる。
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、アクリル酸・マレイン酸共重合体、アクリル酸・スルホン酸共重合体等を挙げることができる。これらの共重合体は、アクリル酸と、マレイン酸またはスルホン酸を所定の条件下で共重合することにより得られる。
上記式(1)中、mとnはゼロでなく、その比は、アクリル酸よりマレイン酸やスルホン酸の方がかさ高いため、酸性染料と塩基性染料との析出を阻害する立体障害効果が大きいという理由からm:n=7〜5:3〜5である。式(1)中、Xは、H又はCOONaを表す。Yは、COONa、SONa又はCHORを表す。Rは、1〜5個の炭素とSONaを有する基、例えばCHOCHCH(OH)CHSONaを表す。特に、XがHのときはYがSONa又はCH OCHCH(OH)CHSONaが好ましい。XがCOONaのときは、YもCOONaが好ましい。
上記式(1)で表される化合物は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)にて平均分子量を測定した場合に、その値が300020000であることが好ましい。本文中において、用語「平均分子量」とは重量平均分子量をいう。平均分子量が3000未満の場合は、上記式(1)で表される化合物の立体障害効果が著しく低下するため、酸性染料と塩基性染料とを混合した際の析出物の発生を防止できないものと考えられる。また、平均分子量が20000を超える場合は、構造が巨大となりすぎ塩基性染料と電気的に引き寄せ合うことができず、析出物の発生を防止できないものと考えられる。この理由から、好ましくは、3000〜20000であり、特に好ましくは5000〜15000である。分子量の調整は、重合条件、モノマーを選択することで調整する。
また、上記式(1)で表される化合物の含有量は、インク全量に対して0.03〜5重量%が好ましい。0.03重量%未満では、酸性染料を含有する水性インクと塩基性染料を含有する水性インクとを混合した場合の析出防止効果が低くなり、インクの不吐出が発生することがある。5重量%を超えると、インク中の水分が蒸発した後の粘度が著しく上昇する場合があるため、ヘッド吐出部において、インクが乾燥すると、インクの不吐出が発生することがある。より好ましくは、0.05〜2重量%である。
上記酸性染料を含有する水性インク及び塩基性染料を含有する水性インクは、水を含有する。上記水は、脱イオン水(純水)であることが好ましい。また、上記水の含有量は、通常時のインク粘度を、正常に噴射可能な低粘度に保つため、インクの全量に対して、40重量%以上であることが好ましい。
上記酸性染料を含有する水性インク及び塩基性染料を含有する水性インクは、湿潤剤、浸透剤を含有することが好ましい。
上記湿潤剤は、主としてインクジェットヘッドの先端部におけるインクからの析出物の発生及び乾固防止を目的として添加され、上記酸性染料を含有する水性インク及び塩基性染料を含有する水性インクに使用可能である。
上記湿潤剤としては、例えば、ポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール等のアルキレングリコール類;グリセリン;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類等を挙げることができ、これらの湿潤剤は混合して用いることも可能である。
上記湿潤剤の含有量は、インク全量に対して5〜50重量%が好ましい。5重量%未満では、湿潤作用が不充分となり、析出、乾固等の問題が生じる。また、50重量%を超えると、インクが必要以上に増粘し、吐出不能となったり、記録紙上での乾燥が極端に遅くなる等の問題を生じる。より好ましくは10〜40重量%である。
上記浸透剤は、低臭気性であり、蒸気圧の低い多価アルコールモノアルキルエーテルを使用することが好ましい。上記多価アルコールモノアルキルエーテルは、記録紙へのインク浸透速度を効果的に速めることにより、インクの紙面上での速乾性を向上させ、記録紙上での遅乾性に起因するブリーディング(異なる色の境界でのにじみ)を防止し、かつ、浸透に伴うフェザリング(紙の繊維に沿ったヒゲ状のにじみ)を起こし難いものが好適に使用される。上記多価アルコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができる。
また、インクの記録紙への浸透、乾燥性を制御する目的で、エタノール、イソプロピルアルコール等の1価アルコールを使用することも可能である。
上記浸透剤の含有量は、インク全量に対して0.2〜20重量%が好ましい。0.2重量%未満では、インクの記録紙への浸透速度が遅く、乾燥時間、滲みに問題を生じる。また、20重量%を超えると、インクの記録紙への浸透が激しくなり、記録紙の裏までインクが達してしまったり、滲みにも問題を生じる。より好ましくは0.5〜10重量%である。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットの基本構成は以上の通りであるが、その他従来公知の各種樹脂バインダー、界面活性剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、pH調整剤、染料溶解剤、防腐防カビ剤等を必要に応じて添加することができる。
また、本発明のインクジェット記録用水性インクセットは、熱エネルギーの作用によってインクを吐出させるインクジェット記録方式に適用される場合には、比熱、熱膨張係数、熱伝導率等の熱的な物性値が調整されていてもよい。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットでは、従来技術の問題点が充分に解決されており、酸性染料を含有する水性インクと塩基性染料を含有する水性インクとを混合した場合であっても、析出物が発生しない。これは、イオン化に伴い、上記式(1)で表される化合物の置換基がCOO、SO となって、塩基性染料のカチオンと引き寄せあうことにより、塩基性染料のカチオンと酸性染料のアニオンとの接触を妨げるためであると考えられる。また、上記式(1)で表される化合物の分子量によっては、塩基性染料に引き寄せられた上記式(1)で表される化合物の立体障害によって、酸性染料との接触を更に困難にすることができるものと考えられる。
実施例
以下、本発明を具体化した実施例及び比較例について説明する。以下の実施例及び比較例は、4色インクを用いたフルカラープリンターの例を述べているが、これに限定されるものではなく、5色以上のものでも、3色以下のものでも良い。
[アクリル酸・スルホン酸共重合体の製造]
温度計、ジムロート冷却管を備えたフラスコに、水100gを加え、常圧下で還流温度まで加熱した。40%アクリル酸水溶液54g(0.3モル)と37%亜硫酸水素ナトリウム水溶液9gをそれぞれ別々に2時間をかけて滴下した。また、これらの水溶液の滴下開始と同時に、40%ビニルプロパンスルホン酸ナトリウム溶液と20%過硫酸ナトリウム水溶液をそれぞれ別々にフラスコ内の水溶液に滴下し始めた。40%ビニルプロパンスルホン酸ナトリウム溶液は、228g(0.7モル)を100分かけて滴下した。20%過硫酸ナトリウム水溶液は、25gを3時間かけて滴下した。こうしてフラスコ内で共重合反応を行なった。滴下終了後、更に1時間攪拌を続行して共重合反応を完了させ目的の共重合体を得た。
得られた共重合体の分子量をゲル浸透クロマトグラフにて測定したところ、平均分子量は約6000であった。また、未反応のアクリル酸及びビニルプロパンスルホン酸ナトリウムをポーラログラフにて測定して反応したモノマーを計算したところ、ほぼ仕込み通りに3:7にて重合したことが確認された。こうして得られたアクリル酸・スルホン酸共重合体(式(1)中、X=H、Y=SONa、n:m=3:7)の水溶液を以下に述べるインクセットの調製に用いた。
[インクセットの調製]
ブラックインク、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクのそれぞれのインクについて、表1〜表4に示す組成のインクジェット記録用水性インクセットを調製した。
Figure 0004161900
Figure 0004161900
Figure 0004161900
Figure 0004161900
[アクリル酸・スルホン酸共重合体の製造]
温度計、ジムロート冷却管を備えたフラスコに水150gを加え、常圧下で還流温度まで加熱した。40%アクリル酸水溶液90g(0.5モル)と37%亜硫酸水素ナトリウム水溶液15gをそれぞれ別々に2時間をかけて滴下した。また、これらの滴下開始と同時に、40%3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム溶液と20%過硫酸ナトリウム水溶液20gをフラスコの水溶液にそれぞれ別々に滴下した。40%3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム溶液は、110g(0.5モル)を100分かけて、20%過硫酸ナトリウム水溶液は、20gを3時間かけてそれぞれ滴下した。こうして、フラスコ内で共重合反応を行なった。滴下終了後、更に1時間攪拌を続行して共重合反応を完了させ、目的の共重合体を得た。
得られた共重合体の分子量を実施例1と同様の方法で測定したところ、平均分子量は約5000であった。また、未反応のアクリル酸及び3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウムをポーラログラフにて測定して反応したモノマーを計算したところ、ほぼ仕込み通りに1:1にて重合したことが確認された。こうして得られたアクリル酸・スルホン酸共重合体(式(1)中、X=H、Y=CHOCHCH(OH)CHSONa、n:m=1:1)の水溶液を以下に述べるインクセットの調製に用いた。
[インクセットの調製]
実施例1のイエローインク組成、シアンインク組成を表5、表6に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用水性インクセットを調製した。
Figure 0004161900
Figure 0004161900
[アクリル酸・マレイン酸共重合体の製造]
温度計、ジムロート冷却管を備えたフラスコに無水マレイン酸58.8g(0.6モル)と水200g、水酸化ナトリウム48g(1.2モル)を仕込み、攪拌しながら、無水マレイン酸を中和させて30%マレイン酸ジナトリウム水溶液を調製した。その後、常圧下で還流温度まで加熱した。次に、この溶液に40%アクリル酸水溶液72g(0.4モル)、重合開始剤の10%過硫酸アンモニウム水溶液50gと14%過酸化水素水溶液50gをそれぞれ別々に4時間をかけて徐々に滴下し、共重合反応を行なった。滴下終了後、更に1時間攪拌を続行して共重合反応を完了させた。その後49%水酸化ナトリウム水溶液28g(0.35モル)で中和して、目的物を得た。
得られた共重合体の分子量を実施例1と同様の方法で測定したところ、平均分子量は約15000であった。また、未反応のアクリル酸及びマレイン酸をポーラログラフにて測定して反応したモノマーを計算したところ、ほぼ仕込み通りに4:6にて重合したことが確認された。こうして得られたアクリル酸・マレイン酸共重合体(式(1)中、X=Y=COONa、n:m=4:6)の水溶液を以下に述べるインクセットの調製に用いた。
[インクセットの調製]
ブラックインク、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクのそれぞれのインクについて、表7〜表10に示す組成のインクジェット記録用水性インクセットを調製した。
Figure 0004161900
Figure 0004161900
Figure 0004161900
Figure 0004161900
実施例3のブラックインクにおいて、アクリル酸・マレイン酸共重合体の代わりに、実施例2で調製したアクリル酸・スルホン酸を用い、組成を表11に示す組成に変更した以外は、実施例3と同様にして、インクジェット記録用水性インクセットを調製した。
Figure 0004161900
実施例3のイエローインク組成、マゼンタインク組成及びシアンインク組成を表12〜14に示す組成に変更した以外は、実施例3と同様にして、インクジェット記録用水性インクセットを調製した。なお、アクリル酸・スルホン酸共重合体として、実施例2で調製したアクリル酸・スルホン酸共重合体を用いた。
Figure 0004161900
Figure 0004161900
Figure 0004161900
以下に比較例を示す。
(比較例1)
実施例1のブラックインク組成、マゼンタインク組成を表15、表16に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用水性インクセットを調製した。従って、比較例1のインクジェット記録用水性インクセットは、実施例1のインクジェット記録用水性インクセットから、上記式(1)で表される化合物を除いたものである。
Figure 0004161900
Figure 0004161900
(比較例2)
実施例3のブラックインク組成を表17に示す組成に変更した以外は、実施例3と同様にして、インクジェット記録用水性インクセットを調製した。従って、比較例2のインクジェット記録用水性インクセットは、実施例3のインクジェット記録用水性インクセットから、上記式(1)で表される化合物を除いたものである。
Figure 0004161900
実施例1〜5及び比較例1〜2のインクジェット記録用水性インクセットについて、0.2μmのメンブランフィルタで濾過した後、噴射試験及びヘッド吐出部の顕微鏡観察を以下の方法により行った。
(1)噴射試験記録ヘッド内のインクにピエゾ素子振動による圧力を与えて液滴を発生させ、記録を行うオンデマンドタイプのマルチヘッド(吐出オリフィス径40μm、駆動電圧30V、周波数10kHz)を使用し、4色同時に噴射を行い、カートリッジ内のインクが無くなるまで噴射を行なった。噴射を行っている際に、不吐出及び曲がりが認められた場合は、パージを行いその回復具合を観察した。
評価基準は以下の通りである。
○…噴射において不吐出、曲がりが最後まで全くなし。
△…噴射において不吐出及び曲がりがわずかにあるが、パージにて回復可能。
×…噴射において不吐出及び曲がりあり、パージにて回復せず。
噴射試験の結果を表18に示す。
Figure 0004161900
(2)ヘッド吐出部の顕微鏡観察上記噴射試験実施後、ヘッド吐出部の顕微鏡観察を行なった。上記顕微鏡観察の結果、パージにて回復しなかったプリンターにおいてのみ、ヘッド吐出部に異物(析出物)が確認され、それ以外のプリンターのヘッド吐出部では、異物が確認されなかった。
以上のように、実施例1〜5のインクジェット記録用水性インクセットを使用した場合、酸性染料インクと塩基性染料インクとを混合しても析出物が発生しなかった。よって、ヘッド吐出部において析出物による目詰まりが発生しなかった。
本発明は、上述の構成よりなるので、酸性染料を含有する水性インクと塩基性染料を含有する水性インクとを混合した場合においても、析出によるヘッド吐出部での目詰まりが発生することなく安定した噴射が可能で、高信頼性、高精度の記録が可能となるインクジェット記録用水性インクセット及びそのインクセットを含むインクカートリッジを提供することができる。

Claims (8)

  1. インクジェット記録用水性インクセットであって、
    酸性染料を含有する水性インクと;
    塩基性染料を含有する水性インクと;を有し、
    前記酸性染料を含有する水性インク及び前記塩基性染料を含有する水性インクの少なくとも一方は、下記式(1)で表され、重量平均分子量が3000〜20000のポリマーを含有するインクジェット記録用水性インクセット。
    Figure 0004161900
    式(1)中、m:n=7〜5:3〜5であり、Xは、H又はCOONaを表し、Yは、COONa、SONa又はCHORを表す(ただし、XがHであり、かつ、YがCOONaである場合を除く)。Rは、1〜5個の炭素とSONaを有する基を表す。
  2. 前記ポリマーの重量平均分子量が、5000〜15000である請求項1に記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  3. 前記ポリマーの含有量が、各水性インク全量に対して0.03〜5重量%である請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  4. 前記ポリマーが、アクリル酸・マレイン酸コポリマーまたはアクリル酸・スルホン酸コポリマーである請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  5. 前記ポリマーにおけるXがHであり、YがSONaである請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  6. 前記ポリマーにおけるXがHであり、YがCHOCHCH(OH)CHSONaである請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  7. 前記ポリマーにおけるXがCOONaであり、YがCOONaである請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インクセット。
  8. 前記酸性染料を含有する水性インクと前記塩基性染料を含有する水性インクが、それぞれ前記ポリマーを含む請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用水性インクセット。
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