JP4161491B2 - 光通信システムおよび信号チャンネル割当方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光伝送路の途中で信号光をアドするノードを有し、多チャンネルの信号光を伝送する光通信システム、および、このような光通信システムにおいて信号光のチャンネルを割り当てる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
波長多重された多波長の信号光を光伝送する波長多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing)光通信システムでは、光伝送路の途中のノードで或る波長の信号光をドロップする(そのノードで受信して、以降の光伝送路へは伝搬させない)場合があり、また、光伝送路の途中のノードで或る波長の信号光をアドする(そのノードから送出して、以降の光伝送路へ伝搬させる)場合がある。ノードで信号光をアドする光通信システムは、例えば、特開平10−13356号公報や特開平9−172449号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に光伝送路の分散には波長依存性があり、アドする波長によっては、受信端での累積分散が伝送特性に悪影響を及ぼすレベルに達してしまう場合もある。特に、伝送速度が高速化すると、累積分散の影響の波長間差異はより顕著になる。これを補償するために、アドした信号光に対し個別に分散補償器を挿入すると、コスト高と装置の大型化につながってしまう。
【0004】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、各ノードでアドされる信号光の伝送特性の劣化を抑制しつつ低コストを維持した光通信システムおよび信号チャンネル割当方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光通信システムは、光伝送路の途中で信号光をアドする複数のノードを有し、多チャンネルの信号光を伝送し得る光通信システムであって、複数のノードそれぞれについて予め求められた受信端までの累積分散量の波長依存性に基づいて、受信端までの累積分散量の絶対値が最も大きいノードから順に、各ノードでアドすることが可能なチャンネルのうち、該ノードから受信端までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネルの信号光を該ノードでアドすることを特徴とする。本発明に係る信号チャンネル割当方法は、光伝送路の途中で信号光をアドする複数のノードを有し、多チャンネルの信号光を伝送し得る光通信システムにおいて信号光のチャンネルを割り当てる方法であって、複数のノードそれぞれについて予め求められた受信端までの累積分散量の波長依存性に基づいて、受信端までの累積分散量の絶対値が最も大きいノードから順に、各ノードでアドすることが可能なチャンネルのうち、該ノードから受信端までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネルの信号光を該ノードでアドすることを特徴とする。この光通信システムまたは信号チャンネル割当方法では、各ノードでアドされる信号光の伝送特性が、他のチャンネルの組み合わせを選択した場合と比べて優れたものとなる。
【0007】
本発明に係る光通信システムは、光伝送路上に分散補償器が設けられていることを特徴とする。この場合には、分散補償器を設けることで、受信端から比較的遠いノードでアドされる信号光は、受信端までの累積分散量の絶対値が小さいので、光伝送路を伝搬する際に損失を受けて、受信端で受信する信号光のパワーが小さくなったとしても、受信のマージンを確保することができる。一方、受信端から比較的近いノードでアドされる信号光は、受信端で受信する信号光のパワーが充分大きいので、受信端までの累積分散量の絶対値が大きくても、やはり、受信のマージンを確保することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
先ず、本発明に係る光通信システムおよび信号チャンネル割当方法の第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る光通信システム1の概略構成図である。
【0010】
この光通信システム1は、送信器10〜12、受信器20およびADM(Add Drop Multiplexer)31,32を備えている。送信器10とADM31との間に光ファイバ51が設けられ、ADM31とADM32との間に光ファイバ52が設けられ、ADM32と受信器20との間に光ファイバ53が設けられている。これら光ファイバ51〜53は、送信器10から受信器20へ到る光伝送路である。ADM31,32それぞれは、光伝送路へ信号光をアドするノードの位置に設けられている。送信器11とADM31との間に光ファイバ61が設けられ、送信器12とADM32との間に光ファイバ62が設けられている。
【0011】
この光通信システム1では、送信器10から送出された信号光は、光ファイバ51〜53を順に伝搬して受信器20に到達し、この受信器20により受信される。或いは、送信器10から出力された信号光は、ADM31または32によりドロップされ、受信器(図示せず)により受信される場合もある。送信器11から送出された信号光は、光ファイバ61を伝搬してADM31に到り、このADM31から光ファイバ52へアドされて、光ファイバ52および53を順に伝搬して受信器20に到達し、この受信器20により受信される。送信器12から送出された信号光は、光ファイバ62を伝搬してADM32に到り、このADM32から光ファイバ53へアドされて、光ファイバ53を伝搬して受信器20に到達し、この受信器20により受信される。
【0012】
光ファイバ51〜53それぞれは、波長1.3μm付近に零分散波長を有するシングルモード光ファイバ、このシングルモード光ファイバの波長1.55μm帯の波長分散を補償する分散補償光ファイバ、または、波長1.55μm付近に零分散波長を有する分散シフト光ファイバ、等が好適に用いられる。送信器10〜12それぞれは、これら石英系の光ファイバが最も低い損失で伝搬させることができる波長1.55μm帯の信号光を出力するのが好適であり、また、光増幅器による損失補償が容易である点でも波長1.55μm帯の信号光を出力するのが好適である。
【0013】
図1中において、X点は、送信器10から光ファイバ51への出力端の位置を表す。A点は、ADM31から光ファイバ52への出力端の位置を表す。また、B点は、ADM32から光ファイバ53への出力端の位置を表す。図2は、第1の実施形態に係る光通信システム1における信号チャンネル割当方法の説明図である。この図には、X点、A点およびB点それぞれから受信器20へ到るまでの累積分散量の波長依存性が示されている。また、この図には、光通信システム1において使用され得る信号光のチャンネルの波長帯域(波長λ1〜λ2)も示されている。
【0014】
図2に示すように、この光通信システム1は、信号光波長帯域(波長λ1〜λ2)において、光ファイバ51〜53それぞれとして適切な波長分散特性を有するものを用いることで、送信器10から受信器20に到るまでの光伝送路の累積分散量の絶対値を小さくしており、送信器10から受信器20に到るまでの信号光の伝送特性の劣化を抑制しようとしている。しかし、送信器11からADM31を経て受信器20に到るまでの光伝送路の累積分散量の絶対値は必ずしも小さくなく、送信器12からADM32を経て受信器20に到るまでの光伝送路の累積分散量の絶対値も必ずしも小さくない。
【0015】
そこで、本実施形態では、送信器11から送出されADM31より光伝送路へアドされる信号光のチャンネル、および、送信器12から送出されADM32より光伝送路へアドされる信号光のチャンネルを、以下のようにして割り当てる。すなわち、送信器11から送出されADM31より光伝送路へアドされる信号光のチャンネルとしては、ADM31でアドすることが可能なチャンネルのうち、A点から受信器20までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネル(波長λA)の信号光を割り当てる。図2に示すように、信号光波長帯域で、A点から受信器20へ到るまでの累積分散量および分散スロープが共に正であれば、送信器11から送出されADM31より光伝送路へアドされる信号光のチャンネル(波長λA)として、ADM31でアドすることが可能なチャンネルのうちで最も短波長のものが割り当てられる。信号光波長帯域の下限波長λ1の信号光をADM31でアドすることが可能であれば λA=λ1 である。
【0016】
同様にして、送信器12から送出されADM32より光伝送路へアドされる信号光のチャンネルとしては、ADM32でアドすることが可能なチャンネルのうち、B点から受信器20までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネル(波長λB)の信号光を割り当てる。図2に示すように、信号光波長帯域で、B点から受信器20へ到るまでの累積分散量が負であって分散スロープが正であれば、送信器12から送出されADM32より光伝送路へアドされる信号光のチャンネル(波長λB)として、ADM32でアドすることが可能なチャンネルのうちで最も長波長のものが割り当てられる。信号光波長帯域の上限波長λ2の信号光をADM32でアドすることが可能であれば λB=λ2 である。
【0017】
以上のように、本実施形態では、各ノードにおいて送信器から送出されADMより光伝送路へアドされる信号光のチャンネルとして、アドすることが可能なチャンネルのうち、そのノードから受信器20までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネルの信号光を割り当てる。このようにすることで、各ノードの送信器11および12それぞれから送出され受信器20により受信される信号光は伝送特性が優れたものとなる。
【0018】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る光通信システムおよび信号チャンネル割当方法の第2の実施形態について説明する。図3は、第2の実施形態に係る光通信システム2の概略構成図である。
【0019】
この光通信システム2は、送信器10〜13、受信器20およびADM31〜33を備えている。送信器10とADM31との間に光ファイバ51が設けられ、ADM31とADM32との間に光ファイバ52が設けられ、ADM32とADM33との間に光ファイバ53が設けられ、ADM33と受信器20との間に光ファイバ54が設けられている。これら光ファイバ51〜54は、送信器10から受信器20へ到る光伝送路である。ADM31〜33それぞれは、光伝送路へ信号光をアドするノードの位置に設けられている。送信器11とADM31との間に光ファイバ61が設けられ、送信器12とADM32との間に光ファイバ62が設けられ、送信器13とADM33との間に光ファイバ63が設けられている。
【0020】
この光通信システム2では、送信器10から送出された信号光は、光ファイバ51〜54を順に伝搬して受信器20に到達し、この受信器20により受信される。或いは、送信器10から出力された信号光は、ADM31〜33の何れかによりドロップされ、受信器(図示せず)により受信される場合もある。送信器11から送出された信号光は、光ファイバ61を伝搬してADM31に到り、このADM31から光ファイバ52へアドされて、光ファイバ52〜54を順に伝搬して受信器20に到達し、この受信器20により受信される。送信器12から送出された信号光は、光ファイバ62を伝搬してADM32に到り、このADM32から光ファイバ53へアドされて、光ファイバ53および54を順に伝搬して受信器20に到達し、この受信器20により受信される。送信器13から送出された信号光は、光ファイバ63を伝搬してADM33に到り、このADM33から光ファイバ54へアドされて、光ファイバ54を伝搬して受信器20に到達し、この受信器20により受信される。
【0021】
光ファイバ51〜54それぞれは、波長1.3μm付近に零分散波長を有するシングルモード光ファイバ、このシングルモード光ファイバの波長1.55μm帯の波長分散を補償する分散補償光ファイバ、または、波長1.55μm付近に零分散波長を有する分散シフト光ファイバ、等が好適に用いられる。送信器10〜13それぞれは、これら石英系の光ファイバが最も低い損失で伝搬させることができる波長1.55μm帯の信号光を出力するのが好適であり、また、光増幅器による損失補償が容易である点でも波長1.55μm帯の信号光を出力するのが好適である。
【0022】
図3中において、A点は、ADM31から光ファイバ52への出力端の位置を表す。B点は、ADM32から光ファイバ53への出力端の位置を表す。また、C点は、ADM33から光ファイバ54への出力端の位置を表す。図4は、第2の実施形態に係る光通信システム2における信号チャンネル割当方法の説明図である。この図には、A点、B点およびC点それぞれから受信器20へ到るまでの累積分散量の波長依存性が示されている。また、この図には、光通信システム2において使用され得る信号光のチャンネルの波長帯域(波長λ1〜λ2)も示されている。
【0023】
この光通信システム2は、信号光波長帯域(波長λ1〜λ2)において、光ファイバ51〜54それぞれとして適切な波長分散特性を有するものを用いることで、送信器10から受信器20に到るまでの光伝送路の累積分散量の絶対値を小さくしており、送信器10から受信器20に到るまでの信号光の伝送特性の劣化を抑制しようとしている。しかし、送信器11からADM31を経て受信器20に到るまでの光伝送路の累積分散量の絶対値は必ずしも小さくなく、送信器12からADM32を経て受信器20に到るまでの光伝送路の累積分散量の絶対値も必ずしも小さくなく、また、送信器13からADM33を経て受信器20に到るまでの光伝送路の累積分散量の絶対値も必ずしも小さくない。
【0024】
そこで、本実施形態では、送信器11から送出されADM31より光伝送路へアドされる信号光のチャンネル、送信器12から送出されADM32より光伝送路へアドされる信号光のチャンネル、および、送信器13から送出されADM33より光伝送路へアドされる信号光のチャンネルを、以下のようにして割り当てる。すなわち、A点、B点およびC点それぞれから受信器20までの累積分散量の波長依存性を予め求めておき、この累積分散量の波長依存性に基づいて、受信器20までの累積分散量の絶対値が最も大きいノードから順に、各ノードでアドすることが可能なチャンネルのうち、該ノードから受信器20までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネルの信号光を該ノードでアドする。
【0025】
図4に示すように、信号光波長帯域で、A点、B点およびC点それぞれから受信器20へ到るまでの累積分散量および分散スロープが共に正であって、A点から受信器20へ到るまでの累積分散量の絶対値が最も大きく、B点から受信器20へ到るまでの累積分散量の絶対値が次に大きく、C点から受信器20へ到るまでの累積分散量の絶対値が最も小さいとする。
【0026】
この場合、受信器20までの累積分散量の絶対値が最も大きいA点でアドされるチャンネルを最優先に割り当てる。送信器11から送出されADM31より光伝送路へアドされる信号光のチャンネルとしては、ADM31でアドすることが可能なチャンネルのうち、A点から受信器20までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネル(波長λA)の信号光を割り当てる。図4に示すように、信号光波長帯域で、A点から受信器20へ到るまでの累積分散量および分散スロープが共に正であれば、送信器11から送出されADM31より光伝送路へアドされる信号光のチャンネル(波長λA)として、ADM31でアドすることが可能なチャンネルのうちで最も短波長のものが割り当てられる。信号光波長帯域の下限波長λ1の信号光をADM31でアドすることが可能であれば λA=λ1 である。
【0027】
次いで、受信器20までの累積分散量の絶対値が2番目に大きいB点でアドされるチャンネルを割り当てる。送信器12から送出されADM32より光伝送路へアドされる信号光のチャンネルとしては、ADM32でアドすることが可能なチャンネルのうち、B点から受信器20までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネル(波長λB)の信号光を割り当てる。このとき、波長λAは、A点でアドされるチャンネルとして既に割り当てられているので、B点でアドされるチャンネルとして割り当てることができない。
【0028】
最後に、受信器20までの累積分散量の絶対値が最も小さいC点でアドされるチャンネルを割り当てる。送信器13から送出されADM33より光伝送路へアドされる信号光のチャンネルとしては、ADM33でアドすることが可能なチャンネルのうち、C点から受信器20までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネル(波長λC)の信号光を割り当てる。このとき、波長λAおよびλBは、A点,B点でアドされるチャンネルとして既に割り当てられているので、C点でアドされるチャンネルとして割り当てることができない。
【0029】
以上のように、本実施形態では、各ノードから受信器20までの累積分散量の波長依存性を予め求めておき、この累積分散量の波長依存性に基づいて、受信器20までの累積分散量の絶対値が最も大きいノードから順に、各ノードでアドすることが可能なチャンネルのうち、該ノードから受信器20までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネルの信号光を該ノードでアドする。このようにすることで、各ノードの送信器11〜13それぞれから送出され受信器20により受信される信号光は伝送特性が、他のチャンネルの組み合わせを選択した場合と比べて優れたものとなる。
【0030】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る光通信システムおよび信号チャンネル割当方法の第3の実施形態について説明する。図5は、第3の実施形態に係る光通信システム3の概略構成図である。
【0031】
この光通信システム3は、送信器10〜12、受信器20、ADM31,32および分散補償器40を備えている。送信器10とADM31との間に光ファイバ51が設けられ、ADM31とADM32との間に光ファイバ52が設けられ、ADM32と受信器20との間に光ファイバ53および分散補償器40が設けられている。これら光ファイバ51〜53は、送信器10から受信器20へ到る光伝送路である。ADM31,32それぞれは、光伝送路へ信号光をアドするノードの位置に設けられている。送信器11とADM31との間に光ファイバ61が設けられ、送信器12とADM32との間に光ファイバ62が設けられている。
【0032】
この光通信システム3では、送信器10から送出された信号光は、光ファイバ51〜53および分散補償器40を順に伝搬して受信器20に到達し、この受信器20により受信される。或いは、送信器10から出力された信号光は、ADM31または32によりドロップされ、受信器(図示せず)により受信される場合もある。送信器11から送出された信号光は、光ファイバ61を伝搬してADM31に到り、このADM31から光ファイバ52へアドされて、光ファイバ52および53ならびに分散補償器40を順に伝搬して受信器20に到達し、この受信器20により受信される。送信器12から送出された信号光は、光ファイバ62を伝搬してADM32に到り、このADM32から光ファイバ53へアドされて、光ファイバ53および分散補償器40を順に伝搬して受信器20に到達し、この受信器20により受信される。
【0033】
光ファイバ51〜53それぞれは、波長1.3μm付近に零分散波長を有するシングルモード光ファイバ、このシングルモード光ファイバの波長1.55μm帯の波長分散を補償する分散補償光ファイバ、または、波長1.55μm付近に零分散波長を有する分散シフト光ファイバ、等が好適に用いられる。送信器10〜12それぞれは、これら石英系の光ファイバが最も低い損失で伝搬させることができる波長1.55μm帯の信号光を出力するのが好適であり、また、光増幅器による損失補償が容易である点でも波長1.55μm帯の信号光を出力するのが好適である。
【0034】
図5中において、X点は、送信器10から光ファイバ51への出力端の位置を表す。A点は、ADM31から光ファイバ52への出力端の位置を表す。また、B点は、ADM32から光ファイバ53への出力端の位置を表す。図6は、第3の実施形態に係る光通信システム3における信号チャンネル割当方法の説明図である。この図には、X点、A点およびB点それぞれから受信器20へ到るまでの累積分散量の波長依存性が示されている。また、この図には、光通信システム3において使用され得る信号光のチャンネルの波長帯域(波長λ1〜λ2)も示されている。
【0035】
図6に示すように、この光通信システム3は、信号光波長帯域(波長λ1〜λ2)において、光ファイバ51〜53および分散補償器40それぞれとして適切な波長分散特性を有するものを用いることで、送信器10から受信器20に到るまでの光伝送路の累積分散量の絶対値を小さくしており、送信器10から受信器20に到るまでの信号光の伝送特性の劣化を抑制しようとしている。また、送信器11からADM31を経て受信器20に到るまでの光伝送路の累積分散量の絶対値も比較的小さい。しかし、送信器12からADM32を経て受信器20に到るまでの光伝送路の累積分散量の絶対値も必ずしも小さくない。
【0036】
そこで、本実施形態では、送信器11から送出されADM31より光伝送路へアドされる信号光のチャンネル、および、送信器12から送出されADM32より光伝送路へアドされる信号光のチャンネルを、以下のようにして割り当てる。すなわち、A点およびB点それぞれから受信器20までの累積分散量の波長依存性を予め求めておき、この累積分散量の波長依存性に基づいて、受信器20までの累積分散量の絶対値が最も大きいノードから順に、各ノードでアドすることが可能なチャンネルのうち、該ノードから受信器20までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネルの信号光を該ノードでアドする。
【0037】
図6に示すように、信号光波長帯域で、A点およびB点それぞれから受信器20へ到るまでの累積分散量および分散スロープが共に負であって、B点から受信器20へ到るまでの累積分散量の絶対値が大きく、A点から受信器20へ到るまでの累積分散量の絶対値が小さいとする。
【0038】
この場合、受信器20までの累積分散量の絶対値が大きいB点でアドされるチャンネルを最優先に割り当てる。送信器12から送出されADM32より光伝送路へアドされる信号光のチャンネルとしては、ADM32でアドすることが可能なチャンネルのうち、B点から受信器20までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネル(波長λB)の信号光を割り当てる。図6に示すように、信号光波長帯域で、B点から受信器20へ到るまでの累積分散量および分散スロープが共に負であれば、送信器12から送出されADM32より光伝送路へアドされる信号光のチャンネル(波長λB)として、ADM32でアドすることが可能なチャンネルのうちで最も短波長のものが割り当てられる。信号光波長帯域の下限波長λ1の信号光をADM32でアドすることが可能であれば λB=λ1 である。
【0039】
次いで、受信器20までの累積分散量の絶対値が小さいA点でアドされるチャンネルを割り当てる。送信器11から送出されADM31より光伝送路へアドされる信号光のチャンネルとしては、ADM31でアドすることが可能なチャンネルのうち、A点から受信器20までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネル(波長λA)の信号光を割り当てる。このとき、波長λBは、B点でアドされるチャンネルとして既に割り当てられているので、A点でアドされるチャンネルとして割り当てることができない。
【0040】
以上のように、本実施形態では、各ノードから受信器20までの累積分散量の波長依存性を予め求めておき、この累積分散量の波長依存性に基づいて、受信器20までの累積分散量の絶対値が最も大きいノードから順に、各ノードでアドすることが可能なチャンネルのうち、該ノードから受信器20までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネルの信号光を該ノードでアドする。このようにすることで、各ノードの送信器11,12それぞれから送出され受信器20により受信される信号光は、他のチャンネルの組み合わせを選択した場合と比べて伝送特性が優れたものとなる。
【0041】
特に、本実施形態では、分散補償器40を設けることで、送信器10(X点)から受信器20までの累積分散量の絶対値を小さくするだけでなく、送信器11(A点)から受信器20までの累積分散量の絶対値をも小さくしている。図7は、累積分散量の絶対値が小さい場合および大きい場合それぞれについて、ビットエラーレートと必要受信パワーとの関係を示すグラフである。この図に示すように、受信器20から比較的遠いノードでアドされる信号光は、受信器20までの累積分散量の絶対値が小さいので、光伝送路を伝搬する際に損失を受けて、受信器20が受信する信号光のパワーが小さくなったとしても、受信のマージンを確保することができる。一方、受信器20から比較的近いノードでアドされる信号光は、受信器20が受信する信号光のパワーが充分大きいので、受信器20までの累積分散量の絶対値が大きくても、やはり、受信のマージンを確保することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、複数のノードそれぞれについて予め求められた受信端までの累積分散量の波長依存性に基づいて、受信端までの累積分散量の絶対値が最も大きいノードから順に、各ノードでアドすることが可能なチャンネルのうち、該ノードから受信端までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネルの信号光を該ノードでアドすることで、各ノードでアドされる信号光の伝送特性を、他のチャンネルの組み合わせを選択した場合と比べて優れたものとすることができる。
【0043】
このように、本発明によれば、各ノードに最適なチャンネルを割り当てることで、各ノードから受信端までの累積分散量の絶対値が小さくなり、また、チャンネル間の累積分散量の偏差が小さくなるので、個別の分散補償が不要となり、或いは、補償量を低減することができる。特に、光伝送路がリング型構成である場合にはノード数が多くなることがあるが、このような場合であっても、本発明を適用することにより、各ノードでアドされる信号光の伝送特性を優れたものとすることができる。
【0044】
また、光伝送路上に分散補償器が設けられる場合には、受信端から比較的遠いノードでアドされる信号光は、受信端までの累積分散量の絶対値が小さいので、光伝送路を伝搬する際に損失を受けて、受信端で受信する信号光のパワーが小さくなったとしても、受信のマージンを確保することができる。一方、受信端から比較的近いノードでアドされる信号光は、受信端で受信する信号光のパワーが充分大きいので、受信端までの累積分散量の絶対値が大きくても、やはり、受信のマージンを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る光通信システムの概略構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る光通信システムにおける信号チャンネル割当方法の説明図である。
【図3】第2の実施形態に係る光通信システムの概略構成図である。
【図4】第2の実施形態に係る光通信システムにおける信号チャンネル割当方法の説明図である。
【図5】第3の実施形態に係る光通信システムの概略構成図である。
【図6】第3の実施形態に係る光通信システムにおける信号チャンネル割当方法の説明図である。
【図7】累積分散量の絶対値が小さい場合および大きい場合それぞれについて、ビットエラーレートと必要受信パワーとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1〜3…光通信システム、10〜13…送信器、20…受信器、31〜33…ADM、40…分散補償器、51〜54…光ファイバ、61〜63…光ファイバ。
Claims (3)
- 光伝送路の途中で信号光をアドする複数のノードを有し、多チャンネルの信号光を伝送し得る光通信システムであって、前記複数のノードそれぞれについて予め求められた受信端までの累積分散量の波長依存性に基づいて、前記受信端までの累積分散量の絶対値が最も大きいノードから順に、各ノードでアドすることが可能なチャンネルのうち、該ノードから前記受信端までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネルの信号光を該ノードでアドすることを特徴とする光通信システム。
- 前記光伝送路上に分散補償器が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光通信システム。
- 光伝送路の途中で信号光をアドする複数のノードを有し、多チャンネルの信号光を伝送し得る光通信システムにおいて信号光のチャンネルを割り当てる方法であって、前記複数のノードそれぞれについて予め求められた受信端までの累積分散量の波長依存性に基づいて、前記受信端までの累積分散量の絶対値が最も大きいノードから順に、各ノードでアドすることが可能なチャンネルのうち、該ノードから前記受信端までの累積分散量の絶対値が最も小さいチャンネルの信号光を該ノードでアドすることを特徴とする信号チャンネル割当方法。
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