JP4161441B2 - 動きベクトル推定装置および動きベクトル推定方法 - Google Patents

動きベクトル推定装置および動きベクトル推定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、入力画像信号から動きベクトルの推定を行う動きベクトル推定装置および動きベクトル推定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
入力画像信号から動きベクトルを推定する方法として、ブロックマッチング法が従来から知られている。かかる方法では、ブロックのサイズ、形状等が予め決定されており、そのようなブロックを例えば時間的に連続する2個のフレーム(以下、フレームt,フレームt+1と表記する)からそれぞれ切り出して、例えばフレームt+1から切り出した幾つかのブロックの内、フレームtから切り出したブロックとのマッチングの程度が高いと判定されるブロックの位置と、フレームtから切り出したブロックの位置とから動きベクトルを推定する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この場合、ブロックのサイズ、形状等が動いているオブジェクトに対して適切でない場合には、動きベクトルの推定が正しく行われないという問題がある。例えば、図11Aに示すように、薄墨を付して示す楕円形のオブジェクトがフレームt,t+1の間で動きを有する場合に、オブジェクトに対してブロックのサイズが小さ過ぎると、フレームt中のブロック210とマッチングの程度が高いと判定される、フレームt+1中のブロックが例えばブロック220であるとされるおそれがある。この場合、本来推定されるべきブロックは220’であるから、結果として動きベクトルの推定が誤ることになる。
【0004】
また、ブロックのサイズが大き過ぎると、ブロック内に複数のオブジェクトが含まれ、各オブジェクトが互いに異なる動きをする場合に、個々のオブジェクトの動きを正しく捉えることができないおそれがある。例えば、図11Bに示すように、静止しているオブジェクト300と、動きの大きいオブジェクト400とがフレームt中で同一のブロック410内に含まれる場合に、かかるブロック410とマッチングの程度が高いと判定される、フレームt+1中のブロックが例えばブロック420であるとされるおそれがある。この場合、オブジェクト400の動きに則して本来推定されるべきブロックの位置は420’であるから、結果として動きベクトルの推定が誤ることになる。
【0005】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、従って、この発明の目的は、動きベクトルを精度良く推定することを可能とする、動きベクトル推定方法および動きベクトル推定装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、入力画像信号から動きベクトルを推定する動きベクトル推定装置において、
入力画像信号中の第1のフレームから領域を切り出し、切り出した領域内の画素値所定の演算の結果から、領域内にオブジェクトのエッジ或いはテクスチャが含まれるか否かを判定し、領域内にオブジェクトのエッジ或いはテクスチャが含まれると判定される場合に領域を第1の領域として出力し、
領域内にオブジェクトのエッジ或いはテクスチャが含まれないと判定される場合に切り出すべき領域の形状を変形し、または切り出すべき領域の回転角を変化させて再度領域の切り出しを行い、
再度切り出した領域内の画素値の所定の演算の結果から、再度切り出した領域内にオブジェクトのエッジ或いはテクスチャが含まれるか否かを判定する領域切り出し手段と、
入力画像信号中の第2のフレームにおける探索範囲内の各画素を中心とする第2の領域を、第2のフレームから第1の領域を切り出す際の切り出し条件と同一の切り出し条件の下で順次切り出し、切り出した第2の領域の各々と第1の領域との間で差分絶対値の和を順次計算し、計算した差分絶対値の和を探索範囲内の各画素に対応するように保持してなる評価値テーブルを作成する手段と、
評価値テーブルから最小値を検索する手段と、
評価値テーブル上で最小値をとる位置と、第1の領域の中心画素の位置とのずれ量を算出し、算出したずれ量を動きベクトルとして出力する手段とを有することを特徴とする動きベクトル推定装置である。
【0007】
請求項の発明は、入力画像信号から動きベクトルを推定する動きベクトル推定方法において、
入力画像信号中の第1のフレームから領域を切り出し、切り出した領域内の画素値所定の演算の結果から、領域内にオブジェクトのエッジ或いはテクスチャが含まれるか否かを判定し、領域内にオブジェクトのエッジ或いはテクスチャが含まれると判定される場合に領域を第1の領域として出力し、
領域内にオブジェクトのエッジ或いはテクスチャが含まれないと判定される場合に切り出すべき領域の形状を変形し、または切り出すべき領域の回転角を変化させて再度領域の切り出しを行い、
再度切り出した領域内の画素値の所定の演算の結果から、再度切り出した領域内にオブジェクトのエッジ或いはテクスチャが含まれるか否かを判定する領域切り出しステップと、
入力画像信号中の第2のフレームにおける探索範囲内の各画素を中心とする第2の領域を、第2のフレームから第1の領域を切り出す際の切り出し条件と同一の切り出し条件の下で順次切り出し、切り出した第2の領域の各々と第1の領域との間で差分絶対値の和を順次計算し、計算した差分絶対値の和を探索範囲内の各画素に対応するように保持してなる評価値テーブルを作成するステップと、
評価値テーブルから最小値を検索するステップと、
評価値テーブル上で最小値をとる位置と、第1の領域の中心画素の位置とのずれ量を算出し、算出したずれ量を動きベクトルとして出力するステップとを有することを特徴とする動きベクトル推定方法である。
【0008】
以上のような発明によれば、動きベクトルを推定するためのブロックマッチング等の演算に使用するブロックを切り出す際の大きさ、形状、回転角等の切り出し条件を適切に設定することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態の構成の一例を図1に示す。入力画像信号がフレームメモリ10と、評価値テーブル作成部13とに供給される。フレームメモリ10は、新たなフレームが供給される毎に、既に記憶しているフレームをフレームメモリ11に供給する。フレームメモリ11は、フレームメモリ10から供給されるフレームを記憶する。このようにして、フレームメモリ10、11が連続する2個のフレームt+1、フレームtをそれぞれ保持することになる。ブロック切り出し部12は、フレームメモリ11の記憶内容から、ブロックマッチングに用いる所定数の画素を含むブロックの切り出しを行う。そして、切り出したブロックを評価値テーブル作成部13に供給する。
【0010】
評価値テーブル作成部13は、フレームメモリ10の記憶内容から、フレームt+1における探索範囲内のそれぞれの画素を中心としたブロックを切り出し、切り出したブロックと、ブロック切り出し部12が切り出したブロックとの間で差分絶対値の和を計算する。そして、探索範囲の画素毎にその和を評価値テーブルとして保持する。最小評価値探索部14は、評価値テーブル作成部13によって作成された評価値テーブルから最小値を探索する。動きベクトル推定部15は、最小評価値探索部14によって探索された最小値の位置とフレームtから切り出したブロックの中心位置とのずれ量を算出し、動きベクトルとする。
【0011】
図2に、ブロック切り出し部12の構成の一例を示す。ブロック切り出し部12は、切り出し処理回路121、ブロック内分散計算回路122、比較回路123、およびカウンター124を有する。切り出し処理回路121においては、カウンター124から供給される値に関連して切り出すべきブロックのサイズが設定される。切り出し処理回路121は、切り出したブロックをブロック内分散計算回路122に供給する。また、切り出し処理回路121は、比較回路123から後述するような出力指令信号を受け取った場合には、切り出したブロックをブロック切り出し部12の最終的な出力として評価値テーブル作成部13に供給する。
【0012】
ブロック内分散計算回路122は、切り出し処理回路121が切り出したブロック内の画素値の分散を計算する。例えば図3に示すようなX00〜Xnnを含む正方形状に画素が並んでなるブロックについては、次の式(1)に従って分散Vを計算することができる。このようにして計算される分散値は、比較回路123に供給する。
【0013】
【数1】
Figure 0004161441
【0014】
比較回路123は、供給される分散値を所定のしきい値と比較する。そして、比較回路123は、分散値がしきい値以下の場合には、所定のカウントアップ信号をカウンター124に供給する。また、比較回路123は、分散値がしきい値より大きい場合には、所定の出力指令信号を切り出し処理回路121に供給すると共に、所定のリセット信号をカウンター124に供給する。カウンター124は、カウントアップ信号を受取る毎に例えば1ずつカウントアップを行い、また、リセット信号を受取った場合にはカウント値を初期化する。カウンター124のカウント値は、切り出し処理回路121に供給される。
【0015】
以上のような構成によってなされる処理について、図4のフローチャートを参照して説明する。ステップS1として、入力画像信号からその時点で設定されているブロックサイズのブロックを切り出す。ステップS2として、ステップS1によって切り出したブロックについて上述した式(1)等に従ってブロック内分散を計算する。ステップS3として、ステップS2によって計算されたブロック内分散値が所定のしきい値より大きいか否かを判定する。
【0016】
ブロック内分散値が所定のしきい値より大きいと判定される場合には、その時のブロックをブロック切り出し処理の最終的な結果として出力し、また、カウント値を初期化する(ステップS4)。一方、ブロック内分散値が所定のしきい値より大きいと判定される場合以外の場合には、ステップS5に移行してカウントアップを行う。そして、ステップS1に移行し、新たなカウント値に関連して設定されるブロックサイズでブロックを切り出す。
【0017】
上述したような処理によって切り出されるブロックのサイズとカウント値との関係について、図5を参照して概念的に説明する。ここでは正方形のブロックを例とした。初期のブロック300 に対し、カウント値が1、2と大きくなるに従って、30 1,302 のようにブロックのサイズが大きくなされる。そして、ブロック内にオブジェクト35のエッジ或いはテクスチャを含むことができた時に、ブロック内の分散がしきい値を越える。図5中ではブロック302 がオブジェクト35のエッジを含んでおり、このため、ブロック302 内の分散がしきい値を越えることになる。従って、ここでは、カウント値2の時のブロック302 がブロック切り出し部12による切り出しの結果として出力される。
【0018】
次に、図1中の評価値テーブル作成部13の動作について、図6を参照してより詳細に説明する。評価値テーブル作成部13は、ブロック切り出し部12が上述したようにしてフレームtから切り出した、画素70を中心画素とするブロック71に対するマッチングの程度を表す評価値を配列してなる評価値テーブルを以下のようにして作成する。まず、フレームt+1における所定の探索範囲(符号50を付して示す)内で画素を矢印で示すように順次走査し、各画素を中心としてブロックを順次切り出す。すなわち、ブロック611 ,612 ・・・が順次切り出される。但し、図6では、612 ・・・の図示を省略し、ブロック611 のみを図示した。なお、ブロック611 は、画素601 を中心画素とするブロックである。ここで、ブロック611 ,612 ・・・の切り出しは、ブロック71の切り出し時と同一のサイズ、形状等の切り出し条件の下でなされる。
【0019】
さらに、ブロック71に対する、ブロック611 ,612 ・・・のマッチングの程度を評価するための評価値として、ブロック71とブロック611 ,ブロック71とブロック612 ・・・について各々のブロック内の各画素の差分絶対値の和Tが順次計算される。この際の計算は、例えば次の式(2)に従って行われる。
【0020】
【数2】
Figure 0004161441
【0021】
但し、式(2)は、フレームtから切り出されるブロック71、フレームt+1から切り出されるブロック(例えばブロック611 )の画素値がそれぞれ、図7A中のx00,x01・・・xnn,図7B中のy00,y01・・・ynnである場合を前提とした計算式である。
【0022】
そして、計算された差分絶対値の和がブロック611 ,ブロック612 ・・・の中心画素601 ,602 ・・・に対応する位置601 T,602 T・・・上に順次プロットされることにより、評価値テーブル80が形成される。但し、図6中では、位置602 T・・・の図示を省略し、位置601 Tのみを図示した。例えばブロック71とブロック611 との間で計算された各画素の差分絶対値の和は、ブロック611 の中心画素601 に対応する評価値テーブル80上の位置601 T上にプロットされる。
【0023】
最小評価値検索部14は、上述したようにして作成される評価値テーブル80を順次走査し、差分絶対値の和の最小値を検索する。これにより、差分絶対値の和の最小値がプロットされている位置62Tが求められる。位置62Tと、ブロック71の中心画素70に対応する評価値テーブル上の位置70Tとに基づいて、動きベクトル推定部15が動きベクトルを推定する。すなわち、70T(x0 ,y0 )と、62T(xmin ,ymin )とに基づいて、フレームt内でブロック71に係るオブジェクトの動きを表す動きベクトルとして(xmin −x0 ,ymin −y0 )が求められる。
【0024】
上述したように、ブロック切り出し部12がフレームtからオブジェクトの動きを捉えるために好適なサイズのブロックを切り出し、また、フレームt+1から、フレームtからブロックを切り出す際の切り出し条件と同一の切り出し条件下で順次ブロックを切り出し、切り出したブロックを用いてブロックマッチングを行うことにより、動きベクトルの推定を精度良く行うことができる。
【0025】
上述したこの発明の一実施形態は、ブロック内の分散を計算し、計算される分散値に基づいて、オブジェクトの動きを捉えるために好適なブロックサイズのブロックを切り出すようにしたものである。これに対して、ブロック内の画素値のDR(ダイナミックレンジ)を計算し、計算されるDRの値に基づいて、オブジェクトの動きを捉えるために好適となるように切り出すべきブロックの回転角を設定するようにした、この発明の他の実施形態について以下に説明する。この発明の他の実施形態の全体的な構成はこの発明の一実施形態と同様であるが、この発明の他の実施形態では、ブロック切り出し部12として、図8に示すような構成を用いる。
【0026】
すなわち、ブロック切り出し部12内には、切り出し処理回路131、ブロック内分散計算回路132、比較回路133、およびカウンター134が設けられる。切り出し処理回路131は、カウンター134から供給される値に関連してブロックの形状を回転させて切り出しを行い、切り出したブロックをブロック内DR計算回路132に供給する。また、切り出し処理回路131は、比較回路133から後述するような出力指令信号を受け取った場合には、切り出したブロックをブロック切り出し部12の最終的な出力として評価値テーブル作成部13に供給する。
【0027】
ブロック内DR計算回路132は、切り出し処理回路131が切り出したブロックについてブロック内DRを計算する。具体的には、供給されるブロック内の画素値を順次スキャンすることによってブロック内の画素値の最大値max、およびブロック内の画素値の最小値minを検出し、max、minの値に基づいて以下の式(3)に従ってDRの値を算出することができる。このようにして算出されるDRの値が比較回路133に供給される。
【0028】
DR=max−min (3)
比較回路133は、供給されるDRの値を所定のしきい値と比較し、かかるDRの値がしきい値以下の場合には、所定のカウントアップ信号をカウンター134に供給する。また、かかるDRの値がしきい値より大きい場合には、比較回路133が所定の出力指令信号を切り出し処理回路131に供給すると共に、所定のリセット信号をカウンター134に供給する。カウンター134は、カウントアップ信号およびリセット信号に基づいて、上述したこの発明の一実施形態と同様に動作する。
【0029】
以上のような構成によってなされる処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。ステップS101として、入力画像信号からその時点で設定されている回転角のブロックを切り出す。ステップS2として、ステップS1によって切り出したブロックについて上述した式(3)等に従ってブロック内DRを計算する。ステップS3として、ステップS2によって計算されたブロック内DR値が所定のしきい値より大きいか否かを判定する。
【0030】
ブロック内DR値が所定のしきい値より大きいと判定される場合には、その時のブロックをブロック切り出し処理の最終的な結果として出力し、また、カウント値を初期化する(ステップS104)。一方、ブロック内DR値が所定のしきい値より大きいと判定される場合以外の場合には、ステップS105に移行してカウントアップを行う。そして、ステップS101に移行し、新たなカウント値に関連して設定される回転角の下でブロックを切り出す。
【0031】
以上のようにしてフレームtから切り出されるブロックに基づく評価値テーブルの作成、最小評価値の探索、動きベクトルの推定等は、上述したこの発明の一実施形態と略同様に行われる。但し、フレームt+1から切り出されるブロックは、ブロック切り出し部12がフレームtから切り出すブロックと同一の形状、回転角等の条件を有するものとされる。
【0032】
上述したような処理によって切り出されるブロックの回転角とカウント値との関係について、図10を参照して概念的に説明する。ここでは正方形のブロックを例とした。初期のブロック1700 に対し、カウント値が1、2と大きくなるに従って、170 1,1702 のようにブロックの回転角が大きくなされる。そして、ブロック内にオブジェクト180のエッジ或いはテクスチャを含むことができた時に、ブロック内DR値がしきい値を越える。図7中ではブロック1702 がオブジェクト180のエッジの一部を含んでおり、このため、ブロック1702 内のDR値がしきい値を越えることになる。従って、ここでは、カウント値が2の時のブロック1702 がブロック切り出し部12による切り出しの結果として出力されることになる。
【0033】
上述したように、ブロック切り出し部12がフレームtからオブジェクトの動きを捉えるために好適な回転角のブロックを切り出し、また、フレームt+1から切り出されるブロックがフレームtから切り出されるブロックと同一の回転角、形状等の条件を有するものとされるので、動き検出をより適切に行うことができる。
【0034】
上述したこの発明の一実施形態およびこの発明の他の実施形態は、それぞれ、ブロック内の分散およびDRに基づいてオブジェクトの動きを捉えるために好適なブロックサイズおよびブロックの回転角を設定するようにしたものであるが、ブロックを切り出す際の条件と、当該条件を設定する方法との組合わせはこれらに限定されるものではない。例えば、ブロック内の分散およびDRの内の一方または両方に基づいて、ブロックサイズおよびブロックの回転角の内の一方または両方を設定することが可能である。すなわち、ブロック内の分散に基づいてブロックの回転角を設定するようにする、或いは、ブロック内のDRに基づいてブロックサイズを設定する等が可能である。
【0035】
また、ブロックを切り出す際の条件として、ブロックサイズおよびブロックの回転角以外に例えばブロックの形状を使用することもできる。すなわち、ブロック内の分散およびDRの内の一方または両方に基づいてブロックの形状を変形させ、ブロックの形状をオブジェクトの動きを捉えるために好適なものとすることも可能である。
【0036】
また、上述したこの発明の一実施形態およびこの発明の他の実施形態は、時間的に連続する2個のフレームから適切なブロックサイズ、ブロックの回転角等の切り出し条件の下で切り出したブロックを用いてブロックマッチング法を行うものであるが、ブロックマッチング法を行うために切り出されるブロックを、時間的に連続する2個のフレーム以外のフレームから切り出すようにしても良い。
【0037】
【発明の効果】
この発明によれば、入力画像信号から切り出される領域の内で、当該領域内の各画素値に基づく所定の演算の結果が所定の条件を満たすように設定されたサイズ、形状、回転角等の条件の下で切り出されたブロックが切り出し領域として出力される。これにより、動きベクトルの推定に係るオブジェクトの動きを捉えるために適切なサイズ、形状、回転角等を有するブロック、例えば動きベクトルの推定に係るオブジェクトのエッジ、テクスチャ等を含むようなサイズ、形状、回転角等を有するブロックを使用して動きベクトルを推定するためのブロックマッチング法等の計算処理が行われる。
【0038】
従って、オブジェクトの大きさ、形状等に依存しない、高精度の動きベクトル推定を実現することができる。
【0039】
また、特に入力画像信号から切り出される領域内の各画素値に基づく演算結果が所定の条件を満たす迄、切り出すべき領域のサイズを段階的に拡大するようにした場合には、動きベクトルの推定に係るオブジェクトのエッジ、テクスチャ等を含むために必要な最小範囲またはそれに最も近いサイズのブロックを使用して動きベクトルを推定するための計算処理が行われる。このため、動きベクトルを推定するための計算処理を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態の全体的な構成の一例を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施形態の一部の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】ブロック内での分散の計算について説明するための略線図である。
【図4】この発明の一実施形態における処理の一部について説明するためのフローチャートである。
【図5】この発明の一実施形態において順次切り出されるブロックの大きさとオブジェクトの大きさについて説明するための略線図である。
【図6】評価値テーブルの作成と、評価値テーブルに基づいて動きベクトルを推定する処理について説明するための略線図である。
【図7】ブロック間の差分絶対値和の計算について説明するための略線図である。
【図8】この発明の他の実施形態の一部の構成の一例を示すブロック図である。
【図9】この発明の他の実施形態における処理の一部について説明するためのフローチャートである。
【図10】この発明の他の実施形態におけるブロックの回転角とオブジェクトとの位置関係について説明するための略線図である。
【図11】従来の動き検出における問題点について説明するための略線図である。
【符号の説明】
12・・・ブロック切り出し部、121・・・切り出し処理回路、122・・・ブロック内分散計算回路、123・・・比較回路、124・・・カウンター、132・・・ブロック内計算回路、133・・・比較回路、134・・・カウンター

Claims (8)

  1. 入力画像信号から動きベクトルを推定する動きベクトル推定装置において、
    入力画像信号中の第1のフレームから領域を切り出し、切り出した上記領域内の画素値所定の演算の結果から、上記領域内にオブジェクトのエッジ或いはテクスチャが含まれるか否かを判定し、上記領域内にオブジェクトのエッジ或いはテクスチャが含まれると判定される場合に上記領域を第1の領域として出力し、
    上記領域内にオブジェクトのエッジ或いはテクスチャが含まれないと判定される場合に切り出すべき領域の形状を変形し、または切り出すべき領域の回転角を変化させて再度領域の切り出しを行い、
    再度切り出した領域内の画素値の上記所定の演算の結果から、上記再度切り出した領域内にオブジェクトのエッジ或いはテクスチャが含まれるか否かを判定する領域切り出し手段と、
    上記入力画像信号中の第2のフレームにおける探索範囲内の各画素を中心とする第2の領域を、上記第2のフレームから上記第1の領域を切り出す際の切り出し条件と同一の切り出し条件の下で順次切り出し、切り出した上記第2の領域の各々と上記第1の領域との間で差分絶対値の和を順次計算し、計算した上記差分絶対値の和を上記探索範囲内の各画素に対応するように保持してなる評価値テーブルを作成する手段と、
    上記評価値テーブルから最小値を検索する手段と、
    上記評価値テーブル上で上記最小値をとる位置と、上記第1の領域の中心画素の位置とのずれ量を算出し、算出した上記ずれ量を動きベクトルとして出力する手段とを有することを特徴とする動きベクトル推定装置。
  2. 請求項1において、
    上記第1のフレームは、
    現フレームであることを特徴とする動きベクトル推定装置。
  3. 請求項1において、
    上記領域切り出し手段は、
    切り出した上記領域内の画素値の分散を計算することを特徴とする動きベクトル推定装置。
  4. 請求項1において、
    上記領域切り出し手段は、
    切り出した上記領域内の画素値のダイナミックレンジを計算することを特徴とする動きベクトル推定装置。
  5. 入力画像信号から動きベクトルを推定する動きベクトル推定方法において、
    入力画像信号中の第1のフレームから領域を切り出し、切り出した上記領域内の画素値所定の演算の結果から、上記領域内にオブジェクトのエッジ或いはテクスチャが含まれるか否かを判定し、上記領域内にオブジェクトのエッジ或いはテクスチャが含まれると判定される場合に上記領域を第1の領域として出力し、
    上記領域内にオブジェクトのエッジ或いはテクスチャが含まれないと判定される場合に切り出すべき領域の形状を変形し、または切り出すべき領域の回転角を変化させて再度領域の切り出しを行い、
    再度切り出した領域内の画素値の上記所定の演算の結果から、上記再度切り出した領域内にオブジェクトのエッジ或いはテクスチャが含まれるか否かを判定する領域切り出しステップと、
    上記入力画像信号中の第2のフレームにおける探索範囲内の各画素を中心とする第2の領域を、上記第2のフレームから上記第1の領域を切り出す際の切り出し条件と同一の切り出し条件の下で順次切り出し、切り出した上記第2の領域の各々と上記第1の領域との間で差分絶対値の和を順次計算し、計算した上記差分絶対値の和を上記探索範囲内の各画素に対応するように保持してなる評価値テーブルを作成するステップと、
    上記評価値テーブルから最小値を検索するステップと、
    上記評価値テーブル上で上記最小値をとる位置と、上記第1の領域の中心画素の位置とのずれ量を算出し、算出した上記ずれ量を動きベクトルとして出力するステップとを有することを特徴とする動きベクトル推定方法。
  6. 請求項5において、
    上記第1のフレームは、
    現フレームであることを特徴とする動きベクトル推定方法。
  7. 請求項5において、
    上記領域切り出し手段は、
    切り出した上記領域内の画素値の分散を計算することを特徴とする動きベクトル推定方法。
  8. 請求項5において、
    上記領域切り出し手段は、
    切り出した上記領域内の画素値のダイナミックレンジを計算することを特徴とする動きベクトル推定方法。
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