JP4161044B2 - N−フッ素化アルキルピペリジン誘導体とそれを含有する中枢局所アセチルコリンエステラーゼ活性測定用試薬 - Google Patents

N−フッ素化アルキルピペリジン誘導体とそれを含有する中枢局所アセチルコリンエステラーゼ活性測定用試薬 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、N−フッ素化アルキルピペリジン誘導体と中枢局所的アセチルコリンエステラーゼ活性測定用試薬に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、in vivoにおける中枢局所的アセチルコリンエステラーゼ活性を測定するための試薬として有用なN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体と中枢局所的アセチルコリンエステラーゼ活性測定用試薬に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】
高齢化社会を迎え、脳神経疾患に苦しむ患者が増大するとともに、痴呆の診断方法や治療方法に関する研究が進められている。
【0003】
アルツハイマー痴呆症などにみられる記憶の低下には脳内コリン作動性神経が深く関与しており、この神経系の障害が原因の一つであると考えられている。中枢局所アセチルコリンエステラーゼ(以下AChEと略称する)は、神経シナプシス、運動神経、筋接合部などに存在し、化学伝達物質としてコリン作動性神経終末よりアセチルコリンをコリンと酢酸に分解する。このAChE活性は、コリン作動性神経の機能低下に伴い低下すること(Perry, E.K. et al., Br. Med. J., 2: 1427-1429, 1978)から、これを測定することにより、痴呆や老化の診断、治療効果の評価、あるいは病態解明に大きく貢献することができる。
【0004】
従来、中枢局所のAchE活性を測定する方法としては、死後の脳のホモジネートあるいは脳切片を組織化学的に染色し、画像処理により測定する方法が用いられてきた。しかし、これらの方法は、いずれも死後の脳を対象とするものであり、生存している脳への適用はこれまで不可能であった。
【0005】
一方、脳内の機能情報を得る手段としては、神経細胞の活動で発生される磁気を計測し、脳の機能的情報を得る脳磁場計測(MEG:Magnetoencephalography)、核磁気共鳴の手法を用いて神経活動を画像化する磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)、パルス状の大電流によりパルス磁場を作り、それで誘起される過電流によって神経細胞を刺激する経頭蓋的刺激法(TMS:Transcraniacal Magnetic Stimulation)などが知られている。さらに、近年では、脳内に陽電子(ポジトロン)を含んだ薬剤を投与し、脳内の神経活動を画像化する高精度の方法として、陽電子放出(ポジトロンエミッション)断層撮像(PET:Positron Emission Tomography)が注目されている。これらの方法は、脳組織におけるガンの発見や脳血流の画像診断、あるいは脳局所の機能や代謝の研究において用いられており、大きな成果をあげている。
【0006】
アセチルコリンエステラーゼのin vivo活性の測定に関して、放射性同位体11Cで標識されたアセチルコリンアナログを用いて、ポジトロンエミッション断層撮像法により測定する方法が、発明者らにより報告されている(Irie, T. et al., J. Nucl. Med., 37: 64-65, 1996)。しかし、11Cの半減期は20分と短いため、化合物の準備から患者への投与、測定までを迅速に行う必要があり、汎用性に乏しいのが実情である。
【0007】
したがって、in vivoで、非侵襲的にAChE活性を測定する有効な方法は、これまで知られていなかったのが実情である。
【0008】
この出願の発明は、以上のとおりの問題点を解決し、in vivoでのAChE活性の測定においてトレーサーとして用いることが可能な化合物とそれを用いたin vivo AChE活性測定方法を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、以上のとおりの課題を解決するものとして、まず、第1には、次の一般式(I)
【0010】
【化2】
Figure 0004161044
【0011】
(ただし、R1はアシル基であり、R2は炭素数1〜5のフッ素置換アルキル基である)で表されることを特徴とするN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体を提供する。
【0012】
第2には、この出願の発明は、アシル基がアセチル基またはプロピオニル基のいずれかである前記のN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体を提供する。
【0013】
さらに、第3には、この出願の発明は、前記いずれかのN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体において、フッ素置換アルキル基のフッ素原子が、18Fであることを特徴とする放射性N−フッ素化アルキルピペリジン誘導体を提供する。
【0014】
第4には、この出願の発明は、少なくとも、前記第1または第2のいずれかのN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体を含有することを特徴とする中枢局所アセチルコリンエステラーゼ活性測定用試薬を提供する。
【0015】
そして、この出願の発明は、第5には、少なくとも、前記第3の放射性N−フッ素化アルキルピペリジン誘導体を含有することを特徴とする中枢局所アセチルコリンエステラーゼ活性測定試薬をも提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
物質が脳局所のアセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性を測定するためのトレーサーとして好適に作用するために必要な条件としては次のものが挙げられる:
(1)脂溶性が高く、容易に脳血液関門を通過して脳組織に移行できる
(2)脳内でのAChEにより特異的に加水分解される
(3)加水分解により生成されるアルコール体の脂溶性が低く、脳組織に留まる(4)脳組織外で生成されたアルコール体は脳内に移行しない
したがって、本願の発明者らは、これらの条件を満たす化合物について鋭意研究を進めた結果、脳局所の濃度測定のためのトレーサーとして有効に作用する、以下の化合物を見出した。
【0017】
【化3】
Figure 0004161044
【0018】
(ただし、R1はアシル基であり、R2は炭素数1〜5のフッ素置換アルキル基である)。
【0019】
このようなN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体において、R1のアシル基はアセチル基(COCH3)、プロピオニル基(COCH2CH3)、ブチリル基(COCH2CH2CH3)、イソブチリル基((CH3)2CHCO)、ベンゾイル基(PhCO)などの無置換カルボン酸のアシル基、グリコロイル基(HOCH2CO)、ラクトイル基(CH3CH(OH)CO)、グリオキシロイル基(OHCCO)などのヒドロキシ酸あるいはオキソ酸のアシル基、さらにはカルバモイル基(NH2CO2H)等のアミド酸のアシル基等、各種のものであってよい。中でも無置換カルボン酸のアシル基、とくに分子量が小さく、分岐構造を有さず、得られるN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体の脳血液関門通過を阻害しないものが好ましい。無毒性、高脂溶性、加水分解性、さらには加水分解物の特性を考慮すれば、R1は、とくにアセチル基またはプロピオニル基とすることが好ましい。
【0020】
この出願の発明のN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体において、R2は、炭素数1〜5のフッ素置換アルキル基、より好ましくは、炭素数1〜3のフッ素置換アルキル基である。具体的には、CH2F、CHF2、CF3、CH2CF3、CH2CH2F、CH2CH2CH2Fなどが例示される。これらのフッ素置換アルキル基におけるフッ素原子の数は、1以上であればよく、とくに限定されない。一般に、フッ素原子は、核磁気共鳴において水素原子と同様の高い感度を示すことが知られている。したがって、例えばMRI測定時にフッ素原子を含有するトレーサーを患者に投与すれば、磁気共鳴イメージングにおいて有効に作用する。測定をより簡便にするためには、各フッ素原子の化学的環境が等しいことが好ましい。すなわち、例えば2つのフッ素原子を有するフッ素置換アルキル基どうしでは、CHFCH2Fのように化学的環境の異なるフッ素原子を有するものよりもCH2CHF2が好ましい。
【0021】
さらに、このようなフッ素化アルキル基において、フッ素原子は、放射性同位体18Fであってもよい。18Fは、その半減期が110分と比較的長いため、得られる放射性N−フッ素化アルキルピペリジン誘導体は、PETなどの放射性造影剤を要するイメージング法において、長時間にわたり作用するトレーサーとして有効なものとなる。
【0022】
以上のとおりのこの出願の発明のN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体は、どのように合成されるものであってもよく、公知の有機化学的手法を用いて合成できる。具体的には、ピペリジン−4−アセテートと2−ブロモ−1−フルオロエタンをDMF等の塩基存在下に反応させ、N−フルオロエチルピペリジン−4−アセテートを得る方法が例示される。また、18Fは、サイクロトロンにて生成したものを用いればよく、例えば前記の例では、あらかじめ2−ブロモ−1−フルオロエタンを18Fにより標識してもよいし、N−フルオロエチルピペリジン−4−アセテートを合成した後、18Fにより標識してもよい。
【0023】
以上のとおりの方法で合成されたN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体は、静脈より脳血液関門を通過し、脳に入った後、速やかに脳外に排出される。しかし、脳内のAChEによりN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体が加水分解されて生成するアルコール体は、脳外への排出が遅延される。したがって、フッ素原子を核磁気共鳴イメージング(MRI)により測定すれば、脳内AChE活性を算出することが可能となる。また、18Fにより標識された放射性N−フッ素化アルキルピペリジン誘導体を同様に用いれば、ポジトロンエミッション断層撮像法(PET)により脳内AChE活性を測定、算出できるのである。
【0024】
すなわち、この出願の発明は、これらのN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体および放射性N−フッ素化アルキルピペリジン誘導体を有効成分として含有する中枢局所アセチルコリンエステラーゼ活性測定用試薬をも提供するのである。このような中枢局所アセチルコリンエステラーゼ活性測定用試薬は、少なくとも前記のとおりのN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体または放射性N−フッ素化アルキルピペリジン誘導体を含有していればよく、その他の添加物等はとくに限定されない。被験者に投与するために適当な形態とすることができ、薬理学的に許容される各種の添加物を含有する測定用試薬が考慮される。例えば、注射液として投与する場合には、溶剤としての蒸留水や生理食塩水、緩衝液、ビタミン等の栄養分、併用可能な他の造影剤、代謝促進剤等が挙げられる。
【0025】
この出願の発明の中枢局所アセチルコリンエステラーゼ活性測定用試薬は、MRIの非放射性造影剤としても使用できる上、有効成分として含有されるN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体におけるフッ素原子を18Fとすれば、PET等の放射性造影剤を要する手法でも使用できる。その場合、18F標識化合物は、従来報告されている11C標識された化合物よりも半減期が飛躍的に長いため、脳神経系疾患の診断や治療効果の判定において、より有用性が高い。
【0026】
以下、実施例を示してこの出願の発明についてさらに詳細に説明する。もちろん、この出願の発明は、以下の実施例に限定されるものではないことはいうまでもない。
【0027】
【実施例】
<実施例1>
次の化学式(II)および(III)に従い、18F標識2−ブロモー1−フルオロエタン(化合物B)を合成した。
【0028】
【化4】
Figure 0004161044
【0029】
【化5】
Figure 0004161044
【0030】
まず、2−ブロモエタノール1.0g(8 mmol)と2,6−ルチジン1.72g(16 mmol)をジクロロメタン10mlに溶かし、無水トリフルオロメタンスルホン酸4.74g(16.8mmol)を氷冷下加えた。室温で30分間攪拌した後、ジクロロメタンを減圧留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルC-200、溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=1/9)により精製した。
【0031】
油状生成物として、2−ブロモトリフルオロメタンスルホニルエタン(化合物A)を得た(503 mg、収率27 %)。
【0032】
次に、サイクロトロンを用いて20%の[18O]を含むH2Oにプロトンを照射し(beam current:15μA、20〜25分)、18O(p,n)18Fの核反応を用いて[18F]フルオライドを生成した。照射水溶液からDowex 1-X8イオン交換カラムを用いて分離し、炭酸カリウム水溶液(3.3mg/0.3ml)にて[18F]フルオライドを樹脂から溶出させ、アセトニトリル(1.5 ml)とKryptofix 2.2.2を25mg含むグラスバイアルに[18F]フルオライドを集めた。
【0033】
この[18F]フルオライドを、前記の2−ブロモトリフルオロメタンスルホニルエタン(化合物A)5-10mgと反応させ(130℃、5分)、18F標識された2−ブロモー1−フルオロエタン(化合物B)を得た。
【0034】
さらに、反応液を130℃で蒸留し、18Fで標識された2−ブロモ−1−フルオロエタン(化合物B)をピペリジン−4−アセテート1.5mgを含むDMF溶液(300μL)に-50℃にてトラップした。反応液を130℃で30分加熱した後、過剰の2−ブロモ−1−フルオロエタンを除去し、残渣を0.3mlの5mM CH3COONH4(pH=4.86)/CH3CN(9/1)に溶かし、HPLC(カラム:10mmφ×250mm、Megapak SILC18、溶出液:5mM CH3COONH4(pH=4.86)/CH3CN(9/1)、流速:4min/ml)にて分離した。このとき、保持時間9.2分の放射能を有する留分を採取し、減圧下90℃で溶媒を留去した。
【0035】
さらに、残渣を蒸留水8mLに溶かし、Milliporeフィルター(0.22μm)を通した。合計の合成時間は、照射から約92〜96分であった。
【0036】
キューリーメーターにて放射能を測定し、最終的に347〜420 MBqの放射能を有するN−フルオロエチルピペリジン−4−アセテート(化合物C)が注射用蒸留水溶液として得られた。
【0037】
この化合物の放射化学純度は、分析用HPLC(カラム:Finepak SilC18-10, JASCO, 4.6mmφ×250mm、溶出液:0.1M CH3COONH4/CH3CN/CH3COOH=250/250/1、流速:2min/ml、保持時間:6.8分)にて決定したところ、常に98%以上であることが確認された。
【0038】
さらに、ラジオTLC(放射能用薄層クロマトグラフィー)の分析では、5μlの18F標識N−2−フルオロエタンピペリジン−4−アセテートをTLCにプロットし、クロロホルム/メタノール/アンモニア(90/10/0.1)で展開してimaging phosphor plateに20分間コンタクトしたところ、Rf 0.65の位置に放射能が認められた。これは、ニンヒドリン発色および標品のRf値と一致した。
<実施例2>
次の化学式(IV)に従い、N−フルオロエチルピペリジン−4−アセテート(化合物D)を合成した。
【0039】
【化6】
Figure 0004161044
【0040】
ピペリジン−4−アセテート1.0g(7mmol)、2−フルオロエタノールとp−トルエンスルホニウムクロリドをピリジン存在下、ジクロロメタン中で反応(室温、24時間)させて合成した2−フルオロ−1−トシルオキシエタン 3.0g(13.8 mmol)、および無水炭酸カリウムを、ジメチルホルムアミド 12ml中80℃にて2.5時間加熱した。反応溶液に酢酸エチル100mlを加え、水、27%アンモニア水、および飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去して得られる残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルC-200、溶出液:クロロホルム)にて精製したところ、N−フルオロエチルピペリジン−4−アセテート(化合物D)が油状物質として930mg(収率70%)得られた。
【0041】
同定結果を表1に示した。
【0042】
【表1】
Figure 0004161044
【0043】
<実施例3>
次の化学式(V)に従い、N−トリフルオロエチルピペリジン−4−アセテート(化合物E)を合成した。
【0044】
【化7】
Figure 0004161044
【0045】
ピペリジン−4−アセテート570mg(4mmol)、2,2,2−トリフルオロエチルトリフルオロメタンスルホネート1.392g(6mmol)、およびトリエチルアミン606mg(6mmol)をジクロロメタン10ml中にて室温で4時間攪拌した。酢酸エチル100mlを加え、水、飽和炭酸水素ナトリウム水、および飽和食塩水で洗浄した。
【0046】
有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(カラム:シリカゲルC-200、溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にて精製したところ、N−トリフルオロエチルピペリジン−4−アセテート(化合物E)を油状物質として558mg(収率62%)で得た。
【0047】
生成物の同定結果を表2に示した。
【0048】
【表2】
Figure 0004161044
【0049】
<試験例1> 18F標識N−フルオロエチルピペリジン−4−アセテート(化合物C)を用いた酵素反応と脳内分布
マウス大脳皮質を抽出し、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)を用いて100mg tissue/mlのホモジネートを調製した。このホモジネート200μlに18F標識したN−フルオロエチルピペリジン−4−アセテート(化合物C)のリン酸緩衝液溶液20μlを加え、経時的にインキュベーションしてアセチルコリンエステラーゼ(AChE)による加水分解速度をラジオTLCにより定量した。
【0050】
加水分解体である標品のN−フルオロエチル−4−ピペリジノールは、4−ピペリジノールと2−フルオロ−1−トシルオキシエタンをアセトン中、加熱還流して合成し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルC-200、溶出液:クロロホルム/メタノール=19/1)にて精製して得た。(収率68%)
同定結果を表3に示した。
【0051】
【表3】
Figure 0004161044
【0052】
一方、同じ反応系にAChEの特異的阻害剤であるBW284c51(シグマ社製)を加え、同様の試験を行ったところ、加水分解反応は著しく阻害され、その特異性は80%以上であった。
【0053】
また、マウスを用いたin vivoでの脳内分布動態試験では、エステル体は静脈注射後、速やかに脳組織に取り込まれ、30分後にはAChE活性の脳内局所分布と類似した濃度分布を示した。さらに、その脳内での化学形は、マウスを断頭致死後速やかに脳を摘出し、氷冷下0.1Mリン酸バッファー(pH 7.4)にてホモジネートし、ラジオTLCにて加水分解体であるN−フルオロエチル−4−ピペリジノールであることをそのRf値を比較することにより確認した。
【0054】
一方、この加水分解体自身を静脈注射してもその脳組織への取り込みは、エステル体の1/10以下であった。
【0055】
これより、N−フルオロエチルピペリジン−4−アセテートは、脳血液関門を通過しやすく、かつ、脳内のAChEにより加水分解されて脳内に留まるものであることが示唆された。
【0056】
したがって、N−フルオロエチルピペリジン−4−アセテートは、脳内局所のAChE活性測定に適した化合物であることが確認された。
【0057】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明により、非侵襲的に、in vivoでのAChE活性を測定するためのトレーサーとして有効に用いられる放射性および非放射性の化合物として、N−フッ素化アルキルピペリジン誘導体が提供される。
これらのN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体は、脂溶性が高く、脳組織に取り込まれるが、その後脳内でAChEにより特異的に加水分解され、その加水分解物は脳組織に留まる。一方、脳組織に至る前に血中エステラーゼ等によりN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体が加水分解された場合には、この加水分解物は脳内に移行しない。したがって、この発明のN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体を用いることにより、精度高く、in vivoでのAChE活性測定方法を行うことが可能となる。

Claims (5)

  1. 次の一般式(I)
    Figure 0004161044
    (ただし、R1はアシル基であり、R2は炭素数1〜5のフッ素置換アルキル基である)で表されることを特徴とするN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体。
  2. アシル基は、アセチル基またはプロピオニル基のいずれかである請求項1のN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体。
  3. 請求項1または2のN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体において、フッ素置換アルキル基のフッ素原子は、18Fであることを特徴とする放射性N−フッ素化アルキルピペリジン誘導体。
  4. 少なくとも、請求項1または2のいずれかのN−フッ素化アルキルピペリジン誘導体を含有することを特徴とする中枢局所アセチルコリンエステラーゼ活性測定用試薬。
  5. 少なくとも、請求項3の放射性N−フッ素化アルキルピペリジン誘導体を含有することを特徴とする中枢局所アセチルコリンエステラーゼ活性測定試薬。
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