JP4161026B2 - 医療用ナイフ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は鋭い尖端を有する医療用ナイフに関し、特に組織を刺し通す際の耐久性を向上させた医療用ナイフに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば眼科手術では、眼球に切開創を形成する際に医療用ナイフを使用するのが一般的である。医療用ナイフの形状として種々のものが提供されているが、その中で、先端に鋭い尖端を形成し、該尖端を頂点として平面形状が略菱形に形成され、菱型の最も幅の広い部分までにエッジを形成した医療用ナイフがある。
【0003】
医療用ナイフの一例として、刃部の先端部分に形成した鋭い尖端を頂点として形成されたエッジは、該エッジを含む面を境界として上部側にエッジから内部側に向かい厚さ方向に傾斜した第1傾斜面と、この第1傾斜面に連続した第2傾斜面とが形成され、最も上部側の表面が上部平面として形成されており、また下部側にはエッジから刃部の内部側に向かい厚さ方向に傾斜した下側傾斜面と、この下側傾斜面に連続した平面が形成されたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
上記医療用ナイフは略菱形の平面形状を有しており、エッジは菱形の最大幅の部分にまで形成されている。即ち、医療用ナイフは目的の切開創を形成するのに必要な最大幅部を持った菱形に形成され、先端部分から最大幅部までの間の側部にエッジが形成されている。
【0005】
また図6に示すように、第2傾斜面を有することのない医療用ナイフも提供されている。この医療用ナイフ51は、刃部52の両側に形成された平坦面からなる第1傾斜面53が先端部分で合致することで、鋭い尖端54を持った尖端部55が形成されている。
【0006】
引用文献1及び上記医療用ナイフ51に於ける第1傾斜面及び下側傾斜面は、組織を切り開くエッジを構成する面として形成されており、医療用ナイフによって組織を切り開く際の抵抗が小さくなるように滑らかな仕上面として形成されている。この第1傾斜面は研削加工によって形成されており、先端部分から最大幅部に至る側部に於いて略一定の幅を持って形成されている。
【0007】
上記の如く構成された各医療用ナイフでは、生体組織を刺し通す際の刺通抵抗が小さく、且つ生体組織を切り開く際の抵抗も小さい。このため、患部を正確に切開することが可能となる。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−238890号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く、鋭い尖端を有し該尖端から最大幅に至る二方向にエッジを設けた医療用ナイフでは、生体組織を刺し通す際の刺通抵抗が小さいという有利さを有するものの、生体組織を数回刺し通すと刺通抵抗が大きくなってしまう、所謂耐久性に劣るという問題が生じている。即ち、医療用ナイフは刃部の尖端が約1μmと非常に微細なものであるため、非常に簡単に曲がってしまう。例えば医療用ナイフの尖端が、生体組織を刺し通す以前に手術用布や指等に少し触れただけでも切れなくなってしまうのである。
【0010】
また例えば図7に示すように、医療用ナイフ51によって生体組織、特に眼球の強膜や硬化した血管等を刺し通したとき、この刺し通しに伴って鋭い尖端54に大きい力が作用し、尖端54を含む尖端部55に曲がりが生じてしまい、尖端部55が曲がった医療用ナイフ51で生体組織を刺通しようとすると、極端に刺通抵抗が増大するという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、刺通抵抗が小さい状態での刺通回数を向上させることが出来る、即ち、耐久性を向上させた医療用ナイフを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本件発明者等がポリエステルフィルムを用いて耐久性実験を行ったところ、上記従来の医療用ナイフでは、あまりにも尖端が鋭いため、図7に示すように刺通の際の抵抗によって該尖端部55に座屈が生じて曲がってしまうことが判明した。この座屈に起因して刺通抵抗が増加し、使用し得なくなるものである。
【0013】
このため、本発明に係る医療用ナイフは、刃部の外周に沿ってエッジを形成した医療用ナイフであって、刃部の平面投影形状が、刃部の先端部分に形成された尖端を含む尖端部と、最も幅の広い最大幅部と、尖端部と最大幅部の間に形成された側面部とからなり、且つエッジに沿って該エッジを構成する第1の斜面が形成されると共に該第1の斜面に沿って第2の斜面が形成されており、前記尖端部を構成する第1の斜面の幅寸法が側面部を構成する第1の斜面の幅寸法よりも大きいものである。
【0014】
上記医療用ナイフでは、刃部の平面投影図に於ける第1の斜面の幅寸法を、尖端を含む尖端部幅を側面を構成する幅よりも大きくすることで、尖端部を刺通性を確保して座屈し難い形状とすることが出来る。このため、刺通回数の増加に伴う座屈に起因する刺通性の劣化を防止して耐久性を向上させることが出来る。
【0015】
上記医療用ナイフに於いて刃部の外周に沿って形成されたエッジの平面投影形状が、側面部では略直線状であり、尖端部では曲線状であることが好ましく、尖端部に於けるエッジの断面形状が、上に向けて凸の曲面状の第1の斜面と該第1の斜面の曲面に交差する面とによって構成されていることが好ましい。
【0016】
エッジを構成する第1の斜面の幅が、刃部の側面部よりも尖端部を大きくなるようにするには、第1の斜面を最大幅部から尖端部まで同一の角度で研削するのではなく、尖端部の研削角度を側面部分よりも大きくすることが必要となり、この研削に伴って尖端部に於ける第1の斜面によるエッジの平面投影形状が曲線状になる。
【0017】
更に、尖端部を構成するエッジの断面形状が、上に向けて凸の曲面状の第1の斜面を含むため、エッジから刃部の内部側(医療用ナイフの中心軸の方向)に離隔するのに伴う厚さの増分は、第1の斜面を平坦面として形成した場合と比較してエッジの近傍で大きくなる。
【0018】
このため、尖端は二方向の平坦面(第1の斜面)が合致して形成される鋭い尖端ではなく、曲面が三次元的に合致したポイントとなり、医療用ナイフの長手方向に生体組織を刺し通す際の力が作用した場合であっても、この力に起因する座屈を防止することが出来る。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る医療用ナイフ(以下、単に「ナイフ」という)の好ましい実施形態について図を用いて説明する。図1は本実施例に係るナイフの平面図である。図2は図1のII−II断面図である。図3は図1のIII −III 断面図である。図4は図1のIV−IV断面図である。図5は本発明に係るナイフと従来の医療用ナイフの比較実験の結果を示す図である。
【0020】
本発明に係るナイフは、眼球等の患部を刺し通して初期切開創を形成し、この初期切開創を起点として生体組織を切開すると共に押し広げる機能を有するものであり、眼球にレンズを埋設するような手術を実施するに際し、該眼球から水晶体を吸引するための超音波乳化吸引装置のチップを挿入し得る長さ、該眼球に埋め込むレンズを挿入し得る長さの切開創を形成し得るようにしたものである。特に、刃部の先端部分を特別な形状とすることによって、耐久性、即ち、刺通抵抗が小さい状態での刺通回数を増加させることで耐久性の向上を実現したものである。
【0021】
本発明に係るナイフを構成する材料として特に限定するものではなく、ステンレス鋼や炭素鋼等の鋼類を用いることが可能である。しかし、防錆の面や加工のし易さを考慮したとき、ステンレス鋼であることが好ましく、中でもオーステナイト系ステンレス鋼であることが望ましい。
【0022】
オーステナイト系ステンレス鋼を素材とする場合、素材の硬度を上昇させるために、所定の加工率で冷間塑性加工を施して組織をファイバー状に伸長させておき、ファイバー状の組織を維持してプレス加工,研磨加工及び他の必要な加工を施すことが好ましい。
【0023】
図に於いて、ナイフAは、刃部1と、この刃部1に連続したシャンク2からなり、刃部1の先端に尖端3が形成されると共に刃部1に於ける尖端3から離隔した位置に刃部1の最大幅部4が形成され、尖端3から最大幅部4の間が側面部5として形成されている。また尖端3を含む所定寸法の範囲には尖端部6が形成されている。このため、ナイフAは、刃部1からシャンク2にかけての平面形状が略菱形に形成されている。
【0024】
尖端3から最大幅部4までの距離、最大幅部4の幅寸法等の詳細な寸法は、ナイフAの目的、例えば切開創の寸法等の仕様に応じて種々設定されている。
【0025】
刃部1の外縁に沿ってエッジ7が形成されている。このエッジ7は生体組織を切り開く機能を有しており、該エッジ7を含む面7aを境界として上部側に形成された第1斜面8と下部側に形成された下部側斜面9とが交差することで形成されている。このように、第1斜面8と下部側斜面9は共同してエッジ7を形成するものであるため、これらの斜面8,9は平滑度の高い研削面として形成されている。
【0026】
刃部1に於ける上部側に形成された第1斜面8に沿って第2斜面10が形成され、両斜面8,10の境界には境界線8aが形成されている。第2斜面10はエッジ7を構成する(切刃としての)機能を有することがないため、必ずしも高い平滑度を持った研削面によって形成する必要はなく、プレス面或いは粗い研削面であっても良い。また第2斜面10に沿って上部平面11が形成されており、該上部平面11も第2斜面10と同様にプレス面或いは粗い研削面であっても良い。
【0027】
刃部1に於ける下部側に形成された下部側斜面9に連続して下部側平面12が形成されている。この下部側平面12はエッジ7を構成する(切刃としての)機能を有することのない面として形成されるため、必ずしも高い平滑度を持った研削面である必要はなく、粗い研削面或いはプレス面として形成されていても良い。
【0028】
刃部1の側面部5に於いて、第1斜面8は図4に示すように平坦な面で且つ図1に示すように同じ幅で形成されている。言い換えると、第1斜面8が同じ幅で平坦面として形成されている範囲が刃部1に於ける側面部5である。この側面部5では、エッジ7を含む面7aの下部側に形成された下部側斜面9も平坦な面として形成されている。このため、エッジ7は二つの平坦面が交差することで先の尖った鋭い形状を有している。このような側面部5では、第1斜面8と第2斜面10との境界となる境界線8aは明瞭な稜として形成されている。
【0029】
上記の如き第1斜面8,下側斜面9は、高い平坦性を有し且つ適度な剛性を持った研削材を用いることで形成することが可能である。このような研削材としては、砥石や、裏面を高い剛性を持ったフレームによって支持されたベルト状の砥石等があり、これらを選択的に利用することが可能である。
【0030】
刃部1の尖端部6に於いて、第1斜面(以下尖端部6を構成する第1斜面を8bとする)8bは図2,図3に示すように緩い曲面で形成され、側面部5との近傍から尖端3に接近するに従って幅が大きくなっている。また尖端部6では、エッジ7を含む面7aの下部側に形成された下部側斜面9も緩い曲面として形成されている。エッジ7に於ける第1斜面8b,下側斜面9を構成する曲面の接線はエッジ7を含む面7aに対して鋭角となる。即ち、第1斜面8bと下側斜面9の曲面は夫々個別に形成され、両斜面の交差部分(エッジ7)は不連続点として形成される。
【0031】
このため、エッジ7は該エッジ7を含む面7aの上下に形成された二つの曲面が交差することにより、最先端では鋭いエッジ7を構成するものの、該エッジ7の近傍であってナイフAの内部方向(上部平面11,下部側平面12の方向)の部位では側面部5に於けるエッジ7と比較して肉厚に形成される。即ち、エッジ7を起点としてナイフAの内部方向に離隔した位置に対する第1斜面8b,下部側斜面9の厚さ増分は、側面部5に於ける第1斜面8,下部側斜面9の厚さの増分よりも大きくなり、耐座屈性能を向上させることが可能となる。それに続く内部部分(エッジ7の近傍よりもナイフAの内部方向の部位)は、側面部5に於けるエッジ7よりも傾斜角度が緩やか(鋭角)になる。
【0032】
このため、尖端部6のエッジ7を巨視的に見たとき鋭角を保持することになり、刺通抵抗を小さくすることが可能となると共に、耐座屈性能が向上することから耐久性が向上することとなる。
【0033】
上記の如き第1斜面8b,下側斜面9によって形成されたエッジ7は、側面部5との境界部位或いは近傍から尖端3に向けて平面視(エッジ7を含む面7aに対して直交する方向から視認すること、以下同じ)が緩い曲線を描くことになる。例えばエッジ7を含む面7aの上部側に形成された第1斜面8bについて説明する。
【0034】
図1に二点鎖線で描くエッジ7の延長線7b及び境界線8aの延長線8cの間隔は、側面部5を構成する平坦面からなる第1斜面8の幅寸法と同じである。このような平坦面からなる第1斜面8を上向きに凸の曲面状の第1斜面8bとする場合、平坦面の両端側(延長線7b,8c側)を研削することとなり、同図に示す延長線7b,8cが研削されて後退する。このようにして尖端部6の第1斜面8bを形成することによって、尖端部6を構成する第1斜面8bの幅は、側面部5を構成する第1斜面8の幅よりも大きくなる。
【0035】
そして側面部5から尖端3に向かってナイフAの内部側に後退するように第1斜面8bを形成することで、尖端部6に於けるエッジ7の平面視形状を曲線状とすることが可能である。この場合、第1斜面8bの曲面の曲率は、側面部5との境界側から尖端3に向かって徐々に変化することになる。
【0036】
また尖端部6に於けるエッジ7が第1斜面8b,下側斜面9の曲面が交差することによって形成されるため、エッジ7の近傍では、該エッジ7からナイフAの内部方向(上部平面11,下部側平面12の方向)に僅かな距離離隔した位置に於ける厚さの増分が、側面部5に於けるエッジ7の増分よりも大きくなり、座屈に対する抵抗が大きくなる。
【0037】
上記の如き尖端部6を構成する第1斜面8b,下側斜面9の曲面の形状は特に限定するものではない。即ち、各斜面8b,9を構成する曲面の部分的な曲率等の性質を限定するものではない。このような第1斜面8b,下側斜面9は予め曲面状の研削面を形成した砥石を用いることで形成することが可能である。
【0038】
尖端3は上記の如き曲面を持った第1斜面8bと下側斜面9とが、平面視の二方向から合致すると共にエッジ7を含む面7aの上下(ナイフAの厚さ方向)から合致することで形成される。即ち、尖端3は、面7aの上部側に形成された二方向の曲面状の第1斜面8bと、面7aの下部側に形成された二方向の曲面状の下側斜面9とが合致することで形成されている。
【0039】
このため、尖端3は鋭いポイントとして形成されるものの、該ポイントの近傍に於ける厚さの増分は平坦面で形成された尖端と比較して大きい。即ち、尖端3が、二方向の第1斜面8b,下側斜面9の曲面が一点で交差することによって形成されるため、尖端3の近傍では、該尖端3からナイフAの軸方向(長手方向)に僅かな距離離隔した位置に於ける厚さの増分が、側面部5に於けるエッジ7の増分よりも大きくなる。言い換えると、尖端3は鋭いポイントが形成されるものの、該ポイントから僅かに離隔すると急激に厚さが大きくなる。また、それに続く内部部分(エッジ7の近傍よりもナイフAの内部方向の部位)は側面部5に於けるエッジ7よりも傾斜角度が緩やか(鋭角)になる。
【0040】
このため、尖端3を生体組織に刺し通したとき、最初の刺通抵抗が小さく円滑な切開を実現することが可能である。また四方向の平坦面からなる斜面を合致して構成された従来のナイフと比較して座屈に対する抵抗が大きくなり、繰り返し刺通を行った場合でも、尖端3を含む尖端部6が座屈することなく、耐久性を向上させることが可能となる。
【0041】
本件発明者等は、上記の如く構成したナイフAと、図6に示す従来の医療用ナイフ51とを用いて耐久性を比較する実験を行った。この実験は、ロードセルにナイフAを垂直下向きにセットし、その下にフィルム(ポリエステルフィルム厚さ38μm)を設置し、ナイフAを一定速度で下降させることでフィルムを刺通し、
各ナイフのサンプルによる刺通距離と刺通抵抗の関係を計測するものである。この実験方法は、生体組織を使用しないためバラツキが非常に少なく、医療用の刃物や縫合針の切れ味試験に良く用いられているものである。この実験で切れ味が悪い場合、生体組織に対して使用する際にも同様に切れ味が悪いことが確認されている。
【0042】
上記実験の結果を図5に示す。尚、同図に於いて、線(1) は本実施例に係るナイフAの1回目の刺通抵抗値を示し、線(2) はナイフAの6回目の刺通抵抗値を示し、線(3) はナイフAの12回目の刺通抵抗値を示している。また線(4) は従来の医療用ナイフによる1回目の刺通抵抗値を示し、線(5) は従来の医療用ナイフによる2回目の刺通抵抗値を示している。
【0043】
この実験の結果、従来の医療用ナイフでは、線(4) に示すように、1回目の刺通抵抗が全実験値中最も小さく、線(5) に示すように、2回目の刺通抵抗が全実験値中最も大きい。即ち、従来の医療用ナイフは尖端が極めて鋭く形成され(図6参照)るため、組織に対する刺通抵抗は小さくなり、極めて良好な切れ味を発揮することが可能であるが、2回目には尖端部が座屈して曲がり(図7参照)が生じてしまい、刺通抵抗が極端に増大する。本実験では、従来の医療用ナイフでは、2回目には刺通することが不可能であった。
【0044】
一方、本実施例に係るナイフAでは、線(1) 〜線(3) に示すように、1回目の刺通から12回目の刺通に至るまで略同じような傾向を呈している。即ち、ナイフAの刺通抵抗は従来の医療用ナイフの1回目の刺通抵抗と比較して大きいものの、刺通回数の増加に関わらず略同じ抵抗値となり、安定した刺通性を発揮することが可能である。
【0045】
特に、刺通回数が12回になっても1回目の刺通抵抗値と略同じ刺通抵抗値を得ることが可能なことから、繰り返し使用に耐え得ることとなり、耐久性が向上したといえる。このことは、尖端3が四つの曲面が合致して形成されることから、尖端3そのものは従来の医療用ナイフの尖端と比較して鈍となり、この分刺通抵抗が増加するが、尖端3に対して作用する垂直方向の力(尖端3から刃部1の長手方向に沿って作用する力)に対抗することが出来、座屈が生じる可能性が極端に小さくなった結果と思料される。
【0046】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明に係るナイフでは、刃部の先端に形成された鋭い尖端を含む尖端部を構成する第1斜面の幅を、側面部を構成する第1斜面の幅よりも大きくすることによって、尖端の鋭さを保持して該尖端を形成する肉厚を厚くすることが出来る。このため、組織を刺通する際に尖端に作用する力に対して該尖端が耐えることが可能となり、繰り返して作用する力に対して充分な耐久性を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係るナイフの平面図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】図1のIII −III 断面図である。
【図4】図1のIV−IV断面図である。
【図5】本発明に係るナイフと従来の医療用ナイフの比較実験の結果を示す図である。
【図6】従来の医療用ナイフの斜視図である。
【図7】従来の医療用ナイフの課題を説明する図である。
【符号の説明】
A ナイフ
1 刃部
2 シャンク
3 尖端
4 最大幅部
5 側面部
6 尖端部
7 エッジ
7a 面
7b 延長線
8 第1斜面
8a 境界線
8b 第1斜面
8c 延長線
9 下部側斜面
10 第2斜面
11 上部平面
12 下部側平面
Claims (3)
- 刃部の外周に沿ってエッジを形成した医療用ナイフであって、刃部の平面投影形状が、刃部の先端部分に形成された尖端を含む尖端部と、最も幅の広い最大幅部と、尖端部と最大幅部の間に形成された側面部とからなり、且つエッジに沿って該エッジを構成する第1の斜面が形成されると共に該第1の斜面に沿って第2の斜面が形成されており、前記尖端部を構成する第1の斜面の幅寸法が側面部を構成する第1の斜面の幅寸法よりも大きいことを特徴とする医療用ナイフ。
- 刃部の外周に沿って形成されたエッジの平面投影形状が、側面部では略直線状であり、尖端部では曲線状であることを特徴とする請求項1に記載した医療用ナイフ。
- 尖端部に於けるエッジの断面形状が、上に向けて凸の曲面状の第1の斜面と該第1の斜面の曲面に交差する面とによって構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載した医療用ナイフ。
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