JP4160969B2 - 衛星測位方法 - Google Patents
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Description
しかし、測位用衛星は動いているために、ドップラ効果が生じ、そのため受信電波の周波数が衛星から送信したものとは異なっている。そこで、GPS受信機などにてドップラ補正を行って、この周波数を衛星から送信した時点と同一にすることを行っている。
この際に受信機自身のみでドップラ補正を行おうとすれば、周波数誤差を自力で推定して考えられる周波数領域を総当りで試みる必要があり、コード復調が出来るまで繰り返す必要が生じるため、非常に長い処理時間が必要であるという欠点があった。つまり、コード復調するまで相当の時間がかかるという致命的な欠点を持っていた。
局部発振器の誤差を完全に排除するためには、超高安定の発振器が要求されることになる。例えば高価なルビジウム発振器などが必要になり、システムが高価になるという欠点があった。
つまり、従来ではドップラ補正を正確に早く応答させるために超高精度で高価な発振器が必要であったが、本発明では、一般的によく使用される安価な発振器であっても、ドップラ補正を正確かつ迅速に行なうことができる。
図1に於て、A1 ,A2 ,A3 ,A4 は衛星(測位衛星)を示し、1は基地局である。基地局1は、受信機端末11に各測位衛星Aのドップラ情報を送るために設けられたものである。
基地局1は、見晴らしの良い環境に設置された受信アンテナ2を備え、GPS基準信号をサーバ受信機3にて受信し、演算部4にてGPS信号からの衛星Aのドップラ効果による周波数誤差値(ドップラ情報)を抽出する。
GPS受信機端末11は、放送などの情報(携帯電話、インターネットなど)に対して、多くの端末11が同時に受信できることを想定している。なお、図1は説明を容易とするために、受信機端末11が1台の場合を示している。
13はGPS信号をダウンコンバートし(搬送波を除去し)たPN信号(C/Aコード)をA/D変換するGPS受信部であり、15はその信号を蓄積する部分(メモリ:RAM)である。16はPN信号(信受信号)から周波数誤差を補正するドップラ補正部である。そして、ドップラ補正部16は、蓄積されたGPS信号のPN信号(I成分、Q成分)について、基地局1からの搬送波のドップラ情報から、搬送波のドップラ補正を行なう。つまり、ドップラ補正部16にて、受信信号から衛星Aのドップラ効果による周波数誤差値を除去する。なお、ドップラ補正部16は、複数個備えられており、例えば、地球を回る衛星Aの数に対応する個数を備えていてもよい。
このドップラ成分を含んだPN信号、すなわち内部発振部34の周波数誤差により生じているドップラ成分を含んだPN信号(I成分、Q成分)について、周波数誤差検出部6にて内部発振部34の周波数誤差検出を行なう。
そして、周波数誤差(衛星Aのドップラ効果による周波数誤差値と局部周波数誤差値)がキャンセルされた信号により、擬似距離検出部19にて、受信機端末11と衛星Aとの擬似距離を求める。ここで得られた擬似距離と、受信部12からの基地局位置、各衛星位置、基地局1と各衛星Aとの擬似距離の情報により位置計算部20で受信機端末11の自己位置を知ることができる。
即ち、周波数誤差検出部6を第1段検出部66とし、第1段検出部66で粗めの局部周波数誤差値を求めた後(第1段検出工程)、第2段検出部7にて高精度の局部周波数誤差値を検出する(第2段検出工程)。
14は受信アンテナ部であり、32は受信アンテナ部14によるPN信号を受信する高周波増幅部であり、33は周波数をダウンコンバートする周波数変換部である。
内部発振部34は、局部発振部(周波数シンセサイザ)等であり、35はI信号変換部(I信号変換搬送波除去部)、36はQ信号変換部(Q信号変換搬送波除去部)、37は90度移相器、38と39はA/Dコンバータ部、15は信号を一時記憶するためのメモリ部(RAM)、41はDSP部、42はCPU部、22はパターン演算部、44はDSP部41用のROM、45はRAM、46はCPU部42と接続されたROMである。
また、12は図1の基地局1からの情報を、放送等の通信回線Lを通じて得るための受信部である。
なお、図1のドップラ補正部16と周波数誤差検出部6(第1段検出部66)と第2段検出部7と擬似距離検出部19と位置計算部20とは、図2の信号処理部21に対応する。
これに内部発振部34と90度移相器37にて互いに90度位相の異なる70MHzの搬送波で掛け算する部分───すなわちI信号変換部35、Q信号変換部36の部分───で互いに搬送波70MHzが除去され互いに直交するI成分とQ成分のPN符号(C/Aコード符号)がそれぞれ取り出される。
内部発振部34は、局部発振器(周波数シンセサイザ)であり、一般に使用される安価な水晶発振器を用いることができる。なお、内部発振部34は周波数誤差を持っている。
図4では、I,Q信号変換部35,36それぞれに於て、入力信号PN.cos((W+ΔW)t+Φ) に対して、互いに直交する搬送波cos(Wt) ,sin(Wt) を乗算することで、搬送波周波数W が両者とも同一であるため、両者とも搬送波成分が除去されている。
以上述べた高周波増幅部32、周波数変換部33、内部発振部34、I信号変換部35、Q信号変換部36、90度移相器37、A/Dコンバータ部38,39は、汎用的な部分であり一般に広く使われているものであり、具体的構成の説明は省略する。
また、本発明の実施例に於ては、PN信号を搬送波成分が除去されたPN信号として説明しているが、PN信号を搬送波成分が含まれたPN信号として構成してもよい。
つまり、図2に於てI信号変換部35、Q信号変換部36で、搬送波を除去しない回路として構成してもよい。
さらにこの場合、図4に於けるI信号変換部35の中の低域フィルタ49,Q信号変換部36の中の低域フィルタ50はバンドパスフィルタ(BPF)でも構成できる。
パターン演算部22は、内部PN符号パターンを発生させ、予め記憶する演算記憶部分である。また、CPU部42とDSP部41は互いに接続され、CPU部42、RAM45、ROM46とでマイクロプロセッサとして動作する。
また、パターン演算部22は、あらかじめ作成しておいた内部PN符号パターンをメモリに蓄積した部分で構成してもよい。
一般に測位用衛星(例えばGPS)は地球上を複数個回っており、各衛星からは、搬送波(GPSの場合1575.42 MHz)を、それぞれ個別の衛星に対応したPN信号(C/Aコードとも呼ばれる)でスペクトラム拡散変調がなされ、地球上に送信している。
例えば、1575.42 MHzを衛星A1 はPN信号aで、衛星A2 はPN信号bでスペクトラム拡散変調して送信しているとする。衛星A1 の信号を受信機端末11にて取り出す(復調させる)ためには、受信機端末11であらかじめPN信号aと同一のPN信号a′を記憶させておき、このPN信号a′により衛星A1 はPN信号aを受信機端末11にて復調させる。
そして衛星A2 からのPN信号bを受信するためには、あらかじめ受信機端末11に、PN信号bと同じPN信号b′を記憶しておかなければならない。
したがって、受信機端末11にはあらかじめ各衛星Aから送信される各衛星Aに対応するすべてのPN信号を持っていなければ各衛星Aの信号を受信できない。
そして、本発明に於てこのあらかじめ用意されているPN信号を内部PN符号パターン(レプリカPN信号)としている。
I信号変換部35とQ信号変換部36とにより得られた信号は、ドップラ成分を含んでいる。このドップラ周波数ΔW は基地局(サーバ)1からの情報であり、受信機端末11の受信部12より情報を得る。
図5の入力信号I信号、Q信号のデータはそれぞれPN.cos( ΔWt +Φ) 、―PN.sin( ΔWt +Φ) で表される。
そして、このPN符号を図1に示す周波数誤差検出部6への入力信号とする。
ドップラ補正部16にて衛星Aのドップラ周波数誤差値が除去された信号が、周波数誤差検出部6(第1段検出部66)に送られる。周波数誤差検出部6では、送られた信号の所定時間Tぶんのデータから微小時間iずつ遅らせて多数個のデータを取得し、その多数個のデータを複数のブロックBに分割する。
例えば、所定時間Tを1sec 、微小時間iを1msecとし、20msec毎にブロックBに分割した場合について説明する。
所定時間Tぶんのデータを1sec ぶんのデータとし、微小時間iを1msecとして合計1000個のデータをサンプリングする。そして、このデータを20msec毎にブロックBに分割し、1sec ぶんのデータは50個のブロックBに分けられる。
信号処理部21が有する相関計算部9にて、ブロックB毎(20msec毎)に受信機端末11が予め有しているレプリカPN符号(C/Aコード信号)とで相関計算を行う。相関計算は広く知られた内容であるが、以下簡単に説明する。
そして、各GPS衛星Aに対応する(衛星受信信号を復調させる)各レプリカPN符号は、あらかじめGPS受信機端末11が備える信号処理部21のROM46に記憶させている。
一般に同期加算はデジタル信号処理回路で周期信号における雑音軽減の方法として広く知られている。この計算について述べると、一般に周期信号に対して1周期の信号をs個のサンプリングパルスでサンプリングしてm周期分データを取ると、D(1:m,1:s) のデータを取得できる(sは標本個数、mは加算回数)。このときM行目の同期加算平均結果は数3に示す式となる。
具体的には、図5に示す入力信号I信号PN.cos( ΔWt +Φ) と、Q信号―PN.sin( ΔWt +Φ) に対して、衛星Aのドップラ周波数誤差値Δ WC より得られる信号cos(ΔWct)とsin(ΔWct)以外に、局部周波数誤差値Δ WL より得られる信号cos(Δ WL t )とsin(Δ WL t )を乗算器26,27,28,29にて乗算し、加算器30と減算器31を通す(図示省略)。そして、受信信号から衛星Aのドップラ周波数誤差値と局部周波数誤差値を除去した信号である―PN.sinΦとPN.cosΦが得られる。―PN.sinΦとPN.cosΦの各信号はRAM45に記憶される(図2参照)。
その後、図1の位置計算部20のブロックにて、基地局1からの基地局位置、各衛星位置、各衛星と基地局間の擬似距離の情報を受信機端末11の受信部12で取得して自己位置が決定される。なお、位置計算部20もここで求めた擬似距離と、基地局位置、各衛星位置、各衛星と基地局間の擬似距離から自己位置を決定する方法は一般に広く知られており容易に実現できる。
具体的には、まず、内部発振部34の周波数誤差の真値が存在する周波数領域を特定する。上述した実施例で説明すると、20msec毎のブロックBに分割しているので、50Hzより小さい周波数単位は測定できない。この場合、例えば、第1段検出部66で局部周波数誤差値が 150Hzと検出されたとすると、50Hz毎にしか測定できないので、周波数誤差の真値は 150Hzより一段階上と一段階下の測定可能値である 100Hzと 200Hzの間にある。 100Hzより大きく 200Hz未満の領域が、特定する周波数領域となる。
そして、衛星Aのドップラ周波数誤差値Δ WC より得られる信号cos(ΔWct)とsin(ΔWct)と、それぞれの候補値Δ WL ′より得られる信号cos(Δ WL t )′とsin(Δ WL t )′とを合わせて、入力信号F1、F2、…、Fxとする。図8に示すように、この入力信号(F1、F2、…、Fx)を複数のドップラ補正部16に入力して(図5参照)、受信信号から衛星Aのドップラ周波数誤差値と各候補値とを除去する。それぞれのドップラ補正部16で処理された受信信号を相関計算部9にて相関計算し、その相関計算結果の中から最大のピーク値を示す相関計算結果を選んで内部発振部34の高精度の周波数誤差値を検出する。
なお、第1段検出工程で受信したデータを分割するブロックBは、20msec毎以外に、例えば40msec毎に分割してもよく、受信機端末11の性能等に応じた分割の仕方であればよい。さらに、第2段検出工程を行わず、第1段検出工程のみ行っても実用的な局部周波数誤差値を検出可能である。
また、図6に示すブロックB毎の相関計算とFFTの演算処理は、それぞれ複数の処理装置を用いて並行させて処理してもよく、また、単数の処理装置でブロックB毎に演算処理を繰り返し行うようにしてもよい。
つまり、従来ではドップラ補正を正確に早く応答させるために超高精度で高価な発振器が必要であったが、本発明では、一般的によく使用される安価な発振器であっても、ドップラ補正を正確かつ迅速に行なうことができる。
さらに、ブロックB毎に相関計算とFFTの演算を行うので、内部発振部34の周波数誤差を検出するための演算処理時間を著しく短くでき、かつ、その演算処理を小規模の回路(メモリ)で行うことができる。
つまり、従来ではドップラ補正を正確に早く応答させるために超高精度で高価な発振器が必要であったが、本発明では、一般的によく使用される安価な発振器であっても、ドップラ補正を正確かつ迅速に行なうことができる。
さらに、ブロックB毎に相関計算とFFTの演算を行うので、内部発振部34の周波数誤差を検出するための演算処理時間を著しく短くでき、かつ、その演算処理を小規模の回路(メモリ)で行うことができる。
また、第2段検出工程では、第1段検出工程で示すことのできる最小の周波数単位よりも小さい内部発振部34の周波数単位で周波数誤差値を検出できるので、内部発振部34の周波数誤差値検出の精度を一層向上させることができ、正確な擬似距離を測定できる。
7 第2段検出部
11 受信機端末
16 ドップラ補正部
19 擬似距離検出部
34 内部発振部
66 第1段検出部
A 衛星
B ブロック
i 微小時間
T 所定時間
τ 遅延値
Claims (2)
- 内部発振部(34)を有する受信機端末(11)が衛星(A)からの信号を受信し、受信した信号により該受信機端末(11)が上記衛星(A)との間の擬似距離を求める衛星測位方法であって、
上記受信信号から上記衛星(A)のドップラ効果による周波数誤差値を除去された信号の所定時間(T)ぶんのデータから微小時間(i)ずつ遅らせて多数個のデータを取得し、その多数個のデータを複数のブロック(B)に分割して、そのブロック(B)毎に、相関計算を行って後にFFTするという演算処理を行い、ブロック(B)毎に上記演算処理を行ったデータを全て同期加算し、次に、該同期加算によって上記内部発振部(34)の周波数誤差値を検出し、上記衛星(A)のドップラ効果による周波数誤差値と上記内部発振部(34)の周波数誤差値とを除去した受信信号から上記擬似距離を求めることを特徴とする衛星測位方法。 - 内部発振部(34)を有する受信機端末(11)が衛星(A)からの信号を受信し、受信した信号により該受信機端末(11)が上記衛星(A)との間の擬似距離を求める衛星測位方法であって、
上記受信信号から上記衛星(A)のドップラ効果による周波数誤差値を除去された信号の所定時間(T)ぶんのデータから微小時間(i)ずつ遅らせて多数個のデータを取得し、その多数個のデータを複数のブロック(B)に分割して、そのブロック(B)毎に、相関計算を行って後にFFTするという演算処理を行い、ブロック(B)毎に上記演算処理を行ったデータを全て同期加算し、次に、該同期加算によって上記内部発振部(34)の周波数誤差値を検出する第1段検出工程を行い、次に、内部発振部(34)の周波数誤差の真値が存在する周波数領域を特定し、該周波数領域内で上記第1段検出工程で示すことのできる最小の周波数単位よりも小さい周波数単位毎に分けた周波数を内部発振部(34)の周波数誤差の複数の候補値とし、上記衛星(A)のドップラ効果による周波数誤差値と上記内部発振部(34)の周波数誤差の各候補値とを除去したそれぞれの受信信号を相関計算し、その相関計算結果の中から最大のピーク値を示す相関計算結果を選んで内部発振部(34)の高精度の周波数誤差値を検出する第2段検出工程を行い、高精度の周波数誤差値が示された上記第2段検出工程の相関計算結果から遅延値(τ)を検出し、該遅延値(τ)から上記擬似距離を求めることを特徴とする衛星測位方法。
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