JP4159825B2 - 移動体制御システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行路を複数の区間に分割し各区間に割当てたモジュール間で移動体制御情報を送受信することによりインタロック機能を実現して移動体を安全に走行制御する移動体制御システムに関し、特に、移動体の特殊な走行制御状況にも対応可能なインタロック機能を備える移動体制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体を安全に運行するための移動体制御システムの1つとして閉そくシステムがある。閉そくシステムは、移動体の走行路を複数の区間に分割し、区間単位で移動体の走行を管理して、1つの区間には1つの移動体しか存在しないように移動体間隔を安全に保つ制御システムである。かかる閉そくシステムにおいては、移動体間の衝突や分岐路での移動体の脱輪等を回避して移動体の走行安全性を確保するため、移動体の走行と信号機や分岐装置等の制御とを相互に関連付けて移動体の走行を制御するインタロック機能を持たせている。
【0003】
従来、このようなインタロック機能は、インタロック機能に必要な論理機能、自己保持機能及びタイマー機能を多数の電磁リレーを電気的に配線して実現しているが、電気配線が複雑で回路の構成が複雑であるという問題がある。このため、走行路全体の各区間に予め用意した所定のモジュールを割当て、区間の連結通りに各モジュールを接続することにより、走行路全体で要求されるインタロック機能を実現し、移動体の走行安全性を確保するようにしたものが、本出願人により特願2000−67214号、特願2001−565229号等で提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の閉そくシステムにより移動体を制御するに際して、走行路の敷設状況や地理的条件等により移動体の特殊な走行制御状況を想定して移動体の走行を制御する場合が少なくない。移動体の特殊な走行制御状況としては、下記の1)〜5)に示すような状況がある。
1)分岐路を含む分岐区間において分岐部分の距離が十分に確保できず、隣接する区間に移動体が存在する状態で分岐区間に移動体が進入すると接触する可能性がある状況。
2)信号機等の移動体進行制御手段により前方区間への進入が禁止されているにも拘わらず、移動体が前方区間にオーバランして進入する状況。
3)信号機等の移動体進行制御手段が、同じ場所に走行方向別に複数設置される状況や本来設置すべき場所に設置できずに離れた場所に設置される状況。
4)走行路の設置領域の制限により平面交差する走行路が存在する状況。
5)走行路に設備される複数の分岐装置が一緒に操作される状況。
【0005】
上記1)の状況とは、図9のように、分岐区間L1、L2が隣接する走行路において分岐区間L2の例えばb側分岐路の距離が十分に確保できないような状況である。この場合、分岐区間L1はc−b方向が開通状態にあり移動体Aが区間L1のc方向に走行し、分岐区間L2はc−a方向が開通状態にあり移動体Bは区間L2のc方向に走行しているものとすると、b側分岐路の距離が十分確保されている場合には、区間L1に存在する移動体Aと区間L2に存在する移動体Bが接触することはない。しかし、b側分岐路の距離が十分確保されていない場合には、区間L1のb側分岐路に移動体Aが存在する状態で移動体Bに対して区間L2への進行を許可すると図示のように接触する場合があり、このような移動体間の接触を回避するための走行制御が必要である。
【0006】
上記2)の状況とは、図10のような走行路において、信号機RA1により区間L1から分岐区間L2への進行が禁止されているにも拘わらず、移動体の制動距離が誤って延びて分岐区間L2へオーバランして進入するような場合である。この場合、分岐区間L2がc−a方向に開通していないと分岐部で移動体は脱輪する危険がある。オーバランしても分岐部に到達しないようにa側分岐路の距離D1を十分長くすればよいが、地理的制約等により距離D1を十分に長くとれない場合は、オーバランによる脱輪を回避する走行制御が必要である。
【0007】
上記3)の信号機等の移動体進行制御手段が同じ場所に走行方向別に複数設置される状況とは、図11のように、直線区間L1の出口に2つの信号機が設置され、分岐区間L2の開通方向がc−a方向の場合に信号機RA1を点灯し、開通方向がc−b方向の場合に信号機RA2を点灯するというように、分岐区間L2の分岐部の開通方向に応じて同一場所の2つの信号機RA1,RA2を点灯制御するような状況である。また、信号機等の移動体進行制御手段が本来設置すべき場所に設置できずに離れた場所に設置される状況とは、図12のように、本来区間L6とL3の出口に設置されるべき信号機RX2とRX3が、信号機を設置するスペースがない等の理由で、同図に示すように区間L6とL3の出口から離れた位置に設置されるような状況である。
【0008】
上記4)の状況とは、図13のように分岐区間L1とL2の走行路が平面交差する状況である。
上記5)の状況とは、図14に示すように、複数例えば2つの分岐装置51,52を同時に転換制御するような状況である。
しかしながら、上述した特願2000−67214号、特願2001−565229号等で開示したモジュールを使用したシステムには、上述した1)〜5)で示した特殊な走行制御状況においても移動体の走行安全性を確保できるようなインタロック機能について示されていない。上述した1)〜5)の特殊な走行制御状況においても移動体の走行安全性を確保できる移動体制御システムが望まれる。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、走行路の各区間に割当てたモジュールを用いて移動体を安全に走行制御する移動体制御システムにおいて、移動体の特殊な走行制御状況にも対応可能な構成とすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1の発明では、移動体の走行路を複数の区間に分割し、前記各区間にモジュールを割当て、各モジュールを区間の連結状態に合わせて配線し、各モジュール間で移動体制御情報を送受信して1つの区間に1つの移動体のみ進行を許可するよう移動体の走行を制御して移動体の走行安全性を確保するインタロック機能を備えた移動体制御システムであって、分岐部を含む分岐区間の分岐路の距離が十分に確保できず分岐区間と当該分岐区間の分岐路に隣接する区間に移動体が存在すると移動体同士が接触する危険があるような状況、或いは、前記移動体進行制御手段が区間出口に設置されず区間出口前方の離れた位置に設置される状況のような特殊な走行制御状況において、前記インタロック機能のための論理機能を備える前記モジュールに、前記特殊状況に応じた論理機能を追加することにより、移動体を安全に走行制御する。
【0011】
具体的には、請求項2のように前記追加する特殊状況に応じた論理機能は、分岐部を含む分岐区間の分岐路の距離が十分に確保できず分岐区間と当該分岐区間の分岐路に隣接する区間に移動体が存在すると移動体同士が接触する危険があるような特殊な走行制御状況の時に、移動体同士の接触を回避すべく、前記分岐区間に移動体が存在しないこと及び当該分岐区間の分岐路が非開通状態にあることの少なくとも一方を確認して前記分岐路に隣接する区間への移動体の進行を許可する構成とするとよい。
【0014】
また、請求項のように前記追加する特殊状況に応じた論理機能は、前記移動体進行制御手段が区間出口に設置されず区間出口前方の離れた位置に設置されるような特殊な走行制御状況の時に、前記移動体進行制御手段で進行が許可された移動体が前方区間に進入したときに前記移動体進行制御手段への進行許可制御出力が消滅しないようにする機能とするとよい。
【0015】
また、請求項のように前記追加する特殊状況に応じた論理機能は、前記移動体進行制御手段が区間出口に設置されず区間出口前方の離れた位置に設置されるような特殊な走行制御状況の時に、前記移動体進行制御手段より1つ手前の移動体進行制御手段の進行許可制御出力の生成を、区間出口前方の離れた位置に移動体進行制御手段が設置された区間の1つ前方の区間からの移動体制御情報の受信を条件に制御する機能とするとよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明に係る移動体制御システムの基本構成について説明する。尚、本発明の移動体制御システムの基本構成は、前述の特願2000−67214号、特願2001−565229号等で詳述されているので、ここでは簡単に説明する。
【0019】
本発明の移動体制御システムは、移動体の走行路を複数の区間に分割し、各区間に所定のモジュールを割当て、各モジュールを区間の連結状態に合わせて配線し、各モジュール間で移動体制御情報として進行許可信号P,P′及び進行移動体不在確認信号A,A′を送受信して1つの区間に1つの移動体のみ進行を許可するよう移動体の走行を制御する。具体的には、移動体進行方向に対して先側隣接区間から進行移動体不在確認信号A′と進行許可信号P′を受信し、これら信号A′、P′と自区間の移動体無し情報Tの論理積出力を、自区間の進行移動体不在確認信号Aと進行許可信号Pとして手前側隣接区間へ送信することにより、前方閉そく区間の安全を確認して移動体を進行制御する。
【0020】
ここで、進行許可信号は進行を許可するための信号であり、進行移動体不在確認信号は進行する移動体が存在しないことを通報するための信号である。尚、モジュールから送信する信号をP,Aで表し、モジュールが受信する信号をP′,A′のように「′」を付して表す。移動体無し情報Tは、自区間に設けた移動体検出装置である例えば軌道回路からモジュールに入力する移動体不在を示す信号である。
【0021】
モジュールには、直線区間に割当てる直線用モジュールと分岐部を含む分岐区間に割当てる分岐用モジュールが用いられる。直線用モジュールには、信号機が存在しない中継区間に割当てるモジュールと信号機が設置される直線区間に割当てるモジュールがある。
信号機が存在しない中継区間に割当てる直線用モジュールのインタロック機能を実現するための基本的な論理処理は、特願2000−67214号、特願2001−565229号等で詳述したように、信号が生成される状態を論理値1、生成されない状態を論理値0とすれば、以下の論理式で表せる。
【0022】
Ac=T・Aa′
Pc=T・Pa′
Aa=T・Ac′
Pa=T・Pc′
ここで、Ac,Pcは自区間のc側端部に隣接する区間に配置されたモジュールへの送信情報を示し、Aa,Paは自区間のa側端部に隣接する区間に配置されたモジュールへの送信情報を示し、Ac′,Pc′は自区間のc側端部に隣接する区間に配置されたモジュールからの受信情報を示し、Aa′,Pa′は自区間のa側端部に隣接する区間に配置されたモジュールからの受信情報を示す。尚、記号「・」は論理積演算を示す。
【0023】
また、区間の出口に信号機が存在する直線区間に配置される直線用モジュールのインタロック機能実現のための基本的な論理処理は、特願2000−67214号、特願2001−565229号等で詳述したように論理式で表せば以下のようである。
Ac=T・Aa′∨Qc∨TDon(IXc′)
Pc=T・(Pa′∨IXa′・Aa′)
Aa=T・Ac′∨Qa∨TDon(IXa′)
PXc=IXc・Pc′
PXa=IXa・Pa′
ここで、Qa,Qcは自己保持出力であり、Qa=IXa′・(T∨Qa)、Qc=IXc′・(T∨Qc)である。IXaは、進行する移動体に対して外部装置の例えばCTC(列車集中制御装置)や運行管理装置等から与えられる移動体進行指令Iaが発生したことを示す信号、IXa′は移動体進行指令Iaが発生していないことを示す信号であり、IXa、IXa′は互いに双対な信号でIXa・IXa′=0の関係である。IXc、IXc′は、進行方向が逆の移動体に対する進行指令である以外はIXa、IXa′と同様である。PXa,PXcは、モジュールから信号機に出力される進行許可を示す制御出力である。TDon(IXa′)、TDon(IXc′)は、移動体進行指令Ia、Icが所定時間以上発生していないことを示す信号である。記号「∨」は論理和演算を示す。
【0024】
更に、分岐路を含む分岐区間に割当てる分岐用モジュールのインタロック機能実現のための基本的な論理処理は、特願2000−67214号、特願2001−565229号等で詳述したように論理式で表せば以下のようである。
Pc=T・SL・(Pa′・LSa∨Pb′・LSb)
Pa=T・SL・Pc′・LSa
Pb=T・SL・Pc′・LSb
Ac=(Qca∨LSb)・(Qcb∨LSa)
Aa=Qa∨LSb
Ab=Qb∨LSa
S=T・Aa′・Ab′・Ac′
ここで、SLは分岐装置の転換を制御する転換制御装置からモジュールに出力される転換不能確認信号、LSa,LSbは分岐装置の開通方向を確認する開通方向確認回路からモジュールに送信される走行路開通確認信号、Sはモジュールから転換制御装置に送信する転換許可信号である。また、Qa,Qb,Qca,Qcbは自己保持出力であり、
Qa=Ac′・(Qa∨T)
Qb=Ac′・(Qb∨T)
Qca=Aa′・(Qca∨T)
Qcb=Ab′・(Qcb∨T)
である。
【0025】
次に、本発明の特徴である、移動体の特殊な走行制御状況にも対処可能な移動体制御システムの各実施形態を説明する。尚、以下の各実施形態では、分岐区間には分岐用モジュールを、直線区間には直線用モジュールを割当てるものとする。
まず、本発明による分岐区間において分岐部分の距離が十分に確保できない場合における移動体同士の接触を回避するインタロック機能実現のための論理処理を図9の走行路を例に説明する。
【0026】
分岐部分の距離が十分に確保できない場合に移動体同士の接触回避するには、図9の分岐区間L1のb側分岐路に移動体Aが存在しないことを確認して移動体Bを進行させればよい。
即ち、論理式で表せば、
AZ=T∨SL・LSa
ここで、走行路開通確認信号LSa=1は区間L1がc−a方向に開通していることを示し、転換不能確認信号SL=1は区間L1のモジュールで制御される分岐装置の転換制御が抑制されていることを示し、T=1は区間L1に移動体が存在しないことを示す。
【0027】
モジュールから出力される移動体が存在しないことを示す信号(以下、移動体不在信号とする)をAX、モジュールから出力される分岐路が非開通状態にあり進行する移動体が存在しないことを示す信号(以下、非開通確認信号)をAYとすると、区間L1に割当てた分岐用モジュールから出力される信号AYは、区間L1がc−b方向に開通している場合は区間L1のa側に隣接する区間L3のモジュールに、区間L1がc−a方向に開通している場合は区間L1のb側に隣接する区間L2のモジュールに各々送信する。
【0028】
そして、図9の例で区間L1のb側分岐路に移動体が存在しないことを確認して移動体Bの進行を許可するには、区間L2の分岐用モジュールは、区間L1の分岐用モジュールからAX=1又はAY=1を受信したときにa側隣接区間のモジュールに送信する進行許可信号を生成するようにすればよい。
従って、分岐区間において分岐部分の距離が十分に確保できない場合における移動体同士の接触を回避するインタロック機能を実現するためには、分岐用モジュールの論理処理を、前述した基本的な処理に、信号AXa,AXb及びAYa,AYbの生成論理機能を加え、進行許可信号Pa、Pb、Pcの生成論理を以下のように変更すればよい。
【0029】
AXa=AXb=T
AYa=SL・LSb
AYb=SL・LSa
Pc=T・SL・(Pa′・LSa・(CLb∨AXb′∨AYb′)
∨Pb′・LSb・(CLa∨AXa′∨AYa′))
Pa=T・SL・Pc′・LSa・(CLb∨AXb′∨AYb′)
Pb=T・SL・Pc′・LSb・(CLa∨AXa′∨AYa′)
ここで、CLa,CLbは各々a側分岐路、b側分岐路の距離が十分であることを示す信号で、モジュールの設置時に予め設定される。AXb′とAYb′は区間L1のb側に隣接する区間L2のモジュールから入力される信号、AXa′とAYa′はa側に隣接する区間L3のモジュールから入力される信号を示す。
【0030】
a側分岐路、b側分岐路の距離がそれぞれ十分で、分岐区間L1のb側分岐路に移動体Aが存在しても移動体AとBの接触の心配がないときは、CLa=1、CLb=1に設定する。この場合は、基本的な論理処理と実質的に同様となる。図1に、図9の走行路の区間L1及び区間L2にそれぞれ割当てた分岐用モジュール間の移動体制御情報の入出力関係を示す。尚、転換不能確認信号SL、走行路開通確認信号LSa,LSb、転換許可信号Sの送受信は従来同様であり図示を省略する。
【0031】
上述の論理処理機能により、分岐路の距離に余裕がない場合でも安全を確保しつつ移動体の走行を制御可能なインタロック機能が実現できる。
次に、参考例として信号機等の移動体進行制御手段により前方区間への進入が禁止されているにも拘わらず、移動体が前方区間にオーバランして進入した場合に、移動体の衝突や脱輪を回避するインタロック機能実現のための論理処理を図10の走行路を例に説明する。
【0032】
オーバランを考慮したインタロック機能を実現するための直線用モジュールと分岐用モジュールにおける論理処理について説明する。
距離D1を十分に長くとれない場合、従来ではオーバランを考慮して以下の制御が行われている。
区間L2の分岐装置がc−a方向に開通している場合には、信号機RX1により進行を許可する。即ち、オーバランが発生するという前提で、到着点(停止地点)である信号機RA1を越えた区間L2に移動体が誤って進行しても衝突や脱輪を生じないことを確認して進行を許可するような制御である。この場合、到着点である区間L1に移動体が停止したとき、停止したことを確認してオーバランに対処して転換が抑制されていた区間L2の分岐装置の転換を許可する信号の生成が必要となる。
【0033】
区間L2の分岐装置がc−a方向に開通していない場合には、信号機RX1による速度制限(例えば徐行)を行う。即ち、オーバランを生じない程度の低速で進行を許可するような制御である。
従って、オーバランに対処可能な移動体制御システムとするには、オーバランを生じる可能性のある区間L1に割当てた直線用モジュールは、以下の1)又は2)の論理処理を行えばよい。
1)オーバランを生じて誤って進入してしまう可能性ある区間L2のモジュールで、オーバランを生じても分岐路が開通しているために危険事象(脱輪等)が発生しないことを示す信号(以下、オーバラン許容信号とする)を生成し、このオーバラン許容信号を受信した場合に限り、進行許可信号Pを生成して移動体の出発区間(図10では区間L4)に伝搬する処理。
2)移動体の出発区間(図10の区間L4)のモジュールで、オーバランが発生しない程度に速度が制限されていること確認する信号(以下、速度制限確認信号)を生成して伝播し、この速度制限確認信号を受信した場合に限り、進行移動体不在確認信号Aを生成して区間L2に送信する処理。
【0034】
即ち、オーバランを考慮した場合、前述した基本の移動体制御情報にオーバラン許容信号と速度制限確認信号を追加して、直線用モジュールと分岐用モジュールの論理処理機能を以下のようにすればよい。
直線用モジュールにおいては、インタロック機能の実現のための進行許可信号Pc(区間L1のc側隣接区間L3に送信する信号)及び進行移動体不在信号Aa(区間L1のa側隣接区間L2に送信する信号)の生成論理を以下のように変更する。
【0035】
Pc=T・(Pa′∨IXa′・Aa′・(Qpovc∨Qpspc))
Aa=T・Ac′∨(Qa∨TDon(IXa′))・Qaov
尚、Qpovc=PYc=PYa′∨OVOK
Qpspc=PZc′・(T∨Qpspc)
Qaov=TDon1(IXa′・Ac′)∨(Qpspc∨OVOK)
である。
【0036】
ここで、PYcはc側隣接区間L3のモジュールに送信するオーバラン許容信号、PYa′はa側隣接区間L2のモジュールから受信したオーバラン許容信号、OVOKは、オーバランを考慮しなくともよいか否かを示す信号で、オーバランを考慮しなくともよい場合にモジュールの設置時に擬似信号を用いて強制的にOVOK=1に設定する。PZc′はc側隣接区間L3のモジュールから受信する速度制限確認信号である。また、Qaovは、区間L1に存在する移動体がオーバランしないことを保証する信号を示し、TDon1(IXa′・Ac′)=1は、先側隣接区間L2方向に向かう移動体に対する移動体進行指令Iaがないことを示す信号IXa′が発生せず、且つ、手前側隣接区間L3から進行移動体不在信号Ac′が入力している状態が所定時間継続したときに発生し、区間L1に移動体が停止したことを確認する信号である。そして、Qpovc=1は先側隣接区間L2にオーバランしても危険が生じないことを示し、Qpspc=1は区間L1で停止すべき移動体が出発区間L4においてオーバランを生じない程度の低速で走行していることを示す。
【0037】
また、速度制限確認信号PZaは以下の論理式により生成する。
PZa=IXa′∨LYY
ここで、LYY=1は徐行による速度制限が行われていることを示す。
即ち、区間L1の直線用モジュールで制御される信号機RA1が進行禁止或いは徐行現示の場合に信号PZaは生成され、区間L1のa側隣接区間L2のモジュールに送信される。
【0038】
また、信号機への制御出力を、徐行進行許可制御出力PXYaと通常速度進行許可制御出力PXGaとして以下の論理により生成する。
PXYa=IXa・Pa′
PXGa=IXGa・PYa′・PXYa
ここで、IXaは徐行速度進行指令信号Iaが発生していることを示す信号であり、IXGaは通常速度進行指令信号Igaが発生していることを示す信号である。徐行進行許可制御出力PXYaはオーバランを生じ得ない程度の徐行速度で進行を許可することを示し、通常速度進行許可制御出力PXGaはオーバラン許容信号PYa′が入力されていることを条件に通常速度による進行を許可することを示す。
【0039】
即ち、徐行速度進行指令信号Iaが入力し、先側隣接区間L2から進行許可信号Pa′が入力するときにオーバランしない程度の徐行速度による進行を許可し、徐行進行許可制御出力PXYa=1が出力されている状態で、通常速度進行指令Igaが入力し、先側隣接区間L2からオーバラン許容信号PYa′が入力するときに徐行速度より早い通常速度での進行を許可する。
【0040】
分岐用モジュールにおいては、前述の基本的な論理処理に、以下のようなオーバラン許容信号PYa、PYb、PYcの生成論理機能を付加する。
PYa=SL・LSa・PYc′
PYb=SL・LSb・PYc′
PYc=SL・(Qpxa∨Qpxb)
尚、Qpxa=SL・LSa・PYa′、Qpxb=SL・LSb・PYb′である。
【0041】
また、分岐用モジュールに速度制限確認信号PZを中継する機能を設ける。速度制限確認信号PZの中継には自己保持機能を用いる。これは、移動体が自区間走行中であっても信号PZの発生を継続するためであり、移動体が出発区間から到着区間に至る間、速度が制限されていることが自己保持により記憶される。
論理式で表せば以下のようになる。
【0042】
PZa=SL・LSa・PZc′・(T∨PZa)
PZb=SL・LSb・PZc′・(T∨PZb)
PZc=SL・(Qpya∨Qpyb)
ここで、Qpya=SL・LSa・PZa′・(T∨Qpya)、Qpyb=SL・LSb・PZb′・(T∨Qpyb)である。
【0043】
図2に、図10の走行路の場合におけるオーバランを考慮した移動体制御システムのモジュール間のオーバラン許容信号PYと速度制限確認信号PZに関する入出力関係を示す。尚、各モジュール間で送受信される基本的な移動体制御情報(進行許可信号や進行移動体不在信号等)の入出力関係については特願2000−67214号等で示した通りであるので省略する。図中、「′」の付いていない信号はモジュールの送信信号を示し、「′」の付いている信号はモジュールの受信信号を示す。
【0044】
図2に示すように、区間L2の分岐用モジュールから生成されるオーバラン許容信号PYaが区間L1、L3の各モジュールを経由して区間L4のモジュールに伝達されると、区間L4の直線用モジュールにより徐行より速い通常速度による進行を許可するよう信号機PX1は制御される。一方、区間L4のモジュールから生成される速度制限確認信号PZaが区間L3のモジュールを経由して区間L1のモジュールに伝達されると、区間L1のモジュールから区間L2のモジュールに対して上述した論理式による進行移動体不在確認信号Aaが送信される。
【0045】
上述の論理処理機能により、オーバランを考慮したインタロック機能を実現できる。
次に、別の参考例として、信号機等の移動体進行制御手段が同じ場所に走行方向別に複数設置される場合のインタロック機能実現のための論理処理を図11の走行路を例に説明する。
【0046】
図11は、分岐区間L2の分岐装置の開通方向に応じて区間L1の出口に設置される2つの信号機RA1,RA2の点灯を制御する例を示している。分岐装置の開通方向がc−aである場合に信号機RA1を点灯して移動体の進行を許可し、開通方向がc−bである場合に信号機RA2を点灯して移動体の進行を許可する。
【0047】
このように区間出口に走行方向別に2つの信号機が設置される場合におけるインタロック機能実現のためには、区間L2に割当てる分岐用ジュールから送信する合流側(図11ではc方向)の進行許可信号Pcを分岐路の開通方向に応じてPcaとPcbの2つに分割すればよい。
即ち、前述の基本的な進行許可信号Pcを以下のように分割する。
【0048】
Pca=T・SL・Pa′・LSa・(CLb∨AXb′∨AYb′)
Pcb=T・SL・Pb′・LSb・(CLa∨AXa′∨AYa′))
尚、CLa、CLbは前述したモジュール設置時に設定される信号、AXa′、AXb′は前述した移動体不在信号、AYa′、AYb′は前述した非開通確認信号である。
【0049】
そして、区間L1の直線用モジュールにおける信号機の制御出力を2つに分割して次式のような論理式に変更する。
PXa1=Pca′・IXa1
PXa2=Pcb′・IXa2
ここで、IXa1は信号機RA1に対する点灯制御指令Ia1が発生したことを示す信号、IXa2は信号機RA2に対する点灯制御指令Ia2が発生したことを示す信号である。
【0050】
即ち、区間L1の直線用モジュールは、分岐区間L2から進行許可信号Pac′を受信し信号機RA1に対する点灯制御指令Ia1が入力したときに信号機RA1を点灯し、進行許可信号Pcb′を受信し信号機RA2に対する点灯制御指令Ia2が入力したときに信号機RA2を点灯する。
図3に、図11の走行路の区間L1とL2に割当てる直線用モジュールと分岐用モジュール間の入出力関係を示す。
【0051】
次に、本発明による信号機が本来配置すべき場所に設置できずに離れた場所に設置される場合のインタロック機能実現のための論理処理を図12の走行路を例に説明する。
図12で、信号機RX2とRX3は本来区間L6とL3の出口に設置されるべきであるが、信号機を設置するスペースがない等の理由で、同図に示すように離れた位置に設置される場合がある。
【0052】
この場合、以下の1)、2)のような処理が必要となる。
1)信号機RX3を本来設置すべき場所(区間L3の出口)に設置したとき、信号機RX3による進行許可は区間L4のモジュールから送信される進行許可信号に基づき開始され、移動体が区間L4に進入すると前記進行許可信号が消滅し進行禁止となる。しかし、図12のような位置に信号機RX3を設置した場合、移動体が区間L4に進入して信号機RX3が進行禁止となると移動体は停止してしまう虞れがある。このため、区間L4への進入で進行許可を消滅させずに区間L5への進入で消滅させるような処理が必要である。
2)信号機RX1で進行が許可された移動体は、本来区間L3内で停止すべきであるが、信号機RX3が設置されている場所まで走行する可能性が少なくない。このため、信号機RX1で進行許可を行う場合、区間L2とL3に加えて区間L4の条件を考慮するような処理が必要である。
【0053】
図4に、上述の処理を実現する場合の構成例を示す。
上記1)の処理は、区間L3に割当てたモジュールに別途入力端子Pslcを設け、区間L4の先側隣接区間L5のモジュールの進行許可信号Pc(L5)を、区間L4と区間L3のモジュールで受信するよう構成する。そして、区間L3のモジュールにおける信号機RX3の制御出力PXaの発生論理を次式のようにすればよい。
【0054】
PXa=IXa・(Pa′∨Pa*・SLC)
Pa*=Pa′・(Pslc∨Pa*)=Pc(L5)・(Pa(L4)∨Pa*)
ここで、SLCはこの処理の対応を行うか否かの設定信号で、モジュール設置時に設定され、SLC=1は対応を行わないことを示す。Pa*は自己保持出力である。
【0055】
即ち、移動体が区間L5に進入して区間L5の進行許可信号Pc(L5)が消滅した時に信号機RX3による進行許可が消滅するようにする。
また、上記2)で示される区間L1のモジュールで管理される信号機RX1の点灯条件は、前述したオーバラン許容信号AYを用いて実現する。即ち、区間L4の状態がc−a方向開通且つ移動体不在で区間L4に割当てた分岐用モジュールからオーバラン許容信号AYaが発生すると、このオーバラン許容信号が区間L3、L2のモジュールを経由して区間L1のモジュールに伝達され、区間L2からのオーバラン許容信号AYcを受信したときに信号機RX1の点灯を許可する。
【0056】
尚、区間L4の分岐装置の転換許可は次のようにして発生する。
移動体が区間L1を退出すると区間L1のモジュールの進行移動体不在確認信号Aaが生成される。移動体の進行と共にこの進行移動体不在確認信号Aaが自己保持機能により伝達され、移動体が区間L2を退出すると区間L3に伝達される。前述した論理式のTDon1で規定される時間が経過して移動体が区間L3内で停止したことが確認されると、区間L3から進行移動体不在確認信号Aaが区間L4に送信され、区間L4の分岐装置の転換動作は許可される。尚、区間L6の出口に本来設置されるべき信号機RX2についても同様の論理処理となるので説明は省略する。
【0057】
次に、参考例として走行路の設置領域の制限により平面交差する走行路が存在する場合のインタロック機能実現のための論理処理を図13の走行路を例に説明する。
図13の平面交差路において、走行が許可される状態は図5の(a)〜(c)の場合であり、(d)は許可されない。
以下に、図5(a)〜(c)のそれぞれの場合における進行許可信号の伝達条件を示す。尚、移動体は図中の矢印方向に走行するものとする。
【0058】
図5(a)の場合、区間L1の分岐部1のc側(合流方向)に進行許可信号を伝達してよい条件は、区間L1において分岐部1がc−a方向開通、且つ、分岐部2がc−a方向開通である。また、区間L2の分岐部4のc側(合流方向)に進行許可信号を伝達してよい条件は、区間L2において分岐部3がc−a方向開通、且つ、分岐部4がc−a方向開通である。この場合、区間L1の分岐部1,2が共にc−a側に開通するか、区間L2の分岐部3,4が共にc−a側に開通していれば交差路は形成されず移動体の衝突はない。
【0059】
図5(b)の場合、区間L2の分岐部3のc側に進行許可信号を伝達してよい条件は、区間L2の分岐部3がc−b方向開通、且つ、区間L1の分岐部2がc−b方向開通、且つ、区間L2の分岐部4がc−a方向開通、且つ、区間L1の分岐部1がc−a方向開通である。即ち、区間L2の分岐部3がc−b方向開通、且つ、区間L1の分岐部2がc−b方向開通で、図5(b)矢印で示す走行路が形成されるが、もう一つの走行路(区間L2の分岐部4がc−b方向に開通し、区間L1の分岐部1がc−b方向に開通して形成される走行路)における走行が禁止されているかどうかは判らないので、区間L2の分岐部4がc−a方向開通、且つ、区間L1の分岐部1がc−a方向開通という条件を追加してもう1つの走行路が遮断されていることを確認する必要がある。
【0060】
図5(c)の場合、区間L2の分岐部4のc側に進行許可信号を伝達してよい条件は、区間L2の分岐部4がc−b方向開通、且つ、区間L1の分岐部1がc−b方向開通、且つ、区間L2の分岐部3がc−a方向開通、且つ、区間L1の分岐部2がc−a方向開通である。この場合も図5(b)と同様で、区間L2の分岐部3がc−a方向開通、且つ、区間L1の分岐部2がc−a方向開通という条件を追加して他の走行路が遮断されていることを確認する必要がある。
【0061】
図5(a)〜(c)の場合の論理処理を実現するためには、図6に点線で示すように、それぞれに分岐部が含まれるよう区間L1,L2をそれぞれ仮想的に2つの区間に分割し、仮想的に分割した各区間に分岐用モジュール11〜14をそれぞれ割当て図7に示すような入出力関係となるよう配線すれば、上述の論理処理に基づくインタロック機能を実現でき、平面交差路における移動体の走行安全性を確保できる。
【0062】
図7の分岐用モジュール間の入出力関係について詳述する。
まず、図5(a)の場合について説明する。
区間L1の分岐部1のc側に進行許可信号が伝達される場合について説明すると、区間L1の分岐部2のc側隣接モジュールから進行許可信号Pc′を分岐用モジュール12が受信すると、分岐用モジュール12は分岐部2がc−a方向に開通していることを条件に進行許可信号Paを生成して分岐用モジュール11に送信する。分岐用モジュール11は、分岐用モジュール12から進行許可信号Pa′を受信すると、分岐部1がc−a方向に開通していることを条件に進行許可信号Pcaを生成し、区間L1の分岐部1のc側隣接モジュールに送信する。このようにして、区間L1の分岐部1のc側に進行許可信号が伝達されることを示している。
【0063】
区間L2の分岐部4のc側に進行許可信号が伝達される場合は、区間L2の分岐部3のc側隣接モジュールから進行許可信号Pc′を分岐用モジュール13が受信すると、分岐用モジュール13は分岐部3がc−a方向に開通していることを条件に進行許可信号Paを生成して分岐用モジュール14に送信する。分岐用モジュール14は、分岐用モジュール13から進行許可信号Pa′を受信すると、分岐部4がc−a方向に開通していることを条件に進行許可信号Pcaを生成し、区間L2の分岐部4のc側隣接モジュールに送信する。このようにして、区間L2の分岐部4のc側に進行許可信号が伝達されることを示している。
【0064】
図5(b)の場合における区間L2の分岐部3のc側に進行許可信号が伝達される場合について説明する。
区間L1の分岐部2のc側隣接モジュールから進行許可信号Pc′を分岐用モジュール12が受信すると、分岐用モジュール12は分岐部2がc−b方向に開通し、且つ、分岐用モジュール11から分岐部1がc−a方向に開通していることを示す信号を受信していることを条件に進行許可信号Pbを生成して分岐用モジュール13に送信する。分岐用モジュール13は、分岐用モジュール12から進行許可信号Pb′を受信すると、分岐部3がc−b方向に開通し、且つ、分岐用モジュール14から分岐部4がc−a方向に開通していることを示す信号を受信していることを条件に進行許可信号Pcbを生成し、区間L2の分岐部3のc側隣接モジュールに送信する。このようにして、交差路における図5(b)の矢印方向の走行を許可する場合において、区間L2の分岐部3のc側に進行許可信号が伝達されることを示している。
【0065】
図5(c)の場合における区間L2の分岐部4のc側に進行許可信号が伝達される場合について説明する。
区間L1の分岐部1のc側隣接モジュールから進行許可信号Pc′を分岐用モジュール11が受信すると、分岐用モジュール11は分岐部1がc−b方向に開通し、且つ、分岐用モジュール12から分岐部2がc−a方向に開通していることを示す信号を受信していることを条件に進行許可信号Pbを生成して分岐用モジュール14に送信する。分岐用モジュール14は、分岐用モジュール11から進行許可信号Pb′を受信すると、分岐部4がc−b方向に開通し、且つ、分岐用モジュール13から分岐部3がc−a方向に開通していることを示す信号を受信していることを条件に進行許可信号Pcbを生成し、区間L2の分岐部4のc側隣接モジュールに送信する。このようにして、交差路における図5(c)の矢印方向の走行を許可する場合において、区間L2の分岐部4のc側に進行許可信号が伝達されることを示している。
【0066】
次に、走行路に設備される複数の分岐装置を一緒に操作する状況に対しての処理機能について図14の例で説明する。
2つの分岐装置51,52を同時に転換制御する場合、従来は図14のように転換動作を行う転換制御回路を互いに並列接続し、転換方向を検出する転換方向検出回路を互いに直列接続するよう配線される。
【0067】
即ち、転換方向検出回路は、a−c側開通(図中の太線側が+となる)とb−c側開通(図中の細線側が+となる)とで出力電流の方向を変え、いずれの側に開通しているかを通報するものである。図14では、一方の転換方向検出回路(図では分岐装置52側)を電源に接続し、この転換方向検出回路の出力を他方の転換方向検出回路(図では分岐装置51側)の入力とし、両分岐装置が共にa−c側開通或いはb−c側開通の状態にあるときに限り、電流が流れるよう配線され、通電方向検出回路によりその出力電流方向が検出されて転換方向が検出される。転換制御回路は、電流の通電方向に応じて分岐装置51,52の転換方向を制御する。通電方向切替回路により両転換制御回路への通電方向が切替えられ(a−c側開通のとき図中の太線側が+、b−c側開通のとき図中の細線側が+となるよう)、両転換制御回路には同一方向の電流が流れるよう配線される。そして、リレーRyが転換許可信号の入力で励磁されるとその常開接点がオンして通電方向切替回路に電源が供給され、この状態で転換指令が入力されると、入力した転換指令に応じて通電方向切替回路は転換制御回路への通電方向を切替える。リレーRyが非励磁となると分岐装置は転換不能状態となり、リレーRyの常閉接点がオンとなって転換不能確認信号SLが生成される。
【0068】
モジュールを使用する移動体制御システムは、基本的には各モジュールが独立して各分岐装置を制御する構成であるため、各モジュールで各分岐装置を制御しようとすれば、分岐装置51,52の設置現場における図14のような接続配線を変更しなければならない。
図8に、設置現場の接続配線を変更せずに図14のように配線された2つの分岐装置51,52を一緒に制御可能としたモジュールの構成例を示す。
【0069】
図8において、分岐装置51が設けられる分岐区間に割当てられる分岐用モジュール21と、分岐装置52が設けられる分岐区間に割当てられる分岐用モジュール22とに、それぞれ通電方向検出回路、リレーRy及び通電方向切替回路を設ける。そして、分岐用モジュール21の通電方向切替回路の出力信号を、分岐用モジュール22の通電方向切替回路の電源として供給するよう直列接続し、分岐用モジュール22の通電方向切替回路の出力を分岐装置51,52の転換制御回路に並列に供給する。また、分岐装置51の転換方向検出回路の出力を、分岐用モジュール21,22の各通電方向検出回路に並列に供給する。
【0070】
かかる構成において、分岐用モジュール21,22が共に転換許可信号1,2の入力により転換許可状態にあるときに限り、分岐用モジュール22から各分岐装置51,52に転換制御出力信号が供給される。分岐装置51,52を共にa−c方向に転換する場合、両モジュール21,22に対してa−c方向開通の転換指令1,2を入力する。これにより、モジュール21の通電方向切替回路の出力は図中の太線をプラス(+)とする電源としてモジュール22に供給され、モジュール22の通電方向切替回路の出力はそのまま図中の太線をプラス(+)として分岐装置51,52に供給される。
【0071】
一方、分岐装置51,52を共にb−c方向に転換する場合、a−c方向転換時と同様に、両モジュール21,22に対してb−c方向開通の転換指令1,2を入力すると、モジュール21の通電方向切替回路の出力は図中の細線をプラス(+)とする電源としてモジュール22に供給されるが、モジュール22の通電方向切替回路で極性が反転してモジュール22の出力は図中の太線をプラス(+)として分岐装置51,52に供給されてしまいb−c方向に転換できない。従って、b−c方向への転換時は、モジュール21,22のどちらか一方の転換指令を、転換方向に関係なくa−c方向開通の転換指令とする。例えば、モジュール21の転換指令1をb−c方向開通指令とし、モジュール22の転換指令1をa−c方向開通指令とすれば、モジュール21の通電方向切替回路から図中の細線をプラス(+)として供給された制御出力は、モジュール22側の通電方向切替回路で極性が反転せずそのまま図中の細線をプラス(+)として分岐装置51,52の転換制御回路に供給される。これにより、分岐装置51,52の現場の配線を変更することなく、モジュールを使用した移動体制御システムで、移動体の走行制御が可能となる。そして、各分岐用モジュールで、転換方向に応じた走行路開通確認信号をそれぞれ生成でき、インタロック機能実現のための移動体制御情報の生成が可能となる。尚、図8では分岐装置が2つの場合を示したが、直列接続される分岐装置の数はこれに限らず3つ以上でも良いことは言うまでもない。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の移動体制御システムによれば、分岐路の距離が十分に確保できない分岐区間が存在する状況、或いは、移動体進行制御手段が区間出口から離れた位置に設置される状況のような特殊な状況においても、移動体を安全に走行制御することができ、モジュールを使用した移動体制御システムの安全性及び信頼性をより一層向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分岐路の距離が十分確保できない場合におけるモジュール間入出力関係の実施形態を示す図
【図2】参考例のオーバランを考慮した場合におけるモジュール間入出力関係を示す図
【図3】別の参考例の走行方向別に移動体進行制御手段が複数設置される場合におけるモジュール間入出力関係を示す図
【図4】本発明の本来設置すべき場所に移動体進行制御手段が設置できない場合におけるモジュール間入出力関係の実施形態を示す図
【図5】平面交差する走行路形成状態を示す図で、(a)〜(c)は走行可能な状態を示す図、(d)は走行が禁止される状態を示す図
【図6】平面交差路を構成する各分岐区間の分割状態を示す図
【図7】参考例の走行路に平面交差路が存在する場合におけるモジュール間入出力関係を示す図
【図8】別の参考例の複数の分岐装置を一緒に制御する場合におけるモジュール構成を示す図
【図9】分岐路の距離が十分確保できない場合の問題点を説明する図
【図10】オーバランが生じた場合の問題点を説明する図
【図11】移動体進行制御手段が走行方向別に複数設置される場合の問題点を説明する図
【図12】本来設置すべき場所に移動体進行制御手段が設置できない場合の問題点を説明する図
【図13】平面交差路の説明図
【図14】複数の分岐装置を一緒に制御する従来例の構成図
【符号の説明】
1〜4 分岐部
11〜14、21、22 分岐用モジュール
51、52 分岐装置
A、B 移動体

Claims (4)

  1. 移動体の走行路を複数の区間に分割し、前記各区間にモジュールを割当て、各モジュールを区間の連結状態に合わせて配線し、各モジュール間で移動体制御情報を送受信して1つの区間に1つの移動体のみ進行を許可するよう移動体の走行を制御して移動体の走行安全性を確保するインタロック機能を備えた移動体制御システムであって、
    分岐部を含む分岐区間の分岐路の距離が十分に確保できず分岐区間と当該分岐区間の分岐路に隣接する区間に移動体が存在すると移動体同士が接触する危険があるような状況、或いは、前記移動体進行制御手段が区間出口に設置されず区間出口前方の離れた位置に設置される状況のような特殊な走行制御状況において、
    前記インタロック機能のための論理機能を備える前記モジュールに、前記特殊状況に応じた論理機能を追加することにより、移動体を安全に走行制御することを特徴とする移動体制御システム。
  2. 前記追加する特殊状況に応じた論理機能は、分岐部を含む分岐区間の分岐路の距離が十分に確保できず分岐区間と当該分岐区間の分岐路に隣接する区間に移動体が存在すると移動体同士が接触する危険があるような特殊な走行制御状況の時に、移動体同士の接触を回避すべく、前記分岐区間に移動体が存在しないこと及び当該分岐区間の分岐路が非開通状態にあることの少なくとも一方を確認して前記分岐路に隣接する区間への移動体の進行を許可する構成である請求項1に記載の移動体制御システム。
  3. 前記追加する特殊状況に応じた論理機能は、前記移動体進行制御手段が区間出口に設置されず区間出口前方の離れた位置に設置されるような特殊な走行制御状況の時に、前記移動体進行制御手段で進行が許可された移動体が前方区間に進入したときに前記移動体進行制御手段への進行許可制御出力が消滅しないようにする機能である請求項1に記載の移動体制御システム。
  4. 前記追加する特殊状況に応じた論理機能は、前記移動体進行制御手段が区間出口に設置されず区間出口前方の離れた位置に設置されるような特殊な走行制御状況の時に、前記移動体進行制御手段より1つ手前の移動体進行制御手段の進行許可制御出力の生成を、区間出口前方の離れた位置に移動体進行制御手段が設置された区間の1つ前方の区間からの移動体制御情報の受信を条件に制御する機能である請求項1に記載の移動体制御システム。
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