JP4158708B2 - ラッチ装置、扉及び収納家具 - Google Patents

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Description

本発明は、オフィスや公共施設等を始めとして広く一般に利用可能なラッチ装置並びにこれを利用した扉及び収納家具に関するものである。
ラッチ装置を利用したものとして、例えば収納家具の扉がある。この種のラッチ装置は、扉の面板部に操作端である把手を、また扉の縁部にラッチをそれぞれ配し、把手に加えられる操作力を軸心回りに回転する操作軸を介してラッチに伝達して、当該ラッチを、収納家具本体の開口縁に設けたラッチ受けに係合させるようにしているのが一般的である。
また、この種のラッチ装置には、施錠機能が付随しているものが少なくない。
一般的なものとして、面板部の把手近傍にシリンダ錠を設け、このシリンダ錠から上下に作動杆を延伸させて、各作動杆の先端を対応するラッチに選択的に係合させることによって、ラッチをロック状態に保持するようにしたものが知られている。
ところが、このようなものは、操作軸のみならず作動杆までもが扉の中央付近から上下縁に亘る大掛かりなものになるため、これを組み付けることで扉が重量化、複雑化する上に、組み付け工数やコストの増大も招くおそれがある。また、施錠状態で把手を無理に操作しようとすると、作動杆に拘束された状態にあるラッチと前記把手との間の動力伝達系にねじりその他の無理な力が作用して、これらの部位に破損等が生じる原因となる。
このような大掛かりな構造を解消したものとして、特許文献1に示されるように、シリンダ錠が操作された際に、把手とラッチの間を接続する操作軸を直接拘束するようにして、別途にロック用の大掛かりな作動杆を導入せずとも既存部品を利用してラッチのロック状態を実現したものが知られている。
また、このものは、操作軸を把手側(上ラッチ側)の作動杆と下ラッチ側の作動杆に分断し、両作動杆の最寄の端面間に波状カムを設けてバネの弾性により互いに圧接した状態を保持しており、下ラッチ側の作動杆にロックアームを係合させて当該作動杆をロックするようにしている。これにより、施錠時に無理な操作がされた場合には、両作動杆の分断・圧接されたところで過大な力を逃すべく、ロックアームに係止された下ラッチ側の作動杆がロックアームと係止片の部分で回転を阻止された状態で降下して、特にロックアームに係合している下ラッチ側の作動杆に無理な力が作用することを回避している。
実用新案登録第2604608号
しかしながら、かかる特許文献1の構成においても、施錠状態で把手が操作されると、把手側(上ラッチ側)の作動杆は下ラッチ側の作動杆から抵抗を受けつつも回転しようとするため、上ラッチが解除されるおそれがあり、施錠不良となり易い。その上、把手側の作動杆には抵抗を受けつつそこから変位した部位を回転操作されることでやはりねじり力が作用するため、同作動杆若しくはその近傍の動力伝達系上に破損等が生じる恐れは払拭できない。
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、大掛かりな構成を擁さずにラッチを施錠状態と同等の状態におくことができ、また施錠状態で操作端が不慮に操作された場合でも各部に破損等が生じ或いは施錠不良となることを確実に防止できるようにした新規有用なラッチ装置並びにこれを利用した扉及び収納家具を提供することを目的としている。
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明のラッチ装置は、操作端に加えられる操作力を軸心回りに回転する操作軸を介してラッチに伝達するように構成されるものにおいて、前記操作軸と前記ラッチの間に、操作軸の動作をラッチに伝達する連動状態と操作軸の動作をラッチに伝達しない非連動状態とを切り換えるクラッチ機構を介在させ、当該クラッチ機構が、操作軸を軸心方向に変位させる手段と、操作軸の軸端部と、この軸端部を突没可能に嵌合させる位置にあって操作軸の変位に応じて当該操作軸とともに一体回転する状態と当該操作軸を空転させる状態とが切り換わる回転体とを具備し、この回転体の回転動作をラッチに伝達するようにしたものであることを特徴とする。
このようなものであれば、かかるクラッチ機構は操作軸の軸端部近傍、すなわち扉の縁部近傍に局所的に配すればよいため、扉全体に大掛かりな仕込みをすることを不要にすることができる。しかも、クラッチ機構によってラッチが非連動状態に置かれたときに、操作軸の軸端部はフリーとなるため、操作端が操作されても操作軸にねじり力が作用することを防止することができる。その上、このものはラッチをフリーにすることによって施錠状態と同等の状態を実現するものであり、操作端を操作した際にラッチが動くことによって生じる施錠不良状態を確実に解消することが可能となる。
具体的な実施の態様としては、クラッチ機構が、操作軸を軸心方向に変位させる付勢手段と、前記操作軸の軸端部と、この軸端部を突没可能に嵌合させる位置にあって操作軸の変位に応じて当該操作軸とともに一体回転する状態と当該操作軸を空転させる状態とが切り換わる回転体とを具備し、この回転体の回転動作をラッチに伝達するようにしているものが挙げられる。
この場合の簡易でコンパクトな構成としては、操作軸の軸端部に多角外形部を設けるとともに、対応する回転体の内周に、前記多角外形部と嵌合可能な多角内形部及び前記多角外形部に略外接する円筒部を軸心方向に沿って隣接させ、操作軸の変位に伴って、操作軸の多角外形部が回転体の多角内形部に位置したときに両者が一体回転し、操作軸の多角外形部が回転体の円筒部に位置したときに操作軸が空転するように構成しているものが望ましい。
或いは、操作軸の軸端部に多角外形部及び円柱部を軸心方向に沿って隣接させるとともに、対応する回転体の内周に、前記多角外形部と嵌合可能な多角内形部を設け、操作軸の多角外形部が回転体の多角内形部に位置したときに両者が一体回転し、操作軸の多角外形部が回転体の多角内形部から抜出して円柱部が当該多角内形部に位置したときに操作軸が空転するように構成しているものも好適である。
さらに、操作軸の軸端部若しくは回転体の内周の何れか一方に、軸心方向に延びる第1溝部及び軸心回りに延びる第2溝部からなるL字溝を設けるとともに、他方に、前記L字溝に係合するピンを設け、操作軸の変位に伴って、ピンがL字溝の第1溝部に位置したときに両者が一体回転し、ピンがL字溝の第2溝部に位置したときに操作軸が空転するように構成したものであってもよい。
施錠状態にあるときに操作端がバタつくことを防止するためには、操作軸を軸心方向に変位させる手段が、操作軸と回転体が連動状態となるときに操作端から解離することによってこれを開放し非連動状態となるときに操作端に係合することによってこれを拘束する拘束手段を同時に駆動するものであることが望ましい。
また、本発明は、操作端に加えられる操作力を軸心回りに回転する操作軸を介してラッチに伝達するように構成されるものにおいて、前記操作端と前記操作軸の間に、操作端の動作を操作軸に伝達する連動状態と操作端の動作を操作軸に伝達しない非連動状態とを切り換えるクラッチ機構を介在させ、当該クラッチ機構が、操作軸を軸心方向に変位させる手段と、操作軸上に設定した中間部と、操作端上、前記中間部を突没可能に嵌合させる位置にあって操作軸の変位に応じて前記中間部を一体回転させる状態と当該中間部に対し操作端を空転させる状態とが切り換わる回転部とを具備し、この回転部の回転動作を中間部及び操作軸を介してラッチに伝達するようにしたものである。
このような構成によると、操作軸とラッチの間にクラッチ機構を介在させる場合の作用効果に加え、操作軸とラッチの間にクラッチ機構を設ける手法だとラッチが操作軸の両軸端部に存在する場合にクラッチ機構を構成する回転体等を2箇所に分散して設けなければならないのに対し、操作端と操作軸の間にクラッチ機構を介在させるようにすればクラッチ機構を構成する回転部等を1箇所に集約できるという利点が得られる。
具体的な実施の態様としては、クラッチ機構が、操作軸を軸心方向に変位させる押付手段と、操作軸上に設定した中間部と、操作端上、前記中間部を突没可能に嵌合させる位置にあって操作軸の変位に応じて前記中間部を一体回転させる状態と当該中間部に対し操作端を空転させる状態とが切り換わる回転部とを具備し、この回転部の回転動作を中間部及び操作軸を介してラッチに伝達するようにしているものが挙げられる。
この場合の簡易でコンパクトな構成としては、回転部の内周に多角内形部を設けるとともに、対応する操作軸の中間部に、前記多角内形部と嵌合可能な多角外形部及び前記多角内形部に略内接する円柱部を軸心方向に沿って隣接させ、操作軸の変位に伴って、操作軸の多角外形部が回転部の多角内形部に位置したときに両者が一体回転し、操作軸の多角外形部が回転部の多角内形部から抜出して円柱部が当該多角内形部に位置したときに回転部が空転するように構成しているものが望ましい。
或いは、回転部若しくは中間部の何れか一方に、軸心方向に延びる第1溝部及び軸心回りに延びる第2溝部からなるL字溝を設けるとともに、他方に、前記L字溝に係合するピンを設け、操作軸の変位に伴って、ピンがL字溝の第1溝部に位置したときに両者が一体回転し、ピンがL字溝の第2溝部に位置したときに操作軸が空転するように構成しているものも好適である。
この場合にも、施錠状態にあるときに操作端がバタつくことを防止するためには、操作軸を軸心方向に変位させる手段が、操作端と操作軸が連動状態となるときに操作端から解離することによってこれを開放し非連動状態となるときに操作端に係合することによってこれを拘束する拘束手段を同時に駆動するものであることが望ましい。
したがって、本発明は、以上のラッチ装置を利用し、前面を形成する面板部に操作端である把手を備え、縁部にラッチを備え、把手とラッチの間に操作軸及びクラッチ機構を配して扉やこれを使用した収納家具を構成する際に適用して極めて有用なものとなり得る。
本発明は、以上のような構成であるから、大掛かりな構成を擁さずにラッチを施錠状態と同等の状態におくことができ、また施錠状態で操作端が不慮に操作された場合でも各部に破損等が生じ或いは施錠不良となることを確実に防止できるようにした新規有用なラッチ装置並びにこれを利用した扉及び収納家具を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
本実施形態のラッチ装置は収納家具に適用した例であり、前段にラッチ装置の基本構成を含む収納家具の基本構成部分を展開し、後段にラッチ装置の特徴構成部分を展開する。
(基本構成部分)
図1、図2に、本発明に係るラッチ装置を適用した収納家具1を示す。該収納家具1は、その前面側に開口する収納空間21を内在させている筐体状の家具本体2と、収納空間21を開閉する位置にヒンジを介して取り付けた観音開き式の蓋体たる扉31、32とを具備する。ラッチ装置は、例えば、左右の扉31、32のうちの右側の扉31に適用する。本実施形態における左側の扉32は、閉止した状態において、その上から右側の扉31の縁部をオーバーラップさせることにより開閉動作が禁止される。右側の扉31は、本発明に係るラッチ装置の働きにより家具本体2に係留される。そして、右側の扉31に実装した操作体6をユーザが操作することで、ラッチ装置による右側の扉31の係留の解消を行い得るようにしている。
より具体的には、ラッチ受け5を家具本体2に設けるとともに、該ラッチ受け5に掛け止められるラッチ手段41(後述する)を右側の扉31に設ける。ラッチ受け5は、家具本体2の収納空間21を包囲する周壁(図2に示す例では、家具本体2の底壁)の近傍に成形した前向きの鉛直面22に設けてある。本実施形態におけるラッチ受け5は、周縁が閉じた開口51を有する。そして、ラッチ手段41を掛け止めるための係留部52を、その周縁部に設定している。なお、ラッチ受け5とは、少なくともラッチ手段41が係合してラッチ手段41を掛け止めるための部材一般を言う。ラッチ受け5は、ラッチ43と係わり合う縁部を有し、該縁部が係留部52となる。ラッチ受け5の形状は特に限定されないが、通常、ラッチ受け5は開口51を有し、その周縁部に係留部52が設定される(但し、ラッチ受け5に開口51が形成されているとは限られない)。このとき、前記ラッチ手段41を前記開口51に挿入することで該ラッチ手段41を前記係留部52に臨ませ、掛け止めることができる。
ラッチ手段41は、ラッチ支持体42及びラッチ43を主要な構成要素とするもので、扉31の内面側における、ラッチ受け5に対応する位置より突出させて設けてある。扉31を閉じると、このラッチ支持体42が家具本体2に設けたラッチ受け5の開口51に挿入される。ラッチ43は、操作体6に対する操作に連動して変位する。そして、ラッチ受け5の開口51にラッチ支持体42を挿入した状態でラッチ43を変位させて、ラッチ受け5とラッチ43との係合あるいはその解除を行うものとなる。結果、扉31を閉めた状態での扉31の遊びを小さくすることが可能となるとともに、ラッチ43の比較的小さな動作で精度の良い扉31の係留が可能となる。また、既存の鎌状のラッチを用いる場合のように、ラッチ受け5に(鎌状のラッチが回転できるための)広大な開口51を形成する必要がない。但し、ラッチ受け5の開口51は、その開口縁が閉じているものであってもよく、あるいは開口縁が閉じていない切り欠きであってもよい。なお、ラッチ受け5並びにラッチ手段41は複数、とりわけ一対に設けておくことができる。例えば、家具本体2の底壁及び頂壁(図示せず)の近傍にそれぞれラッチ受け5を設けておき、かつこれらラッチ受け5に対して挿脱可能なラッチ手段41を扉31の内面側に上下一対に設けておくことができる。
ラッチ43を駆動するべく操作される操作体6は、図3、図4に示すように、操作軸61と、該操作軸61の所要の部位に取り付けた操作端たる把手62とを有してなる。操作軸61は、扉31の外面に対して略平行に、例えば上下方向に延伸するもので、軸心周りに回動可能であるように扉31に支持させてある。把手62は、ユーザの手指により直接に操作される部材であり、操作軸61の所定位置に取り付けられ、通常、扉31の外面に露出している。把手62は、略部分円筒状をなし前記操作軸61に固定される基体621の前部を、前方に向かうにつれて徐々に拡幅する形状に成形してあるもので、その後向面622に手指をかけられるようにしてある。他方、扉31の外面には凹陥311を形成してあり、この凹陥311の略中央部に把手62を配置することで、把手62の両側より手指を差し入れて把手62を操作可能とする手指挿入空間312を確保してある。把手62の右方を前方に引き出すように操作するとき、即ち、図5、図6に示す起動位置にある操作体6を、操作軸61を中心として平面視時計回り方向に回転操作するときには、把手62より右側にある手指挿入空間312に手指を挿入し、把手62の右側の後向面622に手指をかけることで、該把手62を回転操作することができる。逆に、把手62の左方を前方に引き出すように操作するとき、即ち、起動位置にある操作体6を、操作軸61を中心として平面視反時計回り方向に回転操作するときには、把手62より左側にある手指挿入空間312に手指を挿入し、把手62の左側の後向面622に手指をかけて回転操作すればよい。このように、操作体6は把手62を介して起動位置より両方向に回転操作可能である。因みに、操作体6を起動位置としたとき、把手62の前面が扉31の前面よりも前方に飛び出さないようにしている。特に本実施形態では、操作体6が起動位置にあるとき、把手62の前面が扉31の前面と略面一となり、家具としての外観を高めている。これは後述する拘束手段8によって担保されているものである。
駆動機構は、伝達部材44と、駆動部材45とから構成される。
伝達部材44は、操作軸61の所定部位、ラッチ手段41及びラッチ受け5に対応する高さ位置に固定されている操作軸61より左右に拡張する天秤状の部材である。操作体6が起動位置にあるとき、伝達部材44の後向面は略真後ろを向いている。伝達部材44は、ボス部443に操作軸が挿入されていて、把手62が操作されることに伴い、操作軸61を中心に略水平面上で回転する。操作軸61が回転したとき、伝達部材44の両端部441、442の何れかが選択的に駆動部材45の受力部452に作用する。
駆動部材45は、所定の回転中心451周りに回転可能に扉31に支持させてある。本実施形態における駆動部材45は、前記回転中心451より幅方向に延伸する受力部452と、該回転中心より奥行き方向に延伸する駆動部453とを一体に設けたものである。図示例では、受力部452及び駆動部453が平面視略L字型をなし、双方が交わる位置に軸受穴454を形成してある。この軸受穴454には、扉31に対して固定されている(例えば、扉31の底壁より上方に突出する)、上下方向に延伸する軸451を挿入する。即ち、駆動部材45は、軸受穴454に挿入された軸451を中心に、略水平面上を回転可能となる。
駆動部材45の受力部452の前向面は、前記伝達部材44の後向面と近接する。操作体6が起動位置にあるとき、既に述べたように伝達部材44の後向面が略真後ろを向いているが、受力部452の前向面もまた略真正面を向いており、これらは対向している。しかして、図7、図8に示すように、操作体6を起動位置より平面視時計回り方向に回転させたとき、伝達部材44の左端部441が後方へ移動し、受力部452の前向面に作用して、受力部452に操作力を伝達する。そして、伝達された操作力により、駆動部材45の受力部452及び駆動部453が、前記回転中心451周りに右回転する。逆に、図9、図10に示すように、操作体6を起動位置より平面視反時計回り方向に回転させたとき、伝達部材44の右端部442が後方へ移動し、受力部452の前向面に作用して、受力部452に操作力を伝達する。そして、伝達された操作力により、駆動部材45の受力部452及び駆動部453は、前記回転中心451周りにやはり右回転する。即ち、操作体6が左右何れの方向に回転操作されたとしても、受力部452及び駆動部453は同じ方向に回転運動する。なお、扉を閉止する際にラッチ43が開口51の縁部に接触して没入しラッチ43の動作によって駆動部材45は回転軸心451回りに回転することとなるが、伝達部材44と駆動部材45は対向して離れている為、伝達部材44にその動作は伝達されない。すなわち、操作体6と扉等の一部が接触することがなく扉を閉止する際において騒音を発生することが少なくなる。
さらに、伝達部材44において、駆動部材45の受力部452に作用する右端部442から操作軸61までの距離と、同じく受力部452に作用する左端部441から操作軸61までの距離とは一致しない。これは、操作体6の回転操作方向を問わず、起動位置より略同じ角度だけ回転させたときに、駆動部材45の受力部452、ひいては駆動部453が略同程度変位(即ち、略同じ角度だけ回転運動する)ようにするためである。即ち、受力部452、駆動部453の回転中心451に遠い作用点で受力部452に作用する左端部441から操作軸61までの距離は比較的長く、受力部452、駆動部453の回転中心451に近い作用点で受力部452に作用する右端部442から操作軸61までの距離は比較的短く設定してある。
駆動部453の先端部分はラッチ支持体42内に配置され、ラッチ43と係合する。図示例では、駆動部453の先端部分より上下方向に延伸するピン455を設けてあり、このピン455がラッチ43の平面若しくは下面に形成された長穴43bと係合している。操作体6が回転操作されたとき、駆動部材45の駆動部453は回転中心451周りに右回転運動し、その先端部分がピン455及び長穴43bを介して係合しているラッチ43に駆動力を伝達する。
続いて、ラッチ手段41に関して詳述する。ラッチ支持体42は、例えば扁平な板状をなすもので、ラッチ受け5に設定した係留部52に係合するラッチ43を変位可能に支持している。ラッチ支持体42とラッチ43とは、別個の部材であってもよく、あるいは単一の部材であってもよいが、本実施形態におけるラッチ43はラッチ支持体42とは別体をなす。通常、ラッチ支持体42は変形せず、該ラッチ支持体42を設けている部材即ち扉31に対し固定されている。つまり、ラッチ支持体42は、扉31とともに家具本体2ひいてはラッチ受け5に対して相対移動し、扉31が閉じられるときにはラッチ受け5の開口51に挿入されて、ラッチ受け5に設定した係留部52に臨むように位置づけられる。
なお、ラッチ支持体42を係留部52に臨むように位置づけたときにラッチ支持体42の外面の少なくとも一部がラッチ受け5と係わり合うように構成してあれば、ラッチ支持体42及びラッチ受け5を利用して閉じた扉31の家具本体2に対する位置決めを行うことができる。さらに、図示例では、扉31を閉じた状態でラッチ受け5の開口51の縁部と係わり合うラッチ支持体42の基部より先端側の部位が、該基部と比較して先細り形状となっている。よって、扉31を閉止する際、ラッチ支持体42が開口51に対して必ずしも適切な位置になくとも、先細り形状の先端部位がまず開口51に挿入され、しかる後ラッチ支持体42が開口51の縁部によって適切な位置に誘導されながらその基部まで挿入される。このように、ラッチ支持体42がラッチ受け5に対して適切に位置決めされるため、比較的小さなラッチ43であっても好適にラッチ支持体42をラッチ受け5に係留できる。
ラッチ43は、ラッチ受け5の係留部52に当接する当接面43aを有し、ラッチ支持体42の相対移動方向に対して非平行な方向に突没する。図示例では、ラッチ支持体42より側方に突没するものとなっている。但し、ラッチ43を、ラッチ支持体42より上方に若しくは下方に突没させることを妨げない。本実施形態では、ラッチ支持体42の内に空洞が存在しており、その空洞にラッチ43を配置している。かつ、ラッチ支持体42の端面(図示例では、側端面)に、ラッチ支持体42内の空洞に連通するスロット(溝穴)42aを形成してある。ラッチ43がラッチ支持体42に対して変位する際には、ラッチ43の一部がスロット42aより突没する。よって、ラッチ43は、少なくともその一部をラッチ支持体42内の空洞に収容可能な程度の厚み寸法を有する板状体とする。ラッチ43は、同じくラッチ支持体42内の空洞に配置した回転軸42bを介してラッチ支持体42に支持させてあり、該回転軸42bを中心にラッチ支持体42に対して相対的に回動させることができる。回転軸42bは、ラッチ支持体42の比較的先端寄りの位置に配置してある。図5ないし図10に示すように、ラッチ支持体42をラッチ受け5の開口51に挿入したとき、回転軸42bがラッチ受け5の開口51の縁部よりも内奥に位置づけられる。即ち、回転軸42bが、係留部52(または、後述する作用点P)と比較して、ラッチ支持体42がラッチ受け5に対して進入する方向(図5ないし図10上では、上方向)に向かって先方に、言い換えるならばラッチ支持体42の先端側に位置づけられる。
しかして、ラッチ43は、ラッチ支持体42を係留部52に臨ませた状態で、即ち、ラッチ支持体42をラッチ受け5の開口51に挿入した状態で該係留部52に係合して前記ラッチ受け5にラッチ支持体42を掛け止める展開位置S(図5、図6に示す)と前記係留部52に係合せず前記ラッチ受け5よりラッチ支持体42が脱離することを許容する退避位置E(図8または図10に示す)との間で変位可能である。ラッチ43のラッチ支持体42に対する相対的な変位は、回転を含む運動となっており、その回転の中心は回転軸42bである。但し、ラッチ43の運動の軌跡は特に限定されない。ラッチ43の運動の軌跡としては、直線運動、回転運動若しくはこれらの組み合わせ、その他が考えられる。
その上で、ラッチ43を係留部52に係合させた状態でラッチ手段41(若しくは、扉31)を脱離させるようにラッチ受け5に対して相対移動させる方向の力が作用した場合にラッチ43に作用する反作用力Fが、展開位置Sより退避位置Eへ変位する際のラッチ43の運動の方向、即ち展開位置Sにあるラッチ43が退避位置Eに向けて回動する方向に沿った方向成分の分力を持ち得ないように構成する。そのために、ラッチ受け5の係留部52よりラッチ43の当接面43aに作用する反作用力Fがラッチ43と係留部52との係合を解除する方向とは逆の方向に作用するように、当接面43aの角度を設定している。並びに、係留部52にラッチ43を係合させた状態にあって、ラッチ43のラッチ支持体42に対する回転の中心が、係留部52がラッチ43に作用する作用点Pよりもラッチ支持体42の相対移動方向に沿って内奥にあるようにしている。即ち、ラッチ43の回転の中心たる回転軸42bが、作用点Pと比較して、ラッチ支持体42がラッチ受け5に対して進入する方向に向かって先方に位置する(言い換えるならば、ラッチ43の回転の中心が、作用点Pから見て、該作用点Pにおいてラッチ受け5よりラッチ43に作用する力Fの方向に沿って先方にある)。この作用点Pが当接面43a上に存在していることは言うまでもない。
上記の反作用力Fは、図5に示すように、作用点Pより回転の中心に向かう成分F1と、作用点Pより当接面43aに平行な方向に向かう成分F2との合力と見なすことができる。そして、作用点Pより当接面43aに平行な方向に向かう成分F2は、ラッチ43を退避位置Eより展開位置Sに向かわせるような方向に作用する力である。よって、ラッチ43と係留部52との間の摩擦が十分に大きくラッチ43が係留部52に対して滑らなければ、ラッチ43を係留部52に係合させたままラッチ手段41をラッチ受け5より脱離させようとする場合にあって、ラッチ43がラッチ支持体42よりさらに突き出ようとする。即ち、ラッチ43が展開位置Sを越えてさらに回動しようとするが、ラッチ43の所定の部位がラッチ支持体42の内壁面等に当接することで、あるいはラッチ43と係わり合う駆動部材45がラッチ43を制止することで、それ以上の変位が抑止される。結果として、ラッチ43と係留部52との係合がより強まるため、不用意にラッチ手段41がラッチ受け5より脱離するようなことがない。
さらに本実施形態では、作用点P近傍におけるラッチ43の外縁、言い換えるならば当接面43aの面形状を、ラッチ支持体42に対する回転の軌跡に略対応する略部分円弧状(部分円筒曲面状)としており、展開位置Sと退避位置Eとの間でラッチ43をスムーズに変位させることが可能でありながら、しかもラッチ43を係留部52に係合させたときのラッチ手段41とラッチ受け5との間の遊び、がたつきを極小にすることが可能となっている。また、当接面43aが回転の中心たる回転軸42bと作用点Pとを結ぶ線分を径とした円筒曲面であるということは、上記の反作用力Fの分力のうち作用点Pより回転の中心に向かう成分F1がラッチ43を回転させるようには作用しないということを意味する。従って、ラッチ43と係留部52との間の摩擦が小さくラッチ43が係留部52に対する滑りの発生が想定されるとしても、ラッチ43が展開位置Sより退避位置Eに向けて回転してしまうようなことは起こりにくい。即ち、ラッチ43と係留部52との間の静止摩擦係数に特段の配慮をする必要がない。
総じて言えば、扉31を閉じている状態で、ユーザが把手62を引くと、操作軸61が軸心周りに回転し、伝達部材44が操作軸61に連動して該操作軸61を中心に回転する。そして、操作軸61に固定された伝達部材44が、その両端部441、442の何れかを選択的に駆動部材45の受力部452に作用させ、操作体6に加えられた操作力を駆動部材45に伝達する。受力部452を介して操作力の伝達を受けた駆動部材45は、操作体6の回転方向によらず同方向に回転運動する。駆動部材45の駆動部453はラッチ43に係合し、把手62に加えられた操作力を、ラッチ43を同方向に変位させる駆動力として伝達する。その結果、ラッチ43が展開位置Sより退避位置Eに向けて変位する。
つまり、本実施形態では、伝達部材44及び駆動部材45がラッチ43を駆動する駆動機構を構成しており、操作体6に対する操作に連動してラッチ43を変位させ、これを退避位置Eまで退避させる。ユーザは、操作体6を駆動操作することを通じて、ラッチ43と係留部52との係合を解除して扉31を開くことができる。
因みに、ラッチ43が退避位置Eより展開位置Sへと向かう方向の付勢力を、該ラッチ43に直接に若しくは間接に加えておくことが好ましい。ラッチ43に押付力を加えるための押付手段46は、典型的には、ねじりコイルばねや板ばね等のばねに代表される弾性体である。本実施形態にあって、押付手段46は、駆動部材45(の駆動部453)に押付力を加えるものとして設けてある。操作体6に操作力が付与されていないとき、即ち駆動部材45に操作力が伝達されていないとき、駆動部材45が図6に示す初期位置に復帰し、ラッチ43が展開位置Sまで変位する。しかもこのとき、駆動部材45の受力部452の前向面が押付手段46による押付力を伝達部材44に伝達して、伝達部材44、操作軸61及び把手62を起動位置に復帰させる。把手62の起動位置への位置づけは、該把手62と扉31の凹陥311の内面との接触にはよらない。従って、扉31を閉じたとき、またはユーザが把手62より手指を離したときに起動位置に復帰した把手62と凹陥311の内面とが衝突して騒音を発したりすることがない。但し、押付手段46は、ラッチ支持体42の内に配置してもよく、ラッチ支持体42の外に配置してもよい。また、操作体6または駆動機構44を構成する部材に対して押付力を加えることで、間接的にラッチ43を押し付けることとしても構わない。
(ラッチ装置の特徴部分)
以上の基本構成に対して、本実施形態は、ラッチ装置に次のような改良工夫を施している。
すなわち、このラッチ装置は、把手62に加えられる操作力を軸心回りに回転する前記操作軸61を介してラッチ43に伝達するに際して、前記操作軸61と前記ラッチ43の間に、操作軸61の動作をラッチ43に伝達する連動状態と操作軸61の動作をラッチ43に伝達しない非連動状態とを切り換えるクラッチ機構7(図11参照)を介在させている。
このクラッチ機構7は、操作軸61を軸心方向に変位させる付勢手段71と、操作軸61の上下に位置する軸端部72、73と、これらの軸端部72、73を突没可能に嵌合させる位置にあって操作軸61の変位に応じて当該操作軸61とともに一体回転する状態と当該操作軸61を空転させる状態とが切り換わる回転体74、75とを具備し、これらの回転体74、75の回転動作をラッチ43に伝達するようにしたものである。
付勢手段71は、施錠手段であるシリンダ錠711と、このシリンダ錠711のピン状の出力端711aに長孔712bを介し係合してその回転動作により昇降する昇降部材712と、前記操作軸61の一部に一体的に設けられて前記昇降部材712に係合した状態に配される係合部713とを具備する。係合部713は一対の突出片713aを備え、これら突出片713aの間に昇降部材712の先端部712aが挿入されていて、昇降部材712の昇降動作は突出片713aを介して操作軸61に伝達されるようになっている。逆に、操作軸61が回転する際は、前記昇降部材712の先端部712aはこれに伴う前記突出片713aの回転動作を妨げず、且つ当該突出片713aとの係合状態も維持するものである。図示例では、昇降部材712の先端部712aは真っ直ぐに伸びているが、操作軸61が正逆回転する点、突出片713aが操作軸61の軸心回りの円運動を行う点を踏まえれば、これら先端部712aと突出片713aとを常に適切な係合状態に保つために、同先端部712aを突出片713aの円運動に沿って湾曲させて設けておくことが望ましい。このような機能は勿論他の構造によっても実現可能である。
一方、回転体74、75は、本実施形態においては前述した上下の伝達部44のボス部443(図4参照)がこれに相当するもので、操作軸61の上軸端部72と上回転体74との間、及び、操作軸61の下軸端部73と下回転体75との間を、それぞれ動力断接可能に係り合わせている。すなわち、図11〜図13に示すように、操作軸61の上軸端部72に多角外形部72aを設けるとともに、対応する上回転体74の内周に、前記多角外形部72aと嵌合可能な多角内形部74a及び前記多角外形部72aに略外接する円筒部74bを軸心方向に沿って隣接させている。そして、操作軸61の変位に伴って、操作軸61の多角外形部72aが図12に示すように回転体74の多角内形部74aに位置したときに両者が一体回転し、操作軸61の多角外形部72aが図13に示すように回転体74の円筒部74bに位置したときに操作軸61が空転するように構成してある。また、図11、図14及び図15に示すように、操作軸61の下軸端部73に多角外形部73a及び円柱部73bを軸心方向に沿って隣接させるとともに、対応する回転体75の内周に、前記多角外形部73aと嵌合可能な多角内形部75aを設けている。多角内形部75aの下方隣接位置には前記円柱部73bに対応した円筒部75bが設けてある。そして、操作軸61の軸端部73の多角外形部73aが図14に示すように回転体75の多角内形部75aに位置したときに両者が一体回転し、操作軸61の軸端部73の多角外形部73aが図15に示すように回転体75の多角内形部75aから抜出して円柱部73bが当該多角内形部75aに位置したときに操作軸61が空転するように構成してある。この図15の状態においても、円柱部73bの一部は円筒部75bに嵌合した状態を保っている。
なお、本実施形態において、付勢手段71のシリンダ錠711は、把手62の動きを拘束する拘束手段8にも接続してある。この拘束手段8は、前記把手62の基体621のうちその後向面622の後端部に設けられて背面側及び下端側に開口するスリット81と、前記昇降部材712と一体をなし当該昇降部材712が上昇した際に前記スリット81に差し込まれ昇降部材712が降下したときにスリット81から離脱する差込舌片82とから構成されている。すなわち、付勢手段71がこの拘束手段8の差込舌片82を付勢することによって、操作軸61と回転体74、75が連動状態となるときに当該差込舌片82を把手62から解離させてこれを開放し、非連動状態となるときに把手62に差込下片82を把手62に係合させてこれを拘束することができる。この拘束手段8は、ラッチ74、75をロックするものではなく、基本的に把手62の動きを制止して当該把手72の前面を扉31の前面と面一に保つ役割を担うものである。
このように構成しておくと、かかるクラッチ機構7は操作軸61の軸端部72、73近傍、すなわち扉31の縁部近傍に局所的に配すればよいため、扉31全体に大掛かりな仕込みをすることを不要にすることができる。しかも、クラッチ機構7によってラッチ43が非連動状態に置かれたときに、操作軸61の軸端部72、73はフリーとなるため、把手62が操作されても操作軸61にねじり力が作用することを防止することができる。その上、このものはラッチ43をフリーにすることによって扉31が開かないという意味において施錠状態と同等の状態を実現するものであり、把手62を操作した際にラッチ43が動くことによって生じる施錠不良状態を確実に解消することが可能となる。
特に、本実施形態のクラッチ機構7は、操作軸61を軸心方向に変位させる付勢手段71と、前記操作軸61の軸端部72、73と、これらの軸端部72、73を突没可能に嵌合させる位置にあって操作軸61の変位に応じて当該操作軸61とともに一体回転する状態と当該操作軸61を空転させる状態とが切り換わる回転体74、75とによって構成されるものであって、操作軸61は既存のものであり、回転体74、75も実際には伝達部材44のボス部443を利用したものであるため、付勢手段71の一部を新たに導入するだけで基本的に構成することができる利点を有する。
特に、動力の弾接切替は、上軸端部72側にあっては当該軸端部72に設けた多角外形部72aと、対応する回転体74の内周に設けた多角内形部74a及び円筒部74bによって実現され、下軸端部74側にあっては当該軸端部74に設けた多角外形部73a及び円柱部73bと、対応する回転体75の内周に設けた
多角内形部75aと、円筒部75bとによって実現されるため、極めて簡易でコンパクトな構成とすることが可能となる。
さらに、操作軸61を付勢する付勢手段71が拘束手段8の差込舌片82を駆動して、操作軸61と回転体74、75が連動状態となるときに把手62から解離させてこれを開放し、非連動状態となるときに把手62に係合してこれを拘束するようにしているため、施錠状態にあるときに把手62がバタつくことを防止し、その前面を扉31の前面と面一な状態として、良好な外観を有効に維持することが可能となる。
なお、上記において、角形外形部72a、73aがそれぞれ対応する角形内形部74a、75aから一旦抜出した後、再び円滑に嵌合することができるようにするために、これらを図示の四角形状よりも角数の多い多角形状にしたり、角形内形部74a、75aの開口縁に呼び込みのためのテーパ面を設けるようにしてもよい。
また、クラッチ機構は、図19に示すように、回転体74、75の内周に、軸心方向に延びる第1溝部101a及び軸心回りに延びる第2溝部101bからなるL字溝101を設けるとともに、操作軸61に、前記L字溝101に係合するピン102を設け、操作軸61の変位に伴って、ピン102がL字溝101の第1溝部101aに位置したときに両者が一体回転し、ピン102がL字溝101の第2溝部101bに位置したときに操作軸61が空転するように構成したものであってもよい。このようにすると、常時係合状態が保たれる点で有利である。勿論、回転体74、75側にピンを設け、操作軸61側にL字溝を設けた場合も同様である。
<第2実施形態>
本実施形態のラッチ装置も前記第1実施形態と同様の収納家具に適用した例であり、基本構成部分は前記第1実施形態の前段と同様であるため説明を省略し、ラッチ装置の特徴構成部分は前記第1実施形態のそれと異なる部分のみを説明する。
(特徴構成部分)
この実施形態のラッチ装置は、図16に示すように、操作端である把手62に加えられる操作力を軸心回りに回転する操作軸61を介してラッチ43に伝達するに際して、把手62と操作軸61の間に、把手62の動作を操作軸61に伝達する連動状態と把手62の動作を操作軸61に伝達しない非連動状態とを切り換えるクラッチ機構9を介在させたものである。
このクラッチ機構9は、操作軸61を軸心方向に変位させる付勢手段(前記付勢手段71と同様)と、操作軸61上に設定した中間部91と、把手62上、前記中間部91を突没可能に嵌合させる位置にあって操作軸61の変位に応じて前記中間部91を一体回転させる状態と当該中間部91に対し把手62を空転させる状態とが切り換わる回転部92とを具備し、この回転部92の回転動作を中間部91及び操作軸61を介してラッチ43に伝達するようにしたものである。
図16〜図18に基づいて具体的に説明すると、中間部91は操作軸61を上下に分断しその間に一体回転可能に接続すべく介在させたカップリング部分を指称し、回転部92は、操作軸61を挿通するための把手62に設けられた挿通孔の周縁部を指称しているもので、当該回転部92の内周に多角内形部92aを設けるとともに、対応する操作軸61の中間部91に、前記多角内形部92aと嵌合可能な多角外形部91a及び前記多角内形部92aに略内接する円柱部91bを軸心方向に沿って隣接させている。そして、操作軸61の変位に伴って、操作軸61の多角外形部91aが図17に示すように回転部92の多角内形部92aに位置したときに両者が一体回転し、操作軸61の多角外形部91aが回転部92の多角内形部92aから抜出して円柱部91bが当該多角内形部92aに位置したときに回転部92が空転するように構成している。
このような構成によると、操作軸61とラッチ43の間にクラッチ機構7を介在させる上記第1実施形態の場合と同等の作用効果が得られる上に、上下のラッチ43を駆動する場合にも上記実施形態とは異なり把手62と操作軸61の間の1箇所のみにクラッチ機構9を構成する中間部91や回転部92等を集約して配することができるので、構造をより簡素なものにすることができる。
なお、付勢手段71が拘束手段8を同期駆動する点においては本実施形態においても同様である。また、本実施形態の変形例として、上記第1実施形態で述べたL字溝構造を同様に採用することができる。
また、これら両実施形態は、把手62を何れの方向に回転操作してもラッチ43を同方向に駆動できる構造のラッチ装置であったが、本発明が操作軸61の軸端部にラッチ43がダイレクトに接続されるような既存のラッチ装置にも同様に適用することができるのは言うまでもない。
さらに、本発明に係るラッチ装置は、キャビネット若しくはワゴン等の筐体に、出し入れ可能な引き出しを係留するためにも用いることができる。例えば、家具本体たる筐体にラッチ受けを、引き出しにラッチ装置をそれぞれ設けるようにして、当該ラッチ装置を本発明のように構成することもできる。
また、本発明に係るラッチ装置を、収納家具以外のものに適用することを妨げないが、上記のように収納家具、特にこれを構成する扉に適用することによって、本発明の作用効果を顕著に奏させることができる。
その他、各部の具体的構成は上記実施形態には限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明の第1実施形態を適用した収納家具の斜視図。 同部分斜視図。 操作体及び手指挿入空間を示す部分斜視図。 操作体、駆動機構及びラッチを示す部分分解斜視図。 同実施形態におけるラッチ装置を示す平断面図。 同実施形態におけるラッチ装置の動作を示す平面図。 同実施形態におけるラッチ装置を示す平断面図。 同実施形態におけるラッチ装置の動作を示す平面図。 同実施形態におけるラッチ装置を示す平断面図。 同実施形態におけるラッチ装置の動作を示す平面図。 同実施形態のラッチ装置を示す要部斜視図。 同ラッチ装置を構成する操作軸の上軸端部周辺を作用と共に示す断面図。 図12に対応した作用説明図。 同ラッチ装置を構成する操作軸の下軸端部周辺を作用と共に示す断面図。 図14に対応した作用説明図。 本発明の第2実施形態を示す図11に対応した要部斜視図。 同ラッチ装置を構成する操作軸の中間部近傍を作用と共に示す断面図。 図17に対応した作用説明図。 本発明の変形例を示す図。
符号の説明
7、9…クラッチ機構
8…拘束手段
43…ラッチ
61…操作軸
62…操作端(把手)
71…付勢手段
72…上軸端部
72a…多角外形部
73…下軸端部
73a…多角外形部
73b…円柱部
74…上回転体
74a…多角内形部
74b…円筒部
75…下回転体
75a…多角内形部
91…中間部
91a…多角外形部
92…回転部
92a…多角内形部

Claims (11)

  1. 操作端に加えられる操作力を軸心回りに回転する操作軸を介してラッチに伝達するように構成されるものにおいて、
    前記操作軸と前記ラッチの間に、操作軸の動作をラッチに伝達する連動状態と操作軸の動作をラッチに伝達しない非連動状態とを切り換えるクラッチ機構を介在させ
    当該クラッチ機構が、操作軸を軸心方向に変位させる手段と、操作軸の軸端部と、この軸端部を突没可能に嵌合させる位置にあって操作軸の変位に応じて当該操作軸とともに一体回転する状態と当該操作軸を空転させる状態とが切り換わる回転体とを具備し、この回転体の回転動作をラッチに伝達するようにしたものであることを特徴とするラッチ装置。
  2. 操作軸の軸端部に多角外形部を設けるとともに、対応する回転体の内周に、前記多角外形部と嵌合可能な多角内形部及び前記多角外形部に略外接する円筒部を軸心方向に沿って隣接させ、操作軸の変位に伴って、操作軸の多角外形部が回転体の多角内形部に位置したときに両者が一体回転し、操作軸の多角外形部が回転体の円筒部に位置したときに操作軸が空転するように構成している請求項1記載のラッチ装置。
  3. 操作軸の軸端部に多角外形部及び円柱部を軸心方向に沿って隣接させるとともに、対応する回転体の内周に、前記多角外形部と嵌合可能な多角内形部を設け、操作軸の多角外形部が回転体の多角内形部に位置したときに両者が一体回転し、操作軸の多角外形部が回転体の多角内形部から抜出して円柱部が当該多角内形部に位置したときに操作軸が空転するように構成している請求項1記載のラッチ装置。
  4. 操作軸の軸端部若しくは回転体の内周の何れか一方に、軸心方向に延びる第1溝部及び軸心回りに延びる第2溝部からなるL字溝を設けるとともに、他方に、前記L字溝に係合するピンを設け、操作軸の変位に伴って、ピンがL字溝の第1溝部に位置したときに両者が一体回転し、ピンがL字溝の第2溝部に位置したときに操作軸が空転するように構成している請求項1記載のラッチ装置。
  5. 操作軸を軸心方向に変位させる手段が、操作軸と回転体が連動状態となるときに操作端から解離することによってこれを開放し非連動状態となるときに操作端に係合することによってこれを拘束する拘束手段を同時に駆動するものである請求項1〜4の何れか1項に記載のラッチ装置。
  6. 操作端に加えられる操作力を軸心回りに回転する操作軸を介してラッチに伝達するように構成されるものにおいて、
    前記操作端と前記操作軸の間に、操作端の動作を操作軸に伝達する連動状態と操作端の動作を操作軸に伝達しない非連動状態とを切り換えるクラッチ機構を介在させ
    当該クラッチ機構が、操作軸を軸心方向に変位させる手段と、操作軸上に設定した中間部と、操作端上、前記中間部を突没可能に嵌合させる位置にあって操作軸の変位に応じて前記中間部を一体回転させる状態と当該中間部に対し操作端を空転させる状態とが切り換わる回転部とを具備し、この回転部の回転動作を中間部及び操作軸を介してラッチに伝達するようにしたものであることを特徴とするラッチ装置。
  7. 回転部の内周に多角内形部を設けるとともに、対応する操作軸の中間部に、前記多角内形部と嵌合可能な多角外形部及び前記多角内形部に略内接する円柱部を軸心方向に沿って隣接させ、操作軸の変位に伴って、操作軸の多角外形部が回転部の多角内形部に位置したときに両者が一体回転し、操作軸の多角外形部が回転部の多角内形部から抜出して円柱部が当該多角内形部に位置したときに回転部が空転するように構成している請求項6記載のラッチ装置。
  8. 回転部若しくは中間部の何れか一方に、軸心方向に延びる第1溝部及び軸心回りに延びる第2溝部からなるL字溝を設けるとともに、他方に、前記L字溝に係合するピンを設け、操作軸の変位に伴って、ピンがL字溝の第1溝部に位置したときに両者が一体回転し、ピンがL字溝の第2溝部に位置したときに操作軸が空転するように構成している請求項6記載のラッチ装置。
  9. 操作軸を軸心方向に変位させる手段が、操作端と操作軸が連動状態となるときに操作端から解離することによってこれを開放し非連動状態となるときに操作端に係合することによってこれを拘束する拘束手段を同時に駆動するものである請求項6〜8の何れか1項に記載のラッチ装置。
  10. 前面を形成する面板部を有し、且つ請求項1〜9の何れか1項に記載のラッチ装置を組み付けてなるものであって、面板部に操作端である把手を備え、縁部にラッチを備え、把手とラッチの間に操作軸及びクラッチ機構を配してなることを特徴とする扉。
  11. 請求項1〜9の何れか1項に記載のラッチ装置を収納家具本体の扉に組み付け、扉の閉止時にラッチを収納家具本体の開口縁に設けたラッチ受けに係合させるようにしたものであって、前記扉の前面を形成する面板部に操作端である把手を備え、前記扉の縁部にラッチを備え、前記把手と前記ラッチの間に操作軸及びクラッチ機構を配してなることを特徴とする収納家具。
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