JP4158362B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、出力の異なる複数のランプを連続調光可能なインバータを用いた放電灯点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、出力の異なる複数のランプを有する放電灯点灯装置において、複数のランプを同時に連続調光させるものが存在する。その一例を図15に示す。ランプAの出力とランプBの出力は同時に変化し、トータルの出力は連続的に変化する。ところが、放電灯を連続調光させる場合、調光下限では少しのランプ電流の変化が視覚的に大きな明るさの差となって現れるため、図15のように、複数のランプの明るさを同時に増減させる放電灯点灯装置の調光方法では、光出力の比較的大きい領域では視覚的な明るさがほとんど変化せず、逆に光出力の小さい領域では急激に明るさが失われるという事態が起こり、光出力が不自然な推移をしてしまう恐れがある。図16に光出力の変化率が調光の深さにより変化する様子を示す。
【0003】
こうした問題への対策には、一例として、周波数を変化させて調光させている放電灯点灯装置の場合には、調光時の周波数の推移曲線を調光下限に行くほど緩やかに推移するように制御することで改善しているものが存在する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、連続調光機能を有する放電灯点灯装置では、低光束領域になるほどランプ電流の変化に比べて明るさの変化が大きいため、視覚的に自然できめ細かな調光を実現するには、調光の過程でランプ電流の変化の度合いを低光束になるほど緩やかにしてやる必要があった。しかし、高出力のランプほど出力の低い領域で微妙なランプ電流の増減を制御してやることは難しく、そのため、自然できめ細かな連続調光と低調光比を同時に実現させることは困難であった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、出力の異なる複数のランプを連続調光させる機能を有するインバータを用いた放電灯点灯装置において、より低光束の領域まで、より自然できめ細かな連続調光を実現させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の放電灯点灯装置では、上記の課題を解決するために、図1に示すように、出力の異なる複数のランプFL1,FL2を連続調光可能なインバータを用いた放電灯点灯装置において、それぞれのランプFL1,FL2を個別に調光点灯させる複数のインバータ回路INV1,INV2と、各インバータ回路INV1,INV2の出力を制御する出力制御部とを具備し、連続調光の過程で個々のランプFL1,FL2の出力を個別に制御することを特徴とするものである。ここで、出力制御部は、例えばインバータ回路INV1,INV2の発振周波数を個別に制御することにより、出力を制御可能な周波数制御部FCNTで構成される。このように、ランプごとに個別に設定した出力曲線に従って調光させることで、装置全体として自然できめ細かな連続調光を実現するものである。
【0007】
具体的には、図2に示すように、調光範囲の高光束領域Hでは主に高出力ランプFL1の出力の減少により視覚的により大きな調光効果を得るとともに、低光束領域Lでは、主に低出力ランプFL2の出力の減少により視覚的にきめ細かな調光効果を達成するものである。高光束領域Hと低光束領域Lにおける高出力ランプFL1の出力変化と低出力ランプFL2の出力変化の特性を個別に示すと、例えば図3に示すようになる。なお、図2または図3において横軸は調光段階(調光の深さ)を表しており、FULLは全点灯、MINは最小光出力を意味している。以下の実施の形態においても同様である。
【0008】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1に本発明の放電灯点灯装置の基本構成例を示す。出力の異なる2つの放電ランプFL1およびFL2と、それぞれのランプを点灯させるための独立したインバータINV1およびINV2と、それぞれのインバータのスイッチング素子の駆動回路IC1およびIC2と、それぞれの駆動回路に個別の周波数制御信号p1,p2を入力する共通の周波数制御部FCNTとからなる。出力の異なる2つの放電ランプFL1およびFL2は、環形のランプを同心円状に配置しており、外側の放電ランプFL1の出力は内側の放電ランプFL2の出力よりも大きい。インバータINV1およびINV2は一般的なハーフブリッジ型のインバータであり、その構成をインバータINV1について説明すると、交流電源Vsを全波整流器DB1で整流し、平滑コンデンサC1で平滑して直流電圧に変換し、この直流電圧をスイッチング素子Q1,Q2の直列回路に供給している。スイッチング素子Q1,Q2は周波数制御部FCNTから供給される周波数制御信号p1に応じた動作周波数で駆動回路IC1により交互にオン・オフ駆動される。一方のスイッチング素子Q2の両端に、共振用のインダクタL1を介して放電ランプFL1の一対のフィラメントの電源側端子が接続されている。放電ランプFL1の一対のフィラメントの非電源側端子間には、共振用のコンデンサC2が並列接続されている。インバータINV2も同様の構成を有している。
【0009】
なお、電源投入から各ランプFL1,FL2が予熱→始動→全点灯→調光の段階で動作する場合に、予熱→始動→全点灯までの周波数設定はインバータ内部での設定により周波数制御部FCNTからの信号を無視して動作し、全点灯後、一定時間が経過した時点で周波数制御部FCNTからの信号p1,p2に従った動作周波数に移行するように構成すれば、各ランプFL1,FL2の始動を確実に行えるので、好都合である。
【0010】
また、図1の基本構成例を3灯用に発展させた場合の周波数制御部FCNTの構成を図4に示す。周波数制御部FCNTからインバータINV1、INV2、INV3のそれぞれに与えられる発振周波数設定用のパルス信号p1、p2、p3は、例えば図5に示すように変化する。高光束領域Hでは、主に高出力ランプのインバータINV1の発振周波数が変化し、中光束領域Mでは、主に中出力ランプのインバータINV2の発振周波数が変化する。また、低出力ランプのインバータINV3の発振周波数は全領域H、M、Lを通じて変化し、低光束領域LではインバータINV3の発振周波数の変化を特に緩やかにする。これにより、図6に示すように、高光束領域Hでは主にインバータINV1の出力を、中光束領域Mでは主にインバータINV2の出力を、低光束領域LではインバータINV3の出力を変化させて、全体として低光束の領域まで、自然できめ細かな連続調光を実現させている。
【0011】
(実施の形態2)
図7に本発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態では、出力の関係がA>B>Cである放電ランプA、B、Cを高光束領域から低光束領域に移行するにつれて、A→B→Cの順に連続調光し、かつ、調光時の出力変化の傾きがA>B>Cであることを特徴とする。すなわち、図7の例では、出力の異なる3つのランプA,B,Cを高出力のランプから順に傾きを緩やかにして調光している。各段階での明るさの変化度合いも低光束領域になるほど小さく、細かくなっており、より自然できめ細かな連続調光が可能になっている。光出力の変化率は調光の深さに応じて概ね図8のように変化する。
【0012】
(実施の形態3)
図9に本発明の第3の実施の形態を示す。この実施の形態では、出力の関係がA>B>Cである放電ランプA、B、Cを同時に連続調光を開始し、調光時の出力変化の傾きはA>B>Cであり、A→B→Cの順に調光最下限に達することを特徴とする。すなわち、ランプA、B、Cは同時に連続調光を開始するが、ランプAは高光束領域で速やかに減光し、ランプBは高光束領域から中光束領域にかけて緩やかに減光し、ランプCは高光束領域から低光速領域にかけて最も穏やかに減光していく。光出力の変化率は調光の深さに応じて概ね図10のように変化する。
【0013】
(実施の形態4)
図11に本発明の第4の実施の形態を示す。この実施の形態では、出力の関係がA>B>Cである放電ランプA、B、Cを、高光束領域では主にランプA、中光束領域では主にランプB、低光束領域では主にランプCという3段階で連続調光し、ランプCを連続調光していく過程でランプA、Bを順に消灯することを特徴とする。光出力の変化率は調光の深さに応じて概ね図12のように変化する。光出力の変化率はランプA、Bが消灯するポイントで大きくなっているが、低光束領域で最も出力の低いランプCのみを点灯させることで大幅に調光比を改善することができる。
【0014】
(実施の形態5)
図13に本発明の第5の実施の形態を示す。この実施の形態では、出力の関係がA>B>Cである放電ランプA、B、Cを、それらの出力の大小関係を変えないことを優先してA→B→Cの順に連続調光させていくことを特徴とする。すなわち、まず、ランプAが連続調光を開始し、このランプAの光出力がランプBの光出力を下回る前に、ランプBが連続調光を開始する。そして、ランプBの光出力がランプCの光出力を下回る前に、ランプCが連続調光を開始する。これにより、装置の照射面において局所的な光の集中を防ぐことができる。光出力の変化率は調光の深さに応じて概ね図14のように変化する。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、出力の異なる複数のランプを連続調光可能なインバータを用いた放電灯点灯装置において、それぞれのランプを個別に調光点灯させるインバータ回路と、それらの出力を制御する周波数制御部とを具備し、連続調光の過程で個々のランプの出力を個別に制御するようにしたから、ランプの調光のタイミングや調光の深さ等を装置全体で連動して制御することにより点灯装置全体としての光出力の推移をより自然できめ細かなものにする効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の回路図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における光出力の変化に寄与するランプの切り替え動作を示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の2灯のランプの出力制御特性を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を3灯用に発展させた場合の周波数制御部の構成を示す説明図である。
【図5】図4に示す周波数制御部から出力されるパルス信号の周波数の変化の一例を示す説明図である。
【図6】図5に示すパルス信号の周波数に応じた各インバータの出力の変化の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の調光特性を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態の調光時の光出力変化率を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態の調光特性を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態の調光時の光出力変化率を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態の調光特性を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態の調光時の光出力変化率を示す図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態の調光特性を示す図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態の調光時の光出力変化率を示す図である。
【図15】従来の放電灯点灯装置の調光特性を示す図である。
【図16】従来の放電灯点灯装置の調光時の光出力変化率を示す図である。
【符号の説明】
FL1 高出力ランプ
FL2 低出力ランプ
INV1 インバータ
INV2 インバータ
FCNT 周波数制御部

Claims (7)

  1. 出力の異なる複数のランプを連続調光可能なインバータを用いた放電灯点灯装置において、それぞれのランプを個別に調光点灯させる複数のインバータ回路と、各インバータ回路の出力を制御する出力制御部とを具備し、装置全体の光出力を減少または増加させていく過程において、調光範囲の上限付近と下限付近とでは光出力変動に大きく寄与するランプが異なり、高出力のランプと低出力のランプの出力が連続調光の過程の中で逆転しないことを優先しながらランプ出力の変動曲線が変曲点を持つように個々のランプの出力を個別に制御し、全点灯状熊から出力を減少させていく過程で、高出力のランプのみが先に調光範囲の最下限まで出力を減少し、高出力のランプを消灯せずに、その出力を保持する第1の段階と、前記高出力のランプから遅れて低出力のランプが出力の減少をはじめ、そのまま最下限まで出力を減少する第2の段階を有し、調光をはじめるタイミングがランプによって異なり、低出力のランプほど遅れて調光をはじめることを特徴とする放電灯点灯装置。
  2. 出力の異なる複数のランプを連続調光可能なインバータを用いた放電灯点灯装置において、それぞれのランプを個別に調光点灯させる複数のインバータ回路と、各インバータ回路の出力を制御する出力制御部とを具備し、装置全体の光出力を減少または増加させていく過程において、調光範囲の上限付近と下限付近とでは光出力変動に大きく寄与するランプが異なり、連続調光の過程でランプ出力の変動曲線が変曲点を持つように個々のランプの出力を個別に制御し、全点灯状態から出力を減少させていく過程で、全てのランプが同時に出力の減少を開始し、高出力のランプの出力減少の傾きが低出力のランプよりも大きい第1の段階と、先に調光範囲の最下限に達した高出力のランプは消灯せずにそのまま最下限の出力を保持し、低出力のランプはそのまま最下限まで出力を減少させていく第2の段階を有し、調光の過程で高出力ランプの出力推移のみが先に停止することを特徴とする放電灯点灯装置。
  3. 出力の異なる複数のランプを連続調光可能なインバータを用いた放電灯点灯装置において、それぞれのランプを個別に調光点灯させる複数のインバータ回路と、各インバータ回路の出力を制御する出力制御部とを具備し、装置全体の光出力を減少または増加させていく過程において、調光範囲の上限付近と下限付近とでは光出力変動に大きく寄与するランプが異なり、連続調光の過程でランプ出力の変動曲線が変曲点を持つように個々のランプの出力を個別に制御し、全点灯状態から出力を減少させていく過程で、全てのランプが同時に出力の減少を開始し、高出力のランプの出力減少の傾きが低出力のランプよりも大きい第1の段階と、先に調光範囲の最下限に達した高出力のランプは消灯し、低出力のランプはそのまま最下限まで出力を減少させていく第2の段階を有し、調光の過程で高出力ランプの出力推移のみが先に停止することを特徴とする放電灯点灯装置。
  4. 請求項において、出力の変動の傾きが低出力のランプほど緩やかであることを特徴とする放電灯点灯装置。
  5. 請求項において、低出力のランプが調光し始めるタイミングは、高出力のランプが調光最下限に達した瞬間であることを特徴とする放電灯点灯装置。
  6. 請求項のいずれかにおいて、環形のランプを同心円状に配置していることを特徴とする放電灯点灯装置。
  7. 請求項1、2または3において、電源投入から各ランプが予熱、始動、全点灯、調光の段階で動作する場合に、予熱、始動、全点灯までの周波数設定はインバータ内部での設定により周波数制御部からの信号を無視して動作し、全点灯後一定時間が経過した時点で周波数制御部からの信号に従った動作周波数になることを特徴とする放電灯点灯装置。
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