JP4157164B2 - 前立腺癌に関連する遺伝子の変化 - Google Patents
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Description
本発明は細胞発生過程の分野に関する。本発明は特に前立腺癌のための新規の診断用核酸マーカーを提供する。
発明の背景
前立腺癌の発生および進行の原因となる分子遺伝学的メカニズムはほとんどが未知のままである。対立遺伝子欠失もしくは獲得が頻繁に生じかつ反復される部位の同定が悪性腫瘍過程に関わる重要な遺伝子の内の幾つかを同定することにつながる最初の段階である。網膜芽細胞腫(Friendら、Nature、323:643−6(1986))および他の癌(Cawthonら、Cell、62:193−201(1990);Bakerら、Science、244:217−21(1989);Shuinら、Cancer Res、54:2832−5(1984))におけるこれまでの研究は、ヒト腫瘍のゲノム内に生じる局所的染色体欠失を特定することは疾患のための有用な診断マーカとして役立ち、そして重要な遺伝子の同定に向けての重要な初期段階となるということを簡潔に述べている。同様に、共通の染色体獲得領域が特定遺伝子の増幅に関連している(Visakorpiら、Nature Genetics、9:401−6(1995))。それに加え、前立腺癌における共通の対立遺伝子変化の全てのスペクトラムを特定すれば、直腸癌およびウィルムス腫瘍における最近の研究(Jenら、N.Engl.J.Med.、331:213−21(1994);Grundyら、Cancer Res、54:2331−3(1994))により示されるように、特別な変化が臨床結果と関連を持つかも知れない。
多くの染色体腕上の一つもしくは二つの遺伝子座を調査するために設計された前立腺癌のアレロタイプ決定の研究(Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:8751−5(1990);Kunimiら、Genomics、11:530−6(1991))により、染色体8p(50%)、10p(55%)、10q(30%)、16q(31〜60%)、および18q(17〜43%)上のヘテロ接合性の頻繁な喪失(LOH)が明らかにされている。最近になって幾つものグループがこれらの領域の内の幾つかにおける一層詳細な欠失マッピングの研究を行っている。8p上では高頻度の対立遺伝子消失が確認されており、かつ共通欠失領域が絞られてきている(Bovaら、Cancer Res、53:3869−73(1993);MacGroganら、Genes Chromosom Cancer、10:151−159(1994);Bergerheimら、Genes Chromosom Cancer、3:215−20(1991);Changら、Am T Pathol、144:1−6(1994);Trapmanら、Cancer Res、54:6061−4(1994);Suzukiら、Genes Chromosom Cancer、13:168−74(1995))。同様の努力もなされており、染色体16q上の共通欠失領域を絞り込むのに役立った(Bergerheimら、Genes Chromosom Cancer、3:215−20(1991);Cherら、J.Urol、153:249−54(1995))。より少ない数の多型マーカーを用いる他の前立腺癌アレロタイプ決定研究によっては新たな目的領域は示されていない(Philliopsら、Br J Urol、73:390−5(1994);SakeらCancer Res、54:3272−7(1994);Latilら、Genes Chromosom Cancer、11:119−25(1994);Massenkeilら、Anticancer Res、14:2785−90(1994))。現時点ではアレロタイプ決定の研究は、研究された遺伝子座が少数であること、症例数が少ないこと、異種群の患者であること、純度が低いもしくは純度不明の腫瘍を用いていること、および実験技術の標準化の欠如により制約を受けている。これらの理由により、それぞれの研究間での変化の頻度を比較することは難しく、かつこの疾患において生じる局所的染色体変化の全容を我々はまだつかめないままでいる。
比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)は局所的染色体の変化について腫瘍からのDNAをスクリーニングするための比較的新しい分子的技術である(Kallioniemiら、Science、258:818−21(1992)および国際公開第93/18186号)。典型的には全ゲノムの0.1%をはるかに下回る量をサンプリングするミクロサテライトもしくはサザン(Southern)分析によるアレロタイプ決定研究とは異なり、CGHの有意な利点は全ての染色体腕が消失および獲得についてスキャンされることである。それに加え、CGHは自然に生じる多型に頼るものではなく、全ての領域が情報として有用であり、一方で多型を基礎とする技術は全ての遺伝子座における研究の対象とされる腫瘍の分画の中でもホモ接合性(同型の)対立遺伝子に限定される。
アレロタイプ決定の標準技術(Cherら、Genes Chromosom Cancer、11:153−162(1994))と比較すると、CGHは高い精度で前立腺癌における単一コピーの消失および獲得を検出およびマッピングすることができる。コピー数のカリオタイプマップが前立腺癌について作成されており、そのゲノムの内の反復して変化を生じるいくつもの領域が示されている(Cherら、Genes Chromosom Cancer、11:153−162(1994);Visakorpiら、Cancer Res、55:342−347(1995))。
これまでの研究により原発性および再発性前立腺癌において生じる染色体変化のゲノムを視点としての様相が明らかにされ始めているものの、転移性前立腺癌の深い意味での調査はまだなされてはいない。本発明は、従来の技術におけるこれらおよびその他の必要性に対処する。
発明の要約
本発明は、前立腺癌に相関する遺伝子の変化を決定する組成物および方法を提供する。この方法は、前立腺癌に相関する標的ポリヌクレオチド配列に選択的に結合するプローブに、ある患者からの核酸試料を接触することを含む。本発明は、前立腺癌細胞において検出される以下の染色体領域を提供する:2q、4q、5q、6q、10q、および15q。前立腺癌細胞中でのコピー数の増加を示す領域は:1q、2p、3q、3p、4q、6p、7p、7q、9q、11p、16p、および17qである。
本発明のプローブは、そのプローブが標的ポリヌクレオチド配列と選択的に結合してハイブリダイゼーション複合体を形成する条件下で試料と接触させられる。その後にそのハイブリダイゼーション複合体の形成が検出される。
別法では、患者からの試料DNAを蛍光的にラベルし、そして正常な白血球分裂中期からの蛍光ラベルした正常DNAに対して競合的にハイブリダイズさせることができる。その後には試料DNA中のDNAコピー数の変化を正常DNAに比較させた試料DNA内での増加もしくは減少として検出する。
染色体異常は典型的にはコピー数の削除もしくは増加である。この方法は、転移性前立腺癌およびアンドロゲン非依存的前立腺癌の両方を検出するのに用いることができる。
定義
本明細書で用いられる際には「核酸試料」は、本発明のプローブへのハイブリダイゼーションに適する形態をとるDNAを含む試料を意味する。例えばこの核酸試料は、これ以降に記載される標準インサイチューハイブリダイゼーション法用に調製された組織もしくは細胞試料であり得る。この試料は、個々の染色体が実質的に未処理の状態のままであり、かつ典型的には標準技術に従って調製される分裂中期の拡散(spread)もしくは静止核を含む。
この試料は更にはサザン(Southern)、もしくはドットブロットハイブリダイゼーションなどにおける使用のための固体表面(例えばニトロセルロース)上に固定化された単離された核酸であってもよい。幾つかの事例では、核酸はハイブリダイゼーションの前に例えばPCRのような標準技術を用いて増幅されてよい。この試料は典型的には、検出されてくる異常に関連する前立腺癌を有する疑いがある患者から採取される。
「核酸」は一本鎖もしくは二本鎖形態のいずれかをとるデオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドポリマーを意味し、そして何ら特別な制約がなされていない限り、天然に存在するヌクレオチドと類似の様式で機能することができる天然のヌクレオチドの既知のアナログを包含する。
「サブ配列」は、長目の配列の核酸の一部を含む核酸の配列を意味する。
本明細書に用いられる際には「プローブ」もしくは「核酸プローブ」は、標的へのハイブリダイゼーションが検出され得る一つもしくは複数の核酸断片の集まりとして定義される。プローブは以下に記載される要領でラベルされるため、標的に対するその結合を検出することができる。このプローブは、例えば一つもしくは複数のクローン、単離された染色体全体もしくは染色体断片、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅産物の集まりのような、ゲノムの内の一つもしくは複数の特別な(あらかじめ選択された)部分からの核酸の源から産生される。本発明のプローブは、本明細書中に記載される要領で遺伝子変化の領域において見いだされる核酸から作成される。プローブは、例えば反復性核酸の遮断もしくは除去、または非反復の核酸での濃縮によるなどの幾つかの様式で処理されてよい。従って用語「プローブ」は本明細書では検出可能な核酸ばかりではなく、例えば遮断用核酸のような、標的に適用される形態をとる検出可能な核酸も意味するために用いられる場合がある。この遮断用核酸は更には個別に意味されてよい。「プローブ」が具体的に意味するものは、その言葉が用いられる文脈から明らかである。
「ハイブリダイジング」は相補的な塩基対形成を介する2本の一本鎖核酸の結合を意味する。
「実質的に結合する」もしくは「特異的に結合する」もしくは「選択的に結合する」もしくは「特異的にハイブリダイズする」は、プローブと標的配列との間の相補的ハイブリダイゼーションを意味し、そして標的ポリヌクレオチド配列の所望される検出を達成するためにハイブリダイゼーション培地の緊縮性を下げることにより適用することができるマイナーミスマッチを含む。これらの用語は更には、緊縮条件下での、ある分子の、ある特別なヌクレオチド配列のみへの、その配列が複合体混合物(例えば全細胞性)DNAもしくはRNAとして存在する場合の結合、二重鎖形成、もしくはハイブリダイゼーションを意味する。用語「緊縮条件」は、あるプローブがその標的サブ配列にハイブリダイズするであろうが、しかし他の配列にはハイブリダイズしないであろう条件を意味する。緊縮条件は配列依存的であり、かつ様々な状況によって異なるであろう。長い配列ほど高い温度で特異的にハイブリダイズする。一般的には緊縮条件は、特定されたイオン強度およびpHでの特定配列のための熱融解点(Tm)を約5℃下回る温度となるように選択される。このTmは標的配列に相補的プローブの内の50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度(特定されたイオン強度、pH、および核酸濃度下でのもの)である。典型的には緊縮条件は、pH7.0〜8.3での塩濃度が少なくとも約0.02Naのイオン濃度(もしくは他の塩)であり、かつ温度が少なくとも約60℃であるものであろう。緊縮条件は更には例えばホルムアミドのような不安定化剤の添加により達成されてよい。
当業者は、本明細書に記載される特定プローブの厳密な配列を、開示されるプローブに「実質的に相同」であるが、ただし標的配列に実質的に結合する能力を保持するプローブを作成するためにある程度まで改変することができるということを理解するであろう。このような改変は、本明細書の個々のプローブについての引用により具体的に網羅される。ポリヌクレオチド配列の用語「実質的に同一性」は、標準パラメーターを用いる以下に記載される方法を用いて対照配列と比較した際に、少なくとも90%の配列相同性、一層好ましくは少なくとも95%を有する配列をポリレプチドが含むことを意味する。
2本の核酸配列は、以下に記載される最大対応度について整列させられた際に、2本の配列中のヌクレオチドの配列が同一となれば「相同」と呼ばれる。用語「〜に相補的」は本明細書では相補的配列が、対照ポリヌクレオチド配列の全てもしくは一部分に相同であることを意味するために用いられる。
2本(もしくはそれ以上)のポリヌクレオチドの間の配列比較は典型的には、配列類似性の局所領域を同定および比較するために「比較用ウインドウ」を通して2本の配列の配列比較を行うことにより実施される。「配列比較用ウインドウ」は本明細書で用いられる場合には、二本の配列が至適アラインメントとなるように整列させられた後に、ある配列を同一数の隣接位置の参照用配列と比較してよい、少なくとも約20の隣接する位置、通常は約50〜約200、一層通常には約100〜約150のセグメントを意味する。
比較のための配列の至適アラインメントは、SmithとWaterman Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムにより、NeedlemanとWunsch J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムにより、PearsonとLipman Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)85:2444(1988)の類似性についての探索方法により、それらのアルゴリズムのコンピューターによる実施により行われてよい。
「配列相同性のパーセンテージ」は比較用ウインドウを通して二本の至適にアラインメントさせられた配列を比較することにより決定され、この場合、その比較用ウインドウ内のポリヌクレオチド配列の部分は、その2本の配列の至適アラインメントについての参照用配列(これは付加もしくは欠失は含まない)と比較した際には付加もしくは欠失(すなわちギャップ)を含んでよい。このパーセンテージは、一致する位置の数を得るために相同な核酸塩基もしくはアミノ酸残基が両方の配列内に生じる位置の数を決定し、一致する位置の数を比較用ウインドウ内の位置の数全てで割り算し、そしてその結果に100を掛け合わせて配列相同性のパーセンテージを得ることにより算出される。
ヌクレオチド配列が実質的に相同であることの他の指標は、二本の分子が緊縮条件下で同一配列にハイブリダイズするかどうかである。緊縮条件は配列依存的であり、かつ様々な環境によって違ってくるであろう。一般的には緊縮条件は、特定されたイオン強度およびpHでの、特別な配列のための熱融解点(Tm)を約5℃下回る温度となるように選択される。このTmは完全に一致するプローブに標的配列の内の50%がハイブリダイズする温度(特定されたイオン強度、pH下でのもの)である。典型的には緊縮条件は先に記載されるようなものであろう。
【図面の簡単な説明】
図1は、対照、つまり正常/正常ハイブリゼーションに基づくt−閾値の設定を説明するグラフである。各々がlpterからYqterまでのゲノムに沿って広がり、1247のt値を示す5回の対照ハイブリダイゼーション(総計6235のt値)について、y軸は、x軸上の所定の閾を上回る絶対値を有するt値のパーセンテージを示す。
図2は、変化を有するゲノムのパーセンテージを示す棒グラフである。獲得を生じた(陰付き)もしくは消失を生じた(黒塗り)ゲノムのパーセンテージが各腫瘍標本につき示されている。
図3は、単一のDNA標本についての2回のCGH分析の比較を示すグラフである。一つの腫瘍DNA標本を盲検様式でCGH分析を2回行うことにより分析した。ラベル化、ハイブリダイゼーション、および分析を含む全CGH過程を各標本ごとに独立に実施した。各線は一回の操作についての染色体10の55のデータチャネルについてのt値を示す。1.6の閾値が点線により示されている。x−軸はデータチャネル数(総計1247)を示し、そして太線はセントロメアの領域を示す。
図4は、CGHとアレロタイプ決定データとの相関を示すイディオグラムである。2つの代表的腫瘍(#50および#344)からのデータが示されている。染色体13q上の9つの個別の遺伝子座でのミクロサテライトおよび制限断片長の多型分析を用いた。各多型のマッピングによる位置(D13S数により列挙されている)は、イディオグラムにつながる破線により示されている。各腫瘍についてのCGHの解釈が、そのイディオグラムに関しては各腫瘍における消失の長さと位置を示す斜線がつけられている棒により示される。アレロタイプ決定の結果は:白丸=保持;黒丸=消失;U=情報の有用性なし、として示されている。計算されたt−統計値は両方の腫瘍についての連続トラッキング(tracking)として示されている。x軸はt=−1.6の地点で引かれており、そしてイディオグラムへそのトラッキングを連結させる縦線は、これらの2つの腫瘍において見いだされる染色体13q消失の末端を示す。
図5は、グループ(Group)I標本からのDNAにおける遺伝子変化の相対頻度のヒストグラムを示す。獲得および消失の相対頻度は各染色体腕に沿った領域特異的ヒストグラムとして示される。y−軸は、中心軸より上のt>1.6を示す標本および中心軸より下のt<−1.6を示す標本の比率(分析した20の転移の内)を示す。セントロメアおよび異質染色体領域は分析から除外した。ヒストグラムを、各染色体の長さにそって分散する適切なデータを含むデータチャネルに基づき、各染色体のイディオグラムに適合させる。染色体の同定番号は各パネルの左上に示される。
図6は、グループ(Group)II標本内の染色体変化の頻度のヒストグラムを示す。グループ(Group)II標本内で最も大きな頻度で変化を示す2つの染色体についての頻度ヒストグラムの例がグループ(Group)Iに対する比較のために示されている(図5を参照されたい)。獲得および消失の頻度は図5に記載される要領で示される。
図7Aおよび7Bは全セット(白抜き棒)についての最も高い頻度で変化する領域の変化の頻度の比較を示す棒グラフであり;グループ(Group)I(黒塗り棒);およびグループ(Group)II(斜線がつけられている棒)の標本のものである。図7A)が獲得についてである。図7B)は消失についてである。
好ましい態様の記述
本発明は、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)を用いる前立腺癌細胞のゲノムの総合的分子細胞発生学的分析に基づく。特に、前立腺癌におけるDNAコピー数の頻繁な欠失もしくは獲得の生じる幾つかの新規領域を同定するためのCGHの新規定量的統計学的方法が提供される。本明細書に提供される結果は更には、消失もしくは獲得の幾つかの他の既に報告されている領域の相対的重要性を明確にする助けともなる。最も高い頻度で改変された領域内に含まれる遺伝子の改変された機能は主に前立腺癌の悪性腫瘍としての動向の原因となってよい。
前立腺癌に関連する遺伝子変化
細胞株の大きな分画の中でDNAコピー数が増加する部位であることが見いだされたゲノム領域は、増加したコピー数で存在し、そしてそのため過剰発現する腫瘍遺伝子を含む確立が高い。これらの遺伝子の過剰発現は無制約の成長をもたらしてよい。DNAコピー数が頻繁に減少している領域は、一本の対立遺伝子の突然変異および他方の対立遺伝子の欠失を通して成長もしくは形成制御の消失をもたらす腫瘍抑制遺伝子を含んでよい(Weinberg、Science 254:1138−1146(1992))。当然のことながらDNAコピー数異常の内の幾つかのものは、腫瘍発生の初期段階から生じる一般的なゲノムの不安定性の二次的結果として生じてよい。このような変化はランダムに生じることが予想され、そしてそのため腫瘍および細胞株の内の高いパーセンテージで見いだされるわけではなさそうである。
以下に記載される実施例では1セットとなっている31の進行前立腺癌からの腫瘍を、前立腺癌の開始および進行の両方にかかわる遺伝子変化を特定するのに用いた。CGH分析は更には、同一DNA上の対立遺伝子不均衡の平行して行われるサザン(Southern)およびミクロサテライト分析によっても確証された。これら2つの分析技術の間で良好な一致がみられることにより、この新規の標準化されたCGH分析が高い感受性および特異性を示すことに関する保証が提供される。
以下に記載される実施例では複数のCGH分析が各腫瘍内の各染色体について得られており、そしてヒトゲノム全体を含む1247の均一に分散させられたデータチャネルの内の各々のものにおいての対照である正常/正常色比率に対する平均腫瘍/正常色比率の各点ごとの比較を、その腫瘍ゲノム内のコピー数の消失、獲得、もしくは無変化として解釈した。
グループ(Group)I組織は20人の患者からの転移性前立腺癌から取得し、その20人の患者の内の19人はこれまでに前立腺癌の治療を受けていなかった。かなり濃縮された腫瘍DNAを含むこれらの試料は前立腺癌においては頻繁に変化していることが知られている幾つかの染色体領域内では高い変化率を示した:8q 獲得(85%)、8p 消失(80%)、13q 消失(75%)、16q 消失(55%)、17p 消失(50%)、および10q 消失(50%)。
グループ(Group)II組織は長期のアンドロゲン剥奪療法での治療を受けており、かつアンドロゲン非依存的転移疾患を発症している11人の患者から取得した。これらの組織からのDNAについての定量的CGH分析によりグループ(Group)Iにおいて見いだされたものに非常に類似する染色体変化が見いだされ、このことにより治療を受けていない転移癌は、アンドロゲン剥奪中に再発が生じるのに必要な巨大な染色体変化を含むことが示唆される。
全データセットにおいて頻繁な消失もしくは獲得の領域でこれまでには未検出だったものが多数同定され、これには染色体2q(42%)、5q(39%)、6q(39%)、および15q(39%)の消失、ならびに染色体11p(52%)、1q(52%)、3q(52%)、および2p(45%)の獲得が含まれる。
これらの結果のまとめが図7に提供される。本明細書で用いられる際には「領域」は少なくとも5の連続するチャネルである。特別な異常は、検査した腫瘍の内の20%を上回る率でその異常が生じる場合には「頻繁」に生じると考えられる。
消失領域。
これらの領域は少なくとも一つの劣性発癌遺伝子を保持することが疑われており;事実、最も頻繁に消失が生じる領域の多くは既知もしくは候補として考えられる腫瘍抑制遺伝子を含む。例えば最も集中して研究が行われている腫瘍抑制遺伝子、p53、は17p上に位置しており、そして既に転移前立腺癌の内の20〜25%で突然変異を生じることが示された(Booksteinら、Cancer Res、53:3369−73(1993))。この遺伝子は8/16(50%)の前立腺癌の骨髄の転移の際に突然変異を生じているとしても報告されており(Aprikianら、J.Urol、151:1276−80(1994))そして前立腺癌細胞株のインビトロ成長を抑制することが示された(Isaacsら、Cancer Res、51:4716−20(1991))。17pの消失は、グループ(Group)IIの腫瘍の内の65%と比較した際にはグループ(Group)Iの腫瘍の50%に検出された。これらのデータをまとめると、正常なp53機能の消失は前立腺癌の進行に関連しているという観点を支持し、そしてその現象はこの疾患の後期に最も共通して生じる変化であるように思われる。
染色体10q22.1−qterは、前立腺癌の4症例において突然変異を生じているいることが以前に報告されており、候補として考えられる腫瘍抑制遺伝子Mxi1を含む(Eagleら、Nature Genetics、9:249−255(1995))。Mxi1蛋白質はc−Myc活性を抑制する疑いがあるため(Zervosら、Cell、72:223−32(1993))、Mxi1活性の消失はc−Mycの活性化につながってよい。染色体8qのコピー数が増加する可能性に加え合わせ(これは以下に論議される)、c−Myc活性の増加は前立腺癌における共通のテーマである。
染色体5qはアルファーカテニン遺伝子(5q31)を含み(Furukawaら、Cytogen Cell Genet、65:74−8(1994))、この遺伝子はE−カドヘリンが媒介する細胞接着複合体の必須構成成分である。既に、6つのヒト前立腺癌細胞株の内の5つは、正常な前立腺上皮細胞と比較する際にはアルファーカテニンもしくはE−カドヘリンのレベルが低下しているかもしくは非存在となっていることが示されている(Mortonら、Cancer Res、53:3585−90(1993))。
候補物として既に知られる腫瘍抑制遺伝子を含む2つの別の頻繁に消失を生じる領域は、染色体13q(Rb1を含む)および16q(E−カドヘリンを含む)である。興味深いことに、これらの染色体腕における消失のパターンの詳細な分析により、一つを上回る重要な前立腺癌腫瘍抑制遺伝子が13qおよび16q上に位置してよいことが示唆される。検討した31の腫瘍全てについての消失の頻度はRb1が位置する13q14を通過すると40%から60%に増加するものの、ピークは13q14の遠位に出現し、そして13q21.1〜q31にかけてはほぼ60%が保持されている(図5および6を参照されたい)。これまでの研究によりRb1発現の消失(Booksteinら、Proc Natl Acad Sci USA、87:7762−6(1990))およびこの遺伝子の対立遺伝子消失(Brooksら、Prostate、26:35−9(1995))が前立腺腫瘍内で生じることが示されてはいるものの、CGHの所見によりRb1の遠位にある染色体13q上に第二の重要な前立腺癌腫瘍抑制遺伝子が存在する可能性が浮上してきた。同様にE−カドヘリン発現の減少は前立腺癌の予後の悪さに関与し(Umbasら、Cancer Res、54:3929−33(1994);Umbasら、Cancer Res、52:5104−9(1992))、そしてこの研究における31の腫瘍全ての内の30%がこの領域での消失を示す一方で;16q24には40%の消失を示す別の領域が存在し、これが別の重要な前立腺癌腫瘍抑制遺伝子の部位を表してよい。この領域マッピングは以前に行われた16q上でのコスミド欠損マッピング研究と矛盾しない(Cherら、J.Urol、153:249−54(1995))。
頻繁に消失が生じる他の領域は、候補物としての腫瘍抑制遺伝子として既に同定されている遺伝子は保持していない。しかしながら、これらの領域が進行癌においては高い頻度で消失しているという事実により、これらの領域の検出は診断および予防上での適用法に有用である。この現象は更には、この疾患の進行に重要な遺伝子はこれらの部位に存在してよいということを強く示してもいる。特に染色体8pの頻繁な消失は非常に興味深いものであり、そして多数の研究グループが重要な腫瘍抑制遺伝子の存在についてこの領域の調査を行っている(Bovaら、Cancer Res、53:3869−73(1993);MacGroganら、Gene Chromosom Cancer、10:151−159(1994);Changら、Am T Pathol、144:1−6(1994);Trapmanら、Cancer Res、54:6061−4(1994);Cherら、Gene Chromosome Cancer、11:153−162(1994);Matsuyamaら、Oncogene、9:3071−3076(1994))。領域2q、6q、10p、および15qもこの範疇に含まれる。従ってこれらの領域は遺伝子マーカーとして有用であり、かつ腫瘍抑制遺伝子に関しては一層集中的に分析すべきである。
獲得の領域。
この領域では、コピー数の増加を伴いながら発現の増加を示す優性癌細胞が見いだされることが予測される。これらの内で最も顕著なものは染色体8qであり、ここにc−Myc癌細胞が位置する。この領域の増幅は既に前立腺癌における不利な予後に相関することが示されている(Van Den Bergら、Clin Ca Res、1:11−18(1993))。CGHにより検出される8qの獲得の頻度は、より小さなシリーズにおいて既に報告されているよりもかなり高いものであり(Bovaら、Cancer Res、53:3869−73(1993);Van Den Bergら、Clin Ca Res、1:11−18(1993))、そして更にはCGHを用いる獲得を検出するための優れた能力を反映してよい。
染色体11pについては以下に示されるデータにおいては標本の内の52%に獲得が示され、そして効力の強い発癌遺伝子H−Rasが11p15.5に位置している。この領域は獲得についての最も一般的な領域としては同定されていないものの(11p13−p15.3)、CGHでは末端での蛍光強度が消失するためテロメア付近のデータには信頼性が持てない。従って、この腫瘍遺伝子は進行した前立腺癌において頻繁に獲得される領域に含まれてよい。40%(8/20)の転移が11p15.5において獲得を示すと決定されたことは記載に値する(図5を参照されたい)。このようなコピー数の増大は前立腺癌におけるH−Ras活性が原因である可能性もある一方で、突然変異もしくはプロモーター誘発も活性化を誘導することができるが、これまでの研究では分析を行った94の試料の内ではわずか3つのH−Ras遺伝子突然変異のみが示された(Isaacsら、Sem Oncol、21;514−21(1994))。
既知の腫瘍遺伝子を含む他の領域は染色体7pで、ここにはerbB−1(=EGFR)が位置する。染色体7におけるトリソミーが一層高度な程度および段階の前立腺癌に関連していることが示されているものの(Bandykら、Genes Chromosom Cancer、9:19−27(1994);Stephensonら、Cancer Res、47:2504−7(1987))、この表現型にとって重要となるこの染色体上の特別な遺伝子(一つもしくは複数)を示す強固な証拠は全く発表されていない。
図7は、染色体7qは、転移およびアンドロゲン非依存的腫瘍の両方からの標本の内では最高40%までが獲得を示すことを示す。最近、7q31にマップされるc−met腫瘍遺伝子が、36/43の原発性前立腺癌試料の基底上皮細胞、4/4のリンパ節転移癌、および23/23の骨髄転移癌において発現されることが示された(Pistersら、Journal of Urology、154:293−8(1995))。
図7は、BRCA1を含む染色体17qの領域内においては0.39の頻度で獲得が生じていることを示すが、一方でGaoらは最近になって前立腺癌において染色体17qでBRCA1のPCRが基となる頻繁なLOHを示した(Gaoら、Cancer Res、55:1002−5(1995))。再度記載するが、これらの結果は獲得が生じた後の体細胞組換え、もしくはPCR対立遺伝子バンドの誤った解釈により説明され得る。
発癌遺伝子erbB−2は17q12に位置し、これはCGHによる高い獲得頻度の領域に近接している。既にKuhnらは、18/53の臨床的に位置が突き止められている前立腺癌が、高レベルの遺伝子増幅の兆候を全く示さずにこの遺伝子を高レベルで発現することを示している(Kuhnら、Journal of Urology(1993))。この分析により証拠づけられるコピー数の中程度の増加がこのような遺伝子発現の増加によるものである可能性がある。
Xq12に位置するアンドロゲンレセプター遺伝子はこれまでに、再発性前立腺腫瘍においては比較的高い頻度(4/9)で獲得を示すことが示されている(Visakorpiら、Cancer Res、55:342−347(1995))。その後の論文ではVisakorpiらは、Xp12の増幅はアンドロゲン剥奪療法中の個体における腫瘍再発に関連することを示した(Visakorpiら、Nature Genetics、9:401−6(1995))。この領域では本明細書で研究された腫瘍全グループの内のわずか5/31(16%)のみが獲得を生じたが、グループ(Group)IIのアンドロゲン非依存的腫瘍の3/11(27%)が獲得を生じた。従ってこの研究は一般的にはVisakorpiらの研究と一致し、かつアンドロゲンレセプター増幅を伴う腫瘍細胞がアンドロゲン剥奪療法中に選択されるというVisakorpiらの示唆を支持する。しかしながらこの領域の増幅はホルモン療法が作用しない腫瘍に限定される訳ではない。
アフリカ系アメリカ人。
以下に示される結果はアフリカ系アメリカ人においては領域4q25−q28における獲得の頻度が増加していることを示す(P<0.001)。アフリカ系アメリカ人の間では、活性においてはその頻度が一層増大しており、かつ前立腺癌の一層迅速な臨床的進行を誘導する、ある遺伝子が4q上に位置するかもしれない(Pientaら、Urology、45:93−101、(1993);Brownら、Cancer、71:2369−73(1993))。
遺伝子変化の検出
本明細書に提供される結果を用いると当業者は、前立腺癌に関連する遺伝子変化の特別なゲノム領域に特異的な核酸プローブを調製することができる。このプローブを、癌の初期診断もしくは予防のために、その領域の存在(特にコピー数の増加)もしくは非存在を決定するための多種多様の核酸ハイブリダイゼーションアッセイで用いることができる。先に記載したようにこれらのプローブは主に癌の診断もしくは予防に有用である。これらの領域は更には大多数の他の癌にも用いることができる。これらの癌は限定されはしないが、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、頭部および頸部の癌、ならびに結腸癌を含む。
遺伝子変化は、その変化についてスクリーニングすることが所望される核酸試料に対しての本発明のプローブのハイブリダイゼーションを通して検出される。適切なハイブリダイゼーションフォーマットが当業者によく知られており、そして限定されはしないが、様々なサザンブロット(Southern Blot)、インサイチューハイブリダイゼーション、および例えば定量的PCRのような定量的増幅法を含む(例えば、Sambrook、Molecular Cloning − A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New York、(1989)、Kallioniemiら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:5321−5325(1992)、およびPCR Protocols、A Guide to Methods and Applications、Innisら、Academic Press、Inc.N.Y.、(1990))。
インサイチューハイブリダイゼーション。
好ましい態様では、本明細書に開示される領域はインサイチューハイブリダイゼーションを用いて同定される。一般的にはインサイチューハイブリダイゼーションは以下の主な段階を含み、それらは:(1)分析予定の組織もしくは生物学的構造の固定;(2)標的DNAへの到達度を増加させ、かつ非特異的結合を減少させるための生物学的構造の予備ハイブリダイゼーション処理;(3)核酸の混合物の、生物学的構造もしくは組織中の核酸へのハイブリダイゼーション;(4)ハイブリダイゼーションの際に結合しなかった核酸断片を除去するためのハイブリダイゼーション後の洗浄、ならびに(5)ハイブリダイズした核酸断片の検出、である。これらの段階の各々に用いられる試薬および使用のためのそれらの条件は、特別な適用法によって変化する。
幾つかの適用法では、反復配列のハイブリダイゼーション能力を遮断する必要がある。この場合にはヒトゲノムDNAをそのようなハイブリダイゼーションを遮断するための作用試薬として用いる。好ましいサイズ範囲は二本鎖のニックトランスレーションされた核酸については、約200bp〜約1000塩基、一層好ましくは約400〜約800bpの間である。
本明細書に開示される特別な適用法のためのハイブリダイゼーションプロトコールは、Pinkelら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:9138−9142(1988)および欧州特許公開公報(EPO Pub.)第430,402号に記載されている。適切なハイブリダイゼーションプロトコールは、Methods o\in Molecular Biology Vol.33:In Situ Hybridization Protocols、K.H.A.Choo、ed.、Humana Press、Totowa、New Jersey、(1994)にも見いだすことができる。特に好ましい態様ではKallioniemiら、Proc.Natl.Acad.Sci USA、89:5321−5325(1992)のハイブリダイイゼーションプロトコールが用いられる。
典型的には二色FISHを用いることが所望され、ここでは2本のプローブが利用され、各々は違った蛍光染料でラベルされる。目的の領域にハイブリダイズする検査用プローブを一つの染料でラベルし、そして違った領域にハイブリダイズする対照プローブを第二の染料でラベルする。例えばセントロメア領域のような目的の染色体の安定な部分にハイブリダイズする核酸は対照プローブとして有用であることがよくある。このようにすると試料ごとのハイブリダイゼーションの効率間の違いを考慮することができる。
染色体異常を検出するためのFISH法は、ナノグラム量の対象核酸で実施することができる。パラフィンに包埋した腫瘍切片を用いることができ、それは新鮮なものでも凍結させたものでもよい。FISHは限定された物質に適応させることとができるため、培養していない初代腫瘍から調製したタッチ(touch)調製物も用いることができる(例えば、Kallioniemi,A.ら、Cytogenet.Cell Genet.60:190−193(1992)を参照されたい)。例えば腫瘍からの小さな生検組織試料をタッチ調製物として用いることができる(例えば、Kallioniemi,A.ら、Cytogenet.Cell Genet.60:190−193(1992)を参照されたい)。吸引生検から取得した少数の細胞もしくは体液(例えば、血液、尿、および痰など)中の細胞も分析することができる。
サザン(Southern)ブロット。
サザンブロット(Southern Blot)では、ゲノムDNAもしくはcDNA(典型的には分断されているかもしくは電気泳動ゲル上で分離されている)を標的領域に特異的なプローブに対してハイブリダイズさせる。その標的領域についてのプローブからのハイブリダイゼーションシグナルと、例えばセントロメアDNAのような対照(増幅されていない、もしくは欠失を生じていない)に向けられるプローブからのシグナルの強度の比較により、標的核酸の相対的コピー数の推定値が得られる。サザン(Southern)ハイブリダイゼーションを実施するための手順は当業者にはよく知られている。例えばSambrookら、上述、を参照されたい。
本発明のプローブの調製
本明細書で同定される領域に特異的にハイブリダイズするプローブを同定するためには多数の方法を用いることができる。例えばプローブは、染色体特異的ライブラリーからのクローンのランダム選択により作成し、そしてその後にデジタルイメージング顕微鏡により各染色体もしくは領域に対するマッピングを行うことができる。この手順は米国特許第5,472,842号に記載されている。簡潔には、選択された染色体を標準方法に従ってフローサイトメトリーにより単離する。その後にこの染色体を、少なくとも約20kbおよび一層好ましくは約40kbのDNA配列を取得するのに適切な制限酵素で消化する。部分的配列消化の技術は当該技術分野においてよく知られている。例えば、Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning 2nd Ed.、Wiley N.Y.(1988)、を参照されたい。得られる配列をベクターに連結し、そして適切な宿主内に取り込ませる。この目的に適する例示的なベクターは、コスミド、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、およびP1ファージを含む。典型的にはコスミドライブラリーが調製される。染色体全体にまたがる様々なライブラリーも市販品として(Clonetech社、South San Francisco、CA)か、もしくはLos Alamos National Laboratoryから入手することができる。
一度プローブライブラリーを構築すれば、プローブのサブセットの物理的マッピングを選択された染色体について行う。FISHおよびデジタルイメージ分析を用いて所望される染色体に沿うクローンの位置決定を行うことができる。簡潔に述べると、このクローンは発蛍光団としての例えばFITCを用いて正常細胞からの分裂中期スプレッドまでをFISHによりマッピングする。染色体は、その染色体の輪郭を特定するために、塩基組成にかかわりなくDNAを染色する染料(例えばヨウ化プロピジウム)により逆染色されてよい。染色した分裂中期を、色に依存するイメージシフトを回避するために多色用ビームスプリッターを用いる蛍光顕微鏡でイメージングする。異なる色のイメージをCCDカメラで取得し、そしてデジタル化されたイメージをコンピューター内に保存する。その後にコンピュータープログラムを用いて染色体軸を算出し、この軸上に垂直となる2つの(単一コピー配列用のもの)FITCシグナルを投影し、そして典型的にはp−テロメアである特定された位置からの平均断片長を算出する。
このプローブのマップされた位置の精度は中間期マッピングを用いて増大させることができる。簡潔に述べると、分裂中期マッピングにより非常に近接していることが見いだされる2本のプローブの間の距離を正常な中間期核で測定する。この2本の間のゲノム上での距離は物理学的距離の二乗に等しい(Van den Enghら、Science 257:1410(1992))。もしその順序が確かでない場合にはプローブを異なる色でラベル化し、そして第三(遠位にある)プローブに対するそれらの相対的距離を再度評価することができる。Traskら、Am.J.Hum.Genet.48:1(1991)。
典型的にはマッピングされたライブラリーは約20と約125クローンとの間、より通常には約30と約50クローンとの間からできているであろう。理想的にはこれらのクローンは目的の領域、通常は染色体全体を通して比較的均一に分散している。
本明細書に同定される領域の配列情報により標的配列の検出に適する高度に特異的なハイブリダイゼーションプローブもしくは増幅用プライマーの設計が可能となる。これは診断用スクリーニングシステム、ならびに研究目的には有用である。特別なDNA配列を決定するための方法は当業者によく知られている。例えばその領域に関する、ある選択されたサブ配列に対して相補的であるとして選択されたオリゴヌクレオチドプローブを用いることができる。別法では配列もしくはサブ配列を、プローブを用いる検出前に、多種多様のDNA増幅技術(例えばポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応、転写増幅などを介するもの)により増幅してよい。DNAの増幅は、可能性として考えられる標的サブ配列のコピーをより多く提供することにより、アッセイの精度を上昇させる。それに加え、この増幅過程にラベル化されたプライマーを用いることによりDNA配列をそれらが増幅される際にラベル化してよい。
プローブのラベル化
核酸をラベル化する方法は当業者によく知られている。好ましいラベルはインサイチューハイブリダイゼーションにおける使用に適するものである。核酸プローブはハイブリダイゼーション反応の前に検出可能な方法でラベルされてよい。別法ではハイブリダイゼーション産物に結合する検出可能なラベルを用いてよい。このような検出可能なラベルは検出可能な物理学的もしくは化学的性質を有するいずれかの物質を含み、そして免疫アッセイの分野ではしっかりと確立されている。
本明細書に用いられる際には「ラベル」は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、もしくは化学的手段により検出可能ないずれかの組成物である。本発明における有用なラベルは、放射活性ラベル(例えば、32P、125I、14C、3H、および35S)、蛍光染料(例えば、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド(Texas Red)など)、高電子密度試薬(例えば金)、酵素(ELISAにおいて一般的に用いられるもの)、比色分析用ラベル(例えばコロイド状の金)、および磁気ラベル(例えばDynabeads(商標))などを含む。直接は検出されないが、直接検出可能なラベルの使用を通して検出されるラベルの例は、ビオチンおよびジオキシゲニン(dioxygenin)、ならびにラベル化された抗血清もしくはモノクローナル抗体を用いることができるハプテンおよび蛋白質を含む。
用いられる特別なラベルは、そのラベルが染料のインサイチューハイブリダイゼーションを妨害しない限り本発明にとっては重要ではない。しかしながら蛍光ラベルで直接ラベルされる染料(例えば、フルオレセイン−12−dUTP、テキサスレッド(Texas Red)−5−dUTPなど)は染色体ハイブリダイゼーションに好ましい。
本明細書で用いられる際には直接ラベルされたプローブは、検出可能なラベルが連結されるプローブである。直接ラベルは既にプローブに連結されているため、そのプローブを検出可能なラベルに会合させるのに必要とされる後続の段階は全く必要とされない。それとは対照的に間接的にラベル化されるプローブは、典型的にはそのプローブが標的核酸とハイブリダイズする後に、検出可能なラベルが後に結合する部分を有するものである。
それに加えラベルは、アッセイの感度を極大化させるために可能な限り低いコピー数で検出され、かつそれでもいずれかのバックグラウンドシグナルを上回った状態で検出可能でなければならない。最終的にはラベルは高度に局在化したシグナルを提供するように選択されなければならず、そのことにより染色体に対して染料を物理的にマッピングする際には高度の空間解像度が提供される。特に好ましい蛍光ラベルは、フルオレセイン−12−dUTPおよびテキサスレッド(Texas Red)−5−dUTPである。
ラベルは当業者に知られる多種多様の手段においてプローブにカップリングさせてよい。好ましい態様では核酸プローブは、ニックトランスレーションもしくはランダムプライマー伸長を用いてラベルされるであろう(Rigbyら、J.Mol.Biol.、113:237(1977)もしくはSambrookら)。
当業者は、本発明のプローブはゲノムの標的化された領域に絶対に特異的である必要はないことを理解するであろう。むしろプローブは「染色コントラスト」を生じることが意図される。「コントラスト」は、ゲノムの他の部分のプローブ強度に対する、ゲノムの標的領域のプローブ強度の比率により定量される。例えば、ある特別な染色体(例えば染色体7)をクローニングすることにより産生されるDNAライブラリーを、その染色体全体を染色することができる染料として用いることができる。そのライブラリーは、その染色体上でのみ見いだされる配列と、他の染色体と共通する配列の両方を含む。約半数の染色体DNAが各クラスに該当する。全ライブラリーのハイブリダイゼーションが標的染色体上の結合部位を全て飽和することができるとすれば、標的染色体は他の染色体の二倍の明度となり(コントラスト率2)、なぜなら標的染色体はその染料中の特異的配列と共有される配列の両方からのシグナルを含む一方で、他の染色体は共有される配列によってのみ染色されるためである。従って、染料中の共有される配列のハイブリダイゼーションが僅かに減少さえすれば、実質的にコントラストが上昇する。従って、標的化されていない配列にのみハイブリダイズする混入性配列、例えばあるライブラリー中の不純物は、その配列が有用レベル以下に染色用コントラストを下げない程度にまではその染料中では許容され得る。
本発明のプローブを含むキット
本発明は更に、本明細書で開示される領域における染色体異常の検出のための診断用キットも提供する。好ましい態様ではキットは、本明細書に記載される領域への一つもしくは複数のプローブを含む。キットは追加的には遮断用プローブ、変化を検出する際のキットの内容物の使用方法を記載する指示用の材料を含むことができる。キットは更には一つもしくは複数の以下のものを含む:プローブの検出を容易にさせるための様々なラベルもしくはラベル用試薬、緩衝液を初めとするハイブリダイゼーション用の試薬、分裂中期スプレッド、ウシ血清アルブミン(BSA)、および他の遮断用試薬、細い注射針を初めとするサンプリング用装置、綿棒、および吸引機など、ならびに陽性および陰性のハイブリダイゼーションコントロールなど。
実施例
材料および方法
転移性および原発性腫瘍組織は、転移性前立腺癌を患う2つの患者グループから取得した(表1を参照されたい)。グループ(Group)Iは、長期のアンドロゲン剥奪療法もしくは他の療法にさらされていない20人の患者で構成されていた。グループ(Group)IIは、長期のアンドロゲン剥奪療法にもかかわらず臨床的病状の進行を示す(アンドロゲン非依存的疾患)11人の患者で構成されていた。
転移癌からのグループ(Group)I組織。これら20人の患者の内の18人はもともと前立腺に限定された腫瘍を有していたと考えられたが、後には骨盤内リンパ節郭清を始めた時点で骨盤リンパ行性転移を有することが見いだされた。リンパ節郭清時に取得された転移癌の部分をこの研究に用いた。これら18人の内のいずれもが、この手術以前にはアンドロゲン剥奪療法、化学療法、もしくは放射線療法を受けていなかった。残りの2試料は、骨に対する前立腺癌転移を有する患者から取得した。これらの患者の内の一人(#375)は骨生検の一カ月前にアンドロゲン剥奪療法を受けた。もう一方の患者(#391)は骨生検以前には何の療法も受けなかった。
これら20人の患者を併せて考慮すると、組織のサンプリング時点での平均年齢は61歳であり、44歳〜72歳までの幅があった。これらの男性の内の5人はアフリカ系アメリカ人の子孫であり、残りの15人は詳細な民族上でのデータは得られていない白人であった。この20人の男性についての平均血清PSA(Hybritech)は、骨盤リンパ節切開もしくは骨生検前1日〜20日では61ng/mlで、3.3〜250ng/mlの幅であった。骨盤転移癌を有することが見いだされた18人の男性についての平均前立腺生検グレアソン(Greason)スコア(Gleason,D.F.、Cancer Chemother Rep、50:125−8(1966))は7で、4〜9の幅があった(表1)。前立腺癌の家族歴は12/20人の患者については入手可能であり、そして12人全てについて陰性であった。
厳密な組織学的コントロールは、以下のプロトコールを用いてこのグループで検討された全ての組織について達成した。組織学的診断の必要がない組織を外科的に取り出した後に、−80℃で10〜30分間で瞬間凍結させた。連続的クリオッスタット薄切作成法を用いて腫瘍細胞の下分画(lower fraction)を含む試料の部分を同定した。これらの領域を300μMごとのマイクロ切開により組織塊から取り出した。マイクロ切開の後に残っている組織領域は約2×5mm〜10×20mmまで変化した。腫瘍細胞であると見積もられる分画(リンパ球もしくは間質細胞とは反対に腫瘍細胞でてきている試料の分画)を最終倍率100×(Olympus Optocal Co.,Ltd.社、Japan)で調査される20のランダムに選択された視野における肉眼による評価により決定し、そして連続薄切作成中に産生された全ての組織学的切片についての平均を算出した(表1)。DNAは各症例について200と1000の間の6μ切片の間から取得した。一つの腫瘍細胞が100μ3の組織体積中に含まれると評価した場合には、検討を行った試料は107と109との間の転移性前立腺癌細胞からプールしたDNAでできていた。DNA精製は既に記載されている方法に従って行った(Bovaら、Cancer Res、53:3869−73(1993))。同一DNA試料のアリコートを、アレロタイプ決定およびCGHの両方に用いた。サザン(Southern)分析およびミクロサテライト分析の両方については癌でない比較用DNAを、各患者からのプールした血液白血球細胞から調製した。
アンドロゲン非依存的症例からのグループ(Group)II組織。
これらの患者は長期のアンドロゲン剥奪療法にもかかわらず臨床的病状の進行を示した。4人の患者は膀胱排出口を閉塞する局所的進行腫瘍についての経尿道的切除を受け、6人の患者は根治前立腺切除の後に再発骨盤腫瘍の芯生検(core biopsy)を受け、そして一人の患者は瘢痕性(scortal)皮膚転移を患っていた。従って遺伝子分析を、4症例における原発性腫瘍、6症例における持続性もしくは再発性原発腫瘍、および一症例における転移性腫瘍について行った。
これら11人の患者をまとめて考慮すると、組織サンプリングの時点での平均年齢は72歳であり、43〜96歳までの幅があった。これら11人の患者全てが白人で、それ以上に詳細な民族上のデータは取得されていない。転移前立腺癌の診断時での平均血清PSAは272ng/mlで、14.9〜1632ng/mlの幅があった。平均グレアソンスコア(Gleason Score)は7.6で、6〜10の幅があった。
組織学的コントロールはこれらの組織については厳密性が劣り、なぜなら予測された腫瘍細胞分画が、DNAが単離された組織の切片上では直接には決定されなかったためである。その代わり、同じ外科的過程を行っている最中に取り出された組織の近傍の切片の組織学的標本からこのことが推測された。従って表1に列挙される腫瘍細胞と推定された分画はグループ(Group)Iについてのものよりもその厳密性が劣る。DNAは、プロテイナーゼK切開およびフェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール抽出により、手術室もしくは診療所から直ちに持ち込まれた新鮮な組織から単離した。連続的クリオスタット切片作成法は用いなかった。
比較ゲノムハイブリダイゼーション。CGHは、DNAを蛍光色素に連結させたヌクレオチドの直接取り込みによりラベルしたという改変を加え、既に記載される要領(Charら、Genes Chromosom Cancer、11:153−162(1994))に従って実施した。簡潔には、腫瘍DNA(0.5〜1μg)を、20μMのdaTP、dCTP、dGTP、およびFITC−12−dUTP(NEN Research Products社、Boston、MA)の存在下でのニックトランスレーションによりラベルした。研究室のボランティアのリンパ球から単離された正常DNAはテキサスレッド(Texas Red)−5−dUTP(NEN Research Products社)を用いる同一様式でラベルした。0.2〜1.0μgのラベル化した腫瘍DNAおよび正常DNAと10μgのCot−1 DNAハイブリダイゼーションを正常ドナーのリンパ球からの分裂中期スプレッドについて2〜3日間実施し、スライドを洗浄し、エタノール中で脱水し、そして分裂中期スプレッドを0.1μMのDAPIで逆染色した。
5〜10の各色の蛍光顕微鏡分裂中期画像を各腫瘍/正常ハイブリダイゼーションについて獲得し;4〜5の画像を定量分析用に選択した。各分裂中期画像に関しては、緑色(腫瘍)および赤色(正常)の蛍光強度値を既に記載される要領に従って算出した(Cherら、Genes Chromosom Cancer、11:153−162(1994);Kallioniemiら、Genes Chromosom Cancer、10:231−43(1994))。その後には各染色体に沿う緑色および赤色の蛍光強度を、ゲノム内のそれぞれの位置に適切なデータチャネルに割り振った。1pterからYqterまでのゲノム長に沿って広がる1247のデータチャネルが存在し、各染色体についてのチャネルの数が染色体の相対的長さを基にする固定値に対して割り振られている(Morton,N.E.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:7474−6(1991);Lucasら、Cytometry、8:273−9(1987))。従ってチャネル1〜100は染色体1について測定された蛍光強度を含み、チャネル101〜197は染色体2についての蛍光強度を含み、といった調子となる。各分裂中期画像からは一般的には、全ての常染色体対の両方のメンバーについての各色の強度値、およびX染色体とY染色体についての各色の一つの強度値が得られる。各色の蛍光強度は所定の分裂中期について標準化し、そして緑色/赤色の比率は各染色体画像についての各データチャネルについて算出した。その後に緑色/赤色蛍光強度比率分布(平均および標準偏差)を、分析された全ての分裂中期における全ての染色体画像からの比率を考慮に入れて各データチャネルについて算出した。一般的には平均7を上回る各常染色体の画像を組み合わせることで(4〜10の幅がある)各腫瘍についてのゲノムに沿う蛍光強度比率分布を提供した。
CGHによる定量分析。 CGHデータを定量的に分析する目的で、我々は腫瘍/正常ハイブリダイゼーションの結果を、正常/正常対照の結果と比較した。このようにして我々は、腫瘍/正常ハイブリダイゼーションとの比較のための対照として用いられるべく緑色と赤色の両方でラベルされた正常DNAのみを必要とする5回の二色ハイブリダイゼーションを行った。CGHは腫瘍DNAに必要なものと同一の方法を用いて実施した。これらの各対照ハイブリダイゼーションについては4つの分裂中期画像を分析し、結果的には各常染色体については最高8枚の画像を、そして各性染色体については4枚の画像を分析した。予想されるように緑色/赤色の比率はこれらの対照ハイブリダイゼーションの各々についてゲノム長に沿って約1.0に集中した。しかしながらその比率を詳しく調査したところ、多くのゲノム領域が一致して1.0とは僅かに異なる緑色/赤色比率を示すことが明らかにされた。例えば染色体1p32−1pterに相当する領域は1.07の平均緑色/赤色比率を示し、染色体19に相当する領域は1.08の平均比率を示し、そして染色体4qに相当する領域は0.952の平均比率を示した。正常/正常対照ハイブリダイゼーションにおける緑色/赤色比率におけるこれらの一貫したずれの原因は未知であった。我々は、ハイブリダイゼーションの性質は、プローブDNA内への複合体形成させたウリジンの取り込みにより僅かながら変化しており、そしてこれらのハイブリダイゼーションの違いは分裂中期染色体の特別な領域における僅かな違いにより明らかにされ、それは恐らく蛋白質/DNA相互作用もしくは染色体構造に起因するものと疑っている。それに加えその比率の標準偏差は領域毎に異なる傾向にある。例えば標準偏差は染色体のテロメアおよびセントロメア付近で増大する傾向にある。セントロメアではこの現象は、ラベルされていないCot−1 DNAがラベルされたDNAによる非特異的反復性DNAハイブリダイゼーションを遮断するために添加され、そして大量の反復性DNAがセントロメアに存在するため、緑色および赤色の両方の蛍光強度の減少がこれらの領域に生じる。両蛍光色の強度の減少は強度測定および比率の算出を行った際にはその精度は低くなっていた。テロメアでは、画像分析アルゴリズムにより決定した際には的確な末端の定義をする際に若干の不確実性が存在するように思われ、それは両色についての染色体画像強度に局所的減少を生じる大きな領域の局所性バックグラウンドが存在するという事実のためである。セントロメア領域と同様に、この現象によりテロメアでの強度測定においても精度が下がってしまった。
腫瘍/正常ハイブリダイゼーションに関してのものと同一の実験条件下で取得されるこれら5つの対照正常/正常ハイブリダイゼーションからのデータを組み合わせて、全く遺伝子変化が存在しない場合の比率の動向のモデルを作成した。従って対照ハイブリダイゼーションの際のゲノムに沿う1247のデータチャネルの各々を、特別な緑色/赤色蛍光比率分布に振り分けた。我々はその後に各腫瘍/正常ハイブリダイゼーションについての緑色/赤色分布を、対照正常/正常ハイブリダイゼーションの合わせたプールについてのものと比較した。t−統計をゲノムに沿う各チャネルについて独立に計算して腫瘍/正常ハイブリダイゼーションについての平均比率が対照正常/正常ハイブリダイゼーションについての平均比率と僅かに異なっているかどうかを検査した。1247のデータチャネルの各々ではtの絶対値が大きいことにより、染色体変化が本当に存在するという統計学的信頼性が一層高いことが示される。tが正の値であることにより腫瘍DNA中の遺伝子物質の獲得が示され、一方でtが負の値であることにより遺伝子物質の消失が示される。最終的にはセントロメアおよび異質染色質領域は解釈の際には除外視し、なぜならこれらの領域におけるハイブリダイゼーションは不正確であるためでる(Kallioniemiら、Genes Chromosom Cancer、10:231−43(1994))。
定量的CGH分析では閾値tという値は、ゲノムに沿ういずれかの点での比率がいずれかの所定の腫瘍DNA試料における遺伝子物質の有意な獲得もしくは消失を示すかどうかを特定するためのt−統計を用いるために選択されなければならない。この閾値が直接CGH分析の感度および特異性に影響を及ぼし、そしてこの研究の目標に従うとこの閾値が設定されるべきである。我々の研究のためにこの閾値を特定するために、我々は正常/正常対照ハイブリダイゼーションの各々を、5つの対照ハイブリダイゼーションの完全なセットと比較することにより正常/正常対照ハイブリダイゼーションの各々についての統計値を算出した。この分析中、我々はt−統計値を形成する前に幾つかの隣接するチャネルの平均をとることにより正常/正常比率の分散を滑らかにすることにより対照ハイブリダイゼーションにおける誤った「獲得」および「消失」の数が著しく減少することを見いだした。従って我々は、我々の全てのt−統計計算にはこの方法を採用し、そしてこの分析の際の正常/正常要素についての各データチャネルにおける分散については、そのチャネルの各脇における5つの隣接するチャネルのものを用いて平均値を算出した。染色体末端およびセントロメアの5つのチャネル内ではこの平均計算作業の際の隣接するチャネルの数は、末端もしくはセントロメアのみの平均値を計算することにより体系的に減少した。t−統計評価についてこの方法を用いると、対照ハイブリダイゼーションの全てについてのt値はほぼゼロとなり、大きな陽性値もしくは陰性値は非常に少なくなる(図1)。例えば対照ハイブリダイゼーションについての99%のt−値は−1.36と1.36との間であった。この研究については我々は、消失および獲得の定義として|t|>1.6の閾値を選択した。この閾値レベルでは5つの正常/正常対照ハイブリダイゼーションからの0.3%を下回る(6235の内の17)|t|値が閾値を越えた。図1に示される曲線を基にすると、t閾値を下げることにより急激に特異性が損なわれ(偽陽性が増大する);そして更にこの閾値は独立して行われたアレロタイプ決定実験と高レベルで一致するということに基づいて考えると、染色体変化の検出のための高レベルの感度が得られた(「結果」を参照されたい)。
アレロタイプ決定。 20のグループ(Group)I転移性腫瘍についてサザン(Southern)分析を19本の染色体腕上の29の遺伝子座で実施し、そしてミクロサテライト分析を7本の腕上の24遺伝子座で実施した。多くの遺伝子座を選択し、なぜならそれらは前立腺癌にとっては適切であることが予め見いだされた領域内に含まれたためである。特に我々は以下の染色体腕上の複数の遺伝子座を検査した(染色体腕/比較した遺伝子座数):2q/3;8p/9;10q/5;13q/12;16q/−5;18q/3。それに加え12の他の染色体腕を各一つもしくは二つの遺伝子座を用いて表した。
サザン(Southern)分析により研究した遺伝子座は
であった。サザン(Southern)分析はBovaら、Cancer Res;53:3869−73(1993)における記述に従って実施した。
ミクロサテライト分析により研究した遺伝子座は
であった(Weissenbachら、Nature、359:794−801(1992))。ミクロサテライト分析はBovaら、上述、における記述に従って実施した。
サザン(Southern)およびミクロサテライト分析を用いる対立遺伝子消失はオートラジオグラフの調査により特定されるように、非癌性の対合する対照DNAと比較した際の前立腺癌DNAにおける一つの対立遺伝子の非存在として特定される。混入性正常組織からの残存シグナルが存在する幾つかの事例では分析にデンシトメトリーを用いた。標準化させて保持された相対物と比較した際に、減少を生じた対立遺伝子中にもし約60%の減少が存在したら、その試料は対立遺伝子消失を有するとして評価した。
一つのみの領域(染色体8q)がサザン(Southern)ブロットにより対立遺伝子獲得を示した。プローブMCT 128.2(8q)を用いる対立遺伝子獲得は、腫瘍試料中に存在する2本の対立遺伝子の内の一本の100%を上回る割合での強度の増加、もしくは同一ブロットの以前のプロービングにより腫瘍および正常用のラインにおいて同量のDNAがかけられていることが示される際には、ホモ接合性の際の腫瘍および正常な対立遺伝子間での100%を上回る強度差として特定した。アレロタイプ決定用の測定法を行い、そしてCGH所見に関しては盲検様式で分析を行った。
結果
ハイブリダイゼーションの質。 我々は発蛍光団に連結させたヌクレオチドのゲノムDNA内への取り込みという直接的ラベル技術により、発蛍光団に連結させた二次試薬を用いる一層古い検出技術と比較した際にはハイブリダイゼーションの質が一層高くなることを見いだした(Cherら、Genes Chromosom Cancer、11:153−162(1994))。蛍光顕微鏡による調査によるとこの質の向上は消失および獲得の末端における一層鮮明な色の移行を伴い顆粒が一層少ない画像として観察することができた。それに加え、蛍光比率の画像分析のトラッキングが一層滑らかであるため複数の画像からのデータを合わせる場合などには、その蛍光比率の標準偏差が減少した。
t閾値1.6を用いるCGH。 全ての腫瘍において、材料と方法(Materials and Methods)に記載される要領で、獲得については+1.6のt閾値を、そして消失については−1.6のt閾値を用いてDNA試料を定量的CGHに適応させた。この分析的アプローチでは両方の標本グループの全ての腫瘍が幾らかのDNA変化を示した(平均DNAコピー数に関する消失もしくは獲得)。消失もしくは獲得のいずれかを伴うゲノムの比率を各腫瘍について算出し、そして図2に示す。ゲノムの内の大きい分画が大半の標本において変化を生じているようであることが明らかである。すなわち|t|>1.6を用いることにより取得された高レベルの特異性は変化を検出するための感受性を犠牲にしてはいなかった。変化が最も少ないゲノムを有する3つの腫瘍はグループIIからのものであることは特筆に値すべきである。これは恐らく、表1に示されるようにこれらに試料中では腫瘍細胞の分画が少ないことを反映している可能性が高い。試料は多くの異なる獲得および消失の相対的比率を示し、各グループ内の試料の間には特別なパターンは見られなかった。総括的には、獲得にかかわるゲノムの比率は消失におけるものとほぼ等しく:グループ(Group)Iでは平均して15%のゲノムが獲得を示し、そして15%が消失を示し;グループ(Group)IIでは平均して16%が獲得を示し、そして11%が消失を示した。
この新規CGH法の再現性を検査するために、一つの腫瘍DNA試料を供し、そして盲検様式で2度分析した。t−統計法を用いることで消失および獲得の領域をこれら2つの標本について独立に決定した。この特別な腫瘍(#50)からのDNAは多数の変化を示し、ゲノムの26%が有意な獲得を示し、かつゲノムの21%が有意な消失を示した。この2つの独立した分析の結果と比較すると、1247のデータチャネルの内の89%が獲得、消失、もしくは無変化について同一の位置を示した。この2つのデータセットにおける主な違いは変化の末端にあり、そこではt値がチャンネル数とともに急速に変化する。この比較の説明は図3に示されており、そこでは2回の作業の各々からの染色体10についてのデータチャネルにおけるt値がプロットされており、そしてt−閾値が示されている。この説明では相対的一致および不一致の両方を見ることができる。この2つのデータセットは84%のデータチャネル(46/55)において一致しており、主な違いは小さな領域(一つもしくは二つの近接するチャネル)で生じている。この重複決定によりゲノム全体に関する獲得および消失の再現性の示される位置を示すためのCGHの強みが説明され、それとともに変化の位置を特定する高い解像度の欠陥としての弱みも示される。
アレロタイプ決定とCGHとの一致。 CGH分析に対するこの定量的な統計学的アプローチのバリデーションを行うために我々は、20のグループ(Group)I腫瘍標本の各々についてCGHとアレロタイプ決定との結果とを比較した。図4は一つの染色体における2つの腫瘍についての比較の方法の例を示す。
総括的には、アレロタイプ決定調査により49の異なる遺伝子座では280の有用な情報としての結果が得られた。CGHに対する比較のまとめは表2に示されている。アレロタイプ決定に関して得られた280の有用な情報としての結果の内、44事例はCGHと比較することができず、なぜならCGHにより特定された変化を有する末端と比較した際にはサザン(Southern)プローブもしくはミクロサテライト多型の物理的マッピングが不正確であったためである。比較することができるものの内、不一致な結果は僅か18/236に生じたのみであった。これら18の不一致の内の12は、CGHが消失は示すが対立遺伝子は均衡が取れているように見える事例に生じていた。一致は偶然のみによって生じてよいことを考慮に入れるK統計(Chohen,J.、Educat Psychol Meas、20:37−46(1960))を用いる一致のレベルはK=0.83(95%の信頼区間は0.70−0.95である)であり、CGHとサザン(Southern)もしくはミクロサテライト分析との一致レベルと全く差がなかった。
局所的染色体変化の頻度:グループ(Group)I。 治療を施していない転移性腫瘍のゲノムにおけるDNA変化の一般的傾向を特定するために我々は、この一連の20の治療を施していない転移性前立腺癌における消失および獲得の領域特異的頻度を示す、全染色体腕に沿ったポイント毎のヒストグラムを作成した。図5は、各染色体のイディオグラムに対してプロットされた各データチャネルについて|T|>1.6が生じる頻度を示す。この図により以下の9の染色体腕:8p(80%)、13q(75%)、16q(55%)、2q(50%)、10q(50%)、17p(50%)、5q(45%)、6q(45%)、および15q(45%)が消失を示し(各腕の少なくとも一つの領域において)、そして以下の7本の染色体腕、8q(85%)、1q(55%)、11p(55%)、2p(50%)、3q(45%)、7q(45%)、および9q(45%)の事例では40%を上回る比率で獲得(各腕の少なくとも一つの領域にて)を示すことが示される(図5)。
図5における頻度ヒストグラムの詳細な調査により、頻繁に変化を生じる領域の幾つかは、近接領域よりも変化の頻度が大きい一層小さなサブ領域を含むことが明らかにされる。例えば染色体13における消失は13q11〜q21.1では継続的に頻度が上昇し、13q21.1〜1−q22では約70%に留まり、そして13q22〜q35で頻度が継続的に減少する。従って領域13q21.1.1.q22は、重要な前立腺腫瘍抑制遺伝子を含む高い確立を示す。このような領域の、一層高い解像度の技術(例えばPCRミクロサテライトアレロタイプ決定)の詳細な分析が、一層正確にこの領域を特定するには必要となる。
図5は、グループ(Grouop)I腫瘍の幾分低い比率での変化を生じている他の染色体領域を示す。これらの内で最も頻繁なのは3p獲得(40%)、4p獲得(40%)、および11p消失(30%)である。興味深いことに、これらの事例の内で消失と獲得の両方が検出された12の染色体腕が存在した。これら12本の腕の内の7本では消失および獲得の領域は重複しておらず、かつ劣勢および優性発癌遺伝子がこれら領域全体に分散しているかもしれない。再度、各領域の一層厳密な位置決定がこの問題により良い状態で対処する方法であろう。
最後に図5は、ゲノムのほぼ全ての領域内での変化の中間的頻度(5〜25%)を示し、このことにより幾つかのクローン性染色体変化がランダムに生じ、かつそれが増殖性前立腺癌細胞内で維持されていることを示す。
染色体変化の頻度:グループ(Group)II。 長期のアンドロゲン剥奪にもかかわらず病状の進行を示す患者からの11の標本もCGHにより分析した。グループ(Group)I標本と同様に我々は、変化の領域特異的頻度を示す、全ての染色体腕に沿うポイント毎のヒストグラム分析を実施した。総括的にはその結果により、グループ(Group)I組織から単離されたDNAについて見られたものに非常に類似するパターンの染色体変化が明らかにされた。特に最も一般的に検出された変化は染色体8pにおける消失、染色体8qにおける獲得、および染色体13qにおける消失であった。グループ(Group)IIの試料のこれらの染色体について取得されたヒストグラム(図6)は、グループ(Group)Iについて得られたものに非常に類似しているように見える(図5)。グループ(Group)Iとグループ(Group)IIの標本との間の染色体変化についての違いについて検査する目的で、我々はそのゲノムに沿う1247のデータチャネルの各々において2X3の分割表を作成した。各表は、各データチャネルにおける消失、獲得、もしくは無変化のいずれかを示す2つのグループの内の各々からの標本の数を含む。その後に我々はフィッシャー(Fisher)の正確度検査(exact test)を用いて各表についての獲得もしくは消失の頻度における違いが存在するかどうかを検査した。これらの分析の結果により、多数の(1247)検査を行うことに基づくと、予測された数の有意な違い(p<0.05)を上回ることがないということが示された。
図7は多くの試料において変化が示されるゲノムの領域における獲得および消失の頻度のまとめを示す。この2つのグループの間ではいずれかの違いは統計的には全く有意(p>0.1)ではない。これらのデータから、大半の染色体変化はアンドロゲン剥奪療法なしで生じることを結論づけてよい。
グループ(Group)IとIIとを合わせたもの。 腫瘍の2つのグループについてのデータセットは有意な違いを示さなかったため、我々はそれらを合わせ、そして各チャネルでの獲得および消失の総体的頻度を計算した(図7)。染色体変化の頻度の他のサブグループとの比較のために、この合わせたデータセットを、患者の年齢が若いか老齢か、血清PSAが高いか低いか、そして民族グループ(アフリカ系アメリカ人対白人)に基づき幾つかのグループに分類した。類似の分割表分析を先に記載する要領で実施した。獲得もしくは消失の頻度における領域上での違いは患者の年齢もしくは血清PSAによって特定されたグループ間では全く検出されなかった。
それとは対照的に我々は、アフリカ系アメリカ人における4q25−q28の領域における獲得の頻度の上昇の兆候を見いだした。頻度に関するヒストグラム(例えば図5および6において示されるもの)の注意深い比較によると、この領域は5人全ての黒人が変化を示したたった一つの領域であった。我々は、バンド4q27全体が3/26の白人と比較すると5/5のアフリカ系アメリカ人からの試料中において有意な獲得が示されることを見いだした。それに加え、4q27q28における6つの近接するデータチャネルの大きな領域では、白人からの4/26を下回る数の試料と比較すると、アフリカ系アメリカ人からの少なくとも4/5の試料で獲得が示された(各比較についてフィッシャー(Fisher)の正確度はp<0.01)。我々は全体で31の中から5つの腫瘍のサブセットをランダムに選択し、そしてゲノム全体について分割表分析を繰り返し行い、そして各分析毎にランダムに選択した5つのサブセットを残りの26と比較することによりこの所見の統計学的有意さを結論づけた。我々はこれらの試料の内のわずか5%のみがフィッシャー(Fisher)の正確度p<0.01を示す6つの近接するデータチャネルのセクションを含むことを見いだした(1000のランダムに形成されたサブセットに基づく)。我々は更には、これらのランダムに形成されたサブセットの内のわずか5%のみが染色体4においての「有意」な獲得を示すことを見いだした。白人に対するアフリカ系アメリカ人の比較の際にはこのゲノム内の他の領域が有意に違うことは全くなかったものの、統計学的説得力は低く、なぜならこの研究においては黒人の数が少ないためである。
論議
この研究の目的は前立腺癌における局所的染色体変化の位置および頻度の総括的な遺伝子的見地を取得することである。前立腺癌の発症につながる遺伝子上での出来事は明らかに重要なものであるが、大半の前立腺癌は転移を決して生じないため(Dhom,G.、J Cancer Res Clin Onc、106:210−18(1983))、追加的な遺伝子上での出来事が致死的となる転移性前立腺癌への進行にかかわっているに違いない。そのような現象が転移を生じさせる能力をもつということが証明されており、かつその現象が比較的正確に把握されていることにより、本明細書に示される腫瘍研究によって、前立腺癌の発症と進行の両方にかかわる可能性が高い遺伝子変化を特定するための優秀な物質が提供された。蛍光強度値の解釈のための新規の方法の適用により標準化されたCGH分析がもたらされ、このことにより対照実験に対する強度の比率の統計学的比較に基づき、これらの遺伝子変化の検出およびマッピングが可能となった。
調査した31症例の内の20症例ではCGH分析は同一のDNA上での対立遺伝子不均衡の平行して行うサザンおよびミクロサテライト分析と相関した。これら2つの分析技術の間での良好な一致(K=30)により、この新規な標準化されたCGH分析は高い感受性および特異性を示すことの証しが提供される。
ゲノムに関する総括的考慮事項。 本明細書で調査された前立腺癌からのDNA試料中に見いだされるコピー数の変化の頻度は、転移性前立腺癌はそれらの症例のほぼ50%において二倍体であることを示しているフローサイトメトリーおよび他の倍数関係の研究(Stephensonら、Cancer Res.47:2504−7(1987))と照らし合わせるとむしろ大きいように思われる。しかしながら本明細書に示されるデータにより、ゲノムの比較的小さな領域が等しい比率で消失もしくは獲得を生じていることが多くの腫瘍においてしばしば見られ、このことにより遺伝子物質の全体的均衡および正常な倍数関係の決定がもたらされることが示唆される。それに加え、腫瘍が四倍体となる場合にはゲノムの様々な領域間でのコピー数の変化は全体的な細胞性DNA含有量と比較すると少なくなるであろう。例えば腫瘍399はフュールゲン(Feulgen)染色および画像分析(データ非公開)において四倍体であることが決定されている。従ってCGHにより検出された消失および獲得は4つの対立遺伝子コピーのベースラインから解読されなければならない。消失および獲得はゲノムを横切る1247のデータチャネルの内、各々約5%および18%で検出された。我々は個々の変化の各々についてどのくらいのコピーが消失もしくは獲得されたかは正確には決定できなかったものの、このデータは転移性前立腺癌は全体のDNA含有量を測定する際には検出可能とはならなくてよい重要なDNA変化を含む。倍数関係は、幾つかの前立腺癌の研究では独立した予後価値をもつものであると報告されているため(Shankeyら、Cytometry、14:497−500(1993))、我々は倍数関係の測定およびCGHもしくはアレロタイプ決定分析が改善された腫瘍特異的予後情報を提供することを示唆した。
本明細書に提供される結果は、ゲノムの大半の領域は進行した前立腺癌の症例の少なくとも5パーセントで変化することを示す。これらの一見ランダムな変化は検出されないように思われ、これらはDNAが抽出されてきた組織内の有意な数の細胞内にはクローンとしては存在していなかった。我々は変化の頻度が低い染色体領域は進行癌のランダムな遺伝子の不安定性の結果として生じ、かつそれらは恐らくは進行性表現型にとっては重要な遺伝子は含まないものと推定した。
この研究では獲得は消失と同じ頻度で存在した。しかしながら本明細書で検出された獲得は赤色/緑色蛍光比率においては比較的低いレベルであり、そして一般的には広範囲な領域もしくは染色体腕全体が必要であった。乳癌について記載されているような単一の発癌遺伝子増幅を示唆する短く高レベルの増幅は全く見いだされなかった(Kallioniemiら、Proc Natl Acad Sci USA、91:2156−60(1994))。我々の結果は、前立腺癌における比較的低いレベルでの増幅についての初期の報告と相関する遺伝子コピー数における一層微妙なシフトを示す(Visakorpiら、Nature Genetics、9:401−6(1995);Bovaら、Cancer Res、53:3869−73(1993);Van Den Bergら、Clin Ca Res、1:11−18(1993);Brothmanら、Cancer Res、50:3795−803(1990))。
先の実施例は本発明を説明するために提供され、しかしその範囲を制限しはしない。本発明の他の変法は当業者には容易に明らかになるであろうし、そして添付される請求の範囲により包含される。本明細書に引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は全ての目的についての引用により本明細書に取り込まれる。
Claims (21)
- 試料中の前立腺癌細胞の存在についてのスクリーニング方法であって:
プローブが標的ポリヌクレオチド配列に選択的に結合して安定なハイブリダイゼーション複合体を形成する条件下で、ヒト患者からの核酸試料を、前立腺癌細胞内では欠失を生じており、かつ2cen−2q31、4q13−4q31.1、および15cen−15q24からなる群より選択される、染色体領域上の標的ポリヌクレオチド配列に選択的に結合するプローブと接触させること、;そして
ハイブリダイゼーション複合体の形成を検出すること
を含む上記方法。 - 核酸試料が患者からの前立腺生検試料に由来する、請求項1記載の方法。
- 更に試料を、セントロメアDNAに選択的に結合する対照プローブと接触させることを含む、請求項1記載の方法。
- ハイブリダイゼーション複合体を検出する段階が、標的配列のコピー数を決定することを含む、請求項1記載の方法。
- プローブがジゴキシゲニンもしくはビオチンでラベルされる、請求項1記載の方法。
- ハイブリダイゼーション複合体の検出の段階が蛍光ラベルを検出することにより実施される、請求項1記載の方法。
- 蛍光ラベルがFITCである、請求項6記載の方法。
- 試料が分裂中期の細胞を含む、請求項1記載の方法。
- ある試料中の前立腺癌細胞の存在についてのスクリーニング方法であって:
プローブが標的ポリヌクレオチド配列に選択的に結合して安定なハイブリダイゼーション複合体を形成する条件下で、ヒト患者からの核酸試料を、前立腺癌細胞内ではコピー数が増加しており、かつ1q21.3−1q42.3、2p12−2p23、3p14.1−3p22、6p22−6cenおよび17q21−17qterからなる群より選択される、染色体領域上の標的ポリヌクレオチド配列に選択的に結合するプローブと接触させること、;そして
ハイブリダイゼーション複合体の形成を検出すること
を含む上記方法。 - 前立腺癌と相関する染色体異常の検出のためのキットであって、そのキットが前立腺癌に相関する染色体の領域内の標的ポリヌクレオチド配列に選択的に結合する核酸プローブを含む区画を含み、かつ、該プローブが1q21.3−1q42.3、2p12−2p23、2cen−2q31、3p14.1−3p22、4q13−4q31.1、6p22−6cen、15cen−15q24および17q21−17qterからなる群より選択される標的ポリヌクレオチド配列と選択的に結合するものであるキット。
- プローブがラベルされている、請求項10記載のキット。
- ラベルが、ジゴキシゲニンおよびビオチンからなる群より選択される、請求項11記載のキット。
- 欠失した染色体領域が2cen−2q31である、請求項1記載の方法。
- 欠失した染色体領域が4q13−4q31.1である、請求項1記載の方法。
- 欠失した染色体領域が15cen−15q24である、請求項1記載の方法。
- コピー数の増加した染色体領域が6p22−6cenである、請求項9記載の方法。
- コピー数の増加した染色体領域が17q21−17qterである、請求項9記載の方法。
- コピー数の増加した染色体領域が1q21.3−1q42.3である、請求項9記載の方法。
- コピー数の増加した染色体領域が2p12−2p23である、請求項9記載の方法。
- コピー数の増加した染色体領域が3p14.1−3p22である、請求項9記載の方法。
- 染色体領域が17q12にあり、そして発癌遺伝子erbBを含んでなる、請求項9記載の方法。
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