JP4156579B2 - 電子捕獲検出器 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスクロマトグラフ用の電子捕獲検器に係わり、特に、He中の放電により遠紫外線を発生させ、その遠紫外光によりドーパントガスを電離し、相対的に電子密度の高い部分で主としてハロゲン化合物ガスの負イオンを生成させ、電離した正イオンとの再結合反応を利用し、検知対象のガス濃度に対応する信号を得る電子捕獲検出器に関する。
電子捕獲検出器は、ガスクロマトグラフ用の検出器として用いられている。この電子捕獲検出器の検出原理には、放射線を用いる方法と、放射線を用いない方法とが知られている。
放射線を用いない電子捕獲検出器としては、特許文献1、2に記載されたものがある。
特許文献1に記載の電子捕獲検出器では、He中で放電させ、He2が基底状態に戻るときの遠紫外線をプラズマ(+イオン、電子)生成に用いることが行なわれる。
また、特許文献2記載の電子捕獲検出器では、遠紫外線ランプから発生される遠紫外線によりイオン化を行なっている。
このような電子捕獲検出器は、放射線を発生することが無いので、取り扱いも容易で、屋外において、地下水や土壌ガス等の測定にも便利である。
特表平9-507573号公報 特開平4-303759号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に示されるような、イオン化源として光源ランプや、He中の放電を利用する電子捕獲検出器においては、放射線源を用いる方法では発生しなかった反転ピークが発生していた。
つまり、放射線源を用いない電子捕獲検出器では、試料中の有機物がイオン化され、電子捕獲によるピークの他に、イオン化した有機物が検出用電極間の電流が一時的に増加して発生される反転ピークとして検出される。
電子捕獲によるピークの他に、反転ピークが検出されると、データ処理装置によるデータ処理の際、ベースラインを反転ピークが含まれたものとして判断し、本来のベースラインとは異なるものをベースラインと認識してしまう場合がある。
これを回避するため、検知データを表示し、操作者により、反転ピークを除外する方法も考えられるが、マニュアル処理となるため、煩雑であり、データ処理上好ましいものではない。
また、除外可能な反転ピークであればよいが、電子捕獲によるピークと判別困難な場合もあり、マニュアル処理によっても、反転ピークを除外することは困難である。
本発明の目的は、He中の放電を利用する電子捕獲検出器において、イオン化した有機物が検出用電極間の電流が一時的に増加して発生される反転ピークの発生が抑制され、簡単な構成で、高感度な電子捕獲検出器を実現することである。
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
(1)ヘリウムガスが供給され、ヘリウムガス中の放電により遠紫外線を発生させる放電室と、イオン化エネルギーが12.0eV以上の高エネルギーのガス成分と、イオン化エネルギーが11.0eV以下の低エネルギーのガス成分との2種類のガス成分を含有する不活性ガスを収容するドーパントガス源と、上記ドーパントガス源からドーパントガスが供給されるとともに、ガスクロマトカラムから試料であるカラムガスが供給され、上記遠紫外線によりドーパントガスを電離して、電離したイオンとの再結合反応を利用して、上記カラムガスの成分に対応する信号を検知する検知管とを備える。
(2)電子捕獲検出器において、ハウジング内に針状の陰極とリング状の陽極と有する放電室を有し、直流電源と直列抵抗により、上記陰極と陽極との間で、放電室に導入されたヘリウム気流中に安定な連続放電を形成させ、その下流に第1の絶縁管と、第1のリング電極と、第2の絶縁管と、第2のリング電極と、第3の絶縁管とを順次接続して検知管を構成し、この検知管内に、イオン化エネルギーが互いに異なる2種類の微量のガス成分を含有する不活性ガスをドーパントガスとして導入するための、ヘリウム気流の上流に向かって開口する第1の注入管と、ガスクロマトカラムから分離導入された試料であるカラムガスを導入する上記上流に向かって開口する第2の注入管とを有し、第2の注入管の開口部は第1のリング電極と第2のリング電極との間に開口し、かつ第2の注入管の開口部が第1の注入管よりも下流に位置する。
(3)好ましくは、上記(2)において、イオン化エネルギーが互いに異なる2種類のガス成分は、イオン化エネルギーが12.0eV以上の高エネルギー成分と、イオン化エネルギーが11.0eV以下の低エネルギー成分である。
(4)電子捕獲検出方法において、ヘリウムガス中の放電により遠紫外線を発生し、イオン化エネルギーが12.0eV以上の高エネルギーのガス成分と、イオン化エネルギーが11.0eV以下の低エネルギーのガス成分との2種類のガス成分を含有する不活性ガスであるドーパントガスを発生し、上記発生したドーパントガスが供給されるとともに、ガスクロマトカラムからカラムガスが供給され、上記遠紫外線によりドーパントガスを電離して、電離したイオンとの再結合反応を利用して、上記カラムガスの成分に対応する信号を検知する。
(5)電子捕獲検出器を有するクロマトグラム作成装置において、ヘリウムガスが供給され、ヘリウムガス中の放電により遠紫外線を発生させる放電室と、イオン化エネルギーが12.0eV以上の高エネルギーのガス成分と、イオン化エネルギーが11.0eV以下の低エネルギーのガス成分との2種類のガス成分を含有する不活性ガスを収容するドーパントガス源と、上記ドーパントガス源からドーパントガスが供給されるとともに、ガスクロマトカラムからカラムガスが供給され、上記遠紫外線によりドーパントガスを電離して、電離したイオンとの再結合反応を利用して、上記カラムガスの成分に対応する信号を検知する検知管と、上記検知管から出力された検知信号に従って、上記試料のクロマトグラムを作成し、表示するデータ処理手段とを備える。
本発明によれば、He中の放電を利用する電子捕獲検出器において、イオン化した有機物が検出用電極間の電流が一時的に増加して発生される反転ピークの発生が抑制され、簡単な構成で、高感度な電子捕獲検出器、電子捕獲検知方法及び電子捕獲検出器を有するクロマトグラム作成装置を実現することができる。
また、放射性物質や複雑な回路を必要とするパルス放電システムを使用することなく高感度でダイナミックレンジの広い電子捕獲検出器を実現することができる。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態が適用される電子捕獲検出器の概略構成、及び電子捕獲検出器を有するクロマトグラム作成装置の概略構成図である。この図1に示した例は、直流連続放電システムを用いて、電子捕獲過程の制御を行い、高感度で広いダイナミックレンジの電子捕獲検出器を構成する。
図1において、基本的に軸対称の放電室に、針状の電極2と、リング状の電極 3とを、1〜2mm離隔し互いに対向させて設置する。いずれの電極2、3も、その材質は、Ptが好ましい。また、放電電流は0.1〜2mAになるよう適切な放電抵抗と電圧を選ぶ。
上記条件では、放電電圧は数100Vあればよく、高圧直流電源14は1000V程度であれば充分な安定性と放電電流が得られる。
針状電極2と直流電源14との間に接続される抵抗Rdは、放電電圧対放電電流の微分負性抵抗に比べて充分大きければよい。本発明の一実施形態では、印加する電圧は、高圧直流電源14の電圧の大略1/2程度が好ましい。
一実施形態によるシステムの直流放電では、放電電流を数10mA以上に増加させると針電極2に形状変化を生じ、長期的には安定な放電電流が得られない。
放電は電極 2が陰極、電極3を陽極として行い、電極 3は0電位となるようハウジング1と電気的に導通させて接地する。電極3を接地する理由は、高電圧部と微弱電流を扱う検知管との間をシールドするガードリングとしての機能をもたせることにある。
特に、高温でも使用するガスクロマトグラフィ用の電子捕獲検出器では、250℃〜400℃の温度で、高電圧とpAオーダーの微弱電流を扱うので、どの絶縁材料も充分な性能を有することがないためである。
He源15は、新鮮なHeが放電部に供給されるように、針状放電電極2の針先より上流に配置し、充分な流量、例えば20cm〜60cm/分を放電室に供給する。
針電極2とリング状電極3との間の放電により活性化されたHeは、放電室と同軸配置された絶縁管6、リング電極4、絶縁管7、リング電極5、絶縁管8からなる検知管に導かれる。
活性化されたHeは、Heの状態にあるとされるが、その寿命は比較的長いので、流れによる移動と拡散が生じる。この結果、遠紫外線の発光中心は放電電極2、3よりやや下流側となる。
ドーパントガス層より上流側(He供給側)で発光が生じるためには、流量にもよるが電極3と電極4との離隔距離は検知管の内径のおよそ3倍以上必要である。
電極3と電極4との離隔距離が不足すると、後述する、図2に示したバイアス電圧Vb対定常電流Isの異常特性が現れる。
一方、電極3と電極4との離隔距離が過大であると、ドーパントガス層までの距離が遠いので遠紫外線の強度が弱まり充分な定常電流が得られない。放電電流は、離隔距離の略2乗に逆比例する。直流連続放電システムでは、放電電流を大幅には増加させられないので、電極3と電極4との離隔距離は検知管径の20倍以下が現実的な選択となる。
ガスクロマト装置では、沸点の高い化合物も検出対象であるので、室温だけでなく200〜400℃の高い温度に検知管の温度を保つ場合がある。また、pgレベルの極めて微量のハロゲン化合物を主な検出対象とするため、絶縁管は吸着が少なく、かつ高温で電極間の絶縁を維持する必要がある。
このため、公知の手段である石英や透明アルミナなどの不活性で電気的特性の良い材料を平滑にして用い、Au、Ag、Alなどの不活性な軟質金属のワッシャ状の平パッキン11により、絶縁管6、7、8と電極3、4、5との気密性を確保する。
これは、絶縁材料と電極材料とは、大きな膨張係数差があり、しかも活性Heからの強い紫外線に晒されるので、有機材料による封止が困難なためである。また、軸方向の膨張係数差は、放電室および検知管全体を、軸方向に変位可能なスライド機構を設け、ハウジング1と放電室との間に皿バネ13を挿入し、気密を保ちつつ熱応力による破損を防ぐ構造としている。
リング電極4の下流側またはリング電極4の近傍には、注入管9が上流方向(
(He供給側)に向けて開口している。この注入管9を介して、Heより低く、かつ互いに異なるイオン化エネルギーを有する2種類以上のガス成分、例えば、数%のXeやCOなどの無機ガスと、アセトンやトルエンなどの有機ガスを含むHe主体のドーパントガスがドーパントガス源17から導入される。
ドーパントガスは流れに逆らって、上流方向にも拡散するが、1〜3mm上流に行くに従い濃度は1桁低下する。検知管の径に対して注入管9は充分細くかつHe流量に比べ流量も少ない。
このため、注入管9から吹き出すドーパントガスは、検知管径に比べ大きくは吹き上がらず、電極4より下流側にほぼ径方向に均一なドーパントガス濃度の高い部分が形成される。このガス層で遠紫外線が吸収され、ドーパントガスの低濃度のプラズマが形成される。
ドーパントガス層は、Heの遠紫外線を吸収し、リング電極5付近では完全に吸収される濃度とガス層の厚みを有している。このガス層の上流側近くのリング電極4には負のバイアス電圧が印加されているので、移動度の小さい+イオンも一部電極4に引き寄せられるとともに、電極5の上流近傍では電子密度が高くなる。もちろんドーパントガスの+イオンもこの領域には存在する。
なお、リング電極4より上流側に生成したプラズマは、電極2と電極4との間を流れる無効電流となるが、注入管9の開口部は、電極4の少し上流までは設置可能である。
なお、本願出願人が行った実験結果から、注入管9の開口部と電極4とは、遠紫外線が完全に吸収されるには検知管径と同程度以上の距離が必要であると推察される。
リング電極5は、回路的に仮想接地されており、0電位であるので、負電圧の印加された電極4より正電位である。この電極5で、電子が捕集され、検知対象ガスの存在しないときの電流、すなわち定常電流として観測できる。
この電子捕獲反応が行われる空間まで活性Heによる遠紫外線が届くと、検知対象ガスが直接電離され、リング電極5に流れる電流の増加が生じ、反転ピークが生じる可能性がある。
しかし、本発明によれば、後述するようなドーパントガスにより、放電による活性化されたHeからの遠紫外線はドーパントガス層に遮蔽され、ハロゲン化合物ガスを直接電離することはなく、反転ピークの発生が抑制される。
放電室と検知管バイアス電圧の絶対値と定常電流との関係は、バイアスリング電極5とリング電極3との間が狭いときには、注入管9の開口部位置を変えても図2に示すように、一度上昇して低下し再び増加する傾向を示す。電極5とリング電極3との間隔を適切に取ると、図3のように上に凸のなだらかな単調増加となる。
図3に示すような単調増加特性を得ることは、リング電極4に印加するバイアス電圧を制御するために必須の条件である。電極5と電極3との間が広すぎると、前述したようにプラズマ密度が低くなり、定常電流も低くなる。
図1において、注入管10は、シール材12によりハウジング1に固定され、分離カラム16を通過し分離したガスを検知管内に導入する部分で、リング電極 5と4との間において上流に向かって開口し、その先端は注入管9の開口部より下流側に位置する。
注入管9及び10は、検出管に対し必ずしも、互いに同軸である必要はなく、多少偏心させたほうが、注入管の保持構造が簡単になる。このように完全に軸対称でなくとも、ガスは検知管の径方向にも拡散するので、軸方向にはほぼ均一なガス層が形成される。
ガス状のハロゲン化合物含むガスが注入管10から放出されると、ドーパントガス層の下流側で、注入管10の開口部付近に層状にハロゲン化合物を含むガスの層を形成する。この領域は電子密度の高い部分でもあるので、ハロゲン化合物は速やかに電子を捕獲し負のイオンとなる。
また、同時にHeの遠紫外線はドーパントガス層に遮られ、ハロゲン化合物を含むガスを直接電離することはなく、電子捕獲と再結合過程のみがこの領域で行われる。
正のイオンと負のイオンの衝突断面積は、+イオンと電子の衝突断面積に比べて数桁大きく、負イオンの大部分は+イオンと再結合して、リング電極5の電子電流を減少させる。
電極5からの信号電流は、演算増幅器24の反転入力端子に供給され、電流・電圧変換される。演算増幅器24の出力信号は抵抗20を介して、この演算増幅器24の入力端子に供給されると共に、抵抗21を介して増幅器25の反転入力端子に供給され、基準の信号(電圧源Vsと抵抗22により発生させた電流)と比較される。
増幅器25の出力信号は、コンデンサ25を介して、この増幅器25の入力端子に供給されると共に、電極4に供給される。
電極5からの信号電流が減少しようとすると、制御増幅器25の出力信号によりバイアス電圧の絶対値が増加させられ、リング電極5の電流を一定に保つ動作を行う。
また、制御増幅器25の出力信号は、データ処理装置19に出力される。このデータ処理装置19により、制御増幅器25の出力信号がデータ処理され、図5に示すような検出結果が算出され、画像表示手段により表示されたり、印刷手段により印刷表示される。
バイアス電圧対定常電流の特性が、図3に示すような特性になっていると、バイアス電圧の絶対値が大きくなるに従って電界が高まり、リング電極4および電極5の実効面積が増加するので、定常電流そのものが増加するとともに、ハロゲン化合物が結合すべき電子密度も高くなる。
この結果、高濃度ハロゲン化合物を含むガスに対しても、電子捕獲反応を維持できる。このバイアス電圧出力に対応した信号をクロマト出力とすると、広いダイナミックレンジを持つ検出器となる。
このような制御を行うと、図2に示すような特性の場合には、バイアス電圧の絶対値の増加に対し、定常電流が減少する領域ではバイアス電圧が不連続に制御され、正常なクロマトグラフを示さず実用にならない。
以上により、放射線電子捕獲検出器で行われていたパルスサンプリング法と同様の直線化が全て直流回路で行われる。バイアス制御増幅器25は積分器として働いているので、このときリング電極5からの電流は、事実上変動せず一定に保たれる。
このような制御を行わないと、例えば、CClを10pgだけ注入管10から導入すると、数%から数10%も検出電流が減少して、捕獲すべき電子密度が低下し、著しい非直線性を示す。この結果、実用ダイナミックレンジが著しく制限される。
さらに、試料中の有機物は、放電により活性化されたHeからの遠紫外線で直接イオン化することはないが、ドーパントガス中に含まれる電子生成物質が1種類の場合、活性化されたHeのエネルギーで活性化した電子生成物質、例えばXeやCOが放出する活性化エネルギーによって、試料中の有機物がイオン化する。
そのため、イオン化した有機物が検出用電極間の電流を一時的に増加させることにより、クロマトグラム上では、図4に示すように反転ピーク(トルエン、オクタン、P−キシレン)として検出される。
この反転ピークの発生を抑制する手段として、ドーパントガス中に含まれる電子生成物質をイオン化エネルギーが異なる2種類以上の成分にする。
ドーパントガス中に含まれる電子生成物質を上記2種類以上の成分にすると、イオン化エネルギーが高い方の電子生成物質、例えばXeやCOが放出するイオン化エネルギーは、イオン化エネルギーがより低い電子生成物質、例えば数ppmから数%のアセトンや、トルエン、アミン等微量の有機物ガスをイオン化するために消費されるため、試料中の有機物をイオン化するエネルギーはほとんど残らない。
また、イオン化エネルギーが低い方の電子生成物質が放出するイオン化エネルギーは、有機物のイオン化に必要な強度がないため、やはり試料中の有機物はイオン化されない。
その結果、イオン化した有機物が検出用電極間の電流を一時的に増加させることはなく、クロマトグラム上でも図5に示すように反転ピークは、殆ど検出されない。
次に、ドーパントガス中に含ませる2種類以上の電子生成物質の組合せと濃度について説明する。
まず第一に、それぞれのイオン化エネルギーの値が重要である。図6は、ドーパントガス中に含ませる2種類以上の電子生成物質のイオン化エネルギーの表である。
イオン化エネルギーが高い方の電子生成物質としては、電子捕獲検出器として機能するために、イオン化エネルギーが、Heの放出エネルギーよりも低いことが必要である。
また、イオン化エネルギーが低い方の電子生成物質としては、イオン化エネルギーが高い方の電子生成物質の放出エネルギーよりも低いことが必要である。
また、イオン化エネルギーが低い方の電子生成物質の放出エネルギーが、試料中の有機物のイオン化エネルギーよりも高い場合は、さらに、より放出エネルギーの低い電子生成物質を添加する必要がある。しかし、イオン化エネルギーが低い方の電子生成物質の放出エネルギーが、試料中の有機物のイオン化エネルギーよりも低いものを選択すれば、より放出エネルギーの低い電子生成物質を添加する必要はない。
次に、ドーパントガス中に含まれる電子生成物質の濃度に関しては、イオン化エネルギーが高い方の電子生成物質については、濃度が低すぎると生成される電子の量が不足し電子捕獲が充分に行われない。
逆に、イオン化エネルギーが高い方の電子生成物質の濃度が高すぎると、放出されるエネルギーが増加し、イオン化エネルギーが低い方の電子生成物質が大量に必要となってしまう。
一方、イオン化エネルギーが低い方の電子生成物質については、濃度が低すぎると、イオン化エネルギーが高い方の電子生成物質から放出されるエネルギーの吸収(消費)が不十分で、反転ピークの発生を抑制することができない。
実験では、濃度制御の安定性や、人体や環境への影響を考慮し、Xe数%とアセトン数十ppmの組合せで測定を実施した。図5は、上記実験の結果を示すグラフである。この図5に示すように、電子捕獲形検出器特有の形状で、かつ反転ピークのないクロマトグラムが得られた。
この図5に示すクロマトグラムは、データ処理装置19の表示手段に画像表示されたり、印刷手段によりプリントアウトされる。
なお、図6ではXeの放出エネルギーが9.6eVに対し、アセトンのイオン化エネルギーが9.72eVなので、理論上はアセトンはイオン化されないはずであるが、実際には反転ピークが消失している。これは、Xeの放出エネルギーが吸収(消費)されていると考えられることから、図6に示したエネルギーの値は一点ではなく、ある幅を持った値の平均値的なものであり、イオン化エネルギーが低い方の電子生成物質のイオン化エネルギーが、イオン化エネルギーが高い方の電子生成物質から放出されるエネルギーより多少高くても、イオン化エネルギーが低い方の電子生成物質の量を増やせば充分吸収(消費)されるものと推測される。
ここで、図6に示した物質のうち、イオン化エネルギーが高い方の電子生成物質は、イオン化エネルギーが12.0eV以上の物質であり、イオン化エネルギーが低い方の電子生成物質は、ガス化が可能であり、イオン化エネルギーが11.0eV以下の物質である。
なお、ドーパントガス中に含まれる2種類以上の電子生成物質は、ベースガスである不活性ガス、例えば、Heとともにあらかじめ1本のボンベに混ぜて供給しても良いし、単独でベースガスである不活性ガスに混ぜておいたものを、検出器内に導入するときに混ぜても良い。
また、反応を終えたカラムガスは、放電用Heガス、ドーパントガスとともに、最下流に位置する排気管18より排気される。
本発明の一実施例である電子捕獲検出器の概略断面図である。 放電電極とバイアス電極が近接した場合のバイアス電圧対定常電流の関係を示すグラフである。 好ましい電極配置におけるバイアス電圧対定常電流の関係を示すグラフである。 ドーパントガス中に含まれる電子生成物質が1種類の場合における電子捕獲検出器によるクロマトグラムを示すグラフである。 ドーパントガス中に含まれる電子生成物質が2種類の場合における電子捕獲検出器によるクロマトグラムを示すグラフである。 ドーパントガスに含有すべき物質のイオン化ポテンシャルと放出エネルギーを示す図である。
符号の説明
1 ハウジング
2〜5 電極
6〜8 絶縁管
9、10 注入管
11 平パッキン
12 シール材
13 皿バネ
14 直流電源
15 He源
16 分離カラム
17 ドーパントガス源
18 排気管
19 データ処理装置
20〜23 抵抗
24、25 演算増幅器
26 コンデンサ

Claims (5)

  1. ヘリウムガスが供給され、ヘリウムガス中の放電により遠紫外線を発生させる放電室と、
    イオン化エネルギーが12.0eV以上の高エネルギーのガス成分と、イオン化エネルギーが11.0eV以下の低エネルギーのガス成分との2種類のガス成分を含有する不活性ガスを収容するドーパントガス源と、
    上記ドーパントガス源からドーパントガスが供給されるとともに、ガスクロマトカラムから試料であるカラムガスが供給され、上記遠紫外線によりドーパントガスを電離して、電離したイオンとの再結合反応を利用して、上記カラムガスの成分に対応する信号を検知する検知管と、
    を備える電子捕獲検出器。
  2. ハウジング内に針状の陰極とリング状の陽極と有する放電室を有し、直流電源と直列抵抗により、上記陰極と陽極との間で、放電室に導入されたヘリウム気流中に安定な連続放電を形成させ、その下流に第1の絶縁管と、第1のリング電極と、第2の絶縁管と、第2のリング電極と、第3の絶縁管とを順次接続して検知管を構成し、この検知管内に、イオン化エネルギーが互いに異なる2種類の微量のガス成分を含有する不活性ガスをドーパントガスとして導入するための、ヘリウム気流の上流に向かって開口する第1の注入管と、ガスクロマトカラムから分離導入された試料であるカラムガスを導入する上記上流に向かって開口する第2の注入管とを有し、第2の注入管の開口部は第1のリング電極と第2のリング電極との間に開口し、かつ第2の注入管の開口部が第1の注入管よりも下流に位置することを特徴とする電子捕獲検出器。
  3. 請求項記載の電子捕獲検出器において、イオン化エネルギーが互いに異なる2種類のガス成分は、イオン化エネルギーが12.0eV以上の高エネルギー成分と、イオン化エネルギーが11.0eV以下の低エネルギー成分であることを特徴とする電子捕獲検出器。
  4. ヘリウムガス中の放電により遠紫外線を発生し、
    イオン化エネルギーが12.0eV以上の高エネルギーのガス成分と、イオン化エネルギーが11.0eV以下の低エネルギーのガス成分との2種類のガス成分を含有する不活性ガスであるドーパントガスを発生し、
    記発生したドーパントガスが供給されるとともに、ガスクロマトカラムからカラムガスが供給され、上記遠紫外線によりドーパントガスを電離して、電離したイオンとの再結合反応を利用して、上記カラムガスの成分に対応する信号を検知することを特徴とする電子捕獲検出方法。
  5. ヘリウムガスが供給され、ヘリウムガス中の放電により遠紫外線を発生させる放電室と、
    イオン化エネルギーが12.0eV以上の高エネルギーのガス成分と、イオン化エネルギーが11.0eV以下の低エネルギーのガス成分との2種類のガス成分を含有する不活性ガスを収容するドーパントガス源と、
    上記ドーパントガス源からドーパントガスが供給されるとともに、ガスクロマトカラムからカラムガスが供給され、上記遠紫外線によりドーパントガスを電離して、電離したイオンとの再結合反応を利用して、上記カラムガスの成分に対応する信号を検知する検知管と、
    上記検知管から出力された検知信号に従って、上記試料のクロマトグラムを作成し、表示するデータ処理手段と、
    を備える電子捕獲検出器を有するクロマトグラム作成装置。
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