JP4155787B2 - 表面層および化粧板ならびに化粧板の製造方法 - Google Patents

表面層および化粧板ならびに化粧板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面層、化粧板および化粧板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から内装材料として、メラミン樹脂化粧板、ポリエステル樹脂化粧板、塩化ビニル樹脂化粧シート等の化粧板が使用されている。これらの中でもメラミン樹脂化粧板は、表面硬度が高く、耐汚染性に優れる等の良好な表面性能を有している点、および化粧紙に豊富な色柄が選択でき意匠性にも優れている点等により化粧板として広く使用されている。
【0003】
しかし、メラミン樹脂化粧板は、比較的反りが大きく、寸法安定性に劣るといった問題点を有していた。
【0004】
また、近年、収納、洗面流し、キッチン等の扉や家具、さらに車両用途等の内装デザインの指向変化から、大きい曲率で曲面加工可能な化粧板が要求されている。これに対して、メラミン樹脂化粧板は、上述した表面特性を有するために、曲面加工を行うのは比較的困難な化粧板であった。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−123139号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、寸法安定性に優れ、曲面加工を容易に実施できる化粧板を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(10)に記載の本発明により達成される。
(1)伸縮性を有する基材としてのクレープ紙に硬化性樹脂が含浸してなる第1の層と、前記第1の層の片面に設けられた化粧紙で構成される第2の層とを有する化粧板の表面層であって、前記表面層の加熱時の引張り伸び率が0.5〜5.0%であり、前記第2の層は、その厚さ方向に、前記硬化性樹脂が未含浸である部分を有するものであることを特徴とする表面層。
(2)前記表面層の厚さは、10〜500μmである第(1)に記載の表面層。
(3)前記クレープ紙の含有率は、前記第1の層全体の3〜30重量%である第(1)または(2)に記載の表面層。
(4)前記クレープ紙の坪量は、10〜90g/mである第(1)ないし(3)のいずれかに記載の表面層。
(5)前記クレープ紙のクレープ率は、2〜40%である第(1)ないし(4)のいずれかに記載の表面層。
(6)第(1)ないし(5)のいずれかに記載の表面層と、前記表面層の片面に設けられたコア層とが積層されたことを特徴とする化粧板。
(7)前記コア層は、フェノール樹脂含浸紙で構成される層である第(6)に記載の化粧板。
(8)第(1)ないし(5)のいずれかに記載の表面層と、コア層とを重ね、加熱、加圧することを特徴とする化粧板の製造方法。
(9)第(1)ないし(5)のいずれかに記載の表面層と、コア層とを重ね、加熱、加圧して得られる化粧板の製造方法であって、加熱、加圧前の前記第2の層は、硬化性樹脂が未含浸であることを特徴とする化粧板の製造方法。
(10)第(1)ないし(5)のいずれかに記載の表面層と、コア層とを重ね、加熱、加圧して得られる化粧板の製造方法であって、加熱、加圧前の前記第2の層は、硬化性樹脂が未含浸であり、加熱、加圧により硬化性樹脂が第2の層の厚さ方向の少なくとも一部に含浸することを特徴とする化粧板の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の表面層、化粧板および化粧板の製造方法について詳細に説明する。
本発明の表面層は、伸縮性を有する基材と硬化性樹脂とで構成される第1の層と、前記第1の層の片面に設けられた化粧紙で構成される第2の層とを有する化粧板の表面層であって、前記表面層の加熱時の引張り伸び率が0.5〜5.0%であることを特徴とするものである。
また、本発明の化粧板は、上記記載の表面層と、前記表面層の片側に設けられたコア層とが積層されたことを特徴とするものである。
また、本発明の化粧板の製造方法は、上記記載の表面層と、コア層とを重ねて、加熱、加圧することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の表面層および化粧板について、好適な実施の形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の化粧板の一例を模式的に示す断面図である。
化粧板1は、表面層2と、表面層2の片面(図1下側)に設けられたコア層3とで構成される。
表面層2は、化粧板の最表面を構成する第1の層21と、第1の層21の片面(図1下側)に設けられた第2の層22とで構成される。
コア層3は、パーチカルボード、ファイバーボード、合板等の基板に化粧板を接着する時の接着性を付与する機能、基材の凹凸が化粧板の表面に現れないようにする機能、化粧板の強度および寸法安定性を保持する機能等を有している。
第1の層21は、化粧板の表面に傷等が生じるのを保護する機能を有している。
第2の層22は、化粧紙の選択によって化粧板に種々の意匠性を付与する機能を有している。
なお、コア層3の下側には、図示されないがバック層を設けても構わない。
【0010】
コア層3は、例えば樹脂を繊維基材に含浸して得られる。
前記樹脂としては、例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の硬化性樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの中でもフェノール樹脂が好ましい。これにより、合板等の基材との接着性を向上することができる。
【0011】
前記繊維基材としては、例えばクラフト紙等の紙基材、ガラス繊維等の無機繊維基材、ポリエステル、アラミド繊維等の化学合成繊維基材が挙げられる。これらの中でも紙基材が好ましい。これにより、化粧板の耐熱性を向上することができる。更に、化粧板の低コスト化を図ることができる。
【0012】
繊維基材に樹脂を含浸する方法としては、例えば繊維基材に硬化性樹脂のワニスを含浸させる方法、繊維基材に硬化性樹脂の粉末を塗布する方法等が挙げられる。これらの中でも繊維基材に硬化性樹脂のワニスを含浸する方法が好ましい。これにより、繊維基材中に硬化性樹脂を均一に含浸することができる。
【0013】
また、コア層3は、上述の硬化性樹脂を繊維基材に含浸して得られるもののみではなく、アルミニウム、鉄等の金属板と前記繊維基材に硬化性樹脂を含浸して得られるものとの複合物をも用いることができる。
【0014】
コア層3の厚さは、特に限定されないが、100〜1,400μmが好ましく、特に200〜800μmが好ましい。厚さが前記下限値未満であると化粧板の割れや欠けが発生して使用が困難となる場合があり、前記上限値を超えると化粧板の曲面加工性を向上する効果が低下する場合がある。
【0015】
前記コア層3の硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、コア層全体の重量に対して10〜50重量%が好ましく、特に20〜40重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると化粧板全体の成形性が低下するため表面外観が低下する場合があり、前記上限値を超えると化粧板の曲面加工性を向上する効果が低下する場合がある。
【0016】
表面層2は、伸縮性を有する基材と硬化性樹脂とで構成される第1の層21と、第1の層21の片面に設けられた化粧紙で構成される第2の層22とが積層されたものである。これにより、表面層の引張り特性を向上することができる。
従来、化粧板の曲面加工性を向上させるためには、コア層と表面層間にフィルムや熱可塑性樹脂を挿入する技術が主に用いられてきた。これに対して、本発明は、上述の構成を有する表面層を用いることにより、表面層の引張り特性を改善し、それによって化粧板の曲面加工性を向上したものである。
【0017】
表面層2の加熱時の引張り伸び率は0.5〜5.0%であり、特に0.6〜3.0%が好ましい。引張り伸び率が前記下限値未満であると化粧板の曲面加工性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると寸法安定性が低下する場合がある。前記加熱時の引張り伸び率は、例えばJIS K 6902に準じて125℃で測定することができる。なお、引張り伸び率を測定する場合、伸縮性を有する基材に硬化性樹脂を含浸して第1の層を形成し、この第1の層と、化粧紙とを加熱、加圧して表面層のみを作成して得られたサンプルを用いることができる。
【0018】
また、表面層2の厚さは、特に限定されないが、10〜500μmが好ましく、特に50〜350μmが好ましい。厚さが前記下限値未満であると表面層を構成する樹脂量が相対的に少なくなるため耐熱性が低下する場合があり、前記上限値を超えると化粧板の曲面加工性を向上する効果が低下する場合がある。
【0019】
また、表面層2の厚さと、コア層3との厚さの比は、特に限定されないが、1:1〜1:10が好ましく、特に1:1〜1:6が好ましい。厚さの比が前記範囲内であると、化粧板の曲面加工性を特に向上することができる。
【0020】
第1の層21は、表面層の最表面に形成され、化粧板に耐傷付き性および耐汚染性を付与する。
本実施の形態では、第1の層21は、伸縮性を有する基材に硬化性樹脂を含浸して得られる。
前記伸縮性を有する基材としては、例えば不織布、クレープ紙等が挙げられる。これらの中でもクレープ紙が好ましい。これにより、第1の層に要求される透明性を損なうこと無く、表面層の引張り特性を向上することができる。前記クレープ紙とは、例えば湿紙をプレスロールまたはヤンキードライヤーなどの上で、巻取りスピード差とドクターを用いてしわを付けた紙等をいう。
【0021】
前記クレープ紙のクレープ率は、特に限定されないが、2〜40%が好ましく、特に15〜35%が好ましい。クレープ率が前記下限値未満であると化粧板の曲面加工性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると第1の層を形成することが困難となる場合がある。前記クレープ率は、例えば100mm×100mmの試験片を常温で水に浮かべて、3分後の長さの変化を測定して求める方法で評価することができる。
【0022】
前記クレープ紙の湿潤後の伸び率は、特に限定されないが、2〜50%が好ましく、特に5〜40%が好ましい。湿潤後の伸び率が前記下限値未満であると化粧板の曲面加工性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えるクレープ紙を作ることが困難な場合がある。前記湿潤後の伸び率は、例えばJIS
S 3104の方法で評価することができる。
【0023】
前記伸縮性を有する基材の含有量は、特に限定されないが、第1の層全体の3〜30重量%が好ましく、特に5〜25重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると硬化性樹脂を含浸させることは困難であり、前記上限値を超えると化粧板の曲面加工を向上する効果が低下する場合がある。
【0024】
また、前記クレープ紙の湿潤後の伸びる量は、特に限定されないが、樹脂含浸時にクレープ紙が伸びる量よりも大きいことが好ましい。これにより、化粧板の曲面加工性を特に向上することができる。すなわち、樹脂含浸時にクレープ紙の伸び量が最大となってしまうと、化粧板を曲面加工する際にクレープ紙が伸びる余地が無くなり、その結果として化粧板の曲面加工性が低下するからである。
【0025】
また、クレープ加工は、縦、横とも行った方が良いが、縦方向のみの加工の場合は、縦方向の引張り強度を、横方向の引張り強度よりも高くすることが好ましい。クレープ紙の縦方向の引張り強度を高くする方法としては、例えば繊維の配向性を変化させる方法が挙げられる。
縦方向と横方向との引張り強度の比率は、特に限定されないが、縦:横で2:1〜10:1が好ましく、特に2:1〜6:1が好ましい。引張り強度が前記下限値未満であると横の曲げ性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると横方向で紙や含浸紙が切れる場合がある。前記引張り強度は、例えばJIS P 8113の方法で評価することができる。
【0026】
前記伸縮性を有する基材(特にクレープ紙)の坪量は、特に限定されないが、10〜90g/mが好ましく、特に15〜60g/mが好ましい。秤量が前記下限値未満であると基材の湿潤強度が低く硬化性樹脂を含浸するのが困難となる場合があり、前記上限値を超えると表面層の透明性が低下する場合がある。
【0027】
前記硬化性樹脂としては、例えばメラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。これらの中でもメラミン樹脂が好ましい。これにより、化粧板の耐傷付き性を特に向上することができる。
【0028】
第1の層21における硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、第1の層全体の重量に対して50〜90重量%が好ましく、特に65〜85重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると表面層とコア層との接着性が低下する場合があり、前記上限値を超えると化粧板の曲面加工性を向上する効果が低下する場合がある。
【0029】
第1の層21の厚さは、特に限定されないが、20〜750μmが好ましく、特に30〜500μmが好ましい。厚さが前記下限値未満であると化粧板の成形性が低下する場合があり、前記上限値を超えると化粧板の曲面加工性を向上する効果が低下する場合がある。
【0030】
第2の層22を構成する化粧紙は、化粧紙の選択によって化粧板に種々の意匠性を付与する機能を有している。
前記化粧紙としては、例えば予め硬化性樹脂で含浸された化粧紙または未含浸の化粧紙が挙げられる。これらの中でも硬化性樹脂が未含浸の化粧紙を用いることが好ましい。具体的には、例えばチタン紙、リンター紙、クラフト紙、晒紙、未晒紙等が挙げられる。
【0031】
第2の層22を構成する化粧紙は、特に限定されないが、その厚さ方向に、実質的に硬化性樹脂が未含浸である部分を有することが好ましい。これにより、化粧板の曲面加工性を特に向上することができる。
従来の化粧紙は、化粧紙にメラミン樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂が含浸された樹脂含浸化粧紙であった。これに対して、本発明では、化粧紙として樹脂が実質的に未含浸であるものを用いて化粧板の表面層を形成することにより、従来の化粧板と比較して曲面加工性を向上させることができるものである。すなわち、第2の層22がその厚さ方向に、実質的に硬化性樹脂が未含浸である部分を有することで、化粧板の曲面加工性が向上することができるものである。
【0032】
前記化粧紙の坪量は、特に限定されないが、10〜300g/mが好ましく、特に30〜250g/mが好ましい。坪量が前記下限値未満であると化粧紙の強度が低下するため作業性が低下する場合があり、前記上限値を超えると耐熱性が低下する場合がある。
【0033】
前記化粧紙の厚さは、特に限定されないが、8〜250μmが好ましく、特に25〜210μmが好ましい。厚さが前記下限値未満であると化粧紙によるコア層3の色を遮蔽性する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると化粧板の曲面加工性を向上する効果が低下する場合がある。
【0034】
前記硬化性樹脂と伸縮性を有する基材とで第1の層21を形成する方法としては、例えば伸縮性を有する基材に硬化性樹脂のワニスを含浸させる方法、伸縮性を有する基材に硬化性樹脂の粉末を塗布する方法等が挙げられる。これらの中でも伸縮性を有する基材に硬化性樹脂のワニスを含浸する方法が好ましい。これにより、伸縮性を有する基材内部までに硬化性樹脂が均一に含浸して表面層の透明性を向上することができる。
【0035】
次に、本発明の化粧板の製造方法について説明する。
図2は、本発明の化粧板の製造方法を模式的に示したものである。
本発明の化粧板の製造方法は、図2に示されるように伸縮性を有する基材211に硬化性樹脂212を含浸して得られる第1の層21と、化粧紙で構成される第2の層22と、コア層3とを重ねて加熱、加圧することを特徴とするものである。
前記加熱する温度は、特に限定されないが、110〜160℃が好ましく、特に120〜150℃が好ましい。加熱温度が前記範囲内であると、特に化粧板の曲面加工性が良好、かつ表面硬度を向上することができる。
前記加圧する圧力は、特に限定されないが、10〜120(kg/cm)が好ましく、特に60〜110(kg/cm)が好ましい。加圧圧力が前記範囲内であると、特に化粧板の外観を向上することができる。
【0036】
なお、上記記載の化粧板の製造方法では、第1の層21と、第2の層22と、コア層3とを同時に重ねて、加熱、加圧することにより、化粧板を得たが、本発明はこれに限定されない。例えば第1の層21と、第2の層22とを重ねて、加熱、加圧することにより、予め表面層2のみを成形し、得られた表面層2と、コア層3とを重ねて、加熱、加圧することにより化粧板を得ることもできる。
また、第2の層22とコア層3とを予め形成し、それと第1の層21とを重ね、加熱、加圧することにより化粧板を得ることもできる。
【0037】
本発明の化粧板の製造方法では、特に限定されないが、加熱、加圧前の前記第2の層は、実質的に硬化性樹脂が未含浸であるものを用いることが好ましい。これにより、化粧板の曲面加工性を特に向上することができる。また、化粧紙に予め硬化性樹脂を含浸する必要がないので作業工数を低減することができる。更には、作業工数を低減できることにより、化粧板の製造コストも低減することができる。
【0038】
図3は、実質的に硬化性樹脂が未含浸である化粧紙23を用いて化粧板を製造して得られる化粧板の模式図である。
図3に示すように、実質的に硬化性樹脂が未含浸である化粧紙23(第2の層に相当)と、伸縮性を有する基材211と硬化性樹脂212とで構成される第1の層21と、コア層3とを加熱、加圧成形すると、第1の層21およびコア層3を構成する硬化性樹脂212の一部が化粧紙23に含浸されることになる。すなわち、化粧紙23には、硬化性樹脂212が一部未含浸の部分が残ることになる。これにより、表面層の引張り特性を特に向上することができる。その結果、化粧板の曲面加工性を特に向上することができる。
すなわち、従来のメラミン樹脂等の硬化性樹脂を含浸した化粧紙を使用する方法と異なり、化粧板を積層成形する際に加える圧力と熱とを利用して、各層(第1の層およびコア層)間を構成する硬化性樹脂を未含浸の化粧紙中に含浸する方法で製造することにより、化粧紙が本来有する柔軟性や曲げ性を保持することが可能となると考えられる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により、詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
▲1▼第1の層の製造
メラミンに対するホルムアルデヒドのモル比を1.4に配合し、反応温度95℃、水混和度12cc/5ccとなるまで反応させてメラミン樹脂ワニスを得た。
次に、伸縮性を有する基材として原紙坪率20g/m、クレープ率23%、湿潤後の伸び率25%であるクレープ紙(ハビックス(株)製)に上記メラミン樹脂ワニスを含浸乾燥し、重量100g/m、揮発分を9%に調製した第1の層を得た。
【0040】
▲2▼コア層を形成するフェノール樹脂含浸紙の製造
フェノールに対するホルムアルデヒドのモル比を1.5にして95℃で、210分反応してフェノール樹脂ワニスを得た。このワニスを坪量180g/mクラフト紙に含浸乾燥し、重量280g/m、揮発分を5〜7%に調製してフェノール樹脂含浸紙を得た。
【0041】
▲3▼化粧板の製造
上述の第1の層と、化粧紙として樹脂が未含浸である印刷原紙(凸版印刷社製PPP−20042、坪量80g/m)と、コア層として上述のフェノール樹脂含浸紙を3枚重ねて、160℃、100kg/cmで、60分、加熱加圧成形して厚さ0.8mmのメラミン樹脂化粧板を得た。なお、表面層の厚さは、0.25mm(第1の層0.15mmと、第2の層0.1mm)であった。また、得られた化粧板を分析したところ、化粧紙は厚さ方向に樹脂が一部未含浸であった。
【0042】
▲4▼表面層の伸び率の評価
なお、表面層の引張り伸び率を測定するために、上述の第1の層と化粧紙のみを予め上述の化粧板を製造するのと同様の条件で加熱加圧成形を行い、表面層のみを作成した。得られた表面層の引張り伸び率を測定した結果、引張伸び率が常温時で縦方向(伸縮性基材の長手方向)0.8%、125℃加熱時で縦方向1.5%であった。
【0043】
(実施例2)
伸縮性を有する基材として以下のものを用いた以外は、実施例1と同様にした。
クレープ紙として、原紙坪率20g/m、クレープ率9.5%、湿潤後の伸び率12%であるクレープ紙(ハビックス(株)製)を用いた。
なお、表面層の引張り伸び率は、常温時で縦方向0.7%、125℃加熱時で縦方向1.3%であった。
【0044】
(実施例3)
伸縮性を有する基材として以下のものを用いた以外は、実施例1と同様にした。
クレープ紙として、原紙坪率20g/m、クレープ率4.5%、湿潤後の伸び率7%であるクレープ紙(ハビックス(株)製)を用いた。
なお、表面層の引張り伸び率は、常温時で縦方向0.6%、125℃加熱時で縦方向1.0%であった。
【0045】
(実施例4)
伸縮性を有する基材として以下のものを用いた以外は、実施例1と同様にした。
クレープ紙として、原紙坪量20g/m、クレープ率35%、湿潤後の伸び率45%であるクレープ紙(ハビックス(株)製)を用いた。
なお、表面層の引張り伸び率は、常温時で縦方向1.0%、125℃加熱時で縦方向3.0%であった。
【0046】
(実施例5)
化粧紙として以下のものを用いた以外は、実施例1と同様にした。
化粧紙として、メラミン樹脂を含浸した樹脂含浸化粧紙(凸版印刷社製 PPP−20042、坪量80g/m)を用いた。
なお、表面層の引張り伸び率は、常温時で縦方向0.3%、125℃加熱時で縦方向0.5%であった。
【0047】
(比較例1)
第1の層に伸縮性を有する基材(クレープ紙)を用いずに、以下のオーバーレイ紙を用いた以外は、実施例1と同様にした。
クレープ紙の代わりに、原紙坪量20g/m、湿潤後の伸び率1%以下であるオーバーレイ紙(興人社製、O−22)を用いた。
なお、表面層の引張り伸び率は、常温時で縦方向0.3%、125℃加熱時で縦方向0.4%であった。
【0048】
(比較例2)
第1の層に伸縮性を有する基材としてPET不織布(ハビックス社製 H−40)を用い、表面層の加熱時の引張り伸び率が縦方向で7.0%であった以外は、実施例1と同様にした。
【0049】
(比較例3)
第1の層に伸縮性を有する基材として原紙坪率20g/m、クレープ率1.0%、湿潤後の伸び率1.5%であるクレープ紙(ハビックス社製)を用い、表面層の加熱時の引張り伸び率が縦方向で0.3%であった以外は、実施例1と同様にした。
【0050】
各実施例および比較例で得られた化粧板について、以下の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
▲1▼曲面加工性
化粧板の曲面加工性の評価は、常温および132℃加熱時の両方について、クラックや割れを発生せずにどこまで曲面加工できるかを評価した。例えば、「5R可能」とは、クラック等を発生せずに曲率半径R=5mmまで曲面加工可能なことを示す。
【0051】
▲2▼寸法変化率
寸法変化率は、JIS K 6902に準じて行った。
【0052】
▲3▼煮沸耐熱性
煮沸耐熱性の評価は、JIS K 6902に準じて行い、煮沸前後の吸水による重量変化率を求めた。また、化粧板の外観を、100℃の水で煮沸2時間処理後の変色、フクレの有無で評価した。各符号は、以下の通りである。
○:外観の変色無し
△:外観の変色有り
×:フクレが発生
【0053】
▲4▼生産性
実施例5で得られた化粧板の生産性を基準(100)として、他の実施例等の生産性と比較した。
【0054】
【表1】
Figure 0004155787
【0055】
表1から明らかなように、実施例1〜5は、寸法変化率が小さく、曲面加工性に優れていた。
また、実施例1〜5は、煮沸処理後の重量変化が小さく、煮沸処理後の外観にも優れていた。
また、実施例1〜4は、生産性にも優れていた。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、化粧板の寸法安定性に優れ、曲面加工性が向上した化粧板を提供できる表面層およびそれを用いた化粧板を得ることができる。
また、実質的に硬化性樹脂が未含浸である化粧紙を用いた場合、特に化粧板の曲面加工性を向上することができる。
また、実質的に硬化性樹脂が未含浸である化粧紙を用いた場合、特に生産性に優れる化粧板の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧板の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の化粧板の製造方法の工程を示す模式図である。
【図3】本発明の化粧板の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 化粧板
2 表面層
21 第1の層
211 伸縮性を有する基材
212 硬化性樹脂
22 第2の層
23 化粧紙
3 コア層

Claims (10)

  1. 伸縮性を有する基材としてのクレープ紙に硬化性樹脂が含浸してなる第1の層と、前記第1の層の片面に設けられた化粧紙で構成される第2の層とを有する化粧板の表面層であって、
    前記表面層の加熱時の引張り伸び率が0.5〜5.0%であり、
    前記第2の層は、その厚さ方向に、前記硬化性樹脂が未含浸である部分を有するものであることを特徴とする表面層。
  2. 前記表面層の厚さは、10〜500μmである請求項1に記載の表面層。
  3. 前記クレープ紙の含有率は、前記第1の層全体の3〜30重量%である請求項1または2に記載の表面層。
  4. 前記クレープ紙の坪量は、10〜90g/mである請求項1ないし3のいずれかに記載の表面層。
  5. 前記クレープ紙のクレープ率は、2〜40%である請求項1ないし4のいずれかに記載の表面層。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の表面層と、前記表面層の片面に設けられたコア層とが積層されたことを特徴とする化粧板。
  7. 前記コア層は、フェノール樹脂含浸紙で構成される層である請求項6に記載の化粧板。
  8. 請求項1ないし5のいずれかに記載の表面層と、コア層とを重ね、加熱、加圧することを特徴とする化粧板の製造方法。
  9. 請求項1ないし5のいずれかに記載の表面層と、コア層とを重ね、加熱、加圧して得られる化粧板の製造方法であって、
    加熱、加圧前の前記第2の層は、硬化性樹脂が未含浸であることを特徴とする化粧板の製造方法。
  10. 請求項1ないし5のいずれかに記載の表面層と、コア層とを重ね、加熱、加圧して得られる化粧板の製造方法であって、
    加熱、加圧前の前記第2の層は、硬化性樹脂が未含浸であり、加熱、加圧により硬化性樹脂が第2の層の厚さ方向の少なくとも一部に含浸することを特徴とする化粧板の製造方法。
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