JP4155753B2 - 支脚器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願の発明は、医療台に備えられていて患者の膝や踵を支持するための支脚器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10は、医療台の一種としての分娩台を示している。この分娩台11では、基台12上に昇降台13が備えられており、昇降台13上にマット14が備えられている。分娩台11には補助台15も備えられており、補助台15は非使用時にはマット14の下方に格納されており、使用時にはマット14の下方から引き出される。昇降台13には、本願の発明の一従来例であって患者の膝や踵を支持するための一対の支脚器16が取り付けられている。
【0003】
図9には、支脚器16が図10よりも拡大されて示されている。昇降台13には支脚固定器17が取り付けられており、支脚固定器17には支脚器受18及び固定ネジ19が備えられている。レールフレーム21が支脚器受18中に挿入されて固定ネジ19で固定されている。レールフレーム21にはレールダンパ22が固定されており、レールフレーム21に外挿されているユニバーサルレール23がレールダンパ22で支持されている。
【0004】
レールフレーム21には、押上バネ24及び固定クラッチ25も外挿されており、更に花形ネジ26が取り付けられている。ユニバーサルレール23にはプレッシャプレート27が外挿されており、プレッシャプレート27には固定ネジ28が取り付けられている。プレッシャプレート27にはキャップ29も取り付けられており、プレッシャプレート27とキャップ29との間に股受31のユニバーサルボール32が配置されている。
【0005】
ところで、患者によって身長や体型等が互いに異なっているので、患者の膝や踵を確実に支持するためには、分娩台11に対する股受31の相対的な位置を患者によって調整する必要がある。この調整を行うためには、まず、固定ネジ19を緩めて支脚器受18に対するレールフレーム21の挿入長及び回転角度を調整し、この状態で固定ネジ19を締め付けることによって、分娩台11に対する股受31の位置を大まかに調整する。
【0006】
その後、花形ネジ26を緩めてレールフレーム21に対するユニバーサルレール23の回転角度を微調整し、この状態で花形ネジ26を締め付ける。また、固定ネジ28を緩めてユニバーサルレール23に対するプレッシャプレート27の位置を微調整すると共にプレッシャプレート27に対する股受31の角度を微調整し、この状態で固定ネジ28を締め付ける。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図9に示されている一従来例の支脚器16では、分娩台11に対する股受31の位置を微調整するためのこの位置の固定及び固定の解除に際しては、花形ネジ26に対する操作と固定ネジ28に対する操作とが必要である。このため、分娩台11に対する股受31の位置を簡易に調整することができるとは言い難かった。従って、本願の発明は、医療台に対する股受の相対的な位置を簡易に調整することができる支脚器を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る支脚器では、回転阻止部材が第二のすぐばかさ歯車と噛み合っていなくて第二のすぐばかさ歯車の回転を阻止していなければ、第二のすぐばかさ歯車を回転させて第一のすぐばかさ歯車との噛み合い位置を順次に移動させていくことができる。このため、第一のすぐばかさ歯車と同軸状に第一のすぐばかさ歯車に対して第一のフレームを回転させることができ、第一のフレームの回転によって医療台に対する第二のフレーム及び股受の回転角度を変化させることができる。
【0009】
また、回転阻止部材が第二のすぐばかさ歯車と噛み合っていなければ、第一のすぐばかさ歯車の軸心と平行に且つ第二のすぐばかさ歯車と同軸状に第一のフレームに対して第二のフレームを回転させることができ、第二のフレームの回転によって医療台に対する股受の高さ及び第一のすぐばかさ歯車の軸心からの距離を変化させることができる。また、回転阻止部材が歯車と噛み合っていなくて歯車の回転を阻止していなければ、第二のすぐばかさ歯車の軸心と平行な軸心のりに第二のフレームに対して歯車を回転させることができ、第二のフレームを回転させても歯車の回転によって医療台に対する股受の姿勢を維持することができる。
【0010】
従って、医療台に対する股受の姿勢を維持したままで、医療台に対する股受の回転角度、高さ及び第一のすぐばかさ歯車の軸心からの距離を変化させることができ、これらの変化によって医療台に対する股受の相対的な位置を調整することができる。しかも、操作部材が第二のすぐばかさ歯車及び歯車に対する回転阻止部材の噛み合い状態及び非噛み合い状態を同時に変化させるので、医療台に対する股受の相対的な位置の固定及び固定の解除を単一の操作部材に対する単一の操作のみによって行うことができる。
【0011】
請求項2に係る支脚器では、付勢部材が回転阻止部材を第二のすぐばかさ歯車及び歯車に対する非噛み合い状態から噛み合い状態へ付勢しているので、操作部材に対する不測の操作によって回転阻止部材が不測に移動しにくく、医療台に対する股受の相対的な位置が不測に変化しにくい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、分娩台の支脚器に適用されている本願の発明の一実施形態を、図1〜8を参照しながら説明する。図1が、本実施形態の支脚器41における要部を示している。この支脚器41にはすぐばかさ歯車42が備えられており、略L字状のフレーム43と直方体のブロック44とがすぐばかさ歯車42の軸心に回転可能に取り付けられている。
【0013】
支脚器41には箱形に近い形状のフレーム45が備えられており、フレーム45の一対の板部46の両側部が一対のX形の連結部47によって連結されて、一対の板部46同士及び一対の連結部47同士が対向している。一対の軸48がフレーム45の一端部及び一対のすぐばかさ歯車49を貫通してブロック44に螺入されており、一方の軸48はフレーム43の先端部も貫通している。フレーム45及びすぐばかさ歯車49は、軸48と同軸状にフレーム43に対して独立に回転可能である。
【0014】
軸48はすぐばかさ歯車42の軸心と垂直に交わっているので、フレーム45はすぐばかさ歯車42の軸心と平行に回転する。すぐばかさ歯車49はすぐばかさ歯車42と噛み合っており、すぐばかさ歯車42に対するフレーム43の回転に伴ってすぐばかさ歯車49とすぐばかさ歯車42との噛み合い位置も順次に移動していく。一対の軸51がフレーム45の他端部を貫通して一対の平歯車52に螺入されており、コ字形に近い断面形状を有するスタンド部53が一対の平歯車52の互いに対向している端面に取り付けられている。
【0015】
平歯車52及びスタンド部53は軸51と同軸状にフレーム45に対して一体的に回転可能である。軸48、51が互いに平行であるので、すぐばかさ歯車49及び平歯車52の夫々の軸心も互いに平行である。フレーム45の一対の板部46における夫々の対向面に案内レール54が取り付けられており、一対のブレード55がこれらの案内レール54に摺動可能に嵌め込まれている。
【0016】
各々のブレード55における一方の連結部47側の面にはプレート56が取り付けられており、プレート56には一対ずつの立上部57が設けられている。一対のプレート56において案内レール54の延在方向で対向している立上部57同士にロッド58が挿通されている。ロッド58のうちで立上部57同士の間の部分には圧縮ばね59が外挿されており、圧縮ばね59は一対のブレード55同士を互いに離隔させる方向へ付勢している。
【0017】
一対のブレード55同士が圧縮ばね59による付勢で互いに離隔している状態では、ブレード55の先端部はすぐばかさ歯車49及び平歯車52と噛み合っており、ブレード55がすぐばかさ歯車49及び平歯車52の回転を阻止している。各々のブレード55における他方の連結部47側の面には長方形に近い形状のプレート61の一端部がピン62によって取り付けられており、プレート61はピン62を中心にして回転可能である。
【0018】
一対の連結部47を軸63が貫通しており、プレート61のうちで軸63に近い他端部が切り欠かれている。軸63のうちで一方の連結部47側の部分に円柱部64が取り付けられており、円柱部64の端面に取り付けられているピン65がプレート61の他端部を貫通している。軸63のうちで一方の連結部47側の端部にレバー66が取り付けられており、レバー66の操作によって軸63、円柱部64及びピン65が同時に回転する。軸48と一方の板部46との間にはガススプリング67が取り付けられている。
【0019】
図4、5に示されている様に、股受68の股受本体部69は一対のアーム71によって基部筐体72に取り付けられており、スタンド部53には平歯車73が固定されている。そして、基部筐体72が平歯車73と同軸状に回転可能にスタンド部53に取り付けられている。基部筐体72内には平歯車73と噛み合い可能な歯を有するプレート74が備えられており、プレート74にはダルマ形の貫通孔75が設けられている。
【0020】
プレート74は圧縮ばね76によって平歯車73から離隔する方向へ付勢されており、この離隔状態ではプレート74の歯は平歯車73と噛み合っていない。股受68には段付円柱状のピン77及びこのピン77と一体になっているボタン78が備えられており、ピン77は貫通孔75内に挿通されている。ピン77及びボタン78は圧縮ばね79によってボタン78がプレート74から離隔する方向へ付勢されている。
【0021】
図4、5、7、8に示されている様に、支脚器41のすぐばかさ歯車42側の端部には昇降器81が備えられており、図8に示されている様に、昇降器81が分娩台11の昇降台13に取り付けられている。なお、すぐばかさ歯車42は昇降器81に対して回転しない。また、図7、8では、フレーム45及び昇降器81は夫々カバー82、83に覆われた状態で示されている。
【0022】
図8に示されている分娩台11において昇降台13に対する股受68の相対的な位置を調整するためには、まず、昇降器81でフレーム45等を図7中の矢印a方向へ移動させることによって、昇降台13に対する股受68の高さを大まかに調整する。その後、圧縮ばね59による付勢力に抗して図1において時計回り方向へレバー66を回転させて、円柱部64及びピン65を軸63と共に回転させる。この回転に伴って、プレート61のうちでピン65が貫通している部分及びその近傍部分も、図1、2に示されている状態から図3に示されている状態へ、軸63のりを回転する。
【0023】
図1、2に示されている状態では、一対のブレード55の夫々の先端部がすぐばかさ歯車49及び平歯車52と噛み合っている。しかし、図3に示されている状態では、一対のブレード55はプレート61に引っ張られ案内レール54及びロッド58に沿って互いに接近しており、一対のブレード55の夫々の先端部はすぐばかさ歯車49及び平歯車52と噛み合っていない。このため、すぐばかさ歯車49及び平歯車52の回転が可能になり、また、フレーム45もすぐばかさ歯車49と同軸状に即ち図7中の軸心Bのりに矢印b方向へすぐばかさ歯車49及びフレーム43に対して回転可能になる。
【0024】
但し、フレーム45がこの様に回転可能になり且つフレーム45及び股受68等の重力によるトルクがすぐばかさ歯車49の軸心のりに働いていても、ガススプリング67による抵抗力のためにフレーム45は急激には回転しない。上述の様にすぐばかさ歯車49の回転を可能にした状態ですぐばかさ歯車42の軸心のりへのトルクをフレーム45または股受68に加えると、すぐばかさ歯車49が図7中の軸心Bのりに矢印b方向へ回転しつつすぐばかさ歯車42との噛み合い位置を順次に移動させていく。
【0025】
すぐばかさ歯車49がこの様に回転することによってフレーム43もすぐばかさ歯車42と同軸状に即ち図7中の軸心Cのりに矢印c方向へ回転し、その結果、フレーム45及び股受68も同様に回転して、昇降台13に対するフレーム45及び股受68の回転角度が調整される。
【0026】
また、一方のブレード55の先端部がすぐばかさ歯車49と噛み合っていないので、すぐばかさ歯車42の軸心と平行に且つすぐばかさ歯車49と同軸状に即ち図7中の軸心Bのりに矢印b方向へフレーム43に対してフレーム45を回転させることができ、この回転によって昇降台13に対するフレーム45及び股受68の高さ及びすぐばかさ歯車42の軸心からの距離が調整される。
【0027】
一方、フレーム43に対してフレーム45を回転させただけでは、昇降台13に対する股受68の姿勢が変化してしまう。しかし、平歯車52が回転可能であるので、フレーム45を回転させても平歯車52を図7中の軸心Dのりに矢印d方向へ回転させることによって昇降台13に対する股受68の姿勢を維持することができる。
【0028】
以上の様にして昇降台13に対する股受68の相対的な位置の調整が終了すると、レバー66に加えていた操作力を弱める。すると、圧縮ばね59による付勢力によって図1において反時計回り方向へレバー66が回転し、一対のブレード55が案内レール54及びロッド58に沿って互いに離隔して、一対のブレード55の夫々の先端部がすぐばかさ歯車49及び平歯車52と噛み合う。この結果、昇降台13に対する股受68の相対的な位置が固定される。
【0029】
但し、この状態からでも、更に、フレーム45に対する股受68の回転角度即ち図7中の軸心Eのりの矢印e方向における角度を調整することができる。そのためには、圧縮ばね79による付勢力に抗してボタン78をプレート74側へ押圧して、プレート74のボタン78とは反対側へのピン77の突出量を増加させる。図6(a)に示されている様に、ピン77の大径部77aが貫通孔75の大径部75aから突出して、ピン77の小径部77bのみが貫通孔75内に位置すると、貫通孔75の小径部75bがピン77の小径部77bに対応する位置まで圧縮ばね76の付勢力によってプレート74が平歯車73から離隔する。
【0030】
この状態では、プレート74の歯が平歯車73と噛み合っていないので、平歯車73に対して股受68を回転させることができ、フレーム45に対する股受68の回転角度を調整することができる。この調整が終了すると、今度は、圧縮ばね76による付勢力に抗してプレート74を平歯車73へ接近させる。図6(b)に示されている様に、貫通孔75の大径部75aがピン77の大径部77aに対応すると、圧縮ばね79の付勢力によってピン77及びボタン78が平歯車52側へ引き戻される。
【0031】
そして、ピン77の大径部77aのみが貫通孔75の大径部75a内に位置すると、ピン77の大径部77aは貫通孔75の小径部75b内に嵌入することができないので、圧縮ばね76の付勢力にも拘らずプレート74の位置が固定される。この状態では、プレート74の歯が平歯車73と噛み合っているので、平歯車73に対して股受68を回転させることができず、フレーム45に対する股受68の回転角度が固定される。
【0032】
以上に説明した本実施形態の支脚器41は分娩台11の支脚器に本願の発明を適用したものであるが、本願の発明による支脚器は分娩台以外の医療台の支脚器にも適用することができる。
【0033】
【発明の効果】
請求項1に係る支脚器では、医療台に対する股受の相対的な位置の固定及び固定の解除を単一の操作部材に対する単一の操作のみによって行うことができるので、医療台に対する股受の相対的な位置を簡易に調整することができる。
【0034】
請求項2に係る支脚器では、医療台に対する股受の相対的な位置が不測に変化しにくいので、股受の位置の安定性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願の発明の一実施形態における要部の平面図である。
【図2】 非操作状態にある図1の実施形態の概略的な斜視図である。
【図3】 操作状態にある図1の実施形態の概略的なの斜視図である。
【図4】 図1の実施形態の平面図である。
【図5】 図1の実施形態の側面図である。
【図6】 図4、5の実施形態における股受の要部の斜視図であり、(a)は股受の角度位置が調整され得る状態、(b)は股受の角度位置が固定されている状態を夫々示している。
【図7】 図4、5の実施形態の動きを説明するための斜視図である。
【図8】 図4、5の実施形態を備えている分娩台の斜視図である。
【図9】 本願の発明の一従来例の側面図である。
【図10】 図8の従来例を備えている分娩台の斜視図である。
【符号の説明】
11…分娩台(医療台)、41…支脚器、42…すぐばかさ歯車(第一のすぐばかさ歯車)、43…フレーム(第一のフレーム)、45…フレーム(第二のフレーム)、49…すぐばかさ歯車(第二のすぐばかさ歯車)、52…平歯車(歯車)、55…ブレード(回転阻止部材)、59…圧縮ばね(付勢部材)、61…プレート(操作部材)、66…レバー(操作部材)、68…股受

Claims (2)

  1. 医療台に対して回転しない第一のすぐばかさ歯車と、
    この第一のすぐばかさ歯車と同軸状にこの第一のすぐばかさ歯車に対して回転可能な第一のフレームと、
    前記第一のすぐばかさ歯車の軸心と平行に前記第一のフレームに対して回転可能な第二のフレームと、
    前記第一及び第二のフレームに対して前記第二のフレームと同軸状に回転可能であると共に前記第一のすぐばかさ歯車と噛み合っており、前記第一のフレームの前記回転に伴って前記第一のすぐばかさ歯車との噛み合い位置が順次に移動していく第二のすぐばかさ歯車と、
    この第二のすぐばかさ歯車の軸心と平行な軸心のりに前記第二のフレームに対して回転可能な歯車と、
    この歯車と共に回転可能な股受と、
    前記第二のすぐばかさ歯車及び前記平歯車に対する噛み合い状態と非噛み合い状態との間で変化可能であり前記噛み合い状態で前記第二のすぐばかさ歯車及び前記平歯車の回転を阻止する回転阻止部材と、
    前記第二のすぐばかさ歯車及び前記平歯車に対する前記回転阻止部材の前記変化を同時に生じさせる操作部材と
    を具備する支脚器。
  2. 前記回転阻止部材を前記非噛み合い状態から前記噛み合い状態へ付勢している付勢部材を具備する請求項1に記載の支脚器。
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