JP4155577B2 - パイプ誘導加熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性材料または導電磁性材料もしくは非磁性材料の被加熱パイプ部材を高周波の電磁誘導作用により誘導加熱するパイプ誘導加熱装置に関する。
金属などの導電性物体を加熱する有効な方法の一つとして電磁誘導作用を利用した誘導加熱がある。これは交番する磁界中に導電性物体が存在する場合、電磁誘導作用によって物体内に起電力が生じ、それにより物体内に誘導電流が流れることによるジュール熱(I2R)の発生を利用して導電性被加熱材を所定の温度にまで加熱するものである。
従来は鋼管などのパイプ部材の端部同士を溶接結合したり、または修理などのために側面にロウ付けする目的でこのような誘導加熱を適用しようとする場合には、空心形状の誘導コイルの内部にそのパイプ部材を配置させ、30kHz以上の高周波電流を誘導コイルに供給することによりそのパイプ部材の内部に交番磁力線を発生させて誘導加熱する構成となっていた。
また、単独の誘導磁心を用いて導電磁性材料を加熱する装置は昔から多種の用途で用いられ良く知られている。しかしこれらは消費電力を高め高温加熱を可能にする工夫を持ち合わせてはいなかった。
上記従来の構成でパイプ部材を電磁誘導させた場合には、磁力線がパイプ部材の両端部から放出されてコイル外部の広い範囲に漏出してしまうことになる。このように磁力線が外部に拡散した場合には電磁誘導の効率が大きく低下してしまい、誘導加熱に必要な時間及び電力が増大してしまうといった問題があった。実際、高伝導率の金属材料に対し20kHzで2kW程度の電源を用いた誘導加熱において、従来の加熱技術でロウ付けに必要な高温を得ることは困難であった。
また被加熱パイプ部材の表面を集中加熱する表面効果をねらって供給電流の周波数を100kHz以上にまで高くした場合には、コイルから漏出する磁力線が人体に到達しないように遮蔽する必要があった。
本発明の目的は、磁力線を外部に漏らすことなくパイプ部材を効率良く高温に誘導加熱できるパイプ誘導加熱装置を提供することにある。
本発明のパイプ誘導加熱装置は、導電性材料である被加熱パイプ部材の側面にほぼ平行に配置される平行心部と当該平行心部から前記被加熱パイプ部材の側面に向かってほぼ直交する方向に配置される1つもしくは複数の直交心部とを備えた強磁性材料からなる複数の誘導磁心と、前記複数の誘導磁心に巻回される誘導コイルと、前記誘導コイルに高周波電流を供給する高周波電流供給手段とを有し、前記被加熱パイプ部材を中心に回転対称的に対向する前記直交心部の極性が同じとなるようにそれぞれの前記誘導磁心に前記誘導コイルを巻回することにより、前記被加熱パイプ部材に圧縮磁場の磁束路を形成し、電磁誘導作用により前記被加熱パイプ部材に直接誘導加熱を行うことを特徴とする。
本発明のパイプ誘導加熱装置は、非磁性材料である被加熱パイプ部材の側面にほぼ平行に配置される平行心部と当該平行心部から前記被加熱パイプ部材の側面に向かってほぼ直交する方向に配置される複数の直交心部とを備えた強磁性材料からなる複数の誘導磁心と、前記直交心部をつなぐとともに前記被加熱パイプ部材の側面に接触する導電磁性材料の付帯誘導発熱部材と、各々の前記誘導磁心に巻回する複数の誘導コイルと、前記誘導コイルに高周波電流を供給する高周波電流供給手段とを有し、前記被加熱パイプ部材を中心に回転対称的に対向する前記直交心部の極性が同じとなるようにそれぞれの前記誘導磁心に前記誘導コイルを巻回することにより、前記付帯誘導発熱部材に圧縮磁場の磁束路を形成し、電磁誘導作用により前記付帯誘導発熱部材に誘導加熱を行い、前記付帯誘導発熱部材が前記被加熱パイプ部材に接触して熱伝導することを特徴とする。
本発明のパイプ誘導加熱装置は、前記複数の誘導磁心を支持する支持部材を複数に分割される支持部材片により形成し、前記複数の支持部材片を分割した状態のもとで前記被加熱パイプ部材に対して前記支持部材を着脱することを特徴とする。
本発明の誘導磁心は、直交心部の数を1つとするとT字型となり、2つとするとU字型となり、3つとするとE字型となり、T字型、U字型およびE字型に代表される任意の形状の誘導磁心とすることができる。
本発明にあっては、誘導磁心が被加熱パイプ部材に対し密閉した磁束路を形成するため、各誘導コイルによって発生する磁力線のほとんどをこの磁束路に収束保持させて外部に漏れるのを防いでいる。そして被加熱パイプ部材中に磁力線を高密度で交番通過させることにより高い効率で誘導電流を流すことができ、それによるジュール熱で効果的に誘導加熱することができる。
誘導磁心の磁束密度を上げるためにコイル巻回数を多くする場合は、インダクタンスの増加に対して必要な容量のコンデンサをコイルに直列接続し、LC直列回路を構成して抵抗値を補償する。
導電性材料のパイプ断面の形状は円形、扁平円や多角形でも良く、複数の誘導磁心の回転対称をなす配置はその形状に合わせる。
非磁性体の導電性材料を加熱する場合は、前記複数の誘導磁心を用いて集中的に磁束密度を上げることではじめて被加熱パイプ部材に必要な誘導電流を流すことが可能となる。このとき、誘導電流がパイプに発生しても加えた磁束がパイプ表面から容易には弾き出ない磁心の形状や位置が重要となる。少なくともT字型誘導磁心はこの条件を満足する。このT字型誘導磁心においては、磁束の漏れを防ぎかつ効率を上げるために、最外郭の平行心部が被加熱パイプを包むように扇型に広がって互いに連結してもよい。
導電磁性材料からなる被加熱部材では、誘導加熱の最大消費電力を得るための条件において、前記部材に発生する誘導電流の分布状態つまり断面積、長さ、密度と透磁率および電気伝導度が圧縮磁場の磁束密度と密接に関係する。本発明装置ではこうした上記条件を考慮した緒定数の設定を可能とする。
また圧縮磁場の強度を増すため、パイプと誘導磁心の直行心部を含む空間を金属シールド板で覆い包むことを考えてもよい。
本発明にあっては、前記発明が不備となる箇所を補うため前記誘導磁心に加えて付帯誘導発熱部材を用いる。この場合、これらが密閉した空間に圧縮した磁束密度の高い磁束路を形成するため、各誘導コイルによって発生する磁力線のほとんどをこの付帯誘導発熱部材を含む磁束路に収束保持させて外部に漏れるのを防ぐことができる。そして付帯誘導発熱部材中に磁力線を高密度で交番通過させることにより高い効率で誘導電流を流すことができ、それにより付帯誘導発熱部材に発生したジュール熱を接触した被加熱パイプ部材に伝導して効果的に加熱することができる。
本発明によれば、誘導磁心と被加熱パイプ部材とが圧縮磁場の導電性材料を含む磁束路を形成することになり、各誘導コイルによって発生する磁力線が、外部に漏れるのを防ぎながら効率良く導電性材料を通過するように装置定数を設定することができる。これにより被加熱パイプ部材中に磁力線を高密度に交番通過させ、最大消費電力の設定を可能として、高い効率で誘導電流を流すことができて効果的な直接誘導加熱が可能となる。
本発明によれば、電熱線ヒーターにおけるような絶縁体を必要とせず、加熱部材(誘導発熱部材)を直接被加熱体(被加熱パイプ部材)に接触させることができ、瞬時の加熱効率を著しく向上させることができる。また誘導磁心と誘導発熱部材とが密閉した空間で導電磁性体を含む圧縮磁場の磁束路を形成することで、各誘導コイルによって発生する磁力線のほとんどをこの磁束路に収束通過させて外部に漏れるのを防ぎつつ、誘導発熱部材中に磁力線を高密度に交番通過させ、高い効率で誘導電流を流すことができ、それにより誘導発熱部材に発生したジュール熱を被加熱パイプ部材に接触伝導させて効果的に加熱することが可能となる。誘導発熱部材が被加熱パイプ部材に対して弾性的に接触することにより、被加熱パイプ部材の外周面に対しばね力(弾性)をもって良好に密着接触し効果的に接触熱伝導できる。
本発明によれば、複数の支持部材片に分割可能な支持部材で誘導磁心を支持し、支持部材片を分割した状態のものとで被加熱パイプ部材に対し支持部材を着脱することで、被加熱パイプ部材の両端に大きな固定物が取り付けられている場合や、または被加熱パイプ部材の長さが非常に長い場合であっても、容易に装置本体を任意の軸方向位置に据え付けることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図1の(a),(b),(c)はそれぞれ本発明の請求項1の実施形態であるT字型磁心、U字型磁心あるいはE字型磁心の誘導磁心からなるパイプ誘導加熱装置を被加熱パイプ部材に二つずつ向き合わせて据え付けた状態の断面図である。
本実施の形態のパイプ誘導加熱装置1、13は磁性体と非磁性体の両方の導電性材料に共通で、それぞれ円形断面の被加熱パイプ11を用いた一般的なものである。実際のパイプ形状は加熱目的によってそれぞれ異なり、中空を流れる流体を加熱する場合は扁平な管となり、パイプ接合の場合は2つのパイプの接合部が対象となる。図1に示すようにパイプ誘導加熱装置1は、電源ユニット2と装置本体3とを有している。高周波電流供給手段としての電源ユニット2は、ほぼ直方体形状のケースを有し、上面には取手4が取り付けられて、持ち運び自在となっている。この電源ユニット2は商用電源のコネクタに接続されるプラグ5を有し、このプラグ5はACコード6により電源スイッチ7を介して電源ユニット2内の機器に接続されている。電源ユニット2は商用交流電源の周波数をおよそ20〜30kHzの高周波に変えて出力するものであり、出力コード8を介して装置本体1の後述する複数の誘導コイルが接続されている。
各誘導磁心10は強磁性の絶縁体であるフェライトを材質としており、それぞれ被加熱パイプ11の側面に平行な平行心部10aと、それに一体となって被加熱パイプ11の側面と直交する配置の直交心部10bとで形成されている。直交心部10bのそれぞれには、多数の絶縁細線(絶縁カバー導線)をより合わせたリッツ線で巻回して構成する誘導コイル9が装着されており、各誘導コイル9は出力コード8を介して電源ユニット2に接続されている。前記接続はコイルのインダクタンスの都合で直列もしくは並列接続とし、更に必要に応じて補償コンデンサ12を直列接続する。複数の直交心部10bを持つ誘導磁心10に装着される誘導コイル9は、コイルが複数の場合、交互に逆向きの方向に巻回される。
なお、図1(b),(c)に示すパイプ誘導加熱装置については、電源ユニット2は図示省略されており、これらの装置においても補償コンデンサ12がそれぞれのコイルに必要に応じて直列接続される。
磁束の圧縮が十分な場合、パイプ11上の誘導電流Cはパイプの横断面の輪郭に沿って流れ、パイプの内側11aと外側11bでその流れ方を変える。パイプが非磁性体の導電性材料でできている場合の誘導電流は、ほとんどはパイプの外側表面に流れ、パイプ内の磁束の変化を妨げる向きに流れる。パイプが磁性体の導電性材料で造られている場合は、パイプを構成する導電磁性体に磁束が集中して通過するため、前記パイプの外側の流れに加え、パイプの内側に外側と反対向きとなる起電力を生じ、それらの総和として誘導電流が磁束の変化を妨げる向きに流れる。直交心部10bの断面積がパイプの表面積に比べ小さい場合は直交心部に対面するパイプ表面に円形状のループする誘導電流を伴うことになる。本発明の請求項1の目的に適わない例では、つまり非磁性導電性材料のパイプに対し直交心部10bがパイプ表面から遠ざかっている場合や、圧縮磁場の磁束密度に対しパイプ材の導電率が高すぎる場合は、パイプ表面でループする誘導電流が発生し磁束はパイプ内には通過しない。
次に本実施形態のパイプ誘導加熱装置1の作動について説明する。図1(a),(b)および(c)において、電源ユニット2から交流電力が供給されてパイプ誘導加熱装置1が作動している状態では、各誘導コイル9に交流電流が流れることにより電磁誘導作用によって誘導コイル9が巻回されている直交心部10bの内部に交番する磁力線Maが発生する。同一の誘導磁心10に装着される2つ以上の誘導コイル9については交互に逆方向の巻回とする。ここで発生する磁力線Maは直交心部10bを通過し、パイプ表面に流入した後、再びパイプを抜け出て近くの他の直交心部10bまたは反対磁極の磁心部に向い一体に形成されている平行心部10aを経て、元に戻りループを形成する。 そのため磁束は不要な外部には漏出しない。
ここで比較例として、パイプ部材に適用した従来のパイプ誘導加熱装置201は図9に示すように被加熱パイプ部材211の外周を囲むようにして空心コイル209を巻回するだけの構成であったため、電磁誘導作用によって被加熱パイプ部材211の内部に発生した磁力線Mbは空心コイル209の両端から外部の空間へ拡散するように漏れてそれぞれ大きなループ形状の磁路を通過していた。
しかし上記のように本実施形態のパイプ誘導加熱装置1の場合には、パイプ11中を通過する磁力線Maは誘導磁心10が存在する範囲にのみ通過してそれ以外の外部にほとんど漏れることがないため加熱範囲を限定させることができ、それにより不要箇所への加熱を防いで無駄な加熱による電力損失を抑えることが可能となる。
また表皮効果を得るために供給電流の周波数を例えば100kHz以上にまで上げた場合でも、外部に磁力線Maを漏らすことがないため作業者への影響を遮断する効果もある。
また各誘導磁心10に巻回されている誘導コイル9は共通の電源ユニット2に対して接続されているため、全て被加熱パイプ11の内部に対し同じ強さで同じ交番方向に磁力線Maを発生させることができ、そのため図示するように被加熱パイプ11を効率良く誘導加熱することができる。
なお以上に説明した請求項1の実施形態のパイプ誘導加熱装置1は、図示したパイプ導体を介してお湯または蒸気などの流体を加熱するのに利用できる。これは、内部に蒸気を流通させた被加熱パイプ部材(被加熱パイプ11)を数百℃にまで誘導加熱することで蒸気などの流体の温度を良好に調節し出力する装置である。
前記パイプ誘導加熱装置1は、図6(a)に示すように導電性材料のパイプ11のロウ着加工や熱融解性接着剤を用いた熱接着加工のような直接的な加熱加工に対しても利用できる。これは絶縁物などを介さず発熱体の熱を直接利用し、熱が加工物全体に伝播する前に局所的に加熱加工を完了させることを図った、つまり誘導加熱の長所を生かした、瞬間加熱加工装置である。
図2は、本発明の請求項1の実施形態であるT字型磁心のパイプ誘導加熱装置13を被加熱パイプ部材に据え付けた状態の斜視図である。U字型磁心やE字型磁心を用いたパイプ誘導加熱装置についてもほぼ同様な斜視図となるため、この図2でこれらの斜視図を代表することとする。
図2において、それぞれの誘導磁心10はフェライトを材質とし、誘導磁心の3つの直交心部10bが回転対称的に被加熱パイプ11に対面するように向けられ、外側の平行心部10aと接続している。この誘導磁心は全体を支持部材113で安定に固定される。各直交心部10bに誘導コイル9が装着されており、それぞれのコイルは対面する各直交心部10bの極性が同じとなるように巻回されている。
本実施形態は、図1で説明した蒸気加熱装置やパイプ加熱加工装置と同様な目的でより大きな加熱出力を持つ装置として利用することができ、請求項3に記載した内容に従い支持部材(固定台)113を半割りにすることで、パイプの着脱を容易にしている。
図3は本発明の請求項2の実施形態でU字型の誘導磁心110に付帯被加熱部材110dを備えたパイプ誘導加熱装置を被加熱パイプ部材に据え付けた状態の斜視図である。
図3において、それぞれの誘導磁心110はフェライトを材質とし、非磁性体被加熱パイプ111の中心軸Lと平行な平行心部110aと、その上下両端側から非磁性体被加熱パイプ111の中心軸Lと直交する配置の2つの直交心部110bに加え、さらに各直交心部110bの先端から互いに近づく方向に伸びた傾斜心部110cを一体に形成して、それら傾斜心部110cの先端の間を渡すように付帯誘導発熱部材であるアーチ形状の鋼板でできた弾性接触加熱部110dが取り付けられている。各直交心部110bの外周に誘導コイル9が装着されており、同じ誘導磁心110に装着されている2つの誘導コイル9は互いに逆向きの方向で巻回されている。また図3に示すように各誘導磁心110は直交心部110bに巻回されている誘導コイル9のリッツ線の高さに合わせて全体を安定固定させるために支持部材113の上面との間にスペーサ115を挟んで固定されている。
付帯の弾性接触加熱部110dを構成する鋼板は導電磁性材料であり、誘導コイル9から傾斜心部110cを介して交番磁力線が通過した場合には誘導電流が交番流通してジュール熱により発熱し、誘導発熱部材として機能する。この鋼板を用いて最高消費電力を生み出すためには、装置で形成される圧縮磁場の下に鋼板の透磁率、導電率および断面形状や長さが必要な条件を満足していなければならない。本装置はこうした条件を考慮することを可能とする。
また弾性接触加熱部110dは、非磁性体被加熱パイプ111(被加熱パイプ部材)に外周側曲面を向けていることから非磁性体被加熱パイプ111の外周面に対しばね力(弾性)をもって撓みながら良好に密着接触できるようになっている。
また各傾斜心部110cの先端と弾性接触加熱部110dとの間には薄板形状の断熱材が挟み込まれており、弾性接触加熱部110dから傾斜心部110cへの熱伝導による損傷を防ぐようになっている。
図4は図3の誘導加熱装置を半割り形状で開いて被加熱パイプ部材を取り外した状態の平面図である。また図1および図2で示した誘導磁心を3つ組みにした(T字型磁心、U字型磁心あるいはE字型磁心からなる)誘導加熱装置において、これを半割りにした形態は図4と同様となりこれらの図は図4に代表される。
図4に示すように、2つの支持部材片113a、113bはそれら図中上方の端部どうしが共通の回転軸117により軸止されており、この回転軸117を中心に各支持部材片113a、113bどうしが相互に回動して図中下方の端部間を開閉できるようになっている。これにより、被加熱パイプ部材の両端に大きな固定物が取り付けられている場合や、または被加熱パイプ部材の長さが非常に長い場合であっても、容易に装置本体103を任意の軸方向位置に据え付けることができるようになっている。
以上の請求項2に記載したパイプ加熱装置103によれば、図5に示すように各誘導磁心110の弾性接触加熱部110dを非磁性体被加熱パイプ111の外周に密着させた状態で誘導コイル9から交番磁力線Maを発生させることにより、弾性接触加熱部110d中の閉経路上で誘導電流Cを交番通過させることができ、誘導加熱により弾性接触加熱部110dに生じた熱を非磁性体被加熱パイプ111に接触熱伝導して加熱することができる。
すなわち本来は非磁性体材料の被加熱パイプ部材(非磁性体被加熱パイプ111)に対して直接磁力線Maを交番通過させることができないため誘導加熱が不可能であったところ、本実施の形態においては始めに磁性体材料の誘導発熱部材(弾性接触加熱部110d)を誘導加熱して被加熱パイプ部材に接触熱伝導することにより間接的に誘導加熱できるようになっている。これにより非磁性材料の被加熱パイプ部材に対しても瞬間的に高温加熱できるなど誘導加熱の利便性を生かした加熱作業を行うことができる。
また本実施の形態の場合は、弾性接触加熱部110dを有する誘導磁心110が圧縮磁場における導電磁性体を含む磁束路を形成することになり、各誘導コイル9によって発生する磁力線Maのほとんどをこの磁束路に収束通過させて外部に漏れるのを防ぐことができる。これにより弾性接触加熱部110dに磁力線Maを高密度に交番通過させ、高い効率で誘導電流Cを流すことができ、それにより弾性接触加熱部110dに発生したジュール熱を非磁性体被加熱パイプ111に接触伝導させて効果的に加熱することが可能となる。
本実施の形態によれば、電熱線ヒーターにおけるような絶縁体を必要とせず、加熱部材(誘導発熱部材)を直接被加熱体(被加熱パイプ部材)に接触させることができ、瞬時の加熱効率を著しく向上させることができる。
なお以上に説明した請求項2の実施形態のパイプ誘導加熱装置101は、非磁性材料の被加熱パイプ部材を瞬時に数百℃まで加熱することができるため、例えば図6(b)に示すように2つの非磁性体被加熱パイプ111a、111bでロウ材118を介して嵌合させた箇所を加熱することにより容易に結合することができる。
また請求項2の上記実施形態での被加熱パイプ部材の材質には、有機材料や肉厚の金属材料など、請求項1の実施形態の装置で直接誘導加熱することのできない非磁性材料も適用可能である。例えば請求項1の実施形態の装置において銅、アルミニウムや非磁性のステンレス鋼などからなる太いパイプの誘導加熱には困難が多く、請求項2の実施形態はこれらの困難を克服する。
また、図7に示すように本実施形態のパイプ誘導加熱装置101の装置本体103全体をアルミ板などで形成した磁気シールド119で覆うようにすれば、内部の磁束密度を高め、さらに外部への磁力線の漏れを厳密に防ぐことができるようになる。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、被加熱パイプ部材は上記実施の形態のように中空の管形状に限られず中実丸棒でもよく、鉄柱の場合には鉄柱内部にも効果的に磁力線を通過させて誘導加熱することができる。
また装置本体が備える誘導磁心10、110の数は2つまたは3つに限定することなく、4つ以上備えてもよい。その場合でもたとえば誘導磁心110を5つ備える構成で、図8に示すように被加熱パイプ部材120の周方向に均等に配置することにより圧縮磁場強度を高めるとともに被加熱パイプ部材120を周方向に均一に加熱することができる。
また上記実施形態は装置本体1、13、103と電源ユニット2とを分離した構成となっているが、それらを一体化して携帯型の構成としてもよい。なおこの場合には商用電源からの電力供給によらず、例えば電源ユニット2に充電型直流電源としてのリチウムイオン電池とインバータを搭載して高周波電流を誘導コイル9に供給できるようにし、装置単独で使用できるようにしてもよい。
(a),(b),(c)はそれぞれ本発明の請求項1の実施形態で、T字型、U字型とE字型の誘導磁心をそれぞれ二つずつ向き合わせた状態の断面図とパイプ誘導加熱装置の斜視図である。 本発明の請求項1と3の実施形態で、回転対称的に配置した三つのT字型磁心から構成されるパイプ誘導加熱装置を被加熱パイプ部材に据え付けた状態の斜視図である。 本発明の請求項2と3の実施形態で、回転対称的に配置した三つのU字型磁心と付帯誘導発熱部材から構成されるパイプ誘導加熱装置を被加熱パイプ部材に据え付けた状態の斜視図である。 装置本体を半割り形状で開いて被加熱パイプ部材を取り外した状態の平面図である。 作動中のパイプ誘導加熱装置を上から見た平面図である。 (a)2つの導電性材料の被加熱パイプの嵌合部と(b)2つの非磁性材料の被加熱パイプ接合部を、それぞれ加熱結合させる構成例の断面図である。 請求項2の実施形態の誘導磁心を磁気シールドで覆った構成の軸方向断面図である。 被加熱パイプ部材の周方向に5つの誘導磁心を均等に配置した構成の平面図である。 比較例の誘導コイルの構成と磁力線の発生の様子を説明する図である。
符号の説明
1 パイプ誘導加熱装置
2 電源ユニット(高周波電流供給手段)
3 装置本体
4 取手
5 プラグ
6 ACコード
7 電源スイッチ
8 出力コード
9 誘導コイル
10 誘導磁心
10a 平行心部
10b 直交心部
11 被加熱パイプ(被加熱パイプ部材)
11a、11b 側面
12 補償コンデンサ
13 装置本体
100 パイプ誘導加熱装置
101 パイプ誘導加熱装置
103 装置本体
111、111a、111b 非磁性体被加熱パイプ(被加熱パイプ装置)
110 誘導磁心
110a 平行心部
110b 直交心部
110c 傾斜心部
110d 弾性接触加熱部(付帯誘導発熱部材)
113 支持部材
113a、113b 支持部材片
114 挿入孔
115 スペーサ
116 断熱材
117 回転軸
118 ロウ材
119 磁気シールド
120 被加熱パイプ部材
201 パイプ誘導加熱装置
209 空心コイル
211 被加熱パイプ部材
L 中心線
Ma 磁力線
Mb 磁力線
C 誘導電流

Claims (3)

  1. 導電性材料である被加熱パイプ部材の側面にほぼ平行に配置される平行心部と当該平行心部から前記被加熱パイプ部材の側面に向かってほぼ直交する方向に配置される1つもしくは複数の直交心部とを備えた強磁性材料からなる複数の誘導磁心と、
    前記複数の誘導磁心に巻回される誘導コイルと、
    前記誘導コイルに高周波電流を供給する高周波電流供給手段とを有し、
    前記被加熱パイプ部材を中心に回転対称的に対向する前記直交心部の極性が同じとなるようにそれぞれの前記誘導磁心に前記誘導コイルを巻回することにより、前記被加熱パイプ部材に圧縮磁場の磁束路を形成し、
    電磁誘導作用により前記被加熱パイプ部材に直接誘導加熱を行うことを特徴とするパイプ誘導加熱装置。
  2. 非磁性材料である被加熱パイプ部材の側面にほぼ平行に配置される平行心部と当該平行心部から前記被加熱パイプ部材の側面に向かってほぼ直交する方向に配置される複数の直交心部とを備えた強磁性材料からなる複数の誘導磁心と、
    前記直交心部をつなぐとともに前記被加熱パイプ部材の側面に接触する導電磁性材料の付帯誘導発熱部材と、
    各々の前記誘導磁心に巻回する複数の誘導コイルと、
    前記誘導コイルに高周波電流を供給する高周波電流供給手段とを有し、
    前記被加熱パイプ部材を中心に回転対称的に対向する前記直交心部の極性が同じとなるようにそれぞれの前記誘導磁心に前記誘導コイルを巻回することにより、前記付帯誘導発熱部材に圧縮磁場の磁束路を形成し、
    電磁誘導作用により前記付帯誘導発熱部材に誘導加熱を行い、
    前記付帯誘導発熱部材が前記被加熱パイプ部材に接触して熱伝導することを特徴とするパイプ誘導加熱装置。
  3. 請求項1〜2のいずれか1項に記載のパイプ誘導加熱装置において、前記複数の誘導磁心を支持する支持部材を複数に分割される支持部材片により形成し、前記複数の支持部材片を分割した状態のもとで前記被加熱パイプ部材に対して前記支持部材を着脱することを特徴とするパイプ誘導加熱装置。
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