JP4155200B2 - 結晶粒微細化マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気カミソリ、バリカン等の鋭角な刃先と耐食性が要求される刃物や、歯車等の耐摩耗性と耐食性が要求される部材の素材として特に好適な結晶粒微細化マルテンサイト系ステンレス鋼材の製造方法に関するものである。
従来、電気カミソリ、バリカン等の鋭角な刃先を有する刃物や、耐食性と耐摩耗性が要求される歯車等の機構部品にはSUS420J2や、これにモリブデン(Mo)を添加して耐食性を改善し、鋳造→鍛造→熱間圧延→冷間圧延を経て得られるステンレス鋼材が使用されている。この素材は焼鈍後における塑性加工性が高く、焼入れをすることにより高強度/高硬度が得られるが、結晶粒径が2〜10μm程度で、炭化物粒子径が1μm以上であり、硬度はHvで600程度、耐力も最大で1.3GPa程度である。
炭化物を微細化するため、鋳塊に熱処理を施す方法が提案されているが(例えば、特許文献1参照)、依然として炭化物の微細化が不十分であり、さらなる強度の改善が望まれている。特に、バリカンや電気カミソリ用の刃物として使用する場合は、固定刃に髪の毛や髭などの被切断物を導入して切断するが、被切断物の導入率を高めるには開口率を増加させる必要がある。しかしながら、そのような高い開口率を得るには十分な素材強度が必要不可欠であり、現状の電気カミソリの開口率は50%程度である。
また、機械加工により鋭角な刃を作製しようとすると、刃先にたわみや塑性変形が生じ、刃先にバリが発生しやすい。さらに、結晶粒が粗大であると、刃先摩耗の問題や結晶粒が欠落することによる刃先チッピングの問題が起こりやすくなり、結果的に刃物寿命の短命化を招く。
SUS420J2より硬度および強度が高く、耐食性に優れた素材としてSUS440Cのような高炭素、高クロムの素材の使用も考えられるが、この材料は加工性が悪く、厚さ0.5mm以下の薄帯に加工したり、バリカンや電気カミソリのような複雑な形状に成形することが困難である。このため、比較的単純な形状をしたナイフなどにもっぱら使用されている。
高炭素、高クロムの素材で薄帯を作製する方法も提案されているが(例えば、特許文献2参照)、この方法によって得られた高炭素、高クロム含有ステンレス鋼は非常に硬く、そのままでは曲げ加工等の塑性加工を行うことは困難である。また、焼戻して延性を確保することも考えられるが、分散している微細炭化物の粗大化が避けられず、耐食性を劣化させる恐れがある。さらに、高クロムであることからSUS420J2に比して材料費のコストアップが避けられない。
特開平7−3333号公報(要約) 特開平7−227650号公報(要約)
本発明は、このような事実を考慮して、SUS440系よりも安価なSUS420J2系をベース組成とした溶融金属を超急冷凝固法で凝固させ、得られた板片もしくは薄帯の素材鋳塊に必要に応じて焼き戻し処理を行った後、冷間圧延を施して微細組織を有するフェライト鋼を作製し、このフェライト鋼を所定の形状に塑性加工した後、焼き入れ処理することで旧オーステナイト粒径が微細なマルテンサイト鋼として高強度化、高硬度化できることを見出し、完成に到ったものであり、この後、研削、研磨等で刃付け加工することで髪の毛や髭などの被切断物の導入率(開口率)が高く、刃先の鋭利(刃先角、刃先Rともに小さい)な寿命の長い刃物や、耐摩耗性、耐食性に優れた歯車などの機構部品や摺動部材を提供することができる。
すなわち、本発明の結晶粒微細化マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法は、Cr:13.0〜14.0重量%、Mo:1.15〜1.35重量%、C:0.35〜0.55重量%、Si:0.20〜0.50重量%、Mn:0.20〜0.50重量%、P:0.025重量%以下、S:0.020重量%以下、残部:Fe及び不可避な不純物元素でなる組成を有する溶融金属を超急冷凝固することにより素材鋳塊を得るステップと、この素材鋳塊に冷間圧延を行いフェライト鋼を得るステップと、このフェライト鋼を所定の形状に加工した後、焼き入れ処理するステップとを含むことを特徴とする。
上記製造方法において、超急冷凝固は冷却速度10℃/秒以上の冷却速度で行うことが好ましい。具体的には、0.1m/秒以上の周速で回転するロールの表面に溶融金属を吹き付けたり、鋳込み面間隔が5mm以下となる条件で溶融金属を水冷銅鋳型に鋳込んで超急冷凝固を行うことができる。
上記製造方法において、冷間圧延は一対の圧延ロールの間を圧延率50〜80%の条件で1回のみ通すことにより行うことが好ましい。また、必要に応じて、冷間圧延に先立って焼戻し処理を行ってもよい。この場合は、焼戻しを325〜550℃の保持温度、30〜1800秒の保持時間で行うことが好ましい。
上記製造方法により、結晶粒微細化マルテンサイト系ステンレス鋼でなる刃物を作製する場合は、フェライト鋼を塑性加工により刃物形状にした後、焼き入れ処理し、次いで研削、研磨により刃付け加工することが好ましい。また、必要に応じて、塑性加工に先立って焼鈍処理を行ってもよい。
本発明によれば、SUS420J2をベース組成とする溶融金属を急冷凝固して得た素材鋳塊に冷間圧延を施すことで母相が1μm以下の微細フェライト結晶で分散炭化物粒子が0.1μm以下あるいは存在しないフェライト鋼を得ることができ、その後、このフェライト鋼を所定の形状に加工、焼き入れ処理するすることで旧オーステナイト粒径が0.1μm以下の微細組織を有するマルテンサイト鋼材を得ることができる。これらの工程を経ることで素材は高強度を有するものとなり、シェーバー外刃のような閉鎖系の刃物においては開口率の向上が図れるとともに、鋭利な刃先(刃先角度が小さく、刃先Rが1μm以下)を提供することができる。また、高硬度からの高耐摩耗性と、微細組織によるチッピングの防止によって刃物としての長寿命化を達成することができる。このように、本発明の製造方法により得られる結晶粒微細化マルテンサイト系ステンレス鋼は刃物用途に用いることが特に好ましく、耐摩耗性に優れる機構部品や摺動部材としても好適である。
本発明は、SUS420J2をベース組成としたマルテンサイト系ステンレス鋼原料を秤量、溶融、鋳込んで溶融金属を作製する。すなわち、Cr:13.0〜14.0重量%、Mo:1.15〜1.35重量%、C:0.35〜0.55重量%、Si:0.20〜0.50重量%、Mn:0.20〜0.50重量%、P:0.025重量%以下、S:0.020重量%以下、残部:Fe及び不可避な不純物元素でなる組成を有する溶融金属を作製する。尚、Cr:13.0〜14.0重量%、Mo:1.15〜1.35重量%、C:0.35〜0.55重量%に制限する目的は、耐食性の確保と焼鈍後の加工(例えば、プレス加工)による塑性加工性を確保するためである。また、PおよびSは、それぞれ0.025重量%以下および0.020重量%以下であるので溶融金属内に存在しなくてもよい。溶融金属の一例として、Cr:13.5重量%、Mo:1.25重量%、C:0.40重量%、Si:0.25重量%、Mn:0.25重量%、残部:Feでなる組成を例示できる。
次に、この溶融金属を超急冷凝固法で凝固させ、板状あるいは帯状の素材鋳塊を得る。超急冷凝固は10℃/秒以上の冷却速度で行うことが好ましい。冷却速度が10℃/秒を下回ると、炭化物の析出および凝集が進行して分散炭化物粒子径が0.1μm以上になりやすい。このような超急冷凝固法としては、例えば、水冷銅鋳型連続鋳造法や回転ロール法を採用できる。水冷銅鋳型連続鋳造法を採用する場合は、不活性ガス雰囲気中で、所定寸法(例えば、断面形状15mmx15mmx40mm)の水冷銅鋳型に溶融金属を連続鋳造することが好ましい。尚、十分な冷却速度を確保するため、銅鋳型の面間隔(鋳込み面間隔)は5mm以下であることが好ましい。また、回転ロール法を採用する場合は、不活性ガス雰囲気中で0.1m/秒の周速で回転する回転ロールに溶融金属を噴射することが好ましい。
超急冷凝固して得られた素材鋳塊には必要に応じて焼戻し処理を行う。焼戻し処理を行う場合は、325〜550℃の保持温度、30〜1800秒の保持時間で行うことが好ましい。325℃以下では、回転ロール法で急冷凝固させた素材鋳塊の脆性を十分に除去できなかったり、かえって脆化を起こさせる恐れがある。また、高出力で圧延ロールの変形の少ない多段式圧延機や巨大ロールを備えた圧延機が必要になる。一方、550℃以上では、超急冷凝固によって得たマルテンサイト組織の維持が困難になり、結果として後述する冷間圧延後に結晶粒径1μm以下のフェライト組織を得難くなる。また、保持時間が30秒未満であると焼戻しの効果が十分に得られない恐れがあり、1800秒を超えると炭化物の析出や炭化物が凝集して組織が粗大化する恐れがある。
次に、超急冷凝固によって得られた素材鋳塊、もしくは焼戻し処理を施した素材鋳塊に冷間圧延を行う。冷間圧延は一対の圧延ロールの間を圧延率50〜80%の条件で1回のみ通すことにより行うことが好ましい。冷間圧延を1パスで行うことにより、安定して微細フェライト組織を形成することができる。また、圧延率が50未満であると、微細フェライト組織の形成が不完全になる恐れがあり、圧延率が80%以上になると、鋼板に亀裂が発生して後工程が行いに難くなる恐れがある。この冷間圧延によって、0.1μm未満の微細組織でなるフェライト鋼、もしくは分散炭化物粒子が存在しない(炭化物がすべて固溶した)平均結晶粒径1μm未満の微細組織でなるフェライト鋼が得られる。
このようにして得られたフェライト鋼を所定の形状に加工(例えば、冷間圧延)した後、焼入れ処理する。焼入れ処理は1030℃〜1070℃の温度で、30〜300秒保持し、0.1℃/秒以上の冷却速度で行うことが好ましい。焼入れ温度が1030℃未満であったり、保持時間が30秒未満であると、マルテンサイト変態が不十分となる恐れがある。また、焼入れ温度が1070℃以上であったり、保持時間が300秒以上であると、炭化物の析出のない状態で粒成長が誘発されて強度の低下を招く恐れがある。さらに、冷却速度が0.1℃/秒未満であると、マルテンサイト変態が不十分となりやすく、また冷却時に炭化物が析出/凝集することにより機械的性能の低下を招く恐れがある。尚、フェライト鋼を所定の形状に加工するに先立って焼鈍処理を行ってもよい。焼鈍処理の条件としては、例えば、700℃、30秒間加熱する。
上記焼入れ処理により、1μm以下の旧オーステナイト粒径を有する結晶粒微細化マルテンサイト系ステンレス鋼が得られる。得られたステンレス鋼の耐力は1.6GPa以上で、硬度はHvで800にも達する。例えば、焼入れ処理前にプレス加工等により加工を施した後、焼入れ処理を実施し、研削および研磨によって刃付け処理を施せば、結晶粒微細化マルテンサイト系ステンレス鋼でなるカミソリ用内刃や外刃などの刃物を製造することができる。この刃物においては、開口率を向上させて髪の毛や髭等の被切断物の導入量を増やせるとともに、鋭利な刃先を有するにもかかわらず長寿命化を図ることができる。このように、本発明の製造方法により得られる結晶粒微細化マルテンサイト系ステンレス鋼を用いれば、高強度、高硬度に加えて高開口率と鋭利な刃先を有する長寿命の刃物を提供することができる。さらに、摺動部材、歯車等の機構部品に本発明の製造方法により得られる結晶粒微細化マルテンサイト系ステンレス鋼を用いた場合においては、高強度、高硬度に加えて、耐食性、耐摩耗性に優れる各種部品を提供することができる。
以下、本発明の結晶粒微細化マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法を好ましい実施例に基づいて具体的に説明する。
(実施例1)
Cr:13.5重量%、Mo:1.25重量%、C:0.40重量%、Si:0.25重量%、Mn:0.25重量%、残部:Feとなるように原料を秤量し、それを攪拌しながら、加熱、溶融し、断面形状が15mmx15mmx40mmの銅鋳型に鋳込んだ。図1に示すように、得られた溶融金属6を、0.05MPaのArガス雰囲気中、周速10m/秒で回転する銅ロール4に雰囲気+0.05MPaの圧力で噴射し、幅20mm、厚さ0.1mmの薄帯5を得た。この時の冷却速度は100℃/秒である。得られた薄帯を400℃、30秒間加熱して焼戻しした後、冷間圧延にて厚さ0.04mmになるように1パスで圧延することにより結晶粒径が0.8μmで炭化物粒子が存在しないフェライト素材を得た。
次いで、このフェライト素材を700℃、30秒間加熱して焼鈍した後、1050℃、30秒間加熱、10℃/秒で冷却する焼入れ処理を行った。これにより、旧オーステナイト粒径が0.8μmで分散炭化物粒子の存在しないマルテンサイト系ステンレス鋼を得た。このステンレス鋼の耐力は1.8GPaであり、硬度はHvで900であった。
本実施例では、上記焼入れ前の薄帯を電気カミソリの外刃形状にプレス加工する際に従来の外刃と同等の桟強度が得られるように桟幅を従来の75%、刃先角度45°になるように設定してプレス加工を施した後、1050℃、30秒間加熱、10℃/秒で冷却する焼入れ処理を実施し、図4に示すように、研削および研磨により刃付け処理を施して電気カミソリ用外刃を得た。この外刃を評価したところ、開口率が55%、髭の導入率が65%、刃先Rが0.2μmであった。
(実施例2)
Cr:14.0重量%、Mo:1.35重量%、C:0.55重量%、Si:0.20重量%、Mn:0.20重量%、残部:Feとなるように原料を秤量し、それを攪拌しながら、加熱、溶融し、断面形状が15mmx15mmx40mmの銅鋳型に鋳込んだ。図2に示すように、得られた溶融金属6を、0.05MPaのArガス雰囲気中、周速5m/秒で回転する一対の銅ロール4の間(間隔0.4mm)に雰囲気+0.05MPaの圧力で噴射し、幅25mm、厚さ0.4mmの薄帯5を得た。この時の冷却速度は80℃/秒である。
得られた薄帯を350℃、30秒間加熱して焼戻しした後、冷間圧延にて厚さ0.2mmになるように1パスで圧延することにより結晶粒径1.0μmで炭化物粒子が存在しないフェライト素材を得た。次いで、このフェライト素材を700℃、60秒間加熱して焼鈍した後、1050℃、30秒間加熱、10℃/秒で冷却する焼入れ処理を行った。これにより、旧オーステナイト粒径が1.0μmで分散炭化物粒子の存在しないマルテンサイト系ステンレス鋼を得た。このステンレス鋼の耐力は1.6GPaであり、硬度はHvで800であった。
本実施例では、上記焼入れ前の薄帯を電気カミソリの内刃形状にプレス加工する際に刃先角度45°になるように設定してプレス加工を施した後、1050℃、30秒間加熱、10℃/秒で冷却する焼入れ処理を実施し、図4に示すように、研削および研磨により刃付け処理を施して電気カミソリ用内刃を得た。この内刃を評価したところ、刃先Rは0.5μmであった。
(実施例3)
Cr:13.5重量%、Mo:1.25重量%、C:0.40重量%、Si:0.25重量%、Mn:0.25重量%、残部:Feとなるように原料を秤量し、それを攪拌しながら、加熱、溶融し、断面形状が15mmx15mmx40mmの銅鋳型に鋳込んだ。得られた溶融金属6を、図3に示すように、0.05MPaのArガス雰囲気中、断面形状が2mmx2mmx50mmの水冷銅鋳型7に連続鋳造して薄帯5を得た。この時の冷却速度は20℃/秒である。得られた薄帯を350℃、120秒間加熱して焼戻しした後、冷間圧延にて厚さ0.8mmになるように1パスで圧延することにより粒径が0.5μmで分散炭化物粒子径が0.05μmのフェライト素材を得た。
次いで、このフェライト素材を厚さ0.04mmまで冷間圧延し、さらに700℃、30秒間加熱して焼鈍した後、1050℃、30秒間加熱、10℃/秒で冷却する焼入れ処理を行った。これにより、粒径が0.5μmで分散炭化物粒子径が0.05μmのマルテンサイト系ステンレス鋼を得た。このステンレス鋼の耐力は1.8GPaであり、硬度はHvで900であった。
本実施例では、上記焼入れ前の薄帯を電気カミソリの外刃形状にプレス加工する際に従来の外刃と同等の桟強度が得られるように桟幅を従来の70%になるように設定してプレス加工を施した後、1050℃、30秒間加熱、10℃/秒で冷却する焼入れ処理を実施し、図4に示すように、研削および研磨により刃付け処理を施して電気カミソリ用外刃を得た。この外刃を評価したところ、開口率が58%、髭の導入が70%、刃先Rが0.3μmであった。
(実施例4)
Cr:13.5重量%、Mo:1.25重量%、C:0.40重量%、Si:0.25重量%、Mn:0.25重量%、残部:Feとなるように原料を秤量し、それを攪拌しながら、加熱、溶融し、断面形状が15mmx15mmx40mmの銅鋳型に鋳込んだ。得られた溶融金属6を、図3に示すように、0.05MPaのArガス雰囲気中、断面形状が4mmx4mmx25mmの水冷銅鋳型7に連続鋳造して薄帯5を得た。この時の冷却速度は15℃/秒である。得られた薄帯を400℃、180秒間加熱して焼戻しした後、冷間圧延にて厚さ2mmになるように1パスで圧延することにより粒径が1μmで分散炭化物粒子径が0.05μmのフェライト素材を得た。
次いで、このフェライト素材を厚さ0.4mmまで冷間圧延し、さらに700℃、30秒間加熱して焼鈍した後、1050℃、60秒間加熱、5℃/秒で冷却する焼入れ処理を行った。これにより、粒径が1μmで分散炭化物粒子径が0.08μmのマルテンサイト系ステンレス鋼を得た。このステンレス鋼の耐力は1.6GPaであり、硬度はHvで800であった。
本実施例では、上記焼入れ前の薄帯を電気カミソリの内刃形状にプレス加工する際に刃先角度45°になるように設定してプレス加工を施した後、1030℃、120秒間加熱、1℃/秒で冷却する焼入れ処理を実施し、図4に示すように、研削および研磨により刃付け処理を施して電気カミソリ用内刃を得た。この内刃を評価したところ、刃先Rは0.4μmであった。
(実施例5)
Cr:14.0重量%、Mo:1.25重量%、C:0.50重量%、Si:0.25重量%、Mn:0.25重量%、残部:Feとなるように原料を秤量し、それを攪拌しながら、加熱、溶融し、断面形状が15mmx15mmx40mmの銅鋳型に鋳込んだ。得られた溶融金属6を、図3に示すように、0.05MPaのArガス雰囲気中、断面形状が5mmx5mmx50mmの水冷銅鋳型7に連続鋳造して薄帯を得た。この時の冷却速度は10℃/秒である。得られた薄帯を200℃、120秒間加熱して焼戻しした後、冷間圧延にて厚さ2.4mmになるように1パスで圧延することにより粒径が0.8μmで分散炭化物粒子径が0.05μmのフェライト素材を得た。
次いで、このフェライト素材を厚さ0.4mmまで冷間圧延し、さらに700℃、30秒間加熱して焼鈍した後、1070℃、45秒間加熱、5℃/秒で冷却する焼入れ処理を行った。これにより、粒径が1.0μmで分散炭化物粒子径が0.05μmのマルテンサイト系ステンレス鋼を得た。このステンレス鋼の耐力は1.9GPaであり、硬度はHvで950であった。
本実施例では、上記焼入れ前の薄帯を電気カミソリの内刃形状にプレス加工する際に刃先角度30°になるように設定してプレス加工を施した後、1070℃、45秒間加熱、5℃/秒で冷却する焼入れ処理を実施し、図4に示すように、研削および研磨により刃付け処理を施して電気カミソリ用内刃を得た。この内刃を評価したところ、刃先Rは0.2μmであった。
(実施例6)
Cr:13.0重量%、Mo:1.35重量%、C:0.40重量%、Si:0.20重量%、Mn:0.45重量%、残部:Feとなるように原料を秤量し、それを攪拌しながら、加熱、溶融し、断面形状が15mmx15mmx40mmの銅鋳型に鋳込んだ。得られた溶融金属6を、図3に示すように、0.05MPaのArガス雰囲気中、断面形状が2mmx2mmx50mmの水冷銅鋳型7に連続鋳造して薄帯を得た。この時の冷却速度は20℃/秒である。得られた薄帯を550℃、60秒間加熱して焼戻しした後、冷間圧延にて厚さ0.4mmになるように1パスで圧延することにより粒径が0.2μmで分散炭化物粒子径が0.01μmのフェライト素材を得た。
次いで、700℃、30秒間の加熱による焼鈍と冷間圧延を繰り返すことによりこのフェライト素材を厚さ0.04mmになるまで加工し、再度700℃、30秒間加熱して焼鈍した後、1070℃、30秒間加熱、5℃/秒で冷却する焼入れ処理を行った。これにより、旧オーステナイト粒径が0.2μmで分散炭化物粒子径が0.02μmのマルテンサイト系ステンレス鋼を得た。このステンレス鋼の耐力は2.0GPaであり、硬度はHvで1000であった。
本実施例では、上記焼入れ前の薄帯を電気カミソリの外刃形状にプレス加工する際に従来の外刃と同等の桟強度が得られるように桟幅を従来の70%、刃先角度60°になるように設定してプレス加工を施した後、1070℃、30秒間加熱、5℃/秒で冷却する焼入れ処理を実施し、図4に示すように、研削および研磨により刃付け処理を施して電気カミソリ用外刃を得た。この外刃を評価したところ、開口率が58%、髭の導入率が70%、刃先Rが0.2μmであった。
(実施例7)
Cr:13.0重量%、Mo:1.35重量%、C:0.50重量%、Si:0.25重量%、Mn:0.25重量%、残部:Feとなるように原料を秤量し、それを攪拌しながら、加熱、溶融し、断面形状が15mmx15mmx40mmの銅鋳型に鋳込んだ。得られた溶融金属6を、図3に示すように、0.05MPaのArガス雰囲気中、断面形状が1.5mmx1.5mmx50mmの水冷銅鋳型7に連続鋳造して薄帯を得た。この時の冷却速度は30℃/秒である。得られた薄帯を400℃、60秒間加熱して焼戻しした後、冷間圧延にて厚さ0.4mmになるように1パスで圧延することにより粒径が0.4μmで分散炭化物粒子径が0.01μmのフェライト素材を得た。
次いで、このフェライト素材を700℃、60秒間加熱して焼鈍した後、1050℃、60秒間加熱、1.0℃/秒で冷却する焼入れ処理を行った。これにより、旧オーステナイト粒径が0.5μmで分散炭化物粒子径が0.01μmのマルテンサイト系ステンレス鋼を得た。このステンレス鋼の耐力は2.0GPaであり、硬度はHvで1000であった。
本実施例では、上記焼入れ前の薄帯を電気カミソリの内刃形状にプレス加工する際に刃先角度30°になるように設定してプレス加工を施した後、1050℃、180秒間加熱、1℃/秒で冷却する焼入れ処理を実施し、図4に示すように、研削および研磨により刃付け処理を施して電気カミソリ用内刃を得た。この内刃を評価したところ、刃先Rは0.2μmであった。
(実施例8)
Cr:13.0重量%、Mo:1.20重量%、C:0.35重量%、Si:0.25重量%、Mn:0.25重量%、残部:Feとなるように原料を秤量し、それを攪拌しながら、加熱、溶融し、断面形状が15mmx15mmx40mmの銅鋳型に鋳込んだ。得られた溶融金属6を、図1に示すように、0.05MPaのArガス雰囲気中、周速10m/秒で回転する銅ロール4に雰囲気+0.05MPaの圧力で噴射し、幅20mm、厚さ0.15mmの薄帯を得た。この時の冷却速度は100℃/秒である。得られた薄帯を400℃、30秒間加熱して焼戻しした後、冷間圧延にて厚さ0.06mmになるように1パスで圧延することにより結晶粒径が0.5μmで炭化物粒子が存在しないフェライト素材を得た。
次いで、700℃、30秒間の加熱による焼鈍と冷間圧延を繰り返すことによりこのフェライト素材を0.04mmまで加工した後、再度、700℃で30秒間加熱して焼鈍し、さらに1050℃、30秒間加熱、10℃/秒で冷却する焼入れ処理を行った。これにより、旧オーステナイト粒径が0.5μmで分散炭化物粒子の存在しないマルテンサイト系ステンレス鋼を得た。このステンレス鋼の耐力は1.7GPaであり、硬度はHvで850であった。
本実施例では、上記焼入れ前の薄帯を電気カミソリの外刃形状にプレス加工する際に従来の外刃と同等の桟強度が得られるように桟幅を従来の75%、刃先角度45°になるように設定してプレス加工を施した後、1050℃、30秒間加熱、10℃/秒で冷却する焼入れ処理を実施し、図4に示すように、研削および研磨により刃付け処理を施して電気カミソリ用外刃を得た。この外刃を評価したところ、開口率が55%、髭の導入率が65%、刃先Rが0.4μmであった。
(実施例9)
Cr:13.5重量%、Mo:1.25重量%、C:0.40重量%、Si:0.25重量%、Mn:0.25重量%、残部:Feとなるように原料を秤量し、それを攪拌しながら、加熱、溶融し、断面形状が15mmx15mmx40mmの銅鋳型に鋳込んだ。得られた溶融金属6を、図3に示すように、0.05MPaのArガス雰囲気中、断面形状が5mmx5mmx50mmの水冷銅鋳型7に連続鋳造して薄帯を得た。この時の冷却速度は10℃/秒である。得られた薄帯を冷間圧延にて厚さ2.5mmになるように1パスで圧延することにより粒径が1μmで分散炭化物粒子径が0.02μmのフェライト素材を得た。
次いで、700℃、60秒間の加熱による焼鈍と冷間圧延を繰り返すことによりこのフェライト素材を厚さ0.4mmになるまで加工し、再度700℃、30秒間加熱して焼鈍した後、1050℃、60秒間加熱、1℃/秒で冷却する焼入れ処理を行った。これにより、旧オーステナイト粒径が1μmで分散炭化物粒子径が0.02μmのマルテンサイト系ステンレス鋼を得た。このステンレス鋼の耐力は1.6GPaであり、硬度はHvで800であった。
本実施例では、上記焼入れ前の薄帯を電気カミソリの内刃形状にプレス加工する際に刃先角度30°になるように設定してプレス加工を施した後、1050℃、60秒間加熱、1℃/秒で冷却する焼入れ処理を実施し、図4に示すように、研削および研磨により刃付け処理を施して電気カミソリ用内刃を得た。この内刃を評価したところ、刃先Rは0.5μmであった。
(実施例10)
Cr:13.5重量%、Mo:1.25重量%、C:0.4重量%、Si:0.25重量%、Mn:0.25重量%、残部:Feとなるように原料を秤量し、それを攪拌しながら、加熱、溶融し、断面形状が15mmx15mmx40mmの銅鋳型に鋳込んだ。得られた溶融金属6を、図1に示すように、0.05MPaのArガス雰囲気中で、周速0.1m/秒で回転する銅ロール4に雰囲気+0.05MPaの圧力で噴射し、幅20mm、厚さ0.5mmの薄帯5を得た。得られた薄帯を325℃、30秒間加熱して焼戻しした後、冷間圧延にて厚さ0.2mmになるように1パスで圧延することにより結晶粒径が0.7μmで炭化物粒子が存在しないフェライト素材を得た。
次いで、700℃、30秒間の加熱による焼鈍と冷間圧延を繰り返すことによりこのフェライト素材を0.04mmまで加工した後、再度、700℃で30秒間加熱して焼鈍し、さらに1050℃、30秒間加熱、10℃/秒で冷却する焼入れ処理を行った。これにより、旧オーステナイト粒径が0.7μmで分散炭化物粒子の存在しないマルテンサイト系ステンレス鋼を得た。このステンレス鋼の耐力は1.9GPaであり、硬度はHvで950であった。
本実施例では、上記焼入れ前の薄帯を電気カミソリの外刃形状にプレス加工する際に従来の外刃と同等の桟強度が得られるように桟幅を従来の75%、刃先角度45°になるように設定してプレス加工を施した後、1050℃、30秒間加熱、10℃/秒で冷却する焼入れ処理を実施し、図4に示すように、研削および研磨により刃付け処理を施して電気カミソリ用外刃を得た。この外刃を評価したところ、開口率が55%、髭の導入率が65%、刃先Rが0.1μmであった。
(実施例11)
Cr:13.5重量%、Mo:1.25重量%、C:0.40重量%、Si:0.25重量%、Mn:0.25重量%、残部:Feとなるように原料を秤量し、それを攪拌しながら、加熱、溶融し、断面形状が15mmx15mmx40mmの銅鋳型に鋳込んだ。得られた溶融金属6を、図3に示すように、0.05MPaのArガス雰囲気中、断面形状が5mmx5mmx50mmの水冷銅鋳型7に連続鋳造して薄帯5を得た。この時の冷却速度は10℃/秒である。得られた薄帯を350℃、1800秒間加熱して焼戻しした後、冷間圧延にて厚さ1.0mmになるように1パスで圧延することにより粒径が0.4μmで分散炭化物粒子径が0.02μmのフェライト素材を得た。
次いで、700℃、60秒間の加熱による焼鈍と冷間圧延を繰り返すことによりこのフェライト素材を厚さ0.4mmになるまで加工し、再度700℃、30秒間加熱して焼鈍した後、1030℃、30秒間加熱、1℃/秒で冷却する焼入れ処理を行った。これにより、旧オーステナイト粒径が0.5μmで分散炭化物粒子径が0.02μmのマルテンサイト系ステンレス鋼を得た。このステンレス鋼の耐力は1.6GPaであり、硬度はHvで800であった。
本実施例では、上記焼入れ前の薄帯を電気カミソリの内刃形状にプレス加工する際に刃先角度30°になるように設定してプレス加工を施した後、1030℃、30秒間加熱、1℃/秒で冷却する焼入れ処理を実施し、図4に示すように、研削および研磨により刃付け処理を施して電気カミソリ用内刃を得た。この内刃を評価したところ、刃先Rは0.5μmであった。
(比較例1)
Cr:13.5重量%、Mo:1.25重量%、C:0.40重量%、Si:0.25重量%、Mn:0.25重量%、残部:Feとなるように原料を秤量し、それを攪拌しながら、加熱、溶融し、断面形状がφ80mmの銅鋳型に普通に鋳込んで鋳塊を得た。この鋳塊を熱間鍛造、圧延して幅50mm、厚さ5mmの圧延板を得た。この圧延板を700℃、300秒間加熱、焼鈍、再結晶化することにより粒径が10μmで分散炭化物粒子径が2μmのフェライト素材を得た。
次いで、このフェライト素材を厚さ0.04mmまで冷間圧延し、700℃、30秒間加熱、焼鈍して薄帯を得た後、1100℃、30秒間加熱、1℃/秒で冷却する焼入れ処理を行った。これにより、粒径が0.25μmで分散炭化物粒子径が2μmのマルテンサイト系ステンレス鋼を得た。このステンレス鋼の耐力は1.3GPaであり、硬度はHvで650であった。
本比較例では、上記焼入れ前の薄帯を電気カミソリの外刃形状にプレス加工する際に従来の外刃形状で刃先角度60°になるように設定してプレス加工を施した後、1100℃、30秒間加熱、1℃/秒で冷却する焼入れ処理を実施し、図4に示すように、研削および研磨により刃付け処理を施して電気カミソリ用外刃を得た。この外刃を評価したところ、開口率が50%、髭の導入率が65%、刃先Rが1.0μmであった。
(比較例2)
Cr:13.5重量%、Mo:1.25重量%、C:0.40重量%、Si:0.25重量%、Mn:0.25重量%、残部:Feとなるように原料を秤量し、それを攪拌しながら、加熱、溶融し、断面形状がφ80mmの銅鋳型に普通に鋳込んで鋳塊を得た。この鋳塊を熱間鍛造、圧延して幅50mm、厚さ5mmの圧延板を得た。この圧延板を700℃、300秒間加熱、焼鈍、再結晶化することにより粒径が10μmで分散炭化物粒子径が2μmのフェライト素材を得た。
次いで、このフェライト素材を厚さ0.4mmまで冷間圧延し、700℃、30秒間加熱、焼鈍して薄帯を得た後、1050℃、30秒間加熱、1℃/秒で冷却する焼入れ処理を行った。これにより、粒径が0.25μmで分散炭化物粒子径が2μmのマルテンサイト系ステンレス鋼を得た。このステンレス鋼の耐力は1.2GPaであり、硬度はHvで600であった。
本比較例では、上記焼入れ前の薄帯を電気カミソリの内刃形状にプレス加工する際に刃先角度30°になるように設定してプレス加工を施した後、1050℃、30秒間加熱、1℃/秒で冷却する焼入れ処理を実施し、図4に示すように、研削および研磨により刃付け処理を施して電気カミソリ用内刃を得た。この内刃を評価したところ、刃先Rは1.5μmであった。
(比較例3)
Cr:18.0重量%、Mo:1.00重量%、C:1.20重量%、Si:0.25重量%、Mn:0.25重量%、残部:Feとなるように原料を秤量し、それを攪拌しながら、加熱、溶融し、断面形状が15mmx15mmx40mmの銅鋳型に鋳込んだ。得られた溶融金属6を、図2に示すように、0.05MPaのArガス雰囲気中、周速5m/秒で回転する一対の銅ロール4の間(間隔0.4mm)に雰囲気+0.05MPaの圧力で噴射し、幅25mm、厚さ0.4mmの薄帯5を得た。この時の冷却速度は80℃/秒である。
得られた薄帯を800℃、300秒間加熱して焼戻しした後、冷間圧延と焼鈍を繰り返して厚さ0.04mmになるように加工したがこの加工により非常に多くのクラックが発生した。加工後の素材のうち比較的クラックの少ない部分を700℃、30秒間加熱、焼鈍した後、1100℃、30秒間加熱、1℃/秒で冷却する焼入れ処理を行った。これにより、旧オーステナイト粒径が0.5μmで分散炭化物粒子経が0.05μmのマルテンサイト系ステンレス鋼を得た。このステンレス鋼の耐力は2.2GPaであり、硬度はHvで1000であった。
本比較例では、上記焼入れ前の薄帯を電気カミソリの外刃形状にプレス加工する際に従来の外刃形状で刃先角度60°になるように設定してプレス加工を施したが、外刃肩R部に大量のクラックが発生したため、外刃としての評価はできなかった。
(比較例4)
Cr:18.0重量%、Mo:1.00重量%、C:1.20重量%、Si:0.25重量%、Mn:0.25重量%、残部:Feとなるように原料を秤量し、それを攪拌しながら、加熱、溶融し、断面形状がφ80mmの銅鋳型に普通に鋳込んで鋳塊を得た。この鋳塊を熱間鍛造、圧延して幅50mm、厚さ5mmの圧延板を得た。この圧延板を700℃、300秒間加熱、焼鈍、再結晶化することにより粒径が10μmで分散炭化物粒子径が3μmのフェライト素材を得た。
次いで、このフェライト素材を厚さ0.04mmまで冷間圧延したが、途中で多くのクラックの発生を確認した。加工後の素材のうち比較的クラックの少ない部分を700℃、30秒間加熱、焼鈍した後、1100℃、30秒間加熱、1℃/秒で冷却する焼入れ処理を行った。これにより、旧オーステナイト粒径が10μmで分散炭化物粒子経が2.5μmのマルテンサイト系ステンレス鋼を得た。このステンレス鋼の耐力は1.8GPaであり、硬度はHvで850であった。
本比較例では、上記焼入れ前の薄帯を電気カミソリの外刃形状にプレス加工する際に従来の外刃形状で刃先角度60°になるように設定してプレス加工を施したが、外刃肩R部に大量のクラックが発生したため、外刃としての評価はできなかった。
本発明の実施例に用いた単ロール回転式超急冷凝固装置を示す概略図である。 本発明の他の実施例に用いた双ロール回転式超急冷凝固装置を示す概略図である。 本発明の別の実施例に用いた超急冷凝固装置を示す概略図である。 本発明の実施例で採用した刃付け処理を示す概略図である。
符号の説明
1:高周波加熱装置
2:溶湯噴射ノズル
3:Arガスボンベ
4:急冷用金属ロール
5:薄帯
6:溶融金属
7:水冷銅鋳型
9:水冷用水路
10a、10b:刃成形プレス金型
11:加圧
12:焼入れ処理
13:研削・研磨
14:回転砥石
15:刃物

Claims (11)

  1. Cr:13.0〜14.0重量%、Mo:1.15〜1.35重量%、C:0.35〜0.55重量%、Si:0.20〜0.50重量%、Mn:0.20〜0.50重量%、P:0.025重量%以下、S:0.020重量%以下、残部:Fe及び不可避な不純物元素でなる組成を有する溶融金属を超急冷凝固することにより素材鋳塊を得るステップと、前記素材鋳塊に冷間圧延を施すことによりフェライト鋼を得るステップと、前記フェライト鋼を所定の形状に加工した後、焼き入れ処理するステップとを含むことを特徴とする結晶粒微細化マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方法。
  2. 上記冷間圧延に先立って焼戻し処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記焼戻し処理は、325〜550℃の保持温度、30〜1800秒の保持時間で行うことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
  4. 一対の圧延ロールの間を圧延率50〜80%の条件で1回のみ通すことにより上記冷間圧延を行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  5. 塑性加工により上記フェライト鋼を刃物形状にした後、焼入れ処理し、次いで研削および研磨により刃付け加工することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  6. 上記塑性加工に先立って焼鈍処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  7. 上記フェライト鋼は、平均結晶粒径1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  8. 上記超急冷凝固を10℃/秒以上の冷却速度で行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  9. 周速0.1m/秒以上で回転するロールの表面に上記溶融金属を吹き付けて上記超急冷凝固を行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  10. 上記溶融金属を鋳込み面間隔が5mm以下の水冷銅鋳型に鋳込んで上記超急冷凝固を行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の製造方法によって得られ、旧オーステナイト粒径が1μm以下の結晶粒微細化マルテンサイト系ステンレス鋼。
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