JP4155134B2 - 車両用遠隔制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、送信機からの出力信号を受信ユニットで受信して所定の車載機器を制御するようにした車両用遠隔制御装置、特に、かかる送信機と受信ユニットとの組み合わせをそれぞれ備えた複数の制御システムが含まれた車両用遠隔制御装置に関する。
所定の信号を出力する送信機と、該送信機からの出力信号に基づいて所定の車載機器を制御する受信ユニットとの組み合わせを備えた車両用の遠隔制御システムの一種として、例えば自動車等の車両におけるドア等の開閉体の開閉動作を遠隔制御する、所謂、キーレスエントリーシステムは、従来公知である(例えば、特許文献1参照)。このシステムは、無線通信機能を有する携帯機(送信機)から送信されたロック・アンロック信号を車載の無線受信装置(受信機)で受信して開閉体のロック・アンロック機構を駆動することにより、当該開閉体のロック・アンロック状態を遠隔操作できるようにしたものである。
尚、近年では、送信機と車載の受信機との交信データに基づいて、送信機に設定された固有の認証コードと、車載受信機に連携した制御装置のメモリに予め登録された認証コードとを対比し、この対比結果に基づいて開閉体のロック・アンロック状態が自動制御されるようにした、所謂、パッシブ・キーレスエントリーシステムも知られており、一部では既に実用に供されている。かかるパッシブ・キーレスエントリーシステムによれば、送信機の認証コードが予め登録されたものと一致する場合には、送信機を保持した保持者(例えば、当該車両の乗員)が、車載受信機との交信エリア内に入るだけで、つまり車両に近づくだけで、或いは、ドアノブ等の車両の特定箇所に手を触れるだけで、送信機での発信操作など特別な操作をわざわざ行う必要なしに、ドアをアンロックすることができ、より一層利便性が高められる。
また、車両に装備される他の制御システムの1つとして、車両のタイヤ空気圧の検出信号を出力する送信機を各タイヤに設け、これら各タイヤの空気圧の検出信号を受信ユニットで受信して各タイヤの空気圧をモニタするタイヤ空気圧モニタシステムが知られており(例えば、特許文献2参照)、走行中の車両のトラクション制御やスリップ制御などに有効に利用されている。
このような送信機と受信ユニットの組み合わせをそれぞれ備えた複数の制御システムが含まれる場合、各受信ユニット毎に受信アンテナを付設し、それぞれ固有のアンテナで対応する送信機からの出力信号を受信するのが、従来、一般的である。
特開平11−241538号公報 特開2000−355203号
しかしながら、近年では、車両の様々の構成領域で必要とされる制御システムの種類がますます増加し、また、その構成も複雑で製作コストの嵩むものとなって来ている。そこで、かかる傾向をできるだけ緩和・抑制する観点から、上記のような遠隔制御装置においても、構成の簡素化や製作コストのより一層の低減を図ることが求められている。
このため、各制御システムの送信機からの出力信号を受信する受信アンテナを共用化することでアンテナ数を削減し、システム構成の簡素化と製作コストの低減を図ることが考えられる。しかしながら、各受信ユニット毎に設けていた受信アンテナを単純に共用化しただけでは、共用数に応じてアンテナ利得(ゲイン)が低下し、所要のアンテナ特性を確保することが難しいという問題がある。すなわち、例えば、2つの制御システムが含まれる場合について説明すれば、2つの制御システムの各受信アンテナを単純に共用化した場合、各受信ユニットで受信する際のアンテナゲインは、基本的には、個別に受信アンテナを設けていた従来の1/2に低下し、満足なアンテナ特性を得ることは難しい。
この発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたもので、送信機と受信ユニットとの組み合わせをそれぞれ備えた複数の制御システムが含まれた車両用遠隔制御装置において、各受信ユニットで受信する際のアンテナゲインの低下を招くことなく、各受信ユニットの受信アンテナを共用化できるようにすることを目的とする。
このため、本願請求項1の発明に係る車両用遠隔制御装置は、所定の信号を出力する送信機と、該送信機からの出力信号に基づいて所定の車載機器を制御する受信ユニットとの組み合わせをそれぞれ備えた複数の制御システムが含まれた車両用遠隔制御装置において、上記制御システムの1つは、車両の開閉体をロック・アンロックさせる信号を出力する送信機と、該送信機の出力信号に基づいて上記開閉体のロック・アンロック機構の動作を制御する受信ユニットの組み合わせを備えたキーレスエントリシステムで、他の1つは、上記車両のタイヤ空気圧の情報信号を出力する送信機と、該送信機の出力信号に基づいて上記車両の各タイヤの空気圧を検知する受信ユニットの組み合わせを備えたタイヤ空気圧警報システムであり、上記各送信機からの出力信号を受信する共通の受信アンテナと、該受信アンテナで受信した各受信信号を上記各受信ユニットにそれぞれ入力する複数の信号入力ラインと、上記各信号入力ラインにそれぞれ設けられたスイッチ手段と、上記各スイッチ手段のON/OFF状態をエンジンの駆動/停止に応じてそれぞれ切り換える切換手段と、を備え、該切換手段は、車両のエンジンを駆動/停止させるイグニッションスイッチであり、上記タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットの信号入力ラインには、上記スイッチ手段をバイパスするバイパス回路が設けられ、該バイパス回路には、上記イグニッションスイッチがOFF状態のとき、当該回路に入力された信号を減衰して伝送することで、上記タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットの信号入力ラインへのアンテナ電流の供給を減少させる減衰手段が介設されている、ことを特徴としたものである。
また、本願請求項2の発明は、上記請求項1の発明において、上記減衰手段は、上記イグニッションスイッチがOFF状態のとき、上記タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットの信号入力ラインへのアンテナ電流の一部を、上記キーレスエントリシステムの受信ユニットの信号入力ラインに供給することを特徴としたものである。
更に、本願請求項の発明は、上記請求項1又は2の発明において、上記複数の信号入力ラインは、上記受信アンテナから引き出された1本の信号ラインから分岐して設けられていることを特徴としたものである。
また更に、本願請求項の発明は、上記請求項1〜3の何れかの発明において、上記キーレスエントリシステムの受信ユニットの信号入力ラインに設けられたスイッチ手段は、エンジン駆動中にはOFF状態に維持され、エンジンの駆動停止に応じてON状態に切り換えられる、ことを特徴としたものである。
また更に、本願請求項の発明は、上記請求項1〜4の何れかの発明において、上記タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットの信号入力ラインに設けられたスイッチ手段は、エンジン停止中にはOFF状態に維持され、エンジンの駆動に応じてON状態に切り換えられる、ことを特徴としたものである。
本願請求項1の発明によれば、共通の受信アンテナで受信した各受信信号を各受信ユニットにそれぞれ入力する複数の信号入力ラインにスイッチ手段がそれぞれ設けられ、これら各スイッチ手段のON/OFF状態をそれぞれ切り換える切換手段が備えられているので、各受信ユニット毎に、その信号入力ラインによる信号伝送のON/OFF状態を切換制御することができる。従って、所望の受信ユニットについてのみ、信号入力ラインのスイッチ手段をON状態に切り換えて信号の伝送を可能とし、他の受信ユニットについては、その信号入力ラインのスイッチ手段をOFF状態として信号の伝送を不能とすることができる。つまり、所望の受信ユニットについてのみ、その信号入力ラインで信号の伝送が行われ、他の信号入力ラインでは信号の伝送が行われることはないので、当該受信ユニットで受信する際のアンテナゲインの低下を招くことはない。その結果、各受信ユニットについて受信特性の低下を招くことなく、各受信ユニットの受信アンテナを共用化することができ、システム構成の簡素化および製作コストの低減を図ることができる。
特に、エンジンが駆動されているか/停止しているか、の少なくとも何れか一方に応じて、換言すれば、受信ユニットがエンジン駆動中に用いられる制御システムのものであるか、またはエンジン停止中に用いられる制御システムのものであるかに応じて、各信号入力ラインのスイッチ手段のON/OFF状態をそれぞれ切り換えることができる。とりわけ、車両のエンジンを駆動/停止させるイグニッションスイッチにより、つまり、受信ユニットがエンジン駆動中に用いられる制御システムのものであるか、またはエンジン停止中に用いられる制御システムのものであるかに応じて、各信号入力ラインのスイッチ手段のON/OFF状態をそれぞれ切り換えることができる。
また、特に、制御システムの1つとして、基本的にエンジン停止中に用いられるシステムであるキーレスエントリシステムが含まれ、他の1つとして、基本的にエンジン駆動中に用いられるシステムであるタイヤ空気圧警報システムが含まれる場合について、上記の効果を奏することができる。とりわけ、上記タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットの信号入力ラインには、上記スイッチ手段をバイパスするバイパス回路が設けられているので、スイッチ手段がOFF状態に切り換えられても、バイパス回路を介して上記受信ユニットに信号を伝送することができる。ここに、上記バイパス回路には当該回路に入力された信号を減衰して伝送する減衰手段が介設されているので、上記スイッチ手段がON状態の場合のような通常量のアンテナ電流が流れることはなく、電力消費がそれだけ少なくて済む。すなわち、エンジンの駆動が停止され、これに伴って上記スイッチ手段がOFF状態に切り換えられた場合でも、少ない電力消費でタイヤ空気圧警報システムを用いることが可能になる。
また、本願請求項2の発明によれば、上記減衰手段は、イグニッションスイッチがOFF状態のとき、タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットの信号入力ラインへのアンテナ電流の一部を、キーレスエントリシステムの受信ユニットの信号入力ラインに供給してアンテナ電流の供給量を増大でき、キーレスエントリシステムを高精度で駆動できる。
更に、本願請求項の発明によれば、基本的には上記請求項1又は2の発明と同様の効果を奏することができる。特に、上記複数の信号入力ラインは、受信アンテナから引き出された1本の信号ラインから分岐して設けられているので、各信号ラインを個別に共通アンテナに接続する場合に比して、共通の受信アンテナと各受信ユニットとを接続する信号ラインの配線を簡素化することができる。
また更に、本願請求項の発明によれば、基本的には上記請求項1〜3の何れかの発明と同様の効果を奏することができる。特に、上記キーレスエントリシステムの受信ユニットの信号入力ラインに設けられたスイッチ手段は、エンジン駆動中で上記キーレスエントリシステムが用いられることがない場合にはOFF状態に維持され、エンジンの駆動停止中で当該キーレスエントリシステムが用いられる場合にはON状態に切り換えられる。すなわち、当該キーレスエントリシステムの受信ユニットの信号入力ラインについて、キーレスエントリシステムの稼動中には確実に信号の伝送を行わせ、キーレスエントリシステムが用いられることがなく信号の伝送が不要な場合には、スイッチ手段をOFF状態として信号伝送を不能にすることができる。
また更に、本願請求項の発明によれば、基本的には上記請求項1〜4の何れかの発明と同様の効果を奏することができる。特に、上記タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットの信号入力ラインに設けられたスイッチ手段は、エンジンの駆動停止中で上記タイヤ空気圧警報システムが用いられることがない場合にはOFF状態に維持され、エンジン駆動中で当該タイヤ空気圧警報システムが用いられる場合にはON状態に切り換えられる。すなわち、当該タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットの信号入力ラインについて、タイヤ空気圧警報システムの稼動中には確実に信号の伝送を行わせ、タイヤ空気圧警報システムが用いられることがなく信号の伝送が不要な場合には、スイッチ手段をOFF状態として信号伝送を不能にすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る車両用遠隔制御装置は、所定の信号を出力する送信機と、該送信機からの出力信号に基づいて所定の車載機器を制御する受信ユニットとの組み合わせをそれぞれ備えた複数の制御システムを含むもので、具体的には、この複数の制御システムとして、例えば、所謂キーレスエントリシステムとタイヤ空気圧警報システムとが含まれている。
上記キーレスエントリシステムは、周知のように、無線通信機能を有する携帯機(送信機)から送信されたロック・アンロック信号を車載の無線受信装置(受信ユニット)で受信して開閉体のロック・アンロック機構を駆動することにより、当該開閉体のロック・アンロック状態を遠隔操作できるようにしたものである。この制御システムは、通常、車両が走行していない(走行停止)状態またはエンジンが駆動されていない(駆動停止)状態で使用される。
また、上記タイヤ空気圧警報システムは、周知のように、車両のタイヤ空気圧の検出信号を出力する送信機を各タイヤに設けておき、これら各タイヤの空気圧の検出信号を受信ユニットで受信して各タイヤの空気圧をモニタし、このタイヤ空気圧が所定の状態にあると警報を発するもので、走行中の車両のトラクション制御やスリップ制御などにも有効に利用されている。この制御システムは、通常、車両走行中またはエンジン駆動中に使用される。
すなわち、本実施の形態に係る車両用遠隔制御装置に包含される2つの制御システム(キーレスエントリシステム及びタイヤ空気圧警報システム)は、車両の走行/非走行またはエンジンの駆動/停止に関して互いに使用条件が異なり(基本的には、使用条件が相反し)、基本的には、一方が使用される場合には、他方は使用されることはない。
次に、本発明の実施の形態を説明するに先立って、まず、かかる実施の形態の参考例について説明する。
図1は、実施形態の参考例に係る車両用遠隔制御装置の受信アンテナの信号伝送回路を概略的に示す説明図である。この図に示されるように、本参考例では、車両用遠隔制御装置の受信アンテナの信号伝送回路には、上記各制御システム(キーレスエントリシステム及びタイヤ空気圧警報システム)の各送信機(不図示)からの出力信号を受信する受信アンテナとして、共通の受信アンテナAnが設けられ、この共用化された受信アンテナAnには、複数の信号入力ライン、つまり、タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットのチューナT1(第1チューナ)への信号入力ラインL1(第1信号入力ライン)と、キーレスエントリシステムの受信ユニットのチューナT2(第2チューナ)への信号入力ラインL2(第2信号入力ライン)とが接続されている。
尚、これら複数(本参考例では2本)の信号入力ラインL1,L2は、より好ましくは、上記共用の受信アンテナAnから引き出された1本の信号ラインLn(メイン信号ライン)から分岐して設けられている。
このような回路構成とすることにより、各信号ラインを個別に共通アンテナに接続する場合に比して、共通の受信アンテナAnと各受信ユニットのチューナT1,T2とを接続する信号ラインの配線を、より簡素化することができる。
上記第1,第2の各信号入力ラインL1,L2には、第1,第2の開閉スイッチS1,S2がそれぞれ介設されており、これら各スイッチS1,S2のON/OFF状態は、車両が走行中か/停止しているか、及びエンジンが駆動されているか/停止しているか、の少なくとも何れか一方に応じて切り換えられる。換言すれば、当該信号入力ラインに接続された受信ユニットのチューナが、車両走行中もしくはエンジン駆動中に用いられる制御システム(つまり、タイヤ空気圧警報システム)のものであるか、または車両の走行停止中もしくはエンジン停止中に用いられる制御システム(つまり、キーレスエントリシステム)のものであるかに応じて、各信号入力ラインL1,L2のスイッチS1,S2のON/OFF状態がそれぞれ切り換えられるようになっている。
このように、本参考例によれば、共通の受信アンテナAnで受信した各受信信号を各制御システムのチューナT1,T2にそれぞれ入力する複数の信号入力ラインL1,L2にスイッチS1,S2がそれぞれ設けられ、これら各スイッチS1,S2のON/OFF状態がイグニッションスイッチIGによってそれぞれ切り換えられるので、各受信ユニット毎に、その信号入力ラインによる信号伝送のON/OFF状態を切換制御することができる。従って、所望の制御システムについてのみ、信号入力ラインのスイッチをON状態に切り換えて信号の伝送を可能とし、他の制御システムについては、その信号入力ラインのスイッチをOFF状態として信号の伝送を不能とすることができる。
つまり、所望の制御システムについてのみ、その信号入力ラインで信号の伝送が行われ、他の信号入力ラインでは信号の伝送が行われることはないので、当該制御システムの受信ユニットで受信する際のアンテナゲインの低下を招くことはない。その結果、各受信ユニットについて受信特性の低下を招くことなく、各受信ユニットの受信アンテナを共用化することができ、システム構成の簡素化および製作コストの低減を図ることができるのである。
参考例では、このように各信号入力ラインL1,L2のスイッチS1,S2のON/OFF状態をそれぞれ切り換える切換手段として、車両のエンジンを駆動/停止させるイグニッションスイッチIGが用いられている。
従って、当該信号入力ラインに接続された受信ユニットのチューナが、エンジン駆動中に用いられる制御システム(タイヤ空気圧警報システム)のものであるか、またはエンジン停止中に用いられる制御システム(キーレスエントリシステム)のものであるかに応じて、各信号入力ラインL1,L2のスイッチS1,S2のON/OFF状態をそれぞれ切り換えることができる。
上記のように、車両のエンジンを駆動/停止させるイグニッションスイッチIGを切換手段に用いて、各信号入力ラインL1,L2のスイッチS1,S2のON/OFF状態をそれぞれ切り換えるようにする構成としては、従来公知の種々の構成を用いることができる。例えば、イグニッションスイッチIGのスイッチ信号を遠隔制御装置のコントローラに入力し、この入力されたスイッチ信号に基づいてコントローラから各スイッチS1,S2に制御信号を出力し、各スイッチS1,S2のON/OFF状態をそれぞれ切り換えるようにすることができる。若しくは、イグニッションスイッチIGのスイッチ信号を直接に各スイッチS1,S2に入力し、そのON/OFF状態をそれぞれ切り換えるようにすることもできる。
或いは、回路のハード構成のみによって切換制御することも可能である。第1信号入力ラインL1の場合を例にとって説明すれば、例えば図5に示すように、信号入力ラインL1に、第1チューナT1側にのみ通電可能なダイオードDを介設するとともに、信号入力ラインL1とイグニッションスイッチIGの電源ラインLbとの間にトランジスタTrを設けておき、イグニッションスイッチIGがONされた場合には、トランジスタTrが駆動されることにより、アンテナ信号が第1チューナT1側へ伝送されるように構成することができる。尚、図5において、R1,R2は抵抗であり、C1,C2はキャパシタ(コンデンサ)を示している。イグニッションスイッチIGのON/OFFと信号入力ラインL1での伝送の可否の関係を、図5の場合と逆に設定する場合には、例えばトランジスタTrの極性を逆向きに設定することなどで対応することができる。
図1に示された構成において、タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットのチューナT1(第1チューナ)への信号入力ラインL1(第1信号入力ライン)に設けられた第1スイッチS1と、キーレスエントリシステムの受信ユニットのチューナT2(第2チューナ)への信号入力ラインL2(第2信号入力ライン)に設けられた第2スイッチS2のON/OFF状態の切り換えについて、図2のタイムチャートを参照しながら説明する。尚、図2においては、左右方向が時間の流れを示し、上下方向が各スイッチのON/OFF状態を示している。
図2のタイムチャートから良く分かるように、タイヤ空気圧警報システム側の第1スイッチS1は、イグニッションスイッチIGがOFF状態(エンジンの駆動停止中)で、当該タイヤ空気圧警報システムが用いられることがない場合にはOFF状態に維持され、イグニッションスイッチIGがON(エンジン駆動)されて、当該タイヤ空気圧警報システムが用いられるようになるとON状態に切り換えられる。
すなわち、当該タイヤ空気圧警報システム側の第1信号入力ラインL1について、タイヤ空気圧警報システムの稼動中には確実に信号の伝送を行わせ、タイヤ空気圧警報システムが用いられることがなく信号の伝送が不要な場合には、第1スイッチS1をOFF状態として信号伝送を不能にすることができる。
また、キーレスエントリシステム側の第2スイッチS2は、イグニッションスイッチIGがON状態(エンジン駆動中)で、上記キーレスエントリシステムが用いられることがない場合にはOFF状態に維持される。一方、イグニッションスイッチIGがOFF状態(エンジン駆動停止中)で、当該キーレスエントリシステムが用いられる場合にはON状態に切り換えられる。
すなわち、当該キーレスエントリシステム側の第2信号入力ラインL2について、キーレスエントリシステムの稼動中には確実に信号の伝送を行わせ、キーレスエントリシステムが用いられることがなく信号の伝送が不要な場合には、第2スイッチS2をOFF状態として信号伝送を不能にすることができる。
以上のように、イグニッションスイッチIGがOFF状態に維持されている場合には、第1スイッチS1もOFF状態に維持され、ON状態の第2スイッチS2が介設されている第2信号入力ラインL2についてのみ、アンテナ電流が通電可能である。一方、イグニッションスイッチIGがON状態に切り換えられた場合には、第1スイッチS1もON状態に切り換えられると共に、第2スイッチS2がOFF状態に切り換えられるので、第1信号入力ラインL1についてのみ、アンテナ電流が通電可能である。
以上、説明したように、本参考例によれば、車両用遠隔制御装置に包含される2つの制御システム(キーレスエントリシステム及びタイヤ空気圧警報システム)が、エンジンの駆動/停止に関して互いに使用条件が異なり(基本的には、使用条件が相反し)、基本的には、一方が使用される場合には他方は使用されることはないことを利用して、アンテナゲインの低下を招くことなく、各受信ユニットの受信アンテナを共用化することができるのである。
次に、本発明の実施形態について説明する。
上記参考例では、イグニッションスイッチIGがON状態に維持されてタイヤ空気圧警報システムの受信ユニットのチューナT1(第1チューナ)への信号入力ラインL1が通電可能(第1スイッチS1:ON)に維持された状態から、イグニッションスイッチIGがOFFされると、その時点で第1スイッチS1がOFFされて第1信号入力ラインL1の通電が不能となる。つまり、エンジンの駆動が停止されると、その時点でタイヤ空気圧警報システムの機能が停止されるようになっている。
しかしながら、実際には、エンジンが停止された後も、少なくとも暫くの間は、タイヤの空気圧をモニタ(監視)したい場合があり得る。実施形態は、かかる場合にも対応し得るものである。
尚、この実施形態の説明において、上述の参考例における場合と実質に同様の構成を備え、実質的に同様の作用をなすものについては、同一の符号を付し、それ以上の説明は省略する。
図3は、実施形態に係る車両用遠隔制御装置の受信アンテナの信号伝送回路を概略的に示す説明図である。また、図4は、実施形態の信号伝送回路における信号入力ラインのスイッチON/OFF状態の切換動作を説明するタイムチャートである。
図3に示されるように、この実施形態では、タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットのチューナT1(第1チューナ)への信号入力ラインL1(第1信号入力ライン)には、第1スイッチS1をバイパスするバイパス回路L3が設けられ、該バイパス回路L3には、当該回路L3に入力された信号を減衰して伝送する減衰手段としての所謂アッテネータAtが介設されている。
また、より好ましくは、このバイパス回路L3には第3の開閉スイッチS3が介設されており、この第3スイッチS3のON/OFF状態は、上記イグニッションスイッチIGのON/OFF状態に応じて切り換えられる。
但し、第1スイッチS1とは逆に、この第3スイッチS3の場合には、図4に示されるように、イグニッションスイッチIGがOFF状態でエンジンが停止している場合にON状態が維持され、イグニッションスイッチIGがONされエンジンが駆動されると、OFF状態に切り換えられるように設定されている。
従って、イグニッションスイッチIGがOFF状態でエンジンが停止している場合でも、第3スイッチS3がON状態に維持され、タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットの第1チューナT1には、バイパス回路L3を介してアンテナ電流が通電可能で、アッテネータAtで減衰された状態で受信信号が伝送される。すなわち、エンジンが停止された後も、タイヤの空気圧をモニタ(監視)することができるのである。
図4のタイムチャートから良く分かるように、イグニッションスイッチIGがOFF状態に維持されている場合には、第1スイッチS1もOFF状態に維持され、ON状態の第3スイッチS3,第2スイッチS2がそれぞれ介設されているバイパス回路L3,第2信号入力ラインL2について、アンテナ電流が通電可能である。バイパス回路L3にはアッテネータAt(減衰手段)が介設されているので、このイグニッションスイッチIGのOFF状態では、大部分のアンテナ電流は第2信号入力ラインL2に供給され、バイパス回路L3には一部のみが供給されることになる。
一方、イグニッションスイッチIGがON状態に切り換えられた場合には、第1スイッチS1もON状態に切り換えられると共に、第3スイッチS3及び第2スイッチS2がOFF状態に切り換えられるので、第1信号入力ラインL1についてのみ、アンテナ電流が通電可能となる。
以上、説明したように、実施形態によれば、タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットのチューナT1(第1チューナ)への信号入力ラインL1(第1信号入力ライン)には、第1スイッチS1をバイパスするバイパス回路L3が設けられているので、第1スイッチS1がOFF状態に切り換えられても、バイパス回路L3を介して上記第1チューナT1に信号を伝送することができる。ここに、上記バイパス回路L3には当該回路L3に入力された信号を減衰して伝送する減衰手段としてのアッテネータAtが介設されているので、上記第1スイッチS1がON状態の場合のような通常量のアンテナ電流が流れることはなく、電力消費がそれだけ少なくて済む。すなわち、エンジンの駆動が停止され、これに伴って上記第1スイッチS1がOFF状態に切り換えられた場合でも、少ない電力消費でタイヤ空気圧警報システムを用いることができるようになるのである。
、本発明は、上述の実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更あるいは改良等が可能であることは言うまでもない。
本発明の実施形態の参考例に係る車両用遠隔制御装置の受信アンテナの信号伝送回路を概略的に示す説明図である。 上記参考例の信号伝送回路における信号入力ラインのスイッチON/OFF状態の切換動作を説明するタイムチャートである。 本発明の実施形態に係る車両用遠隔制御装置の受信アンテナの信号伝送回路を概略的に示す説明図である。 記実施形態の信号伝送回路における信号入力ラインのスイッチON/OFF状態の切換動作を説明するタイムチャートである。 イグニッションスイッチを切換手段に用いて信号入力ラインのスイッチのON/OFF状態を切り換える回路構成の一例を示す説明図である。
符号の説明
An 受信アンテナ
At アッテネータ
IG イグニッションスイッチ
L1,L2 信号入力ライン
L3 バイパス回路
Ln メイン信号ライン
S1,S2,S3 スイッチ
T1,T2 チューナ

Claims (5)

  1. 所定の信号を出力する送信機と、該送信機からの出力信号に基づいて所定の車載機器を制御する受信ユニットとの組み合わせをそれぞれ備えた複数の制御システムが含まれた車両用遠隔制御装置において、
    上記制御システムの1つは、車両の開閉体をロック・アンロックさせる信号を出力する送信機と、該送信機の出力信号に基づいて上記開閉体のロック・アンロック機構の動作を制御する受信ユニットの組み合わせを備えたキーレスエントリシステムで、他の1つは、上記車両のタイヤ空気圧の情報信号を出力する送信機と、該送信機の出力信号に基づいて上記車両の各タイヤの空気圧を検知する受信ユニットの組み合わせを備えたタイヤ空気圧警報システムであり、
    上記各送信機からの出力信号を受信する共通の受信アンテナと、
    該受信アンテナで受信した各受信信号を上記各受信ユニットにそれぞれ入力する複数の信号入力ラインと、
    上記各信号入力ラインにそれぞれ設けられたスイッチ手段と、
    上記各スイッチ手段のON/OFF状態をエンジンの駆動/停止に応じてそれぞれ切り換える切換手段と、を備え
    該切換手段は、車両のエンジンを駆動/停止させるイグニッションスイッチであり、
    上記タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットの信号入力ラインには、上記スイッチ手段をバイパスするバイパス回路が設けられ、該バイパス回路には、上記イグニッションスイッチがOFF状態のとき、当該回路に入力された信号を減衰して伝送することで、上記タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットの信号入力ラインへのアンテナ電流の供給を減少させる減衰手段が介設されている、
    ことを特徴とする車両用遠隔制御装置。
  2. 上記減衰手段は、上記イグニッションスイッチがOFF状態のとき、上記タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットの信号入力ラインへのアンテナ電流の一部を、上記キーレスエントリシステムの受信ユニットの信号入力ラインに供給することを特徴とする請求項1記載の車両用遠隔制御装置。
  3. 上記複数の信号入力ラインは、上記受信アンテナから引き出された1本の信号ラインから分岐して設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用遠隔制御装置。
  4. 上記キーレスエントリシステムの受信ユニットの信号入力ラインに設けられたスイッチ手段は、エンジン駆動中にはOFF状態に維持され、エンジンの駆動停止に応じてON状態に切り換えられる、ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一に記載の車両用遠隔制御装置。
  5. 上記タイヤ空気圧警報システムの受信ユニットの信号入力ラインに設けられたスイッチ手段は、エンジン停止中にはOFF状態に維持され、エンジンの駆動に応じてON状態に切り換えられる、ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一に記載の車両用遠隔制御装置。
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