JP4154147B2 - トータルコーディネート用具、およびその使用方法 - Google Patents
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Description
【発明の目的】
この発明は、トータルコーディネートする上で欠くことができない身の回り装身具の中、特に指輪やブレスレット、時計バンド、ブローチ,ペンダント、へアーバンド、へアークリップなどといったワンポイント装飾的に身に付ける類いの装身具に関わるものであり、それら装身具を、最近、若い女性の間で流行の著しいマニキュアに合わせて自在に調和させたものにして、マニキュアを中心にしたトータルコーディネートが可能になるようにする新規な構造の身の回り装身具と、それを実現するために必要となる新規な構造のトータルコーディネート用具、そして、その新規な使用方法を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
一昔前のような高度成長期から一転して経済状況は停滞し、多種多様の困難な社会現象を来しているとはいうものの、これまでに積み上げてきた経済基盤に支えられ、人々の普段の生活様式は、IT関連機器を買い揃えてインターネットに勤しみ、拡大な情報を手にして大いに知識を高めると共に、メールの活用や携帯電話、PHS等で手軽になった通信手段を利用して、これまでになかった人間関係を構築する等、日々、それなりの知的充足感に浸ることができるようになってきており、また、各種規制緩和が進んだ御陰で、近隣諸国から安価な物資が大量に輸入されるようになったことから、食生活から衣料品、身の回り雑貨に至るまで、常日頃の物質的充足感についても、かなり高水準に満たされていると言える。
【0003】
こうした生活を楽しむ現象を端的に表すものの一つとして、マニキュアリストなる専門職についての情報や、各種ショッピングセンターや繁華街のあちこちに開店するネイルアートやネイルケアに係わる専門ショップとその店頭に並べられたキュットな装飾済み付け爪チップ、そして個性的な衣装を身に付けて誰憚ることなく往来する女性達、特に高校生を含む若い女性層の指先にちらつくカラフルな装飾模様等によって容易に伺い知ることができるマニキュア、それも「ネイルアート」というファッションの流行がある。
【0004】
マニキュアは、元来、女性の身だしなみの一つとして、古くは平安時代から取り入れられていたと言われ、別名「つまくれない」と称されているホウセンカの花の汁を砥草で磨いた爪に塗り、薄い絹地でその表面を磨いてきれいな桜貝色に発色させる化粧習慣が既に定着していたとする史実が残されており、更に江戸期にまで下れば、現在のペディキュア(フットケアの一つ)に相当する足爪への着色までもが取り入れられていた事実もあり、したがって、何もこのネイルアートが今に始まった珍しいファッションでないことは簡単に詳らかにされてしまうものの、しかしながら、ここにきて、即ち、社会全体が停滞する経済状況下に喘いでいる時代故に、鬱積する心身のストレスをリフレッシュする意味合いにおいて、指先の化粧は、僅かな一時とはいえ、神経を集中して充実感を味わうことができ、しかも、工夫を凝らして仕上げたネイルアートにより、女性のしぐさに優雅さや華やかさが加わって周囲を和ませることにも繋がってくることから、今、それがファッションとして流行する必然性を容易に見出だすことができる。
【0005】
一方、このワンポイント装飾的効果を期待したファッションと同時に、人の全身を装うトータルファッションについてみると、単にこの時代の経済状況を反映してという理由だけではなく、次第にゆとりある生活を送れるようになると共に、情報入手手段が整備されてファッション情報に触れ易くなったこと等も手伝って、人々のファッション感も相当洗練されてきていることから、一頃のような一点豪華主義的な傾向は完全に廃れ、人夫々によって蓄積してきた感性に基づいてトータルコーディネートしたファッションを心掛ける傾向は極めて強くなり、履く物から着る物、身に付ける物、手にする物に至るまで、全てに何等かの基準に従った調和あるまとめ方をするのが、最早人々の一般的傾向として定着しており、その意味で、創作的なネイルアートも、それらの一部としてコーディネートされていることは間違いのない事実である。
【0006】
しかしながら、折角のネイルアートによる創作的なファッションも、一人一人が個性的な創作をするが故に、それがワンポイント装飾的な効果をあまりにも強調し過ぎ、全体のファッションから浮き上がってしまって違和感さえも生じさせてしまう恨みがあることを悟り、あまりに大胆すぎるネイルアートを差し控え、結局個性を出しきれないでいる人も少なくはなく、ネイルアートが人々、特に若い女性層に注目されているとは言うものの、今一、マニキュアリスト活躍の場が広がらないという現状も否定はできず、ネイルアートの流行を定着させるためにも、何等かの有効な対策が求められているという状況がある。
【0007】
このネイルアートの技術、およびその結果生まれてくる装飾効果は、決して爪や付け爪(チップ)だけにしか役に立たないというものでなく、そのまま他の身の回り装身具、例えば、指輪やブレスレット、時計バンド、ブローチ,ペンダント、へアーバンド、へアークリップなどといったワンポイント装飾的に身に付ける類いの装身具に関しても、当然のことながら十分に取り入れ可能なものであるにも拘らず、現在までのところでは、そのネイルアートの技術、およびその装飾効果を活かすことを目的とした装身具が提供されていないがために、それが実現されてきていないというのが事実であり、こうした知見に基づいた指輪をはじめとする装身具類が登場すれば、それらにネイルアートと同様のアートを施すことができ、その結果、上記したような大胆なネイルアートの創作が差し控えられてしまって折角の個性的なファッションの創出機会をなくしてしまうといった不都合は、確実に払拭されるのではないかと予想される。
【0008】
以上のような予測から、今や上り調子の最中とでも言えるこのネイルアートを含むマニキュア技術を広く応用できるようにする目途から、爪への化粧と同様にワンポイント装飾的な狙いで身に付ける指輪をはじめとする装身具への採用を発案し、各種情報を収集して試作実験を繰り返してきた結果、既に市販されている指輪をはじめとする装身具の多くが、プラスチック材か金属、特にアルミニウム合金材を基材としているものそのままでは、ネイル・エナメルの基材への接着性が全く保証されず、逆に仕上げ表面から弾かれてしまって点在状に散ってしまい、マニキュアによる爪の塗装面のような均質な仕上がり面を全く実現することができないという事実を得ただけではなく、今度は、点在状とはいえ、固化したネイル・エナメルをエナメル・リムーバーによって除去しようとすると、特に、プラスチック製の装身具類の場合(金属基材のものの場合には、爪先で簡単に剥がれ、エナメル・リムーバーの使用は不要)には、元の折角の艶表面までも無くしてしまって、繰り返し使用をすることができないという事実を見出だした。
【0009】
そこで、この発明は、上記知見に基づき、鋭意、開発研究を継続してきたところ、従前からのそれら基材の表面処理技術として、この発明の目的達成を意図したものを全く見出だせなかったものの、幾多の試行錯誤と試作実験とを繰り返してきた結果、遂にここにきてそれらの支障を取り除き、既に確立しているマニキュア技術を、完全にそのまま応用可能とする新規な構造のトータルコーディネート用具、およびその新規な使用方法の完成を見るに至ったものであり、以下、その成果を、代表的な実施例共々、詳述していくこととする。
【0010】
【発明の構成】
この発明は、後述する実施例からも明確に把握できるように、基本的に次のとおりの構成から成るものである。
即ち、最終的に輪環状またはその一部を開放した略C字状となるようにした形状を有する装身具本体の、少なくともその外周表面全体または主要外周表面部分を、ネイル・エナメル液の塗布と、それら塗布、固化したネイル・エナメルのエナメル・リムーバーによ る除去という互換処理、およびその互換処理の繰返しを可能にする被膜面に形成したものとして装身具となし、使用者によってマニキュアを基調としたコンビネーション装飾塗装とそれを除去した変更コンビネーション装飾塗装とが、ネイル・エナメルとエナメル・リムーバーとの使い分け使用によって随時可能となるようにした身の回り装身具と、該身の回り装身具における装身具本体の略円形中空部を挿入可能にする長円錐体または長円錐台、あるいは長多角錐台とした支持体が、太身側を下方にした上、その軸芯周りに回転自在となるようにして把持部または台部に組み合わされてなる装飾塗装補助具との組合せからなる構成を要旨とするトータルコーディネート用具である。
【0011】
身の回り装身具としては、マニキュアとの調和した装飾の実現のために、マニキュア技術、即ちネイル・エナメルとエナメル・リムーバーとを使い分けて装飾する技術をそのまま生かすことができる身の回り装身具に限定されるものであり、したがって、ネイル・エナメルの塗布面が確保されるものであって、しかも装飾効果上においてマニキュアとの間で対をなして有効なもの、即ち、指輪やブレスレット、時計バンド、ブローチ,ペンダント、へアーバンド、へアークリップなどを対象としている。
【0012】
ネイル・エナメルは、一般的に、その主成分を溶剤(例えば、酢酸エチルや酢酸ブチル、エチルアルコール、トルエン等を約75パーセント程度。)と、皮膜形成剤(例えば、ニトロセルロース、約10パーセント程度。)とするものであり、それに、樹脂類(例えば、アルキッド樹脂等、溶剤を溶かして粘り気を出し、爪への付着力と光沢とを良くするもの、約10パーセント程度。)や可塑剤(例えば、クエン酸アセチルトリブチル等で、柔軟性を確保するもの、約5パーセント程度。)、それらに色素(その多くがタール色素か、それに紫外線吸収剤等を配合したもの。)と沈澱防止剤とを夫々適量ずつ配合したものとして形成、市販されており、特に特定のものを対象にするものではない。
【0013】
エナメル・リムーバー(除光液)としては、これまた従前から一般に市販されていて既に公知のもの全てを対象とし得るものであり、その多くのものはアセトン(約65パーセント程度。)と、酢酸エチル(約20パーセント程度。)とを主剤とし、それらに約5パーセント程度の酢酸ブチル、約1パーセント程度のラノリン誘導体、約8パーセント程度の精製水、および適量の染料や香料を配合してなるものである。
【0014】
一方、装身具本体は、この発明で対象とする身の回り装身具(前記のとおり、指輪やブレスレット、時計バンド、ブローチ,ペンダント、へアーバンド、へアークリップなど)の主体をなし、マニキュアと対を成して装飾効果を上げ得るよう、ネイル・エナメル塗布面としての被膜面の形成が、その全体か、ある限定された特定範囲の何れかに可能になる面を有したものでなければならず、それらの機能を果たし得るものであれば、特に素材に限定はないが、単価や成形性、外観上等からは、金属材、特にアルミニウム合金やステンレス鋼によるものとするのが最も望ましく、その他、この発明の重要な要素の一つでもあるネイル・エナメルの除去のためのエナメル・リムーバーの使用によっても耐食性のあるプラスチック材、例えばメラミン樹脂やアクリル樹脂を主材とするものも採用可能であり、それらの所定面には、予めこの発明の身の回り装身具として提供する前に予め所定の皮膜面形成がなされたものとしてなければならない。
【0015】
皮膜面は、上記装身具本体を構成する素材表面にネイル・エナメルの塗布および除去を相互に繰り返し可能にする機能を担うものであり、単にネイル・エナメルを塗布し得る層として機能するだけではなく、塗布して固化したネイル・エナメルをエナメル・リムーバーを使って除去する際に、次のネイル・エナメル塗布工程に支障を来すことがないよう、簡便且つ完全に除去し得るような滑らかな面として機能する必要があり、したがって、鋭角状溝のような凹部のあるもののように、固化したネイル・エナメルを除去し難くなる形状の表面形状のものは避けるべきであって、緩やかな彎曲面やウエーブ状のもの、溝があってもそれがU字状断面となるようなものとすべきである。
【0016】
被膜面は、上記装身具本体を構成する素材に適した皮膜形成によるのは当然のことながら、ネイル・エナメルとの親和性、およびエナメル・リムーバーに対する耐薬品性や耐磨耗性の双方を兼ね備え、ネイル・エナメルの均質な塗布、固化が安定したものとなるようにすると共に、一旦固化したネイル・エナメルの除去が簡便且つ確実に実施され、その後のネイル・エナメルの均質な塗布、固化に支障を来すことがないようにしたものとしなければならず、また、ネイル・エナメルやトップコート等マニキュアによる装飾が、特に装身具本体を金属材によるものとしたとき等のように、金属地金色に災いされてくすんでしまわないよう、望ましくは、白色か薄い肌色、淡いピンクの何れかの色に限定したものとして仕上げるべきである。
【0017】
したがって、この被膜面は、例えば、装身具本体をアルミニウム合金やステンレス鋼とする場合であれば、その皮膜面としては、例えば、白色か薄い肌色、淡いピンクの何れかの色のメラミン樹脂系塗料やポリテトラフフルオロエチレン樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料の焼付け塗膜が経済的に有利であり、場合によっては非クロム酸塩法による被膜組成Me(OH)2・PO4 Al2 O3 [Me=Ti,Zr]の化成被膜面や、塗布型非クロム酸塩系のアクリル系樹脂添加Cr(OH)2 ・HCrO3 の化成被膜面、あるいはベーマイト法によるアルミニウムの水和酸化被膜による化成被膜面等とすることも可能であり、また、装身具本体自体をプラスチック材とするのであれば、全体を透明あるいは着色のメラミン樹脂やアクリル樹脂によるものとすべきである。
【0018】
装飾塗装補助具の支持体は、輪環状またはその一部を不連続とした略C字状形状の身の回り装身具、例えば指輪またはブレスレット、あるいは時計バンド等に、マニキュアの装飾に調和(勿論、同一の装飾が含まれる。)した装飾を施すために、ネイル・エナメル液を塗布したり、除去する際に、当該身の回り装身具の装身具本体を支持すると共に、サイズの異なる装身具本体にも対応でき、しかも、ネイル・エナメル液の塗布処理や除去処理を効率化する機能を果たすものであり、サイズの異なる装身具本体であっても、その中空部分を挿入、嵌合できるよう長円錐体または長円錐台、あるいは長多角錐台としたものに形成され、太身側となる下端面中央には、その軸心に合致させて軸棒が配されてなるものとする。
【0019】
なお、支持体の素材には制限はなく、木材、鋼材、プラスチック材等各種素材によるものとすることができ、支持対象の指輪またはブレスレット、あるいは時計バンド等との当接、支持具合を安定させると共に、擦れ合や衝突等によるそれら身の回り装身具への損傷を無くし、更には外観を良くする目的から、フェルト地やベルベット地等のような高級感があって柔軟な生地の貼り付け仕上げにする等、最適な表面仕上げによるものとするのが望ましいと言える。
【0020】
該装飾塗装補助具における軸棒の支持体への組合せ構造は、支持体に埋込み構造としたり、予め支持体の一部として形成する等して一体化してなるものの場合には、後述の把持部に対してこの軸棒を含む支持体側が軸心周りに回転自在となるような構成として組み合わせる必要があり、他方、支持体軸心位置所定にまで深さ差し込み状とする軸棒を、支持体軸心穴よりもやや小断面のものにして組み合わせ、該軸棒に対して支持体だけがその軸心周りに回転自在となるよう構成したものでは、該軸棒を後述する把持部に一体化されたものとする必要がある。
【0021】
なお、軸棒の把持部または支持体への回転自在な組合せ構造には特に制約はなく、例えば、軸棒を回転自在に差し込み、組み合わせる側の把持部または支持体の軸心穴に対して、それよりもやや小断面の軸棒を差し込み、把持部または支持体から突出する部分の軸棒断面だけを更に細断面にした上、その細断面部分だけを挿通できる別体の孔空き飾り蓋を把持部の上端面または支持体の下端面に被せて把持部または支持体に一体化することにより、その段差部分を利用して孔空き飾り蓋で軸棒の抜け出しを規制した構造とする等、各種組合せ構造の採用が可能である。
【0022】
装飾塗装補助具の把持部は、基本的に前記した支持体を支え、それに挿通、仮固定状とした指輪等身の回り装身具にネイル・エナメルを塗布し易くする機能を果たすものであり、単に手に把持可能とする柄のようなものとしたり、その支持体取付け側にしない基端側を、三方または四方に開脚として自立可能とする脚台部を組み込んでなるものとする外、その支持体取付け側にしない基端側に、クリップや吸盤その他の仮固定機構を組み込んでなるものとし、手で把持することもできるが、化粧台その他の安定した箇所に仮固定し、右手にはブラシを持ち、左手で支持体を固定もしくは徐々に回転操作できるようにした使用のできる装飾塗装補助具となるようにしてもよい。
【0023】
【関連する発明2】
以上のとおりのトータルコーディネート用具に関連し、更にこの発明には、その使用方法がされており、その構成は次のとおりのものである。
即ち、既述のトータルコーディネート用具における装飾塗装補助具を、その把持部を片手で持つか、同把持部に組み込まれた台脚部を開脚して自立状とするか、または台部を使って自立状とするか、あるいは同把持部の仮固定機構によって適宜箇所に取着するかの何れかの手段により、その支持部の細身側が上方または斜め上方に向く姿勢となるようにした上、上記までのトータルコーディネート用具における身の回り装身具の略円形中空部を当該装飾塗装補助具の支持部に挿入し、該身の回り装身具が装飾塗装補助具の支持部に対して移動不能となるように組み合わせてから、当該身の回り装身具の外周表面全体または主要外周表面部分に予め形成されている被膜面上に、既にマニキュアしたか、あるいはマニキュアする予定のネイルカラーと同色またはその色に調和させた色のネイル・エナメル液を均質に塗布、乾燥し、更に必要に応じて所望のネイルアートを施して乾燥、定着させてから、トップコートを塗布、乾燥することにより、使用者希望のコンビネーション装飾塗装層を有する身の回り装身具とする一方、既に所定のコンビネーション装飾塗装層の形成された身の回り装身具に対し、使用者がマニキュアのネイルカラーやネイルアートを変更する際には、エナメル・リムーバーを使って当該所定のコンビネーション装飾塗装層を完全に除去、乾燥させて装身具本体表面の被膜面を露にしてから、前記した工程に従い、変更するネイルカラーと同色またはその色に調和させた色のネイル・エナメル液による変更コンビネーション装飾塗装層を形成するようにし、以降も、一つの身の回り装身具を繰り返し互換処理して、その時々のマニキュアに調和した変更コンビネーション装飾塗装層を形成するようにした構成を要旨とするトータルコーディネート用具の使用方法である。
【0024】
移動不能に組み合わせた指輪等身の回り装身具へのネイル・エナメル液の塗布は、ブローチやペンダント等の平板状または緩い彎曲面状の身の回り装身具の場合と違い、同一方向から全被膜面上をカバーすることができず、したがって、装飾塗装補助具の把持部を片方の手で握って使用している場合は、握った手の親指または人指し指で支持体下端(太身側)縁辺りを操作し、所定角度だけ回したり、その箇所で固定したりする等して支持体共々身の回り装身具を回動または仮固定し、マニキュアを必要とする皮膜面が常に使用者の面前に向くよう制御しながら、また、装飾塗装補助具を、その脚台部やクリップや吸盤その他の仮固定機構を使って自立状にして使用している場合は、片方の手で支持体適所を操作して所定角度だけ回したり、その箇所で固定したりする等して支持体共々身の回り装身具を回動または仮固定し、マニキュアを必要とする皮膜面が常に使用者の面前に向くよう制御しながら、もう片方の手に持ったブラシまたは筆による塗布を実施することになる。
【0025】
なお、コンビネーション装飾塗装層および変更コンビネーション装飾塗装層とも、使用者の指先が伝統的なマニキュア、即ち単色系装飾によるものの外、ネイルアートと称されて流行している、例えば単色系のものに他の色による模様を付けたり、あるいはラメ入りカラーを組み合わせた装飾によるものの場合、必ずしも、そのマニキュアと同一の装飾に限定されている訳ではなく、それと対比的な調和が実現されるものも包含されていることは、既述したとおりである。
以下では、幾つかの代表的な実施例を取り上げ、この発明のトータルコーディネート用具、およびその使用方法が、より一層明確に把握できるようにする。
【0026】
【実施例1】
図1の要部水平拡大断面図には、トータルコーディネート用具としてり身の回り装身具が指輪であって、その装身具本体をアルミニウム合金製となし、皮膜面にメラミン樹脂を主成分とする白色塗料を焼付け皮膜としたものが示されており、その製造工程は、次のとおりのものとなる。
先ず、基材とするアルミニウム合金材は、パイプ材かバー材をNC旋盤により、指輪サイズに応じた中空内径となるようにリング加工して多数の装身具本体1,1,……を形成し、よく洗浄して油性分やゴミを除去して乾燥する。
【0027】
次に、それら多数の装身具本体1,1,……の一つずつを、中空部分が隠蔽されるようマスキング処理してしまい、その中の所定個数のものを一まとめにした上、それら各装身具本体1,1,……の皮膜面2,2,……形成面となる夫々の外周面が、この後の工程における皮膜面の定着に有利になるようにする表面処理、例えばアルカリ液や酸液で表面を荒らすアロジン処理したり、あるいはガラスビーズ等によるブラスト処理を施してから、マスキングをしたままプライマースプレーガンによる下地処理を施す。
【0028】
そして、メラミン樹脂を主材とする指定色の塗料、例えば白色のロックペイント(商品名)を二回塗りによって約6μm厚程度の均質な塗装面とした後、金庫炉内において約160℃程度の温度で焼付け処理をし、各装身具本体1,1,……の外周面上に所定の皮膜面2,2,……を形成してこの発明の身の回り装身具である、使用者が、そのマニキュアを基調としたコンビネーション装飾塗装とそれを除去した変更コンビネーション装飾塗装とを、ネイル・エナメルとエナメル・リムーバーとの使い分け使用によって随時可能となるようにした指輪を完成するようにしたものである。
【0029】
【実施例2】
図2の斜視図に示した事例は、この発明の基本を成すトータルコーディネート用具における身の回り装身具、特に輪環状またはその一部を開放した略C字状とした指輪またはブレスレット、あるいは時計バンドなどに、この発明が目的とするマニキュアと同じネイル・エナメルを塗布してコンビネーション装飾塗装層を形成し、その後、必要に応じてそのコンビネーション装飾塗装層をエナメル・リムーバーを使って除去し、新たに変更コンビネーション装飾塗装層を形成するという互換処理を繰り返す際の、ネイル・エナメルとエナメル・リムーバーとの使用に役立つ装飾塗装補助具の代表的な実施例である。
【0030】
図からも明確に把握できるとおり、輪環状またはその一部を開放した略C字状とした指輪またはブレスレット、あるいは時計バンドなどの装身具本体1であって、その径の異なる略円形中空部11であっても挿入可能にするように全体形状を長円錐台に形成し、表面にベルベット地を張り合わせたものとして支持体7を形成し、該支持体7の太身側を、軸棒6と把持部3とで支持できるようにしたものであって、軸棒6の上端側は、該支持体7の軸心位置にその一部が回転自在且つ抜け出し不能となるようにして組み合わされ、同下端側は、手で握るときの安定性が確保できるように、握ったときの指型に合わせた凹凸加工を施してなる把持部3の上端に差し込み、一体化した構造のものとしてある。
【0031】
なお、図示にはしていないが、この把持部3の支持体7の取付け側とならない基端側を、三方または四方に開脚可能とする脚台部に形成して、上述のように手で把持した使用の外に、後述する実施例のように、化粧台その他の安定した平坦面に据え置き使用ができるようにしたものとすることも可能であり、また、この実施例では、支持体7全体形状を長円錐台に形成したものとしているが、径の異なる指輪1でも安定支持する機能に変わりのない長円錐体または長多角錐台等のものとすることも可能であり、更に、支持体7の軸心周りの回転を実現する手段も、この実施例に限るものではなく、軸棒6を支持体7と一体化し、軸棒6の下端を把持部3に回転自在且つ抜け出し不能となるように組み合わせてなるものとすることも勿論可能である。
【0032】
【実施例3】
この実施例は、図4の斜視図に示してあるように、前記した実施例2とは違って、化粧台その他の安定した平坦面に据え置き使用ができるようにした代表的な事例によるものであり、しかも、この発明が対象とする輪環状またはその一部を開放した略C字状とした指輪またはブレスレット、あるいは時計バンドなどといったトータルコーディネート用具としての身の回り装身具の中、極端に中空部径を異にする指輪と、ブレスレットや時計バンドなどとを夫々別々に支持可能にするよう、指輪用の支持体7とブレスレット等用の大径支持体8とを同軸上に一体化したものである。
【0033】
上記実施例2同様の構造とした支持体7の太身側下端を、指輪よりも遥かに径が大きく、しかも径を異にするブレスレット等身の回り装身具にも対応可能にするようにした短円錐台の大径支持体8上端面中心に一体化した上、該大径支持体8の太身側端面中央に、台部4上端面中央から突設した軸棒6上端側所定範囲を遊嵌且つ抜け出し不能に組み合わせてなるものであって、指輪またはブレスレット、あるいは時計バンドなどの身の回り装身具全般に対応可能にする構成も兼ね備えた据え置き使用型のトータルコーディネート用具における装飾塗装補助具である。
なお、この実施例では、台部4が円盤状のものに形成された事例としているが、この台部4自体を吸盤としたものにすることができる外、台部4の裏面に吸盤を組み合わせたものにすることができることは言うまでもなく、それらもこの実施例における台部4に包含されている。
【0034】
【実施例4】
最後に取り上げてあるトータルコーディネート用具における装飾塗装補助具の事例としては、図5の斜視図からも容易に理解されるとおり、把持部3がクリップ5に形成されていて、そのスナップ片5´の操作によってクリップ5を開き、化粧台や机の縁に仮固定にした使用を可能にするようにしたものであり、上記実施例2または3と同様にした支持体7の太身側端面中央に、中途をコイル状に一回巻とした軸棒6の垂直方向上端を遊嵌且つ抜け出し不能に組み合わせ、該軸棒6に対して支持体7がその軸心周りの回転を自在となるようにした上、同軸棒6の水平方向端部を屈曲したものにすると共に、略対称形に屈曲したスナップ片5´の一端側とでクリップ5を形成し、その軸着部5aにコイル発条を組み込んで、クリップ5が常に閉じる側に付勢されてなるようにしたものである。
【0035】
【作用】
以上のとおりの構成からなるこの発明のトータルコーディネート用具は、先ず、その把持部3を片手で持つか、同把持部3に組み込まれた台脚部を開脚して自立状とするか、または台部4を使って自立状とするか、あるいは同把持部3の仮固定機構によって適宜箇所に取着するかの何れかの手段により、その支持部6の細身側が上方または斜め上方に向く姿勢となるようにした上、この発明の指輪1またはブレスレット、あるいは時計バンド1´などの身の回り装身具の略円形中空部11を当該装飾塗装補助具の支持部6に挿入して、図3の斜視図中の指輪1や、図4斜視図中のブレスレット1´、あるいは図5斜視図中の指輪1のように、該身の回り装身具1または1´が装飾塗装補助具の支持部6または7に対して移動不能となるように組み合わせてしまう。
【0036】
その後、当該トータルコーディネート用具における身の回り装身具1または1´の外周表面全体または主要外周表面部分に予め形成されている被膜面2上に、既にマニキュアしたか、あるいはマニキュアする予定のネイルカラーと同色またはその色に調和させた色のネイル・エナメル液を均質に塗布、乾燥し、更に必要に応じて所望のネイルアートを施して乾燥、定着させてから、トップコートを塗布、乾燥するようにすることにより、使用者希望のコンビネーション装飾塗装層(図示せず。)を有する身の回り装身具を実現し、それら指輪1またはブレスレット1´を指または手首に装着使用することにより、指爪に施したマニキュアとのコンビネーションによってトータルコーディネーションの効果をより増強する。
【0037】
こうしてトータルコーディネーションの効果を享受した後、T.P.O.に応じてマニキュアを変更する必要を生じたときには、先に使用していた所定のコンビネーション装飾塗装層の形成された指輪1またはブレスレット1´に対し、エナメル・リムーバーを使って先のコンビネーション装飾塗装層を完全に除去、乾燥させて指輪1またはブレスレット1´表面の被膜面を露にしてから、除去する前に施してあったコンビネーション装飾塗装層(図示せず。)形成のときと同じ工程に従い、変更するネイルカラーと同色またはその色に調和させた色のネイル・エナメル液を使って装飾し、変更コンビネーション装飾塗装層を形成することにより、新たな装いのトータルコーディネーション効果が得られることになり、以降も、同様にして一つの指輪1またはブレスレット1´を繰り返し互換処理を施すことができることから、その時々のマニキュアに調和した変更コンビネーション装飾塗装層を形成して、トータルコーディネーション効果を楽しむことが可能になる。
【0038】
【作用】
以上詳述してきたとおり、この発明のトータルコーディネート用具、およびその使用方法は、既に女性一般の傾向として定着し始めているネイルアート技術、およびその装飾効果を、そのまま他の身の回り装身具である指輪やブレスレット、時計バンド、ブローチ,ペンダント、へアーバンド、へアークリップなど、従前までであればワンポイント装飾効果だけで取り入れていた身の回り装身具に取り入れ可能にすることにより、折角のネイルアートによる創作的なマニキュア効果が、一人一人が個性的な創作をするが故に、あまりにも強調され過ぎてしまう弊害を生じていたものを、それら身の回り装身具と相俟って調和あるファッションとすることができ、仮令大胆すぎるネイルアートであっても従前までのような違和感を気にせずに取入れ可能になり、多くの女性達が、夫々個性あるトータルファッションを楽しむことができることになり、その結果、ネイルアートの流行を確実に定着させることが可能なり、新たな専門職として脚光を浴びてきているネイルアートの活躍の場が確保されることにも繋がるという秀れた効果が得られることになる。
【0039】
そして、上記した効果は、この発明の基本を成すトータルコーディネート用具における身の回り装身具の完成と同時に、それ用の新規な構造のトータルコーディネート用具としての装飾塗装補助具が併用され、それらを使用する新規な使用方法が取り入れられることによってより一層実用的なものとすることができ、今後益々個性的なファッション創出の機会増え、停滞する経済状況下にあって、ともすれば陰鬱になりがちな日常生活を改善し、個々のストレス解消にも大いに役立つものになるという効果も期待することができるものとなる。
【0040】
しかも、それを使用する女性にとっては、それまでに培ったネイルアート技術がそのまま生かせると同時に、互換処理が随時可能になるという機能を活かしマニキュアする前に、その装飾の善し悪しを判断する試し塗りをすることができたり、あるいはネイルアート技術自体の練習用としても活用することができるという利点もあり、特に実施例に取り上げた構成によるものは、上記した作用効果を実現する上で、構成も簡潔で経済的なものとしての提供を可能にしていることから、手軽に購入してトータルファツションを楽しむことができるようになると共に、そのための技術を磨いて安心のいくトータルファツションを実現することができるという極めて実用的な効果も得られることになる。
【0041】
特に、実施例2に示したものでは、コンパクトなものとなっている上、手に把持したままでも支持部7の回転使用が可能になるという利点があることから、自宅だけではなく携帯していっても簡便なものとして取り扱うことも可能になるという特徴が得られるものになっており、また、実施例3に取り上げた装飾塗装補助具を使用する場合には、身の回り装身具、例えば、指輪と、それとは大きくサイズの異なるブレスレットや時計バンドとの双方に対応可能となる支持部7および大径支持部8を合体させた構成から成り立っていて、それらを安定且つ簡便なものとして取り扱うことが可能になることから、経済的効果および使い勝手の良さ等の点で極めて秀れたものとすることができ、更に実施例4の装飾塗装補助具の場合には、支持体7の回転軸に対して把持部が略直角の方向になるため、他の実施例のものとは違った取扱いが可能になる上、化粧台や机を始めとする板状木口に簡単に取り付けられることから、ネイル・エナメル塗りに際しては勿論、トップコートで仕上げた後の乾燥段階においても邪魔にならないという効果も得られるものとなる。
【0042】
叙述の如く、この発明のトータルコーディネート用具、およびその使用方法は、その新規な構成によって所期の目的を普く達成可能にするものであり、身の回り装身具、およびそれ用の装飾塗装補助具ともに比較的安価に提供できて多くの女性が手軽に購入、使用ができ、しかも、繰り返しての使用ができることから、ファッションのトータルコーディネーションを極めて経済的且つ効果的に楽しめ、それら女性層から高い評価がなされるのは勿論のこと、ファッションあるいはそれに関連する業界にとっても、新たな刺激となって業界の活性化に役立つものとして大いに賞賛され、普及、拡大してものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
図面は、この発明を代表する幾つかの実施例を示したものである。
【図1】 指輪の要部拡大水平断面図である。
【図2】 代表的な装飾塗装補助具の斜視図である。
【図3】 その使用状態を示す斜視図である。
【図4】 他の代表的な実施例による装飾塗装補助具の斜視図である。
【図5】 更に他の代表的な実施例による装飾塗装補助具の斜視図である。
【符号の説明】
1 指輪等の身の回り装身具もしくは装身具本体
11 同 中空部
1´ ブレスレット等の指輪等の身の回り装身具もしくは装身具本体
2 被膜面
3 把持部
4 台部
5 クリップ
5´ 同 スナップ片
5a 同 軸着部
6 軸棒
7 支持体
8 大径支持体
Claims (6)
- 最終的に輪環状またはその一部を開放した略C字状となるようにした形状を有する装身具本体の、少なくともその外周表面全体または主要外周表面部分を、ネイル・エナメル液の塗布と、それら塗布、固化したネイル・エナメルのエナメル・リムーバーによる除去という互換処理、およびその互換処理の繰返しを可能にする被膜面に形成したものとして装身具となし、使用者によってマニキュアを基調としたコンビネーション装飾塗装とそれを除去した変更コンビネーション装飾塗装とが、ネイル・エナメルとエナメル・リムーバーとの使い分け使用によって随時可能となるようにした身の回り装身具と、該身の回り装身具における装身具本体の略円形中空部を挿入可能にする長円錐体または長円錐台、あるいは長多角錐台とした支持体が、太身側を下方にした上、その軸芯周りに回転自在となるようにして把持部または台部に組み合わされてなる装飾塗装補助具との組合せからなることを特徴とするトータルコーディネート用具。
- 身の回り装身具の装身具本体が、アルミニウム合金製またはステンレス鋼製のものとして形成され、その被膜面をメラミン樹脂系塗料またはポリテトラフフルオロエチレン樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料の焼付け塗膜によるものとした、請求項1記載のトータルコーディネート用具。
- 身の回り装身具の装身具本体被膜面が、白色、肌色、あるいは淡いピンクに限定されたものとした、請求項1または2何れか記載のトータルコーディネート用具。
- 装飾塗装補助具の把持部が、その支持体取付け側にしない基端側を、三方または四方に開脚可能とする脚台部を兼用するものとして形成された、請求項1ないし3何れか記載のトータルコーディネート用具。
- 装飾塗装補助具の把持部が、その支持体取付け側にしない基端側に、クリップや吸盤その他の仮固定機構を組み込んでなるものとした、請求項1ないし3何れか記載のトータルコーディネート用具。
- 請求項1ないし5何れか記載のトータルコーディネート用具における装飾塗装補助具を、その把持部を片手で持つか、同把持部に組み込まれた台脚部を開脚して自立状とするか、または台部を使って自立状とするか、あるいは同把持部の仮固定機構によって適宜箇所に取着するかの何れかの手段により、その支持部の細身側が上方または斜め上方に向く姿勢となるようにした上、請求項1ないし5何れか記載のトータルコーディネート用具における身の回り装身具の略円形中空部を当該装飾塗装補助具の支持部に挿入し、該身の回り装身具が装飾塗装補助具の支持部に対して移動不能となるように組み合わせてから、当該身の回り装身具の外周表面全体または主要外周表面部分に予め形成されている被膜面上に、既にマニキュアしたか、あるいはマニキュアする予定のネイルカラーと同色またはその色に調和させた色のネイル・エナメル液を均質に塗布、乾燥し、更に所望のネイルアートを施して乾燥、定着させてから、トップコートを塗布、乾燥することにより、使用者希望のコンビネーション装飾塗装層を有する身の回り装身具とする一方、既に所定のコンビネーション装飾塗装層の形成された身の回り装身具に対し、使用者がマニキュアのネイルカラーやネイルアートを変更する際には、エナメル・リムーバーを使って当該所定のコンビネーション装飾塗装層を完全に除去、乾燥させて装身具本体表面の被膜面を露にしてから、前記した工程に従い、変更するネイルカラーと同色またはその色に調和させた色のネイル・エナメル液による変更コンビネーション装飾塗装層を形成するようにし、以降も、一つの身の回り装身具を繰り返し互換処理して、その時々のマニキュアに調和した変更コンビネーション装飾塗装層を形成するようにしたことを特徴とする、請求項1ないし5何れか記載のトータルコーディネート用具の使用方法。
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