JP4153921B2 - 光記録媒体の製造方法及び光記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、光記録媒体の製造方法に関するものであり、さらに詳細には、スピンコーティング法によって、耐擦傷性及び光透過性に優れた光透過層を形成することができ、低コストで、かつ、高い生産性をもって、反りの発生が効果的に抑制された光記録媒体を得ることができる光記録媒体の製造方法に関するものである。
また、本発明は、低い引張弾性率であるにも係わらず耐擦傷性及び光透過性に優れた光透過層を有し、反りの発生が効果的に抑制された光記録媒体に関するものである。
従来より、デジタルデータを記録するための記録媒体として、CDやDVDに代表される光記録媒体が広く利用されているが、近年においては、より大容量で、かつ、高いデータ転送レートを有する次世代型の光記録媒体の開発が盛んに行われている。
このような次世代型の光記録媒体においては、記録容量を高めると共に非常に高いデータ転送レートを実現するため、必然的に、データの記録・再生に用いるレーザビームのビームスポット径を非常に小さく絞ることが要求される。
レーザビームのビームスポット径を小さく絞るためには、レーザビームを集束するための対物レンズの開口数(NA)を0.7以上、例えば、0.85程度まで大きくすると共にレーザビームの波長λを450nm以下、例えば、400nm程度まで短くすることが必要になる。
さらに、レーザビームのビームスポット径を小さく絞って、光記録媒体にデータを記録し、光記録媒体からデータを再生するためには、次式(1)で表わされるコマ収差Wを小さな値に保持することが必要である。
Figure 0004153921
式(1)において、nは光透過層の屈折率であり、θはレーザビームの光軸の傾きである。
式(1)から明らかなように、レーザビームの波長λを短くし、かつ、対物レンズの開口数NAを大きくすると、コマ収差Wが急激に増大し、さらに、コマ収差Wは光軸の傾きθに依存するため、レーザビームの波長λの短いレーザビームを用いると共に開口数NAが大きい対物レンズを用いる場合には、光軸の傾きθが変化するとコマ収差Wが大きく変動し、その結果、光軸の傾きθの変化に対する許容度、すなわち、チルトマージンが小さくなる。
したがって、レーザビームの波長λを短くし、対物レンズの開口数NAを大きくするとともに、チルトマージンを、DVDなどの従来の光記録媒体と同様なレベルに抑えるためには、式(1)から明らかなように、光透過層の厚さdを小さくすることが必要になり、例えば、400nm程度の波長のレーザビームと、0.85程度の開口数NAを有する対物レンズを用いる場合には、光透過層の厚さdを100μm程度まで薄くすることが必要になる。
そのため、次世代型の光記録媒体においては、CDやDVDなど現行の光記録媒体のように、レーザビームが入射する光透過性を有する支持基板上に記録層などの層を形成することは困難である。したがって、支持基板上に形成した記録層などを含む情報層上に、100μm程度の薄い樹脂層を、レーザビームが入射する光透過性を有する光透過層として形成する方法が提案されている。
100μm程度の厚さを有する光透過層を形成する方法としては、例えば、光透過性を有する材料によって成形された樹脂フィルムを情報層上に貼り合わせて、光透過層を形成する方法や、樹脂組成物溶液を情報層上にスピンコーティング法によって塗布し、紫外線や電子線を照射して硬化させ、光透過層を形成する方法が知られている。例えば、国際公開公報WO03/100777A1。
また、次世代型の光記録媒体に形成される光透過層は、上述したように、レーザビームが入射し透過する層であるため、その表面に傷が存在する場合には、傷によってレーザビームが乱反射され、所望のように、データを光記録媒体の情報層に記録し、データを光記録媒体の情報層から再生することが困難になる。そのため、光透過層は、その表面が傷つきにくく耐擦傷性に優れていることが必要であり、その一方で、データを光記録媒体の情報層に記録し、データを光記録媒体の情報層から再生する場合に、レーザビームは光透過層を介して光記録媒体の情報層にフォーカスされるから、データの記録及び再生のために用いられるレーザビームの波長領域に対して、光透過層は高い光透過率を有することが必要である。
WO03/100777A1
しかしながら、光透過性を有する材料によって成形された樹脂フィルムを情報層上に貼り合わせて光透過層を形成する場合には、光透過性を有し光学特性に優れた樹脂フィルムは非常に高価であるためコストアップの原因になると共に、樹脂フィルムを貼り合わせて光透過層を形成することは生産性を著しく低下させるという問題があった。
一方、樹脂組成物溶液を情報層上にスピンコーティング法によって塗布し、紫外線や電子線を照射して、硬化させ、光透過層を形成する場合には、紫外線や電子線が照射されて樹脂組成物が硬化する際に樹脂組成物が収縮し、光記録媒体に反りが生じやすいという問題があった。
特に、高い耐擦傷性を有する光透過層を形成するために、硬度の高い樹脂組成物を用いて光透過層を形成する場合には、架橋密度の高い樹脂組成物を用いることが必要になり、樹脂組成物が硬化する際により一層大きく収縮し、光記録媒体に大きな反りが生じやすいという問題があった。
したがって、光記録媒体に反りが生じることを確実に防止するためには、硬化する際の収縮が小さい樹脂組成物によって、光透過層を形成することが必要である。
しかしながら、硬化する際の収縮が小さい樹脂組成物を用いて光透過層を形成したときは、光透過層の硬度が低くなって光透過層の表面が傷付きやすくなり、耐擦傷性が低下するという問題があった。
かかる問題は、光透過層の表面に、硬度が高い材料によって、ハードコート層などの保護層を設けることによって解決することができる。しかしながら、光透過層の表面にハードコート層などの保護層を設ける場合には、光記録媒体の製造コストが高くなるだけでなく、生産性が著しく悪化してしまう。
したがって、本発明の目的は、スピンコーティング法によって、耐擦傷性及び光透過性に優れた光透過層を形成することができ、低コストで、かつ、高い生産性をもって、反りの発生が効果的に抑制された光記録媒体を得ることができる光記録媒体の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、低い引張弾性率であるにも係わらず耐擦傷性及び光透過性に優れた光透過層を有し、反りの発生が効果的に抑制された光記録媒体を提供することにある。本発明の光記録媒体は、上記本発明の光記録媒体の製造方法によって得ることができる。
本発明者らは、本発明のかかる目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、光記録媒体の情報層上に、脂肪族炭素原子に結合しているイソシアネート基を1分子中に3個以上有する化合物(a−1)とポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(a−2)とを反応させて得られるラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、25℃における粘度が400mPa・s以下であるラジカル硬化性モノマー(B)とを主成分として含む樹脂組成物を、スピンコーティング法によって塗布して塗膜を形成し、塗膜に紫外線又は電子線を照射して樹脂組成物を硬化させて、情報層上に光透過層を形成した場合には、耐擦傷性及び光透過性に優れ、380nm〜450nmの波長を有するレーザビームに対して、高い光透過率を有する光透過層を形成することができ、樹脂組成物を硬化させる際の樹脂組成物の収縮が小さく、したがって、反りの発生が効果的に抑制された光記録媒体を製造することが可能になることを見出した。すなわち、この製造方法においては、情報層形成後は、情報層上に樹脂組成物をスピンコーティング法によって塗布して光透過層を形成するという簡便な操作のみが必要であり、光透過層の表面にハードコート層などの保護層を設ける必要がないから、低コストで、かつ、高い生産性をもって、反りの発生が効果的に抑制された光記録媒体を製造することができる。
本発明はかかる知見に基づくものあり、本発明の前記目的は、支持基板と、レーザビームが透過する光透過層と、前記支持基板と前記光透過層との間に形成された情報層とを少なくとも備えた光記録媒体の製造方法であって、
前記情報層上に、脂肪族炭素原子に結合しているイソシアネート基を1分子中に3個以上有する化合物(a−1)とポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(a−2)とを反応させて得られるラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、25℃における粘度が400mPa・s以下であるラジカル硬化性モノマー(B)とを主成分として含む樹脂組成物を、スピンコーティング法によって塗布して塗膜を形成し、前記塗膜に、紫外線又は電子線を照射して前記樹脂組成物を硬化させて、前記情報層上に前記光透過層を形成することを特徴とする光記録媒体の製造方法によって達成される。
本明細書において、樹脂組成物が、ラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、ラジカル硬化性モノマー(B)とを主成分として含んでいるとは、不可避成分を除いて、樹脂組成物が、この(メタ)アクリレート(A)及びラジカル硬化性モノマー(B)のみを含んでいる場合だけでなく、樹脂組成物が、(メタ)アクリレート(A)及びラジカル硬化性モノマー(B)に加えて、光透過層の特性を向上させるための各種の添加剤を含んでいる場合、樹脂組成物が、(メタ)アクリレート(A)及びラジカル硬化性モノマー(B)に加えて、(メタ)アクリレート(A)及びラジカル硬化性モノマー(B)以外のラジカル硬化性化合物を含んでいる場合を包含する。
本発明において、前記化合物(a−1)について、脂肪族炭素原子は、芳香族環を構成する炭素原子以外の炭素原子であって、脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子をいい、炭化水素基は飽和であっても不飽和であってもよい。化合物(a−1)中のイソシアネート基が脂肪族炭素原子に結合していると、化合物(a−1)と(a−2)とから得られるラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)を用いて形成される光透過層の光透過率が高くなり、特に、光記録媒体を長時間にわたって保存した後においても、光透過層の光透過率を十分に高い値に保持することができ好ましい。
このような樹脂組成物を用いて光透過層を形成すると、低い引張弾性率(すなわち柔らかい)であるにも係わらず耐擦傷性及び光透過性に優れた光透過層が形成される。このような光透過層を形成すると、光透過層に局所的な外力(例えば鋭利な突起物で表面をひっかく場合や、スチールウール様の材料を擦りつけるような場合等)が加わり、光透過層が局部的に変形しても元に復元しやすい。そのため、局所的な外力に対しても強い光記録媒体となる。
本発明において、紫外線又は電子線を照射する際の雰囲気は、特に限定されるものではないが、紫外線又は電子線は、空気中で、かつ、常温(25℃)〜約100℃の温度下で照射することが好ましい。また、本発明において、樹脂組成物が硬化するのに十分な量の紫外線又は電子線が照射されればよく、紫外線の照射量又は電子線の吸収線量は特に限定されるものではなく、また、紫外線又は電子線は、2回又は3回以上に分けて樹脂組成物に照射されてもよい。
また、スピンコーティング法によって、樹脂組成物を情報層上に塗布するときの条件も、特に限定されるものではない。
本発明において、樹脂組成物が溶剤を実質的に含んでいないことが好ましい。ここに、樹脂組成物が溶剤を実質的に含んでいないとは、樹脂組成物を調製するときに、非反応性の揮発性溶剤を積極的に用いないことを意味し、樹脂組成物の構成成分を調製するときに用いた溶剤で、樹脂組成物の構成成分に残存する溶剤は、樹脂組成物中に含まれていてもよい。具体的には、樹脂組成物中に、5質量%以下の非反応性の揮発性溶剤が含まれていてもよい。
本明細書において、非反応性の揮発性溶剤は、ラジカル重合性を持たず、かつ、1atmにおける沸点が200℃以下の有機液体として定義される。
スピンコーティング法によって100μm程度の厚さの光透過層を形成する際に、溶剤を含む樹脂組成物を用いると、コストアップの原因になると共に、溶剤の乾燥処理などが必要になって、光記録媒体の生産性を低下させるおそれがある。また、溶剤の乾燥処理を行ったとしても、100μm程度の塗膜の深部から完全に溶剤を取り除くことは困難であり、光透過層中に気泡が混入し、あるいは、光透過層表面の塗布ムラが発生するなど、光透過層に欠陥が生じるおそれがある。
一方、樹脂組成物が溶剤を実質的に含んでいない場合には、単に、スピンコーティング法によって情報層上に樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、塗膜に紫外線又は電子線を照射して樹脂組成物を硬化させるだけで、光透過層を形成することができ、低コストで、かつ、高い生産性をもって、光記録媒体を製造することが可能になる。
本発明において、樹脂組成物が、質量割合で表して、40質量部以上95質量部以下のラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、5質量部以上60質量部以下のラジカル硬化性モノマー(B)とを主成分として含んでいることが好ましい。
樹脂組成物が、40質量部以上95質量部以下のラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、5質量部以上60質量部以下のラジカル硬化性モノマー(B)とを主成分として含んでいる場合には、樹脂組成物が、スピンコーティング法によって塗布するのにより適した物性を有し、スピンコーティング法によってより均一な光透過層を形成することが可能になる。
本発明において、紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させる場合には、樹脂組成物は、さらに、ラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)とラジカル硬化性モノマー(B)との合計量を基準として、1質量%以上5質量%以下の光重合開始剤(C)を含んでいることが好ましい。一方、電子線を照射して、樹脂組成物を硬化させる場合には、樹脂組成物は光重合開始剤(C)を含んでいなくてもよい。
光重合開始剤(C)は、下記一般式(1)で表されるアセトフェノン系光重合開始剤、及び/又は、下記一般式(2)で表されるベンゾフェノン系光重合開始剤であって、かつ、下記一般式(3)で表されるチオキサントン骨格、下記一般式(4)で表されるホスフィンオキサイド骨格、又は下記一般式(5)で表されるチタノセン骨格を有する化合物を実質的に含んでいないことが好ましい。
Figure 0004153921
一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ、水素原子; フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子; 水酸基、アミノ基又はメルカプト基; 又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、また、隣り合う任意の2つが互いに連結されて、それらが結合している炭素原子と共に環構造を形成していてもよい。
一般式(2)において、R〜R及びR'〜R'は、それぞれ、水素原子; フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子; 水酸基、アミノ基又はメルカプト基; 又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、また、隣り合う任意の2つが互いに連結されて、それらが結合している炭素原子と共に環構造を形成していてもよい。
Figure 0004153921
一般式(3)において、R11〜R14及びR'11〜R'14は、それぞれ、水素原子; フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子; 水酸基、アミノ基又はメルカプト基; 又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、また、隣り合う任意の2つが互いに連結されて、それらが結合している炭素原子と共に環構造を形成していることもある。
一般式(4)において、R11〜R13は、それぞれ、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、また、任意の2つが互いに連結されて、リン原子と共に環構造を形成していることもある。
一般式(5)において、R11〜R14及びR'11〜R'14は、それぞれ、水素原子; フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子; 水酸基、アミノ基又はメルカプト基; 又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、また、隣り合う任意の2つが互いに連結されて、それらが結合している炭素原子と共に環構造を形成していることもある。
R''及びR''は、それぞれ、水素原子; フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子から選ばれるハロゲン原子; 水酸基、アミノ基又はメルカプト基; 又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく、また、互いに連結されて、チタン原子と共に環構造を形成していることもある。
光重合開始剤(C)として、上記一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される化合物を用いると、得られる光透過層に不都合な着色が起こりやすいので、これらの化合物を用いないことが好ましい。
このような光重合開始剤(C)を含む樹脂組成物によって形成された光透過層は、380nm以上450nm以下の波長を有するレーザビームに対して、高い光透過率を有している。
本発明において、樹脂組成物が、さらに、0.1質量%以上5質量%以下の脂肪酸エステル系潤滑剤、シリコーン系潤滑剤及びフッ素系潤滑剤からなる群から選択される少なくとも1種の潤滑剤(D)を含んでいることが好ましい。
樹脂組成物が潤滑剤(D)を含んでいる場合には、光透過層表面の潤滑性をさらに向上させることが可能になり、したがって、次世代型の光記録媒体にデータを記録し再生するときに、光記録媒体の表面とピックアップとが接触した場合においても、光記録媒体の光透過層表面に傷が付くことを効果的に防止することが可能になる。
本発明において、潤滑剤(D)は、分子中に少なくとも1つのラジカル反応性基を有し、10,000以下の分子量を有していることがより好ましい。
潤滑剤(D)の分子量が10,000以下であるときは、樹脂組成物中における潤滑剤(D)の易動性を確保することができ、したがって、光透過層の表面近傍に潤滑剤(D)が局在化しやすくなり、一方、潤滑剤(D)が少なくとも1つのラジカル反応性基をその分子内に有しているときは、光透過層の表面近傍に局在化した潤滑剤(D)を、(メタ)アクリレート(A)及び/又はラジカル硬化性モノマー(B)と反応させて、光透過層の表面近傍に固定することができ、したがって、光透過層の表面の潤滑性をより一層向上させることが可能になる。潤滑剤(D)の分子量の下限は特に定められることはないが、通常100以上である。
本発明において、潤滑剤(D)のラジカル反応性基は、紫外線又は電子線を照射することによってラジカル重合反応し得る基であれば、特に限定されるものではないが、CH=C(R)−基(ここに、Rは、水素原子又はメチル基である。)であることが好ましく、(メタ)アクリレート基であるCH=C(R)−COO−基(ここに、Rは、水素原子又はメチル基である。)であることが特に好ましい。
本発明において、樹脂組成物が潤滑剤(D)を含んでいる場合には、紫外線又は電子線が、酸素濃度1,000ppm以下の酸素欠乏雰囲気中、例えば、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で、情報層上に塗布された樹脂組成物に照射されることが好ましい。
紫外線又は電子線が、酸素濃度1,000ppm以下の酸素欠乏雰囲気中で、情報層上に塗布された樹脂組成物に照射されて、光透過層が形成された場合には、光透過層の表面の架橋密度を向上させることが可能になると共に、潤滑剤(D)、帯電防止剤、撥水剤、撥油剤などの樹脂組成物に含まれる成分を光透過層の表面近傍に局在化させることができ、光透過層の表面物性を向上させることが可能になる。
さらに、この場合には、光透過層の撥水性を向上させることができ、光透過層に汚れが付着しにくく、汚れが付着した場合においても汚れを容易に除去することができる。したがって、光透過層に入射するレーザビームが、光透過層の表面に付着した汚れによって乱反射されることを確実に防止することが可能になるから、所望のように、データを光記録媒体に記録し、光記録媒体から再生することが可能になる。
また、本発明は、支持基板と、レーザビームが透過する光透過層と、前記支持基板と前記光透過層との間に形成された情報層とを少なくとも備えた光記録媒体であって、
前記光透過層は、脂肪族炭素原子に結合しているイソシアネート基を1分子中に3個以上有する化合物(a−1)とポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(a−2)とを反応させて得られるラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、25℃における粘度が400mPa・s以下であるラジカル硬化性モノマー(B)とを主成分として含む樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする光記録媒体である。
このような樹脂組成物の硬化物からなる光透過層は、低い引張弾性率(すなわち柔らかい)であるにも係わらず耐擦傷性及び光透過性に優れている。後述するように、光透過層が柔らかいと、光記録媒体に外力が加わり、光透過層が局部的に変形しても元に復元しやすい。そのため、外力に対しても強い光記録媒体となる。
本発明の光記録媒体において、前記樹脂組成物が、質量割合で表して、40質量部以上95質量部以下のラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、5質量部以上60質量部以下のラジカル硬化性モノマー(B)とを含んでいることが好ましい。
本発明の光記録媒体において、前記光透過層は前記支持基板よりも柔らかい。前記支持基板は、例えば、ポリカーボネート又はポリオレフィン製である。
このように、光透過層が支持基板よりも柔らかいと、光記録媒体に外力が加わり、光透過層が局部的に変形しても元に復元しやすい。そのため、外力に対しても強い光記録媒体となる。柔らかさの指標としては、例えば、引張弾性率が挙げられる。光透過層は、1,000MPa以下の引張弾性率を有することが好ましい。ポリカーボネート製の支持基板は、約11,000MPaの引張弾性率を有する。
このような本発明の光記録媒体は、上記本発明の光記録媒体の製造方法によって得ることができる。
本発明において、情報層の構成は、特に限定されるものではなく、追記型の情報層として構成されていても、書き換え型の情報層として構成されていてもよい。また、情報層は、再生専用型(ROM)の情報層として構成されていてもよい。
本発明によれば、スピンコーティング法によって、耐擦傷性及び光透過性に優れた光透過層を形成することができ、低コストで、かつ、高い生産性をもって、反りの発生が効果的に抑制された光記録媒体を得ることができる光記録媒体の製造方法が提供される。
本発明によれば、低い引張弾性率であるにも係わらず耐擦傷性及び光透過性に優れた光透過層を有し、反りの発生が効果的に抑制された光記録媒体が提供される。
本発明の光記録媒体の製造方法及び光記録媒体の実施の形態について説明する。
本発明において、光透過層を形成するための樹脂組成物には、脂肪族炭素原子に結合しているイソシアネート基を1分子中に3個以上有する化合物(a−1)とポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(a−2)とを反応させて得られるラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、25℃における粘度が400mPa・s以下であるラジカル硬化性モノマー(B)とが主成分として含まれている。
この樹脂組成物は、紫外線又は電子線が照射されて硬化する際の収縮率が小さく、しかも、硬化後の耐擦傷性が高いから、この樹脂組成物を用いて、スピンコーティング法により光透過層を形成した場合に、光記録媒体に反りが生じることを効果的に防止することが可能になると共に、光透過層に傷がつくことを効果的に防止することができる。したがって、所望のように、光記録媒体にデータを記録し、光記録媒体からデータを再生することが可能になる。
また、この樹脂組成物は、スピンコーティング法によって、100μm程度の厚さを有する光透過層を形成するのに適した物性を有しているため、塗布液を調製するために溶剤を用いる必要がない。したがって、単に、樹脂組成物をスピンコーティング法によって情報層上に塗布して塗膜を形成し、紫外線又は電子線を照射して樹脂組成物を硬化させるだけで、100μm程度の厚さを有する光透過層を情報層上に形成することができ、溶剤を除去するために乾燥処理などを施す必要がないから、光記録媒体を低コストで、かつ、高い生産性をもって製造することが可能になる。
さらには、この樹脂組成物を用いて形成された光透過層は、高い光透過率を有し、特に、次世代型の光記録媒体に用いられる380nm以上450nm以下の波長を有するレーザビームに対して高い光透過率を有しているから、この樹脂組成物は、次世代型の光記録媒体の光透過層を形成するのに適している。
また、この樹脂組成物は、硬化する際の収縮率が小さいから、この樹脂組成物を用いて、光透過層が形成された光記録媒体は反りにくく、さらに、この樹脂組成物を用いて形成された光透過層は高い耐擦傷性を有している。このため、光記録媒体がピックアップに接触した場合にも光透過層に傷がつくことが防止され、したがって、この樹脂組成物は、次世代型の光記録媒体の光透過層を形成するのに特に適している。
さらには、この樹脂組成物を用いて形成された光透過層は、好ましくは1,000MPa以下の引張弾性率を有しており、すなわち、柔らかい。ポリカーボネート製の支持基板は、約11,000MPaの引張弾性率を有するので、光透過層は支持基板よりも柔らかい。光透過層が支持基板よりも柔らかいと、光記録媒体に外力が加わり、光透過層が局部的に変形しても元に復元しやすい。そのため、外力に対しても強い光記録媒体となる。光透過層は、より好ましくは500MPa以下の引張弾性率、最も好ましくは300MPa以下の引張弾性率を有している。光透過層の引張弾性率の下限は特に定められないが、高い耐擦傷性を考慮すると、10MPa以上である。
本発明において、樹脂組成物に含まれるラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、脂肪族炭素原子に結合しているイソシアネート基を1分子中に3個以上有する化合物(a−1)と、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(a−2)とを反応させて得られる付加生成物である。このようなラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、一般にラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと呼ばれている。本明細書においては、適宜、ラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)とも表記する。
本発明において、脂肪族炭素原子に結合しているイソシアネート基を1分子中に3個以上有する化合物(a−1)は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。本発明において、モノマーとは、ポリマーを構成する単位となる化合物で、その分子量が2,000未満の化合物をいい、オリゴマーとは、モノマーが数個〜数十個結合した重合体で、その分子量が1,000以上10,000以下の化合物をいい、ポリマーとは、モノマーが数十個を超えて結合した重合体で、その分子量が10,000を超える化合物をいう。
化合物(a−1)中に含まれるイソシアネート基が脂肪族炭素原子に結合していると、化合物(a−1)と(a−2)とから得られるラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)を用いて形成される光透過層の、380nm以上450nm以下の波長を有するレーザビームに対する光透過率が高くなり、特に、光記録媒体を長時間にわたって保存した後においても、光透過層の光透過率を十分に高い値に保持することができ好ましい。
化合物(a−1)は、例えば、脂肪族炭素原子に結合しているイソシアネート基を分子内に2個有するジイソシアネート化合物を変性することによって得ることができる。ジイソシアネート化合物の変性方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、イソシアヌレート変性、トリメチロールプロパン(TMP)変性、ビウレット変性などが挙げられる。
化合物(a−1)を得るために用いられる、脂肪族炭素原子に結合しているイソシアネート基を分子内に2個有するジイソシアネート化合物の具体例としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートメチルなどを挙げることができる。
脂肪族炭素原子に結合しているイソシアネート基を分子内に2個有するジイソシアネート化合物を、イソシアヌレート変性することによって、化合物(a−1)を得る場合、こうして得られる化合物(a−1)の具体例としては、例えば、下記一般式(6)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 0004153921
脂肪族炭素原子に結合しているイソシアネート基を分子内に2個有するジイソシアネート化合物を、TMP変性することによって、化合物(a−1)を得る場合、こうして得られる化合物(a−1)の具体例としては、例えば、下記一般式(7)で示されるものを挙げることができる。
Figure 0004153921
一般式(7)におけるRは、上記一般式(6)におけるRと同様である。
脂肪族炭素原子に結合しているイソシアネート基を分子内に2個有するジイソシアネート化合物を、ビウレット変性することによって、化合物(a−1)を得る場合、こうして得られる化合物(a−1)の具体例としては、例えば、下記一般式(8)で示されるものを挙げることができる。
Figure 0004153921
なお、イソシアヌレート変性、トリメチロールプロパン(TMP)変性及びビウレット変性などの変性方法は、通常行われる方法、条件を任意に選択できる。
一方、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(a−2)は、化合物(a−1)と反応可能であって、紫外線又は電子線を照射することによって、重合反応し得るCH=C(R)−基(ここに、Rは、水素原子又はメチル基である。)を有している。これらの化合物(a−1)及び(a−2)を用いて調製されたラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)を樹脂組成物の成分として用いる。前記(メタ)アクリレート(A)を含む樹脂組成物は、スピンコーティング法によって、100μm程度の厚さを有する光透過層を形成するのに必要な物性を有している。そのため、溶剤を使用しなくても、単に、樹脂組成物をスピンコーティング法によって情報層上に塗布して塗膜を形成し、紫外線又は電子線を照射して樹脂組成物を硬化させることによって、380nm以上450nmの波長を有するレーザビームに対して高い光透過率を有する光透過層を容易に形成することができる。さらに、重合開始剤や潤滑剤などの添加剤を添加した場合でも、スピンコーティング法によって塗布するのに必要な物性を保持することができ、したがって、高い光透過率と表面特性を有する光透過層を形成することが可能になる。
ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(a−2)としては、例えば、下記一般式(9)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0004153921
上記一般式(9)で示される化合物におけるRは、水素原子又はメチル基である。
上記一般式(9)で示される化合物におけるnは、1以上25以下の整数を表すが、1以上5以下の整数であることが好ましい。上記一般式(9)で示される化合物におけるnが、1以上5以下の整数である場合には、樹脂組成物の硬化性が高く、また、樹脂組成物を用いて形成した光透過層の耐擦傷性をより一層向上することができる。
前記(メタ)アクリレート(A)を得るために、化合物(a−1)と(メタ)アクリレート(a−2)とを反応させる場合、その混合比は特に限定されるものではないが、化合物(a−1)中のイソシアネート基と(メタ)アクリレート(a−2)中のヒドロキシル基とが等モルとなるように、又は(メタ)アクリレート(a−2)中のヒドロキシル基が化合物(a−1)中のイソシアネート基よりもやや過剰モル量となるような混合比とするとよい。化合物(a−1)及び(メタ)アクリレート(a−2)の分子量にもよるが、例えば、10質量部以上60質量部の化合物(a−1)と、40質量部以上90質量部の(メタ)アクリレート(a−2)とを混合して反応させることが好ましい。
化合物(a−1)と(メタ)アクリレート(a−2)とは、溶液中で反応させることができ、この際に用いられる溶剤の具体例としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤; アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤; 酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤などを挙げることができる。
また、化合物(a−1)と(メタ)アクリレート(a−2)とを反応させるにあたって、溶剤に代えて、化合物(a−1)及び(メタ)アクリレート(a−2)以外のラジカル反応性基を有する化合物(以下、「ラジカル反応性希釈剤」という。)を用いることもできる。このようなラジカル反応性希釈剤の具体例としては、例えば、スチレン、イソボルニルアクリレート、アクリロイルモルホリン、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレートなどを挙げることができる。
これらの溶剤及びラジカル反応性希釈剤は、それぞれ、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、これらの溶剤やラジカル反応性希釈剤を用いることなく、化合物(a−1)と(メタ)アクリレート(a−2)のみからなる系で、これらを反応させることもできる。
化合物(a−1)と(メタ)アクリレート(a−2)は、上記したいずれの場合も、常温(約20℃)〜100℃の温度で、1時間〜10時間にわたって反応させることが好ましい。
化合物(a−1)と(メタ)アクリレート(a−2)とを反応させるにあたって、必要に応じて、触媒を用いることもでき、その具体例としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジエチルヘキソエート、ジブチルスズサルファイトなどを挙げることができる。触媒の添加量は、化合物(a−1)と(メタ)アクリレート(a−2)との合計100質量部に対して、0.01質量部以上1質量部以下であることが好ましく、特に、0.02質量部以上0.5質量部以下であることが好ましい。
また、化合物(a−1)と(メタ)アクリレート(a−2)とを反応させる際に、必要に応じて、重合禁止剤を用いることもでき、その具体例としては、例えば、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどを挙げることができる。重合禁止剤の添加量は、化合物(a−1)と(メタ)アクリレート(a−2)との合計100質量部に対して、1.0×10−5質量部以上1質量部以下であることが好ましい。
本発明において、樹脂組成物に含まれるラジカル硬化性モノマー(B)は、前記(メタ)アクリレート(A)と共重合可能で、かつ、ラジカル反応性基を有し、25℃における粘度が400mPa・s以下であるモノマーであれば、特に限定されるものではない。
本発明において、モノマー(B)のラジカル反応性基は、特に限定されるものではないが、例えば、CH=C(R)−基(ここに、Rは、水素原子又はメチル基である。)が挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリロイル基であるCH=C(R)−COO−基(ここに、Rは、水素原子又はメチル基である。)が挙げられる。
また、ラジカル硬化性モノマー(B)は、ラジカル反応性基を分子内に1個有する単官能モノマーであってもよく、ラジカル反応性基を分子内に2個以上有する多官能モノマーであってもよい。
光透過層を形成するための樹脂組成物が、スピンコーティング法によって、100μm程度の厚さを有する光透過層を形成するのに必要な物性を有するためには、ラジカル硬化性モノマー(B)の25℃における粘度が400mPa・s以下であることが必要である。ラジカル硬化性モノマー(B)の25℃における粘度は、より好ましくは、250mPa・s以下である。その下限は、特に限定されるものではないが、1mPa・s以上であることが好ましい。
このようなラジカル硬化性モノマー(B)の具体例としては、例えば、イソアミルアクリレート(粘度1mPa・s〜2mPa・s)、ラウリルアクリレート(粘度4mPa・s〜5mPa・s)、ステアリルアクリレート(粘度8mPa・s〜10mPa・s)、ブトキシエチルアクリレート(粘度3mPa・s〜4mPa・s)、エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート(粘度4mPa・s〜5mPa・s)、メトキシ−トリエチレングリコールアクリレート(粘度5mPa・s〜6mPa・s)、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート(粘度25mPa・s)、フェノキシエチルアクリレート(粘度10mPa・s〜15mPa・s)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(粘度4mPa・s〜5mPa・s)、イソボルニルアクリレート(粘度5mPa・s〜10mPa・s)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(粘度4mPa・s〜5mPa・s)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(粘度5mPa・s〜6mPa・s)、トリエチレングリコールジアクリレート(粘度9mPa・s〜11mPa・s)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(粘度5mPa・s〜6mPa・s)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(粘度5mPa・s〜6mPa・s)、トリメチロールプロパントリアクリレート(粘度80mPa・s〜120mPa・s)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート(粘度10mPa・s〜30mPa・s)、2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート(粘度3mPa・s〜4mPa・s)、2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチルメタクリレート(粘度3mPa・s〜4mPa・s)、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート(粘度2mPa・s)、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート(粘度3mPa・s)、N−ビニルホルムアミド(粘度4mPa・s)、N−ビニルピロリドン(粘度2mPa・s)、アクリロイルモルホリン(粘度12mPa・s)、N,N−ジメチルアクリルアミド(粘度1mPa・s〜2mPa・s)、N,N−ジエチルアクリルアミド(粘度2mPa・s)、トリアリルシアヌレート(30℃における粘度10mPa・s〜20mPa・s)、トリアリルイソシアヌレート(30℃における粘度80mPa・s〜110mPa・s)などを挙げることができる。
本発明において、前記ラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、前記ラジカル硬化性モノマー(B)とを主成分として含む樹脂組成物は、スピンコーティング法によって、100μm程度の厚さを有する光透過層を形成するのに必要な物性を有するため、溶剤を使用しなくても、単に、樹脂組成物をスピンコーティング法によって情報層上に塗布して塗膜を形成し、紫外線又は電子線を照射して樹脂組成物を硬化させるだけで、380nm以上450nmの波長を有するレーザビームに対して高い光透過率を有する光透過層を容易に形成することができる。さらに、樹脂組成物に、重合開始剤や潤滑剤などの添加剤を添加した場合でも、スピンコーティング法によって塗布するのに必要な物性を保持することができ、したがって、高い光透過率と表面特性を有する光透過層を形成することが可能になる。
光透過層を形成する樹脂組成物中における前記(メタ)アクリレート(A)とラジカル硬化性モノマー(B)との混合比は、特に限定されるものではないが、両者の質量割合で表して、例えば、40質量部以上95質量部以下の(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と、5質量部以上60質量部以下のラジカル硬化性モノマー(B)とを混合して、樹脂組成物を調製することが好ましい。
前記(メタ)アクリレート(A)と前記ラジカル硬化性モノマー(B)とを、この割合で混合して調製された樹脂組成物は、スピンコーティング法によって、塗布するのに適した物性を有し、したがって、スピンコーティング法によって、所望のように、光透過層を形成することができる。樹脂組成物は、60質量部以上90質量部の前記(メタ)アクリレート(A)と、10質量部以上40質量部のラジカル硬化性モノマー(B)とを混合して、調製されることがより好ましい。
本発明において、耐擦傷性及び光透過性に優れた光透過層を形成すると共に、反りの発生が抑制された光記録媒体を、低コストで、生産性よく、製造するためには、光透過層を形成するための樹脂組成物は、(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と、ラジカル硬化性モノマー(B)とを、主成分として含んでいることが必要である。
光透過層を形成するための樹脂組成物は、溶剤を用いないで調製することが好ましく、樹脂組成物に、溶剤が実質的に含まれていないことが好ましい。
スピンコーティング法によって100μm程度の厚さの光透過層を形成する際に、溶剤を含む樹脂組成物を用いると、コストアップの原因になると共に、溶剤の乾燥処理などが必要になって、光記録媒体の生産性を低下させるおそれがある。また、溶剤の乾燥処理を行ったとしても、100μm程度の塗膜の深部から完全に溶剤を取り除くことは困難であり、光透過層中に気泡が混入し、あるいは、透過層表面の塗布ムラが発生するなど、光透過層に欠陥が生じるおそれがある。
樹脂組成物が、溶剤を実質的に含んでいない場合には、単に、スピンコーティング法によって、情報層上に樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、紫外線又は電子線を照射して、樹脂組成物を硬化させるだけで、光透過層を形成することができる。したがって、光記録媒体を、低コストで、かつ、高い生産性をもって製造することが可能になる。
光透過層を形成するための樹脂組成物に、紫外線を照射して硬化させる場合には、樹脂組成物は光重合開始剤(C)を含んでいることが好ましい。一方、樹脂組成物に、電子線を照射して硬化させる場合には、樹脂組成物は光重合開始剤(C)を含んでいなくてもよい。
本発明においては、光重合開始剤(C)は、一般式(1)で表されるアセトフェノン系光重合開始剤、及び/又は、一般式(2)で表されるベンゾフェノン系光重合開始剤であって、かつ、一般式(3)で表されるチオキサントン骨格、一般式(4)で表されるホスフィンオキサイド骨格、又は一般式(5)で表されるチタノセン骨格を有する化合物を実質的に含んでいないことが好ましい。光重合開始剤(C)として、上記一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される化合物を用いると、得られる光透過層に不都合な着色が起こりやすいので、これらの化合物を用いないことが好ましい。
このような光重合開始剤が含まれた樹脂組成物によって形成された光透過層は、380nm以上450nm以下の波長を有するレーザビームに対して高い光透過率を有している。
このような光重合開始剤(C)の具体例としては、例えば、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(例えば、チバガイギー株式会社製、商品名:「イルガキュア651(IRG651)」)、ベンゾフェノン、アセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、チバガイギー株式会社製、商品名:「イルガキュア184(IRG184)」)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(例えば、チバガイギー株式会社製、商品名:「ダロキュア1173」)、o−ベンゾイルメチルベンゾエート、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−ホルホリノプロパン−1−オン(例えば、チバガイギー株式会社製、商品名:「イルガキュア907(IRG907)」)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(例えば、チバガイギー株式会社製、商品名:「イルガキュア2959(IRG2959)」)、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、メチルベンジルホルメートなどを挙げることができる。これらの中でも、アセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、o−ベンゾイルメチルベンゾエート、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−ホルホリノプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンが、光重合開始剤(C)として好ましく使用される。
これらの光重合開始剤(C)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
光重合開始剤(C)の添加量は、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂組成物は、ラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)とラジカル硬化性モノマー(B)との合計量を基準として、1質量%以上5質量%以下の光重合開始剤(C)を含んでいることが好ましい。
光透過層を形成するための樹脂組成物は、脂肪酸エステル系潤滑剤、シリコーン系潤滑剤及びフッ素系潤滑剤よりなる群から選択される少なくとも1種の潤滑剤(D)を含んでいることが好ましい。光透過層を形成するための樹脂組成物が、脂肪酸エステル系潤滑剤、シリコーン系潤滑剤及びフッ素系潤滑剤よりなる群から選択される少なくとも1種の潤滑剤(D)を含んでいる場合には、光透過層表面の潤滑性をさらに向上させることが可能になり、したがって、次世代型の光記録媒体にデータを記録し再生するときに、光記録媒体の表面とピックアップとが接触した場合においても、光記録媒体の光透過層表面に傷が付くことを効果的に防止することが可能になる。
脂肪酸エステル系潤滑剤の具体例としては、例えば、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリルなどを挙げることができる。
シリコーン系潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリアルキレンオキサイド変性シリコーン(例えば、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー(米国Gelest,Incorporated製、商品名:「DBE−224、DBE−621、DBE−712、DBE−814、DBE−821」)、ジメチルシロキサン−(60%プロピレンオキサイド40%エチレンオキサイド)(米国Gelest,Incorporated製、商品名:「DBP−732、DBP−534」)、ジメチルシロキサン−アルキレンオキサイドブロックコポリマー(信越化学工業株式会社製、商品名:「KF−6011、KF−6012、KF−6013、KF−6015、KF−6016、KF−6017」、日本ユニカー株式会社製、商品名:「L−7011、L−7604、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2161」)、アミノ変性シリコーン(例えば、信越化学工業株式会社製、商品名:「KF−8010])、メチルスチリル変性シリコーン(例えば、信越化学工業株式会社製、商品名:「KF−410」))を挙げることができる。
また、別のシリコーン系潤滑剤の具体例としては、例えば、ヒドロキシ基を末端に有するポリジメチルシロキサンである、カルビノールシリコーン(米国Gelest,Incorporated製、商品名:「DMS−C15、DMS−C21、DME−C25、DBL−C31、DBP−C22)などを挙げることができる。
フッ素系潤滑剤の具体例としては、例えば、パーフルオロヘキサン酸、パーフルオロヘプタン酸、パーフルオロオクタン酸、パーフルオロノナン酸、パーフルオロデカン酸、パーフルオログルタル酸、パーフルオロアジピン酸、パーフルオロスベリン酸、パーフルオロアゼライン酸、パーフルオロセバシン酸、パーフルオロラウリン酸及びこれらの誘導体、1H,1H−パーフルオロ−n−オクチルアクリレート、1H,1H−パーフルオロ−n−デシルアクリレート、1H,1H−パーフルオロ−n−オクチルメタクリレート、1H,1H−パーフルオロ−n−デシルメタクリレート、1H,1H,6H,6H−パーフルオロ−1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1H,1H,6H,6H−パーフルオロ−1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1H,1H−パーフルオロ−1−オクタノール、1H,1H−パーフルオロ−1−ノナノール、1H,1H−パーフルオロ−1−デカノール、1H,1H,4H,4H−パーフルオロ−1,4−ブタンジオール、1H,1H,5H,5H−パーフルオロ−1,5−ペンタンジオール、1H,1H,6H,6H−パーフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、1H,1H,8H,8H−パーフルオロ−1,8−オクタンジオール、1H,1H,9H,9H−パーフルオロ−1,9−ノナンジオール、1H,1H,10H,10H−パーフルオロ−1,10−デカンジオール、1H,1H,12H,12H−パーフルオロ−1,12−ドデカンジオール及びこれらの誘導体、パーフルオロ−3,6−ジオキサヘプタン酸、パーフルオロ−3,6,9−トリオキサデカン酸、パーフルオロ−3,6−ジオキサデカン酸、パーフルオロ−3,6,9−トリオキサトリデカン酸、パーフルオロ−3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジカルボン酸、パーフルオロ−3,6,9−トリオキサウンデカン−1,11−ジカルボン酸及びこれらの誘導体、パーフルオロ−3,6−ジオキサヘプタノール、パーフルオロ−3,6,9−トリオキサデカノール、パーフルオロ−3,6−ジオキサデカノール、パーフルオロ−3,6,9−トリオキサトリデカノール、パーフルオロ−3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジオール、パーフルオロ−3,6,9−トリオキサウンデカン−1,11−ジオール及びこれらの誘導体、パーフルオロポリエーテルアクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名:「ART−3、ART−4」)、ウレタンアクリレート変性パーフルオロポリエーテル(具体例は、実施例3において示されている)などを挙げることができる。
潤滑剤(D)は、分子中に少なくとも1つのラジカル反応性基を有し、10,000以下の分子量を有していることが好ましい。潤滑剤(D)の分子量が10,000以下である場合には、光透過層を形成するための樹脂組成物中における潤滑剤(D)の易動性を確保することができ、したがって、光透過層の表面近傍に潤滑剤(D)が容易に局在化しやすくなり、一方、潤滑剤(D)が少なくとも1つのラジカル反応性基をその分子内に有している場合には、光透過層の表面近傍に局在化した潤滑剤(D)を、前記(メタ)アクリレート(A)及び/又はラジカル硬化性モノマー(B)と反応させて、光透過層の表面近傍に固定することができ、光透過層の表面の潤滑性をより一層向上させることが可能になる。潤滑剤(D)の分子量の下限は特に定められることはないが、通常100以上である。
潤滑剤(D)に含まれるラジカル反応性基は、特に限定されるものではないが、CH=C(R)−基(ここに、Rは、水素原子又はメチル基である。)であることが好ましく、(メタ)アクリレート基であるCH=C(R)−COO−基(ここに、Rは、水素原子又はメチル基である。)であることが特に好ましい。
これらの潤滑剤(D)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
潤滑剤(D)の添加量は、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂組成物には、樹脂組成物を基準として0.1質量%以上5質量%以下の潤滑剤(D)が含まれていることが好ましい。
光透過層を形成するための樹脂組成物には、他に、レベリング剤、界面活性剤、帯電防止剤、重合禁止剤などの添加剤が含まれていてもよい。
光透過層を形成するための樹脂組成物は、前記(メタ)アクリレート(A)と、前記ラジカル硬化性モノマー(B)と、所望により、光重合開始剤(C)、潤滑剤(D)、その他の添加剤とを、常温(約20℃)〜100℃で、均一になるまで混合して調製される。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施態様につき詳細に説明する。
図1は、本発明の光記録媒体の一例を示す一部切り欠き略斜視図であり、図2は、図1においてAで示された部分の略拡大断面図である。
図1及び図2に示されるように、本発明の光記録媒体10は、ディスク状に形成され、約120mmの外径と約1.2mmの厚さを有している。
光記録媒体10は、図2において矢印で示される方向から、380nm〜450nmの波長を有するレーザビームLが、光記録媒体10に照射されるように構成されている。
光記録媒体10は、書き換え型の光記録媒体として構成され、図2に示されるように、支持基板11と、支持基板11の表面上に形成された反射層12と、反射層12の表面上に形成された第2誘電体層13と、第2誘電体層13の表面上に形成された記録層14と、記録層14の表面上に形成された第1誘電体層15と、第1誘電体層15の表面上に形成された光透過層16とを備えている。本実施態様においては、反射膜12、第2誘電体層13、記録層14及び第1誘電体層15によって、情報層が構成されている。
本実施態様においては、図2に示されるように、光透過層16の表面によって光入射面16aが構成され、光入射面16aに、380nm〜450nmの波長を有するレーザビームLが照射されて、光記録媒体10にデータが記録され、光記録媒体10からデータが再生される。
支持基板11は、光記録媒体10に求められる機械的強度を確保するための支持体として機能する。支持基板11を形成するための材料は、光記録媒体10の支持体として機能することができれば、特に限定されるものではない。支持基板11は、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂などによって形成することができる。これらのうち、成形の容易性の観点から、樹脂が好ましく使用される。このような樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂などが挙げられる。これらのなかでも、加工性、光学特性などの点からポリカーボネート樹脂又はポリオレフィン樹脂であるのが特に好ましい。本実施態様の光記録媒体10においては、支持基板11はポリカーボネート樹脂によって形成されている。
支持基板11は、スタンパを用いて射出成形によって作製してもよく、2P法などの他の方法によって作製してもよい。
本発明においては、レーザビームは、支持基板11とは反対側に位置する光透過層16を介して照射されるから、支持基板11が光透過性を有していることは必要でない。
本発明において、好ましくは、支持基板11の表面には、中心部近傍から外縁部に向けて、あるいは、外縁部から中心部近傍に向けて、交互に、グルーブ11a及びランド11bが螺旋状又は同心円状に形成されている。
支持基板11の表面に形成されたグルーブ11a及び/又はランド11bは、レーザビームのガイドトラックとして機能する。グルーブの深さは、特に限定されるものではないが、λ/(8n)〜λ/(4n)(ここに、nは、光透過層16の屈折率である。)に設定することが好ましく、グルーブ11aのピッチは、特に限定されるものではないが、0.2μm〜0.4μmに設定することが好ましい。
図2に示されるように、支持基板11の表面上には反射層12が形成されている。反射層12は、光透過層16を介して、入射したレーザビームLを反射し、再び、光透過層16から出射させる機能を有すると共に、さらに、多重干渉効果により再生信号(C/N比)を高める機能を有している。
反射層12を形成するための材料は、レーザビームLを反射することができれば、特に制限されるものではなく、例えば、Al、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Auなどによって、反射層12を形成することができる。これらのうち、高い反射率を有しているAl、Au、Ag、Cu、又は、AgとCuとの合金などのこれらの金属の少なくとも1種を含む合金などの金属材料が、反射層12を形成するために好ましく用いられる。
反射層12の厚さは、特に限定されるものではないが、5nm〜300nmであることが好ましい。
図2に示されるように、反射層12の表面上には第2誘電体層13が形成されている。第2誘電体層13は、記録層14上に形成される第1誘電体層15と共に、記録層14を機械的及び化学的に保護すると共に、光学特性を調整する機能を有している。
第2誘電体層13は、Si、Zn、Al、Ta、Ti、Co、Zr、Pb、Ag、Zn、Sn、Ce、V、Cu、Mgよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、あるいは、これらの複合物から形成されることが好ましい。
第2誘電体層13の厚さは、特に限定されるものではないが、3nm〜200nmであることが好ましい。
図2に示されるように、第2誘電体層13の表面上には記録層14が形成されている。記録層14は、記録マークが形成され、データが記録される層である。
記録層14は、相変化膜によって形成され、例えば、SbTe系材料を含んでいる。
記録層14の厚さは、特に限定されるものではないが、3nm〜50nmであることが好ましく、5nm〜40nmであることがより好ましくい。
図2に示されるように、記録層14の表面上には第1誘電体層15が形成されている。第1誘電体層15は、第2誘電体層13と共に、記録層14を機械的及び化学的に保護すると共に、光学特性を調整する機能を有している。
第1誘電体層15は、Si、Zn、Al、Ta、Ti、Co、Zr、Pb、Ag、Zn、Sn、Ce、V、Cu、Mgよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、あるいは、これらの複合物から形成されることが好ましい。
第1誘電体層15の厚さは、特に限定されるものではないが、3nm〜200nmであることが好ましい。
第1誘電体層15と第2誘電体層13は、互いに同じ誘電体材料によって形成されていてもよいが、異なる誘電体材料によって形成されていてもよい。さらに、第1誘電体層15及び第2誘電体層13の少なくとも一方が、複数の誘電体膜からなる多層構造であってもよい。
図2に示されるように、第1誘電体層15の表面上には光透過層16が形成されている。
光透過層16は、レーザビームが透過する層であり、10μm〜300μmの厚さを有していることが好ましく、50μm〜150μmの厚さを有していることがより好ましい。本実施態様の光記録媒体10においては、光透過層16は100μmの厚さを有している。
以上のような構成を有する光記録媒体10は、以下のようにして製造される。
まず、スタンパを用いて、表面にグルーブ11a及びランド11bを有する支持基体11を射出成形によって作製する。
次いで、グルーブ11a及びランド11bが形成された支持基板11の表面上に、反射層12が形成される。反射層12は、例えば、反射層12の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
次いで、反射層12の表面上に、第2誘電体層13が形成される。第2誘電体層13は、例えば、第2誘電体層13の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
さらに、第2誘電体層13の表面上に、記録層14が形成される。記録層14も、第2誘電体層13と同様にして、記録層14の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって形成することができる。
次いで、記録層14の表面上に、第1誘電体層15が形成される。第1誘電体層15もまた、第1誘電体層15の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって形成することができる。
このようにして、支持基体11の表面上に、情報層が形成される。
最後に、第1誘電体層15の表面上に、光透過層16が形成される。
光透過層16の形成にあたっては、まず、前記(メタ)アクリレート(A)と前記ラジカル硬化性モノマー(B)とを主成分として含む樹脂組成物が調製される。
次いで、その表面に情報層が形成された支持基板11が、スピンコーティング装置(図示せず)のステージ(図示せず)上にセットされる。
さらに、ステージ回転機構(図示せず)によって、ステージが、例えば、10rpm〜1,000rpm程度の速度で回転される。
次いで、支持基板11上に形成された第1誘電体層15の中心部に、上述のようにして調製された樹脂組成物が吐出される。所定量の樹脂組成物の吐出が終了するのとほぼ同時に、あるいは、わずかに遅れて、ステージの回転数が所定の回転数、例えば、1,000rpm〜8,000rpm程度にまで引き上げられる。
その結果、第1誘電体層15の中心部に吐出された樹脂組成物が、ステージの回転によって生じた遠心力によって、第1誘電体層15の表面上を支持基板11の周縁部に向かって拡がり、樹脂組成物の塗膜が第1誘電体層15の表面上に形成される。
本実施態様においては、樹脂組成物は、スピンコーティング法によって塗布するのに適した物性を有しているから、所望のように、第1誘電体層15の表面上に樹脂組成物の塗膜を形成することができる。
次いで、ステージ回転機構の作動が停止され、第1誘電体層15の表面上に樹脂組成物の塗膜が形成された支持基板11が、スピンコーティング装置から取り出される。
さらに、空気中で、かつ、常温(25℃)〜約100℃の温度下で、樹脂組成物の塗膜に、紫外線が、約500mJ/cm以上5,000mJ/cm以下の積算光量となるように照射されるか、又は、電子線が、約30keV以上200keV以下程度の加速電圧で、約20kGy以上100kGy以下の吸収線量となるように照射されて、樹脂組成物が硬化させられて、光透過層16が形成される。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1:光記録媒体サンプルNo.1]
図2に示す層構成の光記録ディスクサンプルNo.1を次のように作製した。
(情報層の形成)
情報記録のためにグルーブが形成されたディスク状支持基板11(ポリカーボネート製、直径120mm、厚さ1.2mm)のグルーブが形成された面上に、Al98PdCu(原子比)からなる厚さ100nmの反射層12をスパッタリング法により形成した。前記グルーブの深さは、波長λ=405nmにおける光路長で表してλ/6とした。グルーブ記録方式における記録トラックピッチは、0.32μmとした。
次いで、反射層12表面に、Alターゲットを用いてスパッタリング法により、厚さ20nmの第2誘電体層13を形成した。第2誘電体層13表面に、相変化材料からなる合金ターゲットを用いてスパッタリング法により、厚さ12nmの記録層14を形成した。記録層14の組成(原子比)は、Sb74Te18(GeIn)とした。記録層14表面に、ZnS(80モル%)−SiO(20モル%)ターゲットを用いてスパッタリング法により、厚さ130nmの第1誘電体層15を形成した。
このようにして、支持基板11上に情報層を形成した。
(樹脂組成物の調製)
攪拌機、温度計及び冷却器を備えた500mL容のフラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(三井武田ケミカル株式会社製、商品名:「タケネートD−170N」、有効成分:100%、イソシアネート基含有率20.9質量%)50質量部と、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名:「プラクセルFA2D」、平均分子量=344)58質量部と、溶剤としてトルエン108質量部と、触媒としてジブチルスズジラウレート0.02質量部と、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.2質量部とを投入し、混合物を70℃に加熱した。
さらに、70℃で、混合物を3時間にわたって攪拌し、反応をさせ、次いで、トルエンを充分に減圧留去して、不揮発分100%を含むラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)を得た。
こうして得られたラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)を用いて、以下の組成を有する光透過層用の樹脂組成物を調製した。
<樹脂組成物>
ラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A) 85質量部
N−ビニルホルムアミド(ラジカル硬化性モノマー(B))(荒川化学株式会社製、25℃における粘度:4mPa・s) 15質量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合開始剤(C))(チバガイギー株式会社製、商品名:「IRG184」) 4質量部
ポリアルキレンオキサイド変性シリコーン(潤滑剤(D))(信越化学工業株式会社製:商品名:「KF−6012」、動粘度:1600mm 2 /s、HLB値:7.0)
0.5質量部
情報層が形成された支持基板11を情報層が上になるように、スピンコーティング装置のステージ上にセットして固定し、ステージ回転機構を作動して、ステージを30rpmの速度で回転させた。
次いで、上述のようにして調製した4gの樹脂組成物を支持基板11上の中心部に吐出し、ステージを2,000rpmの速度で回転させて、樹脂組成物を情報層上に硬化後の厚さが100μmとなるように塗布し、塗膜を形成した。
こうして得られた塗膜に、空気中、25℃で、紫外線を積算光量が1,500mJ/cmとなるように照射して、塗膜を硬化させ、100μmの厚さを有する光透過層16を形成した。
このようにして、光記録媒体サンプルNo.1を作製した。
[実施例2:光記録媒体サンプルNo.2]
ラジカル硬化性モノマー(B)として、N−ビニルホルムアミドに代えて、テトラヒドロフルフリルアクリレート(和光純薬工業株式会社製、25℃における粘度4mPa・s〜5mPa・s)を用い、また、潤滑剤(D)として、ポリアルキレンオキサイド変性シリコーンに代えて、ポリカプロラクトン−シリコーン−ポリカプロラクトンブロックコポリマー(米国Gelest,Incorporated製、商品名:「DBL−C31」、重量平均分子量:5,700〜6,900、シリコーン単位含有比率:50質量%)を用いて、樹脂組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプルNo.2を作製した。
[実施例3:光記録媒体サンプルNo.3]
ラジカル硬化性モノマー(B)として、N−ビニルホルムアミドに代えて、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、商品名:「ビスコート8F」、25℃における粘度:3mPa・s)を用い、また、潤滑剤(D)として、ポリアルキレンオキサイド変性シリコーンに代えて、下式で示される構造を有するウレタンアクリレート変性パーフルオロポリエーテル(試作品)重量平均分子量:約1,000)を用いて、樹脂組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプルNo.3を作製した。
Figure 0004153921
[実施例4:光記録媒体サンプルNo.4]
塗膜に積算光量が1,500mJ/cmとなるように紫外線を照射する代わりに、まず、空気中、25℃で、塗膜に積算光量が100mJ/cmとなるように紫外線を照射し、次いで、酸素濃度80ppmの酸素欠乏雰囲気中、25℃で、塗膜に積算光量が1,500mJ/cmとなるように紫外線を照射して、塗膜を硬化させたこと以外は、実施例3と同様にして、光記録媒体サンプルNo.4を作製した。
[比較例1:光記録媒体サンプルNo.5]
以下の組成の樹脂組成物を用いて光透過層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプルNo.5を作製した。
<樹脂組成物>
ウレタンアクリレートオリゴマー(1)(三菱レイヨン株式会社製、商品名:「ダイヤビーム UK−6074」) 50質量部
ウレタンアクリレートオリゴマー(2)(三菱レイヨン株式会社製、商品名:「ダイヤビーム UK−6098」) 30質量部
テトラヒドロフルフリルアクリレート(和光純薬工業株式会社製) 10質量部
トリアリルイソシアヌレート(日本化成株式会社製、商品名:「TAIC」)
10質量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー株式会社製、商品名:「IRG184」) 4質量部
ポリアルキレンオキサイド変性シリコーン(信越化学工業株式会社製:商品名:「KF−6012」、動粘度:1600mm 2 /s、HLB値:7.0) 0.9質量部
[比較例2:光記録媒体サンプルNo.6]
以下の組成の樹脂組成物を用いて光透過層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプルNo.6を作製した。
<樹脂組成物>
ウレタンアクリレートオリゴマー(3)(東亞合成株式会社製、商品名:「アロニックスM−1310」) 50質量部
ウレタンアクリレートオリゴマー(2)(三菱レイヨン株式会社製、商品名:「ダイヤビーム UK−6098」) 30質量部
エチレンオキサイド変性アクリレートオリゴマー(共栄社化学株式会社製、商品名:「ライトアクリレート14EG−A」 20質量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー株式会社製、商品名:「IRG184」) 4質量部
ポリアルキレンオキサイド変性シリコーン(信越化学工業株式会社製:商品名:「KF−6012」、動粘度:1600mm 2 /s、HLB値:7.0) 0.9質量部
[比較例3:光記録媒体サンプルNo.7]
以下の組成の樹脂組成物を用いて光透過層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプルNo.7を作製した。
<樹脂組成物>
光記録媒体サンプルNo.1で用いたのと同じラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A) 90質量部
酢酸n−ブチル(溶剤) 10質量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー株式会社製、商品名:「IRG184」) 3.6質量部
ポリアルキレンオキサイド変性シリコーン(信越化学工業株式会社製:商品名:「KF−6012」、動粘度:1600mm 2 /s、HLB値:7.0) 0.9質量部
[比較例4:光記録媒体サンプルNo.8]
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(イソシアネート基は脂肪族炭素原子に結合している)に代えて、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体(イソシアネート基は芳香族炭素原子に結合している)日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名:「コロネートL」)を用いて、紫外線硬化性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを調製したこと以外は、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプルNo.8を作製した。
[比較例5:光記録媒体サンプルNo.9]
ラジカル硬化性モノマー(B)として、N−ビニルホルムアミドに代えて、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAのアクリレートオリゴマー(共栄社化学株式会社製、商品名:「ライトアクリレートBP−4EA」、25℃における粘度:約800mPa・s)を用いて、しかしながら、潤滑剤(D)を用いることなく、樹脂組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、光記録媒体サンプルNo.9を作製した。
[光記録媒体サンプルの評価]
実施例1〜4及び比較例1〜5で作製した各光記録媒体サンプルNo.1〜No.9について、以下に示す評価を行った。
(光透過層の耐擦傷性)
光記録媒体サンプルNo.1〜No.9それぞれの光透過層の表面を、スチールウール(#000)を用いて、荷重500g/cmの圧力で押圧し、往復20回にわたって相対的に移動させることにより擦り、その後、光透過層の表面を目視で観察して、光透過層の耐擦傷性を評価した。
光透過層の表面に傷が付いていなかった場合を「○」、わずかに傷が付いていた場合を「△」、傷が多数付いていた場合を「×」と評価した。
(光透過層の光透過率)
各光記録媒体サンプルNo.1〜No.9の光透過層の光透過率を測定するために、次のようにして、各光記録媒体サンプルNo.1〜No.9に対応する光透過率測定用のディスクサンプルNo.1〜No.9をそれぞれ作製した。
1.2mmの厚さと120mmの外径を有するディスク状のガラス基板を用意した。実施例1において行った光透過層の形成操作と同じ操作によって、ガラス基板上に直接、実施例1において調製したのと同じ樹脂組成物を塗布し、塗膜を形成し、塗膜を硬化させた。このようにして、ガラス基板上に直接、光記録媒体サンプルNo.1と同じ光透過層を有する光透過率測定用ディスクサンプルNo.1を作製した。
同様にして、実施例2〜4及び比較例1〜5においてそれぞれ調製したのと同じ樹脂組成物を用いて、実施例2〜4及び比較例1〜5においてそれぞれ行った光透過層の形成操作と同じ操作によって、ガラス基板上に直接、光透過層を形成した。このようにして、光記録媒体サンプルNo.2〜No.9とそれぞれ同じ光透過層を有する光透過率測定用ディスクサンプルNo.2〜No.9を作製した。
(1)初期光透過率の測定:
作製した光透過率測定用ディスクサンプルNo.1〜No.9それぞれの光透過層をガラス基板から剥離して、幅10mm、長さ50mmの試料片を作製した。日本分光株式会社製の「V−530」(商品名)を用いて、各試料片の光透過層の405nmの波長を有する光に対する透過率(%)を測定した。
光透過層の光透過率が85%以上の場合に「○」、85%未満の場合に「×」として評価した。
(2)耐光試験後の光透過率の測定:
作製した光透過率測定用ディスクサンプルNo.1〜No.9それぞれの光透過層に、ISO−105−B02規格に適合したキセノンフェードオメータ(アトラス社製の「Ci35A」(商品名))を用いて、20MLux・hの光を連続的に(10日間)照射した。
次いで、初期光透過率を測定したのと同様にして、各サンプルの光透過層をガラス基板から剥離し、各試料片の光透過層の405nmの波長を有する光に対する透過率(%)を測定した。
光透過層の光透過率が85%以上の場合に「○」、85%未満の場合に「×」として評価した。
(光記録媒体の反り)
光記録媒体サンプルNo.1〜No.9をそれぞれ、常温(25℃)、相対湿度50%の環境下に24時間放置した。
次いで、各サンプルを、株式会社コアーズ製の光ディスク機械特性評価装置「DC−1010C」(商品名)にセットして、各サンプルの中心から半径方向58mmの位置における反り角βを測定した。
反り角βが、±0.35°の範囲以内であった場合を「○」、±0.35°の範囲を超えていた場合を「×」として評価した。
(光透過層の塗布状態)
光記録媒体サンプルNo.1〜No.9それぞれの光透過層を目視で観察し、光透過層中の気泡の有無及び光透過層表面の塗布ムラの有無を検出した。
光透過層に気泡の発生及び塗布ムラのいずれもが観察されなかった場合を「○」、気泡の発生及び塗布ムラの少なくとも一方が観察された場合を「×」として評価した。
(光透過層の潤滑性)
光記録媒体サンプルNo.1〜No.9それぞれの光透過層の表面を、旭化成工業株式会社製の不織布「ベンコットリントフリーCT−8」(商品名)を用いて、荷重100g/cmの圧力で押圧し、往復数回にわたって相対的に移動させて、光透過層の表面を擦り、不織布の滑りやすさを検出した。
不織布が非常に滑りやすかった場合を「◎」、不織布が滑りやすかった場合を「○」、不織布があまり滑りやすくなかった場合を「△」、不織布が滑りにくかった場合を「×」として評価した。
(光透過層の撥水性)
光透過層の撥水性の評価として、各光記録媒体サンプルの光透過層の表面の純水の接触角を測定した。すなわち、温度25℃、相対湿度50%の雰囲気中で、協和界面科学株式会社製の接触角計「CA−D」(商品名)を用いて、JIS R3257:1999に定められた静滴法に従って、光記録媒体サンプルNo.1〜No.9それぞれの光透過層の表面に対する純水の接触角を測定した。
純水の接触角が100°以上であった場合を「◎」、80°以上100°未満であった場合を「○」、60°以上80°未満であった場合を「△」、60°未満であった場合を「×」として評価した。
(光透過層の柔らかさ)
光透過層の柔らかさの評価として、上記のように作製した光透過率測定用ディスクサンプルNo.1の光透過層をガラス基板から剥離して、幅10mm、長さ60mmの試料片を作製した。JIS7127:1989に定められた方法に準じて、この試験片の引張弾性率を測定したところ、120MPaであった。
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 0004153921
表1から明らかなように、本発明に合致する光記録媒体サンプルNo.1〜No.4はいずれも、光透過層の初期光透過率及び耐光試験後の光透過率がともに高く、光透過層表面の耐擦傷性、潤滑性及び撥水性に優れていた。さらに、光記録媒体サンプルNo.1〜No.4はいずれも、光記録媒体の反りや光透過層の塗布状態にも問題がなく、これらのサンプル作製に用いた樹脂組成物はスピンコーティング法に適した物性を有していることが判明した。
特に、光記録媒体サンプルNo.4では、同じ樹脂組成物を用いた光記録媒体サンプルNo.3と比べて、光透過層表面の撥水性がより一層向上した。これは、樹脂組成物塗膜の硬化工程において、紫外線を2回に分けて照射し、積算光量の大部分を占める2回目の紫外線照射を酸素欠乏雰囲気中で行ったために、樹脂組成物塗膜の表面近傍における酸素存在による硬化阻害が防止され、樹脂組成物塗膜表面近傍の架橋密度が向上したと共に、樹脂組成物塗膜の表面近傍に局在化した潤滑剤(D)を(メタ)アクリレートオリゴマー(A)及び/又はラジカル硬化性モノマー(B)と硬化反応させて、光透過層の表面近傍に潤滑剤(D)を強固に固定することができたためと考えられる。
また、光記録媒体サンプルNo.1の光透過層に局所的な外力を加えたところ、何らの支障もなく、元通りの光透過層に復元した。
これに対して、光記録媒体サンプルNo.5においては、耐擦傷性に優れた光透過層を形成することはできたが、光透過層用の樹脂組成物の硬化時における収縮が大きかったため、光記録媒体に反りの発生が認められた。
光記録媒体サンプルNo.6においては、光透過層用の樹脂組成物の硬化時における収縮は小さく、光記録媒体に反りの発生は認められなかったが、光透過層の耐擦傷性が低下し、耐光試験後の光透過層の光透過率にも劣っていた。
光記録媒体サンプルNo.7においては、光透過層用の樹脂組成物が溶剤を含んでいたため樹脂組成物の粘度が低く、スピンコーティング法によって欠陥のない光透過層を形成することができず、さらに、光記録媒体に反りの発生が認められた。
光記録媒体サンプルNo.8においては、光透過層用の樹脂組成物が、イソシアネート基が芳香族炭化水素基に結合している化合物を用いて調製された紫外線硬化性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含んでいたために、耐光試験後に光透過層の光透過率が著しく低下した。
光記録媒体サンプルNo.9においては、光透過層用の樹脂組成物が、25℃における粘度が400mPa・sを超える紫外線硬化性モノマーを用いて調製されたものであるので、スピンコーティング法によって均一に樹脂組成物を塗布することができず、形成された光透過層の塗布ムラが認められ、光透過層の撥水性及び潤滑性にも劣っていた。
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、本発明の好ましい実施態様においては、支持基板11の上に形成された情報層上に、樹脂組成物をスピンコーティング法によって塗布して塗膜を形成し、塗膜に紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させ、情報層上に光透過層16を形成しているが、支持基板11の上に形成された情報層上に、樹脂組成物をスピンコーティング法によって塗布して塗膜を形成し、塗膜に紫外線を照射して樹脂組成物の一部を硬化させ、スピンコーティング装置から取り出した後、再度、紫外線を照射して樹脂組成物を完全に硬化させて、光透過層16を形成するようにしてもよい。
さらに、本発明の好ましい実施態様においては、光記録媒体10が書き換え型の光記録媒体として構成されているが、光記録媒体を追記型の光記録媒体として構成することもできるし、再生専用型(ROM)の光記録媒体として構成することもできる。すなわち、情報層の構成を適宜選択するとよい。
さらに、本発明の好ましい実施態様においては、光記録媒体10は1つの情報層を備えているが、光記録媒体が2つ以上の情報層を備えていてもよいし、また、それぞれの情報層の構成は、特に限定されるものではない。
本発明の光記録媒体の一例を示す一部切り欠き略斜視図である。 図1においてAで示された部分の略拡大断面図である。
符号の説明
10:光記録媒体
11:支持基板
11a:グルーブ
11b:ランド
12:反射層
13:第2誘電体層
14:記録層
15:第1誘電体層
16:光透過層層

Claims (14)

  1. 支持基板と、レーザビームが透過する光透過層と、前記支持基板と前記光透過層との間に形成された情報層とを少なくとも備えた光記録媒体の製造方法であって、
    前記情報層上に、脂肪族炭素原子に結合しているイソシアネート基を1分子中に3個以上有する化合物(a−1)とポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(a−2)とを反応させて得られるラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、25℃における粘度が400mPa・s以下であるラジカル硬化性モノマー(B)とを主成分として含む樹脂組成物を、スピンコーティング法によって塗布して塗膜を形成し、前記塗膜に、紫外線又は電子線を照射して前記樹脂組成物を硬化させて、前記情報層上に前記光透過層を形成することを特徴とする光記録媒体の製造方法。
  2. 前記樹脂組成物が、溶剤を実質的に含まないことを特徴とする、請求項1に記載の光記録媒体の製造方法。
  3. 前記樹脂組成物が、質量割合で表して、40質量部以上95質量部以下のラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、5質量部以上60質量部以下のラジカル硬化性モノマー(B)とを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の光記録媒体の製造方法。
  4. 前記紫外線又は電子線が紫外線であり、かつ、前記樹脂組成物が、さらに、ラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)とラジカル硬化性モノマー(B)との合計量を基準として、1質量%以上5質量%以下の光重合開始剤(C)を含むことを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の光記録媒体の製造方法。
  5. 前記光重合開始剤(C)が、アセトフェノン系光重合開始剤、及び/又は、ベンゾフェノン系光重合開始剤であって、かつ、チオキサントン骨格、ホスフィンオキサイド骨格、又はチタノセン骨格を有する化合物を実質的に含んでいないことを特徴とする、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の光記録媒体の製造方法。
  6. 前記樹脂組成物が、さらに、0.1質量%以上5質量%以下の、脂肪酸エステル系潤滑剤、シリコーン系潤滑剤及びフッ素系潤滑剤からなる群から選択される少なくとも1種の潤滑剤(D)を含むことを特徴とする、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の光記録媒体の製造方法。
  7. 前記潤滑剤(D)が、分子中に少なくとも1つのラジカル反応性基を有し、分子量が10,000以下のものであることを特徴とする、請求項6に記載の光記録媒体の製造方法。
  8. 前記紫外線又は電子線を、酸素濃度1,000ppm以下の酸素欠乏雰囲気中で照射することを特徴とする、請求項6又は7に記載の光記録媒体の製造方法。
  9. 支持基板と、レーザビームが透過する光透過層と、前記支持基板と前記光透過層との間に形成された情報層とを少なくとも備えた光記録媒体であって、
    前記光透過層は、脂肪族炭素原子に結合しているイソシアネート基を1分子中に3個以上有する化合物(a−1)とポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(a−2)とを反応させて得られるラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、25℃における粘度が400mPa・s以下であるラジカル硬化性モノマー(B)とを主成分として含む樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする光記録媒体。
  10. 前記樹脂組成物が、質量割合で表して、40質量部以上95質量部以下のラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、5質量部以上60質量部以下のラジカル硬化性モノマー(B)とを含むことを特徴とする、請求項に記載の光記録媒体。
  11. 前記光透過層は前記支持基板よりも柔らかいことを特徴とする、請求項9又は10に記載の光記録媒体。
  12. 前記支持基板が、ポリカーボネート又はポリオレフィン製であることを特徴とする、請求項9〜11のうちのいずれか1項に記載の光記録媒体。
  13. 前記光透過層は、10μm〜300μmの厚さを有していることを特徴とする、請求項9〜12のうちのいずれか1項に記載の光記録媒体。
  14. 脂肪族炭素原子に結合しているイソシアネート基を1分子中に3個以上有する化合物(a−1)とポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(a−2)とを反応させて得られるラジカル硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(A)と、25℃における粘度が400mPa・s以下であるラジカル硬化性モノマー(B)とを主成分として含む、光記録媒体用の樹脂組成物。
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