JP4153614B2 - 液相酸化反応装置および銅電解精製工程における清浄電解槽槽底残渣からの砒素抽出方法 - Google Patents
液相酸化反応装置および銅電解精製工程における清浄電解槽槽底残渣からの砒素抽出方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡およびスケールを生じ、液面の制御および液面計の保守が困難な液相酸化反応装置においてこれらの問題を解決することが可能な液相酸化反応装置、および該液相酸化反応装置を用いた銅電解精製工程における清浄電解槽槽底残渣からの砒素抽出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
非鉄金属製錬の銅の電解精製工程においては、熔錬工場の転炉、精製炉、鋳銅機によって製造された粗銅を陽極とし、種板を陰極として、種板に高純度の銅を電解析出せしめ電気銅を製造する。
この場合、電解液中に粗銅中の不純物が溶出し、電解液中にこれらの不純物が濃縮し、電気銅の品質および電流効率に悪影響を及ぼすため、電解液中の不純物濃度を一定値以下に維持するため連続的に電解液の一部を抜き出す。
【0003】
抜き出した電解液は、清浄電解槽において銅を電解採取により回収し、不純物は清浄電解槽の槽底残渣として除去する。
従来、銅分回収の一方法として、槽底残渣を乾式製錬によって処理し、銅分を回収していたが、この場合、不純物も銅に同伴されるため、粗銅中の不純物品位増加の原因となっていた。
【0004】
上記した不純物の蓄積を防止するためには、清浄電解槽槽底残渣を系外に廃棄するか不純物のみを除去することが必要となる。
このため、特開昭60−138024号公報において、硫酸水溶液中での電解沈澱銅の酸化浸出方法が開示されている。
上記の方法によれば、電解工程で発生する沈澱物を、硫酸水溶液中で空気バブリングにより酸化し、砒素を浸出、除去する。
【0005】
また、特開昭62− 77431号公報において、水酸化アルカリ水溶液および硫酸水溶液を用いて脱銅スライムから銅および砒素を各々選択的に抽出する方法が開示されている。
上記の方法によれば、脱銅電解工程で発生する沈澱物を、酸素の共存下、攪拌条件下で水酸化アルカリ水溶液で砒素を酸化、浸出後、固液分離し、砒素を液中に、銅を残渣中に移行せしめ、残渣を硫酸水溶液で処理し、銅を回収する。
【0006】
しかしながら、上記した液相酸化法の場合、いずれも、液温を50℃以上とする必要があり、液の蒸発に伴う補給水の供給が必要となる。
また、上記した液相酸化法の場合、いずれも、発泡が顕著であり、液面上に厚みの大きい泡層が形成され、補給水供給の際の補給水供給量の目安となる液面の判別が困難であると共に、液相酸化反応装置に配設した液面計の液面計取付部への泡の流入あるいはスケール付着による誤動作の問題があり、また連通管部のスケールによる閉塞の問題があった。
【0007】
このため、従来は、単位時間当たりの水の蒸発量の実績値(経験値)に対応する量の補給水をタイマー設定によって一定間隔で酸化反応槽に補給していたが、液面制御の誤差が著しく、常時良好な砒素抽出率を得ることは困難で、砒素を安定して高抽出率で抽出することが困難であった。
また、上記した発泡現象および液面制御の困難性から、危険な高濃度のアルカリ水溶液である反応液の酸化反応槽からの溢液(漏洩)やその他のトラブルが生じ、安全面などの上から解決すべき課題となっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、液面の制御および液面計の保守が容易な液相酸化反応装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、液面の制御および液面計の保守が容易で、反応液を溢液(漏洩)させることなく、砒素を安定して高抽出率で抽出することが可能な銅電解精製工程における清浄電解槽槽底残渣からの砒素抽出方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、液相酸化反応槽1と、該液相酸化反応槽1に配設された液相への空気吹き込み装置2と、前記液相酸化反応槽1と連通管4を介して連通した補給水供給槽5と、前記連通管4に設けられた補給水流路断面積縮小部4pと、前記補給水供給槽5の補給水液面計6と、該補給水液面計6の液面検出結果に基づき補給水供給槽5に補給水を補給する補給水供給装置7を有することを特徴とする液相酸化反応装置である。
【0010】
前記した第1の発明においては、前記補給水流路断面積縮小部4pが、連通管4に設けられ、該補給水流路断面積縮小部4pは、液相酸化反応槽1で発生した泡や液相酸化反応槽1内の反応液が補給水供給槽5側へ流入(逆流)しない程度に補給水供給槽5の液面高さを維持できる大きさの断面積を有することが好ましい。第2の発明は、前記した第1の発明の液相酸化反応装置を用い、銅電解精製工程における清浄電解槽槽底残渣から砒素を酸化、抽出することを特徴とする銅電解精製工程における清浄電解槽槽底残渣からの砒素抽出方法である。
【0011】
前記した第2の発明は、前記清浄電解槽槽底残渣をアルカリ性水溶液中で酸化せしめ砒素を抽出する銅電解精製工程における清浄電解槽槽底残渣からの砒素抽出方法として好適に用いられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明者らは、前記した従来技術の問題点を解決するために鋭意検討した結果、下記(1) 〜(3) の構成を有する液相酸化反応装置を用いることによって、発泡が著しい液相酸化反応槽の液面の制御が容易であると共に、液相酸化反応槽と補給水供給槽との間に設けた連通管のスケールによる閉塞並びに補給水供給槽への泡の流入の問題を解決することが可能であることを見出し、本発明に至った。
【0013】
(1)液相酸化反応槽内の液と連通管を介して連通した補給水供給用の補給水供給槽を設け、該補給水供給槽に補給水液面計を設ける。
(2)補給水供給槽と液相酸化反応槽を接続する連通管部に補給水流路断面積縮小部を設ける。
(3)補給水供給槽の液面計の液面検出結果に基づき補給水供給槽に補給水を補給する補給水供給装置を設ける。
【0014】
上記した(1) 〜(3) の構成を有する液相酸化反応装置によれば、補給水供給槽の液面を液相酸化反応槽内の液面より若干上のレベルに維持し、常に補給水供給槽の補給水を液相酸化反応槽に供給することが可能となる。
この結果、液相酸化反応槽内の泡および反応液の補給水供給槽への流入を防止できると共に、連通管部の液中におけるAs化合物などのスケール生成物の濃度が低下し、液温低下によりスケールが生成し易い連通管部、特に補給水流路断面積縮小部でのスケールの生成、付着を抑制し、連通管部のスケールによる閉塞を防止できる。
【0015】
さらに、連通管部のスケールによる閉塞および補給水供給槽への泡の流入の両者を防止できるため、補給水供給槽の液面の高さによって液相酸化反応槽の液面の高さを正確に把握でき、補給水供給槽の液面高さの検出結果に基づき補給水供給槽に補給水を補給することによって、液相酸化反応槽の液面高さの制御を正確に行うことが可能となった。
【0016】
図1に、本発明の液相酸化反応装置の一例を、縦断面図(a) およびA−A矢視図(b) によって示す。
なお、図1において、1は液相酸化反応槽(以下反応槽とも記す)、2は反応槽1に配設された液相(反応液)への空気吹き込み装置、3は反応液への空気導入管、4は連通管、4pは連通管4に設けられた補給水流路断面積縮小部、5は補給水供給槽、5MS は補給水供給槽5貯水部の最大横断面積部、6は補給水供給槽5の浮玉(フロート)式の補給水液面計、7は補給水液面計6の液面検出結果に基づき補給水供給槽5に補給水を補給する補給水供給装置、7aは給水配管、7bはバルブ、8は攪拌羽根、8aは攪拌羽根8の回転軸、9は攪拌羽根8の回転軸8aの外筒、10は攪拌羽根8の回転軸8aの回転駆動装置、11は蒸気加熱用の蛇管、12は澱物の抜き出し管、13は空気吸引管、13a は空気吸引管13の空気吸引口、14はプーリ、15はVベルト、16はモータ、17は空気導入管3内へ上部反応液を吸引するために外筒9に取付けられた上部開口中空円錐部材、17a は上部開口中空円錐部材17の内部かつ空気導入管3の管壁に設けられた上部反応液吸引口、18は攪拌羽根8の回転部から反応液中に吐出される気液混合液の混合を促進する衝突板、20は反応液、21は泡層、f1は空気の流通方向、f2は空気の吹き出し方向、f3は攪拌羽根8の回転方向、f4は空気導入管3内への上部反応液の吸引方向を示す。
【0017】
図1に示す液相酸化反応装置においては、反応槽1の反応液(液相)中への空気の導入は、攪拌羽根8の回転軸8aの外面と外筒9の内面との間に形成された、空気流路の横断面が円環状の空気導入管3によって行われる。
また、反応槽1は、反応終了後、液中の澱物が抜き出し易いように底部に傾斜を設けている。
【0018】
また、反応槽1内の液相(反応液)中に空気を吹き込む空気吹き込み装置2は、空気吸引管13、空気導入管3および攪拌羽根8から構成され、攪拌羽根8の回転による液中への空気の巻き込みによって、空気吸引口13a から強制的に空気を吸引し、吸引した空気を、空気吸引管13、空気導入管3を経由して反応槽1内の反応液中に吹き込む構成となっている。
【0019】
さらに、図1に示す液相酸化反応装置においては、空気吸引口13a から吸引された空気は、上部反応液吸引口17a から吸引された上部反応液と混合され、混合後の気液は衝突板18との衝突によって微少気泡を形成し反応槽1の反応液中に導入され酸化反応速度を向上する。
本発明によれば、反応槽1の液面制御および補給水供給のための補給水供給槽5を配設し、補給水流路断面積縮小部4pによって反応槽1への補給水流路に流路抵抗を与え、補給水供給槽5の補給水液面計6の液面検出結果に基づき補給水供給装置7によって補給水供給槽5に補給水を供給し、補給水供給槽5の液面を常に反応槽1の液面より高位に保ち、補給水供給槽5から反応槽1へ補給水を供給することが可能となった。
【0020】
この結果、反応槽1から補給水供給槽5への反応液の流入および発生した気泡の流入を防止でき、連通管4の液中におけるAs化合物などのスケール生成物の濃度が低下し、液温低下によりスケールが生成し易い連通管部、特に補給水流路断面積縮小部でのスケールの生成、付着を抑制し、連通管部のスケールによる閉塞を防止できる。
【0021】
また、本発明によれば、上記した構成を採用することによって、補給水供給槽5の液面の高さを正確に把握できるので、その結果、反応槽1の液面の高さも正確に把握でき、反応槽1の液面制御を正確に行うことができる。
すなわち、例えば、補給水供給槽5の液面高さが予め定めた下限値に到達した時点で補給水供給槽への補給水の供給を開始し、次に、補給水供給槽の液面高さが予め定めた上限値に到達した時点で補給水供給槽への補給水の供給を停止する方法を用いるなど、補給水供給槽の液面高さに対応して補給水供給槽に補給水を補給することによって、液相酸化反応槽1の液面の制御を正確に行うことが可能となった。
【0022】
なお、本発明における液相酸化反応槽1の液面の制御方法としては、上記した補給水供給槽5の液面高さの上下限設定値に対応して補給水供給槽への補給水の供給停止、供給開始を行う方法に限定されることはなく、補給水供給槽の液面高さに対応した量の補給水を補給水供給槽へ供給する方法を用いてもよい。
本発明における補給水液面計6および補給水供給装置7としては、図1に示す浮玉と、給水配管7aおよび該給水配管7aに接続され浮玉の浮力により自動的に給水を停止するバルブ7bから構成される装置を用いることができる。
【0023】
また、補給水液面計6としては、上記したボールタップ方式に限定されることはなく、電極式、導電率式レベル計、静電容量式レベル計、超音波式レベル計、もしくは、その他の任意の液面計を用いることができ、補給水供給槽5の液面を検出し、その検出結果に基づいて補給水供給装置7からの水の補給の給停止を制御可能なものであればその方式に制限を受けるものではない。
【0024】
また、液相酸化反応槽1内の反応液中に空気を吹き込む空気吹き込み装置2は、前記した図1に示す装置に限定されることはなく、図2に示すように、空気を攪拌羽根8の側端から攪拌羽根の回転に随伴させて吹き込むと共に、攪拌羽根とは別個の箇所に設けた空気吹き込み口30A から反応液中に空気を吹き込んでもよい。
【0025】
また、攪拌羽根8とは別個の箇所に設けた空気吹き込み口から反応液中に空気を吹き込んでもよく、液相酸化反応槽1の液相へ空気を吹き込む空気吹き込み装置2の方式は、特に制限されるものではない。
本発明においては、補給水流路断面積縮小部4pは、補給水供給槽5と酸化反応槽5を接続する連通管4に、図1に示すように、補給水流路横断面が円形の中空円筒状のプラグなどの流路断面積縮小部材4Dを配設するか、コックを配設することによって形成することができるが、補給水供給槽5から反応槽1への補給水流路に流路抵抗を与えることが可能であればその具体的構成は特に制限されるものではない。
【0026】
なお、本発明においては、補給水流路断面積縮小部4pが、連通管4に設けられ、補給水流路断面積縮小部4pは、液相酸化反応槽1で発生した泡や液相酸化反応槽1内の反応液が補給水供給槽5側へ流入(逆流)しない程度に補給水供給槽5の液面高さを維持できる大きさの断面積を有することが好ましい。
さらに具体的には、反応槽1への補給水流路に十分な流路抵抗を与えるために、補給水流路断面積縮小部4pが、連通管4に設けられ、補給水流路断面積縮小部4pの流路断面積が、好ましくは補給水供給槽5貯水部の最大横断面積部(5MS) の横断面積の1/30以下、さらには補給水供給槽5貯水部の最大横断面積部(5MS) の横断面積の1/100 以下であることがより好ましい。
【0027】
次に、本発明の銅電解精製工程における清浄電解槽槽底残渣からの砒素抽出方法について述べる。
本発明における砒素抽出方法においては、好ましくは、銅および砒素を含む清浄電解槽槽底残渣(以下清浄電解槽底残渣とも記す)を、液相酸化反応槽のアルカリ性水溶液中で空気酸化する。
【0028】
なお、アルカリ性水溶液としては、例えば、NaOH、KOH 、またはこれらの両者を含む水溶液を用いることが好ましい。
上記した空気による液相酸化反応の過程で、残渣中の砒素分は下記式(1) によって砒酸ナトリウム(Na3AsO4) となり、水溶液中に溶解、抽出される。
As+3NaOH +5/4O2 →Na3AsO4 +3/2H2O………(1)
アルカリ性水溶液中においては、砒素の抽出終点まで、残渣中の銅の溶出は極めて少なく、砒素の選択的抽出を行うことができる。
【0029】
得られた砒素抽出液は、濾過を行うことによって、銅と砒素を容易に分離できる。
濾過残渣中に回収された銅は、非鉄金属製錬の熔錬工場で再使用され、濾液中のNa3AsO4 は酸処理、還元、濃縮、結晶化段階を経て亜砒酸(As2O3) を産出し、殺虫剤・殺鼠剤・除草剤などの農薬、木材の防虫・防腐剤、ガラス工業における調色用配合剤、サルバルサンなどの医薬品などに用いられる。
【0030】
また、本発明における砒素抽出方法としては、銅および砒素を含む清浄電解槽槽底残渣を、液相酸化反応槽の硫酸水溶液中で空気酸化する液相酸化反応を用いることもできる。
この反応過程で、残渣中の砒化銅(Cu3As2)は下記式(2) によって砒酸(H3AsO4)となり、水溶液中に溶解、抽出される。
【0031】
Cu3As2+4O2 +3H2SO4→3CuSO4+2H3AsO4 ………(2)
次に、得られた砒素抽出液に硫化砒素を添加した後、濾過を行うことによって、銅は硫化銅として濾過残渣中に回収される。
濾過残渣中に回収された硫化銅は、非鉄金属製錬の熔錬工場で再使用され、濾液中の砒酸(H3AsO4)は、還元、濃縮、結晶化段階を経て亜砒酸(As2O3) を産出し、前記した用途に用いられる。
【0032】
上記した砒素の酸化、抽出方法は、優れた抽出方法であるが、前記したように、液相酸化反応槽において下記の問題が生じる。
▲1▼水の補給:
前記式(1) もしくは式(2) による酸化反応は、反応促進のため液温を50〜90℃程度に維持し、さらに、液の蒸発量に対応する水を補給し液量を一定に維持する必要がある。
【0033】
▲2▼激しい発泡による液面制御の困難性:
反応時に激しい発泡が生じ、液面に厚い泡層が形成され、真の液面の検出が困難であり、補給水供給に際しての液面制御が困難であると共に、泡が反応槽外に溢れ出る問題がある。
▲3▼砒酸ナトリウム(Na3AsO4) 生成、結晶化に伴うスケールによる液面計の液導入部の閉塞:
前記したアルカリ性水溶液中における砒素の酸化、抽出においては、前記式(1) の反応が進行するにしたがい、反応液中のNa3AsO4 濃度が上昇し、Na3AsO4 のスケールが生成し易くなる。
【0034】
抽出濾液を用いて、抽出濾液中のAs濃度と結晶析出温度(液温)および結晶再溶解温度(液温)との関係を調べた結果を図3に示す。
図3から明らかなように、アルカリ性水溶液中における砒素の酸化、抽出工程の液相酸化反応槽においては、液中のAs濃度の上昇あるいは液温の低下によって、砒酸ナトリウムのスケールが生成し、液槽酸化反応槽に液面計を設けた場合、特に液温低下を生じ易い液面計の液導入部が、スケールによって閉塞する問題がある。
【0035】
本発明によれば、銅電解精製工程における清浄電解槽底残渣からの砒素抽出方法として、前記図1もしくは図2に例示した本発明の液相酸化反応装置を用い、補給水供給槽5に補給水を注入し、補給水供給槽5の液面を液相酸化反応槽1内の液面より上のレベルに維持し、常に補給水供給槽5の補給水を液相酸化反応槽1に供給することによって、下記の効果が得られる。
【0036】
すなわち、反応槽1から補給水供給槽5への反応液の流入(逆流)および発生した気泡の流入を防止でき、連通管4の液中におけるAs化合物などのスケール生成物の濃度が低下し、液温低下によりスケールが生成し易い連通管部、特に補給水流路断面積縮小部でのスケールの生成、付着を抑制し、連通管部のスケールによる閉塞を防止できる。
【0037】
この結果、本発明によれば、補給水供給槽5の液面高さに対応して補給水供給槽5に補給水を補給することによって、液相酸化反応槽1の液面の制御を正確に行うことが可能となった。
また、従来問題となっていた液面計の液導入部のスケールによる閉塞あるいは補給水供給槽への泡の流入の問題を解決することができた。
【0038】
さらに、本発明によれば、液相酸化反応槽5の液面の制御を正確に行うことが可能となったため、常時良好な気液接触を得ることができ、下記の実施例に示すように、反応液を溢液(漏洩)させることなく、砒素を安定して高抽出率で抽出することが可能となった。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に示す。
(実施例1)
前記した図1に示す液相酸化反応装置を用い、銅電解精製工程における清浄電解槽底残渣からの砒素抽出を行った。
【0040】
なお、酸化、抽出法としては、前記したアルカリ性水溶液中での酸化、抽出法を用いた。
また、図1に示すように、補給水供給槽5と液相酸化反応槽1との連通管4に、補給水流路断面積が補給水供給槽5貯水部の最大横断面部5MS の断面積の1/120 である中空円筒状のプラグ(流路断面積縮小部材4D)を配設した。
【0041】
液相酸化反応装置における反応条件は、下記の通りとした。
清浄電解槽底残渣の張込量:640kg
NaOH添加量 :1.2 当量(対As理論必要当量)
総張込液量 :3.45m3
反応時の液温:75℃
反応時間 :10時間
本試験においては、図1に示す液相酸化反応装置を用い、補給水供給槽5に補給水を注入し、補給水供給槽5の液面を液相酸化反応槽1内の液面より上のレベルに維持し、常に補給水供給槽5の補給水を液相酸化反応槽1に供給した。
【0042】
なお、補給水供給槽5への補給水の注入および注入の停止は、図1に示す補給水液面計6である浮玉と、給水配管7aおよび該給水配管7aに接続され浮玉の浮力により自動的に給水を停止するバルブ7bから構成される補給水供給装置7を用い、補給水供給槽5の予め定めた上限の高さに浮玉が到達した際に自動的にバルブ7bが閉となり、補給水供給槽5の予め定めた下限の高さに浮玉が到達した際に自動的にバルブ7bが開となる方式を採用した。
【0043】
反応中、2時間毎に反応液をサンプリングし、サンプル液を濾過し、濾過残渣中のCuおよびAsの分析を行った。
砒素の反応液中への抽出率は、下記式(3) によって求めた。
砒素抽出率={1−〔(Cu1×As2)/(Cu2×As1)〕}×100(%) …………(3)
なお、上記式(3) 中、Cu1:反応前Cu品位(wt%)、Cu2:反応後Cu品位(wt%)、As1:反応前As品位(wt%)、As2:反応後As品位(wt%)を示す。
【0044】
得られた試験結果を、表1および図4に示す。
表1および図4に示すように、本発明によれば、酸化反応槽の液面レベルが安定し、気液接触が良好となり、砒素を高抽出率で抽出することが可能となった。
【0045】
【表1】
【0046】
(実施例2)
実施例1と同様の試験を10回繰り返して行った後、液相酸化反応装置の液を抜き出し解放点検を行った結果、連通管4の内壁にはスケールの付着はほとんど見られず、本発明に係る液面計の保守が実質的に不要であることが分かった。
また、本試験期間中、液相酸化反応槽1から反応液がオーバーフローすることは無く、作業面における安全性が確保できた。
【0047】
(実施例3)
前記した実施例1において清浄電解槽底残渣の張込量を800kg とした以外は実施例1と同様の方法で銅電解精製工程における清浄電解槽底残渣からの砒素抽出を行った。
その結果、前記した実施例1と同様に砒素を高抽出率で抽出することができ、本発明によれば、液相酸化反応槽の単位容積当たり、単位時間当たりの処理量を増加することが可能であることが分かった。
【0048】
(比較例)
液相酸化反応槽1への補給水の供給を、タイマー設定によって行った以外は実施例1と同様の方法で銅電解精製工程における清浄電解槽底残渣からの砒素抽出を行った。
すなわち、反応時の液温75℃の条件下における従来の単位時間当たりの水の蒸発量の実績値に対応する量の補給水をタイマー設定によって一定間隔で補給した。
【0049】
得られた試験結果を、表2および図5に示す。
表2および図5に示すように、タイマー設定に基づく補給水供給方式の場合、液相酸化反応槽の液面レベルの変動により、常時良好な気液接触を得ることは困難で、砒素を高抽出率で抽出することができなかった。
また、液相酸化反応槽の液面レベルの変動により、反応液が頻繁に液相酸化反応槽の槽外へオーバーフローし、清掃などが必要となり、また反応液が高濃度のアルカリ水溶液であるため、清掃時の安全性に問題が生じた。
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、液面の制御および液面計の保守が容易な液相酸化反応装置を提供することが可能となった。
また、上記効果に加えて、銅電解精製工程における清浄電解槽槽底残渣から砒素を高抽出率で抽出することが可能となり、液相酸化反応槽の単位容積当たり、単位時間当たりの処理量を増加することが可能な銅電解精製工程における清浄電解槽槽底残渣からの砒素抽出方法を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液相酸化反応装置の一例を示す縦断面図(a) およびA−A矢視図(b) である。
【図2】本発明の液相酸化反応装置の一例を示す縦断面図(a) およびB−B矢視図(b) である。
【図3】アルカリ性水溶液による砒素の酸化、抽出で得られた抽出濾液中のAs濃度と結晶析出温度(液温)および結晶再溶解温度(液温)との関係を示すグラフである。
【図4】銅電解精製における清浄電解槽槽底残渣からの砒素抽出試験時の砒素抽出率の推移を示すグラフである。
【図5】銅電解精製における清浄電解槽槽底残渣からの砒素抽出試験時の砒素抽出率の推移を示すグラフである。
【符号の説明】
1 液相酸化反応槽(:反応槽)
2 空気吹き込み装置
3 空気導入管
4 連通管
4D 流路断面積縮小部材
4P 補給水流路断面積縮小部
4W 連通管の液相酸化反応槽への補給水出口
5 補給水供給槽
5MS 補給水供給槽貯水部の最大横断面積部
6 補給水供給槽の補給水液面計
7 補給水供給装置
7a 給水配管
7b バルブ
8 攪拌羽根
8a 攪拌羽根の回転軸
9 攪拌羽根の回転軸の外筒
10 攪拌羽根の回転軸の回転駆動装置
11 蒸気加熱用の蛇管
12 澱物の抜き出し管
13 空気吸引管
13a 空気吸引管の空気吸引口
14 プーリ
15 Vベルト
16 モータ
17 上部開口中空円錐部材
17a 上部反応液吸引口
18 衝突板
20 反応液
21 泡層
30 空気供給管(空気吹き込み管)
30A 空気吹き込み口
f1 空気の流通方向
f2 空気の吹き出し方向
f3 攪拌羽根の回転方向
f4 空気導入管内への上部反応液の吸引方向
Claims (3)
- 液相酸化反応槽(1) と、該液相酸化反応槽(1) に配設された液相への空気吹き込み装置(2) と、前記液相酸化反応槽(1) と連通管(4) を介して連通した補給水供給槽(5) と、前記連通管(4) に設けられた補給水流路断面積縮小部(4p)と、前記補給水供給槽(5) の補給水液面計(6) と、該補給水液面計(6) の液面検出結果に基づき補給水供給槽(5) に補給水を補給する補給水供給装置(7) を有することを特徴とする液相酸化反応装置。
- 請求項1記載の液相酸化反応装置を用い、銅電解精製工程における清浄電解槽槽底残渣から砒素を酸化、抽出することを特徴とする銅電解精製工程における清浄電解槽槽底残渣からの砒素抽出方法。
- 前記した砒素抽出方法が、前記清浄電解槽槽底残渣をアルカリ性水溶液中で酸化せしめ砒素を抽出する方法であることを特徴とする請求項2記載の銅電解精製工程における清浄電解槽槽底残渣からの砒素抽出方法。
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