JP4153347B2 - Ofdm受信機 - Google Patents
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Description
【発明の属する分野】
本発明は、携帯電話や無線LAN等の無線通信システムの無線通信機器に関し、特にOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)伝送方式を用いた無線パケット通信システムの受信装置及びFFTウィンドウタイミングオフセット補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
OFDM伝送方式は、直交関係にある複数の搬送波を用いて情報を伝送する方式である。入力情報信号に基づき、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)等の変調をサブキャリア毎に行う。さらに、その変調出力に対して、IFFT(Inverse Fast FourierTransform)回路を用いてOFDM信号を生成する。OFDM伝送方式の受信装置では、キャリア周波数オフセットの影響を除去することが必要であり、また、FFTウィンドウタイミングの検出等の同期が必要である。また、パケット伝送はデータを短いパケット信号に分割して送信する方法であり、パケット信号毎に同期を確立する必要がある。通常、伝送効率の点からパケット信号先頭部のシンボルから同期を確立し、以降のデータシンボルに対してはパケット信号先頭部のシンボルより検出した同期情報を元に同期を確立する。
【0003】
図16は、従来のOFDM通信システムにおける受信装置の概略構成を示す要部を示すブロック図である。図16において、S1はアンテナから入力される高周波信号、符号100はローカルの発振器、符号101はローカルの発振器100と高周波信号S1を乗積しベースバンド信号S2を出力する乗算器、S2はローカルの発振器100によりダウンコンバートされたベースバンド信号、符号102はアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器、S3はA/D変換器102によりアナログ信号からディジタル信号に変換されたベースバンド信号、103は相関検出部、104は周波数オフセット検出部、105は周波数オフセット検出部104により算出されたキャリア周波数オフセットの補正を行う周波数オフセット補正部、106はFFTウィンドウタイミング検出部、S4は周波数オフセット補正部105によりキャリア周波数オフセットを除去されたベースバンド信号、107は時間軸信号から周波数軸信号に変換するFFT部、S5はFFT部107により時間軸信号から周波数軸信号に変換された周波数軸信号、108は復調部、S6は復調部108により復調された復調信号、109はシステム制御部である。
【0004】
また、図11は、OFDM通信システムのパケットフォーマットの構成例を示す模式図である(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
図11において、GI(Guard Interval)はガードインターバル、KP(Known Patern)は既知パターン(例えば、パイロットシンボル)、D(Data)はデータを表す。このパケットフォーマットでは、パケット信号の先頭部に周波数オフセット検出、FFTウィンドウタイミング検出などに使用される既知パターンが繰り返して2シンボル配置され、以降に情報伝送用のデータシンボルが続いて配置されている。上記構成例に基づき、従来のOFDM通信システムの動作の概略について説明する。図16に示すように、アンテナで受信した高周波信号S1は乗算器101に入力され、ローカルの発振器100の出力と乗算及びダウンコンバートされてベースバンド信号S2が出力される。
【0006】
ベースバンド信号S2は、A/D変換器102に入力されて、アナログ信号からディジタル信号に変換されて出力される。一般的に、送信装置の発振器周波数と受信装置の発振器周波数との間にはずれが生じているため、ベースバンド信号S3にはキャリア周波数オフセットが生じている。また、受信装置は受信信号の到来タイミングが未知であるため、FFTウィンドウタイミングを検出する必要がある。受信パケット信号の先頭部には、図11に示すように同一波形が繰り返して2シンボル含まれているため、相関検出部103において同一波形間の相関値を算出する。この相関値に基づいて周波数オフセット検出部104においてキャリア周波数オフセットが算出され、FFTウィンドウタイミング検出部106においてFFTウィンドウタイミングが検出される。
【0007】
周波数オフセット検出部104において算出されたキャリア周波数オフセットに基づいて、周波数オフセット補正部105においてベースバンド信号S3に対してキャリア周波数オフセットの除去を行い、ベースバンド信号S4を出力する。FFTウィンドウタイミング検出部106において検出されたFFTウィンドウタイミングに基づいて、FFT部107においてベースバンド信号S4に対してFFT処理を行い、時間軸信号から周波数軸信号に変換して周波数軸信号S5を出力する。周波数軸信号S5は復調部108に入力されて復調信号S6が出力される。復調信号S6はシステム制御部109に入力される。
【0008】
図11を参照して説明したように、従来のOFDM通信システムでは、パケット信号先頭部の同期用シンボルを使用し、キャリア周波数オフセットの検出と信号同期とを行い、以降のデータシンボルに対してはパケット信号先頭部のシンボルより検出同期情報に基づいて同期を確立していた。
【0009】
図12に、伝搬路変動補償前のデータシンボルの信号点配置d1と、この同期用シンボルより推定した伝搬路変動情報に基づき伝搬路変動補償をした伝搬路変動補償後のデータシンボルの信号点配置d2を示す。尚、d3はFFTウィンドウタイミングオフセットの無い理想状態での伝搬路補償後のデータシンボルの信号点配置で、d2とd3との信号点配置の差分は、誤差(error)を表している。
【0010】
【非特許文献1】
「高速無線LAN用OFDM変調方式の同期系に関する検討」 電子情報通信学会 技術報告 RCS−97−210。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の同期確立方法によれば、キャリア周波数オフセットに代表される基準発振器のオフセットにより、パケット信号先頭部と後ろの部分では同期タイミングがずれ、既知パターンとデータシンボルのFFTウィンドウタイミングオフセットが生じる。このFFTウィンドウタイミングオフセットは、FFT処理後の既知パターンとデータシンボルとに位相差を生じさせ、信号点配置が理想的な状態からずれるという問題が発生する。
【0012】
このFFTウィンドウタイミングオフセットは、図13に示すようにパケット信号先頭部のシンボルから後続のデータシンボルになるほど大きくなる。その結果、パケットの後続のデータシンボルになるほど、FFT処理後の信号の位相差、伝搬路変動補償後の誤差を大きくし、信号の誤り率を劣化させる。このため、パケット長が長い場合、パケットの後ろのデータシンボルでは、FFTウィンドウタイミングオフセットに起因する誤り率の劣化が無視できなくなる。
【0013】
本発明は、OFDM通信システムにおいて、FFTウィンドウタイミングオフセットを軽減できる受信装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、送信装置および受信装置におけるRF信号生成と基準クロック生成が、各々ひとつの基準発振器により行われるパケットデータ受信機において、周波数オフセットから基準発振器のオフセットを算出する手段と、算出した基準発振器のオフセットからクロックオフセットを算出する手段と、算出したクロックオフセットからFFTウィンドウタイミングオフセットを算出する手段とを備え、検出した基準発振器のずれに基づいて、FFT部の出力である周波数軸信号に対して位相差の補正、或いは、FFTウィンドウタイミングの設定調整を行うことを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る技術は、FFTウィンドウタイミングオフセットの原因が、キャリア周波数オフセットと同様に送受信期間の基準発振器のオフセットに起因するものであることに着目し、基準発振器のオフセットを検出し、これに基づいてFFTウィンドウタイミングオフセットを調整することを特徴とする。
【0016】
以下、本発明の実施の形態によるFFTタイミングオフセット補正技術及び無線通信機器について図面を参照して説明する。
【0017】
まず、本発明の第1の実施の形態によるOFDM通信システムの受信装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態によるOFDM通信システムにおける受信装置の概略構成例を示すブロック図である。図1において、図16と同一構成部分には同一符号を付している。図1に示すように、符号10000は基準発振器、110はクロックオフセット検出部、111は位相差検出部、112は位相差補正部、S7は位相差補正部112において位相差を除去された周波数軸信号である。本実施の形態によるOFDM通信システムの動作の概略について説明する。
【0018】
本実施の形態によるOFDM通信システムは、ローカル発振器の周波数生成とOFDM信号生成とがひとつの基準発振器により行われるシステムが前提となる。アンテナで受信した高周波信号S1は乗算器101に入力され、基準発振器10000により周波数生成されるローカルの発振器100の出力と乗算及びダウンコンバートされてベースバンド信号S2として出力される。ベースバンド信号S2は、基準発振器10000によりOFDM信号生成が行われるBB(Base Band)部1001内のA/D変換器102に入力し、アナログ信号からディジタル信号に変換されてベースバンド信号S3が出力される。相関検出部103において受信パケット信号先頭部の同一波形間の相関値を算出する。この相関値に基づいて、周波数オフセット検出部104においてキャリア周波数オフセットが算出され、FFTウィンドウタイミング検出部106においてFFTウィンドウタイミングが検出される。
【0019】
周波数オフセット検出部104において算出されたキャリア周波数オフセットに基づき、周波数オフセット補正部105においてベースバンド信号S3に対してキャリア周波数オフセットの除去を行い、ベースバンド信号S4を出力する。FFTウィンドウタイミング検出部106において検出されたFFTウィンドウタイミングに基づいて、FFT部107においてベースバンド信号S4に対してFFT処理を行い、時間軸信号から周波数軸信号に変換し周波数軸信号S5を出力する。周波数オフセット検出部104において算出されたキャリア周波数オフセットに基づき、クロックオフセット検出部110においてクロックオフセットを算出する。クロックオフセット検出部110において算出されたクロックオフセットとシステム制御部109より出力されるパケット信号先頭部のシンボルとデータシンボルの時間間隔を元に、位相差検出部111においてデータシンボルのパケット信号先頭部のシンボルとの位相差を算出する。
【0020】
位相差検出部111において算出されたデータシンボルのパケット信号先頭部のシンボルとの位相差を元に、位相差補正部112において周波数軸信号S5に対して位相差の除去を行い、周波数軸信号S7を出力する。周波数軸信号S7は復調部108に入力されて復調信号S6が出力される。復調信号S6はシステム制御部109に入力される。以下、本実施の形態による受信装置の各機能ブロックにおける動作について説明を行う。
【0021】
図14(A)、(B)は、本実施の形態によるOFDM通信システムにおける基準発振器の動作の概略を示す要部ブロック図である。図14(A)は送信側Tx、図14(B)は受信側(Rx)のブロック図である。本実施の形態によるOFDM通信システムでは、送信装置及び受信装置におけるRF信号生成と基準クロック生成が各々一つの基準発振器により行われており、図1におけるRF(Radio Frequency)部1000およびBB(BaseBand)部1001は同じ基準発振器10000により制御されている。この場合、RF部1000において生じるキャリア周波数オフセットとBB部1001において生じるFFTウィンドウタイミングオフセットは同じ基準発振器10000のオフセットにより生じているため、検出したキャリア周波数オフセットより基準発振器の発振周波数オフセットを検出し、検出した基準発振器の発振周波数オフセットよりクロックオフセットを検出し、検出したクロックオフセットよりFFTウィンドウタイミングオフセットを検出し、検出したFFTウィンドウタイミングオフセットよりFFTウィンドウタイミングオフセットを補正することができる。先ず、キャリア周波数オフセットと基準発振器の発振周波数オフセットとの関係について説明する。
【0022】
以下に示す式(1)は、送受信装置間におけるキャリア周波数オフセットを示している。
【0023】
【数1】
【0024】
ここで、fcarrieroffsetは、送受信装置間におけるキャリア周波数オフセット、fTxLOは送信装置のローカルの発振器の周波数、fRxLOは、受信装置のローカルの発振器の周波数を表す。
【0025】
以下に示す式(2)は、送受信装置間における基準発振器の周波数オフセットを示している。
【0026】
【数2】
【0027】
ここで、fTCXOoffsetは送受信装置間における基準発振周波数オフセット、fTxTCXOは送信装置の基準発振器の周波数、fRxTCXOは受信装置の基準発振器の周波数を表す。ローカルの発振器は、電圧制御発振器の出力周波数をN分割した周波数と基準発振器の周波数とを比較し、比較した結果を元に電圧制御発振器の電圧を制御して周波数を制御しているため、以下に示す式(3)のように送受信装置間におけるキャリア周波数オフセットと送信装置のローカルの発振器の周波数の比と送受信装置間における基準発振周波数オフセットと送信装置の基準発振器の周波数との比は等しい。
【0028】
【数3】
【0029】
以上のように、検出した送受信装置間におけるキャリア周波数オフセットを元に、送受信装置間における基準発振周波数オフセットを検出することができる。
【0030】
次に、クロックオフセットと基準発振周波数オフセットの関係を説明する。
以下に示す式(4)は、送受信装置間におけるクロックオフセットを示している。
【0031】
【数4】
【0032】
ここで、fclkoffsetは送受信装置間におけるクロックオフセット、fTxclkは、送信装置のBB部を制御するクロック周波数、fRxclkは受信装置のBB部を制御するクロック周波数を表す。BB部を制御するクロック周波数は基準発振器により生成されるため、以下の式(5)に示されるように、送受信装置間におけるクロックオフセットと送信装置のBB部を制御するクロック周波数の比と送受信装置間における基準発振周波数オフセットと送信装置の基準発振器の周波数の比とは等しいと表せる。
【0033】
【数5】
【0034】
以上のように、検出した送受信装置間における基準発振周波数オフセットを元に、送受信装置間におけるクロックオフセットを検出することができる。上記式(3)、式(5)より、キャリア周波数オフセットとクロックオフセットの関係は以下に示す式(6)のように表せる。
【0035】
【数6】
【0036】
上記の式(6)を用いて、クロックオフセット検出部110では周波数オフセット検出部104より出力されるキャリア周波数オフセットを元に、ローカルの発振器100の発振周波数に応じたクロックオフセットを算出する。
【0037】
次に、FFTウィンドウタイミングオフセットとクロックオフセットとの関係について説明する。本実施の形態によるOFDM通信システムでは、パケット信号先頭部のシンボルより検出した同期情報を元に、後続のデータシンボルに対して1シンボル毎に固定のタイミング間隔をあけてFFTウィンドウタイミングを設定しているため、FFTウィンドウタイミングオフセットは同期情報を検出したパケット信号先頭部のシンボルからの時間間隔に比例して増加する。BB部はクロックにより制御されているため、以下に示す式(7)のように、FFT部においてFFT処理を行うデータシンボルのパケット信号先頭部のシンボルからの時間間隔とFFTウィンドウタイミングオフセットとの比と、送受信装置間におけるクロックオフセットと送信装置のBB部を制御するクロック周波数の比とは等しいと表せる。
【0038】
【数7】
【0039】
ここで、ΔtはFFTウィンドウタイミングオフセット、TはFFT部においてFFT処理を行うデータシンボルのパケット信号先頭部のシンボルからの時間間隔を表す。以上のように、検出した送受信装置間におけるクロックオフセットを元に、送受信装置間におけるFFTウィンドウタイミングオフセットをデータシンボル毎に検出することができる。上記式(7)を用いて、位相差検出部111では、クロックオフセット検出部110より出力されるクロックオフセットとシステム制御部109より出力されるパケット信号先頭部のシンボルとデータシンボルの時間間隔とに基づき、FFTウィンドウタイミングオフセットを算出する。
【0040】
次に、パケット信号先頭部のシンボルとデータシンボルの位相差とFFTタイミングオフセットの関係を説明する。FFT部に入力されるパケット信号先頭部のシンボルの時間波形を以下に示す式(8)によると、FFT部においてΔtのFFTウィンドウタイミングオフセットが生じるデータシンボルの時間波形は以下の式(9)で示すことができる。
【0041】
【数8】
【0042】
【数9】
【0043】
ここで、akはI相の信号点配置、bkはQ相の信号点配置、Nはサブキャリア数、fkはサブキャリア周波数、tは時間を表す。
【0044】
図15(A)、(B)に、パケット信号先頭部のシンボルとデータシンボルのサブキャリア毎の位相差を表す説明図を示す。なお、1例としてQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)の信号点配置を用いる。ここで、白点はFFTウィンドウタイミングオフセットがない場合の信号点配置であり、黒点はFFTウィンドウタイミングオフセットがある場合の信号点配置である。また、図15(A)のk→lowは周波数が低いサブキャリア、図15(B)のk→highは周波数が高いサブキャリアを示している。
【0045】
FFTウィンドウタイミングオフセットが生じる場合、FFTウィンドウタイミングオフセットがない場合のデータシンボルと位相差θkが生じる。この位相差θkはパケット信号先頭部のシンボルとの初期位相のずれを示している。サブキャリア毎の位相差θkは上記式(9)を展開した下記式(10)より、下記式(11)と表せる。
【0046】
【数10】
【0047】
【数11】
【0048】
上記式(11)が示しているように、サブキャリア周波数が高くなるにつれて位相差が大きくなる。上記式(7)、式(11)を用いて、位相差検出部111では算出したFFTウィンドウタイミングオフセットを元に、サブキャリア周波数に応じた位相差を算出する。位相差補正部112では、位相差検出部111より出力される位相差を元に、FFT処理後のデータシンボルのサブキャリア毎の位相回転量を算出する。以下に示す式(12)は、上記式(10)を展開した式である。尚、θk=2πfkΔtを用いる。下記式(13)に、下記式(12)をcos(2πfkt)とsin(2πfkt)でまとめた式を示す。
【0049】
【数12】
【0050】
【数13】
【0051】
下記式(14)、(15)に、上記式(13)の時間波形をFFT処理した周波数波形のI相、Q相を示す。上記式(13)に示すcos(2πfkt)とsin(2πfkt)の係数がFFT処理を行った後、I相、Q相のデータとしてそれぞれ出力される。
【0052】
【数14】
【0053】
【数15】
【0054】
下記式(16)に回転行列を示す。
【数16】
【0055】
FFT処理後のデータは、上記式(14)、式(15)に示すように位相がθk回転している。位相差補正部112では下記式(17)に示すように上記式(14)、(15)を要素とする行列と位相がθkである上記式(16)の回転行列を計算することにより位相回転を除去する。
【0056】
【数17】
【0057】
下記式(18)、(19)に、上記式(17)の計算を行った後のI相、Q相を示す。
【0058】
【数18】
【0059】
【数19】
【0060】
位相差補正部112では、上記式(17)の計算をすることによりFFT処理後のデータシンボルのサブキャリア毎の位相回転を除去し、上記式(18)、(19)のデータを出力する。
【0061】
尚、通常、ローカルの発振器100の発振周波数はシステム帯域内において複数の値が設定されているが、異なる発振周波数間の周波数差があまり大きくない場合、上記式(6)において送信装置の基準発振器の発振周波数を固定の値とすることにより回路を簡略化し、演算量を削減することができる。
【0062】
また、本実施の形態おいてはクロックオフセット検出部110では、上記式(6)の計算、位相差検出部111では上記式(7)、(11)の計算、位相差補正部112では位相差検出部111より出力される位相差を元に位相回転を行っているが、上記式(6)、(7)を上記式(11)に代入した式を構成とした回路とすることもできるし、周波数オフセット検出部104より出力される周波数オフセットが入力されるとすぐに位相回転を行う構成とした回路とすることもできる。つまり、クロックオフセット検出部110、位相差検出部111、位相差補正部112を各々組み合わせて一つの回路構成とすることもできる。
【0063】
次に、本発明の第1の実施の形態によるOFDM通信システムの受信装置の回路構成について説明する。図2に、本実施の形態による受信装置の回路構成例を示す。図2において、図1と同一構成部分には同一符号を付している。上記受信装置の各ブロックにおける動作の説明に沿って説明を行う。周波数オフセット検出部104より出力される信号は、上記動作説明における周波数オフセットfcarrieroffsetC1である。クロックオフセット検出部110では、上記式(6)の左辺の分母項であるローカルの発振器の周波数fTXLOの逆数をROM1に記憶しており、使用するローカルの発振器の周波数に応じた値をROM1より出力し、乗算器2において周波数オフセットC1と乗算する。
【0064】
図3に、ROM1に記憶する値の例を示す。図3(A)は、ROM1において記憶する値の概略例である。ROM1では、1/fTxLoの値を記憶している。入力されるアドレスがfTxLo1であれば、ROM1は、1/fTxLo1を出力する。図3の(B)は、ROM1において記憶する値の具体例であり、例えば「ARIBSTD-T70」において述べられている使用周波数に対応した値である。通信時に使用する周波数が5.170×109Hzであれば、ROM1にアドレス1を入力し、ROM1は1/5.170×109を出力する。乗算器2の出力として、上記式(6)の右辺項であるクロックオフセット比fclkoffset/fTxclkC2が出力され、位相差検出部111(図2)に入力される。位相差検出部111では、先ず上記式(7)の左辺の分子項であるFFTウィンドウタイミングオフセットΔtを算出する。
【0065】
システム制御部109からデータシンボルのパケット信号先頭部の既知パターンからの時間間隔tを出力する。乗算器3において、クロックオフセット比C2と時間間隔を乗算し、FFTウィンドウタイミングオフセットC3を出力する。次に、上記式(11)の左辺の項である位相差θkを算出する。ROM4(図2)には上記式(11)の右辺項の一部である2πfkを記憶しており、乗算器5において、FFTウィンドウタイミングオフセットC3とサブキャリア毎の2πfkを乗算し、位相差C4をサブキャリア数個出力し位相差補正部112に入力する。
【0066】
図4は、ROM4に記憶する値の一例を示す図である。図4(A)は、ROM4において記憶される値の例である。ROM4では、2πfkの値を記憶している。入力されるアドレスがf1であれば、ROM4は2πf1を出力する。図4(B)は、ROM4において記憶する値の具体例であり、例えば「ARIB STD-T70」において述べられているサブキャリア配置に対応した値である。ここでは、OFDM使用周波数帯域が20MHz、52個の情報サブキャリア数、12個のヌルサブキャリア数の場合について示す。最もサブキャリア周波数が低いサブキャリアの位相差C4を出力する場合は、ROM4にアドレス1を入力し、ROM4は2π×312.5×103×(−26)を出力して、乗算器5においてFFTウィンドウタイミングオフセットC3と乗算して出力する。最もサブキャリア周波数が高いサブキャリアの位相差C4を出力する場合は、ROM4にアドレス52を入力し、ROM4は2π×312.5×103×26を出力して、乗算器5においてFFTウィンドウタイミングオフセットC3と乗算して出力する。
【0067】
位相差補正部112では、回転行列と周波数軸信号を行列演算することにより周波数軸信号の位相回転を除去する。ROM7には、位相に応じた上記式(17)の要素cosθを記憶しており、ROM8には位相に応じた上記式(17)の要素sinθを記憶している。コントローラ6は、位相差C4から位相回転を行う際に用いるcosθ、sinθを判定し、対応したアドレスをROM7、ROM8に対して出力する。ROM7、ROM8ではコントローラ6から入力されるアドレスに応じたcosθ、sinθを出力する。
【0068】
図5は、ROM7、ROM8に記憶する値の例を示す図である。ROM7では、cosθの値を記憶している。ROM8では、sinθの値を記憶している。入力されるアドレスがθ1であれば、ROM7はcosθ1を出力し、ROM8はsinθ1を出力する。図6(A)、(B)に、それぞれROM7、ROM8に記憶する値の具体例を示す説明図を示す。ここでは、例えば、ROM7、ROM8において、位相差検出部111からの出力である信号の位相差が1°、4°、7°の値に対応したcosθ、sinθを記憶している場合について示している。
【0069】
ROM7では、アドレス1にcos1°、アドレス2にcos4°、アドレス3にcos7°の値を記憶している。ROM8では、アドレス1にsin1°、アドレス2にsin4°、アドレス3にsin7°の値を記憶している。位相差検出部111からの出力である信号の位相差が7°であった場合、位相差補正部112のコントローラ6はアドレス3をROM7、およびROM8に出力する。アドレス3が入力されたROM7は0.999810963を出力し、ROM8は0.019443219を出力する。
【0070】
乗算器10には上記式(17)の回転行列の1行1列目のcosθが入力され、乗算器11には上記式(17)の回転行列の2行1列目のsinθが入力され、乗算器12には上記式(17)の回転行列の2行2列目のcosθが入力され、乗算器13にはROM8の出力を符号反転部9において符号反転した上記式(17)の回転行列の1行2列目の−sinθが入力される。また、乗算器10、12には周波数軸信号のI相S5.1、乗算器11、13には周波数軸信号のQ相S5.2が入力され、ROM7、8からの入力と乗算する。加算器14において、上記式(18)に示すように乗算器10、13の出力を加算し、位相回転を除去した周波数軸信号I相S7.1を出力する。加算器15において上記式(19)に示すように乗算器11、12の出力を加算し、位相回転を除去した周波数軸信号Q相S7.2を出力する。そして、位相差補正部112において位相回転を除去した周波数軸信号を復調部に入力する。
【0071】
本発明の第1の実施の形態によるOFDM受信装置の位相差補正部112の動作手順について説明する。1OFDMシンボル間で生じるFFTウィンドウタイミングオフセットは相当に小さい値なので、パケット長が短い場合には影響が余りなく、パケット長が長い場合に受信誤り率特性の劣化を生じる。また、図2のROM7、ROM8において位相差θkに対応したcos(θk)、およびsin(θk)を無限に記憶しておくことはできない。そのため、複数の任意の値をROM7、ROM8に記憶しておき、算出した位相差が予め任意に設定した値に達した場合から位相差補正部112において位相回転の除去を行うとともに、設定する値を次の値に更新し、算出した位相差が更新した値に達した場合に、現ステップの位相差判定で設定した位相差と前ステップの位相差判定で設定した位相差の差分に対応した位相を用いて位相回転の除去値を行い、次ステップの位相差判定に進む。以降、パケットの受信を終了するまで、上記手順を行う。
【0072】
図7は、本発明の第1の実施の形態による位相差補正部112の動作の一例を示すフローチャート図である。図7では、位相差判定の回数が2回であり、位相差判定は位相差が一番大きい最も周波数の高いサブキャリアにおいて行う場合を例に示す。位相差補正部112に位相差検出部111からの出力が入力されると、ステップS1において、位相差検出部111からの出力の中で最も周波数の高いサブキャリアの位相差θmaxが正か負かを判定する。ステップS1において判定結果がYESの場合ステップS2Lに進み、判定結果がNOの場合ステップS2Sに進む。ステップS2Lに進んだ場合、位相差θmaxが予め任意に設定した位相差θs1に達したか否かの位相差判定を行う。
【0073】
ステップS2Lにおいて、判定結果がYESの場合ステップS3Lに進み、判定結果がNOの場合は信号を出力する。ステップS3Lに進んだ場合、最も周波数の高いサブキャリアの位相差判定に用いた位相θs1に対応した各サブキャリアの位相回転量を用いて位相回転の除去を行い、ステップS4Lに進む。ステップS4Lにおいて予め任意に設定した位相差θs2に達したか否かの位相差判定を行う。ステップS4Lにおいて、判定結果がYESの場合、ステップS5Lに進み、判定結果がNOの場合、信号を出力する。ステップS5Lに進んだ場合、ステップS5Lにおいて設定した位相差θs2とステップS3Lにおいて設定した位相差θs1の差分(θs2―θs1)に対応した各サブキャリアの位相回転量を用いて位相回転の除去を行い、信号を出力する。ステップS2Sに進んだ場合、位相差θmaxが予め任意に設定した位相差θs3に達したか否かの位相差判定を行う。ステップS2Sにおいて判定結果がYESの場合ステップS3Sに進み、判定結果がNOの場合、信号を出力する。ステップS3Sに進んだ場合、最も周波数の高いサブキャリアの位相差判定に用いた位相θs3に対応した各サブキャリアの位相回転量を用いて位相回転の除去を行い、ステップS4Sに進む。ステップS4Sにおいて予め任意に設定した位相差θs4に達したか否かの位相差判定を行う。ステップS4Sにおいて判定結果がYESの場合、ステップS5Sに進み、判定結果がNOの場合、信号を出力する。
【0074】
ステップS5Sに進んだ場合、ステップS5Sにおいて設定した位相差θs4とステップS3Sにおいて設定した位相差θs4の差分(θs4―θs3)に対応した各サブキャリアの位相回転量を用いて位相回転の除去を行い、信号を出力する。
【0075】
尚、位相差補正部112において位相差検出部111の出力である位相差が予め任意に設定した位相差以上か否かを判定する際に、1つのサブキャリアにおいて判定を行うのではなく、複数のサブキャリアにおいて判定を行うこともできる。この場合、複数のサブキャリアにおける判定の平均値、最大値、或いは、最小値、或いは、最大値と最小値の中間値に基づいて判定を行うこともできる。
【0076】
また、サブキャリア周波数が低いサブキャリアにおいてはFFTウィンドウタイミングオフセットによって生じる位相差が小さいため、位相回転の除去動作を省略することもできる。さらに、位相差補正部112において位相差によって動作を制御するのではなく、図1の各ブロックにおいて出力される周波数オフセット、クロックオフセット、FFTウィンドウタイミングオフセットによって動作を制御することもできる。
【0077】
次に、本発明の第2の実施の形態によるOFDM受信機について説明する。図2におけるROM7、ROM8において、複数の位相差θkに対応したcos(θk)、およびsin(θk)を記憶しておくことは回路規模増大に繋がる。本発明の第2の実施の形態によるOFDM受信装置の位相差補正部112の動作手順について説明する。本発明の第2の実施の形態によるOFDM受信装置は、算出した位相差が所定の値以上の場合、予め任意に設定した位相をパラメータとした位相回転の除去を行い、位相回転の除去後の信号の位相差が所定の値以下になった場合に出力を行うことにより、ROM7、ROM8のcos(θk)、およびsin(θk)を1組のサブキャリア数分だけ記憶するものにし、回路規模を低減することを特徴としている。
【0078】
図8は、本発明の第2の実施の形態による位相差補正部112の動作の一例を示すフローチャート図である。図8では、位相差判定は位相差が一番大きい最も周波数の高いサブキャリアにおいて行う場合について示す。位相差検出部111からの出力が位相差補正部112に入力されると、ステップS11において、位相差検出部111からの出力の中で最も周波数の高いサブキャリアの位相差θmaxが正か負かを判定する。ステップS11において、判定結果がYESの場合ステップS12Lに進み、判定結果がNOの場合ステップS12Sに進む。ステップS12Lに進んだ場合、位相差θmaxが予め任意に設定した位相差θ1に達したか否かの位相差判定を行う。ステップS12Lにおいて、判定結果がYESの場合はステップS13Lに進み、判定結果がNOの場合は信号を出力する。ステップS13Lに進んだ場合、最も周波数の高いサブキャリアの位相差判定に用いた位相θ1に対応した各サブキャリアの位相回転量を用いて位相回転の除去を行い、ステップS14Lに進む。ステップS14LにおいてステップS12Lにおいて判定を行った位相差θmaxからθ1を減算し、減算した値を位相差θmaxとして更新し、ステップS12Lに戻る。以降、ステップS12Lにおいて判定結果がNOとなるまで上記ステップを繰り返し、出力する。
【0079】
図8において、vは上記ステップの繰り返し回数である。ステップS12Sに進んだ場合、位相差θmaxが予め任意に設定した位相差θmに達したか否かの位相差判定を行う。ステップS12Sにおいて判定結果がYESの場合、ステップS13Sに進み、判定結果がNOの場合は信号を出力する。ステップS13Sに進んだ場合、最も周波数の高いサブキャリアの位相差判定に用いた位相θmに対応した各サブキャリアの位相回転量を用いて位相回転の除去を行い、ステップS14Sに進む。ステップS14SにおいてステップS12Sにおいて判定を行った位相差θmaxにθmを加算し、加算した値を位相差θmaxとして更新し、ステップS12Sに戻る。以降、ステップS12Sにおいて判定結果がNOとなるまで上記ステップを繰り返し、出力する。図8において、wは上記ステップの繰り返し回数である。
【0080】
本発明の第3の実施の形態によるOFDM受信装置について説明する。図9に、本発明の第3の実施の形態によるOFDM通信システムにおける受信装置の概略構成を示す要部ブロック図を示す。また、図1と同一構成部分については同一符号を付している。図9において、符号113はFFTウィンドウタイミングオフセット検出部であり、FFTウィンドウタイミング検出部106に関しては本発明の第1の実施の形態によるものと機能が異なる。本実施の形態によるOFDM通信システムの動作の概略を説明する。
【0081】
アンテナで受信した高周波信号S1は乗算器101に入力されて、基準発振器10000により周波数生成されるローカルの発振器出力と乗算及びダウンコンバートされてベースバンド信号S2が出力される。ベースバンド信号S2は基準発振器10000によりOFDM信号生成が行われるBB(Base Band)部1001のA/D変換器102に入力されて、アナログ信号からディジタル信号に変換されてベースバンド信号S3が出力される。相関検出部103において受信パケット信号先頭部の同一波形間の相関値を算出する。この相関値を元に周波数オフセット検出部104においてキャリア周波数オフセットが算出され、FFTウィンドウタイミング検出部106においてFFTウィンドウタイミングが検出される。周波数オフセット検出部104において算出されたキャリア周波数オフセットを元に、周波数オフセット補正部105においてベースバンド信号S3に対してキャリア周波数オフセットの除去を行い、ベースバンド信号S4を出力する。周波数オフセット検出部104において算出されたキャリア周波数オフセットを元に、クロックオフセット検出部110においてクロックオフセットを算出する。クロックオフセット検出部110において算出されたクロックオフセットとシステム制御部109より出力されるパケット信号先頭部のシンボルとデータシンボルの時間間隔を元に、FFTウィンドウタイミングオフセット検出部113においてパケット信号先頭部のシンボルとデータシンボルとのFFTウィンドウタイミングオフセットを算出する。
【0082】
FFTウィンドウタイミングオフセット検出部113において算出されたFFTウィンドウタイミングオフセットを元に、FFTウィンドウタイミング検出部106においてFFTウィンドウタイミングの補正を行う。FFTウィンドウタイミング検出部106において検出及び補正されたFFTウィンドウタイミングを元に、FFT部107においてベースバンド信号S4に対してFFT処理を行い、時間軸信号から周波数軸信号に変換して周波数軸信号S5を出力する。周波数軸信号S5は復調回路108に入力されて復調信号S6が出力される。復調信号S6はシステム制御部109に入力される。以下、本発明の受信装置の各ブロックにおける動作の説明を行う。
【0083】
パケット信号先頭部のシンボルとデータシンボルはFFTウィンドウタイミングオフセットによりFFT部107に入力される時間波形が上記式(8)、(9)のようになる。FFTウィンドウタイミングオフセット検出部113において上記式(7)のようにFFTウィンドウタイミングオフセットΔtを検出する。FFTウィンドウタイミング検出部106においてFFTウィンドウタイミングをΔtだけずらしてFFT部7に補正したFFTウィンドウタイミングを出力する。FFT部7では補正されたFFTウィンドウタイミングを用いてデータシンボルに対してFFTウィンドウを設定する。従来、上記式(9)のような時間波形に対してFFT処理を行っていたものを上記式(8)のような時間波形となるFFTウィンドウタイミングでFFT処理を行うことによりパケット信号先頭部のシンボルとデータシンボルの位相差を除去する。
【0084】
本発明の第3の実施形態のOFDM通信システムの受信装置の回路構成について説明する。図10に本発明の第3の実施形態の受信装置のブロックの回路構成の1例を示す。また、図9および図2と同一構成部分には同一符号を付している。上記本発明の第1の実施形態の受信装置の各ブロックにおける動作の説明を参照しながら説明を行う。
【0085】
周波数オフセット検出部104より出力される信号は、上記動作説明における周波数オフセットfcarrieroffsetC1である。クロックオフセット検出部110では、上記式(6)の左辺の分母項であるローカルの発振器の周波数 の逆数をROM1に記憶しており、使用するローカルの発振器の周波数に応じた値をROM1より出力し、乗算器2において周波数オフセットC1と乗算する。乗算器2の出力として上記式(6)の右辺項であるクロックオフセット比fclkoffset/fTxclkC2が出力され、FFTウィンドウタイミングオフセット検出部113に入力される。FFTウィンドウタイミングオフセット検出部113では、上記式(7)の左辺の分子項であるFFTウィンドウタイミングオフセットΔtを算出する。システム制御部109からデータシンボルのパケット信号先頭部の既知パターンからの時間間隔tを出力する。乗算器3においてクロックオフセット比C2と時間間隔を乗算し、FFTウィンドウタイミングオフセットC3を出力し、FFTウィンドウタイミング検出部106に入力する。FFTウィンドウタイミング検出部106では、FFTウィンドウタイミングオフセット検出部113の出力であるFFTウィンドウタイミングオフセットC3を元に、FFTウィンドウタイミングの補正を行う。
【0086】
以上、本発の各実施の形態によるOFDM受信装置によれば、FFTウィンドウタイミングオフセットによる受信信号の誤り率の劣化を低減することができ、良好な通信品質を維持しつつ、一度に送受信可能なパケット長を増大することができる。また、従来の周波数オフセット検出回路を拡張し、FFTタイミングオフセットの補正を行う回路構成とすることにより、大幅な回路変更及び回路規模増大を避けることができる。
【0087】
以上、実施の形態に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。その他、種々の変更、改良、組み合わせが可能なことは当業者に自明であろう。例えば、ひとつの基準発振器を元に、ローカル発振器の周波数生成とOFDM信号の生成とを行う技術中には、必ずしも基準発振器が1個のみの場合に限定されるわけではなく、実際には基準クロックの同期がとれていれば、2以上の発振器を用いている技術も含まれる。
【0088】
【発明の効果】
本発明によれば、FFTウィンドウタイミングオフセットによる受信信号の誤り率の劣化を低減することができ、良好な通信品質を維持しつつ、一度に送受信可能なパケット長を増大することができる。また、従来の周波数オフセット検出回路を拡張し、FFTタイミングオフセットの補正を行う回路構成とすることにより、大幅な回路変更及び回路規模増大を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のOFDM通信システムの受信装置の概略構成を示す要部ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の受信装置のブロックの回路構成例を示す図である。
【図3】本発明の受信装置の位相差補正部のROM1に記憶する値の1例を示す説明図である。
【図4】本発明の受信装置の位相差補正部のROM4に記憶する値の1例を示す説明図である。
【図5】本発明の受信装置の位相差補正部のROM7、ROM8に記憶する値の概略例を示す説明図である。
【図6】本発明の受信装置の位相差補正部のROM7、ROM8に記憶する値の具体例を示す説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の位相差補正部の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態の位相差補正部の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施形態のOFDM通信システムの受信装置の概略構成を示す要部ブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施形態の受信装置のブロックの回路構成の1例を示す図である。
【図11】従来のOFDM通信システムのパケットフォーマットの一例を示す模式図である。
【図12】受信信号の伝搬路変動補償を示す動作説明図である。
【図13】パケット内のデータシンボル位置とFFTウィンドウタイミングのオフセットとデータシンボルの位相差の関係を示した説明図である。
【図14】本発明の想定するシステムの基準発振器の動作の概略を示す要部ブロック図である。
【図15】パケット信号先頭部のシンボルとデータシンボルのFFT処理により検出される位相を表す説明図である。
【図16】従来のOFDM通信システムの受信装置の概略構成を示す要部ブロック図である。
【符号の説明】
S1:高周波信号
S2:アナログベースバンド信号
S3:デジタルベースバンド信号
S4:周波数オフセット除去ベースバンド信号
S5:周波数軸ベースバンド信号
S5.1:周波数軸ベースバンド信号I相
S5.2:周波数軸ベースバンド信号Q相
S6:復調信号
S7:位相差除去後周波数軸信号
S7.1:位相差除去後周波数軸信号I相
S7.2:位相差除去後周波数軸信号Q相
C1:周波数オフセット
C2:クロックオフセット比
C3:FFTウィンドウタイミングオフセット
C4:位相差
1、4、7、8:ROM
2、3、5、10、11、12、13:乗算器
6:コントローラ
9:符号反転部
14、15:加算器
100:ローカルの発振器
101:乗算器
102:A/D変換器
103:相関検出部
104:周波数オフセット検出部
105:周波数オフセット補正部
106:FFTウィンドウタイミング検出部
107:FFT部
108:復調部
109:システム制御部
110:クロックオフセット検出部
111:位相差検出部
112:位相差補正部
113:FFTウィンドウタイミングオフセット検出部
1000:RF部
1001:BB部
Claims (20)
- ひとつの基準発振器を元に、ローカル発振器の周波数生成とOFDM信号の生成とを行うOFDM受信機において、
前記基準発振器のオフセットからクロックオフセットを算出するクロックオフセット算出手段と、
該クロックオフセット算出手段により算出されたクロックオフセットを元に、FFTウィンドウタイミングオフセットを算出するFFTウィンドウタイミングオフセット算出手段と、
該FFTウィンドウタイミングオフセット算出手段により算出されたFFTウィンドウタイミングオフセットを元に、FFTウィンドウタイミングの設定を調整するFFTウィンドウタイミング調整手段と、を備えたことを特徴とするOFDM受信機。 - ひとつの基準発振器を元に、ローカル発振器の周波数生成とOFDM信号生成とを行うOFDM受信機において、
前記基準発振器のオフセットからクロックオフセットを算出するクロックオフセット算出手段と、
FFTウィンドウタイミングを検出するFFTウィンドウタイミング検出手段と、
前記FFTウィンドウタイミング検出手段において検出されたFFTウィンドウタイミングに基づいて、ベースバンド信号に対してFFT処理を行い、時間軸信号から周波数軸信号に変換し周波数軸信号を出力するFFT部と、
前記クロックオフセット算出手段により算出されたクロックオフセットと、システム制御部より出力されるパケット信号先頭部のシンボルとデータシンボルの時間間隔を元に、データシンボルのパケット信号先頭部のシンボルとの位相差を算出する位相差算出部と、
前記位相差算出部において算出されたデータシンボルのパケット信号先頭部のシンボルとの位相差を元に、前記周波数軸信号に対して位相差の除去を行う位相差補正手段と、を備えたことを特徴とするOFDM受信機。 - 前記基準発振器オフセットの算出手段として、
前記ローカル発振器の周波数オフセットを検出する周波数オフセット検出手段と、
該周波数オフセット検出手段により検出した前記ローカル発振器の周波数オフセットを用いて、前記基準発振器のオフセットを算出する基準発振器オフセット算出手段と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のOFDM受信機。 - 前記基準発振器オフセットの算出手段として、
前記ローカル発振器の周波数を固定として設定した値と、検出した前記ローカル発振器の周波数オフセットとを用いて前記基準発振器のオフセットを算出する手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のOFDM受信機。 - 前記基準発振器オフセットの算出手段として、
OFDM信号の受信時に用いた前記ローカル発振器の周波数の値と、検出した前記ローカル発振器の周波数オフセットと、を元に前記基準発振器のオフセットを算出する手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のOFDM受信機。 - 前記FFTウィンドウタイミングオフセット算出手段として、
既知の信号からのデータ信号の時間間隔情報であるシンボル間隔と、クロックオフセットと、を元にFFTウィンドウタイミングオフセットを算出する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のOFDM受信機。 - 前記位相差補正手段として、
前記位相差算出手段において算出した信号の位相差の絶対値が設定した判定値を超えた場合、前記設定した信号の位相差を用いて信号の位相を補正する手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のOFDM受信機。 - 前記位相差補正手段として、
前記位相差算出手段において算出した信号の位相差の絶対値を用いて信号の位相差の補正回数を算出する手段と、
前記位相差の補正回数を元に、固定の信号の位相差の補正値を用いて繰り返し信号の位相を補正する手段と、を備えたことを特徴とする請求項2に記載のOFDM受信機。 - ひとつの基準発振器を元に、ローカル発振器の周波数生成とOFDM信号の生成とを行うOFDM受信機において、
前記基準発振器のオフセットからクロックオフセットを算出するクロックオフセット算出手順と、
前記クロックオフセットを元に、FFTウィンドウタイミングオフセットを算出するFFTウィンドウタイミングオフセット算出手順と、
算出したFFTウィンドウタイミングオフセットを元に、FFTウィンドウタイミングの設定の調整を行うFFTウィンドウタイミング調整手順と、を備えたことを特徴とするOFDM復調方法。 - ひとつの基準発振器を元に、ローカル発振器の周波数生成とOFDM信号生成を行うOFDM受信機において、
前記基準発振器のオフセットからクロックオフセットを算出するクロックオフセット算出手順と、
FFTウィンドウタイミングを検出するFFTウィンドウタイミング検出手順と、
前記FFTウィンドウタイミング検出手順において検出されたFFTウィンドウタイミングに基づいて、ベースバンド信号に対してFFT処理を行い、時間軸信号から周波数軸信号に変換し周波数軸信号を出力する手順と、
前記クロックオフセット算出手順により算出されたクロックオフセットと、システム制御部より出力されるパケット信号先頭部のシンボルとデータシンボルの時間間隔を元に、データシンボルのパケット信号先頭部のシンボルとの位相差を算出する位相差算出手順と、
前記位相差算出手順において算出されたデータシンボルのパケット信号先頭部のシンボルとの位相差を元に、前記周波数軸信号に対して位相差の除去を行う位相差補正手順と、を備えたことを特徴とするOFDM復調方法。 - 基準発振器オフセットの算出手順として、
ローカル発振器の周波数オフセットを検出する周波数オフセット検出手順と、
検出したローカル発振器の周波数オフセットを用いて、基準発振器のオフセットを算出する基準発振器のオフセット算出手順とを備えたことを特徴とする請求項9又は10に記載のOFDM復調方法。 - 基準発振器オフセット算出手順として、
ローカル発振器の周波数を固定として設定した値と、検出したローカル発振器の周波数オフセットと、を用いて基準発振器のオフセットを算出する手順を備えたことを特徴とする請求項9又は10に記載のOFDM復調方法。 - 基準発振器オフセット算出手順として、
OFDM信号の受信時に用いたローカル発振器の周波数の値と、検出したローカル発振器の周波数オフセットと、を用いて基準発振器のオフセットを算出する手順を備えたことを特徴とする請求項9又は10に記載のOFDM復調方法。 - 前記FFTウィンドウタイミングオフセット算出手順として、
既知信号とデータ信号の時間間隔情報であるシンボル間隔と、クロックオフセットと、を用いてFFTウィンドウタイミングオフセットを算出する手順を備えたことを特徴とする請求項9に記載のOFDM復調方法。 - 前記位相差補正手順として、
前記位相差算出手順において算出した信号の位相差の絶対値が設定した判定値を超えた場合、設定した信号の位相差で信号の位相を補正する手順を備えたことを特徴とする請求項10に記載のOFDM復調方法。 - 前記位相差補正手順として、
前記位相差算出手順において算出した信号の位相差の絶対値を用いて信号の位相差の補正回数を算出する手順と、
前記位相差の補正回数を元に、固定の信号の位相差の補正値を用いて繰り返し信号の位相を補正する手順とを備えたことを特徴とする請求項10に記載のOFDM復調方法。 - 前記位相差補正手順として、
前記位相差算出手順において算出したサブキャリア毎の位相差の中で、最もサブキャリア周波数の絶対値の大きいサブキャリアを用いて、設定した判定値に達したか否かの判定を行う手順を備えたことを特徴とする請求項10に記載のOFDM復調方法。 - 請求項9から請求項17までのいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのソフトウェア。
- 請求項9から請求項17までのいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのソフトウェアを記録した、コンピュータ読み取り可能な情報記録媒体。
- 請求項9から請求項17までのいずれか1項に記載の方法を実行させるための手順を記録した記録部を備えたOFDM受信機。
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