JP4153279B2 - 1,5−d−アンヒドロフルクトースで修飾された小麦グルテンまたはグリアジンの製造法および、その食品用乳化剤としての使用 - Google Patents
1,5−d−アンヒドロフルクトースで修飾された小麦グルテンまたはグリアジンの製造法および、その食品用乳化剤としての使用 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小麦グルテンまたはグリアジンと1,5−D−アンヒドロフルクトースとの反応生成物、その製造法および乳化剤としての用途に関する。さらに詳しくは、水溶性に乏しく、利用上難点のある小麦グルテン、あるいはその成分であるグリアジンを1,5−D−アンヒドロフルクトースと反応せしめて乳化性に優れた両者の反応生成物、その製造法および食品乳化剤としての用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
小麦グルテンの利用拡大を目的として、小麦グルテンに様々な処理を施して、新しい用途へ利用しようとする試みが盛んに行われている。例えば温和な条件下で、小麦グルテンを酸およびアルカリ加水分解することにより乳化性、溶解性を改良し、肉製品の添加剤として用いることが知られている。さらに、酸・アルカリによる加水分解と酸化剤・還元剤を組み合わせて乳化性、溶解性、分散性を改良したり、酸加水分解後に酵素処理をして起泡性を改良したりすることが知られている。
【0003】
小麦グルテンを塩酸や硫酸などの鉱酸またはアルカリ溶液に分散して加水分解する従来の方法では、酸やアルカリといった化学物質を使用したり、あるいは鉱酸中での小麦グルテンの分散性の悪さにより反応が不均一化したりするという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、小麦グルテンまたはその主成分の1つであるグリアジンと1,5−D−アンヒドロフルクトースとの反応生成物を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、上記反応生成物を1,5−D−アンヒドロフルクトースと小麦グルテンまたはグリアジンとの均一な反応により製造する方法を提供することにある。
【0006】
本発明のさらに他の目的は、小麦グルテンあるいはグリアジンの乳化性、分散性および溶解性が改善された上記反応生成物からなる食品乳化剤を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、小麦グルテンまたはグリアジンを1,5−D−アンヒドロフルクトースと反応せしめて小麦グルテンまたはグリアジンのアミノ基に1,5−D−アンヒドロフルクトースを化学結合させることを特徴とする、1,5−D−アンヒドロフルクトースがアミノ基に化学結合した小麦グルテンまたはグリアジンの製造法によって達成される。
【0009】
また、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、1,5−D−アンヒドロフルクトースがアミノ基に化学結合した小麦グルテンまたはグリアジンによって達成される。
【0010】
さらに、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第3に、1,5−D−アンヒドロフルクトースがアミノ基に化学結合した小麦グルテンまたはグリアジンからなる食品乳化剤によって達成される。
【0011】
【発明の好ましい実施態様】
以下、本発明について詳述する。まず、本発明の製造法について説明する。
【0012】
本発明で用いられる1,5−D−アンヒドロフルクトースは澱粉やグリコーゲンをα−1,4−グルカンリアーゼで分解して得られる。
【0013】
α−1,4グルカンリアーゼは海藻やきのこに含まれることが報告されている。本発明者らは海藻オゴノリよりα−1,4−グルカンリアーゼを精製し、この酵素を澱粉(例えば、ワキシーコーンスターチ)に作用させ1,5−D−アンヒドロフルクトースを合成した。この1,5−D−アンヒドロフルクトースを精製し純度99%以上の1,5−D−アンヒドロフルクトースとして用いた。
【0014】
本発明で用いられる小麦グルテンおよびグリアジンは市販品として入手できる。小麦グルテンは小麦粉を少量の水で固く練り、次いで多量の水中で練るとデンプンが水中に分散除去され、粘着性の固まりとして得られる。また、グリアジンは、小麦粉またはグルテンをエタノールまたは含水エタノールで抽出し、得られた抽出液を濾過、濃縮してシロップを得、これを水冷した希薄食塩水中に注入し攪拌すると沈殿として得られる。
【0015】
小麦グルテンまたはグリアジンと1,5−D−アンヒドロフルクトース(以下AFということがある)の反応は、好ましくは、水性媒体中で実施される。水性媒体としては、水あるいは場合により水と水混和性有機媒体例えばアルコールからなる混合媒体が用いられる。反応温度は例えば0〜100℃、好ましくは20〜65℃であり、反応時間は例えば1〜100時間である。また、小麦グルテンまたはグリアジンとAFの割合は、例えば小麦グルテンまたはグリアジン100重量部当り1〜80重量部である。反応により、AFが小麦グルテンまたはグリアジンのアミノ基に化学結合した反応生成物が得られる。この反応生成物は反応終了後例えば反応系を凍結乾燥することにより得ることができる。
【0016】
小麦グルテンまたはグリアジンに対するAFの化学結合量を、以下の実施例において修飾率(%)として表示した。また、以下において、AFを化学結合した小麦グルテンを修飾小麦グルテンと、またAFを化学結合したグリアジンを修飾グリアジンということがある。
【0017】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、化学物質を用いずに温和な条件下で優れた乳化性、溶解性を有する修飾小麦グルテンあるいは修飾グリアジンを得ることができる。本発明の修飾小麦グルテンおよび修飾グリアジンは、種々の食品への応用が可能で、食品品質改良剤等としての用途に利用することができ、特に食品用乳化剤として有用である。
【0018】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳述する。本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0019】
実施例1
小麦粉より調製したグルテン100mgにエタノール5mlを添加し攪拌後、10分間放置して両者をよくなじませた。その後pH7.4の0.5Mリン酸緩衝液2.5mlに溶解したAF5gを添加し、よく攪拌し、30℃で12時間および72時間反応させた。反応終了後、小麦グルテンを凍結乾燥により粉末化し、修飾小麦グルテンとした。修飾グルテンの乳化性、溶解性を表1に示す。
【0020】
なお、修飾率、乳化性、溶解性は次のようにして測定し評価した。
修飾率(%):蛋白の修飾率は蛋白中の遊離のアミノ基を定量することによって求めた。すなわち、pH7.5の0.2Mリン酸緩衝液1ml、100mg/mlTNBS(トリニトロベンゼンスルホン酸)50μl、水950μl、蛋白質10mgを混和後、50℃で4時間加温し、50%硫酸8mlを加えさらに1時間加温した。それを1mlとり、50%硫酸3mlを加えたものについて400nmの吸収を測定して遊離のアミノ基量を算出した。
【0021】
そしてAFと反応する前の蛋白中の遊離のアミノ基量に対する、反応後の遊離のアミノ基量の割合を修飾率(%)とした。
乳化性:pH7.4の0.1Mリン酸緩衝液−コーン油混合液(3:1)に対し、修飾蛋白を1.5重量%になるように添加し、ホモミキサーを用いて、8,000rpm.2分間混合後、直ちに乳化液を目盛り付試験管に移し室温に放置して1時間後に乳化している白濁部分の容量を測定した。評価は未修飾のものについての容量を1として相対割合により行った。
溶解性:修飾蛋白を10倍量の水に懸濁し、1時間攪拌を続けた後、8,000rpm.10分間遠心分離し、上清の蛋白量をBio−Rad 社のProtein assay試薬で測定した。評価は未修飾のものについての蛋白量を1として相対量により行った。
【0022】
【表1】
【0023】
実施例2
グリアジンは小麦粉より調製したグルテンから、エタノール可溶画分を抽出し、乾燥させたものを用いた。グリアジン100mgにエタノール5mlを添加し攪拌後、10分間放置して両者をよくなじませた。その後pH7.4の0.5Mリン酸緩衝液2.5mlに溶解したAF5gを添加し、よく攪拌し、30℃で72時間修飾させた。修飾反応終了後、グリアジンを凍結乾燥により粉末化し、修飾グリアジンとした。修飾グリアジンの乳化性、溶解性を表2に示す。
【0024】
なお、乳化性、溶解性は実施例1と同様に測定し評価した。
【0025】
【表2】
【0026】
実施例3 サラダ用乳化ドレッシング
食酢100ml、サラダ油300ml、塩3gに対して、実施例1で製造した修飾小麦グルテン(72時間反応のもの)8gを添加し、ホモジナイザーで6,000rpm、2分間混合後、直ちに乳化液100mlをメスシリンダーに移し、室温にて1時間放置後、乳化した濁り液の容量を測定することで乳化性の評価を行った。比較として、未修飾の小麦グルテンを用いたものおよびグルテン無添加のものについても同様に行った。
【0027】
評価は無添加のものについての乳化部分の容量を1として相対割合により行った。結果を表3に示す。
【0028】
【表3】
Claims (4)
- 小麦グルテンまたはグリアジンを1,5−D−アンヒドロフルクトースと反応せしめて小麦グルテンまたはグリアジンのアミノ基に1,5−D−アンヒドロフルクトースを化学結合させることを特徴とする、1,5−D−アンヒドロフルクトースがアミノ基に化学結合した小麦グルテンまたはグリアジンの製造法。
- 反応を0〜100℃の温度で行う請求項1に記載の方法。
- 1,5−D−アンヒドロフルクトースがアミノ基に化学結合した小麦グルテンまたはグリアジン。
- 1,5−D−アンヒドロフルクトースがアミノ基に化学結合した小麦グルテンまたはグリアジンからなる食品乳化剤。
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