JP4153126B2 - スクリュー式脱水機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスクリュー式脱水機に関し、特に、下水処理場等より排出される汚泥等の含水率の高い処理物を効率的に脱水するようにしたスクリュー式脱水機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
下水処理場の汚水や汚泥中に含まれるごみはスクリーニングにより除去したままでは含水率が高く、またヘドロ状の汚物が付着することから、そのままでは処理処分が困難である。
そこで、このような含水率の高い処理物を連続的に脱水するものとしてスクリュー式脱水機がある。
このスクリュー式脱水機は、筒状のケーシングの内部にスクリューを配設し、このスクリューの先端側に設けた背圧板により、ケーシング内に導入された処理物を加圧しながら脱水を行うように構成されている。
この背圧板は、ケーシング先端の排出口付近に配設された開閉可能な蓋からなり、油圧シリンダやばね等によって、この蓋を排出口に所定圧力で押しつけることにより脱水のための加圧を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の脱水機においては、加圧手段として油圧シリンダ式、ばね式のいずれの方式を採用した場合でも、加圧して開閉する蓋には、ヒンジやガイド等の機構が付随し、これらの機構に汚泥や汚泥に含まれるごみ等が絡みつきやすいことから、しばしば脱水機を点検清掃する必要があり、また、これらの機構は、湿度汚物から発生する腐食性ガス雰囲気に晒されることなるので腐食防止対策を要するという問題があった。
【0004】
本発明は、上記従来のスクリュー式脱水機の有する問題点に鑑み、ヒンジやガイド等の機械的な可動部や摺動部をなくして処理物の噛み込みを防ぎ、メンテナンスの容易なスクリュー式脱水機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のスクリュー式脱水機は、筒状のケーシングの内部にスクリューを配設し、該スクリューの先端側に設けた抵抗体により、前記ケーシング内に導入された処理物を加圧しながら脱水を行う脱水機において、前記抵抗体を、ケーシングの排出部より小さな開口部を形成し設定以上の圧力を受けた場合、弾性的に湾曲変形することにより開口部を拡大して過負荷を逃がすことができるようにしたドーナツ形の弾性体によって構成し、かつ、前記弾性体の開口部を、ケーシングの排出部の中心に対して上方に偏心して形成したことを特徴とする。
【0006】
このスクリュー式脱水機によれば、スクリューにより移送された処理物は、抵抗体の開口部を通過する際の抵抗によって加圧されながら脱水される。
脱水後の処理物は、抵抗体の開口部から順次排出されるが、この際、ブリッジングの発生によって処理物の体積が異常に増大する事態が生じたとしても、抵抗体の開口部が弾性変形により拡大することにより自動的に処理物を逃がし、排出部の閉塞を防止することができる。
【0007】
そして、弾性体の開口部を、ケーシングの排出部の中心に対して上方に偏心して形成することにより、離脱水の混入を防止して、処理物の脱水を確実に行うことができる。
【0008】
また、ケーシングの先端部の内周面に、処理物のスクリューとの共廻りを抑制する凹凸を設けることができる。
【0009】
これにより、スクリューの移送効率を高めて加圧力を上げ、処理物の脱水効率を向上させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のスクリュー式脱水機の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図において1は、スクリュー式脱水機のケーシングで、架台13にて所定高さにほぼ水平になるようにして支持されている。
【0012】
このケーシング1の基部側には、投入ホッパ2が形成されており、下水処理場等から回収された汚泥ごみ等の含水率の高い処理物を投入するように構成されている。 また、ケーシング1内には、先端部の排出部8付近に形成される脱水ゾーン12を除いて、ほぼ全長に亘ってスクリュー3が配設されている。
【0013】
スクリュー3は、図示の実施例では、全長に亘って同じピッチであるが、例えば、スクリュー3の回転により搬送する処理物が、特に脱水ゾーン12内で加圧されるように、排出部8側のピッチを小さくすることもできる。
なお、ケーシング1は離脱水の排水を確実に行うため、脱水された処理物に再びこの離脱水が吸収されないように、排出部8よりも投入ホッパ2側を低くなるように傾斜して設置することもできる。
【0014】
脱水ゾーン12の区間は、含水率の高い汚泥等の処理物を効率的に加圧脱水するのに適した長さを有するようにして定める。
また、スクリュー3の一端、例えば、投入ホッパ2側端部をケーシング1外に設けた原動機4にて回転するように構成する。
スクリュー3の回転速度は、汚泥物質等を含む高含水率のごみ等の脱水に適したものとなるようにし、定速あるいは可変速で駆動するものとする。
そして、投入ホッパ2を設けた位置のケーシング1の底面には、多数の水抜き孔11が穿設されており、ケーシング1内導入された処理物や移送中の処理物の脱水が行えるように構成されている。
【0015】
一方、本実施例の脱水機では、スクリュー3の先端側に設けた抵抗体5によって、スクリュー3により移送される処理物を加圧しながら脱水を行うように構成されている。
この抵抗体5は、ケーシング1の排出部8より小さな開口面積の開口部としての孔51を備えたドーナツ形をし、ケーシング1の排出部8に取り付けられている。
【0016】
そして、この抵抗体5は、設定以上の圧力を受けた場合、弾性的に湾曲変形することにより孔51を拡大して過負荷を逃がすことができるように、ゴム、合成樹脂等の弾性板によって構成する。
また、本実施例において、抵抗体5には、離脱水の混入を防止して、処理物の脱水効率を向上させるために、開口部としての孔51が、ケーシング1の排出部8の中心O1に対して中心よりやや上方に偏心(孔51の中心O2)して穿設されている。
この抵抗体5の孔51は、処理物の質に適した大きさとし、必要に応じて、孔径の異なるものと交換することができる。
【0017】
抵抗体5は、ケーシング1端部に直接取り付けることも可能であるが、この実施例では、図示のように補助ケーシング6を、ケーシング1と同一の延長軸線上となるようにして接続し、補助ケーシング6の先端に取り付けるようにしている。
なお、ケーシング1と補助ケーシング6の接続は、フランジ14、61を介して行い、また、抵抗体5の取付は、補助ケーシング6端に取り付けた固定取付台7を介して行うようにしている。この固定取付台7は、フランジのように補助ケーシング6の端部に固定されており、この固定取付台7と可動取付台71との間にドーナツ形の抵抗体5の外周部分を挟むようにしてボルトにて固定するようにする。
【0018】
また、脱水ゾーン12内の処理物がスクリュー3と共廻りをしないようにするため、図5に示すように、脱水ゾーン12の内周面、例えば、補助ケーシング6の内周面に溝62aを複数刻設して凹凸形状62を形成している。
このように形成した凹凸形状62の溝幅W、溝深さD、ピッチP等は、処理物のスクリュー3との廻り止めが確実に行えるようにして定めることができる。
【0019】
以下、本実施例の脱水機の作用について説明する。
スクリュー3を回転駆動しながら、下水処理場等から回収した高含水率の処理物を投入ホッパ2内に投入すると、処理物はスクリュー3の回転によってケーシング1内をその排出部8に向かって移送される。
この時、離脱水はケーシング1底面の排水孔11より排水され、ある程度脱水された処理物はスクリュー3により移送されて排出部8に達する。
排出部8には抵抗体5が取り付けられており、排出部8の内径よりも小径の孔51から処理物は排出される。この内径差により処理物が加圧され、さらに脱水される。
離脱水は、脱水ゾーン12が脱水された処理物で閉塞されているため、処理物とは逆方向の投入ホッパ2側に流れて排水孔11から排水される。
【0020】
このように、脱水された処理物のみが抵抗体5の孔51を通過してケーシング1の外へ排出される。
投入ホッパ2に投入される処理物は、スクリュー3により順次移送され、脱水ゾーン12で連続して加圧され脱水される。
このとき、脱水ゾーン12に充満した処理物の加圧力が所定値以上に達すると、抵抗体5が自動的に弾性変形して孔51が拡大し、設定以上の過負荷を逃がして、排出部8の閉塞を防止することができる。
そして、抵抗体5には、ヒンジやガイド等の機械的な可動部や摺動部がないことから、処理物の噛み込みや絡み付きがなく、これにより、腐食防止対策が容易になることと相俟って、メンテナンスが著しく容易に行うことができる。
【0021】
以上、本発明のスクリュー式脱水機の一実施例を説明したが、このほか、投入ホッパ2の上方に散水ノズル等を配設して、処理物を投入する際に、同時に洗浄用の水を散水若しくは流入させることも可能である。
これにより、ケーシング1内でスクリュー3が回転するときに、処理物はこの洗浄水とスクリューの回転とにより自然に洗浄され、混入汚物等は洗い落とされることから、洗浄後の処理物のみを移送して加圧脱水することができる。
【0022】
さらに、抵抗体5の開口部は、前記孔51に限定するものではなく、例えば、孔51の周囲に放射状に切り込みを形成して拡径しやすくしたり、あるいは複数の孔やスリットによって開口部を構成することも可能である。
【0023】
【発明の効果】
本発明のスクリュー式脱水機によれば、スクリューにより移送された処理物は、抵抗体の開口部を通過する際の抵抗によって加圧されながら脱水される。
脱水後の処理物は、抵抗体の開口部から順次排出されるが、この際、ブリッジングの発生によって処理物の体積が異常に増大する事態が生じたとしても、抵抗体の開口部が弾性変形により拡大することにより自動的に処理物を逃がし、排出部の閉塞を防止することができる。
そして、弾性体からなる抵抗体には、ヒンジやガイド等の機械的な可動部や摺動部がないことから、処理物の噛み込みや絡み付きがなく、これにより、腐食防止対策が容易になることと相俟って、メンテナンスを著しく容易に行うことができる。
【0024】
そして、弾性体の開口部を、ケーシングの排出部の中心に対して上方に偏心して形成することにより、離脱水の混入を防止して、処理物の脱水を確実に行うことができる。
【0025】
また、ケーシングの先端部の内周面に、処理物のスクリューとの共廻りを抑制する凹凸を設けることにより、スクリューの移送効率を高めて加圧力を上げ、処理物の脱水効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のスクリュー式脱水機の実施の形態を示す縦断正面図である。
【図2】 同スクリュー式脱水機の投入ホッパ位置の拡大断面図である。
【図3】 同スクリュー式脱水機の脱水ゾーン位置の拡大断面図である。
【図4】 図1のA−A線断面図である。
【図5】 図1のB−B線断面図である。
【図6】 図1のC−C線断面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 投入ホッパ
3 スクリュー
4 原動機
5 抵抗体
51 孔(開口部)
6 補助ケーシング
7 取付台
8 排出部

Claims (2)

  1. 筒状のケーシングの内部にスクリューを配設し、該スクリューの先端側に設けた抵抗体により、前記ケーシング内に導入された処理物を加圧しながら脱水を行う脱水機において、前記抵抗体を、ケーシングの排出部より小さな開口部を形成し設定以上の圧力を受けた場合、弾性的に湾曲変形することにより開口部を拡大して過負荷を逃がすことができるようにしたドーナツ形の弾性体によって構成し、かつ、前記弾性体の開口部を、ケーシングの排出部の中心に対して上方に偏心して形成したことを特徴とするスクリュー式脱水機。
  2. ケーシングの先端部の内周面に、処理物のスクリューとの共廻りを抑制する凹凸を設けたことを特徴とする請求項1記載のスクリュー式脱水機。
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