JP4152872B2 - 被削性に優れた冷間加工用析出硬化型ステンレス鋼 - Google Patents

被削性に優れた冷間加工用析出硬化型ステンレス鋼 Download PDF

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Description

本発明は、冷間加工用析出硬化型ステンレス鋼に関し、特に船舶用プロペラシャフト、ドライブシャフト、ステアリング、プラスチック金型、繊維ノズル等に使用される被削性に優れた冷間加工用析出硬化型ステンレス鋼に関するものである。
従来、SUS630系のマルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼は、船舶用プロペラシャフト、船外機用ドライブシャフト、ステアリング、水門用シャフト、バルブ、建築用ボルト、およびプラスチック金型等に幅広く用えられている。上記した用途に使用される部品は、強度、耐食性、靱性が必要なため、これらを兼備したマルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼は好適な材料の一つに挙げられる。しかしながら、SUS630系のマルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼は、固溶化熱処理状態で硬いマルテンサイト組織であることから、被削性、冷鍛性などの二次加工性が悪いことが欠点である。Niを約4%含有し、Ms点が常温以上にあるため、冷却速度をかなり遅くしても常温までの冷却中にマルテンサイト変態を起こして硬化することが、工業的な完全焼なましを困難にし、二次加工性を阻害している。このようなことから、マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼は、代表的な難加工材に挙げられる。
このように、SUS630系のマルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼は、強靱性に富み強度と耐食性を兼備した材料ではあるが、しかし、固溶化熱処理状態で硬さが高く、冷鍛等の冷間加工性や、切削等の機械加工性が極めて悪いため、これらを改善した材料が望まれているのが実状である。その例として、例えば特開平10−306351号公報(特許文献1)に開示されているように、O:0.006〜0.0250%を添加することにより、固溶化熱処理状態における被削性を改善したSUS630系ステンレス鋼が提案されている。
また、特許第2879930号公報(特許文献2)には、MnSの分散により、耐錆性の優れた快削性ステンレス系金型用鋼が提案されている。また、特公昭58−18426号公報(特許文献3)は、MnSeの分散により、鋼中のδフェライト量を10%以内とした析出硬化型ステンレス鋼が提案されている。また、特開2002−332539号公報(特許文献4)は、Ti及び/又はZrと、Cと、S、Se及びTeの少なくとも、いずれかを含有する化合物相を分散することにより、快削性を付与する方法が提案されている。さらに、特許第3425128号公報(特許文献5)は、オーステナイト相に(Ti,Zr)炭硫化物系介在物を分散させたオーステナイトステンレスが提案されている。
特開平10−306351号公報 特許第2879930号公報 特公昭58−18426号公報 特開2002−332539号公報 特許第3425128号公報
しかしながら、特許文献1ではOを添加し、固溶化熱処理状態における被削性を改善したものであるが、Oの効果は一般的な硫化物系介在物(例えばMnS)ほどにも大きくなく、被削性改善の点において十分とはいえない。また、特許文献2ではMnSの分散により被削性は改善されるが、しかし、MnSは耐食性が低いため発銹の起点になりやすく、鋼材の加工方向に紡錘形に延伸するため、特に衝撃特性において異方性が生じやすい欠点がある。
また、特許文献3は、MnSeの分散によるものであるが、MnSの場合と同様に、被削性向上の効果はあるものの、耐食性、衝撃異方性を悪化させる。従って、マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼を構造用強度部材として使用する場合には、耐食性や靱性を犠牲にせざるを得ないMnSあるいはMnSeの分散による快削鋼化は最適とは言えない。また、特許文献4や特許文献5は、Ti及び/又はZrとCとS、SeおよびTeの少なくともいずれかを含有する化合物相、いわゆる、(Ti,Zr)炭硫化物系介在物を分散形成させているが、この(Ti,Zr)炭硫化物系介在物は、マトリックス相の数倍の硬さを有して非常に硬く被削性改善効果は小さいという問題がある。
上述したような問題を解消するために、発明者らは鋭意開発を進めた結果、本発明は、マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼の被削性を改善するために、C、Nを低減しつつNb、Tiを添加して炭窒化物として固定することにより、固溶化熱処理状態の硬さを下げて冷間加工性を向上させ、かつSを添加することにより、主にTiからなる硫化物を生成・分散させて被削性を改善するというものである。
その発明の要旨とするところは、
(1)質量%で、C:0.030%以下、Si:1.0%以下、Mn:0.4%以下、S:0.010〜0.050%、N:0.025%以下、Ni:3.0〜7.0%、Cr:13.0〜18.0%、Cu:1.0〜5.0%、Ti:0.05〜0.25%、Nb:0.10〜0.40%、ただし、Tieq=Ti+0.52Nb、Ceq=C+0.86Nとしたときに、Ceq:0.050以下、(Tieq−4Ceq)/S=2〜7 … (1)であり、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする被削性に優れた冷間加工用析出硬化型ステンレス鋼。
(2)前記(1)に記載の成分組成に加えて、Mo:2.0%以下、Co:2.0%以下の1種または2種を含有することを特徴とする被削性に優れた冷間加工用析出硬化型ステンレス鋼。
(3)前記(1)または(2)に記載の成分組成に加えて、V:0.40%以下、W:0.40%以下、Ta:0.40%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする被削性に優れた冷間加工用析出硬化型ステンレス鋼。
(4)前記(1)〜(3)に記載の成分組成に加えて、Se:0.10%以下、Te:0.050%以下、Ca:0.010%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする被削性に優れた冷間加工用析出硬化型ステンレス鋼。
(5)前記(1)〜(4)に記載の成分組成に加えて、Al:0.10%以下、B:0.010%以下、Mg:0.010%以下、REM:0.010%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする被削性に優れた冷間加工用析出硬化型ステンレス鋼。
(6)前記(1)〜(5)に記載の成分組成に加えて、O:0.050%以下、P:0.050%以下の1種または2種を含有することを特徴とする被削性に優れた冷間加工用析出硬化型ステンレス鋼にある。
以下、本発明について詳細に説明する。
上述したように、本発明では、マルテンサイト系析出硬化型ステンレス鋼の被削性を改善するために、TiとSを添加して主にTiからなる硫化物を生成・分散させて被削性を改善するというものである。Ti硫化物の特徴は、球〜楕円形で、鋼中に細かく分散し、高耐食で、かつ中程度の硬さであることにある。しかしながら、TiはSのみならずCやNとも新和性が強く、Ti炭窒化物を生成してSと結合するTiが十分残らないことがある。Ti炭窒化物の生成を抑制するには、あらかじめ精錬工程において極低C,N(例えば50ppm以下)まで十分な脱炭脱窒を行なわなければならず、長大な時間を必要としてコストアップの原因となる。
また、フリーなC,Nが存在する状態でTiとSを添加すると、Ti硫化物ではなく、硬いTi炭硫化物、Ti炭窒硫化物等が生成し、被削性改善効果が小さくなる。このように、従来、Ti硫化物を安定的に生成させることが出来なかった。そこで、本発明では、C、Nとの新和力は強いがSと結合しにくいNbに着目したものである。NbはTiと共にC、Nを炭窒化物として固定し、化学量論的に炭窒化物に吸収される量を超えたTiが、Sに対して、ある範囲にあるときに、快削性をもたらすTi硫化物を生成できることを見出したものである。
以下、本発明に係る成分組成の限定理由について説明する。
C:0.030%以下
Cは、通常は強度を高める元素であるが、本鋼種系の場合、強度は主に熱処理により析出するCuによって調整されるためCは特に必要でなく、逆に固溶化熱処理状態における硬さを上昇させたり、硬質の炭化物、炭窒化物、炭硫化物などを生成して加工性を悪化させるためなるべく少ない方が良い。ただし、0.030%まではTiおよびNbの固定により悪影響を抑えられることから、その上限を0.030%とした。
Si:1.0%以下
Siは、脱酸剤として有効であるが、しかし、1.0%を超えると耐食性が劣化し、固溶化熱処理後の硬さが上昇することから、その上限を1.0%とした。
Mn:0.4%以下
Mnは、Siと同様に、脱酸剤として有効であるが、しかし、0.40%を超えるとMn硫化物が生成して耐食性が劣化することから、その上限を0.40%とした。
S:0.010〜0.050%
Sは、被削性を改善する快削元素として有効である。しかし、0.010%未満ではその効果が十分でなく、また、0.050%を超える添加は、強度部材として使用される析出硬化型ステンレス鋼に期待される耐食性、靱性を劣化させることから、その範囲を0.010〜0.050%とした。
N:0.025%以下
Nは、Cと同様に強度を高める元素であるが、固溶化熱処理状態における硬さを上昇させるため加工性を低下させる。従って、その上限を0.025%とした。
Ni:3.0〜7.0%
Niは、本鋼種系にとって、耐食性を低下させずに高強度を得るために必要な基本元素であり、延靱性の向上にも効果がある。上記効果を十分に発揮するためには3.0%以上必要であるが、7.0%を超える添加は固溶化熱処理状態において残留オーステナイトが増加して析出硬化熱処理後の硬さが得られないことが多いから、その範囲を3.0〜7.0%とする。
Cr:13.0〜18.0%
Crは、表面に保護性の酸化被膜を形成し、耐食性を付与する基本元素であり、13.0%以上必要である。しかし、18.0%を超える添加は残留オーステナイトやδ−フェライトが増加する。従って、その範囲をCr:13.0〜18.0%とした。
Cu:1.0〜5.0%
Cuは、析出硬化熱処理で微細に分散析出して強度を高めるのに必要な元素である。そのためには、1.0%必要である。しかし、5.0%を超えると効果が飽和し、かつ熱間加工性が劣化するため、その範囲を1.0〜5.0%とする。
Ti:0.05〜0.25%
Tiは、本発明において最も重要な元素であり、Sと反応してTi硫化物を生成し、被削性を向上させる効果がある。そのためには、0.05%必要である。しかし、0.25%を超える添加は効果が飽和し靱性と熱間加工性を劣化させることから、その範囲を0.05〜0.25%とした。
Nb:0.10〜0.40%
Nbは、C,Nと反応して炭窒化物を生成し、冷間加工性を上昇させる効果がある。そのためには、0.10%必要である。しかし、過剰な添加は効果が飽和し熱間加工性を劣化させることから、その上限を0.40%とした。
Ceq:0.050以下
Ceq=C+0.86Nは、Nに対するCの原子量比が約0.86であることから、CとNの合計量をCで換算して示したパラメータである。この値が大きくなるにつれて固溶化熱処理硬さが上昇し加工性を害するので、その上限を0.050にした。
Tieq−4Ceq/S=2〜7
Nbに対するTiの原子量比は約0.52であることから、Tieq=Ti+0.52Nbは、TiとNbの合計量をTiに換算して示したパラメータである。TiやNbは、鋼中のC、Nと結合して、(Ti,Nb)(C,N)を生成する。Cに対するTiの原子量比が約4であることから、Tieq−4Ceqが0のとき、化学量論的にTiとNbが過不足なくCとNと結合して(Ti,Nb)(C,N)を生成すると考えられる。Tieq−4Ceqが正の値をとるときは、C、Nを固定するのに必要なTi、Nbを超えた余剰のTiまたはNb量を表している。
上記余剰のTiまたはNbは、Sと反応して硫化物を生成させるが、実際にはほぼTiのみが硫化物として析出する。すなわち、(Tieq−4Ceq)/Sは、実質的にSに対する剰余のTi(炭窒化物として吸収されるTi以外の残りのTi)の量を示しており、この値が2未満では硫化物中にMn等が高濃度で含有されてきて、Ti硫化物の特徴である高耐食かつ被削性を改善する効果が不十分で、この値が7を超えると余剰のTiが過剰になって靱性を劣化させる。
Mo:2.0%以下
Moは、耐食性および靱性を改善する元素であり、2.0%以下で効果を発揮する。しかし、2.0%を超えると固溶化熱処理後の硬さが上昇し、δフェライト生成により熱間加工性が劣化するため、その上限を2.0%とした。
Co:2.0%以下
Coは、Moと同様に、耐食性および靱性を改善する元素であり、2.0%以下で効果を発揮する。しかし、2.0%を超えると固溶化熱処理後の硬さが上昇し、冷間加工性が劣化するため、その上限を2.0%とした。
V:0.40%以下
Vは、耐食性を向上させる効果がある。そのためには、0.40%以下必要である。しかし、過剰な添加は熱間加工性を劣化させることから、その上限を0.40%とした。
W:0.40%以下
Wは、Vと同様に、耐食性を向上させる効果がある。そのためには、0.40%以下必要である。しかし、過剰な添加は熱間加工性を劣化させることから、その上限を0.40%とした。
Ta:0.40%以下
Taは、V、Wと同様に、耐食性を向上させる効果がある。そのためには、0.40%以下必要である。しかし、過剰な添加は熱間加工性を劣化させることから、その上限を0.40%とした。
Se:0.10%以下
Seは、被削性を改善する快削元素として有効である。そのためには、0.10%以下必要である。しかし、過剰な添加は熱間加工性を劣化させることから、その上限を0.10%とした。
Te:0.050%以下
Teは、Seと同様に、被削性を改善する快削元素として有効である。そのためには、0.050%以下必要である。しかし、過剰な添加は熱間加工性を劣化させることから、その上限を0.050%とした。
Ca:0.01%以下
Caは、Te、Seと同様に、被削性を改善する快削元素として有効である。そのためには、0.050%以下必要である。しかし、過剰な添加は熱間加工性を劣化させることから、その上限を0.050%とした。
Al:0.10%以下
Alは、熱間加工性を改善する元素として有効である。このためには、0.10%以下必要である。また、0.10%を超える添加をしても、その効果は飽和し二次酸化の恐れがあることから、その上限を0.10%とした。
B:0.010%以下
Bは、Alと同様に、熱間加工性を改善する元素として有効である。このためには、0.010%以下必要である。また、0.010%を超える添加をしても、逆に熱間加工性を悪化させることから、その上限を0.010%とした。
Mg:0.010%以下
Mgは、Al、Bと同様に、熱間加工性を改善する元素として有効である。このためには、0.010%以下必要である。また、0.010%を超える添加をしても、その効果は飽和することから、その上限を0.010%とした。
REM:0.010%以下
REMは、Al、B、Mgと同様に、熱間加工性を改善する元素として有効である。このためには、0.010%以下必要である。また、0.010%を超える添加をしても、その効果は飽和することから、その上限を0.010%とした。
O:0.050%以下
Oは、被削性を改善する快削元素として有効である。そのためには、0.050%以下必要である。しかし、過剰な添加は熱間加工性を劣化させることから、その上限を0.050%とした。 P:0.050%以下
Pは、被削性を改善する元素として添加することがある。このためには、0.050%以下必要である。また、0.050%を超える添加は、靱性を悪化させることから、その上限を0.050%とした。
以下、本発明について実施例によって具体的に説明する。
表1に示す化学成分組成の鋼を100kg真空溶解炉にて溶解した後、インゴットに鋳造し、鍛伸後、各種熱処理を行い、各種試験に供した。その結果を表2に示す。
(1)熱処理
(a)固溶化熱処理:1040℃−30min保持後水冷
(b)析出硬化熱処理:480、620℃−1h保持後空冷
(2)ドリル寿命試験
(a)角35mmに鍛伸後、固溶化熱処理を施したものについて、ドリル寿命試験を行なった。
(b)試験条件 ドリル:SKH51、φ5mm、ストレートシャンクツイストドリル 周速:15,20m/min
送り:0.03mm/rev
穿孔深さ:15mm
切削油:なし
寿命判定:折損または溶損により穿孔不能となるまで
(3)硬さ:φ20mmに鍛伸後、固溶化熱処理、析出硬化熱処理を施し、鍛伸方向に垂直な断面の中周部をHRCで測定した。
(4)シャルピー衝撃試験:角15mmに鍛伸後、固溶化熱処理、析出硬化熱処理を施し、鍛伸方向に平行に、角10×L55mmの2mmUノッチ試験片を作製し、常温にてシャルピー衝撃試験を行なった。
(5)冷間圧縮試験:φ20mmに鍛伸後、固溶化熱処理を施し、φ14×L21mmの冷間圧縮試験片を作成した。室温で長手方向に50%圧縮したときの変形抵抗測定および割れが発生するまでの圧縮率をみる限界据込性試験を行なった。
(6)耐食性:φ20mmに鍛伸後、固溶化熱処理、析出硬化熱処理を施し、φ12×L21mmの腐食試験片を作製した。試験は、孔食試験(6%塩化第二鉄、25℃−24h浸漬)による腐食度で評価した。
Figure 0004152872
Figure 0004152872
表1に示すように、No.1〜15は発明鋼であり、析出硬化型ステンレス鋼に期待される優れた強度、耐食性、靱性を有しつつ、低変形抵抗で耐限界割れに強い冷間加工性を持ちながら、ドリル寿命も飛躍的に改善されている。No.16〜31は比較鋼である。No.16はC量が多いため、固溶化硬さが高く冷間加工性が劣るのに加えて、Ti炭硫化物が生じ、ドリル寿命が劣っている。No.17はN量が多いため、固溶化硬さが高く冷間加工性が劣り、Ti窒化物が生じてドリル寿命が劣る。No.18はSi量が多く、固溶化硬さが高いため、ドリル寿命が悪い。
No.19はMn量が多く、(Mn,Ti)硫化物が生じているため、被削性がやや劣るのに加えて、耐限界割れや耐食性が劣っている。No.20はS量が少なく、ドリル寿命が短い。No.21は逆にS量が多く、靱性、耐限界割れおよび耐食性が劣っている。No.22のようにNi量が少ないとδ−フェライトが生じ、高硬さが得られず、靱性、耐限界割れ、耐食性も悪化する。No.23は逆にNi量が多く、残留オーステナイトが多量に生じているため、高硬さが得られない。No.24はCr量が少ないため、耐食性が低下している。
No.25のように逆にCr量が多いとδ−フェライトが生じ、硬さ、靱性、耐限界割れが劣り、耐食性も低い。No.26はCu量が少ないため析出硬化処理によっても高硬さが得られない。No.27はCu量が多いにも関わらずその量に見合うだけの高硬さにはなっておらず、析出硬化能が飽和していることを示唆している。No.28はTi量が不足した場合で、Ti硫化物ではなく、Mn硫化物が生じているため、ドリル寿命がやや短く耐食性が悪い。
No.29はTi量が過剰なケースで、H900時の靱性が著しく低下している。No.30はNbが不十分な場合であり、析出硬化が小さい。No.31のようにNbが過剰になると特性の向上がみられず効果が飽和していることを示している。No.32はSUS630であり、これと比較すると、本発明鋼は、硬さ、靱性、耐食性を犠牲にせずに、冷間加工性と被削性が改善されていることが明らかである。


特許出願人 山陽特殊製鋼株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.030%以下、
    Si:1.0%以下、
    Mn:0.4%以下、
    S:0.010〜0.050%、
    N:0.025%以下、
    Ni:3.0〜7.0%、
    Cr:13.0〜18.0%、
    Cu:1.0〜5.0%、
    Ti:0.05〜0.25%、
    Nb:0.10〜0.40%、
    ただし、Tieq=Ti+0.52Nb、Ceq=C+0.86Nとしたときに、
    Ceq:0.050以下、(Tieq−4Ceq)/S=2〜7 … (1)
    であり、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする被削性に優れた冷間加工用析出硬化型ステンレス鋼。
  2. 請求項1に記載の成分組成に加えて、Mo:2.0%以下、Co:2.0%以下の1種または2種を含有することを特徴とする被削性に優れた冷間加工用析出硬化型ステンレス鋼。
  3. 請求項1または2に記載の成分組成に加えて、V:0.40%以下、W:0.40%以下、Ta:0.40%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする被削性に優れた冷間加工用析出硬化型ステンレス鋼。
  4. 請求項1〜3に記載の成分組成に加えて、Se:0.10%以下、Te:0.050%以下、Ca:0.010%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする被削性に優れた冷間加工用析出硬化型ステンレス鋼。
  5. 請求項1〜4に記載の成分組成に加えて、Al:0.10%以下、B:0.010%以下、Mg:0.010%以下、REM:0.010%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする被削性に優れた冷間加工用析出硬化型ステンレス鋼。
  6. 請求項1〜5に記載の成分組成に加えて、O:0.050%以下、P:0.050%以下の1種または2種を含有することを特徴とする被削性に優れた冷間加工用析出硬化型ステンレス鋼。
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