JP4152667B2 - 排水管継手 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層階の建築物における上下の排水立て管の間に介在される排水管継手に関し、特に、胴部の内周面に、胴部から所定の横通路に連通可能な連通用開口が、設けられるとともに、上方から流下してくる排水がその横通路側へ逆流しないように、胴部の内周面側における連通用開口の上縁側に、逆流防止用庇部が、配設されている排水管継手に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
この種の排水管継手では、上下の排水立て管とそれぞれ接続可能な上接続部と下接続部とを上下端に配設させた略円筒状の胴部を備えるとともに、胴部の内周面側に、所定の横通路、例えば、排水機器からの排水用の横通路、に連通可能な連通用開口を、開口させていた。
【0003】
そして、胴部の内周面側における連通用開口の上縁側には、逆流防止用庇部が、配設される場合があった。この逆流防止庇部は、上方から流下してくる排水が、横通路側に逆流しないようにするために、配設されるものであった。ちなみに、連通用開口が、立て管側から流下する多量の排水を逆流させて閉塞され、その状態で、例えば、排水機器から排水が流れた場合には、排水機器側の排水トラップの封水が、排水機器からの排水と共に下接続部側に流れ、容易に、排水トラップの封水が破れてしまう。そして、排水トラップの封水が破れれば、立て管側の臭気が室内側に流れて、好ましくない。
【0004】
そのため、従来の逆流防止庇部は、上方から排水が流下してきても、横通路と胴部との通気状態を確保できるように、胴部内周面における連通用開口の上方側の領域で、胴部の軸心側に突出するように配設されていた。
【0005】
そして、従来の逆流防止庇部では、連通用開口の中央付近において、横通路と胴部との通気状態を確保するように、構成されていた。
【0006】
しかし、横通路から胴部側へ排水が流れる場合には、連通用開口における中央付近の下方側を通過して、胴部側へ流れ易い。そのため、逆流防止庇部により、連通用開口の中央付近において、横通路と胴部との通気状態を確保しても、横通路から胴部側へ排水が流れる際に、上方からの排水に対して庇部により確保していた連通用開口の中央付近の空間部位が、横通路から胴部側へ流れる排水によって、塞がれ、その結果、横通路と胴部との通気状態を、十分確保できない虞れが生じていた。
【0007】
このような現象は、上方から流下してきた排水が、横通路側に逆流した場合でも、逆流した排水が、胴部側に戻る際、連通用開口における中央付近の下方側を通過し易いことから、生ずる虞れがあった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するもので、胴部に開口した連通用開口側の横通路と胴部との通気状態維持する性能を、向上させることができる排水管継手を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る排水管継手は、排水立て管とそれぞれ接続可能な上接続部と下接続部とを上下端に配設させた略円筒状の胴部と、
胴部の内周面に開口されて、所定の横通路に連通可能な連通用開口と、
胴部の内周面側における連通用開口の上縁側に配置されて、上方から流下する排水の横通路側への逆流を防止するための逆流防止庇部と、
を備えて構成される排水管継手であって、
逆流防止庇部が、
胴部の内周面側において、胴部の略軸直交方向に沿い、かつ、胴部の軸心側に突出するように、配設されるとともに、
胴部の軸心側から見た連通用開口の中央付近の上方に、上方からの排水を集めて流下させる集水部を、配設させて、構成されていることを特徴とする。
そして、集水部は、逆流防止庇部の上面側における連通用開口の中央付近上方に、下方へ凹む上面側凹部を設けて、構成したり、さらに加えて、逆流防止庇部の上方から見た胴部軸心側への突出端における連通用開口の中央付近に、胴部の内周面から突出させた状態として、突出端を胴部内周面側に接近させるような端面側凹部を設けて、構成する。
【0010】
本発明の排水管継手では、逆流防止庇部が、胴部の軸心側から見た連通用開口の中央付近の上方に、上方からの排水を集めて流下させる集水部を、備えている。そのため、流下する排水が上方から逆流防止庇部に干渉した際、庇部における連通用開口の中央付近の上方から流下して、庇部の左右両側から、流下し難くなる。
【0011】
すなわち、庇部の左右両側の下方における連通用開口の左右両側部位には、横通路に連通する空間部位が確保される。
【0012】
そのため、横通路から排水が胴部側に流れても、その排水は、連通用開口の中央付近の下方側を流れて、庇部によって形成された連通用開口の左右両側付近の空間部位を、閉塞し難い。
【0013】
したがって、本発明に係る排水管継手は、胴部に開口した連通用開口側の横通路と胴部との通気状態を維持する性能を、向上させることができる。
【0014】
そして、このような集水部は、逆流防止庇部に上面側凹部や端面側凹部を設けて構成することができ、胴部の略軸直交方向に沿った庇部の配置スペースや、あるいは、胴部の軸方向に沿った庇部の配置スペース、を増加させることなく、容易に、配設することができる。
【0015】
また、逆流防止庇部の中央付近に上面側凹部や端面側凹部を設けて構成する排水管継手では、製造時の鋳造や型成形等に使用する型における胴部内周面側を鋳造・成形する中子に関し、胴部軸心に沿い、かつ、庇部の中央を通る分割面で、連通用開口から横通路側に延びる内周側も含めて、二つに分けて、製造することが可能となり、排水管継手の鋳造や成形に使用する型構造を簡素化できて、排水管継手の製造工数・コストを低減することができる。
【0016】
なお、連通用開口側の横通路は、排水機器に連結される排水用横通路に限らず、例えば、胴部に、通気管を接続させる際の通気用横通路や、通路端側に掃除口を開口させた掃除用横通路でもよく、それらの横通路に連通する連通用開口における胴部内周面側の上縁側に、本発明の逆流防止庇部を配設させてもよく、それらの場合、排水トラップにおける封水の破れ防止の他に、通気管の通気性能を確保できる等の効果を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
実施形態の排水管継手10は、図1〜3に示すように、排水鋼管用の可撓継手タイプのものであり、排水立て管1・2とそれぞれ接続可能な上接続部21と下接続部22とを上下端に配設させた略円筒状の胴部11を、備えて構成されている。上接続部21と下接続部22とは、それぞれ、上立て管1と下立て管2とを挿入させて停止させる段差状のストッパ部21a・22aと、立て管1・2とボルト・ナット止め可能なフランジ部21b・22bと、を備えて構成されている。
【0019】
さらに、胴部11の内周面12には、横通路27に連通可能な円形に開口した連通用開口14が、形成されている。横通路27は、所定の排水機器、例えば、洗面台、からの排水WLを胴部11側に流すためのものであり、胴部11には、排水機器に連なる横枝管4を接続可能な横接続部24が、内周面25側を連通用開口14に連通させて、胴部11から突出するように、配設されている。
【0020】
この横接続部24は、軸心C1を胴部11に対して直交交差させる横枝管4を、接続可能に形成されている。実施形態の場合、横接続部24は、横枝管4を挿入させて停止させる段差状のストッパ部24aと、横枝管4とボルト・ナット止め可能なフランジ部24bと、を備えて構成されている。
【0021】
さらに、胴部11の内周面12には、逆流防止庇部15が、配設されている。この逆流防止庇部15は、上方から流下する排水WVの横接続部24側への流入を防止するものであり、連通用開口14の上縁14a側の胴部内周面12から、胴部軸心C0側に突出して配設されている。この庇部15は、略三日月形状の板形状として、胴部11の軸心C0と直交方向に配置されるとともに、連通用開口14の全域の上方より、左右両側を若干広く覆うように、配置されている。そして、庇部15は、図4・5に示すように、上方から流下してくる排水WVが干渉した際、左右両縁15d・15e側よりも上面15bの中央15c側に排水WVを集めて、連通用開口14の中央14c付近の下方へ流下させるための集水部16を、配設させて構成されている。集水部16は、実施形態の場合、端面側集水凹部17と上面側集水凹部18とを備えて構成されている。
【0022】
端面側集水凹部17は、庇部15の上方から見た胴部軸心C0側への突出端15aが、連通用開口14の中央14c付近の上方において、胴部11の内周面12から突出させた状態として、胴部内周面12側に接近させるように、凹んで、形成されている。この集水凹部17は、胴部軸心C0を中心として、開口中央14c付近の上方を、最も凹ませる溝17aを設けて、構成されている。すなわち、端面側集水凹部17は、庇部15における凹溝17aの部位が、胴部軸心C0を中心とした胴部内周面12からの距離を、周囲の部位よりも、切り欠かれたように、小さくして、構成されている。
【0023】
なお、庇部15が、上方から見て、突出端15aを、胴部内周面12を単に直線状に横切るように、配置させていたり、あるいは、庇部15が、胴部軸心C0を中心として、胴部内周面12から突出端15aまでの距離を一定とするように、円環状に、配置されている場合には、端面側集水凹部17は、形成されない。すなわち、胴部軸心C0側から見て、庇部15の胴部内周面12側に連なる左右の縁15d・15eを間にする中央15cの位置付近から、上方からの排水WVが集められて下方に流れるように、端面側集水凹部17が、形成される必要がある。
【0024】
上面側集水凹部18は、庇部15の上面15b側における連通用開口14の中央14c付近上方に、左右両縁15d・15e側より下方へ凹む溝18aを設けるとともに、左右両縁15d・15e側から溝18a側に下がる傾斜面18b・18cを設けて、構成されている。
【0025】
なお、実施形態の場合、この庇部15は、胴部11と一体的に形成しているが、胴部11と別体で形成して、溶接等により、胴部11に固着させてもよい。
【0026】
この実施形態の排水管継手10では、施工時、例えば、スラブSの上方で、上・下接続部21・22に、上下の立て管1・2を接続させるとともに、横接続部24に、洗面器に接続される横枝管4を接続させて、使用する。
【0027】
この実施形態の排水管継手10では、使用時、胴部内周面12における横接続部24に連通する連通用開口14の上縁14aに、逆流防止庇部15が形成されており、流下する排水WVは、逆流防止庇部15と干渉して、横接続部24側への流入を防止される。
【0028】
そして、実施形態の排水管継手10は、逆流防止庇部15が、胴部11の軸心C0側から見た連通用開口14の中央14c付近の上方に、上方からの排水WVを集めて流下させる集水部16を、備えている。そのため、流下する排水WVが上方から逆流防止庇部15に干渉した際、図5に示すように、庇部15における連通用開口14の中央14c付近の上方から流下して、庇部15の左右両縁15d・15e側から、流下し難くなる。
【0029】
すなわち、庇部15の左右両縁15d・15e側の下方における連通用開口14の左右両側の開口部位14d・14eには、横通路27に連通する空間部位AL・ARが確保される。
【0030】
そのため、横通路27から排水WLが胴部11側に流れても、その排水WLは、円形に開口している横通路27や連通用開口14の中央14c付近の下方側、すなわち、開口14の下縁14b側、を流れて、庇部15によって形成された連通用開口14の左右の開口部位14d・14e付近の空間部位AL・ARを、閉塞し難く、横通路27と胴部11との連通状態を維持することができる。
【0031】
勿論、上方から流下してきた排水WVが横通路27側へ逆流し、その逆流した排水WVが、再度、胴部11側に戻る場合でも、連通用開口14における中央14c付近の下方側(下縁14b側)を通過し易いことから、左右の空間部位AL・ARは、閉塞され難い。
【0032】
したがって、実施形態の排水管継手10では、胴部11に開口した連通用開口14側の横通路27と胴部11との通気状態の維持性能を、向上させることができる。
【0033】
さらに、この逆流防止庇部15では、突出端15a側と上面15b側とに、単に、二種類の凹部17・18を設けて、集水部16を構成している。そのため、突出端15a側の凹部17により、胴部11の略軸直交方向(軸心C0に直交する方向)に沿った庇部15の配置スペースの増加を招かず、また、上面15b側の凹部18により、胴部11の軸方向(軸心C0)に沿った庇部15の配置スペースの増加を招かず、容易に、庇部15を配設することができる。
【0034】
なお、実施形態では、逆流防止庇部15に設けた集水部16として、端面側集水凹部17と上面側集水凹部18との二種類を設けた場合を示したが、図6〜8に示す逆流防止庇部15Aのように、端面側集水凹部17だけを設けたり、図9〜11に示す逆流防止庇部15Bのように、上面側集水凹部18だけを設けてもよい。
【0035】
さらに、凹部17・18は、平面で形成するばかりでなく、例えば、図12〜14に示すように、逆流防止庇部15Cの突出端15aの左右方向の中央15c付近を、胴部内周面12側に円弧状に凹ませて、弧面からなる端面側集水凹部17を、形成してもよい。
【0036】
また、実施形態の排水管継手10では、横通路27の軸心C1が、胴部11の軸心C0に対して直線状の直交方向に配設されたものを示したが、図15・16に示す排水管継手10Aのように、横通路27Aの軸心C1が曲線状に配設されていてもよい。
【0037】
さらに、逆流防止庇部15は、図17・18に示すように、内周面側の部位に配置されて、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂材料から形成される内管層10aと、外表面側の部位に配置されて、耐火性を有したモルタル等からなる外管層10bと、の少なくとも二層構造から構成した耐火二層構造の排水管継手10Bに、適用してもよい。この排水管継手10Bは、横接続部24Bに連通される胴部11の内周面12側における連通用開口14の上縁14a側に、集水部16を備えた逆流防止庇部15が配設されている。なお、この継手10Bの上・下・横接続部21・22・24Aには、それぞれ、対応する耐火二層構造の排水立て管1A・2A・横枝管4Aが、接続されることとなる。
【0038】
さらにまた、実施形態の排水管継手10では、可撓継手タイプのものを例示したが、図19に示すように、直管継手タイプの排水管継手10Cに、本発明を適用してもよい。この排水管継手10Cでは、接続させる立て管1B・2Bや横枝管4Bを、上・下接続部21A・22Aや横接続部24Bに押し込むだけで接続可能としている。そして、横接続部24Bに連通する胴部内周面12側の連通用開口14の上縁14a側には、逆流防止庇部15が配設されている。
【0039】
さらに、図20・21に示す排水管継手10Dのように、上下の立て管1B・2Bを押し込むだけで接続できて、横通路27に連なる横接続部24に対し、ボルト・ナットを利用して、横枝管4を接続させるように構成してもよい。
【0040】
さらにまた、図22〜25に示す排水管継手10Eのように構成してもよい。この排水管継手10Eは、排水管継手10C・10Dと同様に、上・下接続部21A・22Aが、上・下立て管1B・2Bに対して、直管継手タイプで接続させるように構成され、胴部11の上部側が、上・下立て管1B・2Bの内径寸法より拡径された拡径部11aとし、胴部11の下部側が、下方に向かうにつれて、内径寸法を狭めるテーパ部11bとし、テーパ部11bの下端が、円筒状として直線的に下方に延びる下接続部22Aに、接続されている。下接続部22Aの内径寸法は、立て管1B・2Bの内径寸法と一致している。
【0041】
そして、横流路27を形成する横接続部24Cが、胴部11側に、円形に開口する連通用開口14を配置させ、突出端側に、円形に開口した端側開口28を配置させて、構成されている。連通用開口14は、胴部11の拡径部11aとテーパ部11bとの境界付近に開口され、連通用開口14と端側開口28との中心を結ぶ軸心C1は、直線状として、胴部11の軸心C0と直交するように、配設されている。
【0042】
さらに、端側開口28の周囲には、取付座29が形成され、取付座29には、雌ねじを螺刻した二つの取付孔29aが形成されている。そして、この取付座29には、蓋32と、横枝管4Cを横接続部24Cに接続させるアダプタ36と、が取替え可能に、取り付けられることとなる。
【0043】
なお、アダプタ36は、横接続部24Cの端側開口28側の内径寸法(図例の場合には、40φとしている)より、内径を狭めた横枝管4C(図例の場合には、内径寸法を32φとしている)を、横接続部24Cに接続させるためのものである。また、横枝管4Cには、洗面台からの排水WLが流れることとなる。さらに、上・下立て管1B・2Bは、呼び径を100φとしている。
【0044】
蓋32は、図22・24に示すように、横通路27を閉塞する本体33と、取付座29に対して、ボルト30を利用して、取付可能なフランジ部34と、を備えて構成されている。フランジ部34には、ボルト30を挿通可能な取付孔34aが配設されている。そして、フランジ部34の各取付孔34aを挿通させて、各ボルト30を取付座29の各取付孔29aに締め付ければ、蓋32は、端側開口28を塞ぐこととなる。そして、蓋32が端側開口28を塞いだ際、本体33の胴部11の内周面側の端面33aは、連通用開口14の外周縁に対応するとともに、拡径部11Aの内周面とテーパ部11bの内周面とに連なるように、形成されているため、上方から流下する排水WVの流れを阻害しないように、配置されることとなる。なお、図24に示す符号31の部材は、蓋32と横接続部24Cとの間に配設されるパッキンである。
【0045】
また、蓋32を取り外して、端側開口28を開口させた際には、立て管1B・2Bを洗浄する洗浄ノズルを入れて、配管の洗浄を行ったり、あるいは、立て管1B・2B等の点検補修時のテレスペクカメラを挿入させたり、さらに、満水試験時の満水テストボールを挿入させることもできる。
【0046】
なお、蓋32を取り外して端側開口28を開口させた際に、上方から排水WVが流下してきても、胴部内周面12側の連通用開口14の上縁14aには、逆流防止庇部15が配設されていることから、開口28から排水WVが飛び出す虞れは生じ難い。特に、図例の場合には、開口14の下縁14b付近が、胴部11のテーパ部11bの位置に配置されて、開口下縁14bが、開口上縁14aより、胴部軸心C0側に若干位置ずれしていても、逆流防止庇部15が配置されていることから、上立て管1B側から流下する排水WVが、開口28から飛び出す虞れは生じ難い。
【0047】
アダプタ36は、図22・25に示すように、略円筒状の本体37と、締付リング41と、を備えて構成されている。本体37は、端側開口28側の端部に、ボルト30を利用して取付座29に対して取付可能なフランジ部38を備え、フランジ部38には、ボルト30を挿通可能な二つの取付孔38aが配設されている。また、本体37の他方の端部には、締付リング41に対応した雄ねじ部39が、外周面に螺刻されている。
【0048】
横枝管4Cを接続させる際には、予め、アダプタ本体37に締付リング41を組み付けておく。ちなみに、この際には、本体37の端面37aと締付リング41の鍔部41bとの間に、円環状のパッキン40を配設させておく。
【0049】
そして、各ボルト30を、取付孔38aを挿通させて、取付座29の取付孔29aに螺合させて、アダプタ36を横接続部24Cに接続させる。なお、アダプタ36と横接続部24Cとの間には、パッキン35を配設させておく。また、アダプタ36を取り付ける際には、既に、排水管継手10Eには、上・下立て管1B・2Bが接続されている。
【0050】
ついで、横枝管4Cを締付リング41に挿通させて、アダプタ本体37の内周側のストッパ部37b付近まで挿入して、締付リング41を回して締め付ければ、パッキン40が縮径して、横枝管4Cが、アダプタ36に対して、抜け不能に連結され、その結果、横枝管4Cが、横接続部24Cに接続されることとなる。
【0051】
そして、このように、排水管継手10Eに、横枝管4C側に連なる横通路27が配設されていても、胴部側内周面12に開口した連通用開口14の上縁14a側には、逆流防止庇部15が設けられていることから、継手10等と同様に、排水WVの横通路27側への逆流を防止して、安定した横通路27と胴部11との通気状態を確保することができる。
【0052】
また、この排水管継手10Eでは、横枝管4C側から胴部11側へ流れる洗面台等からの排水WLの流量が少なく、上方から横通路27内に付着する異物を流し落とし難くしている。しかし、例えば、上立て管1B側から汚物を含んだ汚水WVが流下してくる場合でも、汚水WVの横通路27側への逆流が、逆流防止庇部15によって、防止されることから、上方からの異物が、横通路27内に付着・堆積することを、防止することができ、横通路27内の開口面積を、安定して、維持することができる。
【0053】
また、排水管継手10Eにおいて、横接続部24Cは、図20に示す横接続部24のように、軸心C1に沿って長くして、端側開口28の胴部軸心C0からの距離を大きくするように、構成してもよい。なお、図20・21に示す排水管継手10Dでも、蓋32とアダプタ36とを取り付けることが可能に構成されている。ちなみに、継手10Dに蓋32やアダプタ36を取り付ける場合には、ボルト30を止めるために、ボルト30に対応したナットを使用する必要がある。
【0054】
さらに、各図例の逆流防止庇部15・15A・15B・15Cでは、中央15c付近に端面側凹部17や上面側凹部18を設けており、鋳造によって製造する排水管継手10・10A・10C・10D・10Eや、射出成形等の型成形により成形する排水管継手10Bの内管層10aでは、鋳造や型成形等に使用する型の胴部内周面12側を鋳造・成形する中子に関し、胴部軸心C0に沿い、かつ、庇部15・15A・15B・15Cの中央を通る分割面PLで、連通用開口14から横通路27・27A側に延びる内周側も含めて、二つに分けて、製造することが可能となり、排水管継手10・10A・10B・10C・10D・10Eの鋳造や成形に使用する型構造を簡素化できて、排水管継手10・10A・10B・10C・10D・10Eの製造工数・コストを低減することができる。なお、中子の簡素化に関して、横通路27・27Aは、その軸心C1を、図15に示すように、曲線や連通用開口14側から上向きに配置させてもよいが、胴部軸心C0に沿い、かつ、庇部15・15A・15B・15Cの中央を通る分割面PLに沿って、設定することが望ましい。
【0055】
さらにまた、各図例の連通用開口14側の横通路は、排水機器に連結される排水用横通路27・27Aに限らず、例えば、胴部11に、通気管を接続させる際の通気用横通路や、通路端側に掃除口(図24に示す端側開口28が対応する)を開口させた掃除用横通路でもよく、それらの横通路に連通する連通用開口14における胴部内周面12側の上縁14a側に、本発明の逆流防止庇部を配設させてもよく、それらの場合、排水トラップにおける封水の破れ防止の他に、通気管の通気性能を確保できる等の効果を得ることができる。なお、通気管を排水管継手に接続させる際には、横通路は、連通用開口側から上向きとして、直線状、若しくは、曲線状、あるいは、直線と曲線とを併用して、配置させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態の排水管継手の縦断面図である。
【図2】同実施形態の排水管継手の縦断面図であり、図1のII−II部位に対応する。
【図3】同実施形態の排水管継手の横断面図であり、図1のIII−III部位に対応する。
【図4】同実施形態の排水管継手の横断面図であり、図1のIV−IV部位に対応する。
【図5】同実施形態の逆流防止庇部を示す部分斜視図である。
【図6】逆流防止庇部の変形例を示す部分斜視図である。
【図7】図6に示す逆流防止庇部の平面図である。
【図8】図6に示す逆流防止庇部の縦断面図である。
【図9】逆流防止庇部の他の変形例を示す部分斜視図である。
【図10】図9に示す逆流防止庇部の平面図である。
【図11】図9に示す逆流防止庇部の縦断面図である。
【図12】逆流防止庇部のさらに他の変形例を示す部分斜視図である。
【図13】図12に示す逆流防止庇部の平面図である。
【図14】図12に示す逆流防止庇部の縦断面図である。
【図15】実施形態の変形例の排水管継手を示す縦断面図である。
【図16】図15に示す排水管継手の縦断面図であり、図15の XVI− XVI部位に対応する。
【図17】実施形態の他の変形例の排水管継手を示す縦断面図である。
【図18】図17に示す排水管継手の縦断面図であり、図17のXVIII−XVIII部位に対応する。
【図19】実施形態のさらに他の変形例の排水管継手を示す縦断面図である。
【図20】実施形態のさらに他の変形例の排水管継手を示す縦断面図である。
【図21】図20に示す排水管継手の縦断面図であり、図20のXXI−XXI部位に対応する。
【図22】実施形態のさらに他の排水管継手の斜視図を示す。
【図23】図22に示す排水管継手の縦断面図である。
【図24】図22に示す排水管継手の横接続部に蓋を取り付ける状態を示す分解横断面図である。
【図25】図22に示す排水管継手の横接続部に、横枝管を取り付ける状態を示す横断面図である。
【符号の説明】
1・1A・1B・2・2A・2B…排水立て管、
4・4A・4B・4C…(配管)横枝管、
10・10A・10B・10C・10D・10E…排水管継手、
11…胴部、
12…内周面、
14…連通用開口、
14a…上縁、
14c…中央、
15・15A・15B・15C…逆流防止庇部、
16…集水部、
17…端面側集水凹部、
18…上面側集水凹部、
21…上接続部、
22…下接続部、
24・24A・24B…横接続部、
27・27A…横通路、
C0…胴部軸心、
WV…(上方からの)排水、
WL…(横通路からの)排水。

Claims (2)

  1. 排水立て管とそれぞれ接続可能な上接続部と下接続部とを上下端に配設させた略円筒状の胴部と、
    該胴部の内周面に開口されて、所定の横通路に連通可能な連通用開口と、
    前記胴部の内周面側における前記連通用開口の上縁側に、前記連通用開口の全域の上方を覆うように、配置されて、上方から流下する排水の前記横通路側への逆流を防止するための逆流防止庇部と、
    を備えて構成される排水管継手であって、
    前記逆流防止庇部が、
    前記胴部の内周面側において、前記胴部の略軸直交方向に沿い、かつ、前記胴部の軸心側に突出するように、配設されるとともに、
    前記胴部の軸心側から見た前記連通用開口の中央付近の上方に、上方からの排水を集めて流下させる集水部を、配設させて、構成され、
    前記集水部が、前記逆流防止庇部の上面側における前記連通用開口の中央付近上方に、下方へ凹む上面側凹部を設けて、構成されていることを特徴とする排水管継手。
  2. 排水立て管とそれぞれ接続可能な上接続部と下接続部とを上下端に配設させた略円筒状の胴部と、
    該胴部の内周面に開口されて、所定の横通路に連通可能な連通用開口と、
    前記胴部の内周面側における前記連通用開口の上縁側に、前記連通用開口の全域の上方を覆うように、配置されて、上方から流下する排水の前記横通路側への逆流を防止するための逆流防止庇部と、
    を備えて構成される排水管継手であって、
    前記逆流防止庇部が、
    前記胴部の内周面側において、前記胴部の略軸直交方向に沿い、かつ、前記胴部の軸心側に突出するように、配設されるとともに、
    前記胴部の軸心側から見た前記連通用開口の中央付近の上方に、上方からの排水を集めて流下させる集水部を、配設させて、構成され、
    前記集水部が、
    前記逆流防止庇部の上方から見た前記胴部軸心側への突出端における前記連通用開口の中央付近に、前記胴部の内周面から突出させた状態として、前記突出端を前記胴部内周面側に接近させるような端面側凹部を設け、かつ、
    前記逆流防止庇部の上面側における前記連通用開口の中央付近上方に、下方へ凹む上面側凹部を設けて、構成されていることを特徴とする排水管継手。
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