JP4152507B2 - 放電加工の送り制御方法及び放電加工の制御方法、並びに放電加工の送り制御装置 - Google Patents
放電加工の送り制御方法及び放電加工の制御方法、並びに放電加工の送り制御装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4152507B2 JP4152507B2 JP34347998A JP34347998A JP4152507B2 JP 4152507 B2 JP4152507 B2 JP 4152507B2 JP 34347998 A JP34347998 A JP 34347998A JP 34347998 A JP34347998 A JP 34347998A JP 4152507 B2 JP4152507 B2 JP 4152507B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- machining
- servo
- quill
- voltage
- electric discharge
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、棒状電極や所望形状の型電極を用い、被加工体と加工液が介在する微小加工間隙を隔てて相対向させ、前記加工間隙をサーボ制御送りによって維持させながら、休止時間を置いて間歇的に印加される電圧パルスにより発生する放電パルスにより加工する穿孔、形彫り等のラム型放電加工の前記サーボ送り制御方法及びその送り制御装置、そして特に前記加工間隙から発生加工屑を介在加工液と共に排出除去させる作用を、前記間隙維持のサーボ制御送りとは別の、電極または被加工体に対する相対的な所望ストローク開離後元の間隙位置へ復帰させて加工するいわゆる往復移動のジャンプ運動により主として行うようにした放電加工の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
斯種放電加工は、加工電極と被加工体とを加工液が介在する微小間隙を介して相対向させた状態で、間歇的な電圧パルスを繰り返し印加して放電を発生させ、該放電発生部位を被加工体から溶融飛散除去させ、該除去の遂次の進行に伴って、電極と被加工体とを前記微小間隙を維持するように相対的に加工送り制御することにより加工する非切削加工方法である。加工中加工電極と被加工体との間隙には、加工屑や加工液老廃物のタール等が生成、介在するが、上記間隙に何等かの手段によって加工液を流通介在させることにより排除乃至は所定値以下の濃度状態とすることにより良好な放電状態を保って加工を継続させている。しかし、何等かの原因で加工屑やタールが堆積したり、その濃度が所定値以上に増大したりして間隙状態が悪化すると、アーク状放電の連続及び集中状態等を生じ、加工進行の低下、不安定加工状態、及び加工電極・被加工体の損傷を生起させることになる。このため放電加工機には、加工電極と被加工体との微少な加工間隙距離を維持制御するためのサーボ送り機構とサーボ制御回路が設けられていると共に、該間隙距離維持のサーボ送り制御とは別に、加工間隙から発生堆積加工屑等を介在加工液と共に排出させる作用を生じさせる動作、即ち電極または被加工体を加工位置から相対的に所望距離後退開離させた後、元の間隙位置に復帰させ加工に復帰させる作動を周期的又は検出加工異常信号等により繰り返させながら加工する、いわゆる電極等往復移動のジャンプ運動機能付に構成されている。
【0003】
しかして、従来型の放電加工機の送り機構は、回転型のモータ、該回転型のモータにより歯車列を介して回転駆動されるボールねじ、及び該ボールねじの回転運動を直線運動に変換する装置等の組合せから構成され、正常加工時の約10から100μmの微小間隙距離のサーボ送り制御から、場合によっては、数10mm以上にも及ぶ大きなストロークのジャンプ運動を、ジャンプ中の加工休止時間をできるだけ短く、応答速度を出来るだけ大きくしてやらせようとするものであった。しかし、上述のように回転型のモータを利用した送り装置では、モータの回転運動を直線運動に変換するために、歯車列やねじ・ナットの組合せから成るボールねじ等の動力変換機構が必要となるため、バックラッシュ、ガタ等の機械的不感帯が存在し、駆動力の伝達遅れが生じたり、構成部品が複雑になるため、必要な高速応答の可能な制御システムを構成することが困難であった。
【0004】
即ち、近時上記回転型のモータ及びボールねじを使用した送り機構のもので、上述ジャンプ運動の送り速度が1,000から5,000mm/minに及ぶ高速度のものが、本発明者等によって提案されたが、従来多くのものは、速くても、例えば、特開平4−63,623号公報に記載されているように、400mm/min程度のものであり、当該公報に記載の発明に従って、加工穴の深さが深くなってジャンプストロークを増大させた場合、加工電極が被加工体から離隔している加工休止時間の割合が増大し、加工効率が低いものとならざるを得なかった。
【0005】
このような観点から、送り装置の機構部に動力変換機構がなくて、直線移動可能に主軸を案内支持する直線案内装置とリニアモータとの組み合わせ構成体とした形彫り放電加工装置が特開平5−104,332号公報によって提案されて居り、また、特開平8−309,620号公報によれば、形彫り放電加工装置のZ軸のみならず、X及びYの全軸をリニアモータを駆動手段として利用する送り装置を使用し、微小な放電加工間隙を所望目標値に微細に制御するものとして提案されている。
【0006】
成程近時、Sm−Co合金系やNd−Fe−B合金系等の希土類金属系の強力な永久磁石の開発、及び新しい電磁構造体の開発考案により、小型、高推力、高効率のリニアモータが実現でき、工作機械のクロス・テーブル等の送り装置に於て利用されて来て居り、そのテーブル送り速度は数10m/min以上数100m/minの高速に及んでいる。しかし、これは、移動体がほぼ水平方向に移動するように案内保持されている物の場合であって、移動体がほぼ鉛直等Z軸に沿って案内保持されている場合には、その案内保持の仕方により、付与及び実現可能な送り速度の大きさは大きな制約を受ける。
【0007】
例えば、前述の特開平5−104,332号公報に記載のものの場合、主軸に連結されているガイド機構には、工作機械の直線ガイド機構として用いられるリニア・モーション・ボール・ベアリング(直動球軸受)が組み込まれていて、循環するボールで直動方向に直角な2つの方向の引張り、圧縮(またはラジアル)荷重に対し等剛性となるように配置されていて、放電加工中の主軸の高速応答の位置制御に対して充分な剛性を有し、主軸の滑らかな運動を確保している等と開示しているが、主軸の落下防止の保持に就いては何等開示がない。前記落下防止の保持に、リニアモータによる上方への持ち上げ推力を連続的または間歇的に付与するように作用させているにしても、主軸をリニアモータに特有の数10m/minまたはそれ以上の高速でジャンプ等の運動をさせようとすると、その加速度が大きく、例えば、1G以上に大きくなる場合があると、上記のリニア・モーション・ボール・ベアリングによる直動案内のみでは、逆ラジアル荷重が高く作用する可能性があり、またリニアモータ3,5はコラム前面と主軸背面間の一面に形成されているのみであるから、主軸1とコラム前面間には強い磁気吸引力または反発力が作用するので、ベアリング案内に負荷を与え、撓みが発生し、送り作動が円滑に行えなくなる可能性があり、円滑で、高速度の上昇、下降は期待できない。このため、前述ジャンプ等の移動速度は、従来型の回転モータ使用の場合の数100mm/minから、本発明者等が提案した2,000mm/min、高くても5,000mm/min程度以下の移動速度を想定していたものと思われる。
【0008】
また、もう1つの形彫り放電加工に係る特開平8−309,620号公報に記載のものは、リニアモータによって、鉛直、Z軸方向にコラムに対して送り移動される加工ヘッドには、該ヘッドをZ軸方向の所定位置に停止させることも可能なカウンターバランス手段が設けられて居り、これでは前述のように加速度が1Gを超える場合がある高速ジャンプでの加工は不可能であり、従来型の送り装置による移動速度のジャンプ運動しか予定されていなかったものと考えられる。そしてこのことは、ヘッド36のヘッドコラム32への直線移動案内装置54の取付、構成が、コラム32に形成した一対の直線レール56,56に対するヘッド36に設けた摺動足58,58の嵌挿摺接滑りによって行われる構成となっていることからも明らかである。また、前記直線移動案内とリニアモータが近い位置に設けられている点では好ましいものの、リニアモータが1個であるところから、可動子と固定子間の吸引力(または反発力)が直線移動案内に負担を与える欠点は改善されていないものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のリニアモータをZ軸のサーボ制御送り及び上昇下降のストロークの大きいジャンプ往復移動に使用した送り機構に依れば、実際に製作、使用、及び販売等されていないためか、Z軸または加工ヘッドの落下問題に対しての対策、直線移動案内装置の構成配置、及びリニアモータの構成配置等についての対応、処置等が不十分、かつ中途半端であり、せっかく駆動源としてリニアモータを使用しても、高応答や高速移動の性能を発揮させることが出来ず、形彫り放電加工の性能向上に寄与させることができなかったのではないかと思われる。
本発明の目的は、このような問題点を解決すべく、電極等を下方先端に取付けるクイル自体をリニアモータの可動子とし、リニアモータによる駆動による鉛直方向の直線往復運動を軸運動の直線性を向上させた状態で、バランスの良い高速移動を可能にすると共に、高応答性で、高い制御性を有するように構成し、かかる、サーボ送り機構を高速のサーボ制御方式、例えば、サーボ制御の1ループの処理を短時間で繰返えさせて応答処理させ、また、電極ジャンプ制御では、高加速度での高速、短時間のジャンプ運動とすることにより、従来よりの各種の難加工を高速度で容易に行われるようにすることにある。
【0010】
而して、本発明者等の諸種の実験に依れば、後で詳しく説明するように、リニアモータを組込み構成した送り機構を機械的に高速応答作動が可能で、高速度の移動作動が可能に構成するとともに、サーボ制御送りの加工においては、該送り機構を作動させる加工間隙の放電加工状態の検出から処理判断、そして制御量の生成させて送り機構に駆動信号を与え、次の検出判断を開始する迄の送り機構信号処理の1ループの時間を所定に短く設定する高速サーボ制御方式を採用することとしたものである。その理由としては、加工屑の排出処理問題がないところから、安定加工が容易に可能で、サーボ送り制御の良否評価に用いられるチヨン掛け加工(加工面の一部をワーク端縁に掛けて、他は食み出させた状態で加工していく加工方法)をして評価をしたところ、矩形波パルスの所謂ノーマル主電源だけで、高圧電源を設けたり、電圧パルスの休止時間制御等の種々のパルス制御を行うことなく、間隙に高速応答で追従したサーボ制御送りにより安定して加工を進めることができ、従来の他のサーボ送り機構及びサーボ送り制御方法のものに比べ、短時間での加工処理を終わらせることが出来るようになることが判ったからである。
【0011】
また、前記サーボ送り制御とは別の、加工電極と被加工体間に開離接近の往復運動、いわゆる電極ジャンプを行わせながら加工を進める場合にも、リニアモータを組込み構成した送り機構を前述のように機械的に高速応答作動が可能で、高速度の移動作動が可能な構成とするとともに、例えば、通常の放電加工機で必要とされる数10mm程度以内のジャンプストロークの上昇及び下降を、好ましくはそのジャンプストロークの長短に関わらず、1secの半分の500msec程度以内、好ましくは数100msec程度以内、更に好ましくは、約200msec程度、またはそれ以下と、常時加速が行われている高速度とすることにより、単に電極がジャンプして加工が休止している時間が短くなって、加工所要時間が短くなるだけでなく、高加速度及び高速度での開離近接の往復運動により、加工穴内は、加工屑及び加工液が強力に流動し、そのジャンプの毎に加工屑の大部分が排出された状態で近接時の放電加工が行われるようになるので、或程度以上加工面積が大きい場合の加工面中心部の加工屑残留による加工面の荒れ等の不良が生ずることなく、寸法・形状精度の高い加工を可能とし、さらに、これも難加工の一つであるリブ加工を、加工液無噴流で、ほぼノーマル主電源だけで、加工不安定を生じさせることなく、全く安定した状態で、従来に比較し、格段の短時間で加工処理を終わらせることができるようになることが判って来たことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述の本発明の目的は、(1) 加工電極と被加工体とが相対向して形成する微小加工間隙に加工液を介在させ、前記加工間隙をサーボ送り制御によって所定に維持させながら休止時間を置いた間欠的な電圧パルスを印加し、繰り返し放電を発生させて加工する放電加工の前記サーボ送り制御方法において、
前記サーボ制御の送り機構が、加工電極または被加工体を取付けたクイルと、該クイルを送り方向に直線移動可能に加工ヘッド内に案内保持する直線案内装置と、前記クイルを可動子として送り移動させるように固定子とともに加工ヘッド部に組み込まれたリニアモータと、前記クイルの直線移動位置を検出して前記リニアモータの作動を制御するリニア位置検出装置とを備え、
前記のサーボ送り制御が、前記リニアモータへ出力するサーボアンプの出力電流を検出フィードバックして前記サーボアンプにトルク指令を出力するとともに、前記位置検出装置による検出速度と位置の信号がフィードバックしているPID制御のサーボアルゴリズム部と、加工位置指令と加工速度指令が制御部から入力し、設定サーボ基準電圧と検出加工電圧との比較による偏差電圧と前記位置検出装置からのフィードバック位置信号とにより演算し、前記加工位置指令を微小に分割した移動量の指令に生成させて前記サーボアルゴリズム部へ出力する移動指令分割部とを備え、
さらに前記加工間隙の電圧検出部であって、前記検出加工電圧をローパスフィルタリングするとともにサンプリング検出及びA/D変換して順次に得たデータの平均値を取って蓄積し、前記移動指令分割部からの、サーボ制御の1ループの処理を繰り返す時間として設定された所定の短い時間毎のリクエスト信号に応じ、前記蓄積したデータを前記所定の短い時間中の加工平均電圧として前記基準電圧との比較演算処理に繰り返し出力させて前記サーボ送り制御することを特徴とする放電加工の送り制御方法とすることにより達成される。
【0013】
また、前述の本発明の目的は、(2)前記所定の短い時間が、大凡10msec以内、好ましくは、5msecまたはそれ以下、更に好ましくは大凡2msecである前記(1)に記載の放電加工の送り制御方法とすることにより達成される。
【0014】
また、前述の本発明の目的は、(3)前記加工間隙電圧の検出部が、アナログローパスフィルタ、所定のサンプリング周波数のA/D変換検出回路、及び所定のサンプリング周波数のディジタルローパスフィルタとを有する前記(1)、または前記(2)に記載の放電加工の送り制御方法とすることにより達成される。
【0015】
また、前述の本発明の目的は、(4)加工電極と被加工体とが相対向して形成する加工間隙に加工液を介在させ、前記加工間隙をサーボ送り制御により維持させながら休止時間を置いて間欠的な電圧パルスを印加するとともに、加工中に電極または被加工体に前記サーボ送り制御とは別の相対的な開離近接の往復運動を間欠的に行わせ、前記近接時に前記印加電圧パルスに基づく放電を複数回行わせて加工を進行させる放電加工の制御方法において、前記サーボ送り制御の送り機構が、加工電極または被加工体を取付けたクイルと、該クイルを送り方向に直線移動可能に加工ヘッド内に案内保持する直線案内装置と、前記クイルを可動子として送り移動させるように固定子とともに加工ヘッド部に組み込まれたリニアモータと、前記クイルの直線移動位置を検出して前記リニアモータの作動を制御するリニア位置検出装置とを備え、前記リニアモータへ出力するサーボアンプの出力電流を検出フィードバックして前記サーボアンプにトルク指令を出力するとともに、前記位置検出装置による検出速度と位置の信号がフィードバックしているPID制御のサーボアルゴリズム部と、開離上昇時間、移動速度、及び開離上昇距離の1つ以上が入力設定されてジャンプ軌跡を生成するジャンプ軌跡生成部とを有し、加工中に前記開離接近の往復運動の作動指令信号が発せられたとき、前記ジャンプ軌跡生成部からジャンプ軌跡信号を前記サーボアルゴリズム部に出力して前記往復運動を行わせて加工することを特徴とする放電加工の制御方法とすることにより達成される。
【0016】
また、前述の本発明の目的は、(5)前記開離接近の往復運動の作動指令信号が、ジャンプ軌跡生成部を含む制御部に入力設定された所定の周期毎に、または、加工間隙の放電加工状態を検出した所望の判別信号により発せられる前記(4)に記載の放電加工の制御方法とすることにより達成される。
【0017】
また、前述の本発明の目的は、(6)前記クイルの開離上昇の距離が、所定の設定された一定値、好ましくは加工の進行に伴う加工穴の深さの増大によって増大する所定値、そして更に好ましくは加工穴の深さとほぼ同一以上の所定値である前述(4)、または(5)に記載の放電加工の制御方法とすることにより達成される。
【0018】
また、前述の本発明の目的は、(7)前記クイルの開離上昇中及び近接下降中の最大加速度が、少なくとも大凡0.5〜0.6G以上、好ましくは大凡1G、更に好ましくは開離上昇開始から降下近接終了迄の平均加速度が大凡1Gまたはそれ以上となるように前記リニアモータの駆動制御が行われる前記(4)、(5)、または(6)に記載の放電加工の制御方法とすることにより達成される。
【0019】
また、前述の本発明の目的は、(8)前記クイルの開離上昇開始から降下近接終了迄の期間を少なくとも400msec以内、好ましくは大凡300msec以内、そして更に好ましくは大凡200msecとなるように前記上昇時間と、下降時間をセットして開離近接の往復運動を行わせるようにした前記(4)、(5)、(6)または(7)に記載の放電加工の制御方法とすることにより達成される。
【0020】
また、前述の本発明の目的は、(9)加工電極と被加工体とが相対向して形成する微小加工間隙に加工液を介在させ、前記加工間隙をサーボ送り制御によって所定に維持させながら休止時間を置いた間欠的な電圧パルスを印加し、繰り返し放電を発生させて加工する放電加工のサーボ送り制御装置において、前記サーボ制御の送り機構として、加工電極または被加工体を取付けたクイルと、該クイルを送り方向に直線移動可能に加工ヘッド内に案内保持する直線案内装置と、前記クイルを可動子として送り移動させるように固定子とともに加工ヘッド部に組み込まれたリニアモータと、前記クイルの直線移動位置を検出して前記リニアモータの作動を制御するリニア位置検出装置とを備え、前記加工間隙の電圧を検出するアナログローパスフィルタと、該フィルタの検出電圧を所定のサンプリングタイムでサンプリングしてA/D変換する検出回路と、該検出回路の検出電圧を所定のサンプリングタイムで検出し、検出電圧の平均を取った検出平均加工電圧を記憶するデジタルローパスフィルタと、前記デジタルローパスフィルタにリクエスト信号の入力があったとき出力する前記記憶平均加工電圧とNC制御装置の出力サーボ基準電圧と演算して偏差電圧を出力する減算部と、前記NC制御装置から加工位置指令と加工速度指令が入力するとともに前記リニア位置検出装置から検出位置信号がフィードバック入力し、さらにサーボ制御の1ループの処理を繰り返す時間間隔として設定された所定の短い時間毎に前記リクエスト信号をデジタルローパスフィルタに出力し、前記減算部より偏差電圧が入力して演算しリニアモータの作動による移動量指令信号を出力する移動指令分割部と、該分割部からの移動量指令信号と前記リニア位置検出装置から検出フィードバックして入力する検出位置と速度の信号により演算してトルク指令を出力するPID制御のサーボアルゴリズム部と、前記トルク指令の入力を受けてリニアモータの励磁コイルに制御された駆動電流を出力し、該出力駆動電流を検出して検出電流信号をサーボアルゴリズム部へフィードバックするサーボアンプとから成ることを特徴と する放電加工の送り制御装置とすることにより、より良く達成される。
【0021】
また、本発明の目的は、(10)前記サーボ制御の送り機構が、可動子としてのクイルを重量に釣り合う反力を加えるエアバランサにより加工ヘッドまたは固定部に鉛直方向移動自在に保持される構成を備えている前記(9)に記載の放電加工の送り制御装置とすることにより、さらにより良く達成される。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の放電加工の送り制御方法に用いる送り機構を搭載した一実施例の形彫り放電加工機の全体構成を示す斜視図で、1はベッド、2はベッド1の後側部または上面に立設されたコラム、3はコラム2前面のベッド1上に水平一軸(Y軸)方向に移動可能に設けたサドル、4はサドル3上に他の水平一軸(X軸)方向に移動可能に設けたラム、5はラム4のコラム2前面側に設けた加工槽で、図示しない被加工体を取り付け、加工液中浸漬状態で加工電極6と相対向配置させる加工テーブルを備えている。
【0023】
7は、コラム2上部の加工槽5側に延出したコラム前面2Aに取付けられた加工ヘッドで、全体として中空柱状体で、下方先端に加工電極6の取付手段8Aを有するほぼ四角柱状のクイル8を、クイル後面とコラム前面または加工ヘッド内面間等に設けた直線案内装置9により、鉛直方向への駆動により直線移動自在に内包保持して成る。10A及び10Bは、前記クイル8の鉛直方向と直角な方向の対向側面夫々に移動方向に沿って所定個数列設される図示しない永久磁石と微小間隙を介して相対向するように加工ヘッド7の両側面に設けられるヨークと巻回励磁コイルとから成る一対の電磁石装置、即ち、所謂リニアモータの励磁固定子で、永久磁石を取付けたクイル8をリニアモータの磁石取付板の可動子として移動させるものである。
【0024】
図2乃至図4に基づき、以下にその詳細を説明するように、本送り機構の実施例は、本発明送り制御方法に用いる送り機構移動構造体を、前記形彫り放電加工機の加工電極送りクイルに適用した場合の一例である。図2は、図1のA−A線に沿う加工ヘッド7部切断平面図、図3は同じくB−B線に沿う切断左側面図、また図4は同じくC−C線に沿う切断正面図である。
【0025】
図2乃至4において、7は前述加工ヘッドで、該加工ヘッドは前記図2の平面図で示すように、この実施例の場合は断面コの字状であるから、図示では、例えば直線案内装置9のレール9A、9Aのように前記コラム前面2Aに取付けられているが、例えば断面口の字状の場合には、前記レール9A、9Aやクイル8の位置を検出するリニアスケール等は加工ヘッド7の内壁面等の別の位置に設けられていることになる。また図示実施例の場合加工ヘッド7は前面が開閉可能で、内装や組立、調整を可能としている。
【0026】
クイル8は後述する構成のリニアモータの可動子として駆動により、高速応答でかつ高速で、特に電極ジャンプ作動の場合には、好ましくは往復とも、そして少なくとも長いストロークのジャンプ後の近接復帰時には加速度が1G以上にも及ぶ高加速度で加速されて移動し得るよう、より軽量に構成することが望ましく、図示の場合四角柱状のクイル8は、中心に所望内径の貫通孔8Bを穿った中空柱状の構成とし、さらに該中空柱状のクイル8全体を、好ましくは一体の非金属の小比重の軽量体によって構成するようにするものである。
【0027】
この非金属の小比重の軽量体としては、具体的には、繊維強化セラミックス、粒子分散強化セラミックス、または、ウイスカ強化セラミックス等のセラミックス系複合材であっても良い、例えばAl2O3系やZrO2系等の酸化物系セラミックス、またはSiC系やSi3N4系等の非酸化物系セラミックス等の全体が一体の焼結成形体とすることにより、クイル8本体のみの場合従来の鋼材による場合の約3分の1の重量とすることができる。
【0028】
セラミックスの場合の一具体例を挙げると、窒化硅素焼結体は、窒化硅素(Si3N4)の粉末粒子に焼結助剤を、或いは更に結晶化促進剤乃至は結晶成長コントロール作用等を期待して、酸化系物のものもあるが、多くは希土類元素酸化物、乃至は該希土類元素酸化物に焼結能を高めるAl2O3、SiO2、AlN等、或いは更にBe、SrO等を適宜添加したものを混合し、アイソスタティックプレス乃至は準アイソスタティックプレス法により目的とする形状に成形した後、常圧焼結法とガス圧焼結法を組合せた二段焼結するか、ホットプレス又は熱間静水圧焼結をした後ガス圧焼結法による後処理を行い、ダイアモンド工具による旋削加工仕上げ後焼鈍処理するものである。かかるセラミックスによれば、前述軽量に止まらず、機械的強度が大きく高剛性で、耐熱衝撃性及び耐摩耗性に優れ、熱膨張や熱変形が少なく、前記クイルや工作機械の主軸等としても有用なものである。
【0029】
上記実施例における非金属の小比重の軽量体としては、移動構成体の適用物によっては、例えば、炭素繊維と通常熱硬化性プラスチックとから成る炭素繊維強化プラスチックを使用するとができる。この場合、炭素繊維のトウに未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させて後硬化処理する製作態様のものの外、炭素繊維を短繊維状とした樹脂との混合物を射出成形する製作物も使用可能であり、前述セラミックス製のものより可動子構造体を一段と軽量に構成することができる。
【0030】
このようにして製作等された四角柱状のクイル8は、移動軸に直角な背面側がコラム前面2A等の直線案内装置9に取付けられた状態で鉛直方向にバランス良く直線に移動するように、クイル8の両側面に夫々リニアモータを構成配置して構造体のクイル8を可動子として作動せしめられる。このため、研削等して仕上げられた前記両側面に永久磁石片11A,11Bを移動方向に接着剤やねじ止めにより接着固定し、列設して設けるのであるが、クイル8を前述のように非金属の小比重の軽量体、例えば、セラミックス、Si3N4製とすると、リニアモータの可動子として張り付けられた永久磁石片11A、11Bの相互間等において、良好な磁気回路が形成されないから、かかる場合の実施には、前記セラミックス製クイル8の両側面に鉄板や電磁軟鉄等の軟磁性材料の磁石板8Cを張りつけた上に永久磁石片11A、11Bを張りつけ固定するようにするものである。クイル8をこのように、特にセラミックス製で、一体の中空柱状体にすると、軽量であるから、慣性が小で制御の応答性が高く、熱による膨張や変形も少ないから精度の高い加工を可能とする送り装置が得られる。
【0031】
而して、軽量体のクイル8の鉛直方向の移動を案内する前記直線案内装置9は、図示実施例の場合、リニア・モーション・ボール(又はローラ)・ベアリングのレール9A、9Aが、2本、所定の間隔を置いて鉛直平行にコラム前面2Aに取付けられ、これに対しベアリングブロック9B、9Bが、各レール9A、9A毎に2個、鉛直方向に所定の間隔を置いてクイル8に取付けられていて、両者を嵌合組み付け構成されている。
【0032】
上記のように、案内装置9を構成した場合、クイル8が軽量体であっても、その上昇時及び下降停止時に、チャック及び電極を含むクイルの重量と加速度及びその変化による逆ラジアル方向の荷重が作用することは事実で、これがコラム2及び加工ヘッド7を前方及び下方へ撓ませる場合にはベアリング9、9の寿命を損なうので、かかる場合には、図5の変更実施例のように、加工ヘッド7の前面板7Aとクイル前面との間に鉛直方向に延びる直線案内、例えば、クロスローラベアリング17を設け、コラム前面2Aに向けたラジアル荷重を付与することにより前記逆ラジアル荷重を受けて、クイル8の上昇及び下降を案内させるようにすれば良い。
【0033】
10A、10Bは、前記永久磁石片11A、11Bを夫々鉛直移動方向に取付けた軽量体クイル8の両側面に微小間隙を介して相対向するように加工ヘッド7の側板の窓部7B、7Cに夫々取付板12A、12Bにより取付けられたリニアモータ用の励磁固定子で、夫々ヨーク10AY、10BYとヨークの櫛歯部に巻回した励磁コイル10AC、10BCとから成り、硅素鋼板等の積層体から成るヨーク10AY、10BYの櫛歯部後方の基部側の積層部には、冷却流体が流通する冷却パイプ14A、14Bを挿通する千鳥状の穴が設けられている。
【0034】
図示構成の場合、永久磁石片11A、11Bを列状に片側2列張り付けた軽量体クイル8から成る可動子と、ヨーク10AY、10BYと励磁コイル10AC、10BCとから成る固定子とから成るリニアモータは、型式としては永久磁石可動型のリニア交流同期モータ(LSM)で、磁石片列に応じ、励磁コイル10AC、10BCも、片側夫々2列設けているが、磁石片列を各1列として励磁コイルを各1個としても良い。また、当該リニア交流同期モータ(LSM)は、リニア直流モータ(LDM)のコイル電流を3相としたものであるから、リニアモータとしては、このリニア直流モータ(LDM)を使用することが出来るだけでなく、より高速駆動が可能なリニア交流誘導モータ(LIM)も使用しても良い。但し、このリニア交流誘導モータ(LIM)の場合には、可動子と固定子の間に磁気吸引力ではなく、磁気反発力が発生作用することになる。
【0035】
何れにしても、軽量体からなるクイル8等の可動子構造体の移動方向と直角水平な左右の両側面にリニアモータを形成して設けることにより、クイル8の左右両側におけるリニアモータの可動子と固定子間の磁気吸引力(反発力)をバランスさせて打ち消させ、この水平左右方向の力の打消し合いによりクイル8の軸運動の真直性を向上させ、直線案内装置9に与える負荷を著しく軽減させることができる。
そしてこの、クイル8の左右両側面に於ける磁気吸引力(反発力)を平衡させて打消させ得るように、ヨーク10AY、10BYの各取付板12A、12Bの背板面に分布して設けた押しねじと引きねじにより、ヨーク10AY、10BYの傾き調整及び/または前後進位置決めにより、可動子側永久磁石片11A、11Bの板面と各ヨーク10AY、10BY間の間隙を等しく、図示の場合左右の各リニアモータの磁気吸引力が等しくなるように間隙調整が可能に構成されているものである。勿論、調整設定後は、前記押しねじと引きねじを、固定剤で固定するようにしてもよい。
【0036】
13は、軽量体クイル8の直線移動位置を検出する高検出速度のリニアスケールで、図示の場合スケール13Aがクイル8前面に、これに対向する加工ヘッド7前方内面にセンサ13Bが取付けられ、検出位置信号を移動位置指令信号が与えられる駆動装置にフィードバックして、励磁コイル10AC、10BCに制御された作動信号を出力する。而して、前記図5の変更実施例の場合は、このリニアスケール13が、クイル8背面とコラム前面2Aとの間に設けられているが、その機能や作動等は、前述のものと実質上同一のものである。
【0037】
以上の構成であると、下方先端に電極取付手段8Aを有する軽量体クイル8の荷重を重力に抗して持ち上げておく構成がない。このため前述の先行技術では、カウンターバランス手段が設けられているが、クイル8の上昇、下降に於ける加速度が重力の加速度1G程度、またはそれ以上になると、バランサが応答できず振動することになる。このため本発明ではクイル8をコラム2または加工ヘッド7に保持させる手段として、シリンダ15A、ピストン15B、ロッド15C及び図示しないバルブ、配管等から成るエアバランサ15を少なくとも1個設けたもので、該エアバランサ15は、シリンダ15Aまたはロッド15Cの一方をコラム2(ヘッド7)またはクイル8の一方に固定し、かつ夫々他方同志を連結乃至固定することによりクイル8をコラム2(又はヘッド7)に保持させることができるものである。しかるところ、図示実施例の場合はバランス良く、かつ省スペース状態とするためにエアバランサ15のシリンダ15Aをクイル8の貫通孔8Bに同軸状に挿入し、上縁部のフランジ部15Dでクイル8と連結し、ロッド15Cの上端を連結杆16を介してコラム2に連結固定したものである。
【0038】
そして、図6に示すように、このエアバランサ15にはコンプレッサ等の空気圧源18から、例えば約7kg/cm2の圧縮空気が、エアドライア19、出力3kg/cm2のエアレギュレータ20、及び出力2.5kg/cm2の精密エアレギュレータ21を介して、シリンダ15Aの上室15RUに加圧空気が導入され、下室15RDは実質上開放された状態とすると、エアバランサ15は、左右の両リニアモータが作動して可動子のクイル8を送り制御及び位置決めした位置にシリンダ15Aと一体に持ち上げ保持した状態を保ち、ここでクイル8が下降送りされると増圧するが、所定値を越えると、精密エアレギュレータ21で一定圧に制御されている上室15RUのエアは排出されて一定圧に戻り、逆にクイル8が上昇すると減圧する上室15RUにエアが急速に送り込まれて一定圧となるようにハイ・レリーフバルブ付等の精密エアレギュレータ21が作動し、低イナーシャ(低慣性モーメント)でクイル8の重量バランスを取り、高速応答を可能としている。
【0039】
またクイル8の上昇、下降に伴うエアバランサ15に対する精密エアレギュレータ21からの加圧空気の供給と排気の作動の態様としては、正常な放電加工状態でのサーボ制御による間隙変化長さが、前述約10〜100μm程度以内の状態のときは応答せず、前記間隙変化長さが、上記正常状態中のサーボ制御による間隙変化長さ以上、例えば、約200μmを越える異常状態回避のサーボ制御送りの時、または周期的作動か、間隙状態検出判別による作動で、設定最低ストロークが約200μm以上である電極ジャンプ時に、加圧空気の給排が応答するように、クイル8とエアバランサ15間か、エアバランサ15と連結杆16の間等に、クイル8の前記約200μm以内の上昇、下降の移動では、シリンダ上室15RU内の圧力が、精密エアレギュレータ21が作動する迄変動しないように、その機械的連結に、上記約200μm程度の隙間等によるガタまたはバックラッシュを持たせておく構成とすることが、正常状態でのサーボ送り制御上好ましいようである。なおこの場合、例えば上記正常加工状態が継続して、加工送り込み長さの累計が、上記約200μm以上に達したら、精密エアレギュレータが作動するようになること当然である。
【0040】
上述図1〜6中に於ける本発明のサーボ送り制御方法に用いる送り機構の好ましい実施例は、図2又は図5の加工ヘッド部の切断平面図に於いて、第1に送り駆動手段としてリニアモータを用いることであるが、下方直下先端に電極等の取付手段を有するクイル自体をそのリニアモータの可動子として構成すること、そしてクイルの軸と直交する対向側面にリニアモータを夫々1個又は2個設けて強い磁気吸引力または反発力を相殺させた状態で軸方向に駆動送りする構成とし、この目的のためにリニアモータの可動子クイルとヨークと励磁コイルとから成る固定子間の対向微小間隙を調整設定し得るように構成し、そして、折角使用するリニアモータの高速応答及び高速移動特性が損なわれないように被駆動の可動子クイルを軽量とするためにクイル軸芯に穴を穿った中空柱状体とし、そして、さらにより軽量で熱影響の少ない可動子クイルとするために前記中空柱状体のクイルを焼結成形したセラミック製、または炭素繊維強化プラスチック製とするものであり、そしてこの軽量になった可動子クイルを、好ましくは、エアバランサを設けて支え、可動子クイルが低イナーシャで、バランス良く保持され、かくすることにより、サーボ制御送りに於て、0.1μm以下の最小設定単位長さの送りを数msecまたはそれ以下の応答速度で制御を行うと共に、電極ジャンプに於いて、加速度が1G以上となる場合にも円滑に応答して高速で移動し、加工休止時間を少なくして、リブ加工等を効率よくを実行させ得る等の使用の態様となるものである。なお、送り長さが大きく、クイルが長尺になって、磁石可動子として高重量となる可能性がある場合には、クイル側にヨークと励磁コイルを取付けた、可動子コイル型のリニアモータの構成とすること当然である。
【0041】
図7は、本発明サーボ送り制御方法の実施に使用する送り機構の別の実施例を示す前述図2及び図5と同様な形彫り放電加工機の図1A−A線に沿う切断平面図で、同一物または同一作用物には同一の符号が付されている。前述図2及び図5のものと相違する点は、セラミックス製等の構造体クイル8が、切断平面図に於て、口の字状の四角形中空柱状体であることと、励磁固定子10A,10Bと永久磁石片11A,11Bを設けた磁石板8C,8Cとから成る2つのリニアモータと、例えば、クロスローラベアリング等から成る直線案内装置9,9とが互いに直角にクロスして、加工ヘッド7に側面四方から案内支持及び直線送り駆動されるように構成されていること、及び前記クイル8を保持するエアバランサ15のシリンダ15Aがコラム2等固定側に設けられ、クイル8がピストンロッド15Cに連結杆16を介して連結され、図示しないピストン15Bと一体に昇降する構成となっている点のみである。かかる構成によれば、バランス良く確実に保持されている以上、リニアモータによるクイル8昇降の作動時に、クイル8に対する駆動軸芯と案内軸芯とが、クイル8の中心軸に重なってあるかの如くに作動することになり、直線案内装置9,9に負担がかかりにくく好ましいが、リニアモータの間隙や案内装置9,9の調整に配慮した構成とすることが必要な場合がある。また、必要ならば、エアバランサ15のシリンダをコラム2の左右両側に2個設け、クイル8を支持させるようにしてもよい。
【0042】
図8は、また本発明サーボ送り制御方法の実施に使用する送り機構の別の実施例を示す前述図7と同様な切断平面図で、セラミックス製等の構造体クイル8が、切断平面図に於て、T字型をしている点で前述迄の実施例のものと相違するが、この実施例はクイル8の前面8D(図では上方)に突出して、例えば回転割出し(C軸)を兼ねる回転駆動源モータ(R軸)を有する電極等工具主軸を取付けようとする物の一例である。この場合、構造体クイル8は、長尺の板状体の2枚の板を組合わせ結合した構成であっても良く、例えば、Tの字の柱の部分が前述図2に示した中空柱状のクイル8で、その前面に板状体を組合わせ結合した構成とすることが考えられる。又クイルの前面8Dを水平面と一致させて水平に配置すると、水平2軸の一方又は両方のサドルやラム、あるいはテーブルを載置して取付けた水平軸の駆動構造体の送り装置とすることができ、この水平方向の送り装置とするときには、前述したようなカウンタバランサやエアバランサ等は不要となる。
【0043】
図9は、以上図示説明したようなリニアモータを送り駆動手段として組み込むとともに、そのリニアモータの可動子が、機械的に高速応答かつ高加速度で、高速度で移動し得るように構成された送り機構を、その機能及び性能を発揮し得る検出判断、処理、及び駆動を行うことにより本発明放電加工の送り制御方法及び加工制御方法を実現する高速サーボ処理方式の送り制御装置の一実施例の構成を示すブロックダイアグラム図である。
【0044】
22は、加工電極6と被加工体23とが微小間隙を置いて相対向する加工液中加工部加工間隙であり、該微小間隙22は、フィードバック制御によって生成されたサーボアンプ28からのサーボ信号としての出力駆動電流により加工電極6または被加工体23をリニアモータ10によって駆動し送ることにより維持される。上記加工間隙22には、加工用電源24から休止時間を有する電圧パルス等の加工電圧が印加され、所定に保たれた間隙22での間欠放電の発生により、所望とする正常放電加工が進行する。前記加工間隙の電圧は、ローパスフィルタリング処理により取出されると共にA/D変換によりデジタル信号に変換して判断処理に出力されるが、図示の実施例では、先ず間隙電圧をカットオフ周波数が5KHzのローパスアナログフィルタ25を介して取り出され、次のA/D変換検出回路26は10KHzのサンプリング周波数でフィルタ25から取り出した電圧を記憶すると共にデジタル化された平均電圧信号を造って記憶して行く。そして次段のカットオフ周波数150Hzのデジタルローパスフィルタ27は、検出回路26が出力する平均電圧信号を10KHzのサンプリング周波数で、サンプリングし、サンプリング電圧データを記憶すると共にNC装置からの設定サーボ基準電圧SVとの演算処理のための検出平均加工電圧信号を造って記憶して行く。
【0045】
29は、PID制御のサーボアルゴリズム部で、リニアモータ10へ出力するサーボアンプ28の出力駆動電流が出力トルク指令に合致したものかどうかを検出フィードバックして制御すると共に、前記リニア位置検出装置13から検出位置信号と検出位置信号を速度変換機29Aを介し速度信号としてフィードバックしており、後述する移動指令分割部30から入力する移動量指令値とで演算して、前記トルク指令を生成して出力する所謂位置、速度、及び電流の各制御ユニットの縦続接続体から成る位置制御回路である。
【0046】
30は、前記位置制御のサーボアルゴリズム部29に、サーボ制御の1ループの処理を繰返すサンプリング時間として設定された所望の短い時間の経過毎に、制御された前記の移動量指令を供給する移動指令分割部で、前記の移動量の指令値は、NC等の制御装置から入力する目標深さの設定である加工位置指令31とサーボ送り速度である加工速度指令32と、位置検出装置13からの検出位置のフィードバック信号とによって、前記加工位置指令を所定微小単位に分割した分 割位置指令によって前記移動量指令を演算生成させるとき、該移動量指令の大きさを放電加工間隙の加工状態に適合依拠させるよう、前記検出平均加工電圧とサーボ基準電圧33との比較器34による比較偏差電圧を、前記サーボ制御の設定された短いサンプリングタイム毎に前記デジタルローパスフィルタ27から時々刻々の前記検出平均加工電圧を取り出して入力させているものである。
【0047】
本発明は、設定サーボ基準電圧SVとの比較により前述偏差電圧を生成するよう比較器34に入力する平均加工電圧を、検出部においてローパスフィルタリングするとともにサンプリング検出、およびA/D変換して得たデータの平均を順次に取って行くと共に記憶し、これを前記移動指令分割部30からの所定の短い時間間隔を置いてより低い充分低周波のデジタルローパスフィルタ27へのリクエスト・サンプリングに応じ、前記記憶しているデータを前記所定の短い時間中の平均加工電圧データとして出力し、この所定の短い時間間隔毎にサーボ基準電圧SVとの比較演算でその短い時間毎の偏差電圧を得ると共に該偏差電圧に制御された移動量の指令信号を生成出力し、リニアモータ10の作動を位置制御のサーボアルゴリズム部29により制御するものである。
【0048】
35は、前述の加工電極6と被加工体23が近接状態で約10〜100μmの間隙を維持しながら安定加工をしているサーボ送り制御状態とは別に、加工間隙に堆積等して加工不安定化を惹起する加工屑等を加工間隙から排出させるための、電極6と被加工体22を相対的に所定距離開離後、元の間隙位置近傍に迄近接復帰させる往復運動、電極ジャンプを行わせるために設けられたジャンプ軌跡生成部で、ジャンプ移動速度、ジャンプ開離上昇時間、または開離上昇距離の少なくとも1つ以上が入力設定され、或いは更に必要に応じ手動による選択設定のジャンプ周期等が入力設定され、生成ジャンプ軌跡データを前記位置制御のサーボアルゴリズム部29に供給し、電極ジャンプを所定周期等で行わせる。なお、このジャンプ運動の軌跡データが位置制御のデータとして入力して、ジャンプ運動を開始した作動中は、例えば、前記移動指令分割部30が、サーボ送り制御の検出部であるデジタルローパスフィルタ27に平均加工電圧のデータ出力要求を出さずにサーボ送り制御の作動は一時停止等させるものである。
【0049】
前記ジャンプ軌跡生成部35の一具体例につき説明するに、図10の表で示すように、設定されたジャンプ移動速度VJと、該移動速度でのジャンプ上昇時間Tmsecを入力設定すれば、電極6先端等の座標位置Lは、T×VJ=Lにより定まるものである。図に於て、座標位置Lについて見ると、ステップ1でL=0は、ジャンプ開始時のスタート位置、ステップ2のL=100μmは、上昇時間100msecの1/2の時間、50msecをかけたスローアップであり、ステップ3のL=上昇距離−100μmは、スローアップ以外の所望上昇距離をほぼ移動速度VJで移動させるようにするもので、ステップ4は、上昇頂点でのドウェル時間、ステップ5は全上昇距離の降下行程、またステップ6は、元の加工中の位置への復帰によるジャンプ動作の終了を示す。
【0050】
図11は、上述のようにしたジャンプ条件の設定により、図7の送り機構と図9の送り制御回路を用いてジャンプ動作を行わせた場合の、電極先端の時間に対するジャンプ速度の変化の特性曲線を示しており、縦軸に速度(0.1μm/sec)、横軸に時間(sec)が目盛ってある。この特性曲線の場合、上昇時における移動速度の立ち上がりから最高速度に達する迄の間の平均加速度は、約10m/sec 2 ≒1Gであるが、前記立ち上がり時と最高速度に達する時点を除く途中の加速度は、約15m/sec 2 ≒1.5Gで、これは最上昇位置(速度零)から下降に転じて、下降時最高速度に達する迄の間もほぼ同様である。
【0051】
図12は、前記図11の速度の特性曲線Aに、電極先端の位置(座標)を同一時相で重ねて特性曲線Bとして表記してある。なお、この図12の場合の上昇時間は約0.06sec(60msec)となっているので、図11のものとは合致しない。
そして、これらの特性曲線図によれば、ジャンプ加速度が大きいところから移動速度が大きく、さらに応答速度も相当に大きいものであるから、上昇距離が数10mmまたはそれ以上に及ぶ大ストロークのジャンプ作動を、約0.2sec程度、従って通常、常時は、全ての設定可能なストロークのジャンプを0.2sec以内で終了させることができ、従ってジャンプを必須とする加工に於ける加工休止時間を従来に比べ著しく短縮させることができ、そして、上記ジャンプ動作が高加速度で、高速度の移動で行われるところから、加工間隙や加工穴内の加工液等の攪拌、流動が強力かつ完全で、ポンプ作動等による加工穴等からの加工液等の排出も強力かつ完全なものとなり、加工拡大代が小さい、高い形状寸法精度の加工を、安定かつ高速に行うことができ、そして、従来この種の加工パルス電源に搭載されている多種多様の複雑なパルスや電流の制御等を必要としなくなる可能性が高く、斯種電源及び装置を簡単化して低価格化できる可能性を有するものである。
【0052】
以下に、さらに実験例等を説明するが、使用したリニアモータを送り駆動手段として組み込んだ送り機構としては、前述図7に記載説明した送り機構のものを使用し、リニアモータとしては前記交流同期モータ(LSM)で、定格推力500Nで、推力定数80N/Aのモータを2個、合計1000Nの推力を作用させて駆動したものである。
【0053】
図13は、前述チョン掛け加工の結果による、異なるサーボ送り機構間の性能評価を説明するための特性曲線図で、縦軸に加工深さ(mm)、横軸に加工時間(min)が目盛ってあり、曲線Aは、前段落で説明した図7のリニアモータを使用した送り機構に、図9のサーボ送り制御回路を前述所定の短い時間、即ちサーボ処理の繰り返しの時間間隔、サンプリングタイムを2msecとした場合の加工進行特性、曲線Bは、送り機構の構成を従来型の交流サーボモータ、歯車列及びボールねじを使用した場合、また曲線Cは、上記曲線Bのものに於てさらにサーボ送り制御回路を上述図9以外の従来型のものを用いた場合で、加工深さ約3mmで、その優劣は極めて顕著である。なお、加工条件等は表中に記入のものを用いた。
【0054】
図14は、前述図13と同じチョン掛け加工で、曲線AとCは図13の曲線A及びCと同一のものであるが、その他の曲線A−1,A−2、及びA−3は、上述曲線Aのものに於ける図9のサーボ処理のサンプリングタイムを、A−1:3msec、A−2:5msec、及びA−3:10msecにそれぞれ設定した場合の加工特性曲線で、この結果によれば、実験例の送り機構の場合、上記サーボ処理サンプリング間隔をより短く設定してサーボ送り制御をすることが有効なことが判る。
【0055】
図15乃至18は、前述リニアモータを搭載した図2又は図7等の送り機構に図9のサーボ送り制御回路を組み合わせて、種々の放電加工条件のものを、高加速度及び高移動速度のジャンプ運動を行わせたときの放電加工性能を従来のジャンプ運動付き放電加工機の加工性能を対比して示した特性曲線図で、横軸に加工時間(minまたはhour)、縦軸に加工深さ(mm)が目盛ってあり、さらに図中に加工条件やジャンプ特性の数値、或いは一部には加工特性の数値等が記入してある。なお、この図15乃至18の加工は、何れも加工液無噴流の加工である。
【0056】
図15は、電極材がCuで、断面が2mm×5mmのストレートリブ加工で、加工穴の深さが深くなると加工継続が不可能になる場合がある等、従来より難加工と言われているものである。図中の特性曲線A、B、及びCは、前述の図13のA、B、及びCのものに対応するもので、曲線Aは前述本発明のもの、曲線Bは従来の交流サーボモータ、歯車列、及びボールねじから成る送り機構に図9のサーボ送り制御回路を組み合わせた場合のもの、また、曲線CはBのものに於けるサーボ送り制御回路が従来例の場合のものであり、ジャンプ動作数値は、Aの場合のジャンプストローク約22mm以外、A、Bについては書込み記載の通り、Cについては移動速度及び最大移動速度ともBより遅い以外はBと同一条件である。そして、この図は、従来例のCによれば、加工時間約4時間、加工深さ約25mmが加工限界で、これ以上は正常加工が不能であるが、Bのようにジャンプ速度を約4m/minと言う従来あまり例がない高速度にすることにより、加工深さ約25mmには、加工時間約2時間48分で到達して、更に加工を進行させることができること、そして本発明のAによれば、一段と高速度のジャンプを行わせることにより、加工深さ約25mmには約1時間55分で到達し、更に加工開始時と一貫したほぼ一定の加工速度で加工が進行することを示しているものである。そして、このA曲線の場合、前述のジャンプ移動及び加工速度を高速化する加速度は、約1G程度またはそれ以上である。
【0057】
図16の特性曲線図は、電極として断面が2mm×30mmの点、加工条件の電圧パルス幅の設定が少し大きい点以外は、前述図15のものとほぼ同一で、特性曲線A、Bに対応するもののみを示している。図によると、Bのものは加工深さが約25mmを過ぎる頃から寝てくるのに対し、Aのものは、加工深さ20mm前後から立ってきて加工速度がかえって速くなるようである。そして、この図15と図16の各特性曲線AとBとの相違は、サーボ送り制御方式が、図9で両者同一であるところから、多くの割合で送り機構が相違する点にある可能性があるものの、それらの組合せの整合性の問題もあるようである。
【0058】
図17は、電極材がグラファイト、断面1mm×38mm,テーパ1度のリブ加工と言う点以外は、前述図15のものと実質上同一で、前述したA、B、C間の加工特性の傾向は、電極材等の違いに殆ど依存していないことが判る。
【0059】
図18のものは、前述図17のものと殆ど同じで、曲線Aの場合のジャンプ最大速度を図17の18m/minから約30m/min増大させた場合の特性図で、ジャンプストローク最大約50mm、平均で約25m/minの移動速度に対し、ストローク約41.6mmに増大しているが、加工休止時間を殆ど増大させなくて作動させることができ、加工性能が向上しているものである。
【0060】
以上は、本発明を図示した実施例をもとに説明を加えたが、上述した本発明の精神を逸脱しない範囲で、各部に種々の変更を加えての実施が可能なものである。例えば、電源が無停電電源でない場合、停電するとクイル8が落下することになるから、停電時に作動してクイル8をコラム2又は加工ヘッド7に固定するメカロック機構を設けることが推奨される。また、この可動子クイルの落下防止のための前述メカロックに代えて、設定下死点以下への移動を防止する、好ましくは調整可能な下ストッパをクイル8とコラム2または加工ヘッド7間、或いは電極取付手段8Aと加工槽内加工テーブル間に設けるとか、図3等に示したように、リニアモータへの磁性塵埃の進入を防止するための加工ヘッド7の上下を閉塞する蛇腹の取付及びその構成、さらにリニアエンコーダ13とともに、またはこれに代えて永久磁石11A又は11Bの位置を検出する磁電変換素子等のポールセンサをヨーク10AY又は10BYに設けるようにしても良い。
【0061】
【発明の効果】
以上のように、本発明のサーボ送り機構によれば、リニアモータを駆動送り手段として組み込んだクイル等の放電加工の送り装置を、駆動により往復等させる直線運動を軸運動の直線性を向上させた状態でバランス良く高速度で行わせ得ると共に、高応答性で、高い制御性を有するように構成することができるので、その鉛直方向の、加工のためのサーボ送り制御や加工屑等排除のための電極ジャンプ等の直線往復運動を軸運動の直線性を向上させた状態で、バランス良く、そして真に所定の高速度で移動させることができると共に、高速応答性で、高い制御性を有することとなり、上記サーボ送り制御状態での正常で良好な放電加工を実現させて、加工性能を一段と向上させると共に、電極ジャンプを使用する加工における加工性能を一段と向上させることができるようになるのである。
【0062】
そして、本発明は上述のようなリニアモータを組込み構成したサーボ送り機構に、サーボ送り制御回路装置として、位置制御装置としてのサーボアルゴリズム部と、該サーボアルゴリズム部に移動量の指令を制御装置からの指令、設定、及び加工部被制御系からの検出位置信号と検出平均加工電圧により演算生成する移動指令分割部と、前記平均加工電圧の検出部とから成り、該平均加工電圧の検出部は、加工間隙の加工電圧を取り出すカットオフ周波数5KHzのアナログローパスフィルタ、該アナログローパスフィルタから10KHzサンプリング周波数で電圧データを取り出してA/D変換する検出回路、該検出回路からサンプリン グ周波数でA/D変換された電圧データを取り出して平均値を求め検出平均加工電圧として記憶していくカットオフ周波数150Hzのデジタルローパスフィルタとから成り、前記移動指令分割部が前記移動量指令を演算生成するとき、大凡10msec程度またはそれ以下の短いサンプリングタイム毎に、前記デジタルローパスフィルタにリクエストして記憶している検出平均加工電圧を出力させ、該検出平均加工電圧と制御装置からのサーボ基準電圧との偏差電圧として入力させるようにし、前記短いサンプリングタイム毎にサーボアルゴリズム部に、入力移動量指令に応じたトルク指令を出力して、リニアモータに駆動電流を与えサーボ制御するようにしたから、高応答のリニアモータをその特性に従って高応答で作動させ、放電加工間隙を所望の一定値に維持させる一方で、変化が生じても高応答で復帰させ、所望良好な放電状態を維持させて放電加工性能を所望に高く発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の送り機構を搭載した形彫り放電加工機の全体構成を示す斜視図。
【図2】図1のA−A線に沿う加工ヘッド部の一実施例の切断平面図。
【図3】図1のB−B線に沿う加工ヘッド部の一実施例の切断左側面図。
【図4】図1のC−C線に沿う加工ヘッド部の一実施例の切断正面図。
【図5】図2と同じく、図1のA−A線に沿う加工ヘッド部の異なる実施例の切断平面図。
【図6】図3の切断左側面図に一実施例のエアバランサ用エア供給源を付加して示した図。
【図7】図2又は図5と同じく、図1のA−A線に沿う加工ヘッド部の異なる実施例の切断平面図。
【図8】図7と同じく、さらに異なる実施例の切断平面図。
【図9】送り機構に対して作動信号を供給するために設けられる高速サーボ送り制御回路の実施例ブロックダイアクラム図。
【図10】電極ジャンプ動作条件の設定内容の一例を示す表。
【図11】電極ジャンプ動作時のジャンプ中の移動速度の変化を示す特性曲線図
【図12】図11の移動速度の変化A中に、移動体の移動座標Bを付加して示した図。
【図13】送り機構の違いによる加工性能の相違を示す特性曲線図。
【図14】サーボ信号の処理時間の違いによる加工性能の相違を示す特性曲線図。
【図15】電極ジャンプの実験比較例を示す特性曲線図。
【図16】他の電極ジャンプの実験比較例を示す特性曲線図。
【図17】また、他の電極ジャンプの実験比較例を示す特性曲線図。
【図18】また、他の電極ジャンプの実験比較例を示す特性曲線図。
【符号の説明】
1 ベッド
2 コラム
3 サドル
4 ラム
5 加工槽
6 加工電極
7 加工ヘッド
8 クイル
8A 電極取付手段
8B 中空貫通孔
8C 軟磁性板
9 直線案内装置
10A,10B 励磁固定子
10AY,10BY ヨーク
10AC,10BC 励磁コイル
11A,11B 永久磁石
12A,12B 固定子取付板
13 リニアスケール
14A,14B 冷却液パイプ
15 エアバランサ
15A シリンダ
15B ピストン
15C ロッド
15RU シリンダ上部室
15RD シリンダ下部室
16 連結杆
17 リニアクロスローラベアリング
18 エア供給源
19 エアドライヤ
20 エアレギュレータ
21 精密エアレギュレータ
22 加工間隙
23 被加工体
24 加工電圧源
25 アナログローパスフィルタ
26 A/D変換器
27 デジタルローパスフィルタ
28 サーボアンプ
29 サーボアルゴリズム部
30 移動指令分割部
31 加工位置指令
32 加工速度指令
33 サーボ基準電圧
34 比較器
35 ジャンプ軌跡生成部
Claims (4)
- 加工電極と被加工体とが相対向して形成する微小加工間隙に加工液を介在させ、前記加工間隙をサーボ送り制御によって所定に維持させながら休止時間を置いた間欠的な電圧パルスを印加し、繰り返し放電を発生させて加工する放電加工の前記サーボ送り制御方法において、
前記サーボ制御の送り機構が、加工電極または被加工体を取付けたクイルと、該クイルを送り方向に直線移動可能に加工ヘッド内に案内保持する直線案内装置と、前記クイルを可動子として送り移動させるように固定子とともに加工ヘッド部に組み込まれたリニアモータと、前記クイルの直線移動位置を検出して前記リニアモータの作動を制御するリニア位置検出装置とを備え、
前記のサーボ送り制御が、前記リニアモータへ出力するサーボアンプの出力電流を検出フィードバックして前記サーボアンプにトルク指令を出力するとともに、前記位置検出装置による検出速度と位置の信号がフィードバックしているPID制御のサーボアルゴリズム部と、加工位置指令と加工速度指令が制御部から入力し、設定サーボ基準電圧と検出加工電圧との比較による偏差電圧と前記位置検出装置からのフィードバック位置信号とにより演算し、前記加工位置指令を微小に分割した移動量の指令に生成させて前記サーボアルゴリズム部へ出力する移動指令分割部とを備え、
さらに前記加工間隙の電圧検出部であって、前記検出加工電圧をローパスフィルタリングするとともにサンプリング検出及びA/D変換して順次に得たデータの平均値を取って蓄積し、前記移動指令分割部からの、サーボ制御の1ループの処理を繰り返す時間として設定された所定の短い時間毎のリクエスト信号に応じ、前記蓄積したデータを前記所定の短い時間中の加工平均電圧として前記基準電圧との比較演算処理に繰り返し出力させて前記サーボ送り制御することを特徴とする放電加工の送り制御方法。 - 前記加工間隙電圧の検出部が、アナログローパスフィルタ、所定のサンプリング周波数のA/D変換検出回路、及び所定のサンプリング周波数のデジタルローパスフィルタとを有する請求項1に記載の放電加工の送り制御方法。
- 放電電極と被加工体とが相対向して形成する微小加工間隙に加工液を介在させ、前記加工間隙をサーボ送り制御によって所定に維持させながら休止時間を置いた間欠的な電圧パルスを印加し、繰り返し放電を発生させて加工する放電加工のサーボ送り制御装置において、
前記サーボ制御の送り機構として、加工電極または被加工体を取付けたクイルと、該クイルを送り方向に直線移動可能に加工ヘッド内に案内保持する直線案内装置と、前記クイルを可動子として送り移動させるように固定子とともに加工ヘッド部に組み込まれたリニアモータと、前記クイルの直線移動位置を検出して前記リニアモータの作動を制御するリニア位置検出装置とを備え、
前記加工間隙の電圧を検出するアナログローパスフィルタと、該フィルタの検出電圧を所定のサンプリングタイムでサンプリングしてA/D変換する検出回路と、該検出回路の検出電圧を所定のサンプリングタイムで検出し、検出電圧の平均を取った検出平均加工電圧を記憶するデジタルローパスフィルタと、
前記デジタルローパスフィルタにリクエスト信号の入力があったとき出力する前記記憶平均加工電圧とNC制御装置の出力サーボ基準電圧と演算して偏差電圧を出力する減算部と、前記NC制御装置から加工位置指令と加工速度指令が入力するとともに前記リニア位置検出装置から検出位置信号がフィードバック入力し、さらにサーボ制御の1ループの処理を繰り返す時間間隔として設定された所定の短い時間毎に前記リクエスト信号をデジタルローパスフィルタに出力し、前記減算部より偏差電圧が入力して演算し、前記加工位置指令を微細に分割した移動量指令信号として出力する移動指令分割部と、該分割部からの前記分割された移動量指令信号と前記リニア位置検出装置から検出フィードバックして入力する検出位置と速度の信号により演算してトルク指令を出力するPID制御のサーボアルゴリズム部と、前記トルク指令の入力を受けてリニアモータの励磁コイルに制御された駆動電流を出力し、該出力駆動電流を検出して検出電流信号をサーボアルゴリズム部へフィードバックするサーボアンプとから成ることを特徴とする放電加工の送り制御装置。 - 前記サーボ制御の送り機構が、可動子としてのクイルを重量に釣り合う反力を加えるエアバランサにより加工ヘッドまたは固定部に鉛直方向移動自在に保持される構成を備えているものであることを特徴とする請求項3に記載の放電加工の送り制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34347998A JP4152507B2 (ja) | 1998-12-02 | 1998-12-02 | 放電加工の送り制御方法及び放電加工の制御方法、並びに放電加工の送り制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34347998A JP4152507B2 (ja) | 1998-12-02 | 1998-12-02 | 放電加工の送り制御方法及び放電加工の制御方法、並びに放電加工の送り制御装置 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000167717A JP2000167717A (ja) | 2000-06-20 |
JP2000167717A5 JP2000167717A5 (ja) | 2006-01-19 |
JP4152507B2 true JP4152507B2 (ja) | 2008-09-17 |
Family
ID=18361847
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34347998A Expired - Fee Related JP4152507B2 (ja) | 1998-12-02 | 1998-12-02 | 放電加工の送り制御方法及び放電加工の制御方法、並びに放電加工の送り制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4152507B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9440301B2 (en) | 2013-06-12 | 2016-09-13 | Sodick Co., Ltd. | Sinker electric discharge machining apparatus |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8525064B2 (en) | 2009-11-12 | 2013-09-03 | Denso Corporation | Electric discharge machine and method of producing nozzle body using the same |
CN106984877B (zh) * | 2017-04-20 | 2019-09-06 | 南京航空航天大学 | 切深分层可调的放电烧蚀铣削快速进给伺服控制方法 |
CN110120764A (zh) * | 2019-04-30 | 2019-08-13 | 苏州市宝玛数控设备有限公司 | 一种电火花小孔加工用步进电机驱动主轴伺服控制系统及方法 |
CN114012188B (zh) * | 2021-11-19 | 2022-12-16 | 哈尔滨工业大学 | 磁悬浮伺服驱动主轴宏微复合微细电火花加工方法及装置 |
CN114559118B (zh) * | 2022-03-07 | 2023-07-11 | 深圳市常兴技术股份有限公司 | 一种cnc金刚石刀具开槽设备 |
JP7311729B1 (ja) * | 2022-11-16 | 2023-07-19 | ファナック株式会社 | ワイヤ放電加工機の制御装置および制御方法 |
WO2024105819A1 (ja) * | 2022-11-16 | 2024-05-23 | ファナック株式会社 | ワイヤ放電加工機の制御装置および制御方法 |
-
1998
- 1998-12-02 JP JP34347998A patent/JP4152507B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9440301B2 (en) | 2013-06-12 | 2016-09-13 | Sodick Co., Ltd. | Sinker electric discharge machining apparatus |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000167717A (ja) | 2000-06-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1108490B1 (en) | Apparatus for electrodischarge machining | |
US7293337B2 (en) | Machining apparatus | |
JP4152507B2 (ja) | 放電加工の送り制御方法及び放電加工の制御方法、並びに放電加工の送り制御装置 | |
JP2007237375A (ja) | 複合工作機械 | |
CN201224044Y (zh) | 数控机床用斥力型磁浮直线进给系统 | |
WO2000032343A1 (fr) | Appareil de gravure par etincelage | |
JP2002346871A (ja) | 工作機械等の送り装置 | |
US9440301B2 (en) | Sinker electric discharge machining apparatus | |
CN113695993A (zh) | 一种振动辅助激光磁流变复合抛光装置 | |
JP3732355B2 (ja) | プレス機械 | |
US20020180386A1 (en) | XY table for a semiconductor manufacturing apparatus | |
US6627838B2 (en) | Small hole electric discharge machine | |
JP3657905B2 (ja) | 放電加工の送り装置 | |
JP3542508B2 (ja) | 放電加工の送り機構 | |
JP2002192426A (ja) | 放電加工の送り装置 | |
JP2000218443A (ja) | 放電加工の送り装置 | |
JP4041299B2 (ja) | 放電加工方法および放電加工機 | |
US7000537B2 (en) | Press and machine tool | |
JP2000225527A (ja) | 形彫り放電加工機 | |
JP2000167717A5 (ja) | ||
JP2002346844A (ja) | 工作機械等の送り装置 | |
JP4034106B2 (ja) | プレス機械および工作機械 | |
JP4256247B2 (ja) | カウンタバランス装置を有する機械構造体の送り機構 | |
JP4084109B2 (ja) | 移動体駆動装置 | |
US6747238B1 (en) | Apparatus for electrodischarge machining |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20051130 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051130 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070824 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070904 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071127 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080128 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080701 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080702 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110711 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110711 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120711 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120711 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130711 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |