JP4152431B2 - エストロゲン/プロゲスチン/アンチプロゲスチン方法並びに経口避妊及び月経調整のためのキット - Google Patents

エストロゲン/プロゲスチン/アンチプロゲスチン方法並びに経口避妊及び月経調整のためのキット Download PDF

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Description

【0001】
発明の背景
本発明は、アンチプロゲスチンとの組合せ物の形でエストロゲンを用いるか又はエストロゲン−プロゲスチンを用いた雌哺乳動物生殖腺における経口避妊並びに月経の調整及び/又は閉経期前、閉経期周囲期(para-menopausal)及び閉経期後の雌の予定外出血の減少を達成するための方法及びキットに関する。
【0002】
エストロゲン/プロゲスチン組合せ物経口避妊薬の形での排卵の抑制は、女性における医薬品による可逆性生殖能力コントロールを達成するための最も有効な措置であったが、特に40〜44歳の年齢グループの喫煙女性におけるこの方法での長期避妊に関係する既知の不利な副作用という理由から、長年にわたり、より低いエストロゲン投与量での避妊を達成することへの関心が高まっていた。
【0003】
このようにして、エストロゲン/プロゲスチン組合せ物経口避妊薬の30年の歴史の間に、閉経期前の雌の場合の経口避妊目的及び閉経期後の雌の場合のエストロゲン代償治療(estrogen replacement therapy)の両方に対して毎日のエストロゲン投与量の着実な減量調整が行なわれてきた。例えば、有利な実施態様として、閉経期前の雌に、1周期あたり全体で28日間に対して23日間もしくは24日間(23〜26日間)、17β−エストラジオール1mg及びレボノルゲストレル(levonorgestrel)0.075mgを含有する錠剤を1日1個投与し、これに「丸剤なし」日ないしは無丸剤の日が5日間もしくは4日間(2〜5日間)を続けることが開示されている欧州特許出願公開第0253607号明細書並びに、該欧州特許出願公開明細書中で引用された参考文献を参照されたい、なおこれら全ての文献の開示する内容は、参考のために本明細書中に記入されている。
【0004】
同時に、プロゲスチン成分も、ある程度減量されてきたのではあるが、男性ホルモン的性質(androgenicity)の減少は依然として、目下の最優先事項である。これとともに、処方のこのような適応は、種々の養生法の中に単相的にも多相的にも存在していた。結果として、今日の経口避妊薬は、エストロゲンに関係する血餅障害の発生及び苦痛並びに、循環内の高い密度のリポタンパク質コレステロール量を維持する、より「脂質に優しい」プロゲスチンの漸増する衝撃に関してかなり安全になっている。Spellacy, WN他; ”Am J Obstet Gynecol”1980; 137; 109; Scott, JZ他,”Fertil Steril”1978; 30:141; Mishell, DR Jr.他,”J Reprod Med.”1990; 35(追補4); 447-481; Speroff L., ”Contemp Obstet Gynecol”1991; 36:65; Meilis GB他, ”Contraception”1991; 43; 23;及びStamplfer MJ, Willett WC他,”Am J. Obstet Gynecol”1990; 163: 285を参照されたい。
【0005】
このような経口避妊薬処方の発展は、最も急速にヨーロッパで促進され、かつアメリカにおいても着実に現われている。それどころか、1日につきエストロゲン20〜35μgのみを含有する経口避妊薬丸剤を基礎とする蓄積するデータに促されてフード・アンド・ドラッグ・アドミニストレーションズ・ファーティリティ・アンド・マターナル・ヘルス・ドラッグス諮問委員会(the Food and Drug Administration’s Fertility and Maternal Health Drugs Advisory Committee)は、閉経期周囲期(perimenopausal)の数年間(即ち35〜50歳)の健康な喫煙しない女性のための低い投与量の経口避妊薬を示唆した(Mishell(1990)及びSperoff(1991)の上記文献; U.S. Food and Drug Administration、Advisory Committee on Maternal and Reproductive Health, 1989, Rockville, Maryland; 及びRosenberg, L.他JAMA 1985; 253:2965を参照のこと)。日本の場合には現在、経口避妊薬は、安全性及び有効性の最初の基準について評価されている最中であり、かつ約1年以内に医師及び患者が一般的に入手可能であると予想される。
【0006】
2つの重要な問題点、即ち(1)避妊効果の維持;及び(2)子宮内膜出血のコントロールの際のさらなる糜爛の回避は、経口避妊薬の場合のエストロゲン−プロゲスチン医薬品の毎日の投与量の減量化を考慮すると一層低い場合には、複雑である。現在入手可能な最も低い投与量の経口避妊薬製品でさえ持続された避妊効果を示しているのに対して、全般的に、破綻出血(breakthrough bleeding)(不時の月経もしくはスポッティング(sptting))又は「丸剤なし」週間(予定された月経)中の投薬中止無月経(withdrawal amenorrhea)の際の出血コントロールの問題の発生は、エストロゲン/プロゲスチン投与量が減少される場合には増加する。”Endometrial Bleeding and Steroidal Contraception”;Diczfalusy E, Fraser RS, Webb FTE(編),Bathe, England: Pittman Press; 1990: 14-19中のGray, RH.及びCullbey G.他,”Contraception”1982; 26:229を参照されたい。
【0007】
発明の目的
本発明の目的は、経口避妊及びホルモン代償治療におけるエストロゲン及び/又は、2種類同時に投与される場合のプロゲスチンの毎日の投与量での減少に関係する出血コントロールの問題を解決することである。
【0008】
本発明のもう一つの目的は、極めて低い量のエストロゲン及び/又はプロゲスチン経口投与量での雌哺乳動物における避妊を達成するための方法を提供することである。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、正常な月経を可能にしかつ月経の開始を調整する方法を提供することである。
【0010】
さらにもう一つの目的は、医薬品が自動投与される方法を提供することである。
【0011】
もう一つの目的は、常用の経口投与量もしくは低い経口投与量のエストロゲン−プロゲスチン経口避妊及びホルモン代償治療に関係する副作用を有していない方法を提供することである。
【0012】
もう一つの目的は、本発明による方法を実施するためのキットを提供することである。
【0013】
もう一つの目的は、エストロゲン/プロゲスチン経口避妊もしくはエストロゲン及び/又はプロゲスチン代償治療を受けている雌の場合に月経を誘発させること及び/又は予定外出血(破綻出血、スポッティング)を減少させることに有効である医薬品を提供することである。
【0014】
他の目的は、本発明の関する分野の当業者には明らかである。
【0015】
発明の概要
方法の面で本発明は、破綻出血及び投薬中止無月経の発生を惹起するに十分な低さの、エストロゲンの単独もしくはプロゲスチンとの組合せ物の形での投与量を雌哺乳動物に投与することに関係する出血の問題を、該雌に、破綻出血の減少もしくは排除に有効であり、かつ場合によっては、月経が誘発されるための、蓄積された子宮内膜組織の腐肉形成の誘発にも有効である量のアンチプロゲスチンを定期的に投与することによって回避する方法に関する。
【0016】
製品の面で本発明は、月経誘発量のアンチプロゲスチンを、雌の生殖腺の場合の少なくとも20日間の避妊期間中に中断することなく毎日摂取された場合には経口避妊の達成に有効である量のエストロゲン及びプロゲスチンとの混合物の形で含有している、経口摂取に適合されており、かつエストロゲン−プロゲスチン経口避妊又はエストロゲンもしくはエストロゲン−プロゲスチンのホルモン代償の医薬品治療を受けている雌の場合の月経誘発に適合された医薬品に関する。
【0017】
別の製品の面で本発明は、エストロゲン及びプロゲスチンを、20日間もしくはそれ以上の期間毎日1投薬単位が摂取される場合には、人間の女性の生殖腺の場合の経口避妊の達成に集合的に有効であるが、しかし破綻出血及び/又は投薬中止無月経の発生を促進する量でそれぞれ含有している少なくとも20経口投薬単位を含有しかつ常法で配列された、例えばバーレックス研究所(Berlex Laboratories)の「レビエン21(”Levien 21”)」に類似したキットに関する。
【0018】
本発明による、上記キットの第1の実施態様の場合には、月経を誘発する量のみのアンチプロゲスチンを含有している付加的な経口投薬単位が、20日間もしくはそれ以上のエストロゲン/プロゲスチン経口投薬単位の摂取後に摂取されるために配置されている。このキットの実施形態の一変種の場合には、アンチプロゲスチン含有経口投薬単位に先行するエストロゲン/プロゲスチン組合せ物経口投薬単位の数は、例えば21単位もしくはそれ以上、例えばさらに20単位もしくは180単位にまで増加される。閉経期周囲期及び閉経期後の雌の場合のエストロゲン代償治療の際の使用を意図した、他の変種の場合には、プロゲスチンは、錠剤の幾つかもしくは全てから省略され、かつアンチプロゲスチンは、破綻出血を顕著に減少させかるかもしくは排除するか、及び/又は蓄積された子宮内膜組織の剥脱を誘発する量で存在する。これら変種は、医薬品によって調整された自分の月経周期の長さを通常の4週間の期間を超えて延長することが要求される個体のためのものである。
【0019】
本発明によるキットの第2の実施態様の場合には、例えばバーレックス研究所の「レビエン28(”Levien 28”)」に類似して、上記の第1の実施態様の20単位もしくはそれ以上の経口投薬単位の後に服用されるために配置された形で、「1日1錠」養生法を維持しかつ投薬の新しい周期が開始した際に個体が思い出すために、6単位もしくはそれ以上の偽薬経口投薬単位が存在する。
【0020】
キットの第3の、かつ有利な実施態様の場合には、上記の6単位もしくはそれ以上の偽薬経口投薬単位の代りにキットは、第1の実施態様の最初の21単位の投薬単位に相応する低い投与量のエストロゲン及びプロゲスチンをそれぞれが含有している経口投薬単位28単位もしくは29単位もしくは30単位を含有している。この実施態様の場合には、第22日に服用されるために配置された投薬単位は、月経誘発量のアンチプロゲスチンも含有している。
【0021】
詳細な説明
本発明は、通常より低いエストロゲン及びプロゲスチン投与量を使用することによって経口避妊が達成される場合に頻度が増加する破綻出血及び投薬中止無月経の発生を、約21日間毎日のエストロゲン及びプロゲスチン経口投与の毎月の周期の「医薬品なし」、即ちエストロゲンなし及びプロゲスチンなし週間中ならびに有利に、中断されない毎日のエストロゲン及び/又はプロゲスチン投与中に月経が予期される場合にはいつでも、アンチプロゲスチンを用いて月経を誘発することによって最小化することができるか又は完全に回避することができることを見出したことを基礎としている。
【0022】
同様にして、正常な月経は、アンチプロゲスチンを用いて、同時に連続した低い投与量のエストロゲン/プロゲスチン経口避妊養生法を中断することなく達成することができる。アンチプロゲスチン、例えばRU 486の定期的な、例えば30日間、60日間もしくは90日間の間隔をおいての投与と組み合わせた形の連続した極めて低い量のエストロゲン/プロゲスチン経口避妊養生法によって、予測可能な月経コントロールが提供される。
【0023】
上記方法に対する生理学的な根本的理由は、下垂体−卵巣−子宮軸の薬剤による抑制のより小さな度合いを、「卵胞脱出(”follicular escape”)」を回避するための中断のない養生法の場合を除いて維持するためである。今日の低い投与量の経口避妊薬製品を用いることによって、強壮な卵胞成長は、「丸剤なし」期間中に、先の10年間により高い投与量の丸剤が使用された場合により急速に再開することができる。一方、全てが「丸剤なし」の7日間に促進されることが知られている急速な子宮内膜増殖を伴う強められた内因性エストラジオール分泌によって、月経間の破綻出血は殆ど生じず、かつ投薬中止無月経も殆ど生じない。プロゲステロン拮抗物質の間欠投与は、蓄積された子宮内膜組織の剥脱を、4週間ごとにか又は延長された間隔、例えば60日、90日、120日、150日、180日もしくはそれ以上の日数ごとに、経口避妊養生法の丸剤なしの中断をせずに確実にする程度に計画される。
【0024】
本発明による、月経を誘発するための間欠の、即ち約1か月ごともしくはそれ以上、例えば2か月もしくは3か月ごと、年4回もしくは年2回のアンチプロゲスチン投与によって、異常な出血の問題、例えば破綻出血及び投薬中止無月経は、内因性血清エストラジオールの卵胞相のレベルを常用の低い投与量のエストロゲン/プロゲスチン経口避妊に関係するレベルより高いレベルで維持することによって回避される。
【0025】
正常な月経周期の場合にはプロゲステロンは、排卵後に生成される黄体から生産される。本発明による避妊方法の場合には、プロゲスチンは、エストロゲンと一緒に、調整された各周期の少なくとも終了近く、例えば各周期の最後の約2週間に、増殖性子宮内膜を分泌相に変換するために投与され、この変換によって、無競争のエストロゲン作用に関係する子宮内膜癌の危険が減少される。しかしながら月経は、アンチプロゲスチンが投与される場合には、エストロゲン及び/又はプロゲスチンの投与が月経周期の月経の週に中断されるかどうかに関係なくアンチプロゲスチンのみを用いて達成される。
【0026】
通常投与されるエストロゲン及びプロゲスチンの毎日の経口投与量は、女性において確実な避妊もしくはホルモン置換治療を達成する最も低い量であり、即ち、避妊に関してエチニルエストラジオール約5〜35mcg.及びノルエチンドロン アセテート(norethindrone acetate)約0.5〜1.5mg.に等量の投与量である。毎日の投与量は、1か月間同じであってもよいし、又は、バーレックス研究所の「トリ−レビエン(”Tri-Levien”)」の場合と同様に、例えば毎月の月経が予期される場合には週によって変化してもよく、この場合、エストロゲン及びプロゲスチンの両方もしくはいずれか一方の投与量を周期中の月経週間中に減量することもできるし、排除することもできる。しかしながら、上記物質の投与が月経週間中に排除もしくは減量される場合には、周期の他の週の間の該物質の投与量は有利に、例えば第2週、特に第3週の間、月経前に破綻出血が発生しないことを保証するために、相応して増加される。
【0027】
同様に、例えば閉経期後の女性の場合において毎月の月経が予期されない場合には、エストロゲン及び/又はプロゲスチンの投与量は、延長された期間にわたる低いレベルのエストロゲン及び/又はプロゲスチンの投与の結果としての破綻出血の孤立した症例を阻止するために、定期的に、例えば、最後の月経後の予め決められた期間に、基線となる長期の投与量を上回って簡単に増加させることができる。
【0028】
本発明に使用することができるプロゲスチンの例は、微小化プロゲステロン(15〜50mg/日)、ノルエチンドロン(norethindrone)及びそのエステル、例えばアセテート(0.1〜0.75mg/日)、ノルエチノドレル(0.3〜0.6mg/日);エチノジオールジアセテート(0.3〜0.75mg/日)、ノルゲストレル(norgestrel)(0.05〜0.2mg)及びレボ−ノルゲストレル(levo-norgestrel)(0.03〜0.15mg/日)、クロルマジノン アセテート、シプロテロン(cyproterone)、シプロテロン アセテート(cyproterone acetate)、ノルエチンドロン、デソゲストレル(desogestrel)、ノルゲスチメート(norgestimate)、ジヒドロスピレノン(dihydrospirenone)、レボ−ノルゲストレル(levo-norgestrel)及びゲストデン(gestodene)(Schering社、Berlin; 米国特許第4081537号明細書)(レボ−ノルゲストリル(levo-norgestril)0.03〜0.15mgに等量)である。
【0029】
化合物の一覧表については、月経前期に活性である化合物が開示されている、B. Runnebaum他著の文献の記事”Female Contraception: Update and Trends”、Springer-Verlag、Berlin、1988、64〜90頁、109〜121頁、122〜128頁及び129〜140頁を参照されたし。例えば、種々のプロゲスチンが記載されている65頁及び68〜70頁;合成プロゲストゲンが記載されている110頁及び111頁(図1及び表1);ゲスタゲンが記載されている122頁、図1;並びにプロゲストゲン、或いは、米国特許第4681875号明細書及び同第4738957号明細書に記載された、長く作用するエストリオールのエステルが記載されている129〜133頁(図1〜10)及び137頁、表2を参照されたし。
【0030】
本発明に使用することができるエストロゲンの例は、エチニル エストラジオール及びエストラジオール並びにそれらのエステル、例えばアセテート、バレレート、ベンゾエート及びウンデシレート、(5〜15mcg/日)メストラノール(mestranol)(20〜25mcg/日)並びに複合エストロゲン(5〜15mcg/日)である。
【0031】
プロゲスチン及びエストロゲンは、選択されたプロゲスチン及びエストロゲンが活性であるいずれの経路ででも、例えば経口、筋肉内注射、経皮でかもしくは陰唇(vaginal ring)経由で常法で投与することができる。殆どのエストロゲン及び合成プロゲスチンは、経口活性であり、かつさらに有利に、この経路で、例えば錠剤、糖剤、カプセル又は丸剤の形で投与される。プロゲスチン及び/又はエストロゲンが錠剤もしくは糖剤の形で投与されるべき場合には、プロゲスチン及び/又はエストロゲンは、場合によっては、医薬品として受容されうるキャリヤー、例えば結合剤、例えばトラガントゴム、コーンスターチもしくはゼラチン;膨化剤、例えばアルギン酸;及び潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムを含有していてもよい。また、エストロゲン及び/又はプロゲスチンは、経皮又は陰唇経由で供給されてもよい。
【0032】
エストロゲン及び/又はプロゲスチンは、アンチプロゲスチン単独で月経の誘発に有効であるため、中断なしに投与されるか、又はエストロゲン及び/又はプロゲスチンの投与は、月経中もしくは月経前に、例えば、アンチプロゲスチン投与の第1日に開始されかつその後約6日間続けて中断することができる。このようにしてエストロゲン及びプロゲスチンは、通常より低い投与量で6か月間もしくはさらに長く中断せずに投与することができ、この期間中には月経は、予期されかつ予め選択された周期で、例えば20日、30日、60日、90日、120日、150日もしくは180日ごとに、アンチプロゲスチンの月経誘発量を月経開始が予期される日の前の1日間、2日間及び/又は3日間投与することによって誘発することができる。
【0033】
本発明に使用することができるアンチプロゲスチンの例は、RU 486(”Mifepristone”, Roussel Uclaf, Paris);及び「オナプリストン(”Onapristone”)」(Schering社、Berlin; 米国特許第4780461号明細書)並びに、米国特許第4609651号、特に化合物リロプリストン(11β−(4−ジメチルアミノ−フェニル−17β−ヒドロキシ−17α−(3−ヒドロキシ−プロプ−1−(Z)−エンジル−4,9(10)エストラジエン−3−オン);米国特許出願番号第06/827050号、特に化合物11β−4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(1−プロピニル)−4,9−エストラジエン−3−オン及び11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(3−ヒドロキシ−1(2)−プロペニル)−4,9−エストラジエン−3−オン;米国特許出願番号第07/283632号;公開された欧州特許出願公開第04042831号明細書に相応する米国特許出願番号第07/541806号の特許明細書及び特許出願公開明細書に記載されたステロイド;及び他の抗妊娠物質(antigestations)、例えば米国特許第4891368号、である。1回量又は24〜72時間にわたる分割量でのアンチプロゲスチンの投与量は、典型的に約50〜500mgである。予測可能な程度に月経を誘発する必要最も低い量は、臨床経験の繰り返しから容易に決定することができる。
【0034】
アンチプロゲスチンが例えば1回量又は分割量で同じ日又は連続する数日間に投与された後に、月経は通常、その後3〜4日以内に達成される。
【0035】
場合によっては、アンチプロゲスチンは、エストロゲン及びプロゲスチンの毎日の投与量との混合物の形で周期の中の適当な日もしくは数日間、例えば第20日もしくはその後のいずれかの日、例えば第30日、第60日、第90日、第120日、第150日及び/又は第180日に投与することができる。
【0036】
製品の実施態様において本発明は、本発明による方法を実施するための材料、試薬及びキットに関する。
【0037】
キットについては本発明は、経口投与に適当である20〜28投与単位を有する、別の点では常用の多重投与単位製品に関する。全ての変種は、最初の20単位もしくはそれ以上の単位に、その投与単位1単位が連続した21日間自動投与される場合には、1周期の間の卵胞発生(folliculogenesis)の遮断に有効であるが、しかし出血問題の発生の回避に有効である量より少ない量のエストロゲン及びプロゲスチンを集合的に含有している。21投与単位変種の最後の投与単位及び22〜28投与単位変種の第22投与単位は、出血問題の発生の抑制及び月経の誘発に有効である量のアンチプロゲスチンを含有している。28投与単位変種の第22〜28投与単位の各々は、最初の21投与単位と同様に、低い投与量のエストロゲン及びプロゲスチンを含有している。
【0038】
有利に、エストロゲン及びプロゲスチン及び/又はアンチプロゲスチンを含有している投与単位は、経口投与に適合されているが、しかし選択的に舌下、直腸、膣もしくは局所(皮膚塗布における)用に適合されていてもよい。また有利に、経口摂取に適合された単位は、錠剤、カプセルもしくは糖剤の形である。さらに有利にアンチプロゲスチンは、エストロゲン及びプロゲスチンを含有している同じ単位中に含有されている。
【0039】
本発明による方法に使用される医薬品は通常、医薬品として受容可能な常用のキャリヤーとの複合体の形でアンチプロゲスチンを含有する。通常、アンチプロゲスチンの有効投与量は、経口投与の場合には宿主の体重1kgにつき約1.0〜約10mgである。有効投与量は、選択された投与方法及び治療される哺乳動物の種とともに変化する。
【0040】
医薬品の面で本発明は、月経誘発量のアンチプロゲスチンを、混合物の相応する量が雌の哺乳動物の生殖腺の場合に連続して21日間摂取される場合には経口避妊的量の経口活性のエストロゲンもしくは経口活性のプロゲスチン及び場合によっては、例えば本明細書中前記の、医薬品として受容可能な常用のキャリヤー、例えば、固体投与形態の場合には結合剤、増量剤もしくは希釈剤又は水性液もしくはアルコール液との混合物の形で含有する経口投薬形態、例えば丸剤、錠剤、カプレット(caplet)もしくはカプセル又は液体に関する。該組成物は、連続的もしくは逐次的なエストロゲン及びプロゲスチン避妊養生法、例えば、月経が予期される場合には、通常の結合された毎日の経口エストロゲン及びプロゲスチン摂取が行なわれる個体によって摂取されることが意図されている。
【0041】
本発明による医薬品によって、経口用エストロゲン/プロゲスチンを大量の形で、例えば、30個、60個もしくは100個の錠剤もしくはカプセルの瓶の形又は液体の瓶の形で供給することが可能であり、それというのも、該医薬品の毎日の投与が投与期間を通して変化せずに維持することができるからである。
【0042】
さらなる推敲なしに以上の記載をもって、当業者が本発明を最大限に利用することができることと確信される。したがって、次の有利な特定の実施態様は、いかなる意味においても、開示されていない残りの部分をより詳細に説明するものであり、かつ、制限するものではない。
【0043】
上述の記載及び次の実施例の場合には、全ての温度は、訂正されずに、摂氏度で記載されており、かつ、他に記載のないかぎり、全ての部及びパーセンテージは、重量によるものである。
【0044】
上記及び下記の全ての特許出願明細書、特許明細書及び刊行物の文章の全体は、参考のために本明細書中に記入されている。
【0045】
実施例
: 連続的な極めて低い投与量による避妊中の間欠的アンチプロゲスチン投与
霊長目
通常の推定による排卵月経周期(調査開始に先立つ月について28.7±3.4日間)を有する成体の雌のアカゲザル(Macaca mulatta)34匹を選択した。これら動物の自然月経の持続期間は、3.7±1.6日間であった。これら霊長目は、女性における視床下部−下垂体−卵巣−子宮軸の機能に対する広範囲の生理学的類似性という理由から人間の経口避妊薬使用の調査のための価値ある研究室用代表者である。Hodgen, GD.,”Fertil Steril”1982; 38:281; Danforth DR.他,”Contraception”1989: 39:321;及びvan Uem JFHM,他,”Contraception”1989; 40:171を参照されたし。
【0046】
猿の平均体重は、5.8±1.6kg(X±SEM)であった。猿を、管理された環境下(照明12時間及び23℃)に個別に収容した。猿の食事は、市販の霊長類用フード(Purina社、St. Louis, MO)であり、かつ任意に水を与えた。
【0047】
イースタン・ヴァージニア・メディカル・スクール(Eastern Virginia Medical School)は、完全に公認の動物研究施設をそのアニマル・ケア・アンド・ユーズ委員会(Animal Care and Use Committee)によって、ナショナル・インスティトゥーツ・オブ・ヘルス(the National Institutes of Health)の”Guide for Care and Use of Laboratory Animals”、パブリック・ヘルス・サービス(the Public Health Services)の”Principles for the Care and Use of Laboratory Animals”及び米国農務省の1985年改正の動物福祉法(the Animal Welfare Act)の実施規則に示された調査基準に従って維持している。
【0048】
調査計画
調査を2部に分けて実施した: 第1部は、各周期が胃管栄養の場合の経口投薬21日間及びこれに続く非治療7日間からなる3周期の経口避妊治療周期の適合インターバルであり、このようにして市販の経口避妊丸剤パッケージの伝統的な養生法を模擬した。この計画によって、全ての個体(過程を終了した猿32匹)が最初の調整インターバル中に、先行する人間のデータが、より長期の避妊薬使用者の中で発生する場合より一時的に高い破綻出血の発生を示した投薬養生法の作用を受けることが確認された。Gray(1990); Culbey他(1982)の上記参考文献を参照されたし。膣用綿棒(塩水0.9%中で湿潤された綿が先端に取り付けられた塗布具)及び他の実施方法を、出血を検出する(主観的にスポッティング、中程度の月経又は明白な月経として記録される)ために毎日午前7〜9時に実施した。第2治療周期の場合にのみ、しかし前駆週間を含めて、毎日の血液試料を大腿部の静脈から、軽度のケタミン(ketamine)麻酔下で採集した(30〜50mg、in Vetalar, Parke Davis, Morris Plains, NJ)。血清を採取し、かつエストラジオール及びプロゲステロンのラジオイムノアッセイまで凍結した(−15℃)(Danforth他(1989); van Vem他、(1989)上記文献)、このラジオイムノアッセイを調査の第2部の開始前に終了させ、このことによって、排卵抑制が極めて低い投与量の養生法で達成されたことが確認された。
【0049】
第2部の場合には、この霊長目の30匹を無作為に各6匹の5個の治療グループに割り当てた: (1)第1部で使用した経口避妊投薬を6か月間続行した(21+7日間の養生法);(2)第30日、第60日、第90日、第120日、第150日及び第180日の治療日におけるアンチプロゲスチン(RU 486)の1日経口投与と組み合わせた連続した(「丸剤なし」インターバルのない)毎日のエストロゲン−プロゲスチン投薬; (3)プロゲステロン拮抗物質を第60日、第120日及び第180日のみに投与したこと以外は第2グループに同じ; (4)Ru 486を第60日、第120日及び第180日のみに投与したこと以外は第2グループに同じ; 並びに(5)アンチプロゲスチン治療を全く伴わない180日間の連続的なエストロゲン−プロゲスチンによる毎日の治療。上記第1部の場合と同様の、膣出血を検出するための毎日の監視を187日間で中止した。大腿部の血液を、プロゲステロン増量による潜在的な現状打破性排卵(breakthrough ovulation)を同定するために終始1週間に1回採集し;血清値約1.0ng/mlは、卵巣黄体機能及び可能性のある排卵を示すものとみなされた。同様に、これら同じ標本を、進行中の内因性エストロゲン生合性を監視するためにエストラジオール量について分析した。それぞれ第1グループ及び第3グループの猿2匹を、1匹は皮膚発疹のため、もう1匹は局所的治療を必要とする拇指の感染のため、進行中の工程成績表から外した。皮膚発疹及び拇指感染のどちらも、上記ホルモン治療に関係するとは思われない。
【0050】
医薬品
極めて低い投与量の経口避妊を達成するため、かつ使用される市販医薬品をこれら実験室用の霊長類の(人間より)小さな体重に適合させるために、エチニル エストラジオール1.2μg/日及びノルエチンドロン アセテート0.06mg/日の経口投与量を使用した。これは、1錠につきノルエチンドロン アセテート1mg及びエチニル エストラジオール20μgを含有する市販の丸剤(常用の21日分パックの”Loestrin 1/20”、Parke Davis, Morris Plains, NJ)を粉砕することによって達成した。
【0051】
第2部の周期の場合には、RU 486(”Mifepristone”, Roussel Uclaf, Paris)の周期を1回50mgの錠剤として、連続的なエストロゲン−プロゲスチン経口避妊養生法と組み合わせて間欠的に投与したが、但し、第1グループ及び第5グループの動物は除外した。先の調査は、RU 486のこの投与量が子宮内膜受容体、子宮筋層受容体及び頸部受容体からの天然プロゲステロンを置換するのに十分であることを示し、この場合、自然月経に匹敵する、即時的(通常48時間以内)かつ完全な、子宮底組織及び子宮狭部組織の両方の剥脱が誘発される。Healy DL他,”Fertil Steril”1983; 40;253; Danforth DR他,Contraception 1989; 40:199を参照されたい。エストロゲン及びプロゲスチン成分が既に結合されているため、プロゲスチンはRU 486投与のインターバル中でさえ含まれていた。
【0052】
人間への投与量の等量との比較という観点から、猿によって受容された毎日の投与量は、猿の体重約6kg及び女性の体重60kgをもって、エチニル エストラジオール約12μg及びノルエチンドロン アセテート0.6mgであった。このようにして、この極めて低い投与量の経口避妊薬の処方によって、現在アメリカもしくはヨーロッパで市販されている最も低い投与量の経口避妊薬組合せ物の一つに匹敵する、毎日のエストロゲン−プロゲスチンによる暴露(exposure)が40%減量された。伝統的な21+7日間の工程成績表と比較して、1年間を基礎としてさらに92日の治療日が存在する連続的な極めて低い投与量の養生法を使用した場合を考慮してさえ、この治療によって、外来のエストロゲン−プロゲスチン暴露の年率は20%以上減少される。
【0053】
統計学的評価及び結果
平均及び標準誤差として計算された、調査第1部の場合のグループの結果間の相違点を、F統計量を使用することによって比較し、この場合、P<0.05有意差のレベルで試験を行なった。
【0054】
観察される2つの月経要素(破綻出血率及び投薬中止(「丸剤なし」)月経の持続時間)は、いかなる有意差(P>0.05)も示さなかったが、しかし一定の傾向が観察され、即ち、(1)破綻出血率が第2及び第3周期で顕著に低くなり;かつ(2)「丸剤なし」インターバル中の投薬中止月経の持続時間が月ごとに僅かに減少した。また、予期される投薬中止月経の時期での投薬中止無月経の発生(観察された第3の月経要素)は第3治療周期で、第1治療周期と比較して顕著に増加した(P<0.05)。エストラジオール及びプロゲステロンの循環量は、下垂体のゴナドトロピン分泌へのエストロゲン−プロゲスチン医薬品の抑制作用を間接的に反映していた。血清エストラジオールは、第2周期中の治療日に隣り合った「丸剤なし」インターバル中に明らかに増加したが、しかし卵胞成熟は、投薬の再開によって覆い隠され、この場合、治療及び抑制なしで最高レベル約60pg/mlの場合に第21日の25pg/ml近くまで示されていた。血清プロゲステロン量がアッセイの検出下限でかもしくは該検出下限近くで終始維持されていたことから、データは、排卵が確実に32匹の猿全てにおいておそらく遮断されていたことを確実に示していた。
【0055】
調査の第2部から得られたデータを、180日までの6治療周期中の子宮内膜出血のプロフィールをもつ治療グループによって記載した。破綻出血もしくは月経に対する平均(+SEM)の日数を、記録された発生の全体数(第1グループの場合には1治療周期あたり、又は第2〜5グループについては30日間のインターバル)をグループ中で観察された個体数で割ることによって計算した。データの表作成の場合には、月経(予期されたインターバルでの投薬中止によるかもしくは誘発された出血)を、第1グループについては「丸剤なし」インターバル以内又は、連続した極めて低い投与量の経口避妊中のRU 486の間欠投与後7日以内に(第2〜4グループ)検出された膣出血として記録した。同様にして、経口避妊薬の投薬中止の期間又はプロゲステロン拮抗物質投与の直後の期間のの、月経が予期されるこの期間中に膣出血が観察されないことを、投薬中止無月経として記録した。
【0056】
第1グループについては、破綻出血の発生は、第1周期ないし6周期で殆ど変化はなかった。しかしながら、第1部の場合のデータと比較された、全体的に第2部で得られたデータは進歩的に、破綻出血率において2.4倍の減少(P<0.05)を示していた。統計学的有意性(P≦0.05)は、第1部の第1周期に対して、第2部の第3治療周期及び第6周期でも達成された。
【0057】
30日、60日もしくは90日間隔での間欠的なRU 486の1回量に関係する第2〜4グループについては、全ての破綻出血の発生は、統計学的比較を第1グループと比較して第2〜4グループの結合されたデータ全体について行なった場合には、57%減少された(P<0.05)。しかしながら、第5グループは、連続的な極めて低い投与量の経口避妊に対して独自の反応を明らかに示した。破綻出血の頻度は、他の全ての調査対象グループ(P<0.05)と比較して、第5の、及び顕著には第6の30日間のインターバルにおいて緩慢に上昇した。
【0058】
丸剤投薬中止又はRU 486によって誘発された月経について、伝統的な21+7日間の養生法で投与される、極めて低い投与量の経口避妊薬によって、治療前の自然月経周期(1.7±0.5日、全体として3.7±1.6日に対して、それぞれ)の日数より少ない(P<0.05)日数の月経出血が結果として得られ;RU 486後の月経は、中断された丸剤周期のみを用いた場合より長い期間(3.1±0.8日;P<0.05)であった。RU 486で治療されたグループ間の出血のプロフィールにおける有意差(P>0.05)は、存在しなかった。最後に、180日間の極めて低い投与量の経口避妊薬投薬の中断のない過程を受けたこれら霊長類(第5グループ)は、他の治療されたグループより長い投薬中止月経の持続時間を示した(4.9±3.5日、P<0.05)。しかしながら、観察される個体性度は、統計有意差(P>0.05)の達成が前治療周期中に見出されるのを妨害した。
【0059】
第2部の場合の無月経の発生は、RU 486が連続的な経口避妊薬養生法に間欠的に添加された場合には顕著に減少された。数匹については膣出血の存在が1日もしくは2日と同程度の短さであったが、実際上、RU 486後に出血を示さない猿はいなかった。これとは対照的に、21+7日間の常用の養生法又は極めて低い投与量の経口避妊薬の連続的な投与のどちらか一方のみが使用される場合には、無月経の発生率は、全体的に20〜30%の範囲内であった(P<0.05)。
【0060】
第2部を通して、毎週の血清プロゲステロン量は、1.4ng/mlの値が検出された場合の一例を除いて1.0ng/ml未満で維持された。該試験体の再検定によって、濃度0.26ng/mlが得られ、このことは、可能性のある卵胞もしくは黄体の高められた活性度を示しているというよりもむしろ、初期値が偽検定に由来している可能性があることが示唆されている。同様に、全体として、180日間の調査期間中の血清エストラジオール濃度は、第1〜5グループについてそれぞれ37±19pg/ml、23±7pg/ml、27±7pg/ml、22±5pg/ml、25±3pg/ml及び26±6pg/mlであり、この場合、RU 486に関係なく、全体として、連続的な低い投与量の経口避妊薬養生法期間中の有意に(P<0.05)より低いエストロゲン量が示されていた。
【0061】
上記の結果は、21日間の投薬及び7日間の「丸剤なし」日の常用の養生法又は180日間の中断されない治療のどちらかを使用した場合には排卵を遮断するのに十分である、使用された極めて低い投与量の経口避妊薬に一致する。しかしながら、出血問題、即ち、「丸剤なし」インターバル中の破綻出血又は投薬中止無月経のいずれかの発生は、治療方法が伝統的な21+7日間の計画であったか、延長された連続的な治療であったかに関係なく、RU 486がエストロゲン/プロゲスチン治療に組み合わされた形で投与された場合と比較して増加した。
【0062】
間欠的に30日、60日もしくは90日間隔でのアンチプロゲスチンRU 486の付加は、出血という側面から見て、2つの改善点に結合するものであった。月経間のインターバルでの減少された破綻出血及び予期される時期での信頼性のある月経誘発は観察され、この場合、このようにして投薬中止無月経は排除された。同様に、全般的に誘発された月経の持続時間は、RU 486後に僅かに増大した。連続的なっ経口避妊薬治療をRU 486なしで使用した場合には、破綻出血の頻度は、適度に第5の、及び特に第6の30日間のインターバルに上昇した。プロゲステロン拮抗物質の単独投与を30日、60日もしくは90日間隔で受けた、同様に治療された雌は一致して、アンチプロゲスチンなしの伝統的な21+7日間の計画もしくは連続的な投薬の場合の結果と比較して最も低い(57%低い)破綻出血率を体験した。
【0063】
経口避妊薬の使用を開始した女性における破綻出血の頻度は、最初の丸剤周期では、後続の周期より高いことが知られている。このしばしば報告される観察が、医薬品に対するホルモン調整の生物学的作用並びに経口避妊薬を体験してない女性の中の信頼性のない使用者の屈従と両方を反映していることと確信される。これら霊長類モデルの上記試験の結果は、次のような意見とある程度一致している;即ち、破綻出血の発生のおける漸進的な減少は、通常の21+7日間の養生法で投与される、極めて低い投与量の経口避妊薬を用いた治療の最初の3〜4か月を通して観察される。破綻出血の観察された絶対頻度は、女性の場合にしばしば報告される頻度より低かったが、しかし、この頻度は、実験的には猿における屈従の強制及び/又は他の、投与量、養生法もしくは種に関する違いによるものである可能性がある。さらに、この霊長類を第1部の3周期にわたるこの循環する治療計画中、第2部でこれら霊長類を5つのグループに分離する前に安定化することによって、低い投与量の経口避妊薬の使用に関係する出血のコントロールの問題へのRU 486の効果に対する我々の洞察を改めた。RU 486が顕著に少ない破綻出血に密接に関係していたばかりではなく、該アンチプロゲスチンは、確実にある程度の出血を、30日、60日もしくは90日のいずれかで間隔で投与されることに関係なく常に72時間以内に誘発した。間欠的なRU 486による治療なしでは、出血が予期される時期での無月経の発生は、21+7日間の常用の養生法と180日間の連続した治療の両方のみを用いた場合(第5グループ)には高まった。この最後のデータは、連続的な経口避妊薬養生法には、漸増する出血の不整を回避するために子宮内膜の臨時の剥脱が要求されることを示している。
【0064】
前記データから、経口避妊の連続的な極めて低い投与量の養生法と間欠的なRU 486との期間中の改善された出血コントロールに対するいくつかの可能性のある説明を与えることができる。例えば、血清エストラジオール量は、25pg/ml近辺で殆ど不変であり、かつ、伝統的な21+7日間の養生法が使用されたRU 486治療である場合には、一時的な「卵胞脱出」の間の「丸剤なし」インターバルを特徴付けるエストラジオールの分泌腺破裂の不在は、次の3つの方法で作用する:(1)子宮内膜への、急速な子宮内膜増殖を調節することへの抗突然変異誘導物質的性質による抑制;(2)エストロゲン優勢を上回るプロゲスチンの過剰な度合の否定(この場合、ノルエチンドロン アセテート:エチニル エストラジオールの比は50:1である);並びに(3)子宮内膜の蓄積を惹起する延長された連続的な経口避妊養生法、及び最後に、より高い破綻出血率は、組織の臨時の剥脱によって相殺することができる。
【0065】
全般的に、上記の霊長類による調査の結果は、(1)エストロゲン−プロゲスチン経口避妊薬の毎日の投与量のさらなる減少;(2)毎日の丸剤の服用間隔が中断なしに30日、60日及び90日に延長されている連続的な極めて低い投与量の経口避妊薬養生法;並びに(3)ともに今日のより低い投与量の経口避妊薬養生法に関係していることが知られている、月経間の破綻出血率を減少させるため及び投薬中止無月経の回避を保証するための、連続的な経口避妊薬養生法と組み合わされたアンチプロゲスチンの間欠的な1回量を実現する可能性に一致している。
【0066】
このようにして、本発明は、経口避妊薬の安全性、使用者の満足度及び使用者の承諾度を、避妊効果を含むことなく増大させることに有用である。さらに、女性における避妊効果が犠牲になっておらずかつ実際には、21日周期の丸剤パッケージを使用された場合と同様に、中止−開始の日の使用者の記憶を必要としない連続的なエストロゲン/プロゲスチン養生法によって強化されており、かつ月経のニュアンスに追従する多くの患者がアンチプロゲスチンの間欠的な包含によって有意に減少されるという理由から、このようにして、極めて低い投与量のエストロゲン/プロゲスチン経口避妊薬は、十代から閉経期を通して性的に活性である女性にとってますます望ましくなる。
【0067】
付加的に、その循環経口避妊薬投薬から通常の投薬中止月経を4週間ごとに(年13回)を望む女性もいるが、しかし、より少なく、例えば年4回のみ存在する月経を保証するために設計された安全かつ有効な製品と仮定して、頻度の少ない月経の出血を好む女性もいる。低い投与量のエストロゲン−プロゲスチン丸剤の組合せ物を連続的な養生法に、月経が所望されるか又は医学的に指示された場合には、延長された間隔でのみ投与されるアンチプロゲスチンと組み合わせて使用する本発明は、このような製品を提供する。
【0068】
また、閉経期後の女性のうちの何人かの投薬中止月経は、逐次的もしくは同時のエストロゲン−プロゲスチン治療を使用していることに関係なく、使用者の承諾を失う主な原因である。本発明に従った治療上の養生法は、周期的な膣の出血の頻度の患者の不人気を、安全性及び有効性を犠牲にすることなく、連続的なエストロゲン代償治療を、蓄積された子宮内膜組織を年に数回脱落させるためにアンチプロゲスチンの間欠的な使用と一緒にプロゲスチンと組み合わせた形で使用することによって克服することができ、閉経期後の患者により少ない頻度の月経によって、ホルモン代償治療の際に、心管の完全性及び骨の維持を外見上の長期の利点を維持することを動機付けする。
【0069】
ホルモン代償治療の場合には、破綻出血に迎合的な多くの患者は、子宮内膜の成長の際のプロゲスチン自体の抑制作用を補うその抗有糸分裂活性及び、子宮内膜の脈管床(vascular bed)へのその有利な作用のためにアンチプロゲスチンの間欠的な包含によって顕著に減少される。アンチプロゲスチン投与による投薬中止出血は、必ずしも発生せず、それというのもプロゲスチンによる子宮内膜の転位がないからである。
【0070】
例 II: エストロゲン及びプロゲスチン代償治療中の間欠的なアンチプロゲスチン霊長類
先に卵巣切除されたマカクザル(Macaca fascicularis)20匹は、281日間移植されて、エストラジオール単独を含有する皮下カプセルを有している。このカプセルからのエストラジオール放出によって、清エストラジオール濃度は約75pg/mlになった。皮下プロゲステロンカプセルを第191日に移植し、かつ第281日までその場所で維持した。このカプセルからのプロゲステロン放出によって、清プロゲステロン濃度は約4ng/mlになった。調査を、例Iに記載されたイースタン・ヴァージニア・メディカル・スクールの動物研究施設で実施した。
【0071】
調査計画
この調査の目的は、エストロゲン及びエストロゲンとプロゲステロン代償治療を受けている、卵巣切除された猿の場合にオンプリストン(onpristone)治療の前後で破綻出血を評価することであった。20匹の猿を次の4グループに分割した: オナプリストン媒体(塩水)を第30日、第60日、第90日、第120日、第150日、第180日、第210日、第240日、第270日に受容する第1グループ。オナプリストン3mg/kg i.m.を第30日、第60日、第90日、第120日、第150日、第180日、第210日、第240日、第270日に受容する第2グループ。同じ日にオナプリストン10mg/kg i.m.で処理される第3グループ。同じ日にオナプリストン10mg/kg i.m.を受容する第4グループ。膣用綿棒による拭きを第1日から第281日まで毎日実施した。この調査における評価のための一次パラメータは、膣出血の発生である。
【0072】
進行中の試験の仮結果
エストラジオール治療の進行中の期間によって、媒体処理されるグループ(第1グループ)の場合に、増加する破綻出血率がもたらされた。第2〜4グループの場合のオナプリストン治療は、出血を誘発しないが、しかし破綻出血を減少させた。結合されたエストラジオール及びプロゲスチン治療が開始されるやいなや、オナプリストンは膣出血を誘発した。
【0073】
キット実施例
エストロゲン エチニル エストラジオール12mcg.及びプロゲスチン ノルエチンドロン アセテート0.6mgをそれぞれ含有する、経口摂取に適合された28投与単位の常用の錠剤を含有するキットを得た。
【0074】
(a) 一実施態様の場合には、錠剤を常用の円形もしくは伸長した「レーストラック」長円形の配置で、週の日に相応するしるしを用いて配置し、その結果、毎日の摂取の養生法への追従が簡単に患者によって確認することができる。
【0075】
このような製品の例については、バーレックス研究所の「レヴィエン−28」を参照されたい。第21日もしくはそれ以降に摂取されるために配置された錠剤は、エチニル エストラジオール及びノルエチンドロン アセテートに加えてアンチプロゲスチンRU 486 500mg(”Mifepristone”, Roussel Uclaf)を含有していた。
【0076】
(b) 別の実施態様の場合には、エストロゲンとプロゲスチンのみ又はエストロゲンのみを含有している錠剤20個もしくはそれ以上、例えば20個、23個、24個、30個、60個、90個もしくは120個をばらで容器、例えば平らな面をもつ瓶もしくは、例えばアスピリン錠剤を保持するために常用されるスナップ蓋をもつ金属板の箱又はコンテナ様の容器中に詰めた。例えば、瓶の蓋中の入手しやすい空間の中又は瓶もしくは金属箱の1つの面に粘着させて付着させたプラスチックパック中に別に、アンチプロゲスチンを単独でか又はエストロゲンとプロゲスチンとの混合物の形で含有している錠剤を包装した。この錠剤の包装の上に、医師(又は患者)が、月経を誘発するために他の錠剤の代り(錠剤がアンチプロゲスチンとエストロゲン及びプロゲスチンとの両方を含有する場合)にか又は他の錠剤に付加して(錠剤がアンチプロゲスチンのみを含有する場合)服用すべき月日を記入するための場所が提供されている。多数の錠剤を含有しているキットには、28日、30日、60日、90日もしくは120日の持続時間の1月経周期の間の連続的なエストロゲン/プロゲスチン治療を提供することが必要である。
【0077】
(c) 他の点では最初キットに相応する、上記キットの別の実施態様の場合には、エストロゲン及びプロゲスチンの量は変化する、即ち、最初の7錠の場合にはエストロゲン及びプロゲスチンの量はそれぞれ1錠につき35mcg.及び1.5mg.が含有され;次の7錠の場合には、該量はそれぞれ1錠につき30mcg.及び0.8mg.であり、;次の7錠の場合には、該量はそれぞれ1錠につき20mcg.及び0.6mg.であり、;かつ最後の7錠の場合には、該量はそれぞれ1錠につき5mcg.及び0.4mg.である。
【0078】
(d) 上記の各キットの変種の場合には、錠剤中のノルエチンドロン アセテートをゲストデン25mcg.で置換した。
【0079】
(e) 上記の各キットの他の変種の場合には、錠剤中のエストロゲンを、メストラノール(mestranol)20mcg.で置換した。
【0080】
(f) 上記の各キットの他の変種の場合には、錠剤中のアンチプロゲスチンを、オナプリストン500mg.で置換した。
【0081】
上記試験を、全般的もしくは特殊に記載された本発明の成分及び/又は操作条件を上記試験で使用された成分及び/又は操作条件と置換することによって、同じ成果をもって繰り返すことができる。
【0082】
以上の記載から当業者は、本発明の本質的な特徴を確認することができ、かつ本発明の意図及び範囲から離れることなく、本発明を種々の使用及び条件に適合させるために本発明の種々の変化及び改善を行うことができる。

Claims (22)

  1. エストロゲン、プロゲスチン、アンチプロゲスチンから成る避妊薬であって、
    (a)エストロゲンおよびプロゲスチンを組合せ物の形で、毎日連続して投与し、
    (b)増殖子宮内膜組織の剥脱を喚起して月経を誘発するのに有効な量のアンチプロゲスチンを、1カ月またはそれ以上の間隔で投与することにより、月経を促すことを特徴とする、避妊薬。
  2. アンチプロゲスチンをほぼ月1回投与する、請求項1記載の避妊薬。
  3. 月経期間中を含めて周期を通して中断せずに続けてプロゲスチンを投与する、請求項1記載の避妊薬。
  4. プロゲスチンの投与をアンチプロゲスチン投与日の直前に中断する、請求項1記載の避妊薬。
  5. アンチプロゲスチンを経口投与する、請求項1記載の避妊薬。
  6. アンチプロゲスチンがミフェプリストンである、請求項1記載の避妊薬。
  7. エストロゲンがエチニル エストラジオールである、請求項1記載の避妊薬。
  8. プロゲスチンがノルエチンドロン アセテートである、請求項1記載の避妊薬。
  9. 卵胞発生の遮断に有効な量のエストロゲンとプロゲスチンを投与し、かつこのことによって避妊状態が惹起され;アンチプロゲスチンを経口投与し;かつその際、プロゲスチンの投与を、月経期間中も含めて周期を通して中断せずに続行する、請求項1記載の避妊薬。
  10. アンチプロゲスチンをほぼ月1回投与する、請求項9記載の避妊薬。
  11. アンチプロゲスチンを1か月より長い間隔をおいて経口投与する、請求項9記載の避妊薬。
  12. 請求項1記載の避妊薬において、
    (a)エストロゲン及びプロゲスチンを含有する錠剤を少なくとも約28個を含有し、該錠剤のうち21個を連続して服用し、かつ、
    (b)月経を誘発するのに有効な量のアンチプロゲスチンを含有している錠剤を、エストロゲン及びプロゲスチンを含有する錠剤少なくとも20個を服用後に服用することを特徴とする、請求項1記載の避妊薬。
  13. エストロゲンがエチニル エストラジオールであり、プロゲスチンがノルエチンドロン アセテートであり、かつアンチプロゲスチンがミフェプリストンである、請求項1記載の避妊薬。
  14. エストロゲンがエチニル エストラジオールであり、プロゲスチンがゲストデンであり、かつアンチプロゲスチンがオナプリストンである、請求項1記載の避妊薬。
  15. 固体経口単位投薬形態の避妊薬において、避妊機能を有するエストロゲン及びプロゲスチンとして、それぞれ、エチニル エストラジオール5mcg〜35mcg当量及びノルエチンジオール アセテート0.5mg〜1.5mg当量を含有し、かつ、この量をエストロゲン及びプロゲスチンのみで少なくとも20日間毎日摂取した女性に対し、月経を誘発するのに有効な量のアンチプロゲスチンを含有していることを特徴とする、固体経口単位投薬形態の避妊薬。
  16. エチニル エストラジオール0.5〜35mcg、ノルエチンドロン アセテート0.5〜35mg及びミフェプリストン50〜500mgを含有している、請求項15記載の避妊薬。
  17. エチニル エストラジオール0.5〜35mcg、ゲストデン10〜15mcg及びオナプリストン50〜500mgを含有している、請求項15記載の避妊薬。
  18. エストロゲン及びその各錠剤中の一日投与量が、エチニルエストラジオール又はエストラジオール又はそのエステル(5〜15mcg/日)、メストラノール(20〜25mcg/日)または複合エストロゲン(5〜15mcg/日)である、請求項1記載の避妊薬。
  19. エストロゲン投与単位およびプロゲスチン投与単位、およびさらに少なくとも1個のアンチプロゲスチン投与単位を含有するキットにおいて、女性の避妊または女性のホルモン代償療法に有効な量のエストロゲン単位およびプロゲスチン単位の数およびこれらの投与量、および破綻出血を減少させるのに有効な量のアンチプロゲスチン単位の数およびその投与量を含む、エストロゲン投与単位およびプロゲスチン投与単位、およびさらに少なくとも1個のアンチプロゲスチン投与単位を含有する避妊用キット。
  20. アンチプロゲスチン単位の数が1個であり、その投与量が月経を誘発するのに効果的である、請求項19に記載の避妊用キット。
  21. エストロゲン投与単位およびプロゲスチン投与単位、およびさらに少なくとも1個のアンチプロゲスチン投与単位を含有するキットにおいて、女性の避妊または女性のホルモン代償療法に有効な量のエストロゲン単位およびプロゲスチン単位の数およびこれらの投与量、および破綻出血を減少させるのに有効な量のアンチプロゲスチン単位の数およびその投与量を含む、エストロゲン投与単位およびプロゲスチン投与単位、およびさらに少なくとも1個のアンチプロゲスチン投与単位を含有するホルモン代償療法用キット。
  22. アンチプロゲスチン単位の数が1個であり、その投与量が月経を誘発するのに効果的である、請求項21に記載のホルモン代償療法用キット。
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