JP4150871B2 - 一方向クラッチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の変速機等に用いられる一方向クラッチに関し、更に詳しくは、スプラグタイプの一方向クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
内輪と外輪との間の環状空間内に配置されるトルク伝達要素としてスプラグを用いてなるスプラグタイプの一方向クラッチにおいては、一般に、図3に要部軸直交断面図を例示するように、内輪1および外輪2と、これらの間に形成される環状空間3内に周方向一定の間隔で配置される複数のスプラグ4と、その各スプラグ4の内側部および外側部をそれぞれ保持する内保持器5および外保持器6と、各スプラグ4を周方向一定の向き(ロック側)に付勢するリボンスプリング7を主たる構成要素として構成される。
【0003】
各スプラグ4には、内輪1の外周面に接するカム面41と、外輪2の内周面に接するカム面42がそれぞれ形成されており、この各カム面は、その曲率中心および曲率半径が互いに相違し、例えば外輪2を固定した状態で、内輪1が図中実線で示す矢印で示す向きに回転したときに各スプラグ4が内輪1と外輪2の間で噛合してそのトルクを伝達するが、その逆方向への回転時には各スプラグ4が図中破線で示す矢印の向きに傾斜して噛合せず、内輪1は空転してトルクを遮断するようになっている。
【0004】
このような一方向クラッチを組み付けるに当たっては、図5に軸平行断面図を示すように、内保持器5、外保持器6、スプラグ4およびスプリング7の組立体Aを外輪2の内側に挿入した後、更にその内側に内輪1を挿入するのが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、組立体Aは図3に示したように周方向(回転方向)に方向性を有しているため、以上のような一方向クラッチの組み付けに際して、内輪1、外輪2に対する組立体Aの組み付けの軸方向への向きを誤ると、組立体Aの周方向への方向性が逆向きとなってしまい、トルクを伝達するべき回転に対してトルクを遮断し、かつ、トルクを遮断すべき回転に対してトルクを伝達してしまうことになる。
【0006】
このような組み付けミスによるトラブルを避けるために、通常、この種の一方向クラッチにおいては外保持器6の外周面等に組み付け方向を示す矢印を付与することが多い。しかしながら、このような矢印等のマーキングによって組み付け方向を指示しても、人為的なミスによって逆向きに組み付けられることを防止することはできず、組み付けミスによるトラブルの発生を完全に防止できていないのが実情である。
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、組み付けミスをほぼ完全に防止することができ、組み付けミスによるトラブルの発生を未然に防止することのできる一方向クラッチの提供を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の一方向クラッチは、その実施の形態を表す図1を参照しつつ説明すると、内輪1と外輪2の間に形成される環状空間3内に、周方向に一定の間隔で配置される複数のスプラグ4と、その各スプラグ4の内側部および外側部をそれぞれ保持すべく複数の窓が形成された内保持器5および外保持器6と、各スプラグ4を周方向一定の向きに付勢するスプリング7が配置されてなる一方向クラッチにおいて、内保持器5、外保持器6および各スプラグ4を組み立てた状態で、内保持器5の各窓5aの内輪組み込み方向奥側の端部51aの軸方向位置が、外保持器6の各窓6aの同側端部61aの軸方向位置と等しく、かつ、内保持器5の各窓5aの内輪組み込み方向手前側の端部52aの軸方向位置が、外保持器6の各窓6aの同側端部62aの軸方向位置よりも手前側にまで及んでいることによって特徴づけられる。
【0009】
本発明は、外輪2に対して内保持器5、外保持器6、スプラグ4およびスプリング7からなる組立体Aを組み付けた後、内輪1をその内側に挿入する際に、組立体Aが外輪2に逆向きに組み付けられている状態においてのみ、各スプラグ4が内輪1に対して干渉してその挿入を不可能とすることで、所期の目的を達成しようとするものである。
【0010】
すなわち、本発明においては、組立体Aを外輪2に対して正規の向きに組み付けた状態では、図2(A)に示すように、内保持器5の窓5aの内輪組み込み方向奥側の端部51aと外保持器6の同側端部61aの軸方向位置は互いに等しいため、組立体Aの内側に内輪1を挿入する(組み込む)際に内輪1がスプラグ4に触れてスプラグ4を奥側に押しつけても、スプラグ4は内保持器5および外保持器6の窓5a,6aの奥側端部51a,61aに当接して倒れることがなく、従来と同様に組み込むことが可能である。
【0011】
これに対し、図2(B)に示すように、組立体Aを外輪2に対して上記と逆向きに組み付けた状態では、内保持器5の窓5aの内輪組み込み方向奥側となる端部52aは、外保持器6の窓6aの同側端部62aよりも奥側に位置することになる。この状態では、組立体Aの内側に内輪1を挿入する際に内輪1がスプラグ4に触れて、スプラグ4が内側部分は内輪組み込み方向奥側に押しつけられると、図2(C)に示すように、スプラグ4は外保持器6の窓6aの奥側の端部62aには当接するが、内保持器5の窓5aの奥側の端部52aはより奥側に位置しているために当接せず、従ってスプラグ4は図2(C)に示す向きに倒れる。このスプラグ4の倒れにより、内輪1はスプラグ4に干渉して組立体Aに挿入することが不可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態の構成を示す軸平行断面図である。なお、この例においては、軸直交断面図は図3に示した従来の一方向クラッチと同等となるため、その図示を省略する。
【0013】
内輪1と外輪2の間に形成される環状空間3内に、複数のスプラグ4が周方向一定の間隔で配置されているとともに、その各スプラグ4の内側部および外側部は、それぞれ環状空間3内に配置された内保持器5および外保持器6の各窓5aおよび6b内に挿入されて保持されている。また、内保持器5と外保持器6の間には、各スプラグ4を周方向一定の向き(ロック側)に付勢するためのリボンスプリング7が配置されている。
【0014】
この実施の形態における特徴は内保持器5の窓5aの軸方向長さにあり、窓5aの軸方向両端部のうち、図1の正規の組み付け状態においては、同図に矢印で示す内輪組み込み方向の奥側の端部51aの軸方向位置は、外保持器6の窓6aの同側端部61aの軸方向位置と同等であるが、内輪組み込み方向手前側の端部52aの軸方向位置は、外保持器6の窓6aの同側端部62aの軸方向位置よりも手前側にあり、その分だけ、内保持器5の窓5aの軸方向長さが長くなっている。
【0015】
以上の実施の形態は、従来のこの種の一方向クラッチと同様に、内保持器5、外保持器6、各スプラグ4およびリボンスプリング7を組み付けてなる組立体Aを、外輪2の内側に挿入した後、図2(A)に示すように、更にその組立体Aの内側に内輪1を挿入することによって組み付けられる。この組み付け作業において、図2(A)のように組立体Aが外輪2に対して正規の向きに挿入されている状態では、内保持器5の窓5aの内輪組み込み方向奥側端部51aと外保持器6の窓6aの同側端部61aの軸方向位置は互いに等しくなり、また、組立体Aが外輪2に対して上記と逆向きに挿入されている状態では、図2(B)に示すように、内保持器5の窓5aの内輪組み込み方向奥側となる端部52aは、外保持器6の窓6aの同側の端部62aよりも奥側に位置した状態となる。
【0016】
組立体Aの内側に内輪1を挿入するに当たっては、各スプラグ4は内保持器5および外保持器6の各窓5aおよび6aに挿入されているだけで、その内側および外側は拘束されずに自由状態となっているため、内輪1は必ずいずれかのスプラグ4の内側の手前側に当接する。
【0017】
さて、図2(A)の正規の組み付け状態では、内輪1の組立体Aの内側への挿入時に内輪1がスプラグ4に触れて、スプラグ4を奥側に押し込んでも、内保持器5と外保持器6の各窓5aと6aの内輪挿入方向奥側の端部51aと61aの軸方向位置は互いに等しいためにスプラグ4の奥側の端面はこれらの各端部51aと61aの双方に当接し、従ってスプラグ4の姿勢は変化せず、内輪1をスムーズに挿入することができる。
【0018】
一方、図2(B)のように組立体Aが外輪2に対して逆向きに組み付けられている状態では、内輪1の組立体Aの内側への挿入時に内輪1がスプラグ4に触れて、スプラグ4を奥側に押し込んだとき、図2(C)に示すように、スプラグ4の奥側の端面は外保持器6の窓6aの奥側の端部62aに当接するが、内保持器5の窓5aの奥側の端部52aには当接せず、従って、スプラグ4は図2(C)のように倒れる。内輪1は、この倒れたスプラグ4に干渉されて、組立体Aの内側に挿入することができなくなり、結局、内輪1は、組立体Aが外輪2に対して正規の向きに組み付けられている状態でのみ、組み込むことができる。
【0019】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、スプラグを保持する保持器のうちの内保持器の窓または幅を従来のものに比して変更するという簡単な構成のもとに、内保持器、外保持器、スプラグおよびスプリングの組立体を外輪に対して逆向きに組み付けた状態では、内輪1の組み込みが不可能となるため、人為的ミスによる一方向クラッチの逆向きの組み付けを実質的に無くすることができ、組み付けミスによるトラブルの発生を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の構成を示す軸平行断面図である。
【図2】 図1の実施の形態の組み付け作業の説明図で、(A)は内保持器5、外保持器6、スプラグ4およびリボンスプリング7からなる組立体Aを外輪2に対して正規の向きに組み付けた状態における内輪1の挿入作業の説明図で、(B)および(C)は組立体Aを外輪2に対して逆向きに組み付けた状態における内輪1の挿入作業の説明図である。
【図3】 従来のスプラグタイプの一方向クラッチの構成例を示す要部軸直交断面図である。
【図4】 図3の一方向クラッチの軸平行断面図である。
【符号の説明】
1 内輪
2 外輪
21a 内端面
3 環状空間
4 スプラグ
5 内保持器
5a 窓
6 外保持器
6a 窓
7 リボンスプリング
Claims (1)
- 内輪と外輪の間に形成される環状空間内に、周方向に一定の間隔で配置される複数のスプラグと、その各スプラグの内側部および外側部をそれぞれ保持すべく複数の窓が形成された内保持器および外保持器と、上記各スプラグを周方向一定の向きに付勢するスプリングが配置されてなる一方向クラッチにおいて、上記内保持器、外保持器および各スプラグを組み立てた状態で、内保持器の各窓の内輪組み込み方向奥側の端部の軸方向位置が、外保持器の各窓の同側端部の軸方向位置と等しく、かつ、内保持器の各窓の内輪組み込み方向手前側の端部の軸方向位置が、外保持器の各窓の同側端部の軸方向位置よりも手前側にまで及んでいることを特徴とする一方向クラッチ。
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