JP4149958B2 - 調乳ポット - Google Patents

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Description

本発明は、所定温度に加熱および保温する調乳ポットに関するものである。
本発明の調乳ポットに関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
実開平5−63420号公報 特許第2715925号公報
特許文献1には、液体容器の底に加熱手段を配設し、温度検出手段により前記液体容器内の液体温度を検出しながら液体を加熱する電気ポットが記載されている。この電気ポットには、ポット本体の内部において、液体容器の内外に配管した循環パイプが設けられ、電動ファンの動作により沸騰させた液体を70℃などの低温に迅速に低下させることができるように構成している。
特許文献2には、ポット本体にガラス製の液体容器を着脱可能に配置するようにした調乳ポットが記載されている。この調乳ポットは、特許文献1と同様に、ポット本体に配設した温度検出手段により液体容器内の液体温度を検出しながら、加熱手段によって所定温度に加熱および保温する構成としている。
しかしながら、この種の調乳ポットを含む電気ポットでは、温度検出手段による検出値は、加熱する液体の温度やポット本体内の温度などの条件によって誤差が生じる。即ち、加熱処理を行った後に、直ぐに異なる液体の加熱処理を行う場合には、ポット本体内の温度は勿論、温度検出手段自体の温度が低下していないため、正確な液体温度を検出できない。また、保温処理から異なる液体の加熱処理を行う場合にも、同様に温度検出手段の温度が低下していないため、正確な液体温度を検出できない。逆に、加熱処理および保温処理のいずれも実行していない状態で、高温の液体を加熱させる場合や、冷蔵庫で冷却されていた低温の液体を加熱する場合でも、同様に正確な温度を検出することができない。
そして、このような不正確な検出温度に基づいて加熱制御を実行した場合には、所定温度に達するまでに極端に長い時間を要したり、実際には所定温度に達していない状態で所定温度に達したと判断してしまうという不都合がある。このような問題は、特許文献2のように、液体容器がポット本体に対して着脱可能であり、熱伝導率が低いガラスにより構成している場合には顕著に現れる。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、着脱可能に装着する液体容器とポット本体内の温度関係に基づいて、効率的に所定温度に加熱することが可能な調乳ポットを提供することを課題とするものである。
前記課題を解決するため、本発明の第1の調乳ポットは、液体を収容する液体容器を、ポット本体における加熱手段を備えた加熱板上に配置し、温度検出手段により前記液体容器内の液体温度を検出しながら液体を所定温度に加熱制御する調乳ポットにおいて、加熱制御の開始時に前記加熱手段をオフした状態で、所定時間内での前記温度検出手段による検出温度の変化率を検出する変化率検出手段と、前記変化率検出手段により検出した変化率に基づいて、異なる2以上の加熱方式のうち、いずれの加熱方式を実行するかを判断する加熱方式判断手段とを設けるとともに、前記各加熱方式において、前記温度検出手段による検出温度に基づいて、異なる2以上の加熱処理のうち、いずれの加熱処理を実行するかを判断する加熱処理判断手段を更に設け、2以上の前記加熱処理のうち、所定の加熱処理では、前記加熱手段による非加熱状態で、かつ、前記温度検出手段による検出温度が下降勾配状態において、第1しきい値を下回った後に、所定時間内に前記第1しきい値より低い第2しきい値を下回らなければその加熱処理を終了する構成としている。
また、第2の調乳ポットは、液体を収容する液体容器を、ポット本体における加熱手段を備えた加熱板上に配置し、温度検出手段により前記液体容器内の液体温度を検出しながら液体を所定温度に加熱制御する調乳ポットにおいて、加熱制御の開始時に前記加熱手段をオフした状態で、所定時間内での前記温度検出手段による検出温度の変化率を検出する変化率検出手段と、前記変化率検出手段により検出した変化率に基づいて、異なる2以上の加熱方式のうち、いずれの加熱方式を実行するかを判断する加熱方式判断手段とを設けるとともに、前記各加熱方式において、前記温度検出手段による検出温度に基づいて、異なる2以上の加熱処理のうち、いずれの加熱処理を実行するかを判断する加熱処理判断手段を更に設け、2以上の前記加熱処理のうち、所定の加熱処理では、第4しきい値を上回った後に、前記加熱手段による加熱を停止し、前記温度検出手段による検出温度が上昇勾配状態において、昇温が停止するまでに前記第4しきい値より高い第5しきい値を上回らなければその加熱処理を終了する構成としている。
第2の調乳ポットでは、2以上の前記加熱処理のうち、所定の加熱処理では、前記加熱手段による非加熱状態で、かつ、前記温度検出手段による検出温度が下降勾配状態において、第1しきい値を下回った後に、所定時間内に前記第1しきい値より低い第2しきい値を下回らなければその加熱処理を終了することが好ましい。
また、第1および第2の調乳ポットでは、前記第1しきい値を下回った後に所定時間内に第2しきい値を下回った場合、前記加熱手段により加熱して前記第1しきい値より高い第3しきい値を上回るとその加熱処理を終了することが好ましい。
本発明の調乳ポットでは、加熱制御の開始時に前記加熱手段をオフした状態での温度の変化率に基づいて、異なる2以上の加熱方式のうち、いずれの加熱方式を実行するかを判断するため、液体容器に収容した液体温度およびポット本体内の温度の関係を正確に把握し、適切な加熱方式を判断することができる。そのため、所定温度に加熱する時間が極端に長くなったり、実際には所定温度に達していない状態で所定温度に達したと判断するという不都合を防止できる。
また、前記各加熱方式では、前記温度検出手段による検出温度に基づいて、異なる2以上の加熱処理のうち、いずれの加熱処理を実行するため、液体温度とポット本体の温度の関係を更に正確に把握することができ、加熱時間に係る問題を確実に防止できる。
さらに、加熱処理では、検出温度が下降勾配状態において、第1しきい値を下回った後に、所定時間内に前記第1しきい値より低い第2しきい値を下回らなければ加熱を終了する。また、前記第1しきい値を下回った後に所定時間内に第2しきい値を下回った場合、前記加熱手段により加熱して第3しきい値を上回ると加熱を終了する。検出温度が上昇勾配状態において、昇温が停止するまでに第4しきい値より高い第5しきい値を上回らなければ加熱を終了する。そのため、液体容器内に収容させた液体量や加熱手段の熱などの影響で、温度検出手段による検出値に誤差が生じても、確実に所定温度まで加熱することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1および図2は、本発明の実施形態に係る電気ポットである調乳ポットを示す。この調乳ポットは、ポット本体15に対して液体容器10を着脱可能に配設し、該液体容器10内の液体(水)を所定温度まで加熱した後に保温したり、沸騰させた後に所定温度に保温するものである。
具体的には、液体容器10は、上端開口の円筒状をなす耐熱性ガラスからなるものである。この液体容器10の上端縁には、下向きに窪むとともに若干外向きに突出した注口11が設けられている。また、この注口11の反対側に位置するように取手部材12が金属製のリング部材13を介して取り付けられている。また、この液体容器10の上端開口は、別体からなる蓋体14により開閉可能に閉塞される。
前記ポット本体15は、図1および図2に示すように、上部外装体16および下部外装体21からなる外装体に、前記液体容器10の配設凹部18を設け、該配設凹部18内に、遮熱容器26と加熱板29とを配設したものである。また、このポット本体15には、前記配設凹部18に液体容器10を配置したか否かを検出する容器検出手段と、液体容器10内の液体温度を検出する温度検出手段とが配設されている。
前記上部外装体16は、平面視略長楕円形状をなす下端開口の樹脂製のものである。この上部外装体16には、前方に操作パネル部17が設けられるとともに、後方に円筒状に突出した壁により前記液体容器10の配設凹部18が形成されている。この配設凹部18の底には、加熱板29に配設した加熱手段用の配線挿通孔19、温度検出手段を内蔵した容器検出手段を挿通する作動部材挿通孔20が設けられている。前記下部外装体21は、前記上部外装体16の下端開口を閉塞するものである。前記上部外装体16と下部外装体21とからなる外装体内は、上部外装体16の配設凹部18と下部外装体21の底との間に設けた隔壁22により、操作基板39および制御基板50を配設する基板収容部23と、排水経路を有する非基板収容部24とに区画されている。そして、本実施形態では、前記隔壁22は、後述する制御基板50を配設するための基板ホルダー53に設けた壁部55と、前記下部外装体21の底から突設したリブ部25とにより構成している。
前記遮熱容器26は、前記上部外装体16の配設凹部18に配設され、その内部には後述する加熱板29が配設されるガルバリウム鋼板製のものである。なお、遮熱容器26はステンレス製であってもよい。この遮熱容器26の底には、前記配線挿通孔19と対応する配線挿通孔27および前記作動部材挿通孔20と対応する作動部材挿通孔28が設けられている。
前記加熱板29は、加熱手段であるヒータ31を内装したアルミダイキャストヒータからなり、前記遮熱容器26内に配設され、その上部に液体容器10を配設することにより、該液体容器10内の液体を加熱するものである。この加熱板29の中央には、前記作動部材挿通孔20,28と対応する作動部材挿通孔30が設けられている。前記ヒータ31の充電部32は、前記配線挿通孔19,27を通して外装体の非基板収容部24内に配置される。この加熱板29の上面外周部には、外側下向きに傾斜する面取部33が設けられている。
前記配設凹部18に液体容器10を配置したか否か、即ち、液体容器10の有無を検出するための容器検出手段は、前記遮熱容器26に固定するための固定部材34と、該固定部材34に対してスプリング35によって上向きに付勢された作動部材36と、該作動部材36の下部に配設されたリンク部材37と、後述する制御基板50に配設されたセンサとからなる。前記作動部材36は、その上端が加熱板29を貫通して前記配設凹部18内に突出するもので、その内部には液体容器10の温度を検出することにより、内部の液体温度を検出する温度検出手段である温度センサ38が配設されている。前記リンク部材37は、SUS430などの磁性を有する金属材料からなり、前記配設凹部18に液体容器10が配置され、前記作動部材36が没入されることにより、一体的に下降するもので、その先端は隔壁22を構成する壁部55の近傍まで延びるように構成されている。そして、基板収容部23内に配設された磁気センサ51と非基板収容部24内に配設されたマグネットとの間にリンク部材37の先端部が進入または後退し、磁気センサ51に対して磁気を入力可能または入力不可能(遮断)とすることにより、該リンク部材37の上下動を検出できるように構成している。
前記操作基板39は、隔壁22により区画された基板収容部23内である前記操作パネル部17の背部にネジ止めにより固定されるものである。この操作基板39には、ユーザが操作する入力手段として、図3に示す操作部40aと対応する温度設定スイッチ41、操作部40bと対応する沸騰スイッチ42、および、操作部40cと対応するメロディー音のオン/オフスイッチ43が実装されている。また、図3に示す第1表示部44a,44bと対応する保温温度の設定状態を示す第1LED45a,45b、第2表示部46と対応する沸騰制御を実行しているか否かを示す第2LED47、および、第3表示部48と対応するメロディー音のオン設定状態を示す第3LED49が実装されている。
前記制御基板50は、前記温度センサ38および操作基板39とケーブル接続されるとともに、前記リンク部材37の上下動を検出する磁気センサ51および制御手段であるマイコン52が実装されたものである。この制御基板50は、隔壁22により区画された基板収容部23内に基板ホルダー53を介して配設される。そして、本実施形態では、この基板ホルダー53に前記隔壁22を構成する壁部55が一体に設けられている。具体的には、この基板ホルダー53は、下部に制御基板50をネジ止めして固定するホルダー本体54と、該ホルダー本体54の一端より下方および両側に突出するように延び、その下端縁が前記リブ部25と一致するように形成した壁部55とからなる。
前記マイコン52は、前記操作基板39に配設された入力手段である各スイッチ41〜43の操作に基づいて予め設定された所定の加熱制御および保温制御を行うものである。具体的には、マイコン52は、電源コードが商用電源に接続されると、保温温度を50℃でメロディー音をオン設定とする。そして、配設凹部18に液体容器10が配置され、容器検出手段を構成する作動部材36およびリンク部材37が下降し、その状態を磁気センサ51により検出すると、第1LED45aおよび第3LED49を点灯させ、液体容器10内の液体が50℃または95℃になるまで加熱した後、その温度を維持するように保温する。また、この状態で、各スイッチ41〜43が操作されると、そのスイッチ41〜43に応じた機能を設定変更する。即ち、温度設定スイッチ41が操作されると、その操作の度に「95」→「50」→「95」と設定を変更する。また、沸騰スイッチ42が操作されると、液体容器10内の液体を沸騰させた後に、設定された保温温度を維持するように保温する。さらに、オン/オフスイッチ43が操作されると、その操作の度に「オフ」→「オン」→「オフ」と設定を変更する。さらにまた、電源コードが商用電源に接続された状態で、液体容器10が配設凹部18から取り外されると、そのときの設定状態を記憶し、次に液体容器10が配設凹部18に配置されると、その記憶した設定で加熱および保温制御を行う。なお、加熱時に空焚きであると判断した場合には、前記第1LED45a,45bを交互に点滅させるとともに、第3LED49を点滅させる。
そして、本実施形態のマイコン52は、50℃保温の設定状態で配設凹部18に液体容器10が配置され、液体容器10内の液体を沸騰させずに、予め設定された所定温度である50℃まで加熱する調乳用加熱制御を実行する場合、前記温度センサ38を介して所定時間内での温度の変化率を検出する変化率検出手段の役割をなす。また、検出した変化率に基づいて、異なる第1から第5の加熱方式I〜Vのうち、いずれの加熱方式I〜Vを実行するかを判断する加熱方式判断手段の役割をなす。さらに、各加熱方式では、異なる第1から第5の加熱処理、および、適温であると判断することに基づく非加熱処理の6種のうち、いずれの加熱処理を実行するかを判断する加熱処理判断手段の役割をなす。以下の表1に、この調乳用加熱制御において、検出した温度に基づくマイコン52の判断および実行する制御を示す。
Figure 0004149958
表1に示すように、加熱制御では、まず所定時間(30秒)内での温度変化率である温度差(ΔT)に基づいて第1の判断を行う。そして、温度差(ΔT)が-2.5℃未満である場合、即ち、液体温度が機体であるポット本体15内(現実的には温度センサ38)の温度より低い場合には、加熱方式Iによる加熱処理を実行させる。また、温度差(ΔT)が-2.5℃以上で±0℃未満である場合、即ち、液体温度がポット本体15の温度より若干低い場合には、加熱方式IIによる加熱処理を実行させる。また、温度差(ΔT)が±0℃以上で+5.0℃未満である場合、即ち、液体温度がポット本体15の温度より若干高い場合には、加熱方式IIIによる加熱処理を実行させる。また、温度差(ΔT)が+5.0℃以上で+7.5℃未満である場合、即ち、液体温度がポット本体15の温度より高い場合には、加熱方式IVによる加熱処理を実行させる。また、温度差(ΔT)が+7.5℃以上である場合、即ち、液体温度がポット本体15の温度より極めて高い場合には、加熱方式Vによる加熱処理を実行させる。
ここで、加熱方式Iに移行する状況としては、(1)約50℃から60℃の機体温度のポット本体15に、約40℃以下の液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、50℃保温制御の終了直後に、続けて常温(室温)以下の液体を液体容器10に収容させて50℃加熱した場合に生じる。また、(2)約50℃から60℃の機体温度のポット本体15に、約40℃から50℃の液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、50℃保温制御の終了直後に、液体容器10に若干の液体を加えて再び50℃加熱した場合に生じる。また、(3)約60℃の機体温度のポット本体15に、約50℃の液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、50℃保温制御の終了直後に、液体容器10に対して液体を加える等の作業を何ら行うことなく再び50℃加熱した場合に生じる。また、(4)約90℃の機体温度のポット本体15に、約60℃以下の液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、95℃保温制御の終了直後に、液体容器10に液体を加えたり、常温以下の液体を収容させて50℃加熱した場合に生じる。
また、加熱方式IIに移行する状況としては、(5)約45℃以下の機体温度のポット本体15に、機体温度より約0から5℃低い液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、50℃保温制御の終了後に、ある程度時間放置した液体容器10を50℃加熱した場合に生じる。また、(6)約45℃から55℃の機体温度のポット本体15に、機体温度より約0から5℃低い液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、50℃保温制御の終了後に、(5)より短い時間放置した液体容器10を50℃加熱した場合に生じる。また、(7)約55℃以上の機体温度のポット本体15に、機体温度より約0から5℃低い液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、50℃保温制御の終了後に、(6)より更に短い時間放置した液体容器10を50℃加熱した場合や、95℃保温制御の終了後に、その液体容器を50℃加熱した場合に生じる。
また、加熱方式IIIに移行する状況としては、(8)約10℃から30℃の機体温度のポット本体15に、機体温度より約0から10℃高い液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、冬場などにおいて、制御による余熱が何ら残っていない未使用状態のポット本体15に、常温の液体を収容させた液体容器10を50℃加熱した場合に生じる。また、(9)約30℃から40℃の機体温度のポット本体15に、機体温度より約0から10℃高い液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、夏場などにおいて、制御による余熱が何ら残っていない未使用状態のポット本体15に、常温の液体を収容させた液体容器10を50℃加熱した場合に生じる。また、(10)約40℃から45℃の機体温度のポット本体15に、機体温度より約0から10℃高い液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、50℃保温制御の終了後に、ある程度の時間放置した液体容器10を50℃加熱した場合に生じる。また、(11)約45℃から55℃の機体温度のポット本体15に、機体温度より約0から10℃高い液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、50℃保温制御の終了後に、(10)より短い時間放置した液体容器10を50℃加熱した場合に生じる。また、(12)約55℃以上の機体温度のポット本体15に、機体温度より約0から5℃高い液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、50℃保温制御の終了後に、(11)より更に短い時間放置した液体容器10を50℃加熱した場合や、95℃保温制御の終了後に、その液体容器を50℃加熱した場合に生じる。
また、加熱方式IVに移行する状況としては、(13)約10℃以下の機体温度のポット本体15に、機体温度より約25℃高い液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、冬場などにおいて、制御による余熱が何ら残っていない未使用状態のポット本体15に、保管条件などにより温まった液体を収容させた液体容器10を50℃加熱した場合に生じる。また、(14)約10℃から20℃の機体温度のポット本体15に、機体温度より約25℃高い液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、春の上旬や秋の下旬などにおいて、制御による余熱が何ら残っていない未使用状態のポット本体15に、保管条件などにより温まった液体を収容させた液体容器10を50℃加熱した場合に生じる。また、(15)約20℃から25℃の機体温度のポット本体15に、機体温度より約25℃高い液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、春場や秋場などにおいて、制御による余熱が何ら残っていない未使用状態のポット本体15に、保管条件などにより温まった液体を収容させた液体容器10を50℃加熱した場合に生じる。また、(16)約25℃から30℃の機体温度のポット本体15に、機体温度より約25℃高い液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、春の下旬や秋の上旬などにおいて、制御による余熱が何ら残っていない未使用状態のポット本体15に、保管条件などにより温まった液体を収容させた液体容器10を50℃加熱した場合に生じる。また、(17)約30℃以上の機体温度のポット本体15に、機体温度より約25℃高い液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、夏場や制御による余熱が若干残っているポット本体15に、保管条件などにより温まった液体を収容させた液体容器10を50℃加熱した場合に生じる。
また、加熱方式Vに移行する状況としては、(18)約10℃以下の機体温度のポット本体15に、機体温度より約40℃高い液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、冬場などにおいて、制御による余熱が何ら残っていない未使用状態のポット本体15に、温まった液体を収容させた液体容器10を50℃加熱した場合に生じる。また、(19)約10℃の機体温度のポット本体15に、機体温度より高い約50℃の液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、冬場などにおいて、制御による余熱が何ら残っていない未使用状態のポット本体15に、(18)より更に温まった液体を収容させた液体容器10を50℃加熱した場合に生じる。また、(20)約10℃から25℃の機体温度のポット本体15に、機体温度より高い約60℃の液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、春の上旬や秋の下旬などにおいて、制御による余熱が何ら残っていない未使用状態のポット本体15に、(19)より更に温まった液体を収容させた液体容器10を50℃加熱した場合に生じる。また、(21)約10℃から60℃の機体温度のポット本体15に、機体温度より高い約90℃の液体を収容した液体容器10を配置した場合、即ち、未使用状態や50℃保温を実行していたポット本体15に、熱湯を収容させた液体容器10を50℃加熱した場合に生じる。
しかし、前記温度差(ΔT)による第1判断では、前記(1)〜(4)、(5)〜(7)、(8)〜(12)、(13)〜(17)および(18)〜(21)のいずれの状況かを正確に判断することはできない。また、(3),(5)〜(7),(10)〜(12)は、50℃保温からの50℃加熱への移行であるが、機体温度と液体温度の降下率は、液体容器10内の液体量や外気温度により差異が生じるため、これらの異なる状況が生じる。さらに、(13)〜(21)は主に未使用状態からの移行であるが、加熱する液体の条件はユーザの使い方や環境により差異が生じるため、これらの異なる状況が生じる。そのため、本実施形態では、各加熱方式I〜Vにおいて、所定の時期に検出した温度に基づいて第2の判断を行い、いずれの状況であるかを更に判断し、実際に行う加熱処理を選択する構成としている。
具体的には、この第2判断において、加熱方式Iでは、検出した温度(℃)が51.0℃未満である場合には、状況が前記(1)であると判断し、第1加熱処理による加熱を実行する。また、検出した温度(℃)が51.0℃以上で53.0℃以下である場合には、状況が前記(2)であると判断し、第2加熱処理による加熱を実行する。また、検出した温度(℃)が53.0℃より高く57.0℃未満である場合には、状況が前記(3)であると判断し、適温であるため加熱することなく終了する。また、検出した温度(℃)が57.0℃以上である場合には、状況が前記(4)であると判断し、第3加熱処理による加熱を実行する。
加熱方式IIでは、検出した温度(℃)が45.0℃以上である場合には、状況が前記(5)であると判断し、第1加熱処理による加熱を実行する。また、検出した温度(℃)が45.0℃より高く55.0℃未満である場合には、状況が前記(6)であると判断し、適温であるため加熱することなく終了する。また、検出した温度(℃)が55.0℃以上である場合には、状況が前記(7)であると判断し、第3加熱処理による加熱を実行する。
加熱方式IIIでは、検出した温度(℃)が30.0℃未満である場合には、状況が前記(8)であると判断し、第1加熱処理による加熱を実行する。また、検出した温度(℃)が30.0℃以上で40.0℃未満である場合には、状況が前記(9)であると判断し、第2加熱処理による加熱を実行する。また、検出した温度(℃)が40.0℃以上で45.0℃以下である場合には、状況が前記(10)であると判断し、第4加熱処理による加熱を実行する。また、検出した温度(℃)が45.0℃より高く55.0℃未満である場合には、状況が前記(11)であると判断し、適温であるため加熱することなく終了する。また、検出した温度(℃)が55.0℃以上である場合には、状況が前記(12)であると判断し、加熱することなく自然冷却を行う。
加熱方式IVでは、検出した温度(℃)が20.0℃未満である場合には、状況が前記(13)であると判断し、第1加熱処理による加熱を実行する。また、検出した温度(℃)が20.0℃以上で32.0℃未満である場合には、状況が前記(14)であると判断し、第2加熱処理による加熱を実行する。また、検出した温度(℃)が32.0℃以上で35.0℃未満である場合には、状況が前記(15)であると判断し、第5加熱処理による加熱を実行する。また、検出した温度(℃)が35.0℃以上で53.0℃以下である場合には、状況が前記(16)であると判断し、適温であるため加熱することなく終了する。また、検出した温度(℃)が53.0℃より高い場合には、状況が前記(17)であると判断し、加熱することなく自然冷却を行う。
加熱方式Vでは、検出した温度(℃)が20.0℃未満である場合には、状況が前記(18)であると判断し、第1加熱処理による加熱を実行する。また、検出した温度(℃)が20.0℃以上で35.0℃未満である場合には、状況が前記(19)であると判断し、第5加熱処理による加熱を実行する。また、検出した温度(℃)が35.0℃以上で53.0℃以下である場合には、状況が前記(20)であると判断し、適温であるため加熱することなく終了する。また、検出した温度(℃)が53.0℃より高い場合には、状況が前記(21)であると判断し、加熱することなく自然冷却を行う。
調乳用加熱制御処理
次に、前記調乳ポットにおいて、液体容器10内の液体を50℃に加熱させる場合の加熱制御について具体的に説明する。
まず、ポット本体15が50℃保温の設定状態で、ユーザが希望量の水を液体容器10に収容させ、該液体容器10を前記配設凹部18に配置すると、マイコン52は、調乳用加熱制御処理を実行する。
この加熱制御処理では、図4に示すように、まず、ステップS1で、ヒータ31をオフした後、ステップS2で、対応する保温温度表示である第1LED45aを点滅させる。
ついで、ステップS3で、初期温度Taを検出した後、ステップS4で、この温度Taの検出後に30秒経過するまで待機する。そして、30秒経過すると、ステップS5で、再び温度Tbを検出する。
ついで、ステップS6で、30秒間で変化した温度Tb−Ta(温度差ΔT)が-2.5℃未満であるか否かを判断する。そして、温度Tb−Taが-2.5℃未満である場合にはステップS7に進み、加熱方式Iによる加熱を行った後、50℃保温処理に移行する。また、温度Tb−Taが-2.5℃以上である場合にはステップS8に進む。
ステップS8では、温度Tb−Taが±0℃未満であるか否か、即ち、-2.5℃以上で±0℃未満であるかを判断する。そして、温度Tb−Taが±0℃未満である場合にはステップS9に進み、加熱方式IIによる加熱を行った後、50℃保温処理に移行する。また、温度Tb−Taが±0℃以上である場合にはステップS10に進む。
ステップS10では、温度Tb−Taが+5.0℃未満であるか否か、即ち、±0℃以上で+5.0℃未満であるかを判断する。そして、温度Tb−Taが+5.0℃未満である場合にはステップS9に進み、加熱方式IIIによる加熱を行った後、50℃保温処理に移行する。また、温度Tb−Taが+5.0℃以上である場合にはステップS12に進む。
ステップS12では、温度Tb−Taが+7.5℃未満であるか否か、即ち、+5.0℃以上で+7.5℃未満であるかを判断する。そして、温度Tb−Taが+7.5℃未満である場合にはステップS13に進み、加熱方式IVによる加熱を行った後、50℃保温処理に移行する。また、温度Tb−Taが+7.5℃以上である場合にはステップS14に進み、加熱方式Vによる加熱を行った後、50℃保温処理に移行する。
このように、本発明の調乳ポットでは、加熱制御の開始時に前記ヒータ31をオフした状態での温度の変化率に基づいて、異なる2以上の加熱方式I〜Vのうち、いずれの加熱方式I〜Vを実行するかを判断するため、液体容器10に収容した液体温度およびポット本体15内の温度の関係を正確に把握し、適切な加熱方式I〜Vを選択することができる。
加熱方式I
次に、ステップS7の加熱方式Iについて具体的に説明する。
図5に示すように、加熱方式Iでは、マイコン52は、まず、ステップS101で、液体温度がポット本体15の温度より低いため、その温度差を無くして正確な液体温度を検出するために、この加熱方式Iに移行した後に30秒待機した後、ステップS102で、その時の温度Tを検出する。
ついで、ステップS103で、検出温度Tが51.0℃未満であるか否かを判断する。そして、検出温度Tが51.0℃未満である場合にはステップS104に進み、後述する第1加熱処理を実行してステップS109に進む。また、検出温度Tが51.0℃以上である場合にはステップS105に進む。
ステップS105では、検出温度Tが53.0℃以下であるか否か、即ち、51.0℃以上で53.0℃以下であるか否かを判断する。そして、検出温度Tが53.0℃以下である場合にはステップS106に進み、後述する第2加熱処理を実行してステップS109に進む。また、検出温度Tが53.0℃より高い場合にはステップS107に進む。
ステップS107では、検出温度Tが57.0℃以上であるか否かを判断する。そして、検出温度Tが57.0℃以上である場合にはステップS108に進み、後述する第3加熱処理を実行してステップS109に進む。また、検出温度Tが57.0℃未満である場合、即ち、53.0℃以上で57.0℃未満である場合にはそのままステップS109に進む。
ステップS109では、加熱が終了したことを意味する適温報知を出力した後、ステップS110で、保温温度表示である第1LED45aを点灯させてリターンする。即ち、この加熱方式Iでは、ステップS107から直接ステップS109に至る場合には、適温の液体が収容された液体容器10が配置されたと判断し、何ら加熱を行うことなく、加熱制御を終了する。
加熱方式II
次に、ステップS9の加熱方式IIについて具体的に説明する。
図6に示すように、加熱方式IIでは、マイコン52は、まず、ステップS201で、液体温度とポット本体15との温度差が殆ど無いため、そのままその時の温度Tを検出する。
ついで、ステップS202で、検出温度Tが45.0℃以下であるか否かを判断する。そして、検出温度Tが45.0℃以下である場合にはステップS203に進み、第1加熱処理を実行してステップS206に進む。また、検出温度Tが45.0℃より高い場合にはステップS204に進む。
ステップS204では、検出温度Tが55.0℃以上であるか否かを判断する。そして、検出温度Tが55.0℃以上である場合にはステップS205に進み、第3加熱処理を実行してステップS206に進む。また、検出温度Tが55.0℃未満である場合、即ち、45.0℃より高く55.0℃未満である場合にはそのままステップS206に進む。
ステップS206では、加熱が終了したことを意味する適温報知を出力した後、ステップS207で、保温温度表示である第1LED45aを点灯させてリターンする。即ち、この加熱方式IIでは、ステップS204から直接ステップS206に至る場合には、適温の液体が収容された液体容器10が配置されたと判断し、何ら加熱を行うことなく、加熱制御を終了する。
加熱方式III
次に、ステップS11の加熱方式IIIについて具体的に説明する。
図7に示すように、加熱方式IIIでは、マイコン52は、まず、ステップS301で、液体温度とポット本体15との温度差が殆ど無いため、そのままその時の温度Tを検出する。
ついで、ステップS302で、検出温度Tが30.0℃未満であるか否かを判断する。そして、検出温度Tが30.0℃未満である場合にはステップS303に進み、第1加熱処理を実行してステップS309に進む。また、検出温度Tが30.0℃以上である場合にはステップS304に進む。
ステップS304では、検出温度Tが40.0℃未満であるか否かを判断する。そして、検出温度Tが40.0℃未満である場合、即ち、30.0℃以上で40.0℃未満である場合にはステップS305に進み、第2加熱処理を実行してステップS309に進む。また、検出温度Tが40.0℃以上である場合にはステップS306に進む。
ステップS306では、検出温度Tが45.0℃以下であるか否かを判断する。そして、検出温度Tが45.0℃以下である場合、即ち、40.0℃以上で45.0℃以下である場合にはステップS307に進み、後述する第4加熱処理を実行してステップS309に進む。また、検出温度Tが45.0℃より高い場合にはステップS308に進む。
ステップS308では、検出温度Tが55.0℃未満になるまで待機し、検出温度Tが55.0℃未満になるとステップS309に進む。具体的には、このステップS308では、ステップS306から至った時点で既に55.0℃未満、即ち、45.0℃より高く55.0℃未満であった場合には適温であるため、そのままステップS309に進む。一方、ステップS306から至った時点で55.0℃以上であった場合には、55.0℃未満になるまで待機して自然冷却させ、55.0℃未満になるとステップS309に進む。
ステップS309では、加熱が終了したことを意味する適温報知を出力した後、ステップS310で、保温温度表示である第1LED45aを点灯させてリターンする。
加熱方式IV
次に、ステップS13の加熱方式IVについて具体的に説明する。
図8に示すように、加熱方式IVでは、マイコン52は、まず、ステップS401で、液体温度がポット本体15の温度より高いため、その温度差を無くして正確な液体温度を検出するために、この加熱方式IVに移行した後に30秒待機した後、ステップS402で、その時の温度Tを検出する。
ついで、ステップS403で、検出温度Tが20.0℃未満であるか否かを判断する。そして、検出温度Tが20.0℃未満である場合にはステップS404に進み、第1加熱処理を実行してステップS410に進む。また、検出温度Tが20.0℃以上である場合にはステップS405に進む。
ステップS405では、検出温度Tが32.0℃未満であるか否か、即ち、20.0℃以上で32.0℃未満であるか否かを判断する。そして、検出温度Tが32.0℃未満である場合にはステップS406に進み、第2加熱処理を実行してステップS410に進む。また、検出温度Tが32.0℃以上である場合にはステップS407に進む。
ステップS407では、検出温度Tが35.0℃未満であるか否かを判断する。そして、検出温度Tが35.0℃未満である場合、即ち、32.0℃以上で35.0℃未満である場合にはステップS408に進み、後述する第5加熱処理を実行してステップS410に進む。また、検出温度Tが35.0℃以上である場合にはステップS409に進む。
ステップS409では、検出温度Tが53.0℃以下になるまで待機し、検出温度Tが53.0℃以下になるとステップS410に進む。具体的には、このステップS409では、ステップS407から至った時点で既に53.0℃以下、即ち、35.0℃以上で53.0℃以下であった場合には適温であるため、そのままステップS410に進む。一方、ステップS407から至った時点で53.0℃より高い場合には、53.0℃以下になるまで待機して自然冷却させ、53.0℃以下になるとステップS410に進む。
ステップS410では、加熱が終了したことを意味する適温報知を出力した後、ステップS411で、保温温度表示である第1LED45aを点灯させてリターンする。
加熱方式V
次に、ステップS14の加熱方式Vについて具体的に説明する。
図9に示すように、加熱方式Vでは、マイコン52は、まず、ステップS501からステップS504で、液体温度がポット本体15の温度より極めて高いため、その温度差を無くして正確な液体温度を検出するために、これらの温度が平衡するまで待機する。
具体的には、ステップS501で、基準温度T1を検出した後、ステップS502で、その検出後に30秒待機する。そして、30秒経過すると、ステップS503で、後の比較温度T2を検出した後、ステップS504で、この比較温度T2が前記基準温度T1以下であるか否かを判断する。そして、T2≦T1である場合、即ち、液体温度とポット本体15の温度とが平衡した場合にはステップS505に進み、T2>T1である場合、即ち、液体温度とポット本体15の温度とが平衡していない場合にはステップS501に戻る。
ステップS505では、液体温度とポット本体15の温度とが平衡した直後の温度Tを検出する。
ついで、ステップS506で、検出温度Tが20.0℃未満であるか否かを判断する。そして、検出温度Tが20.0℃未満である場合にはステップS507に進み、第1加熱処理を実行してステップS511に進む。また、検出温度Tが20.0℃以上である場合にはステップS508に進む。
ステップS508では、検出温度Tが35.0℃未満であるか否かを判断する。そして、検出温度Tが35.0℃未満である場合、即ち、20.0℃以上で35.0℃未満である場合にはステップS509に進み、第5加熱処理を実行してステップS511に進む。また、検出温度Tが35.0℃以上である場合にはステップS510に進む。
ステップS510では、検出温度Tが53.0℃以下になるまで待機し、検出温度Tが53.0℃以下になるとステップS511に進む。具体的には、このステップS510では、ステップS508から至った時点で既に53.0℃以下、即ち、35.0℃以上で53.0℃以下であった場合には適温であるため、そのままステップS511に進む。一方、ステップS508から至った時点で53.0℃より高い場合には、53.0℃以下になるまで待機して自然冷却させ、53.0℃以下になるとステップS511に進む。
ステップS511では、加熱が終了したことを意味する適温報知を出力した後、ステップS512で、保温温度表示である第1LED45aを点灯させてリターンする。
このように、本発明の調乳ポットでは、加熱制御の開始時に前記ヒータ31をオフした状態での温度の変化率に基づいて加熱方式I〜Vを選択し、各加熱方式I〜Vでは、温度センサ38による検出温度に基づいて、更に第1から第5の加熱処理を選択して実行する。そのため、液体温度とポット本体15の温度の関係を正確に把握することができ、所定温度に加熱する時間が極端に長くなったり、実際には所定温度に達していない状態で所定温度に達したと判断するという不都合を確実に防止できる。
第1加熱処理
次に、ステップS104,S203,S303,S404,S507の第1加熱処理について具体的に説明する。
この第1加熱処理は、大略、予め設定したしきい値(65.0℃)を検出するまで加熱した後、非加熱状態で第1しきい値(55.0℃)を下回った後に、所定時間(60秒)内に第2しきい値(53.5)を下回らなければその加熱処理を終了し、所定時間内に第2しきい値を下回った場合には、加熱して前記第1しきい値より高い第3しきい値(65.0℃)を上回るとその加熱処理を終了するものである。
具体的には、図10に示すように、第1加熱処理では、マイコン52は、まず、ステップS601で、ヒータ31をフルパワーでオンする。即ち、加熱制御を開始すると、この時点で初めてヒータ31が動作され、実際に加熱動作が開始される。
ついで、ステップS602で、その時の温度Tを検出した後、ステップS603で、その検出温度Tが65.0℃以上になっているか否かを判断する。そして、検出温度Tが65.0℃以上になっている場合にはステップS604に進み、ヒータ31をオフする。また、検出温度Tが65.0℃未満である場合にはステップS602に戻る。
即ち、この第1加熱処理では、まず、液体温度が所定温度になるまでヒータ31により加熱し、所定温度に至るとヒータ31の動作を停止して以後のステップS605に進む。なお、本実施形態において、昇温させるしきい値となる温度は、前記のように「65.0℃」としている。この温度は、ヒータ31の熱の影響を含めたものである。
前記のようにヒータ31をオフすると、ステップS605で、その時の温度Tを検出した後、ステップS606で、その検出温度Tが55.0℃以下になっているか否かを判断する。そして、検出温度Tが55.0℃以下になっている場合にはステップS607に進み、検出温度Tが55.0℃より高い場合にはステップS605に戻る。即ち、このステップS605,S606で、ヒータ31の熱が冷めて実際の液体温度の検出に影響が及ばず、液体温度が下降勾配状態で予め設定した第1しきい値(55.0℃)を下回るまで待機する。
ステップS607では、検出温度Tが55.0℃以下になった後に60秒経過したか否かを検出する。そして、60秒経過した場合には後述するステップS608からステップS613をスキップしてリターンする。また、60秒経過していない場合にはステップS608に進む。
ステップS608では、その時の温度Tを検出した後、ステップS609で、その検出温度Tが53.5℃未満になっているか否かを判断する。そして、検出温度Tが53.5℃未満になっている場合にはステップS610に進み、検出温度Tが53.5℃以上である場合にはステップS607に戻る。即ち、このステップS607からステップS609では、図15に示すように、60秒経過するまでに実際の液体温度が予め設定した第2しきい値(53.5℃)を下回らなければ確実に適温に加熱できたと判断する。逆に、60秒経過するまでに実際の液体温度が第2しきい値を下回った場合には、液体容器10内に収容された液体量が多く、ステップS601からS603での加熱では十分に加熱できなかったと判断し、以下のステップS610に進む。
ステップS610では、ヒータ31をフルパワーでオンする。ついで、ステップS611で、その時の温度Tを検出した後、ステップS612で、その検出温度Tが予め設定した第3しきい値である65.0℃以上になっているか否かを判断する。そして、検出温度Tが65.0℃以上になっている場合にはステップS613に進み、所定温度までの加熱が終了したと判断してヒータ31をオフしてリターンする。また、検出温度Tが65.0℃未満である場合にはステップS611に戻る。
第2加熱処理
次に、ステップS106,S305,S406の第2加熱処理について具体的に説明する。
この第2加熱処理は、大略、第4しきい値(55.0℃)を上回った後に、加熱を停止して余熱による上昇勾配状態において、昇温が停止するまでに第5しきい値(65.0℃)を上回らなければその加熱処理を終了する。また、第5しきい値を超えて昇温した場合には、第1加熱手段と同様に、非加熱状態で第1しきい値(55.0℃)を下回った後に、所定時間(60秒)内に第2しきい値(53.5)を下回らなければその加熱処理を終了し、所定時間内に第2しきい値を下回った場合には、加熱して前記第1しきい値より高い第3しきい値(65.0℃)を上回るとその加熱処理を終了するものである。
具体的には、図11に示すように、第2加熱処理では、マイコン52は、まず、ステップS701で、第1加熱処理と同様にヒータ31をフルパワーでオンする。ついで、ステップS702で、その時の温度Tを検出した後、ステップS703で、その検出温度Tが55.0℃以上になっているか否かを判断する。そして、検出温度Tが55.0℃以上になっている場合にはステップS704に進み、ヒータ31をオフする。また、検出温度Tが55.0℃未満である場合にはステップS702に戻る。
即ち、この第2加熱処理では、第1加熱処理と同様に、液体温度が所定温度になるまでヒータ31により加熱し、所定温度に至るとヒータ31の動作を停止して以後のステップS705に進む。しかし、昇温させる第4しきい値となる温度は、前記のように「55.0℃」としている。この温度は、ヒータ31の熱の影響を含めたものである。
前記のようにヒータ31をオフすると、ステップS705で、基準温度T1を検出した後、ステップS706で、その時の温度Tを検出する。そして、ステップS707で、その検出温度Tがヒータ31の余熱などによって65.0℃以上に昇温しているか否かを判断する。そして、検出温度Tが65.0℃以上に昇温していない場合にはステップS708に進み、昇温している場合にはステップS711に進む。
ステップS708では、基準温度T1の検出後に30秒経過したか否かを検出し、30秒経過した場合にはステップS709に進み、経過していない場合にはステップS706に戻る。
ステップS709では、比較温度T2を検出した後、ステップS710で、この比較温度T2が前記基準温度T1以下であるか否かを判断する。そして、T2≦T1である場合、即ち、液体温度とポット本体15の温度とが平衡した場合にはリターンする。また、T2>T1である場合、即ち、液体温度とポット本体15の温度とが平衡せずに検出温度が昇温している場合にはステップS705に戻る。
即ち、前記ステップS705からステップS710では、図16に示すように、ヒータ31による加熱で第4しきい値を上回った後に、ヒータ31を停止して余熱による昇温が停止するまでに前記第4しきい値より高い第5しきい値(65.0℃)を上回らなければ加熱終了と判断して終了し、第5しきい値を上回った場合にはステップS711に進む構成としている。なお、加熱を終了するかステップS711に進むかは、液体容器10に収容された液体量に影響され、液体量が多い(約400ml以上)場合には終了に至り、液体量が少ない(約400ml未満)場合にはステップS711に進む。
前記ステップS707で検出温度Tが65.0℃以上であると判断した場合には、ステップS711で、その時の温度Tを検出した後、ステップS712で、その検出温度Tが55.0℃以下になっているか否かを判断する。そして、検出温度Tが55.0℃以下になっている場合にはステップS713に進み、検出温度Tが55.0℃より高い場合にはステップS711に戻り、ヒータ31の熱が冷めて実際の液体温度の検出に影響が及ばず、液体温度が下降勾配状態で予め設定した第1しきい値(55.0℃)を下回るまで待機する。
ステップS713では、検出温度Tが55.0℃以下になった後に60秒経過したか否かを判断する。そして、60秒経過した場合にはリターンし、60秒経過していない場合にはステップS714に進む。
ステップS714では、その時の温度Tを検出した後、ステップS715で、その検出温度Tが53.5℃未満になっているか否かを判断する。そして、検出温度Tが53.5℃未満になっている場合にはステップS716に進み、検出温度Tが53.5℃以上である場合にはステップS713に戻る。即ち、このステップS713からステップS715では、第1加熱処理と同様に、60秒経過するまでに実際の液体温度が予め設定した第2しきい値(53.5℃)を下回らなければ確実に適温に加熱できたと判断し、60秒経過するまでに実際の液体温度が第2しきい値を下回った場合には以下のステップS716に進む。
ステップS716では、ヒータ31をフルパワーでオンする。ついで、ステップS717で、その時の温度Tを検出した後、ステップS718で、その検出温度Tが予め設定した第3しきい値である65.0℃以上になっているか否かを判断する。そして、検出温度Tが65.0℃以上になっている場合にはステップS719に進み、所定温度までの加熱が終了したと判断してヒータ31をオフしてリターンする。また、検出温度Tが65.0℃未満である場合にはステップS717に戻る。
第3加熱処理
次に、ステップS108,S205の第3加熱処理について具体的に説明する。
この第3加熱処理は、液体温度が加熱温度(50℃)より高い可能性が高いため、自然冷却により予め設定したしきい値(55.0℃)を下回るまで待機し、下回ると所定時間(60秒)内に第6しきい値(53.5℃)を下回らなければ加熱処理を終了する。また、第6しきい値を下回った場合には第7しきい値(65.0℃)を超えるまで加熱した後、再び自然冷却して予め設定したしきい値(55.0℃)を下回るまで待機し、下回ると所定時間内に第6しきい値(53.5℃)を下回らなければ加熱処理を終了するものである。
具体手には、図12に示すように、第3加熱処理では液体温度が加熱する温度より高いため、マイコン52は、まず、ステップS801,S802で、所定温度に降温するまで待機する。即ち、ステップS801で、その時の温度Tを検出した後、ステップS802で、その検出温度Tが55.0℃以下になっているか否かを判断する。そして、検出温度Tが55.0℃以下になっている場合にはステップS803に進み、検出温度Tが55.0℃より高い場合にはステップS801に戻る。
ステップS803では、検出温度Tが55.0℃以下になった後に60秒経過したか否かを判断する。そして、60秒経過した場合にはリターンし、60秒経過していない場合にはステップS804に進む。
ステップS804では、その時の温度Tを検出した後、ステップS805で、その検出温度Tが53.5℃未満になっているか否かを判断する。そして、検出温度Tが53.5℃未満になっている場合にはステップS806に進み、検出温度Tが53.5℃以上である場合にはステップS803に戻る。即ち、このステップS803からステップS805では、第1加熱処理と同様に、第1しきい値(55.0℃)を下回った後に、所定時間(60秒)内に温度が予め設定した第2しきい値(53.5℃)を下回らなければ確実に適温に加熱できたと判断し、第2しきい値を下回った場合には以下のステップS806に進む。
ステップS806では、ヒータ31をフルパワーでオンする。ついで、ステップS807で、その時の温度Tを検出した後、ステップS808で、その検出温度Tが予め設定した第3しきい値である65.0℃以上になっているか否かを判断する。そして、検出温度Tが65.0℃以上になっている場合にはステップS809に進み、所定温度までの加熱が終了したと判断してヒータ31をオフしてステップS801に戻る。また、検出温度Tが65.0℃未満である場合にはステップS807に戻る。
第4加熱処理
次に、ステップS307の第4加熱処理について具体的に説明する。
この第4加熱処理は、液体温度が加熱温度(50.0℃)より若干低い温度域であるため、予め設定した第8しきい値(45.0℃)を超えるまで加熱すると、加熱処理を終了するものである。
具体的には、図13に示すように、第4加熱処理では、マイコン52は、まず、ステップS901で、ヒータ31をフルパワーでオンした後、ステップS902で、その時の温度Tを検出する。
ついで、ステップS903で、検出温度Tが45.0℃より高いか否かを判断する。そして、検出温度Tが45.0℃より高い場合にはステップS904に進み、ヒータ31をオフしてリターンする。また、検出温度Tが45.0℃以下である場合にはステップS902に戻る。
第5加熱処理
次に、ステップS408,S509の第5加熱処理について具体的に説明する。
この第5加熱処理は、液体温度が加熱温度(50.0℃)より第4加熱処理より低い温度域であるため、予め設定した第9しきい値(35.0℃)を超えるまで加熱すると、加熱処理を終了するものである。
具体的には、図14に示すように、第5加熱処理では、マイコン52は、まず、ステップS1001で、ヒータ31をフルパワーでオンした後、ステップS1002で、その時の温度Tを検出する。
ついで、ステップS1003で、検出温度Tが35.0℃以上であるか否かを判断する。そして、検出温度Tが35.0℃以上である場合にはステップS1004に進み、ヒータ31をオフしてリターンする。また、検出温度Tが35.0℃未満である場合にはステップS1002に戻る。
このように、本発明の調乳ポットでは、第1の判断および第2の判断により、液体温度とポット本体15の温度の関係を正確に把握し、加熱時間に係る問題を確実に防止できる。そのうえ、加熱処理では、液体温度が下降勾配状態において、第1しきい値を下回った後に、所定時間内に前記第1しきい値より低い第2しきい値を下回らなければ加熱を終了する。また、前記第1しきい値を下回った後に所定時間内に第2しきい値を下回った場合、前記ヒータ31により加熱して第3しきい値を上回ると加熱を終了する。液体温度が上昇勾配状態において、第4しきい値を上回った後に、昇温が停止するまでに前記第4しきい値より高い第5しきい値を上回らなければ加熱を終了する。そのため、液体容器10内に収容させた液体量やヒータ31の熱などの影響で、温度センサ38による検出値に誤差が生じても、確実に所定温度まで加熱することができる。
なお、本発明の調乳ポットは、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
本発明の実施形態に係る調乳ポットを示す断面図である。 調乳ポットの分解斜視図である。 操作パネルを示す平面図である。 マイコンによる調乳用加熱制御処理を示すフローチャートである。 図4の加熱方式Iを示すフローチャートである。 図4の加熱方式IIを示すフローチャートである。 図4の加熱方式IIIを示すフローチャートである。 図4の加熱方式IVを示すフローチャートである。 図4の加熱方式Vを示すフローチャートである。 図5から図9の第1加熱処理を示すフローチャートである。 図5,7,8の第2加熱処理を示すフローチャートである。 図5,6の第3加熱処理を示すフローチャートである。 図7の第4加熱処理を示すフローチャートである。 図8,9の第5加熱処理を示すフローチャートである。 第1加熱処理の特性を示すグラフである。 第2加熱処理の特性を示すグラフである。
符号の説明
10…液体容器
14…蓋体
15…ポット本体
18…配設凹部
23…基板収容部
24…非基板収容部
26…遮熱容器
29…加熱板
31…ヒータ(加熱手段)
38…温度センサ(温度検出手段)
39…操作基板
41〜43…スイッチ
50…制御基板
52…マイコン(変化率検出手段,加熱方式判断手段,加熱処理判断手段)

Claims (5)

  1. 液体を収容する液体容器を、ポット本体における加熱手段を備えた加熱板上に配置し、温度検出手段により前記液体容器内の液体温度を検出しながら液体を所定温度に加熱制御する調乳ポットにおいて、
    加熱制御の開始時に前記加熱手段をオフした状態で、所定時間内での前記温度検出手段による検出温度の変化率を検出する変化率検出手段と、
    前記変化率検出手段により検出した変化率に基づいて、異なる2以上の加熱方式のうち、いずれの加熱方式を実行するかを判断する加熱方式判断手段とを設けるとともに、
    前記各加熱方式において、前記温度検出手段による検出温度に基づいて、異なる2以上の加熱処理のうち、いずれの加熱処理を実行するかを判断する加熱処理判断手段を更に設け、
    2以上の前記加熱処理のうち、所定の加熱処理では、前記加熱手段による非加熱状態で、かつ、前記温度検出手段による検出温度が下降勾配状態において、第1しきい値を下回った後に、所定時間内に前記第1しきい値より低い第2しきい値を下回らなければその加熱処理を終了することを特徴とする調乳ポット。
  2. 前記第1しきい値を下回った後に所定時間内に第2しきい値を下回った場合、前記加熱手段により加熱して前記第1しきい値より高い第3しきい値を上回るとその加熱処理を終了することを特徴とする請求項1に記載の調乳ポット。
  3. 液体を収容する液体容器を、ポット本体における加熱手段を備えた加熱板上に配置し、温度検出手段により前記液体容器内の液体温度を検出しながら液体を所定温度に加熱制御する調乳ポットにおいて、
    加熱制御の開始時に前記加熱手段をオフした状態で、所定時間内での前記温度検出手段による検出温度の変化率を検出する変化率検出手段と、
    前記変化率検出手段により検出した変化率に基づいて、異なる2以上の加熱方式のうち、いずれの加熱方式を実行するかを判断する加熱方式判断手段とを設けるとともに、
    前記各加熱方式において、前記温度検出手段による検出温度に基づいて、異なる2以上の加熱処理のうち、いずれの加熱処理を実行するかを判断する加熱処理判断手段を更に設け、
    2以上の前記加熱処理のうち、所定の加熱処理では、第4しきい値を上回った後に、前記加熱手段による加熱を停止し、前記温度検出手段による検出温度が上昇勾配状態において、昇温が停止するまでに前記第4しきい値より高い第5しきい値を上回らなければその加熱処理を終了することを特徴とする調乳ポット。
  4. 2以上の前記加熱処理のうち、所定の加熱処理では、前記加熱手段による非加熱状態で、かつ、前記温度検出手段による検出温度が下降勾配状態において、第1しきい値を下回った後に、所定時間内に前記第1しきい値より低い第2しきい値を下回らなければその加熱処理を終了することを特徴とする請求項3に記載の調乳ポット。
  5. 前記第1しきい値を下回った後に所定時間内に第2しきい値を下回った場合、前記加熱手段により加熱して前記第1しきい値より高い第3しきい値を上回るとその加熱処理を終了することを特徴とする請求項4に記載の調乳ポット。
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